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2022/10/11

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  • 文学フリマ東京37 お品書き

    お品書きです。・初詩集『雨音は乾いた猫の匂いがする』・雨猫未収録分『脊椎と雨音』・雨猫未収録分暗いもの『ししゅう』・VRChatワールド詩集『VRCHAT World Words』それと無配も作るつもりです。何卒よろしゅう。

  • 雨の夢

    ヘッドホンをはずすと不規則な水の滴る音で世界は満ちていたどおりで肌寒いわけだ音の激しさにつられるように寒さを強く感じるようになり私は着替えようと立ち上がった窓の外が光る 遅れて音がする電化製品の心配だけして私はパジャマに着替え子守歌のような雨音に包まれ布団に入った雨の音 それは産まれる音雨が生みだした夢を見て、私は眠りに誘われる shironekosha.thebase.in

  • 雨の向こう、待つ君へ

    灰色の雲に覆われてそちらはきっと薄暗いでしょう早く陽の光を届けたいけど風も今日は泣きたいみたいで雨雲を連れてこうとしないしょうがないから私はここで雨雲の隙間の小雨に向けて差す光を準備しておくよ虹にはみんなを笑顔にする力があるから shironekosha.thebase.in

  • 午前3時の君

    午前3時の君 はまるで死体のようで口元に手をかざせば微かに息があたるのだけどいびきもかかず寝返りも打たずただ静かに横たわっている陶器のように白くて冷たい肌 が現実感を曖昧にしてこの光景自体が夢のよう なそんな気がしてくるから僕はぎゅっと目を瞑っ て目を覚ますよう 祈った shironekosha.thebase.in

  • ◆文学フリマのブース配置が決まりました

    ブース位置が決まりました。[脊椎と雨音]X-07 です。既刊とかいろいろ置いてる予定です。無配も作りたいな。 お時間あればぜひお越しください。

  • 余白

    言葉にならない言葉にしない想いが多すぎて余白は真っ黒になってしまった行間には読めない文字がびっしり詰まっていてまるで砂糖に群がる蟻のようだった何故言葉にしないのだろうこんなにも感情が渦巻いているのにいや渦巻いているからこそ言葉にできないのか私はそっと余白をなぞった shironekosha.thebase.in

  • ナイフ

    あのとき放った言葉が、今でも刺さったまま抜けない。ナイフは刺さったままの方がいいらしい。抜けばそこから血が溢れてしまうから。だから抜かない方がいいのかもしれない。抜けばそこから血が流れてしまうから。だけれどそこに刺さっている限り、私はその言葉を忘れることができない。だから血が流れることを覚悟して、その言葉を抜くべきなのだろう。止血はきっとし足りないだろう。きっとしばらく流れ続ける。だけれど私はそれが怖い。その言葉を抜くときの痛み。その言葉を抜いた後の痛み。その言葉を抜いた後の出血。その傷口が塞がるまでの時間、私は苦しみ続ける。 shironekosha.thebase.in

  • ■FANBOXとSkebはじめました

    ◆pixivFANBOX amatsui-furuya.fanbox.cc 詩の創作についての話や裏話など、それとVRChatでの活動について書いていきます。 ◆Skeb https://skeb.jp/@amatsui_rei 自分の想いを文章にしてほしい・自分のオリキャラの物語を書いて欲しい・書いた文章についてアドバイスがほしい etc 受け付けております。 shironekosha.thebase.in

  • かみなりさま

    ">地面がひび割れて現れたのは大きな角の生えた馬銀蒼色のたてがみを靡かせいななきながら空へと飛んだあれはきっと落ちてきた雷様なんだとだから空へと帰っていったんだとそのひび割れは祀られたああ神様でも故郷を想っていなないたりするのか私は少し安心した "> shironekosha.thebase.in

  • 氷水

    じわり、と、熱が滲む 私はそれを拭い去るように、扇風機の風を強くした 蝕む温度でぼやける頭 からんと氷が音を立てる 温度に蝕まれて小さくなってゆく物体 それと比例して浮き上がる雫 それを指ですくい上げる その雫は氷から温度を受け継いで冷たかった けれど多分その雫は あまりにも純粋で美しい shironekosha.thebase.in

  • ヘッドホンをはずすと不規則な水の滴る音で世界は満ちていたどおりで肌寒いわけだ音の激しさにつられるように寒さを強く感じるようになり私は着替えようと立ち上がった窓の外が光る 遅れて音がする電化製品の心配だけして私はパジャマに着替え子守歌のような雨音に包まれ布団に入った shironekosha.thebase.in

  • 雨椎零第一詩集『雨音は乾いた猫の匂いがする』やっと発売となりました。

    雨椎零第一詩集『雨音は乾いた猫の匂いがする』やっと発売となりました。これまで書いていた詩と書きおろしとが載っています。表紙絵挿絵は『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』『膵臓がこわれたら、少し生きやすくなりました』などの永田カビさん、裏の紹介文は『h-moll』などを書かれている詩人・平川綾真智さんに頂きました。ありがとうございます。きっとあなたの中に残る言葉があると思います。是非お手に取ってみてください。 shironekosha.thebase.in

  • 連想詩

    こちらの詩集はツイッターで募集したお題を元に詩を書くという企画で書いたものです。 お題:ブルースクリーン 突然目の前が真っ青になったいや 世界そのものが青に染まっていた文字の羅列が周りを流れてゆくああ 終わったのか俺の青写真の最後の光景はあんな滑稽なものだったのか写真が青い炎で燃えていく死にゆく自分の人生を 俺は0と1で感じていた お題:とにかく とにかく話だけでも聞いてくれないかなにしろ君に知っておいて欲しくてなにせ君が好きすぎて自分でもとどのつまりおかしくなりそうで要するに君を愛してるって話なんだけど所詮伝わる気持ちって限られているからとりあえず手を繋いでもいいかな お題:貧乏ゆすり 多分…

  • ヘッドホンをはずすと不規則な水の滴る音で世界は満ちていたどおりで肌寒いわけだ音の激しさにつられるように寒さを強く感じるようになり私は着替えようと立ち上がった窓の外が光る 遅れて音がする電化製品の心配だけして私はパジャマに着替え子守歌のような雨音に包まれ布団に入った雨の音 それは産まれる音雨が生みだした夢を見て、私は眠りに誘われる shironekosha.thebase.in

  • 第一詩集「雨音は乾いた猫の匂いがする」予約開始しました

    雨椎零初めての詩集「雨音は乾いた猫の匂いがする」の予約が開始になりました。6月15日に発売となります。よろしくお願いいたします。 shironekosha.thebase.in

  • のど飴

    けほけほと乾いた咳を吐き出すのどを労わって甘いかけらを一粒口に放り込んだ舌の上にじわりと広がる甘さと少しのメンソールころころと転がして溶かしていけば口腔の乾燥もおさまってとろりと甘い言葉が出そうになる会いたいよ。君に会いたいそしてこの甘さ分の甘い言葉を聞いておくれ

  • 余白

    ">言葉にならない言葉にしない想いが多すぎて余白は真っ黒になってしまった行間には読めない文字がびっしり詰まっていてまるで砂糖に群がる蟻のようだった何故言葉にしないのだろうこんなにも感情が渦巻いているのにいや渦巻いているからこそ言葉にできないのか私はそっと余白をなぞった ">

  • 詩誌『蜜』に参加します◆文フリO-37

    ご縁があり詩誌『蜜』に参加させていただきました。文月悠光さんの詩の教室という講座を受け、そのご縁です。今年の初めに出した詩集同人誌2種類を委託させていただいています。 【お知らせ】<詩誌 蜜 創刊号✨>5/21 #文学フリマ にて発売します。◎招待作品に文月悠光さん(@luna_yumi )をお迎えして、20名の方にご寄稿頂きました。◇5月21日(日)12:00~17:00東京流通センター(第一展示場)蜜ブースは【O-37】です🍯https://t.co/Q73otLoMBA #詩誌蜜 pic.twitter.com/QMILAs04sU — 詩誌 「蜜」【O-37 文フリ東京】 (@mits…

  • 消えゆくもの

    するりと消えてゆくするりと溶けてゆく心の底に貯まる言葉などほんの一握りでしかない (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 幸せは痛いですか

    言葉のナイフを人に刺すつもりで研いでいる人はどれくらいいるのだろう多分きっと大半の人は研いでいるのがナイフだとは思っていないし、突き刺す相手がそれを読んだ人間だとも思ってないのだろうそのナイフが刺さったときの衝撃それを幸せと呼ぶときもある (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 盗んだ月

    盗んだ月を土産に君のもとへ訪ねたら空が可哀相だよと君は空に月を返してしまった君が月を好きだというからこっそり盗んできたというのにそう言うと君は笑ったあなたと一緒に眺める空にあるから好きなの と言われてしまっては僕は月を見ながら反省するしかなかった (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 情報

    1日のうちにどれだけの文字を、私は摂取しているのだろう流れ消えていくジャンキーな言葉たちインスタントのように現れては消費され言葉は本来の意味を発芽できずにいるまた流れてきた文字列を私はさらりと流し読みするその言葉を噛みしめることなく言葉たちは泣いている (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 私に

    私が私であることに対して私は私でいたいと思っていないわけではないけれど少しばかりの不満はもちろんあってそれは昔からあるものもあれば最近気づいたものもある。それらをひっくるめたものが私なのなら私は私でいいのか疑問を抱くがそうでなければ紡げない言葉があると思うと悪くはないと思うのです (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • この世のものに似てる

    ろうそくの灯りに似ている気がした少しおぼろげなその灯りはそこらを飛んでいる鬼火に似ている重たくて暗い雲に似ている気がした地獄の空の方が暗いけど雨が降る直前の重たそうなあの雨雲どうしても思い出してしまう生まれる前の地獄のこと (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 埋葬像

    冷たい水が頭からかけられて、その寒さに私は震えた。いつか私は美しくなるのだろう。いつか私は可愛くなるのだろう。いつか私は綺麗になるのだろう。いつか私は賢くなるのだろう。いつか私は格好良くなるのだろう。そう思って歩みを進めてきた。 少しずつ、けれど精一杯、サイフォンでコーヒーを淹れるように、そっと、私の中に貯めていた。それは水彩で描く風景画のようでもあったし、少し調律のゆるんだピアノのようでもあったし、油の切れたタイプライターのようでもあった。 たくさんの声が聞こえる中、私は私の指先が羊皮紙をなぞる音に耳を澄ませなければならなかった。私のつま先が水面を蹴ればさざれ石が跳ねふくらはぎを引っ掻いた。…

  • 静寂の中へ

    気付いたとき私の周りにはたくさんの花が咲いていた彼女たちは静かに私の耳へ風の囁きを届けてきていたその音はきっととても静寂に近く私はおそらく自ら望んでここへ来たいつの間にか川のせせらぎが聞こえるようになり私は少しずつそちらへ近づいているようだった (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 春の報せ

    ひとつの報せが今朝届いたこれからそちらに向かいます と梅の香りの手紙が一つもうそんな時期ですかとそれを読んだ君は深く息をついてそれじゃあそろそろ準備をします と忙しなく旅支度を始めたなぜ会わないんだい?と聞くと彼女は眩しすぎるので と冬の君は答えた (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 雨をやめてよ

    雨をやめてよ。部屋の中で聞く雨音は好きだけど外出するときは好きじゃない。雨をやめてよ。部屋の中で聞く雨音のリズムはすごく落ち着くけどそれに打たれるのは好きじゃない。雨をやめてよ。雨粒は小さなギロチンで私を断罪しようとする。雨をやめてよ。私の処刑はまだ早いよ。

  • 朝焼け

    夕陽の向こうはどこかの朝焼け。焦げた匂いが空を焼く。冷めれば広がる水晶色に僕らは透明な海を見る。潮風の幻覚を感じる波打ち際の泡のような雲は陽を点すのを手伝って、赤紫に滲んで光れば、焦げた紺色が空を覆う。火花は星になり点々と煌めいて、僕らはそれに安堵する。明日が来る。僕らの明日が。 眠るまでは今日だよ。なんて屁理屈を捏ねている今も月は次の夜の準備をし朝焼けの匂いが窓越しにしてくる。温度と光は遮光カーテンでさえぎられるけど匂いだけはさえぎれていなかった。朝だ。黄色い月は白くなり赤い太陽は黄金色になる。乱反射する空の色はきっと太陽と月の好きな色。 (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいた…

  • 嘘だとしても別にいいんだ嘘をつき続けてくれるならそれが僕にとっての真実だから僕が知らなければそれが本当でだから君はずっとその嘘を守り続けてよ僕はそれを信じて振る舞うからそしたら僕は本当になれる (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 暮れる月

    朝焼けがはじまっていた黒に近い紺色の空の端がピンク色に染まっているあれだけ光っていた月は白く青ざめ紺色のカーテンを引き連れて沈もうとしていた朝が来る私は月が沈んでゆくのを名残惜しく見守る月と太陽が同じ地平線に並んだとき二人は同列に私を照らした (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 桜の終わり

    桜の終わりは梅雨というガンマン。雨粒の銃弾をたくさんの銃に装填したら一斉に花びら目掛けて撃ち落とす。桜の小さな花弁なんて風という空気の圧で舞ってしまうのだから、そんなに急いで撃ち落とすこともないだろうに。 ぼたぼたと銃弾の音がする。この銃弾がやんだとき、どれほどの桜が残っているだろう。それとももう花ではなく、葉に交代するつもりなんだろうか。葉桜になれば多少の雨には耐えられるから。新緑の艷やかな輝きも悪くない。 (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 映画館

    束ねられた光でできた映像を見るとき、そこにはないはずの体温があって、鼻腔が乾いて、自分のものではない思いが湧き出る。それは自分と外界を隔てるガラスに結露となって形を成して垂れていく。口が乾いていく。安そうな紙コップに入った割高のジンジャーエールで喉を潤すと一瞬だけフィクションの世界に引き戻される。でもそれは炭酸の泡のようにはじけてまたノンフィクションへ戻っていく。そこでのあなたは雑魚なのです。脇役なのです壁なのです。何が起きようと手が出せない。でもそれってフィクションでも起こるよね。そのことに気づいたときジンジャーエールの辛さが舌を突きくたびれたソファーの匂いが鼻につくようになる。背もたれの居…

  • 雪の言葉

    舞い散る雪は誰かのつまらなさ。乾いた感想。言葉にするほどでもない思い。だから酷く冷たい。発することも聞くことも求められなかった言葉は凍りついて、はらはらと控えめに降ってくる。舌に乗せれば最初から何もなかったかのように溶けて消え、なんの味も残らない。 冷たい空気だけがそこにあった。氷の匂いが鼻腔を刺す。地面に着こうとした瞬間風が拭き弄ばれてまた落下するのを繰り返し、なかなか消えさせてくれない。かと思えば樹木にへばりついて消えるどころか塊になってしまっている。 消えたいのか。消えたくないのか。消えさせてくれないのはその言葉の執念だ。伝えなければならなかった人でなくても良い。自分を聞いてほしい。冬の…

  • 地獄へ参ります

    私は死んだら地獄にゆくのだと、エスカレータ式に進学した学生の時のようにそれが当然と思っている。天国は信じていないのに地獄は信じている。そもそも清廉潔白な人間を信じていないから、天国も信じていない。 あるとしたらそれは多分ちょっとましな地獄くらいなもので、誰かの描く理想郷などではないと思う。私は自分のみを守るために嘘をつくし、無神経な言葉で他人を傷つけるし、自分自身の扱いすら適当で、他人に優しくするのは自分が優しくされたいためだし、話を聞くのは話を聞いてほしいからだし。 かといって私は私を好きかというと、どちらかといえばかろうじて好き、くらいで、かといって嫌いかと言われればそうでもない。好きでも…

  • 爪やすりを武器のように持って人指指の爪を研いだ。表面を磨き綺麗に光を反射するようになったらベースコートを丁寧に塗り、それが乾いたら真っ赤なマニキュアを塗る。中指も同じく光らせたあと青色のマニキュアを塗る。何度も何度も塗り直す。分厚くなるまで何度も何度も。これは武装だ。私が簡単にできる武装。いつもより長く尖り鋭く光りビビッドに染め上げられた爪。トップコートで防御力を補えばそれは何物も切り裂く刃になる。薄っぺらい夢想や下らない虚構。ばかじゃない、と私は爪で引っ掻き本を破る。その行為が喩え一粒の狂気だったとしても。 (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 首の瘡蓋

    首と顎の境目についたロープの跡が瘡蓋になって、つつくとポロポロと剥がれ落ちた。これは僕の勇気の証であり、失敗の証であり、生きるためのたった少しの燃料である。僕がロープを結んでいるとき誰かは花束を結び、僕がロープをかけているとき誰かは恋人のコートをかけていた。僕が輪を首に通したとき誰かはお気に入りのネックレスを着け、僕が体重をかけるとき誰かはふかふかのベッドに身を任せた。僕がこの思いを抱いたとき誰かが産声を上げ、僕が決意したとき誰かは婚姻届に印を捺した。僕が諦めて首からロープを外したとき誰かはタートルネックを脱いで、僕がむしゃくしゃして刃物を持ち出したとき誰かは肉を細切れにしていた。 僕が生きる…

  • 詩酒

    酒に酔って書く文はアルコールの匂いを含んでそれでいてつまにみぴったりだ特にこんな一人でしっぽりしたい日にゃ自分のための言葉が特に美味くて旨くてしょうがないそこにあるのは万年筆だがそのインクですら飲みたいほどに酒に言葉に溺れて乱れ (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 斯界

    社会の縮図というけれど縮めてしまっては意味がない切り捨てられた小数点以下それはもしかしたら私で社会にいないことになっているそしたらきっと楽だろう幽霊のように日々を過ごし社会貢献など意味はなくそこに私はいないのだ (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 体温

    あなたがわたしに触れるとき考えていることはわたしではなくあなた自身のことだ自分の熱を確かめるためあなたはわたしに触れようとするでもわたしは温度計などではないのでその手からするりと逃げるのです (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 愛と嘘

    愛してると呟いたときに伝わる温度のいくらかはマガイモノだ平熱より上った体温の差は嘘偽りで平熱でそれを伝えられるようになったときはじめてそれは本物に成り代わるけれど嘘偽りの熱はあまりにも魅力的だだから世界はこんなに嘘と偽りにまみれている (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 明日

    明日へ行きたくないから眠らなかった眠って目が覚めたら明日になってしまうだから私は眠らなかったでも気づいたら寝て気づけば明日だったどう足掻いたって明日ってやつは私のもとへやってきて私の邪魔をしていくんだだったらいっそ立ち向かってやる私は目覚まし時計をかけて眠った (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 絶対

    絶対なんて言葉信じてないんだ絶対って言う奴はみんな嘘つきだった絶対って言葉を使わないやつほど絶対信じられるんだ (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • グレープガーネット

    摘み立ての葡萄を少女が踏みつけると透き通った果汁が固まって紫色の宝石になるらしいそれは穢れた男が握るとあっという間に溶けてしまってだから女性しか身に着けられないあの人の胸元であの人の指であの人の耳たぶで光っているものそれはあの人の清らかだった証 (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 水蒸気

    加湿器の水蒸気がときおり空気とともに入ってくる。この水分は乾いた私を救う無数の宝石たち。淡いLEDに照らされ青く光ると家の中なのに森の中の匂いがする。ここは青く光る葉のなる森だ。湖から浮き出たものたち。それはさざれのように私に流れ込む。 (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • バレンタイン

    甘いものが苦手な君バレンタインにチョコを送るのは製菓会社が始めたことで外国では花束を送るそうだだけれど君は花束よりも僕との美味しい食事が好きってことちゃあんとわかっているよ寒い日に二人で鍋をつつく締めは雑炊たっぷり満喫してほら幸せなバレンタインだ (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 忘却

    それはもしかしたら夢だったかもしれないだってその思い出だけうまくなぞれないのだ輪郭すらおぼろげで舞台も役者もぼやけて見えるけれどそれは夢じゃなかった私の忘却は既に始まっているみかんの腐る匂いがする (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 子供の頃

    憧れだった。それは期待と羨望でできていた。そして今思い返すとそれは郷愁と悲哀になった。子供の頃の秘密基地。自然の匂いと無機質な音。そこに宿る子供たちの気配。その気配はもうどこにもない。 (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 赤い言葉

    私の腕の赤い跡からぽたりと雫が落ちていった。それは詩になるはずだった言葉だ。落ちてしまったのだからそれがどんな言葉だったのかわからない。多分今まで落としてきた雫は組み合わせたらきっといい詩になるだろう。赤い液体に隠れた言葉。それを確認するために、私は今日も言葉を紡ぐ。 (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 遅刻

    遅刻する! と連絡が来た僕は 了解 とだけ返信した彼女は大体8割の確率で遅刻するでも僕はそれを許す何故なら彼女の遅刻は僕のためだから僕と会う時は可愛くいたいからとこだわって努力してくれているからでも僕的にはそのままの君が好きだから気にしなくてもいいのにな (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 波形

    音声波形が君の声を形として表している僕の声の波形とは全然違う波が表示されていてなんとなく君の声の方がなめらかな気がしたこの波形が僕の鼓膜を震わせているのかと思うとこの棒線グラフすら愛おしく思えてくる視覚で捉えられるようになった君の声それは僕を耳と目から優しく包んでくれるのだ (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • サンストーン

    太陽が涙を流したらしいいつもは雲に泣いてもらっているのに月と喧嘩してしまったらしいだから最近新月なのだ真っ赤な涙は零れ落ちるたび結晶になって降り注いで地球の大地を穿ち抉ったそれを見ていた月はすぐに彼女の光を反射して仲直りしようと声をかけた (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 月が欠ける

    月が欠けていくのを何もできずに見ていたあの冷たそうな光は太陽の光の反射だからきっと見た目よりもずっと温かいのだろう今度欠けたら月はもう元に戻らないらしいあの光が見えなくなってしまうのは残念だ僕は発泡スチロールを削って丸い形にして自分だけの月を作ろうとした (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • それはまだ花開く前蕾を膨らませている最中のこと君は確認しているどのタイミングでどのように花咲くべきか君は戸惑っている周りが次々花咲く中君は焦っている自分が花咲くことで何が変わるのか今かもしれないまだかもしれない君はまだ花開かないでいる (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 微熱

    微熱があるときの世界は違って見えるいつもよりも高い温度を纏う世界吸う空気は冷たく吐く空気は熱を持っているお水はいつもより冷たくて飲むとぞわりと背筋に走る熱いお茶は温度が近づいただけ飲みやすくゆったりと体に染み渡る重たい体で見る世界少し呂律が回りにくく話すスピードもゆっくりだ世界の速度が遅くなっている世界の彩度が曖昧になっているぼんやりとした頭で過ごす世界冷たい枕で眠るのが心地良い放熱するときの血液の循環を感じるとき私はより生を感じるのだ (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 雪の精

    夕方、薄暗くなり、向こうにいる人の顔が見えず姿の影だけ見える頃逢魔が時ともいうその時刻、私は見た気がするのだ木々の痩せ細った枝に積もった雪が自重に耐えかねバサバサと落ちるその間雪と雪の間に君によく似た色白の雪の精が座っていた (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 二人

    あの人の指が私の輪郭をなぞる想像をするそれだけで私の体は熱を持つあの人の熱とぶつかって交わりたい体をぴたりと密着させてシーツに二人分の汗と匂いが染み込んだら私とあなた、もう離れない互いの香りと体温を求めて世界にふたりきりになる (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 足音

    足音が追いかけてくるヒールの高いこつこつという足音私はそれから逃げるように早歩きになるするとその足音のテンポも速くなるこつこつ こつこつそれは私を追い立てるいつも私を追い立てる早く歩け 早く動け 早く働け私はその足音から逃れることはできない (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 君の根底

    君の根底にあるものはなんだろう子供の頃の思い出?お母さんに言われたこと?お父さんと一緒にやったこと?先生に教えてもらったこと?友達と喧嘩したこと?その思考は呪いのようなものだ底にこびりついて剥がれないこれから君は変わるのかなそれとも変わらないでいるのかな (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • ころされる

    ころされるかもしれない、と思ったことがある。それは誰でもない、私自身にだ。どうやって私を殺すのか。絞殺か毒殺か殴殺か。階段の上から突き落とされるかもしれない。だから階段を歩くのが怖かった。寝てる間に首を絞められるかもしれない。だから眠るのがこわかった。 そんな妄想に取り憑かれていた。強迫観念のような殺意。それは私を取り囲んでいた。逃げようにも逃げられない。私はずっと怯え恐れていた。あんなに死にたがっていたくせに。殺されたかったことだってあるのに。私は私に殺されたくなかった。 あのときの殺意は私の皮を被った何かだったのだ。あれは私ではなかった。ふわふわと漂いながら私を弄ぶ。あれは私ではなかった。…

  • 頭痛薬

    愚鈍の気配をまとって頭痛はやってくる。頭が痛い。それは低気圧を引き起こし空気を対流させ空に滝をつくる。頭が痛い。冬なのに蝉が、鈴虫が、蛙が同時に騒ぎ出し私の鼓膜を刺激する。頭が痛い。透明なくせに一丁前に体重を持った背後霊が私の肩を圧迫する。頭が痛い。分厚い空気の壁が私の肺を挟んで押し潰そうとしている。頭が痛い。文字をなぞる指は震え未知の言語を描いている。頭が痛い。 白い錠剤を2粒、私は大量の水とともに胃に流し込む。それは私の体内で溶け血液に混じり痛みとともに蝉と鈴虫と背後霊を追い払い空気を柔らかくし未知の言語を訳してくれる。頭が痛い。それは世界と共振しているから。私は世界の一部になど、なりたく…

  • エナジードリンク

    エナジードリンクには誰かの元気がつまっている。誰かが飲めば誰かが元気を失う。元気は循環している。魂のように。水のように。空気のように。私の隣の人が飲んだ。私の斜め向かいの人が眠った。隣の人は元気に電車の扉をくぐり、斜め向かいの人は二駅後で慌てて降りていった。 エナジードリンクには誰かの元気がつまっている。誰かが飲めば誰かが元気を失う。元気は循環している。魂のように。水のように。空気のように。私の隣の人が飲んだ。私の斜め向かいの人が眠った。隣の人は元気に電車の扉をくぐり、斜め向かいの人は二駅後で慌てて降りていった。 もし無理になったときはエナジードリンクには頼らずに友達に頼むよ。傍にいてくれる人…

  • 匂い

    太陽の日差しの色は熱された樹木から滲み出る樹液のようなもので、それを必要とする虫達のように私達はそれを食べなければいけない。舌にのせた瞬間に広がる灯の味はどうも鼻について好きじゃない。目から皮膚から入ってくるねっとりとしたその感触がどうにも居心地が悪くてしょうがない。 曇の日はまだましだ。薄暗さが醸し出す安心感とそれに付随する無味無臭。まるで虚無のような風が吹き抜ける一番体が軽い日。でもそれは紙一重に雨という重い日になる可能性を持っていて、アスファルトの焦げる匂いや草木の維管束の匂いがしてきたらそこは空から無数に放たれる鏡に占拠される。 小さな雨粒は鏡像を映している。 水滴に映り込む無数の私。…

  • 基底現実

    基底現実を基底足らしめるものは多分皆が思っているより多いけど少ない。そこに含まれるのは天気。でも仮想現実にも存在する。そこに存在するのは猫。でも拡張現実にも存在する。そこに存在するのは電柱。でも代替現実にも存在する。そこに存在するのは声。でも複合現実にも存在する。 拡張現実にも存在するものが基底現実なのだからそれは基底なのだ。それがなければ何もない。現実に続く現実でない場所にはなにもない。いや元からないのだそんなもの。現実はひとつしかない。ただそれが、人によって細かく分類されているだけで。 だからそこにない味や匂いを求めるのだ。そこにあるのはただの空気のような何か。虚無に近しい物体X。それはつ…

  • 青信号

    歩行者信号の青色は勿忘草の香りがする。けれど雨の日のそれは遅れた葉桜の色。点滅は雨音に合わせて手を叩き、メロディとは違うテンポを刻む。私はその中を歩いていく。傘はどこかへ流れ行ってしまった。雨は私の血液になりたがっているかのように私に張り付いてくる。 雨の温度。それは黒い雨雲の体温であり世界のなみだ。今もどこかで誰かは泣いている。必ず。雨は代わりには泣いてくれない。共振して世界のどこかになみだの代わりの濁った水滴を落とし、その水滴は人体になりたがる。透明な雫である涙に憧れて。 草木野花と地層で濾過され限りなく透明に近づいてやっと彼らは人に近づける。だから私は体にこびりついた雨粒を乱暴に払い落と…

  • 足音

    どこからともなく聞こえるのです私を追いかけてくる足音が私が歩けば歩いてくるし私が走れば走ってくる必ず追いつかれそうなのにそれは私に追いつきはしない後ろを振り返っても誰もいないそれはもしかしたら私なのかもしれないと気付いたのは昨日のことでした (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • たそがれどき

    黄昏時は誰そ彼ときあそこにいるのは誰だろか夕立のあとの曇った視界にゆらりゆらりと人の影さ迷っている幽霊だろか宵の淵で揺らぐのは自分の輪郭おぼろげにきっと忘れていくのだろうそして向こうへ行くのだろうあれは一体誰だったかくるりと振り向くその顔は随分私に似ているな (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 未完の物語

    世の中には未完の物語の方が多いのだ物語を紡ぐことに疲れてしまった人諦めてしまった人やめざるを得なかった人そんな人たちの物語が無数に存在する中で完成させるばかりが良いわけじゃないその道を辿ろうと思った軌跡物語がはじめられたことそのことはきっと誇れることだろう (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 終極

    はじまりは終わりなのですあなたが生まれたとき あなたのいない世界が終わったあなたという存在が何かを観測するたび観測前の世界が終わって新しい世界がはじまっているだから終わりははじまりなのですあなたが死ぬとき あなたがいた世界が終わった (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 棺桶

    夜は好きだ遮光カーテンを締め切り照明を全て消してこの家にアナログ時計はない秒針の音は響かずでき得る限りの静寂が用意されている暗順応した瞳が部屋の中を見回す自分の部屋のようで自分の部屋でない深呼吸をすれば浮遊感に包まれるここは大きな棺桶だ毎晩私は埋葬される そして翌朝生き返る遮光カーテンの隙間から照らされる朝日によって体には重みがのしかかる生きるということの覚悟その重さ私はまた埋葬されるのを楽しみに日々をこなすぼんやりとする時間があれば夢想する暖かい布団で暖められた私の体もし布団がなければ冷たくなるのだろうか 雨の日の雨音以外響かない静寂耳が聞こえなければ耳が痛いほどの沈黙になるのだろうか暗順応…

  • スマホ

    スマホの画面を滑る指予測変換はいつも的外れイマイチな言葉を並べながらそれでもこの情景を並べて加えて見せつけて文章を編んでは置いていくそれが私にできること生きているその証 (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 君の爪

    きらりと光る君の爪が視界に入って僕は思わず目をつぶった輝いていて眩しくて君の爪は夜空の一等星のように輝くために磨かれていた僕の視線に気づいた君がなに? と首を傾げたけれど僕は何と言っていいかわからずなんでもない と君の爪の輝きを忘れないよう焼き付けていた (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 回復薬

    あたまがいたいと彼女が言うから薬を飲んでと促したそれはいやだと彼女は言うからどうしてなんだいと問いかけた 頭の痛みは心の痛み傷口のない傷が信号を発し私に訴えかけてくる私はそれを受け止めるべきだたとえ傷口がなかろうともそれは傷だと認識すべきだこれは私の戦いなのだ目には目を 歯には歯を心には心を私に傷をつけたもの許しはしない逃しはしない地獄の果まで追い詰める 彼女は戦士のようだったじゃあ尚更と僕は返した万全の状態で、戦わないとね彼女は薬を飲んだ (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 三角定規

    三角定規は嫌いだと君は言った。どうして?と聞くと真ん中の穴から幽霊が見えてしまうからだそうだ。覗かなければいいんじゃない?そう言うとそれでもだめと言う。ノートに置いたそのときに、穴から目玉が見えるらしい。僕は穴から世界を覗いてみた。危ないと翳した彼女の手のひらの目と目があった。 (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 糸雨

    天と地が細い糸で繋がっている小さな音が編まれて世界に響いているそろそろその糸は綿になるでしょう音もなく地に落ちはじめるでしょうあるいはビーズになるでしょう硬い音を立てて落ちてくるでしょう手芸と音楽が合わさった空と大地の共同作品 (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 石になりたいのかもしれなかった道端の小石でも河川敷の水切り石でもいいでもできれば海へと続く河口の水圧で転がされたい硬く 硬く目も耳も口も閉じて陽の光と雨と風にさらされ自然というものを感じていたい (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 仕草

    君のその仕草がきれいでいつも見とれてしまう手から指先までのしなやかなカーブ鼻から顎までのシャープなラインうなじから肩までのなだらかな下線つんと澄ました顔でするりと髪をかきあげ首を傾げる曲線美の連鎖 (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • しろねこ社さまから詩集が出ます

    原稿を送付したうちのひとりなのですが、出版についてお声かけいただきました……心臓がバクバク言っています……家族に詐欺を疑われましたw https://t.co/inUTfevMSB — 雨椎零◆詩集予約受付中 (@amatsui_rei) 2023年1月3日 昨年秋にしろねこ社さまが原稿を募集しておられる際、そっとお送りさせていただいたのですが、この度出版しないかとお声かけをいただきました。 友人達と通話していたのですが、びっくりしすぎて声が震えていたそうで。そりゃあびっくりしますとも。とんでもないお年玉をいただいてしまいました。 うちの家族は割とドライで、厳しい意見しか飛んでこなかったのです…

  • 新年

    子供の頃の大晦日は私にとって特別なものでしただって日付が変わるまで起きていることを許されていたから大人になって夜更かしが普通になって日付が変わるまで起きていることなど珍しくなくなったけど大晦日の夜更かしは未だ新年を待つ街の雰囲気のせいか何となく特別な気がしています 実家を離れ一人暮らしを始めた今でも大晦日の夜は夜食に年越しそばを食べのんびりとカウントダウンを数えています ほらもうすぐカウントが0になりますよ ぴょこぴょこ跳ねる兎がやっと今に到着するのです可愛らしい長い耳を揺らしながら皆に新しい気持ちと新しい風を運んでくる あけましておめでとうございますあなたのところにも兎はやってきましたか雪の…

  • 電子の海と雨音

    雨音が零れて脊椎流れてくはらはらと舞う雪素肌を撫でてゆきワイパーを上げた車の白化粧花嫁を乗せ馬車となり走りつつたてがみの靡く風との風鳴よ飼い犬の遠吠え夜月に吸い込まれ星空の散らばる欠片拾い上げ炭酸の中に沈めて飲み干せば喉を焼く胃液の酸の熱量よ紫陽花の足元暗く苔ている水草の残像光学迷彩と隠れ電子の海の中 (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 生の音

    ゴロゴロと鳴るお腹の音を他人のように聞いていた生きたいという私の声私はそれを無視したい体と心は別物だ私は停止を願うのに体は再生を求めている仰向けになった部屋にひとり無防備に毛布にくるまって胎内で眠る赤ちゃんのようにこんこんと眠り続けたい誰にも起こされず誰にも産まされず孤独に死と生を感じていたい向こうで鐘の音のような風が吹く温かい冷風が流れては街の体温をめちゃめちゃにする荒れた世界と止まった時計 (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 生きる

    剥き出しのナイフひとつで世界へ立ち向き合うのだ私達はただ個で孤で唯一見えるものは自分の世界だ神すら敵すら自分のもの それは有刺鉄線で守られたまるで柔らかな鳥の巣のようそこに御座すは天使か悪魔かどちらにもなれる卵がひとつ 子犬の舐めるミルクの匂い仔猫の鳴き合う甘高い響き囀る雀のじゃれあいと羽音煩い蠅の飛び合い 世界はどんどん広がってゆくZ軸を超え軸を増やし私が歩むスピードより速く勝手にその裾を広げてゆく 天使か悪魔か神か敵か私が出会う者達へ告ぐここは私の世界であると支配ならずとも私はゆくのだこの道しかない ここしかない打ちのめされても倒し負かされても私はここに いるしかないのだ (ランキングに参…

  • 雪が降る頃

    舞い散る枯れ葉が白い雪に変わる頃お元気ですか風邪など引かれていませんか粉雪が牡丹雪に変わるのを見てふとあなたのことを思い出しました積もりそうにない粒子状の氷は溶けるより早く多くくっついて冷たい土台を作りますその上に大きく柔らかなわたあめのような雪が積もり朝には地面や屋根を真っ白に染め上げていましたワイパーが上がった車や駐車場の隅に寄せられた雪山や雪の重さで下を向いた木の葉やざりざりという雪と氷の混じった足音が冬はこういうものだったと思い知らせるように主張してきます乾燥して切れた唇ささくれだった手の指あっという間に宙に溶ける水蒸気乾燥しています火の扱いに注意してくださいと消防車が言って回っている…

  • ホワイトクリスマス

    聖なる夜に降る雪は街灯の明かりで照らされてキラキラ光って舞っているそれはきっと天使の羽地上に祝福しに来た者の散らした少しの忘れもの少しが積もってたくさんになり街を白く染め上げたのなら明るい夜のできあがり雪に埋もれたプレゼントを探しておいで 見つかるまで (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • ココア共和国1月号に掲載されました

    今日メールチェックをしていたら、ココア共和国様からメールが来ていて驚きました。 ココア共和国という詩の雑誌がありまして、そこにぽつぽつ投稿させていただいていたのですが、なんと次の1月号に載せていただいたそうで。 有難い限りです。ここ最近なんだか文章が上手く思い浮かばなくて少し凹んでいた気持ちが一気に持ち上がりました。嬉しいです。 www.youyour.me 今日も詩はお休みです。年末年始には何か書きたいな。 せっかくなので宣伝を。来年の2月に詩集を出します。同人誌ですけれど。 1冊目はTwitterやここに綴ったものをまとめた詩集 amatsui0.booth.pm 2冊目はそのうち、希死念…

  • 失った世界

    春に紅葉 夏に降雪 秋に桜 冬にたんぽぽ君を失った世界は狂ってしまった僕があのとき引き留めていればこんなことにはならなかったのに怖かったんだ 失うのが君も 世界も どっちも欲しいそんなワガママで 君はいなくなり世界は崩壊へと歩みを進めていく (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • ウェアラブルデバイス

    こちらの体調のしんどさなどお構いなくウェアラブルデバイスは定期的に運動を促してくる余計なお世話だ私は無駄に飲み込んでしまう空気と無意識に食いしばってしまう奥歯と頭の奥から響いてくる鈍痛とそれらをどうにかしてやりすごそうと一生懸命なのだ運動してこれらがなくなるなら喜んでするが生憎マシになったことはない運動は体にいいというそれは間違ってないだろうが少なくとも今すべきことではないこの高性能の腕時計だって今私がすべきことを正しく指示できるわけもなく私自身その解消法を知るわけでもなく私は布団にくるまって重病人のように丸まり時折起き上がってはお腹に溜まった空気を無理矢理吐き出す眠るときはマウスピースを噛み…

  • そして、息をする

    忙しい日々は呼吸することを忘れてしまいそうになるほどだ息抜きというがその時間さえ満足に酸素を吸えてないそして夜になって息苦しくなってそこでようやく息を吸うお腹が 胸が 膨らむ呼吸をしている明日は息をしよういつもそう思っていつも忘れている (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 今日は晴れていて散歩をした今日は曇っていて換気をした今日は雨が降っていて憂鬱だった 今日は天井を突き抜けて女の子が落ちてきた天井どうしようとか警察に行くべきかとか考えてとりあえず女の子に私は熱いコーヒーを入れた そんな夢を見たそんな日 (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 冬の寒さ

    気づけば冬になっていた水道の水が冷たくなり唇が乾燥しカサカサになり体に力がこもって肩こりになりそれでも僕は冬に気づいていなかった鼻水が出て咳が出て頭痛がしてやっと気づいた寒さは僕を覆っていた毛布を被っても寒さはその下に入り込んで僕の体を冷やそうとする冷たくなっていく僕の体死んだらこの冷たさよりもずっと冷たくなるんだろうか試しに毛布を剥いでみた一度気づいてしまうと不思議なもので僕の体は寒さに震えた (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 空気の軽さ

    冷たい空気はとても軽いだから空気が冷たい季節はみんな着込んで厚着して重さのバランスをとるんだね夏は熱くて重いから薄着でみんな過ごしている冬は冷たくて軽いから飛んでいかないよう重くしてそうしてみんな雲の下地面を歩けているんだね (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 冬の手紙

    街に暖色が増えるのは寒い季節だからなのだろうね自然の木々さえ紅や橙に葉を染めて冷えていく街を暖めようとしているけれどその努力虚しく葉はもぎとられてやがて街は白く染められてしまう吐く息の色すら染められて私達は寒さに抗えないかじかんだ手に白い吐息をかけて抵抗するように赤く染まる耳の下にはマフラーをコートの下は何枚着てる?どうか風邪など引かないようにあたたかくしてくださいね世界が色を取り戻してあたたかくなってきた頃には梅色の手紙を送ります桜色のお返事待ってます (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 目薬

    瞼が下りたがっているとき目は休みたがっている目薬を一滴注いでやるとじんわりと冷たさが眼球を覆い少しばかりすっきりとする目を瞑って開ければ少しばかり明るくなった気がする視界目薬をさすだけで世界が明るくなるのなら夜も怖くなくなるはずだ (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 冬の不思議

    ほうと息を吐けば白く染まり自分が生きていることを自覚させられる己の体温で温まった空気外気に晒されればすぐに冷えて透明になるけれど私の体はどれだけ冷えても透明にならない宙に溶けて消えていかない白い雪の上に続く足跡私が歩いてきた証冬は不思議だ自分の生を実感させられる (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 恋煩い

    目が合っただけで胸が詰まって声を聞けば脳が蕩けそうになって触れればそこが熱を持ってひとりでいると思考がいっぱいになって恋煩いとはかく或るべきかその想いは口に出そうとも減るどころか増していくばかりたった二文字あるいは五文字の言葉の内部に内包される計り知れない感情よ (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 年の終わり

    スーパーはもうクリスマスを通り越して正月気分でシャンメリーと鏡餅が並んで売っている今年ももうすぐ終わるのだ終わりは新たなはじまりでしかない私たちはいつも何かを終わらせているずっとその繰り返しその繰り返しもいつか終わる私たちは終わりに向かってずっと歩き続けている (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • そば

    湯気が立ちのぼる器の中食欲をそそる香りが混じる蕎麦の上にはネギとゆず皮においをかげはよりお腹が空いて割り箸をパキンをと割ってそっと蕎麦をすくうまとった蒸気もまとめて吸えば口内に広がる幸せの味 (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 冬が来た

    こぽこぽとお湯の沸騰する音がする蒸気口から湧き出る蒸気は真っ白で部屋の寒さを物語っている私はティーバッグの包みを開けてマグカップにティーバッグを入れたもうすでにお茶の良い香りがするそこにお湯を注いでふーふーと息を吹きかけると白い蒸気が顔にかかった冬が来た冷たい朝に飲むあつあつのお茶蒸気の白さにかじかむ手寒いのは苦手だけれど寒い中見られる白い蒸気と冷たい手をあたためてくれるマグカップ体の芯に熱を注いでくれる熱いお茶これらを味わえる冬は案外嫌いじゃない気がする (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 安心は次の日睡魔になる

    安心は次の日睡魔になるほわほわとなんだか浮いた心地でふかふかな雲の上に横たわっているような安心感という綿に包まれあたたかさを感じながらそれは睡魔のしわざだと囁かれてその手を取るか否か今日は委ねてみようかなそう思い私は睡魔を受け入れる静寂が子守唄となり私は眠りへ落ちていく (ランキングに参加しています。よければ応援お願いいたします。)

  • 詩集を出します

    ComicVket3に当選いたしましたので、開催日の令和5年2月23日から詩集を2冊、販売しようと思います。 実際は3冊ですが、こちらのブログに綴ったものをまとめたのは2冊です。 1冊目はTwitterやここに綴ったものをまとめた詩集 amatsui0.booth.pm 2冊目はそのうち、希死念慮などの概念を含んだ暗いものをまとめた詩集 amatsui0.booth.pm どちらも文庫サイズ約90頁予定。通常版は500円、ダウンロード版(PDF)は300円です。 現在予約受付中です。何卒よろしくお願いいたします。

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