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月夜の猫-BL小説です 花さそう(工藤×良太)69までアップしました BL小説 花さそう(工藤×良太)69までアップしました。かぜをいたみ(京助×千雪)18までアップしました。またメインではありませんが名前が途中から変わってしまってる人がいたため、修正中です
途中から、手紙を持つ碧生の手はふるえた。悪い魔法のからくりを教えてもらったようだった。和夏さんとのことが、生絹をこんなに縛りつけていたなんて。そして。「僕たち、ちゃんと通じ合っていたんだね」 碧生の口からほろりと砂糖菓子のような言葉がこぼれた。 碧生の一方的なはじめての深い片想いなのだと思っていた。けれど、こんなに想っていてもらえていただなんて。 もう一度目を通そうとすると、伸びてきた生絹の手に...
『でも、正直なところ、金はどうでもいいんだ。たぶん、なんとかはなっているんだろうし。 いま気になっているのは、碧生のこと。二十歳の碧生は、俺のそばにいてくれているか。そばで笑っているか。 いまの俺は碧生を大事にしたいけれど、うまくできないでいる。たくさん、数え切れないほどたくさん傷つけて、それでも碧生が俺から離れていかないのを見て安心してる。何様だよって俺自身思うのに、碧生がひと言も責めないからこ...
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ18 BL小説 八月に入ってから、うだるような暑さが続いていた。 じりじりと焼けるような太陽は、せめて窓の外で見るだけにしたいものだと思いながら、法学の講義を終えて教壇を去ろうとしたところで、千雪は学生につかまって質問を受けた。 京助が持っている法医鑑定学の講座の階段教室満杯
つたない手紙に思わず笑みがこぼれる。17歳とはこんなにやわらかな生きものなのか。 なんどか繰り返して読むうちに、けさ、ふるさとに帰ってきてから今夜ここまで、とてつもなく長い旅をしてきたような錯覚に陥った。ふと見遣ると、生絹も自分の手紙から顔をあげていて視線がかちあった。「碧生の手紙、読みたい。よかったら、読ませてくれないか」 生絹の言葉に手のなかの17歳の想いを差し出した。タイムカプセルが見つからな...
食事をとりながら碧生は昼間受け取った封筒の存在を思い出した。かばんから、ひょんなことから過去の自分から届いた手紙を取り出す。血の通わない封筒が、ほのかにあたたかい気がした。「そうだ。生絹、手紙。まださっきの手紙を持ってる?」 うなずいた生絹が端が黄色っぽく褪せた封筒を碧生とおなじようにかばんから取り出した。まだ読んでないんだけど、と言いながら碧生のものよりほんのすこし厚い封筒を照明に翳すようにし...
「僕にはずっと生絹がまぶしくて、ずっと生絹の言葉がうれしかった。ほかにどんな出会いがあったとしても生絹だけがほしかったと思うよ」生絹が戸惑ったようなまばたきをふたつする。「まぶしくて……ってどうして」「生絹はいつだって僕の気持ちを軽くさせてくれた。大切な約束をしてくれた。生絹が好きだから、ひとつひとつがすごくうれしかったんだよ。きっとなにもかも、生絹といっしょにいれば叶う気がした」 ともにあれば、ど...
「ありがとう。……変わったな、生絹」「いやー、17歳のころの俺のまんま、なんにも変わってなかったら相当やばくない?」「そうかな……そうかも」 碧生がすこし笑うと、日本酒を口に運んでいた生絹はくらりと真顔になった。そのまま、杯を置きすっと碧生に頭を下げてくる。「あのころ、ほんとに碧生だけが俺の支えだった。出会ってすぐわかったよ。碧生は健やかで優しくてまっすぐな若木みたいなやつだって。そばにいたら俺まで正し...
黙り込んだ碧生を生絹が「現在進行形で腹減ってねえ?冷めるまえに食おう」と促した。箸をつけると、たしかに海鮮の味が活きた料理はおいしくて、ふたりしてしばらく食事に没頭した。えびの天ぷらを口に運びつつ、生絹が訊ねる。「そうだ、そういや碧生、インテリアコーディネーターの仕事やってるんだって?有名だよな。ときどき雑誌で顔を見ることがあるよ」 碧生にとって働くことは帰りたい家を探すようなものだった。 ああ...
生絹の戸惑ったような沈黙に「合わないって、実の親子にもあるんだね」と苦笑交じりに言った。そう、笑える。これはもう、笑ってしまってもいいことなんだ。もう遠い昔に過ぎ去ったこと。望まないと決めたこと。 幼少期、食事も睡眠も充分に与えられた。暴行を加えられることも、罵られることもなかった。 けれど、抱きしめられたり、愛情を示す言葉をかけてもらったりしたこともない。みんなが親に手をつないでもらっていた幼...
月夜の猫-BL小説です 花さそう(工藤×良太)63までアップしました BL小説 花さそう(工藤×良太)63まで、かぜをいたみ(京助×千雪)13までアップしました。
#59011;紙書籍 #58946;電子書籍 #59020;CD・DVD (#59101;=購入時、発売から1ヶ月未満の新刊) 色字は感想記事へのリンクです。 (文頭の数字は購入日) 02#58946;#59101;せんせいの金曜日/ダヨオ #58946;#59101;✕✕✕ or BEAT/本山あこ 03#58946;とろける恋人/山田袋 06#58946;ふたり暮らしハピネス/間之あまの 08#58946;別れてやらない!①/さん太ろ 15#58946;ブルースカイコンプレックス番外編 インディゴブルーのグラデーション② /市川けい 16#58946;#59101;40までにしたい10のこと/マミタ #58946;#59101;アキはハルとごはんを食べたい おかわり!①/たじまこと #58946;賢者とマドレーヌ/榎田尤利 17#59011;#59101;ダイヤのA actⅡ33巻/寺嶋裕二 #59011;#59101;後の夫婦である①/湊ユウキ 19#59020;ポケドラリカー&シガレット スキマtime #58946;KOH-BO..
==2023.2.6購入(コミックシーモア)== #59128;ふたり暮らしハピネス/間之あまの 2/16まで30%OFF (2/3~16 ディアプラス文庫 年下攻め特集) +3冊20%OFFクーポン(2/4~6) ==2023.2.16購入(コミックシーモア)== #59128;賢者とマドレーヌ/榎田尤利 1月来店ポイントコンプクーポン(39%off) +木曜ポイ活2%pt還元 +シーモアマラソン対象 「ふたり暮らしハピネス」 間之あまのさんの作品の購入は3冊目です。 新刊時からチェックしていて ようやく購入しました。 シーモアの”お気に入り”でセール情報が 見られるようになったのが幸いして お得を逃さずゲットできました。わ~い♪♪ 「賢者とマドレーヌ」 1月のご来店ポイントコンプリートでもらえる 39%OFFクーポンはこ..
「碧生だけがいればいいんだ、って何回も言いつづけてくれただろ。それがすごくうれしかった。それでかな、生絹のことを特別に想うようになっていったのは。そのあと、進路希望調査票が配られて僕が悩んでいたときに、将来はふたりで、大学に行くよりもっとおもしろいことをするって……なんだってできるって、生絹が言ったんだ。そのときはっきり自覚した。生絹に恋をしているって。一生この気持ちを抱えていくんだろうな、って。生...
「恋愛という意味では、これっぽっちも好きじゃなかったよ。だけど、ずいぶんと間違ってはいたけど、すごく優しい人だったとは思う。やりかたが根本からまずかったけど、俺のこと、それでもちゃんと大事にしてくれたしな。正しい人ではなかったけど、あのころの俺はなにをしてでも、正しい大人より優しい大人にそばにいてほしかった。そう、うん、優しい人だったよ、すごく」「そっ、かぁ……」 吐き出した相槌が淡く溶ける。 和...
料理が運ばれてくるまでのあいだ、ぽつぽつと近況を報告しあう。 生絹も碧生とおなじく東京暮らしで、大学卒業後は都心にある企業で働いているらしい。高校生のときに大幅にまっとうな軌道から逸れた生絹の人生が、どんどん脱線していかなかったことに碧生は胸を撫で下ろした。 踏みとどまったのは、生絹の努力と忍耐のたまものだろう。そのなかで、どれだけつらい思いをしてきただろう。きっと碧生には想像も及ばないものなの...
スマホの振動は、生絹からのメッセージの着信を伝えるものだった。 『連絡が遅くなってごめんな。駅前で待ってる。気をつけてこいよ』 生絹からのメッセージに急いで返信しながら、「ちょっと出てくる。遅くなるかも」とリビングに短く声をかけた。玄関を出るとき、リビングから聞こえるか聞こえないかの声量で届いた「……ほんっと、かわいげのない子」という声が、ちくりとちいさな針のように背中に刺さった。 バス停に着いた...
同級会が終わって、バスで実家へとむかった。ちいさな門をくぐる。薄闇に沈んでいる真冬のいまはからっぽの植木鉢に埋め尽くされた庭も、すこしくすんだ白い外壁も、駅前以上になにも変わっていないように思えた。玄関ポーチの照明が碧生を察知し、ぽうっと灯る。 玄関の扉を開けて、碧生は一瞬だけ言葉に詰まった。それでもすぐに、あたりさわりのない「ただいま」を投げかけるとキッチンから「おかえりなさい」と返ってきた。...
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ10 BL小説 やがてオーダーした酒とナッツやドライフルーツ、チーズやサラミなどが並ぶ皿がテーブルに置かれた。 スコッチを口に含んだ檜山が「美味しい」と呟いた。 「創作能も披露するって?」 「ええ。ニューヨークはいろんな人間が集ってて刺激的だっただけでなく、想像力も広がり
「汚い手で触るな!」 最後に生絹に浴びせてしまった言葉を悔やんでも悔やみきれない。どうして、どうしてよりによって。 せめてもう一度会いたい。謝りたい。いままでありがとうと言いたい。好きだったと、大切だったと伝えたい。叶わない願いが碧生の後悔を深めていく。まるで、暗くて深い洞窟の中にふらふらとさまよいこんでいくような後悔だった。明けない夜はある。 取り返しのつかない後悔を抱えて、碧生はそれでも生き...
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ9 BL小説 「いやまあ、考えてみてもええけど、どないなるかわかれへんで?」 檜山にそんな期待に満ちた目を向けられたら、千雪も本当に考えてみようという気にもなる。 実際、次作のプロットが手詰まりのまま放ってあった。 ちょっと能について調べてみるのも面白いかも知れない。 観阿弥
月夜の猫-BL小説です 花さそう59 BL小説 身体が温まりそうなよく煮込んだ鶏肉のクリームシチュウ、鯛やアサリをつかったアクアパッツァ、サワークリームの乗ったボルシチと、柔らかいステーキの追加はその場で京助が焼いていく。 刺身の盛り合わせやぶり大根や肉じゃが、サバの味噌煮などの和食系のテーブルでは、熱燗や
事件のあと、碧生にとっては地獄のようだった冬休みがあけると、碧生たちの高校は異様としか言いようのない雰囲気に包まれていた。 生絹の名はタブー視され、みんなが「あいつ」とか「あの子」とか遠回しな言いかたをしながら、それでも校内のあらゆるところが事件のうわさ話で持ちきりだった。生絹の名前からどうやって出身校にまで辿りついたのか、学校のホームページのメールフォームや掲示板には『風紀の乱れた高校』とか『...
月夜の猫-BL小説です 花さそう(工藤×良太)58アップしました BL小説 花さそう(工藤×良太)58アップしました。 かぜをいたみ(京助×千雪)8、 バレンタインエピソードが終わったので、久々、アップです
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ8 BL小説 「本来なら制作発表の時に原作者も顔を見せるところだ」 「冗談やない」 即座に千雪は工藤に対して反論する。 「フン。まあいい。ただし、第三弾はスポンサーとタイアップで準ヒロインのオーディションがあるから、そこには顔を出してもらうぞ」 「はあ? 第三弾とかそんな話聞
月夜の猫-BL小説です 花さそう58 BL小説 「お前、そういう発言、オフレコでもここだけにしとけよ。由々しいと思ったら、最近じゃオフレコ破りで記事にされるぞ」 良太は沢村を冷ややかに窘めた。 「俺がやめたって誰が困るもんかよ」 沢村はあくまでもひねくれた言い方をする。 「お前、自分を知らないわけじゃないよな?