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心の中から湧き上がる想像を、外に吐き出してみようと思い、書き始めました。 楽しんでいただけたら嬉しいです。

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2025/06/07

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  • 面影…⑤

    店を出て、リナと二人で駅の方に歩き出した。すると、「恭一。」と後方で呼ぶ声がした。振り返ると、康太が店の外で立っていた。リナをその場に残し、康太のもとへ引き返した。「恭一、今日は悪かったな…、お前がまさかあんな子連れてくると 思わなかったから…、そんな事なら、先に言えよ。」「そんなの、知るかよ…。」「惚れてんだろ…?」康太がリナの方をチラリと見て言った。「ほっとけよ。」康太に悟られない様に、そっぽを向...

  • 面影…④

    店に入るとタカシが入口に立って待っていた。「オッス、恭一、皆来てるから、、、」そう言いながら、リナを見たタカシの動きが一瞬止まって俺を見た。初めましてと挨拶をする彼女を前に、「あぁ、えっと…、」とモゴモゴ言っているタカシの目の前に、俺はわざと顔を近づけ「なんだよ、早く案内しろよ。」と小声で言った。「う、うん、あっちだよ。」カウンター席の近くにいくつかテーブル席があり、その奥が広いお座敷になっていて...

  • 面影…③

    俺は待ち合わせ時間の30分前から駅の改札に立っていた。23区といえど都心からは遠く、治安もあまり良いとは言えない街だ。都会育ちのリナは、多分来たことはないだろう…。俺の仕事が急に入ったせいで、リナとは一緒に来れなかった。奴らと会う店は駅前の居酒屋だ。どうせアホの慎吾が選んだ店だろう。俺と康太、タカシに慎吾、そして雅也の5人は大学のサークルで知り合った。彼らとは、互いに会った瞬間、気が合うと直感した。大学...

  • 面影…②

    俺には、大学時代から付き合っている仲間がいる。友達というか、悪友だ。その中の一人、康太からLINEが入った。『恭一、久しぶり タカシに聞いたぞ 彼女に会わせろよ』タカシの奴、皆には言うなと忠告しておいたのに…。そのあとすぐタカシからの着信。「ごめん、でももう1年だぜ? 流石に俺だってもう嘘つけね~よ、 そんなに会わせられないって、お前もしかして人妻か…?」「バ~カ、ちげ~よ、分かった…康太に言っとけよ、行...

  • 面影…①

    本日はお立ち寄り頂きありがとうございます。「時空の旅に出る」は、まだ執筆の途中ではありますが、別の物語も書き始めました。楽しんで頂けたら幸いです。******************************************面影…①「ケチャップ…ついてるよ、ここ。」リナは、自分の口元を指でツンツンして見せた。俺は彼女の顔を見ながら、自分の口元を指で探る。「ほれっ!」ケチャップが付いた指を、彼女の鼻先に突き出して見せた。「もぉ! やると...

  • 時空の旅に出る㊶

    あちらこちらで桜が蕾を膨らませる頃、武史は転職した。商社勤務の時に比べると年収は下がるが、業績は右肩上がりの会社で、彼は以前よりもやりがいを感じているようだった。語学力に加え、得意のコミュニケーション能力と圧倒的な営業力を発揮し、大きなプロジェクトを任される様になるまで、それ程時間は掛からなかった。従業員も少人数の会社で、時間に縛りがなく、各々が好きな時間に業務に専念できる環境だと、彼は楽しそうに...

  • 時空の旅に出る㊵

    正月が過ぎて日常の生活に戻ると、私は早速由美子に会いに行った。由美子の家には後藤さゆりと、息子のシュン君が遊びに来ていた。「美香、そんなに気にすることないわよ、なんだかんだ言っても 日高さんは美香の事が大好きで仕方ないんだから…。」由美子が隼人に離乳食を食べさせながら、にこやかに言った。「美香さんの気持ち、私も少しわかります。でもここは少し馬鹿に なって、寂しい~って抱き付いてあげたらいいんじゃな...

  • 時空の旅に出る㊴

    「お疲れ様、美香。」武史が、こっちにおいで、とソファーをポンポン叩いた。「それじゃあ、ハーブティーでも淹れようかしら。」私は自分でも驚くほど、弾んだ声で返した。義父母を招いた一大イベントをやり遂げ、安堵の気持ちで心が満たされていたせいかもしれない…。ハーブティーを淹れたマグカップを持って、武史の隣に腰を下ろした。「あぁ、やっと美香とゆっくり話せるよ。」「そういえば、帰国してから年末の買い物やお正月...

  • 時空の旅に出る㊳

    武史と結婚して初めての正月を迎えた。同棲中は、それぞれの実家に年始の挨拶に行っていたが、今年は私達の家に、日高の義父母を招待した。私はおせち料理を、腕によりをかけて作った。料理は得意だったし、おせち料理は毎年母と作っていたから、それ程苦ではなかった。それよりも、掛け軸や、家の中に生ける花をどんな風にしようかとあれこれ考える事の方が大変だった。結局、玄関スペースには大振りな花を大胆に飾り、リビングや...

  • 時空の旅に出る㊲

    クリスマス・イヴの夜は、久しぶりに実家でゆっくり過ごした。昼間から母と一緒に作り始めた前菜やローストチキン、姪っ子の好きなカナッペなどが、次々にテーブルに並んだ。私がビーフシチューの味見を母にお願いすると、「まぁ、美味しい!腕を上げたわね、美香。」と言って、とても喜んでくれた。義姉の恵美子さんも途中から参加して、生ハムとアボカドのマリネを作った。兄が買ってきたケーキが真ん中に置かれると、姪っ子は大...

  • 時空の旅に出る㊱

    やがて由美子の旦那も帰ってきて、皆で夕飯を食べた。「僕ね、公園でシュン君と追いかけっこして遊んだんだよ、ママ。」尚人が嬉しそうに由美子に言った。由美子が少し驚いた様子でチラリと私の顔を見た後、「シュン君って、確か、後藤さんの息子さんだっけ…。」と、独り言のように言った。私は、由美子の旦那と目が合った。彼も少し困惑した様子で、私と尚人を見ている。「そうなの、今日尚君と一緒に遊んでたら、後藤さん親子も...

  • 時空の旅に出る㉟

    「ばかばかしい…。」後藤さゆりの話を一通り聞き終わると、思わず心の声が口からこぼれた。事件というからどんな出来事かと思いきや、単なる子供の喧嘩ではないか。いや、正確には喧嘩にもなっていない。彼女の話をまとめるとこういう事だ。尚人が作った泥だんごを、胡桃ちゃんが面白がって踏みつぶした。それを見た尚人がやめろと叫んだ。その声に驚いた胡桃ちゃんが、バランスを崩して尻もちをついた。そして胡桃ちゃんが「イタ...

  • 時空の旅に出る㉞

    「あの、由美子が避けられていたって、どういうことですか?」どうしても納得がいかなかった。そういえば先月、私は由美子達とこの公園に来ている。その時はどうだったっけ? あぁ、そうだ…、私はあの日、砂場の縁で居眠りしてしまったせいで、よく覚えていないのだ。「実は私、胡桃ママの事を密かに調べていたんです…ママ達にも 聞き込みをしたり…それでいろんな事が分かりました。」後藤さゆりは話しを続けた。「以前は公園で...

  • 時空の旅に出る㉝

    砂場から離れ、公園の中央付近まで来てふと思った。まだ公園に来てから30分も経っていない。このまま戻ったら、由美子が変に思うかもしれない。それに、尚人も俯いたままじっと私の手を握っている。こんな状態で家に帰すわけにはいかない…。私が立ち止まって、どうしたものかと考えあぐねていると、「ミカ、鉄棒!」そう言って尚人が走り出した。行ってみると、鉄棒がズラリと横に広がっており、端から段々と高くなっている。尚人...

  • 時空の旅に出る㉜

    私は砂場の縁に腰を下ろし、一人で遊んでいる尚人を見ていた。「ミカも作ろう、おやま。」尚人がプラスチック製の小さなスコップを私に渡した。「尚くんはスコップなくていいの?」「いいよ、僕は男だから手で作れるんだ。」「へ~、かっこいいわね。」「女の子には優しくしなさいって、ママが言ったんだ。」そうか、さっき由美子に叱られた事を尚人なりに反省しているのだ。それにしても、さっきから漂うこの息苦しい空気感は何だ...

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