書評を通して、人生をちょっと豊かに。日々の仕事や生活に役立った知識、新たな視点を与えてくれた言葉たちを、独自の切り口でご紹介します。
情報過多社会でこそ読むべき一冊。『暇と退屈の倫理学』から学ぶ「意味のある退屈」
國分功一郎氏の『暇と退屈の倫理学』を読み終え、現代社会における「退屈」という感情の奥深さと、それが持つ倫理的な意味について深く考えさせられました。本書は、とかくネガティブに捉えられがちな「退屈」を、単なる時間の空費や、避けられるべき悪ではなく、人間に
墓参りからの衝撃、そして魂の捜査:東野圭吾『誰かが私を殺した』読書録
東野圭吾さんの『誰かが私を殺した』を読みました。この本を読み終えた時、私の胸には、興奮とそして深く内省的な問いが去来しました。東野圭吾さんは、1958年大阪府出身の小説家です。大阪府立大学電気工学科を卒業後、日本電装(現デンソー)に勤務しながら小説を執筆
恐怖を失った時、人はどこへ向かうのか?:M・W・クレイヴン『恐怖を失った男』を読みました
「恐怖を失った男」というタイトルに惹かれて手に取ったM・W・クレイヴン氏の著書は、読者に強烈なインパクトを与えます。この本を読んでまず衝撃を受けたのは、主人公のベンが「恐怖を失っている」ことで、かなり危ない状況に身を置いている点です。物語だから受け入れ
外山滋比古先生の『自然知能』を読み終え、私の思考はぐるぐると内省の渦に巻き込まれています。私たちは日頃、いかに論理的な思考、つまり「論理知能」に重きを置いているでしょうか。効率性、正確性、そして常に「正解」を追い求めるあまり、無意識のうちに切り捨ててき
『やってのける〜意志力を使わずに自分を動かす〜』書評:挫折を乗り越え、再び動き出すあなたへ
私たちはなぜ、目標を立てても途中で挫折してしまうのでしょうか? そして、どうすれば「今度こそ」やり遂げることができるのでしょうか。ハイディ・グラント・ハルバーソンさんの著書『やってのける〜意志力を使わずに自分を動かす〜』を読み終えて、私はそんな内なる問
勝利への扉を開く!『勝者の科学』書評:負け組思考から抜け出すヒント
マシュー・サイド氏の著書は、これまで『多様性の科学』や『失敗の科学』など、科学的なアプローチで物事の本質を解き明かす作品が多く、私自身も深く感銘を受けてきました。それだけに、今回の『勝者の科学』を読む際には、大いなる期待を抱いていました。正直なところ、
『口に関するアンケート』に続いて背筋さんの『近畿地方のある場所について』を読み終えて、今もなお、背筋が凍るような感覚が残っています。私は大学で和歌山に移り住み、社会人になって大阪で暮らし始めました。そのため、この本を読む前は、もしかしたら自分の知ってい
背筋さんの『口に関するアンケート』を読みました。読み終えてしばらく、体のどこかに冷たい膜のようなものが張りついている感覚がありました。60ページほどの小さな作品ですが、そこに閉じ込められた恐怖は、静かに、けれど確実に染み込んできます。読んでいる最中、ふ
目標達成できないのは「目標が多すぎる」から?『行動科学が教える目標達成のルール』書評
「今年こそは〇〇を達成するぞ!」と意気込んだものの、気づけば年末…なんて経験、ありませんか? 多くの人が目標を設定し、その達成に向けて努力するものの、なかなかうまくいかない。それは、あなたの意思が弱いからではなく、目標設定や達成の「ルール」を知らないから
平野啓一郎『富士山』を読んで、日常に潜む「ストレス感染」を考える
『マチネの終わりに』や『ある男』で知られる平野啓一郎さんの短編集『富士山』を読み終えました。平野啓一郎さんの短編集『富士山』を読み終えました。この本には、5つの物語が収められています。 富士山: マッチングアプリで出会った男女が新幹線での旅の途中で、女
人生に寄り添う「潜在意識」の力 – C・ジェームス・ジェンセン『潜在意識をとことん使いこなす』書評
日々の忙しさに追われ、ふと立ち止まって自分の人生を考えたとき、何とも言えない疲労感に包まれることがあります。特に私のような40代、中間管理職という立場にいると、上と下の板挟みになり、自分のことよりも周囲のことばかり考えてしまいがちです。そんな時に手にした
管理職最初の壁を越える鍵は「価値観の受容」にあり:橋本拓也『部下を持ったらいちばん最初に読む本』書評
初めて部下を持つことは、キャリアにおける大きな転換点です。期待とともに押し寄せる「ちゃんとできるだろうか」「どう接すればいいのか」という不安。これまでプレイヤーとして成果を出してきたやり方が通用しないかもしれないという戸惑い。そんな、新任管理職が直面す
『できる人の人生のルール』書評:成功より大切な「自分ルール」を持つ価値
私たちは、日々の生活の中で、無意識のうちに「できる人」と呼ばれる人たちに憧れを抱いているのではないでしょうか。彼らは、仕事で成果を出し、人間関係も円滑で、プライベートも充実しているように見える。一体、彼らは私たちと何が違うのだろう? 何か特別な秘密がある
言いたいことは言うけれど、相手も自分も大切に。平木典子『アサーション入門』書評
コミュニケーションは、私たちの日常生活や仕事において欠かせないものです。しかし、「自分の意見を言うのが苦手で、つい黙ってしまう」「強く言いすぎてしまい、相手を傷つけてしまうことがある」など、コミュニケーションに難しさを感じている方も多いのではないでしょ
「失敗」は悪じゃない、成功への燃料だ!マシュー・サイド『失敗の科学』書評
前作が「多様性」というレンズを通して世界を見た本だとすれば、今作は「失敗」というレンズを通して、個人や組織がいかに成長し、成功を掴むかを探求する一冊です。そして、これがまたむちゃくちゃ面白かった!本書で一貫して語られているのは、私たちが「失敗」に対し
「たまたま」が世界を決めた? 文明格差のあっけない理由。『銃・病原菌・鉄』読後感
私たちは日頃、何気なく世界のニュースを見たり、歴史について学んだりしていますが、ふと疑問に思うことはないでしょうか。「なぜ、特定の地域の人々が、これほどまでに世界に影響力を持つようになったのだろう?」「なぜ、こんなにも貧富の差が生まれてしまったのだろう
言葉の奥に広がる思考の世界へ:上橋菜穂子『獣の奏者』を読んで
壮大で美しい世界観、魅力的な登場人物たち、そして深く心に響くテーマ。上橋菜穂子さんの『獣の奏者』シリーズは、読む者をあっという間にその物語世界へと引き込みます。私もまた、この物語の虜になった一人です。闘蛇や王獣といった神秘的な生き物と人間の関わりを通し
「平均」は誰のため?常識を疑う『多様性の科学』書評 ~コックピットの話に衝撃~
最近、「多様性」という言葉を様々な場面で耳にするようになりました。なんとなく大切なことだとは分かっているけれど、具体的に「なぜ」必要なんだろう? どうすれば多様性を活かせるんだろう? そんな疑問を持っていた時に、マシュー・サイドさんの著書『多様性の科学 矛盾
「仮説思考」の次はこれ!問題解決の羅針盤『論点思考』 内田和成 書評
先日、内田和成さんの『仮説思考』を読んで、思考のスピードアップや問題解決へのアプローチにおける「仮説を立てることの重要性」について、目から鱗が落ちるような学びを得ました。すぐに劇的に行動が変わったわけではありませんが、「まず仮説を立ててみよう」という意識
あなたに合った習慣はどれ? 4つの傾向で知る『人生を変える習慣の作り方』書評
著者のグレッチェン・ルービンさんは、幸福や習慣といったテーマについて探求し、ベストセラー作家として知られています。彼女自身の習慣作りの経験から生まれた洞察は、多くの人々の共感を呼んでいます。本書を読んで最も目から鱗が落ちたのは、人にはそれぞれ「生まれ持
正しさより、まず仮説を。思考の「意識」を変える一冊:内田和成『仮説思考』書評
著者の内田和成さんは、世界的なコンサルティングファームであるボストン コンサルティング グループ(BCG)の日本代表を務められた方です。ビジネスの最前線で活躍されてきた方が提唱する「仮説思考」とはどんなものだろう、と強い興味を持って読み始めました。本書のタイ
禅僧に学ぶ、ただ綺麗にするだけじゃない「掃除道」:枡野俊明『掃除道』書評
日々の暮らしの中で、避けて通れないけれど、ついつい後回しにしてしまいがちなこと。それは「掃除」ではないでしょうか。私も例外ではなく、気がつけば汚れが溜まっている…なんてこともしばしばです。そんな私が、心を惹かれた一冊が、枡野俊明さんの『掃除道』です。著
駅伝初心者でも熱くなれた!池井戸潤『おれたちの箱根駅伝』を読んで
新年を迎えると、なんとなく気になってテレビをつけてしまう箱根駅伝。正直に言うと、駅伝のルールや学校ごとの選手層に詳しいわけではありません。でも、あの独特の雰囲気や、襷を繋ぐ選手たちのひたむきな姿には、毎年胸を打たれるものがあります。そんな年始の空気に背
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