無駄を愛する

現代人が一日に接している情報量は 江戸時代の一年分 平安時代の一生分などとも言われている インターネットが全てを加速した 最近じゃ映画を倍速で見る人や ショート動画なんかも隆盛だ 長い文を読めなくなっている人も多いと聞く 言葉の背景まで読み取る力を無くし 表面的な言葉の印象で脊椎反射 答えのないものに 短絡的な解答を出して 消化したつもりになっている 僕も気をつけてはいるが ついつい、ネット記事の見出しだけ見て パッと反応しちゃったりする 何かをネットで調べると 答えらしきものが出てくることはある でもそれで 何かを知ったことになるのだろうか？ 薄っぺらい知識は身につくかもしれない しかし、知恵は身につかない 知恵には心の動く体験と感情が伴うものだ 情報に囲まれれば囲まれるほど 私たちは洪水に飲み込まれるように 自分自身を見失ってしまう 一つ一つの情報を自分で消化する前に 次々と新しい情報が流れ込んで 頭がいっぱいになってしまい 考えることができなくなる 思考停止というやつだ するとどこからともなく 混沌の中から物知り顔で 君の代わりに私が考えた答えを わかりやすく教えてあげようという 輩が現れる ソクラテスがボコボコにした ソフィストみたいな奴等だ 混乱は不安を生む 安心のために答えを探す それ自体は悪いことじゃない ただ全ての答えは （仮）状態ってことが大切だ 他人の言ってることならなおさら、だ 今一度、ソクラテスまで立返ろう 僕たちは「本当は何も知らない」 これが全ての前提だ 偉大な哲学者イエス・キリストは こうも言っている 「たとえ全てを知っていたとしても 己に欠けるものは 全てのところに欠けている」 外からの情報の洪水で 自分の頭と心を削り取られてはいけない スピードと効率？確かに時間は大切だ しかし、節約した時間の余りを 一体何に使うのか？ 現代社会で生きるという事は 洪水の只中で 己を削り取られ続けているようなものだ 高度にシステム化された社会は 己から名前と顔を剥ぎ取って 人間をただの歯

埋め合わせる

ポッカリ空いた心の穴に とりあえず「詰め物」でも入れて 埋めようとする 人の心はそんな風に動くときがある とりあえず 一時はさみしさと不安が遠のく そう思い込む 穴が開いてることに無自覚だと 穴を「詰め物」で埋めようとしてることも 自覚できない 自覚せずに埋め合わせると とりあえず穴を塞いだ様に見える 「詰め物」に依存する危険がある それが無いとダメだと感じてしまう危険 あるいは「誰か」に依存して この人がいないとダメだという危険 所詮は「詰め物」に過ぎないのにね 勘違いをしてしまうんだ 開いた穴から吹き込んだ 冷たい悲しみと寂しさにさらされて むき出しの心が身を震わせる とっさに穴を塞ごうと 外へ飛び出して 「詰め物」を探してしまう あるいは塞いでくれる 「誰か」を 本当はその時向かうべきは 外ではなく内側だ 開いた穴のまっただ中をのぞき込み 絡まった原因の根っこを見つけて 自分自身の勉強をするときだ 穴が空いたのはなぜか？ 「詰め物」で蓋をすると その下にある原因の根っこに気づけない 悲しみと不安は広がり続ける 辛い 何もかも投げ出したいようなときに 気力を出して向き合わないといけないなんて でも それに気づくまで、何度でも人は繰り返す 何度でも 何度でも

毒をもって毒を制する

今日聴いた音楽で印象に残ってるのは FEARFACTORY DISTURBED ARCHENEMY SOULFLY どれもやかましくて騒々しいものばかり 連休に入る直前の最終日で 朝出勤したときからとっとと仕事を終わらせて 早く帰りたい気持ちでいっぱいだった 無意識にイライラしてたのを鎮めようと 最初はピアノのインストや 癒やしの音楽を効いてたんだけど どうにもしっくりこない 試しに思いっきり真逆の メタルを聞き始めたら気持ちが不思議と落ち着きだした ホメオパシー的な効果 同類は同類で癒やされる 脳内、心の不快なノイズを 外部からのノイズで打ち消し合った どうやら油汚れは油で洗うと落ちるようだ

モブサイコ

モブサイコのアニメ3期がもうすぐ始まる とても楽しみである ワンパンマンが好きだから 同じ作者のモブサイコも見てみよっかなって 軽い気持ちで見はじめて 1期の最初4話くらいはちょっと微妙かなって感想だったけど 話が進むにつれてどんどんとハマってしまった 今ではワンパンマンよりモブサイコのほうが好きになり 続きが気になって原作のマンガも買ってしまった 番外編のREGENも買ってしまった この作品の何にこれほど惹かれるのだろう？ 特別な何者かになることを目指すのではなく ありのままの自分を認めて生きること その上で人と関わり成長していくこと モブが 周囲に良い影響を与えているのは 誰よりも優れた超能力を持っているからではなくて 誰よりも純粋で、誰よりも倫理的な存在だから ままならない自分を抱えて 不器用ながらも自分の現実とまっすぐ向き合う姿は 周囲のキャラクターに良い影響を与えて それがまたモブの成長へとフィードバックされる 正の循環 さえない自分が異世界に転生して 特別な能力を発揮して大活躍 そんな作品が多い昨今は 人間の本質ではなく スペック重視の時代の空気を感じさせる 今よりもっといい見た目に生まれて 今よりもっと賢く生まれて もっと自分に力があれば もっと自分に金があれば もっと、もっと・・・ 果たしてそれで幸せになれるのだろうか？ モブサイコは はっきりとノーを突きつける ストーリーが進むにつれて モブの超能力（スペック）ではなくて その人間としての在り方に惹かれ 自分もそのように生きていたいと思わせられる コメディな作風と独特のユルいアートワークの背後から 人として生まれて生きていくとはどういうことか そんな本質論がスッと心に投げかけられる 制作会社変わって作画のクオリティ落ちたりしないか心配だったけど 1，2期から引き続きボンズが担当 素晴らしいアニメーションにも期待大 楽しみだな～

パラフレーズ

自分の考えを持っている人は 自分の言葉を持っている 僕は社会学者の宮台真司さんに強い影響を受けているのだけど、宮台さんは宮台用語を持っている ぱっと思いつくところで クズ（法の奴隷・損得マシーン・言葉の自動機械）、クソフェミ、ウヨブタ、即死系…etc 誰かと対談している動画でも、相手の言ったことを「僕の言葉でパラフレーズ（言い換える）すると〜」って感じで自分の言葉で言い換えて発信する場面をよく見る 人と話しているとき 何処かで聞きかじった内容を誰かから借りてきた言葉で話している人と 自分の考えに落とし込んで自分の言葉を使って話している人ではハッキリとした違いを感じる 誰かに強く影響されると その人の言葉を借りてきて使いがちになることがある 僕も人と話している時に 宮台用語を使ってしまう時がある 何を学ぶにせよ インプットしたものを 自分の言葉でアウトプットすることで 一段と心に染み込むし 体験と結びついた言葉は 知識から知恵になる 心の中に 自分だけの辞書を作ろう

骨と皮

筋トレは良い 何が良いって、メンタルに効く 鬱屈した感情をため込みがちな毎日に ほどよいガス抜きとなるし 何事もなかったような一日でも 何かをやったという気持ちになる 少し前まではマッチョ目指して 筋肉をつけることを目標にしてたけど 最近はもっぱらメンタルのために 体を動かすというのが目的になっている もともと痩せ型の体型で 健康診断のBMIってやつでは いつも「やせすぎ」判定 子どもの頃は もっと飯を食って太れ 細すぎてみっともないぞなんて 大人達から言われたりしたものだ 「骨と皮しかない」みたい、なんてね そうした言葉は無意識の呪いとなって 心の奥底まで染みこんでたから ずいぶんと長い間、人前で肌を露出することに 激しい抵抗を感じていた 小中高の身体測定 苦痛 プール、体育の半袖半ズボン 苦痛 細い自分が嫌で自分を変えるために 自分に自信をつけるため筋トレしてマッチョになりました って人がいるけど 当時の僕の心はそんな風にはできていなかった 「骨と皮みたいでみっともない」も 「もっと飯を食って太れ」も 見た目の虚弱さを心配した愛の言葉ではなくて 大人の理想を押しつけた都合のよいコントロールの言葉だと感じていた なので 飯をたくさん食べて立派な体格になるなんて 大人に褒められそうなことはまっぴらゴメンだな それが僕の考えだった 単なるへそ曲がりと言われればそうかもしれない しかし 誰かに押しつけられた理想になりたいとは思わなかった 僕は僕のままで僕である 大人になって ここ最近筋トレしてるのは 僕のままの僕が「筋トレしたい」と思ったからである 長く苦しんでいた 「お前は細くてみっともない」という呪いは 二十歳くらいの頃に出会った女の子に言われた 「吉田君は細くて羨ましい」という言葉がきっかけで ほどけていった 羨ましい？このヒョロい見た目が？ 僕にとっては衝撃的な一言 言葉には魔力がある 支配とコントロールの為に使われる呪いの言葉もあれば 自由の言葉が心を解き放つこともある このブログのタイトルを何にしよ