日本の資源循環政策は、従来の「廃棄物管理」から「資源戦略」へと転換しつつあります。この2026年は、企業の環境部門にとって、大きく舵を転換させるような対応が必要になるかもしれません。
企業の環境部門担当者のお役にたつタイムリーな環境情報を毎週配信させていただいております。
PET製容器のラベルレス化拡大へ 〜 資源有効利用促進法の見直しと循環経済の加速 〜
PET製容器のラベルレス化拡大へ 経済産業省は、循環経済の加速と環境負荷低減を目的に、PETボトルの「ラベルレス化」を単品販売にも拡大する省令改正を検討しています。これまで箱売りに限定されていたラベルレスですが、食品表示法など他法令の表示事項が不要な場合(キャップへの記載等)、ボトル本体への「刻印」のみでPETマークの識別表示を完結できるようになります。 消費者調査では、ラベルがなくても9割以上が刻印のマークを認識し、ほぼ100%が「従来通り分別できる」と回答しました。特に家庭外回収の約3分の1を占める自動販売機での単品販売が可能になれば、リサイクル時のラベル剥離の手間が省け、年間約1,700トンのプラスチック削減と約1万トンのCO2削減(全飲料の半数に導入時)が見込まれます。 本改正は、消費者の利便性向上とGX(グリーントランスフォーメーション)推進を両立し、日本のサーキュラーエコノミーを前進させる取り組みとして期待されています。
スクラップヤード規制改正 ヤードが消えるかも 廃掃法改正がもたらす激震と資源循環の未来
スクラップヤード規制改正 2026年の廃棄物処理法改正により、これまで「有価物」として規制の網から漏れ、環境問題の温床となっていたスクラップヤードの「グレーゾーン」が解消され、完全許可制へ移行します。 🔷主な法改正のポイント 完全許可制の導入:一定面積以上の事業場は都道府県知事の許可(5年更新)が必要となります。 厳しい基準と厳罰化:遮水設備や離隔距離の確保など、廃棄物処理と同等の厳格な基準が求められます。無許可営業などの違反には、最大1,000万円の罰金や拘禁刑といった重罰が科されます。 資源流出の防止:資源の国内循環を原則とし、使用済金属やプラスチックの輸出には環境大臣の確認が義務付けられます。 災害廃棄物処理の連携:市町村の計画策定義務化や民間処分場の事前指定など、災害廃棄物処理の官民連携も推進されます。 施行までの約2年半の猶予期間で、既存業者は設備や管理体制の抜本的な見直しを迫られます。 この改正は単なる規制強化ではなく、使用済資源を「戦略物資」として適正に管理し、信頼される資源循環業へと脱皮させることを目的としています。
資源有効利用促進法の改正【追加】徹底解説! サーキュラーエコノミーへの移行はどう進む?
今回の資源有効利用促進法改正は、従来の3Rから「サーキュラーエコノミーへの移行への政策を大きく刷新し、資源の安全保障と産業競争力強化を目指すものです。主なポイントは以下の通りです。 1. 新たな4つの柱 ①メーカー等に対する再生資源の利用計画提出・定期報告の義務化 ②解体や長寿命化に寄与する「環境配慮設計」の認定制度創設 ③メーカーの自主回収・再資源化を促す廃棄物処理法の特例(業許可不要)措置 ④修理やレンタルなどを行うCEコマース事業者が満たすべき基準の策定 2. 規制強化と対象拡大 ①容器包装や自動車、家電等において、再生プラスチックの利用計画提出と報告を義務化 ②モバイルバッテリーやスマホ等を自主回収の特例対象に拡大 ③太陽光パネルや窓などを「指定再利用促進製品」に新規追加 3. 目標・対策の更新 ・2030年度の古紙利用率目標を67%に引き上げ ・リチウムイオン電池の安全利用・回収を促す総合対策「3つのC」の展開 本改正を通じて、再生資源の国内安定供給(自律性)と、日本のリサイクル技術を活かした国際的な循環ハブの構築(不可欠性)を推進します。
太陽光パネルリサイクル法案が閣議決定! 「大量廃棄時代」に備え、リサイクルはどう変わる?
2030年代後半に予測される太陽光パネルの「大量廃棄問題」に備え、政府は新たなリサイクル推進法案、太陽光パネルリサイクル法案を閣議決定しました。 寿命を迎えたパネルが年間最大50万トン廃棄されると見込まれ、最終処分場の逼迫が懸念されています。 本法案は持続可能な資源循環を目指し、主に以下の対策を定めています。 排出者への規制: 大規模事業者に対し、廃棄計画の事前届出と国の基準に沿ったリサイクルを義務化 リサイクル業者の促進: 国の認定により廃棄物処理法の許可を不要とする特例を設け、事業を後押し 製造・輸入業者への責務: 解体しやすい環境配慮設計や、有害物質に関する情報提供を求める パネルの約6割を占めるガラスの回収能力向上が急務となる中、国は設備導入などの財政支援も行います。 法律は公布から1年6か月以内に施行される予定です。
【2026年4月施行】いよいよ義務化!改正「GX推進法」とGX-ETSで企業が知るべき全貌と実務対応
2026年4月に施行された改正「GX推進法」は、脱炭素と経済成長の両立を目指すものです。最大の変更点は、これまで自主参加だった排出量取引制度(GX-ETS)の法的義務化です。 ■ 対象と義務 対象は直近3年間のCO2排出量が平均10万トン以上の事業者(約300〜400社)。これらの企業には、排出量の算定・第三者検証・報告と、割り当てられた排出枠を返納する「償却」が義務付けられます。 ■ 排出枠の決まり方 国からの無償割当枠は、同業種トップ水準を基準にする「ベンチマーク方式」、または過去の実績から毎年一定率(例: 1.7%)を削減する「グランドファザリング方式」で計算され、基準は年々厳しくなります。 ■ 企業へのインパクト 排出枠を超過した場合は市場でクレジットを購入して補填し、余剰が出れば売却して収益化できます。もし削減が進まないと、購入費用が雪だるま式に増大するリスクがあるため、コストの価格転嫁や抜本的な削減策の実行が、企業の生き残りをかけた経営課題となります。
サステナブルファッションとは - 環境省主催検討会について -
サステナブルファッションとは クローゼットは地球の未来を左右する「資源の宝庫」であり、衣類廃棄25%削減(約13万トン)という目標も、私たちの小さな行動で達成可能です。 具体的には、 ①捨てる前に「あと3着」を回収に回す、 ②1年着ていない約23着を年1回リユースに出す、 ③手持ちの服を「あと1年」長く着る、 ④素材や背景を意識してサステナブルな服を選ぶ、 という4つの行動が鍵です。 これらにより回収・再利用・長期使用が進み、循環型社会が実現します。サステナブルファッションとは我慢ではなく、服をより深く愛し活かす選択であり、一人ひとりの意識変化が2030年の社会を形づくります。
サーキュラーエコノミー展での経産省、環境省の基調講演(抜粋)
ビッグサイトで開催されたサーキュラーエコノミー展での経産省、環境省の基調講演では、資源制約と地政学リスクを背景に、循環経済への転換が国家戦略として示されました。 2050年には銅などの需要が埋蔵量の2倍に達する見通しの中、これを120兆円規模のビジネス機会へと転換する狙いです。経済産業省は従来の3Rから脱却し、資源循環を企業の競争戦略と位置づけ、「国富流出」や市場排除リスクに警鐘を鳴らしています。 一方、環境省は高率補助によりリサイクル設備投資を後押しし、社会実装を加速させています。さらに「サーキュラーパートナーズ」やDPP対応などのデジタル基盤整備により、国際競争力の強化が進められています。 循環経済はもはやコストではなく、成長と収益の源泉です。
もはや「捨てる」時代ではない。自動車から読み解く次世代サーキュラーエコノミーの現在地
次世代サーキュラーエコノミーの現在地 自動車リサイクル法は施行から20年を迎え、不法投棄激減の目標は概ね達成されましたが、現在はカーボンニュートラルへの移行に伴う「資源争奪戦」の激震に見舞われています。 かつて廃棄物とされた廃車は、希少な蓄電池材料などを含む「走る資源」へと変貌しました。 一方で、国内の解体業者は深刻な仕入れ難に直面しています。円安や海外需要を背景に輸出業者などが台頭し、オークションでの平均落札率が22%に低迷しているためです。また、不適正な解体や海外への資源流出も問題化しています 。この打破に向け、2026年1月にシステム(JARS)が刷新され、資源の精密な追跡が可能になりました。しかし、「Car to Car」の実現には再生プラスチックの圧倒的な供給・品質不足という壁があり、集約拠点の構築が急務です 。欧州が再生プラ使用率25%を義務付ける中、高度な資源循環体制の構築は、日本産業の命運を分ける「生存条件」となっています。
「廃棄物管理」から「資源戦略」へ - 日本の資源循環政策が企業経営を変える -
本記事は、2025〜2026年にかけて大きく転換する日本の資源循環政策について、セミナー内容をもとに解説したものです。従来、企業にとって廃棄物は「適正処理とコスト管理」の対象でしたが、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、GHG削減や資源価値創出を含む「経営戦略」として捉える必要が高まっています。 その中心となるのが、2025年施行の再資源化事業等高度化法であり、先進的な再資源化事業の認定制度と業界全体の高度化を促す仕組みが導入されました。さらに、電子マニフェストによる再資源化情報の可視化、プラスチック資源循環促進法、資源有効利用促進法の改正などにより、製造業とリサイクル業の「動静脈連携」が加速しています。 世界的にも資源循環は産業政策や経済安全保障と結びつきつつあり、企業には再生材の確保、サプライチェーン連携、資源循環データの管理など、廃棄物管理を超えた「資源戦略」への転換が求められています。
プラスチック再生材利用義務化へ ~ 資源有効利用促進法改正 2026.04 ~
プラスチック再生材利用義務化へ ~ 資源有効利用促進法改正 2026.04 ~ 2026年4月施行の改正資源有効利用促進法は、GX推進法との“セット改正”により、脱炭素と循環経済を統合する制度へ転換する。再生プラスチック利用は自主的努力から法的義務へ格上げされ、一定規模以上の事業者は利用計画の策定・報告が義務化される。対象は11種類の容器に加えキャップ等の付属部材まで及ぶ。一方、油脂を含まない飲料用PET等は二重規制回避と品質維持の観点から原則除外。年間1万トン以上の約40社を対象とし市場の6割を動かす設計である。再生材利用率はCLOMAなどが2030年30%の自主目標を掲げており、達成にはケミカルリサイクルの拡大が不可欠。EU規制動向や資源安全保障も背景にあり、企業にはマスバランス管理、価格戦略、トレーサビリティ整備が求められる。
航空機内でのモバイルバッテリー使用禁止 ~ 企業が備えるべき安全の新常識 ~
【航空機内でのモバイルバッテリー使用禁止】 2026年4月より、国土交通省の新規制により、日本を発着する航空機内でモバイルバッテリーの使用と充電が全面的に禁止される見通しです。さらに、機内への持ち込み個数も容量に関わらず「1人最大2個まで」と厳格に制限されます。 この抜本的な規制強化の背景には、リチウムイオン電池の「熱暴走」による重大な発煙・火災事故の多発があります。特に2025年1月に発生したエアプサン機の全損事故は深刻であり、国際民間航空機関(ICAO)が主導する国際安全基準の見直しに日本も追従する形となりました。 影響は航空業界に留まらず、高速バスのトランクルームへの預け入れ禁止や、航空貨物・物流ルールの厳格化など、地上のインフラにも波及しています。 乗客の利便性は一時的に損なわれますが、航空機内の安全確保に向けた不可避の措置です。この規制は機内設備の改修を急務とさせる一方、発火リスクのない「全固体電池」など、次世代バッテリー技術の開発を力強く牽引する転換点ともなっています。
【2026年4月施行】資源有効利用促進法改正のパブコメまとめ 〜 CEの加速に向けて 〜
いよいよ2026年4月に資源有効利用促進法が改正されます。すでに施行された「再資源化事業等高度化法」と合わせ、今後はサーキュラーエコノミーへの移行がさらに加速していく見込みです。 事業者として押さえておきたい5つの重要ポイントは以下の通りです。 1.再生プラ目標設定: 自動車や家電等への再生プラスチック利用目標の設定 2.蓄電池の再資源化: モバイルバッテリー等(リチウム蓄電池)の自主回収と30%以上の再資源化 3.設計指針: 製品設計段階からの「脱炭素化促進設計指針」への対応 4.省資源化の基準: エアコンや家具など「指定省資源化製品」の発生抑制基準の公表 5.再利用の促進: 複写機における再生部品の利用促進基準の追加 今回の資源有効利用促進法改正により、設計から回収・リサイクルまで、より高度な資源循環が社会全体で求められます。本記事の内容が、各事業者様の今後の取り組みの参考になれば幸いです。
【2026年1月施行】廃棄物処理法改正:PRTR対象事業者が契約書で守るべき「3つの記載事項」
2026年1月から、PRTR制度の第一種指定化学物質に関する情報が、産業廃棄物処理委託契約書の法定記載事項となります。(廃棄物処理法改正) 対象となるのは、PRTR法の「第一種指定化学物質等取扱事業者」(従業員21人以上、対象物質の年間取扱量1トン以上などの要件を満たす事業場)です 。これらの事業場が、第一種指定化学物質を1重量%以上(特定第一種は0.1重量%以上)含む産業廃棄物を委託する場合、契約書に以下の記載が義務付けられます。 ・対象物質が含まれている旨 ・当該物質の名称 ・当該物質の量または濃度 既存の契約については経過措置があり、施行日以降の最初の契約更新(自動更新を含む)までに、覚書等で対応すれば問題ありません 。更新時期を見落とさないよう管理が必要です 。
EU環境規制の最新動向 - グリーン・ディールから産業競争力重視へ、大きく転換するEU政策 -
EU環境規制の最新動向 EUの政策方針は、2019年当時の「グリーン・ディール」から、2024年以降は産業の空洞化や中国の台頭を防ぐための「産業競争力の強化・保護主義」へと劇的に転換しています。背景には、エネルギー価格高騰による製造業の苦境や、右派勢力の伸長といった政治情勢の変化があります。 主要な動向は以下の3点。 第一に、自動車規制の柔軟化です。2025年のCO2排出目標に猶予が設けられたほか、2035年の内燃機関車禁止措置もe-fuelの活用を認めるなど「技術中立性」へ向けて見直しが進んでいます。 第二に、「持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR)」の施行です。ほぼ全ての製品を対象に、ライフサイクルを通じた環境性能が求められ、デジタル製品パスポート(DPP)による透明性の確保が義務化されます。 第三に、強まる保護主義です。2025年発表予定の「産業促進法」では、補助金支給の条件に「域内調達率」を盛り込む検討がなされており、日本企業は自社サプライチェーンへの影響を注視する必要があります。 今後は、環境への理想主義ではなく、産業のリアリズムに基づいた対応が求められます。
【特集】2026年のサーキュラーエコノミー:「理想」から「経済安全保障」へ
2026年に向け、サーキュラーエコノミー(CE)は理想論から実行フェーズへと移行しつつある。 2025年は、回収コスト増や再生材不足を背景に、多くの企業が目標と現実のギャップに直面した年だった。EUでは再生材を戦略資源と位置づけ、CEを経済安全保障の一部として捉える動きが加速している。企業の目標修正や事業撤退は失敗ではなく、社会実装可能なモデルへ調整する過程といえる。 2026年のサーキュラーエコノミーはAIとデータ標準により資源循環の可視化が進み、日本では高度化法の認定制度を軸に川上設計と実行力が競争力となる。 物価高を背景にBtoCリユースも主流化する中、CEを価値創出につなげつつ、資源消費そのものを減らす本質的な設計が企業に求められている。
2026年4月施行「食料システム法」で変わる、価格交渉と持続可能な調達
2026年4月に全面施行される「食料システム法」は、長年続いてきた“安さ重視”の取引慣行を見直し、食料サプライチェーンの持続性を確保することを目的としている。 背景には、日本の長期デフレによる生産基盤の弱体化と、近年の原材料・エネルギーコストの急騰がある。 本法は単なる規制強化ではなく、合理的なコストを価格に反映し、環境対応や脱炭素投資を継続可能にするための制度設計である。指定4品目に対するコスト指標の活用や誠実な価格協議義務、監視体制の整備により、調達実務にも大きな影響が及ぶ。 企業は本法をリスク対応にとどめず、認定制度などを活用し、サプライヤーとのパートナーシップを強化する戦略的対応が求められている。
リチウムイオン電池の覚えておきたい「3つのC」、火災リスク、資源問題、国の動き
使い古したスマートフォンやモバイルバッテリーの放置は、個人の悩みにとどまらず、社会全体の深刻な問題となっています。 近年、リチウムイオン電池が原因とみられる火災が多発している一方で、電池に含まれるリチウムやコバルトなどの重要鉱物は、特定国への依存度が高く、経済安全保障上の課題でもあります。 政府は省庁横断で「リチウムイオン電池総合対策パッケージ」を策定し、火災事故ゼロと国内リサイクル体制の構築を目指しています。 その実現には国民の協力が不可欠であり、賢く選び、丁寧に使い、正しく捨てるという「リチウムイオン電池の覚えておきたい『3つのC』」の実践が、資源循環と安全な未来につながります。
日本の「食・自然・安全」は大丈夫? 気候変動影響評価報告書を読み解く
【気候変動影響評価報告書を読み解く】 環境省の「第3次気候変動影響評価報告書(案)」は、気候変動の影響がすでに日本で深刻化し、対策が待ったなしであることを示している。高温により米の品質低下や果樹の着色不良、魚種の変化が進み、農業・漁業の基盤が揺らいでいる。生態系では開花と受粉のずれやシカ・ヤマビルの分布拡大が確認された。さらに短時間強雨の増加、洪水や高潮、熱中症、感染症リスクも拡大している。これらは「遠い未来」ではなく現実であり、国の施策に加え、私たち一人ひとりが防災や健康、食の変化に対応する「適応」が求められている。
COP30の結果概要:企業の脱炭素・サステナビリティ戦略への影響とは?
2025年のCOP30(ブラジル・ベレン)は、パリ協定の「実行フェーズ」への本格移行を示す重要会議となり、「グローバル・ムチラオ決定」が採択された。 本記事では、COP30の結果を受けて企業のサステナビリティ戦略を解説する。 1.5℃目標の一時的超過が初めて認識され、各国のNDC強化と企業の即時行動がより厳しく求められる。 炭素市場では国際標準化に向けた「オープン・コアリション」が発足し、高品質クレジットの重視が進む。森林保全資金TFFFの創設などネイチャーポジティブも加速。適応分野では資金3倍化と指標策定が進み、企業にはレジリエンス強化が必要となる。貿易と気候の対話枠組みも設置され、CBAM等の影響が議論対象に。化石燃料の移行は拘束力ある合意に至らなかったが、有志国連合による前進が示唆された。企業は削減目標の再確認、適応策の具体化、炭素市場対応、自然資本統合が求められる。
【新しい世界基準が始まる】「グローバル循環プロトコル(GCP)」とは?
資源循環の国際的な統一基準である GCP(グローバル循環プロトコル) が策定されつつあり、TCFDのように企業の新たな比較指標となる見込みだ。WBCSD主導で開発され、ガバナンス・戦略・IRO管理・指標という4本柱で企業の資源利用や循環性を定量的に示す枠組みを提供する。 特に日本は環境省が中心的に関与し、鉄・アルミ・自動車・プラスチックなど10バリューチェーンで国際標準化を主導しており、日本案が世界基準になる可能性が高い。 GCPは2025年のCOP30で初版が公表され、再生材利用率や材料削減量など定量情報の開示が求められるようになる。これにより投資家評価や資金調達にも影響し、企業競争力の新たな指標となるため、各社はデータ整備や循環性向上の取り組みを急ぐ必要がある。
G7最低のエネルギー自給率15.3%!日本の再エネ主力電源化に立ちはだかる「壁」と「道筋」
2025年11月の経済産業省会議を受け、日本の再エネ主力電源化が急務となる背景と課題を整理する。 日本のエネルギー自給率は15.2%とG7最下位で、化石燃料輸入により年間24兆円の国富が流出している。 この脆弱性克服の鍵が再エネ拡大であり、2040年には電源の4~5割を再エネとする目標が掲げられている。 特に太陽光は倍増を目指し、FITからFIPへの移行により市場統合と自立を促進する政策が進む。 一方、地域トラブルや管理不備が社会的信頼を損なっており、国は森林法・電気事業法等の規律強化、監視体制の拡充などで対策を強化。業界も地域共生と自然環境配慮を行動規範に掲げる。さらに、軽量で設置自由度の高いペロブスカイト太陽電池が導入拡大の切り札として期待される。再エネが「真の主力電源」となるには制度・技術だけでなく、地域に信頼される取り組みが不可欠である。
2026年4月施行!新排出量取引制度の開始と「高額手数料」が迫る本気のGX投資
新排出量取引制度の開始 2026年4月施行予定の改正GX推進法に基づき、日本で新たな排出量取引制度が始まります。年間平均CO2排出量10万トン以上の事業者は届出義務を負い、算定対象は工場排出に限らず、原料調達・輸送などサプライチェーン全体に及びます。提出する排出目標・実績は登録確認機関の確認が必要で、手数料は約数百万円〜1千万円超と高額であり、企業に精度の高いデータ管理体制やGX投資を迫ります。市場価格の高騰や取引量不足時には政府が介入できるセーフティ・ガードも設置され、制度運用の安定が図られています。さらに資源有効利用促進法の改正により、モバイルバッテリーなど指定製品の回収・再資源化義務が拡大し、循環型社会の実現も同時に推進されます。制度の実効性は、自己申告ベースとなる排出データの検証体制がどこまで機能するかにかかっています。
再資源化事業等高度化法「類型①」は日本のリサイクルを広域化・高速化させるのか
2025年11月施行の「再資源化事業等高度化法」は、日本のリサイクル産業を公衆衛生中心の規制産業から、国産の再生材を供給する戦略産業へ転換する制度である。中核となる再資源化事業等高度化法「類型①」は、廃掃法の自治体ごとの許可制から、環境大臣による 全国一括認定へ移行し、収集運搬・処分の許可に加え、従来数年を要した施設設置許可も不要となる点が最大の革新点である。これにより、リサイクル拠点の新設・増設を含む全国展開が迅速に可能となり、サプライチェーンのスケール化が実現する。認定には、需要者確保、トレーサビリティ、GHG削減評価、地域調和といった上乗せ要件が課され、補助金・税制優遇などの強力な支援も用意されている。制度全体は、分断された許可制度を全国的な「高速道路網」に統合し、産業原料としての再生材流通を加速する仕組みである。
PFASを正しく理解し、科学的知見に基づいた賢い対応を 〜過度な不安を解消するために〜
PFASは、水や油をはじく特性から広く使われた化学物質群だが、難分解性・高蓄積性から健康影響が懸念されている。特にPFOSとPFOAは国際条約で規制され、国内でも製造・輸入は原則禁止された。 過去の使用により環境中に残存しているが、環境省の調査では濃度は減少傾向にある。水道水も暫定目標値(50ng/L)が設定され、対策の結果、2024年9月末時点で目標超過の水道事業者はゼロとなっている。 日本の食品安全委員会は2024年6月、最新の科学的知見に基づき、一生涯摂取し続けても安全な量(TDI)を設定。IARC(国際がん研究機関)の発がん性分類はリスクの大きさを示すものではないとし、食品安全委員会は「通常の一般的な食生活(飲水を含む)では著しい健康影響が生じる状況にはない」と結論付けている。 国や自治体は引き続き対策を進めており、過度な不安を持たず、公的情報に基づき冷静に現状を理解することが重要である。 PFASを正しく理解し、過度に心配することなく、日々の生活を大切に送りましょう。
【地熱発電の初のロードマップ】日本の地熱ポテンシャルを4倍以上に引き出す「次世代型地熱」
地熱発電の初のロードマップ 資源エネルギー庁が「次世代型地熱」のロードマップを公表しました。 これは、従来型の地熱発電が持つ場所の制約や高コストといった限界を克服するための計画です。 「超臨界地熱」「クローズドループ」「EGS」という3つの新技術を柱とし、日本の潜在的な地熱ポテンシャル(77GW超、従来型の4倍以上)を引き出し、エネルギー自立とカーボンニュートラル達成を目指します。 2030年までに技術実証を終え、2040年に1.4GW、2050年に7.7GWの導入目標を掲げています。実現には官民一体での技術開発と、温泉法などの規制整理が鍵となります。
冬こそ気をつけたい! リチウムイオン電池の発火と正しい対処法
【リチウムイオン電池の発火と正しい対処法】 リチウムイオン電池(LiB)はスマートフォンやイヤホンなど、多くの携帯機器に使われる便利な電池ですが、「熱」と「衝撃」に弱く、誤った使用や廃棄で発火事故を起こす危険があります。消費者庁によると、2020〜2024年度で身に着ける機器などの事故が162件報告され、その84%がLiB起因でした。主な原因は、衝撃による内部ショートや高温による熱暴走です。使用時は、衝撃・高温を避け、充電は起きている時間に可燃物のない場所で行い、異常を感じたら即中止。信頼できる製品を選び、リコール情報も確認が必要です。また、廃棄時の混入が原因で全国のごみ処理施設では年間約8,500件の火災が発生しています。LiB使用製品は一般ごみと混ぜず、自治体やJBRCの回収ルートに出すことが大切です。安全な使用と適切な廃棄が、事故防止と地域の安全につながります。
【リチウムイオン電池のリサイクルへの課題】 家庭から排出されるリチウムイオン電池(LiB)の約半数が再資源化されない背景には、「不適切な排出による火災リスク」と「回収・処理ルートの構造的課題」がある。 不燃・可燃ごみへの混入により全国で火災事故が倍増し、施設復旧に巨額の費用が発生。市区町村で回収されるLiBの4~5割が再資源化ルート外となっている。 さらに、メーカー団体JBRCの回収対象が限定的で、破損電池や一体型製品が対象外となり、自治体は処分先を確保できず埋立・焼却・長期保管を余儀なくされている。 こうした状況を受け、2026年4月施行の改正資源法ではメーカー責任が強化され、一体型製品も回収対象に追加される予定。自治体では「危険ごみ」定日回収の導入により混入や火災の減少が確認されている。 また、2024年公布の高度化法により広域的な再資源化が可能となり、処理事業者確保の改善が期待される。今後は、製造者・自治体・住民が連携し、安全かつ循環型のLiBリサイクル体制を構築することが求められる。
太陽光パネルリサイクルの現状 〜 ガラスの出口問題とコストの壁 〜
「太陽光パネルリサイクルの現状」 2030年代から太陽光パネルの廃棄量が急増し、年間最大50万トンに達すると予測されています。現状、廃棄されるパネルの多くは寿命前の「早期離脱」ですが、安価な新品との競合でリユースは困難です。 リサイクル事業の最大の課題は、重量の約8割を占めるガラスの再資源化にあります。現状の用途では利益が出にくく、リサイクル費用が埋立処分より高くなるため、事業者が埋立を選ぶ傾向にあります。 このため業界では、リサイクルが優先される法制度の整備や、広域回収システムの構築など、国によるルール作りを強く求めています。リサイクル技術の高度化だけでなく、メーカー、消費者、行政が連携し、循環型社会を目指す必要があります。