1. 碇 泊

やあ店長、調子はどうです？」 なじみの軍服が2人。臨検の名目でサボりに現れた。 「さっぱりだね。 ここんとこの残党軍騒ぎで すっかり客足が鈍ってる。 最低1ケースは飲んでいってもらわないと困るよ」 主に月と地球の間で商いをしているストアシップ。この手の船の大半は一年戦争で廃業したが、戦後の積極的な艦船の払い下げにより、再び増え始めていた。横にはミサイルフリゲイト艦、レパント級ターンブルが...

2. 編 成

サイド3の外側に位置するごく小さな暗礁地帯。ガガウル級が潜むには十分すぎる規模である。実質、隠密部隊のレオノワは茨の園へは向かわず、解除した武装の再艤装、保管MSの引き上げと部隊再編のため、暗礁に紛れた。 「拾った〝タートル〟はどうだ。使えそうか？」 頭部のないジムキャノンⅡがハンガーに収まっている。他にも損傷はあるが、状態は概ねよさそうだ。タートルとは残党軍側がつけた別称である。 「よう...

3. 下 拵

物資の調達はよろず屋の真骨頂。レオノワの艦体はマットグリーンに塗り替えられつつある。イーザンは懐かしく思う反面、ジオンのものとは少し違うと感じていた。わずかに彩度が高く、ほんの少し青みが強い。やや真緑寄りの印象だ。しかしこのご時勢、塗り替えるだけの塗料を用意出来たこと自体、御の字である。 「大尉、どうです？〝LEONOVA〟だけ残してみました。 完全に自分の好みですけど」 遊びで残しておいて、あ...

4. 在 処

コンテナ流用のハンガーはお世辞にも広いとは言い難い。三機を収めることは可能なのだが、ある程度の整備となると三機同時は不可。基本的にはヒューゴ機以外、舷側繋止となっている。ケイシィは今回、ハンガー内でタートルの調整を行なっていた。 正直、センサーの都合で射程は落ちた。モニタの解像度もほんの少し甘い。だが、再現度は悪くない。より補正すれば、以前のカメラと同等にもっていけそうだ。照準リンクももう少し...

5. 水 端

艤装・再編・補給。全てを終えたレオノワは、人知れず暗礁を離れる。ヒューゴのリック・ドムⅡは当然のごとくハンガーに収まり、バージルのザクⅡ-F2は左舷のドッキングベイに。ケイシィのタートルは、ドッキングベイ撤去済の右舷に予定どおりワイヤ繋止とした。 目指すはデラーズ・フリート本隊への合流だが、道中の戦闘が陽動となってもいい。ただ、やみくもに戦うのはまだ早い。イーザンはそう考えていた。 「大尉、調...