番外編 甘寧の物語 その2
※希望に満ちた甘寧の、仕官への道は、しょっぱな挫けた。益州をおさめる劉璋のもとへ向かったはいいが、かれはおとなしい男で、武辺者の才覚をみきわめる目を持っていなかった。なんとか仕官はできたものの、それは低位の会計係の役目であった。がっかりしなかったといったら、嘘になる。それでも、基本的には真面目な性格だから、最初はおとなしく、けんめいに仕事をした。一緒についてきた子分たちは、『親分がこんなに静かに仕事に励むとは』とびっくりしていた。つまらなくも思ったが、一方で甘寧に面倒を見てもらえていたので、文句はなかった。かれらはそれぞれ食客として豪族の屋敷などに分散して暮らしながらも、なにかあれば甘寧のために集った。そんな生活は、しかし、何年も保たない。こつこつと会計係をつづけたあと、昇進の通達がやってきた。蜀郡の丞(...番外編甘寧の物語その2
2024/02/24 09:57