天台寺門宗の教会設立を目指して活動している細やかな道場です。 本尊は「大勢至菩薩」他に黄不動尊、毘沙門天、阿弥陀如来、薬師如来、地蔵菩薩、八臂弁才天、吉祥天、大黒天など奉安。 仏教、特に密教に関する事を緩く綴っていけたらと思ってます。
今月も二十三夜が来ました。 今日は朝方師匠寺の御護摩のお手伝いに伺ってから仕事に向かい、帰宅後はこれから二十三夜様を拝むという有り難い一日となりました。 しかしそれにしても暑いですね。 旧暦だとまだ五月ですが、もう真夏を迎えたような陽気です。 因みに「五月晴れ」は現在では新暦五月のカラリとした晴天の事を指している事が多いと思いますが、本来は旧暦五月の梅雨の晴れ間の事を指していたというのは良く知られた話だと思います。 面白いことに「五月雨(さみだれ)」は未だに旧暦五月の梅雨の事を指しますね。この辺り、日本人は本当にややこしい文化の中でよく暮らしているものだと思います。 梅雨の晴れ間にして既にこれ…
話題の映画「国宝」を観てきました。 まずは「凄いものみせられたな」というのが偽らざる思いです。 昨年暮れの吉沢亮のお粗相を聞いた時、真っ先に思い浮かんだのは、この「国宝」 がお蔵になったらどうしようかという事でした。それが事務所の対応よろしきを得て、こうして予定通りの公開になったのは先ずはめでたいと言わねばなりません。 芸道一代物によくある如く劇中劇に吹替えを使わずに演じると、いわゆる「なんちゃって歌舞伎」になりそうなところ、吉沢、横浜の両所は一体如何程の稽古を積んで臨んだのかと思うほどに立派な舞台でありました。 そりゃ普段歌舞伎を見慣れた仁が点数を辛くして見れば、言いたい事は山々あろうとは思…
先週末、上野の東博に行ってきました。 増上寺様所蔵の大蔵経に三種あるのは、昨年同じ東博で「法然と極楽浄土」というタイトルで催された特別展に、この三種の大蔵経が一部出展されていてその時に知りましたが、この度はこれらの三大蔵がユネスコの「世界の記憶」に選定決定との事、その記念の展観のようです。 ユネスコの「世界の記憶」と言えば、園城寺の「智証大師円珍関係文書典籍」が一昨年選定されましたが、この時日本からはこの「智証大師関係文書」と共に「増上寺の三大蔵」が申請されていて、「智証大師関係文書」のみが選定されました。その後引き続き「三大蔵」の申請がされて、今年晴れて選定の運びとなったようです。 大蔵経は…
余りにも忙し過ぎる日々が去って少しだけ時間が出来たので、深大寺様の元三大師像のご開帳に行って参りました。 数年前に今の所に越してきて、深大寺様はまあまあ近いエリアにはなったのですが、あまりアクセスが良いところでもなく、今まできちんとお詣りさせて頂いた事がありませんでした。 ただ今回ご開帳の元三大師像は、令和3年に上野の東京国立博物館で「最澄と天台宗のすべて」というタイトルの特別展の折に出品されていて、余りの巨像に驚きつつかなりじっくりと拝見した記憶が残っています。 今回のご開帳ですが、各種SNSなどでかなりの混雑が発信されていたので、まあまあ覚悟して行きましたが、正直これ程とは思いませんでした…
今夜は二十三夜です。 お陰様でと言いましょうか何と言いましょうか、このところ仕事が忙しく毎日目が回るような一日を過ごしています。 こういう時に夜一座拝むのは、時間を作る事も含めて中々大変なのですが、それはあくまでも人間の勝手ですね。 一度ご縁日を決めたら、何があっても拝まなくはならないと思っています。まして二十三夜は月に一度、日を繰り越したり先に拝む事は意味をなさないでしょう。 ご神仏との「決め事」は「絶対」 行者としてそれは最低限の心得かと思います。 自然は待ってはくれませんね。 今夜も頑張って拝みます。
今年に入ってから智証大師流という三井の行法に日常的に取り組むようになりました。再三このブログでも申している通り、それまでは師伝の法曼流の行法が中心でした。同じ台密でありながら随分と違いがあって、頭を切り替えてかからないと多少の混乱が生じるレベルですが、さりとて東密程の違いがあるかというとそれほどでも無いという微妙なところであろうと思います。 言うまでも無く密教行法の最も核になるのは「正念誦」です。殊にその中でも本尊呪千反は、その為にこそ行法があると言っても差し支えないかと思います。 密教行法の流派の違いは、この正念誦に至るまでのアプローチの違いなのかな?と思っています。 儀軌は同じであっても行…
かねてより取り組んでおりました、智証大師流の十八道百座の自行ですが、昨日6日をもって無事に滿行する事が出来ました。 開白が3月7日だったのでほぼ丸2ヶ月掛かったことになります。仕事をしながらでは中々進まず、50座に至って折り返してからは寝る前に一座追加してどうにかこの日を迎える事が出来ました。 元より十八道百座の自行など基礎の基礎でありますから、こうしてブログに載せて皆様に聞いて頂くようなことでもないとは思います。 ただ、山門方で四度加行を終えて十八道を百座というのはよく聞きますが、寺門で加行を終えて(御自坊で護摩を炊かれる方はいらしても)自行で十八道をしようという方は余り聞かない気がします。…
旧暦の4月に入った28日、いつもお世話になっている都留市の龍石寺様の春の大祭に少しだけお手伝いに伺わせて頂きました。 春の大祭は夕刻に行われる採灯護摩が有名ですが、私共一門は師僧寺でスペースの関係上採灯護摩をしないので、特に不得意な分野と言わざるを得ませんが、この度は前日の築壇から拝見して大変勉強になったことでした。 大祭当日は朝から薄曇りという感じのお天気でしたが、段々と雲が厚くなり夕方からついに雨が降り出します。それ程強い降りではなかったものの皆覚悟を決めての出仕です。 信者様からお写真を頂きました。 雨で湿度が高かったたこともあってか壇から立ち上る煙が見事です。 しとどに濡れた装束の背面…
歌舞伎座は客席の不具合を修復するために14日夜の部から17日まで公演中止となり、18日の休演日を挟んで19日が返り初日となりました。 今月は新作が二演目出ていて中々意欲的な興行だと思います。 夜の部を拝見しました。 私が最も印象に残ったのは意欲的な新作ではなく、尾上右近さんの「春興鏡獅子」。 いいポスターですね! 右近さんは最近本当によく色々なメディアに出ていらっしゃいますね。テレビは勿論のこと、ミュージカルや声優のお仕事もこなされてますが、そうした中で父祖伝来のガチガチの古典で良い成績を残すのは素晴らしいと思います。 右近さんは清元節の家元、清元延寿太夫さんの御次男で、世間一般では母方の祖父…
konjichouin.hatenablog.com 耳の痛い話ではあります。 先週、職場の都合で出仕に及ばぬ日がありました。 ちょうど行中の私はこんな有り難い事はないと思い朝から壇に上がります。 いつもの朝ですともう一分一秒を争うような軍場が繰り広げられるのですが、こうして時間に余裕がある時は準備もダラダラと中々進みません。やっと一座目を終えて次の座の準備をするにもやはり時間的に余裕があることが裏目に出ていつもの倍ぐらいかかってしまったり。結局行法は三座までして今日は他に何をしたかと振り返ると、行法以外大したことは何もしていないことに気づいてしまったりして。 そもそも壇に上がることには全く抵…
今日は二十三夜です。 余りお天気は良くなさそうなので、こんな月は拝めそうにありませんが、いつものように修験の月待法をして拝みたいと思います。 また今日から二十四節気の「穀雨」。 春雨が降って穀物が生じる季節。そして次の節気はもう「立夏」です。 人間の思惑を他所にどんどん季節は進んで行きます。 私も智証大師流の十八道が思った以上に進まずどうしたものかと思っていましたが、幸い慣れてきて時間も左程掛からなくなってきたので、考えてみると寝る前にもう一座出来るではないかと思い付き、昨日から一日三座を目指して頑張っております。 なるほど時間は作るものです。 ここから少し追い込んで行きます。
先月から始めた智証大師流の十八道百座の自行は、先頃やっと五十座の折り返しを迎えました。 約40日で五十座。時々化他の行法をしつつ、また仕事もしつつ、なので思ったよりも進んでいません。 しかしさすがに五十座ともなれば、あまりお次第も見ずに迷い無く進めていけるようになって来ましたし、また寺門独特のペースに上手く乗れるようになってきたのかも知れません。 以前に師僧もブログで書いていらっしゃいましたが、山門方の行法ですと手に結んだ印の動きが三度ならば真言も三度になるところ、寺門ですと真言一度の内に印相を三度動かすことが多く、これには中々慣れるのに時間がかかりました。 しかしいざこれに慣れてしまうと、寺…
先月は人型加持のご依頼を何件か頂きました。 人型に関しては、今までにも師僧のブログに何回か取り上げられているので、基本情報はそちらをご参照頂くのに如くはなしと思います。 konjichouin.hatenablog.com konjichouin.hatenablog.com 師僧から人型の書き方を習ったのは、丁度四度加行を終えて不動尊華水供を百座やっている頃だったと記憶しております。師僧のところの人型を書くのを少しずつお手伝いさせて頂きながら覚えていくのですが、多くの人型を書いている内に段々と流れ作業のようになってきます。その時に師僧から注意されるのは、多くの施主様のうち誰が何処の何の疾患で…
東京では染井吉野が満開を迎えてから、数日ずっと花冷えの雨と風でしたが、今日は久し振りの晴天でやっと春らしい天候となりました。 今日は二十四節気の「晴明」 「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれるなり」 あれだけの雨風にも降される事なく花を保っている生命力、我々も見習わなくてはいけません。 人間は目の前に辛いことが続くとついめげてしまいがちですが、大乗の四法印に「一切皆苦」とあります。この世の物事は全て無常である故に、全てが人間の思い通りにならないように出来ています。それが全て「苦」に繋がると。つまり我々を取り巻く世界はそもそもが「苦」なのです。その諦観に一度立脚してしまえば、多少生きる…
今日から旧暦の三月です。 月の異名は「弥生」。 「いやおい」がつづまったという説が有力のようですね。 草木がこれからますます生い茂っていく季節という事でしょう。 旧暦を使用していた頃は弥生三月と言えば即ち桜時という連想が成り立った筈ですが、東京では既に五分から七分くらいは咲いていて、やはりズレを感じます。 「佳月」と言えば名月を指していう場合が多いかも知れませんが、実は三月の異名でもあります。 昨日とは打って変わって寒い雨のスタートとなりましたが、皆様にとって佳きひと月となりますようにご祈念申し上げております。 近所のヤマザクラはまだまだこれからです。
今日は月遅れの利休忌です。 利休の切腹は旧暦二月二十八日。表千家裏千家とも月遅れで利休忌を営みます。(表千家は何故か三月二十七日) 私は少し時間があったので、久しぶりに青山の根津美術館を訪ねました。 片桐石州を特集した展覧会というのは今まで余り聞いた事がなく、是非にも行きたいと思っていましたが、会期ギリギリで行けたのは有難い事です。 片桐石州は片桐且元の甥で大和小泉藩一万六千石の大名、知恩院再建の普請奉行や関東郡奉行などを歴任する傍ら、大名茶人としても有名です。茶法は利休の実子道安(千家二代は利休の後妻の連れ子である少庵が継いでいる)〜桑山宗仙〜片桐石州という流れで、茶法においては利休の曾孫と…
食レポブログでもないのに食べ物を記事にするようになったらおしまい(ネタが無いという意味で)だと思っていましたが…。 偶々立ち寄ったデパ地下で、名古屋の美濃忠さんのこの時期限定の銘菓「初かつを」を見つけて思わず購入してしまいました。 日持ちがしないのでハーフサイズは有難いです! 昨今デパ地下に全国の名だたる銘菓が勢揃いするのも考えものだと思ってました。その地に行かなければ買えないという希少性が損なわれ、また地方に行った時のお土産に困る事があるので。折角地方からお土産を持参しても、「あっ、これ三越で売ってるよね」みたいな感じで。 しかし今日のように思いがけなく東京では珍しい銘菓に行き当たるとやはり…
今月の歌舞伎座は「仮名手本忠臣蔵」の通し。 今年は松竹創業百三十周年だそうで、随分早い段階で歌舞伎の三大名作「仮名手本忠臣蔵」「菅原伝授手習鑑」「義経千本桜」を今年中に上演する事が発表されてました。その第一弾ですね。 さすが松竹百三十周年記念公演で、大星由良之助、塩冶判官、高師直、早野勘平、お軽など主要な役をダブルキャストで上演するのは今までにない画期的な興行だと思います。 先日Aプロの昼の部を拝見しました。 口上人形が昼夜の配役を述べるところから始まって、天王立(てんのうだち)という特殊な鳴物に四十七の柝を打ち込んで幕が開くという儀式性の高い「大序」を見るにつけ、確かにここにも守るべき日本が…
七十二候の「桜始開(さくらはじめてひらく)」 ってもう咲いてるがな! 昔は桜と言えば山桜だったので、「桜始開」は早咲きの山桜が咲き始める頃という事だったのでしょう。 桜が咲くのはいいですが、それにしても暖かいですね。今日も東京は夏日一歩手前の予報です。こんな気持ちのいい陽気は今だけで、今年もあっという間に酷暑に向かうんじゃないかと思うと気が重いです。 地球温暖化が叫ばれて久しいですが、人間の小さな努力を無視するようにどんどん温暖化は進んでいきますね。私もその努力を惜しむ事無く、自分の出来る範囲で励む所存ではあります。 しかし反面、こうして春になったら春の暮らし、梅雨が訪れたら梅雨の暮らし、酷暑…
旧暦二月二十三日 今夜は二十三夜です。 全国的に大分暖かいようですね。 三日後の新暦3月25日に七十二候の「桜始開(さくらはじめてひらく)」を迎えますが、恐らくその前に確実に桜の開花宣言が出されるのでしょう。 七十二候のようなものは多少季節を先取りしてこそのものだろうと思います。ここまで季節がバグってしまうなら、令和の七十二候があってもいいのかな?とも思ってしまいます。 今夜が二十三夜、明日が新暦の二十三日。本来なら今夜二十三夜法をして明朝勢至供をするべきところですが、明日が彼岸の明けでもあり、墓参の出来ない不孝な私はせめて光明供をしてご先祖様と有縁の精霊に供養したいと思います。なので、今夜は…
皆様日頃ご自坊やご自宅でのお供えはどうしていらっしゃるでしょうか? 私のところは主だったご尊格には一応お水とご佛飯は必ずお供えするようにして、弁天様やお稲荷様などお酒がお好きそうな方には更にお酒を差し上げています。後はその時々でお菓子や果物などあればお供えするようにしています。 お佛像の数が少なかった頃は何の苦も無く出来ていたのですが、段々と数が増えて来るとこれが中々に大変になってきます。 炊いたご飯よそって、閼伽水を入れて、生花の水替えて、毎朝少なくとも15分位はかかりますね。 たかが15分と言えども、朝の15分は貴重ですよね。 一門の皆さんはどうなさっているのだろうかと思って聞いてみたり、…
先日開白の智証大師流「後心十八道」百座ですが、傍で仕事をしている関係上一日二座が限度で、更にどうしても出来ない日もあったりで、今朝やっと七座を数える程度の進捗状態です。 「後心」なので御本山での加行の「初心十八道」とはほんの少し違ってますし、今のところ手探りの状態で身体にはまだ馴染んでいないところも多いですね。 いずれはしっかりと身体に落とし込んで、お次第を見ずに出来るくらいにならなくてはと思っております。 実は今まで山門方の法曼流がベースで様々な御伝法を頂いてきたので、当然身体に染み込んでいるのは山門方の行法です。今回智証大師流に改めて取り組んでみて思うのは、同じ天台法門でこうも違うものかと…
昨年の御本山に於ける加行に際しては本当に様々な方々に感謝をしなくてはならないと思っております。 何よりもまず懇切に御伝法を賜った長吏猊下、そして実際に加行のお話を進めて下さった執事長様、お忙しい中行監をして下さったK先生、毎日美味しい精進料理をお作り頂きその他色々と身の回りの事をお気遣い頂いたM先生、行中記念に沢山のお写真を撮って頂いたN先生、事前に様々にアドバイスを下さった本山勤務の兄弟子K先生、行中細やかにお世話を頂いたやはり本山勤務のIさんと同門のHさん。 本山を離れて考えてみても、私の希望を叶えて下さった師僧、弟子でもないのに色々とご教示頂いた都留の龍石寺の御住職様、一門でかつて同じ加…
「加行」とは? 梵語「プラヨーガ」の訳、「一段の力を加えて行ずる」の意。また、「正規の修行に対して準備的に行う行」「灌頂、受戒、付法等に際し、その前に準備的に行う修行の事」とも。 一般的には密教の基本としての四度加行の事を指して言う場合が多いかと思いますが、加行に関してごく印象的な事を言えば、一定期間食事も精進にして外界と接触せずに行に打ち込む事とでも言えようかと思います。 師僧の所に入門して「加行」と言えるものの最初は、得度後すぐに護身法加行としての「三千佛礼拝行」であったと思います。伝え聞く山門方の礼拝行の厳しさには程遠いものの、筋肉痛に悩まされながら仕事もしつつ、どうにかやり遂げる事が出…
昨日とは一転、冷たい春の嵐となりました。 東京でも雪がチラつきましたね。 東京で雪が降ると思い出す事があります。 もう10年以上前、仕事の事で悩むところがあって、初めて待乳山聖天様に浴油祈祷をお願いしました。まだお詣りに行き始めてそれ程経っていなかったこともあって、取り敢えず浴油期間中は日参しようと心に決めました。季節は冬、お正月が明けて間もない頃だったと思います。丁度中日四日目のことだったと記憶していますが、東京には珍しく朝からの大雪で交通機関もかなり乱れていました。ふと頭に浮かんだのは、「こんな日はお詣りに行かずとも満更バチも当たるまい。」ということでした。一度はそう思って降り止まない雪を…
旧暦二月となりました。 しかしここ数日本当に暖かいですね。 ひょっとして桜でも咲いてしまうんじゃないかと思うような陽気です。 ところで「如月」と書いて「きさらぎ」。 月の異名の内、「月」がつかないのは「弥生」と「師走」。しかし、「月」がつきながら「〜づき」と読まないのは「如月」だけですね。 「きさらぎ」については、「衣更着」で、まだ肌寒いので更に着物を重ねて着るというのが語源であるというのが一般的ですが、何故それを「如月」と表記するのか? これは元々古代中国で二月の事を「如月」と言ったのをそのまま日本で受け入れて、更にその後、日本で「衣更着」の音で読むようになったという経緯があるようですね。 …
恥ずかしながらこの連休中に今年初めてお茶の稽古に行きました。旧暦の話ではなく新暦で。 直近に伺ったのは去年11月で、今年はお正月も忙しくお初釜も失礼しておりました。全くもって絵に描いたような不詳の弟子です。 今回はいつも中々やらないようなお点前の稽古で(しかも抜き打ちで)大変勉強になったものの、分からない事だらけで、先生にその都度お尋ねをしながらの稽古となりました。 他の御流派はどうか分からないのですが、表千家の場合、基本的には余り細かい事を言わない傾向があるように思います。 元より無駄な所作は一つとても無いのですが、何故その茶碗を右で取るのか、何故その蓋を左で置くのかなど、その動作の理由をわ…
先日歌舞伎座二月興行の夜の部を拝見してきました。 最初に重厚な時代物、中幕に所作事、最後に少し砕けた世話物という見取り狂言のセオリー通りのスッキリとした狂言立てです。 中でも印象的なのは、やはり最初の「壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)」、玉三郎さんの「阿古屋琴責め」でしたね。 平家滅亡後、尚も生き残って頼朝暗殺を目論む悪七兵衛景清の行方を探す鎌倉方。その詮議の為に捕えられたのは都五條坂の遊君阿古屋。景清は清水観世音の篤信の信者で、程近い五條坂の遊女阿古屋と馴染みになり、いつしか客と遊女以上の関係になっていた為に、行方を知っているに相違ないと思われていたのですね。今日は堀川館の問注所に引き出…
旧暦1月23日、初三夜(はつさんや)です。 初三夜という言葉は多分ありません。通常三夜と言えば正しく三日月の出る旧暦の三日の夜の事だと思います。 しかし、二十三夜の月の事を親しみを込めて「三夜様」と言って拝む地域があるようで、それならば新年最初は「初三夜」でいいのかなと。 二十三夜の月の出は大体日付が変わってから午前2時くらいまでの間の事が多いと思います。また、実際の暦の日付と月齢は多少の異動があって、下弦よりも大分欠けた状態の月が上がって来る事もあります。しかし今日は月の出が午前1時前、2時半頃に丁度下弦の半月になる月齢を迎えます。これ、中々無い事です。 二十四節気の「雨水」も過ぎて段々春め…
今日は山梨県都留市に参りました。 まずは「すがや」さん かりんとう饅頭を師匠寺にお供えにお送りして、うちの分も少々購入です。 こちらのかりんとう饅頭、聖天様もお喜びになる、らしいです。 今日都留に来たのは、さすがにかりんとう饅頭を買いに来たわけではなく… こちら、天台寺門宗「開運山龍石寺」にお詣りの為です。 逆光でよく分からん写真になりました。 御住職の吉田玄勝先生は師僧ともご昵懇でいらして、私共一門も様々な形でお世話になっております。個人的には昨年加行に行かせて頂いた折に、師匠とはまた違った視点でアドバイスを頂いたのは今思い出しても誠に有難い事でございました。 今日は主に山門方の行法に関して…
旧暦の1月15日、小正月です。 元旦を大正月、15日を小正月といいました。 しかし現代の日本で小正月を意識する人も大分少なくなりましたよね。 その昔はこの日に元服の式を執り行っていた名残で、平成11年までは新暦の1月15日を「成人の日」と定めていました。しかしそれ以降ハッピーマンデー制度とやらで「成人の日」は1月の第2月曜日に変更されました。日本人のハッピーと共に失われるものもあるのではないでしょうか。 「松の内」と言えば全国的に7日までという認識の方が多いとは思いますが、お正月に関西に行くと7日以降も門松を出したままのお宅が殆どなんですね。これは本来関西が正しくて、昔は15日の小正月までが「…
初めて師匠寺でお札作りを手伝った時の驚きは忘れられません。普段何気なく当たり前のように頂戴していたお札に、これ程の手間が掛けられているとは! 現在師匠寺のお札は業者さんに発注した物に改めて内符を入れて作られていますが、古い上座のお弟子さん達は皆「昔は紙を折って一からお札を作っていた」とおっしゃいます。 私もまだまだ祈願数が多いわけではないので、今のところお札は全て手作りです。 今日はこのブログでお見せ出来る範囲でお札作りの様子をお伝え出来たらと思います。飽くまで空生院流です。 まずは奉書紙を裁断するところから始めます。 一枚の奉書を4枚に切り分けます。 裁断出来たらお札の本紙に当たる部分を所定…
師匠のブログにコメントなどとおこがましいにも程があるのですが、 「お預かり物」と言えば、私は佛像もお預かり物だと思っています。自分が発願して新たに作った佛像は別として、古佛はやはりお預かり物だなぁと。 よく愛してやまない骨董品を「自分が死んだら棺桶に入れてくれ」みたいな話を聞きますが、とんでもない話ですよね。 遥か昔から永い時間を経て、またこの後もずっと長い時間を生きていくであろう物を、ほんの少しの間だけ自分がお預かりする。 宗教法人のお寺にお祀りされているお佛像は未来永永拝まれ続ける可能性が高いかとは思います。しかし我々が新たに教会を設立しても非法人としてやっていかざるを得ない現状では、場合…
先日師僧に開眼して頂いた阿弥陀様も大分うちの壇に馴染んできました。 さて、私共のように在家出身で何も無い所から始めた者は、まずは拝むべき佛像を得るという事をしなくてはなりません。本尊にするべき御尊格と密教修行をするのならお不動様、この二体は必須ですね。 私の場合はまずは小振りな勢至菩薩像の古佛を得て、その後お不動様は三井の黄不動を写して新しく彫って貰いました。 それから後は不思議と佛像が増える時期が続きます。自分が意識して求めていたからとは思いますが、極々安価で入手できたご尊像もあってやはりご縁が無くては叶わぬ事なのだと思います。 私はやはり古佛が好きです。 今の佛師さんの彫ったものでも素晴ら…
しかし寒い「立春」となりました。 「寒」が明けたわけですが、今週もこれから最大寒波が襲来とのことですね。 旧暦は暦の分類上「太陰太陽暦」と言われますが、これは月の満ち欠けで月日を決める事によって段々と生じる季節との差を、太陽の動きを基に閏月を入れる事で修正しようというものですね。その為に古代中国で考え出されたのが「二十四節気」で、立春も勿論その一つですね。 中国では実際にもう少し春めく地域もあるのかも知れませんが、そのまま暦ごと輸入した日本にとっては全くもってピンときませんね。更に中国では二十四節気を細分化して「七十二候」というものを定めます。現代の日本では馴染みが薄いかもしれませんが、俳句を…
阿弥陀如来のご尊像がおいでになりました。 勢至菩薩とは深いご縁の阿弥陀様。 一般的には三尊像の中尊であり、金剛界蓮華部の主で密供の次第によっては勢至菩薩の部主となります。また勢至供の表白にも「弥陀の教化を助け」などという件があったりして、本尊勢至菩薩とは切っても切れないご関係です。 なので、随分前から阿弥陀様のご尊像を探してました。実際のところ阿弥陀様の古仏はネットオークションにもかなりの数が出るのですが、お像の出来栄え、状態、大きさ、立像なのか坐像なのか、また当然古いものは皆滅罪で拝まれてきているので、どのような因縁で造立されたものなのかも気になりますし、或いは特定の宗派の為に作られた御姿の…
「一陽来復」と言えば、東京早稲田の穴八幡さんのお札が有名です。このお札を受ける為に毎年長蛇の列が出来てますね。 私も以前知人に聞いてから毎年受けに行ってました。 が数年前からお隣の「放生寺」さんの「一陽来福」のお札を頂いています。 穴八幡さんと境内地が接している「放生寺」さんは、元々穴八幡さんの別当寺で、現在は高野山真言宗の準別格本山という格式です。秘仏の本尊は聖観音で「融通虫封観世音」と言われ、この名の通り金銀融通と虫封じに大きなご利益があるそうです。 この御本尊に因んで観音経の「福聚海無量」から「福」の字を取って「一陽来福」と洒落ているところが私は何とも好きなんですね。そして冬至の前七日間…
とは言うものの日本はいつも通りの日常ですね。 中国の春節は今更言うに及ばず、アジア圏では旧正月を祝う国が多いですね。(台湾、韓国、シンガポール、ベトナムなど) 特に中国は春節の他に清明節、端午節、中秋節など旧暦による法定祝日があって、試しに今年の連休を調べてみると、 春節8連休、清明節3連休、端午節3連休、中秋節8連休。対するに新暦正月は元旦のみお休みだそうで実にあっさりとしたもんです。 中国の場合、この旧暦による伝統行事の重要性を認めてお国が祝日と決めているあたり、その一点においては天晴れだと思います。当然旧暦も未だに紫金山天文台という公的機関の計測を元に定められて、言わば政府のお墨付きの暦…
十代の頃からお茶の稽古をしてきました。 途中仕事が忙しくてブランクもありましたが、何とか今も細々と続けています。 細く長く、信仰と一緒です。 昨年12月仕事で京都を訪れた折、デパ地下のお茶を商うカウンターで外人さんの小さな行列が出来ていたので、あ〜お茶をお土産に買うんだなぁと思って見ていたのですが、その数日後宇治の抹茶がインバウンド消費で品薄であると報道で知りました。どうも転売目的で大量購入されている外人さんがいるようですね。実際そのデパ地下でもいくつかの茶舗が抹茶を出していましたが、いずれも大量購入が出来ないように販売制限がされてました。 外国に日本の抹茶の文化が広まるのは大変に嬉しい事だと…
なぜ勢至菩薩を拝むのか? そんな疑問が聞こえて来そうです。 私自身午年の生まれで小さい時から守本尊として勢至菩薩は意識して来ました。 そしてなぜか月を眺めるのが好きでした。しかし当然子供の頃はこの二つが結び付く事はありません。 さて、私には実家を離れて一人暮らしを始めてから定期的に見る夢がありました。 それは実家の近くの小高い岡の下に幾つかのお堂や祠があったのですが、その辺りをウロウロしているというだけの夢。 実はこの岡は近所の子供達の恰好の遊び場だったのですが、このお堂の辺りは気味悪かったのか誰も近付かなかったです。でも私だけは妙に安らぎを覚えてよく行っていたように記憶しています。因みにこの…
今日は御本尊「勢至菩薩」についてです。 正直筆が進まない気がしてなりません(笑) 他のご尊格に比べてネタが少ないから。それだけ拝まれて来なかったご尊格です。 気を取り直して 勢至菩薩は梵名「マハースターマプラープタ」。訳して「大いなる力を得た者」得大勢、得大勢至、大勢至、略して勢至。 胎蔵曼荼羅の蓮華部院におわします。大日経系の説では、「一国の国王大臣が権勢を振るう如き大勢を以て、蓮華部院の主尊たる観音の大悲の勢力を自在に行使し、一切衆生に菩提の種子を植え、それを大事に守り育ててくれる」と。この大日経に説かれる胎蔵曼荼羅のお姿は右手に蓮華を持った坐像として描かれています。実際私が頂いている「勢…
本日よりブログを公開させて頂きました、「空生院」伊藤聡寿と申します。 在家出身で鎌倉金翅鳥院の羽田守快先生のもとに入門し主に密教を学んでおります。 金翅鳥院に入門した当初はそれ程密教に積極的ではなかったのですが、有り難い仏縁に触れて密教を学ぶことになり、また「密教は化他行をしてこそ」との羽田先生のお言葉に従って、このような自分でも人様のお役に立つことが出来るかも知れないとの思いから祈願道場を構えた次第です。 さてその私が運営する「空生院」ですが、本尊は大勢至菩薩です。「空生」は勢至菩薩の密号「空生金剛」からとっております。(何故勢至菩薩?という方もいらっしゃるかとは思いますが、それは追々申し上…
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