退職をきっかけに、鉄道熱が再燃し、青春18きっぷを片手に、静かな鉄路をゆっくりと巡っています。 旅の空気、人の気配、鉄道の匂いを大切に綴る“還暦の鉄道旅日記”です。
年末、南風号に抜かれて。-四国・未成線・DMVを辿るひとり旅-
年末、私は京都から高知へ向けて、11時間の「遅い旅」に出た。速さを求めるなら南風号に乗ればいい。それでも私は、普通列車を選んだ。 そこには、未成線の夢と、世界初のDMV、そして人生の分岐点で“速い道”を選ばなかった自分自身がいた。 これは、四国を巡るひとり旅の記録であり、南風号に何度も追い抜かれながら考えた、「速さ」と「遅さ」の物語だ。 第一章 京都での新生活と、再び騒ぎ出す「鉄道の虫」 第二章 時刻表の中で旅が始まる:未成線とDMVへの憧れ 第三章 京都から高知へ11時間:普通列車が見せる「遅い旅」 第四章 高知の夜・一人旅の「ちょうどよさ」 第五章 太平洋と未成線:奈半利へ向かう朝の車窓 …
『還暦からの鉄道旅日記』-昼酒をやめて、兵庫のローカル線を一日で巡った話-
青春18きっぷとローカル線。還暦から始まる、静かな鉄道旅の記録です。 北条鉄道の沿線。桜と菜の花が満開だった。 序章 退職と、昼酒の日々 三月の末、会社を辞めた。 「そろそろ潮時だろう」そう自分に言い聞かせ、納得させたつもりだった。 上司からの慰留はあったが、それは形ばかりの、儀礼的なものに過ぎない。結局、波風ひとつ立たない穏やかな退職となった。 長く勤めた場所だったが、去り際は驚くほどあっけない。 人間関係とはそういうものだと、頭では理解していたつもりでも、実際に身をもって経験すると、やはり少し拍子抜けする。 有給休暇が六十日ほど残っているという。 在職中は休暇らしい休暇も取れなかったから、…