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  • きつつき・リニューアル開館

    きつつきの宿はこちらにリニューアルして開設します。 まだ改装中ですので順次整えていきます。 クラシックギターなどのエッセイを書いていきます。

  • 中南米のギター ― 人種のるつぼ

    〔ギターノート 2〕 日本でクラシック・ギターが流行り始めたのは1970年代だろうか。その頃のレパートリーはスペインを中心とするヨーロッパ大陸のものが主で、中南米はおおむね傍流か、ポピュラー音楽の「ラテン」に近い扱いだった気がする(そのころ全盛だったボサノバがそうだ)。 でもいろいろ探してみると、中南米にはとても豊かなクラシック・ギターの伝統があり、それがブラジル、アルゼンチン、キューバ、メキシコ、ベネズエラなど、それぞれの国でも多彩な展開があった。これをろくに知らなかったのはうかつだった(メキシコのM・ポンセやブラジルのヴィラ・ロボスなどはちょっと知っていたが)。 アメリカ大陸のそれらの国々…

  • マヌエル・ポンセの「エストレリータ」

    〔ギターノート 3〕 ラテンの人たちがアメリカ大陸にやってきて何世紀かが過ぎた。「いく時代かがありまして、茶色い戦争もありました。」(中原中也)何世代もの開拓のあと、高原や山あいに平和で静かな町ができた。長い夏の一日が終わり、農夫たちは家路につく。森と山の黒いシルエットを背景に夕暮れの濃紺の空が広がり、小さな星が二つ、三つ、またたいている。麓の家々に小さな灯りがともり、妻が夕餉の準備をしている。テラスには酒もある。疲れた男たちの足も速くなる。若者たちの姿がない。まだ片付けがあるなどと言って残り、丘の木陰に恋人同士で肩を寄せ合って座り、この星を眺めているのだ。 マヌエル・ポンセの名曲「エストレリ…

  • バーデン・パウエルの「カーニバルの朝」

    〔ギターノート 4〕 ユーチューブで、Han Eun(ハン・ウン)さんという韓国の女性ギタリストが演奏した「カーニバルの朝(Manha de Carneval)」を聴いた。素敵な演奏だ。 この曲は、映画『黒いオルフェ』のメインテーマ曲で、映画も歴史に残る名作だが、音楽を担当したルイス・ボンファとアントニオ・カルロス・ジョビンの素晴らしい曲が随所で流れる。Han Eunさんが弾いているのは、バーデン・パウエルのアレンジによるものだ。 B. パウエルは、60~70年代のボサノバ・ギターを代表する一人で、日本でも人気が高かった。彼はこの曲がお気に入りだったようで、いくつものアレンジで弾いていた。Ha…

  • 「枯葉」~ Yenne Lee

    〔ギターノート 5〕 前回の記事『カーニバルの朝』は Han Eun(ハン・ウン)さんの演奏がきっかけだが、今回は Yenne Lee(イェン・リー)さんのユーチューブ演奏『枯葉』から。 韓国の女性ギタリストは、このような憂いあるメロディーを歌うように弾くのが上手だ。イェンさんは自らアレンジもしている。 この名曲には多くのギター・アレンジがある。もう半世紀も前、私が学生時代に愛用していた本橋正人さんのアレンジはとてもおしゃれで、いまでも第1級だと思う。(『ギター・スクリーンアルバム』水星社)。 今回聞いたイェンさんのアレンジは、それいらい出会った中でもとびぬけていて、極めつけという感じ。前半、…

  • アナ・ヴィドヴィチさんのコンサートの想い出

    〔ギターノート 6〕 前の記事で、近年は女性ギタリストが活躍していると書いたが、趣味のギターを再開したころ、何十年ぶりかに行ったのが、アナ・ヴィドヴィチさんのコンサートだった。 クラシック・ギターのコンサートはもともとあまり多くないが、私が住んでいる地方では日本の演奏家のものも少ない。そこにこんな国際的演奏家が来ていただけるというので、すぐにチケットをゲットした。 私がこの美しきギタリストを知ったのはユーチューブでだった。そのころはアントニオ・ラウロの曲などを華麗に弾く映像がアップされていた。棒高跳びのイシンバエワに似たきりっとした美貌と端正でなめらかな演奏で、すっかりファンになっていた。ラウ…

  • ピアソラ賛歌

    〔ボカの石畳〕 〔ギタノート 7〕 西欧によるアメリカ大陸への進出は、北米と中南米でかなり異なる歴史をたどった。その違いは、時代や風土もあるが、民族の違いが大きかった。特に音楽は民族性が反映される。北米はアングロサクソン系が中心となり、これにアフリカ系が加わってジャズなどを生んだ。中南米はラテン系が中心で、それにインディオやアフリカ系の血が混交し、複雑な地形と風土を背景に多様な流れになった。キューバではレゲエやサルサ、ブラジルではサンバやボサノバ、アルゼンチンではタンゴといった民族音楽が生まれた。 南北アメリカは、北はガーシュイン、南はピアソラという、巨大なヨーロッパの音楽に負けない「新世界」…

  • ピアソラ賛歌(続)― 『最後のグレラ』

    〔ギタノート 8〕 ピアソラの『La Ultima Grela(最後のグレラ)』のギターアレンジ版を練習。この曲は、たまたま買った Victor Villadangos というひとの ‘Tango Argentino’ というCD(✻1)で聞いて、すっかり好きになっていた曲だ。最近この楽譜をようやく入手した。アレンジは Pepe Ferrer という人。とてもいいアレンジで、私でもなんとか弾けそうなのがうれしい。 この曲名は英語で ’the Last Woman‘ で、さっぱり意味が分からなかったが、ネットでこの曲についてのいい解説を見つけた。「グレラとは夜の街で働く水商売の女たちを表すアルゼ…

  • 想いの届く日 ― K・ガルデル

    〔ギタノート 9〕 ピアソラとともに、アルゼンチンタンゴのギター曲で重要な人がカルロス・ガルデル(1890-1935)だ。 二度の世界大戦にはさまれ、平和な期間は短かったが、現代文化が狂ったように花開いた時代。その申し子のように華やかで短い人生を駆け抜けた。F・カナロとともに世界各地を演奏しながら、タンゴに「歌」というジャンルを確立し、アルゼンチンタンゴを世界に広めるのに貢献した。 アルゼンチンタンゴは、地方都市の港町の酒場から都市の劇場へ、国境を越えてヨーロッパの社交界へ、そして新しく登場した映画のスクリーンへと、大きく世界に羽ばたいていた。その活動の絶頂期、作詞家レ・ペラとともに飛行機事故…

  • トロイロとアリアスの「スール(南)」― ノスタルジーとユートピア

    〔ポンページャ〕 〔ギタノート 10〕 プロローグ/ アルゼンチンタンゴの名曲:『スール(南)』(ギターアレンジ版)について。 これもビラダンゴスの名盤『タンゴ・アルゼンティーノ』で知った。だがこの曲については作曲者がアニバル・トロイロという人であること以外、何も知らなかった。美しい抒情的なメロディとビラダンゴスの名演奏、そして「南」という素晴らしいタイトルで、“まだ見ぬ南国の理想郷への憧れ“、”かつて暮らした南の故郷へのノスタルジー”のようなものを自由に想像しながら聞き、それで十分だった。 このギター譜を偶然ネットで見つけた。アレンジャーのアニバル・アリアスが楽譜を公開してくれていたのだ。少…

  • ゆで卵の作り方

    「少ない水で短時間にゆで、殻をきれいに向く」ーがポイントです。 ①~③はネットで調べて知った方法(どなたか忘れましたが感謝!)で、 ④~⑥は私の工夫です。 ① 底の平たい小鍋に水を1~2cm入れ、卵を置いて(フタをしないで)煮る。 (卵は1個でも2個でも大丈夫。) 😊水がたったこれだけでいい、というのが驚きでした。 ② 沸騰したらフタをして、弱火(最小)で3分。 ③ 火を止め、フタをしたまま5分おいたら出来上がり。😊これ以上おくと黄身が固くなる。黄身が鮮やかな黄色で、かすかにトロッとした感じが5分なのです。 ④ 水に1分ほどつけて冷やす。 ⑤ 果物ナイフの背で殻をたたいて全体に細かなヒビを入れ…

  • セリエ・アメリカーナ

    〔ギター・ノート 11〕 ヘクトル・アジャーラ「セリエ・アメリカーナ」 この曲を知ったのは、福田進一さんの名盤:JONGO(1996年)である。中南米の佳曲を集めたこのCDの中で、ピアソラやポンセの間に埋もれた地味な曲と思っていたが、そのいくつかのメロディー、特に『プレリュード』が頭から離れなくなり、またその構成やアイデアが面白いので少し調べてみた。 この曲は演奏会のレパートリーとして取り上げられることもあるようだが、楽譜が絶版のままということもあり(幸いネットで入手できるが)、やはり地味な扱いのようである。でも私にはなかなかの名曲・名作に思える。実際に譜読みをしながら弾いてみてそう思ったのだ…

  • ギター再開 ― 小林隆平さんのこと

    〔エクアドルの町〕 〔ギターノート 1〕 はじめに クラシックギターが趣味で、ただ弾いて楽しんでいる。教室にも行かず、好きな時に好きな曲を弾いて、飽きたら次の曲にを繰り返し、ぐるぐる回っている。自由気ままが好きで、人前で演奏するのも苦手だ。(だからほとんど進歩しない。) もう少し外に出て、人とも接触したいなあと思い始めたころ、新型コロナで世界が一変してしまった。コンサートや旅行に行けなくなったのは残念だが、閉じこもりの生活はあまり苦ではない。この機会に、ただ弾くだけだったギターについて、エッセイも書いていくことにした。 音楽は、歌い、弾き、聴くことで完結し、それが終われば消えてしまう。音が鳴っ…

  • 少年の故郷

    その世界は蜃気楼のように消えてしまったけれど、それがあった土地(空間)は、それだけの大きさをもたまま、まだそこにある。 その時代そこにあった世界は、そこを去った後、少しずつ形を変えていった。建物は古び、取り壊され、更地になった。新しい道路ができ、たんぼや畑は宅地になり、新しい建物ができ、元の世界は少しずつ、あるいは一挙に姿を変えていった。半世紀も経てば、かつての世界の輪郭は、まだ残っているだろう山や川から想像するしかないのだろう。 そこに行ってみたい気持ちはある。知っている人々はほとんどいなくなってしまったが、山や川は生きていて、命をつなぎながら、まだそこにあるだろうからだ。 でも行かないほう…

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