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ゆる恋でいこう https://yurutumuri0916.blog.fc2.com/

傾向としてはうすい感じの創作BLです。ハグやキス、前後のやりとりみたいなものはありますがほぼ最中の描写はぼやかし程度です。一緒にご飯食べているとかくつろいでるとかただただ主人公がみんなに愛されていてハッピーエンドみたいな話が多いです。

ゆるつむり
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2022/09/17

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  • いまハマっていること

    久しぶりに何か書いておこうかなぁ……って。 すでに書いたものをもっと色んな形に変えたくて書き直しているところ。色々つけ足したり、引いてみたり、ちょっとだけ結末変えてみたりして楽しんでいる。そのうちここのも張替えようと思ってる。誰かが言ってたんだけど、全くのド素人が好き勝手書いているものでも色んなものみたり色んなもの書いているうちにそれなりに成長したり知識が増えていたりしてどうしても書き直したくなる...

  • 11月になったら…

    寒くなってきてようやく頭も回るようになってきたからまた新しい話書こうかな…今までの話は読み返すと書き直したいところがいっぱいあるからちょっとづつ……ごろっと話が変わってるところとかもあるけど、これはこれでいいなぁ…なんて思いながら、そのうち張替にこようと思ってる。キーボード打つのも大好きだけど、編み物もまた始めたい…色んなところぼんやり歩きたい…(ピクミンのやつ始めたから)11月になったら本格始動しよ...

  • 一つ夢が叶った…

    なんてことない夢なんですが、夢が叶ったんです。それは「世界に一冊だけの自分だけの本」。実は高校時代、とても話の合う古典の非常勤講師の先生と話している時に「SS(ショートストーリー)って知ってる?」と聞かれ、どんなものかを聞いて面白そうだと思って書いていたことがあります。なんの関連性もない言葉を3つ出してもらって、大学ノート見開き2ページに話を書いて、出来たらそれを添削してもらう…。楽しくて一晩で書い...

  • いろいろ振り返ってみると…

    好きなこと書くだけ書いてペタペタ貼って…ご覧いただいた方もいらっしゃって…びっくりしたり恥ずかしいなぁ…と思ったりありがたいなぁ……と思いつつ、落ち着いて読み返すと「ココ変えたいなぁ…」と思うことも出てきたので、今ちょこちょこ修正中です。日常生活でもDIYは好きなのでそんな感じで楽しいです。気が済んだらまた新しい話書きたいなぁ…と思っています。自分が作った大好きなコたちなんで……...

  • 優しいぶきっちょさんな彼と甘えたさんの休日

    一週間のお疲れさん…金曜の夜は一番自分を褒めてやりたい時間。 リビングの長ソファに座り最近お気に入りのブランデーを飲みつつ、最近ハマっている海外ドラマのDVDを鑑賞している宝生の耳に恋人で同居人の安斎の叫び声が聞こえた。 …声の主は今、風呂に入っているはずだ。さしずめスベッて転びそうになったかシャワーの水と湯を間違えたか…。 どっちにしろ賑やかな奴だなぁ…と暢気に構えて目線を画面に戻したその時。 ...

  • 守りたい温もりの君

    あるよく晴れた秋の日の昼休み。 精査している書類の内容でちょっと丸山に確認したいことがあった長官付の秘書官・箱崎が室長付詰所を訪れ部屋の中を覗くと、いつもいるはずのデスクにその目当ての人物はいなかった。 大体は昼休みでもパソコンに向かって仕事をしている丸山がいないことを不思議に思って「コーヒーでも買いに行ったのかなぁ…」と思いつつ声をかけて部屋に入ると… 最近設けられた「みんなで節電アクショ...

  • 焼きたてをあなたに…

    「お疲れでーす…」 「あっ、結衣先輩っお疲れですっ!…昨日来ましたよ!」 「えっ!!!マジ???うっそおおおお…えっ何時ごろ??どっち??」 「あ~ツーブロイケメンの方。閉店ちょっと前くらいですかね~」 「あああああ~マジかぁ…合コン行ってたあああ…実りのないやつぅ…しくじったぁああ」 「おとつい結衣先輩が遅番の時は私いち推しのメガネ美人だったんですよね~…拝みたかったぁ…」 空がオレンジから紫に染ま...

  • いつもいつでもいつまでも 後編

    ……ったく、あのむっつりの巨人が……退治してやったわ… 三次会での一幕を思い出し、助手席に座る丸山の右頬を見てあのダイソン並みの吸引力でつけられた赤みが消えていることにホッとした高木。 出発する前に東京に帰ることをLINEしたら「あんまり覚えてないんだがごめん」と律儀に頭を下げにきた。 丸山は気にしていない旨を伝えて「東京来たら絶対に声かけてくれ」とにこやかに話していて…「ほんとにあんな華奢なコで大丈夫...

  • いつもいつでもいつまでも 前編

    「いい式だったな」 「あ~ほんっとに…でもまさかあいつがなぁ…」 「できちゃった婚なんてなー」と陽気に笑う運転席の高木の横顔を見て苦笑する丸山。 秋たけなわの3連休2日目。 前日に小京都・金沢の自然に囲まれた結婚式場で盛大に行われた丸山と高木と五嶋の同期で高木の後任者でもある竹内の結婚式。 高木と丸山は竹内の招待を受けて式に参加するべく仕事を調整してお互い溜まりに溜まった代休を最終日にくっ付け...

  • 可憐で清楚でクラシカルな君と その4

    よりぬき 「なんだ…まだ見てるのか」 「……うん」 高木が帰った後シャワーを済ませてリビングに戻ってきた宝生がこちらに背を向けて例の卒アルを見ている安斎を見て苦笑交じりに声をかけた。 タオルで髪を拭きながら安斎の横に座った宝生に安斎がある写真を指差して見せた。 同じ回で走っている他の走者が観客と思しき人物やら教師の手を引いて走っている中、緑の鉢巻きを付けた安斎が丸山を引っ張って走っている写真...

  • ユウアイスウなふたり

    ある晴れたった秋の日の昼下がり。 いつぞや安斎に呼ばれて行った丸山と安斎の母校で出会った思わぬ恩恵が目の前で秋の風に吹かれてユラユラ揺れている。 こういうカラッとした天気の時にこうやって虫干しをするんだそうだ。 前々から見たかった映画を見終わって、リビングのローテーブルに片肘をつき何するでもなくボンヤリとしている高木の視線の先には、青空…ではなく白筒袖と黒の馬乗袴と角帯…そして白足袋。 自...

  • 可憐で清楚でクラシカルな君と その3

    ……明けて月曜日の昼休みの人事調整室。 愛妻弁当を食べ終わり、お弁当箱を愛娘の美玖が家庭科で作ったというお弁当袋に入れてお茶を飲んでいた高見沢のもとに高木が顔を出した。 「高見沢せんぱ~いお疲れさまです!」 「…おっ高木、珍しいじゃんお前が俺ンとこ来るなんて…どした、なんか相談か?」 「相談じゃないんですけど~…ちょっと聞きたいことが…」 「………?」 「ちょっとここでは…」といつものフランクな笑顔で...

  • 可憐で清楚でクラシカルな君と その2

    そして30分後…… 「なんちゅうこっちゃああああ……」 「……同感だ…」 シン…と静まり返ったリビングにぽつりと落とされた、萌えと滾りがギュッと凝縮されて自分たちもどうしていいかわからないといった高木と宝生の呟きと… まるで暇つぶしで人間を試すのに下界に降りてきた悪魔のようにその様子を見ながらクスクス笑っている安斎と… ……そしてその中心にはあるページが開かれたままの2冊目の卒アル『自由闊達』。 ...

  • 可憐で清楚でクラシカルな君と その1

    その日… 高木は昼休みを過ぎたあたりから逸る気持ちを抑え込むのに必死になっていた。 …とうとうこの日が…待ちわびたこの日が…俺的「Amazing Grace」が… とにかくウキウキワクワクが止まらない…書類をめくる手にも電話の受け答えをする声のトーンにもハンコを押す手にもとにかく… 「……あ…」 小さく声をだしバインダーに挟まれた書類をしばらく眺めている高木の様子に、ふとパソコンの画面から顔をあげた星野が声...

  • だってそれは運命の人 その4

    「……あれは…賭けだったよ…」 ベッドサイドの萌黄色の灯りにほわりと浮かび上がる室内。 「お前を信じていて…よかった…」 抱き込んだ愛おしい背の向こうからポツリと呟かれた声に… …高木は言葉の代わりに目の前の艶やかな黒髪にそっと口づけを落とした。 *************降りしきる雪の中をやっとのことで家にたどり着き「かわいい子」に傘を貸してほとんどびしょ濡れになっていた高木をとにかく先にバスルームに放...

  • だってそれは運命の人 その3

    結局15時過ぎあたりから降り出した雪はだんだんとその激しさを増し、部下たちを早めに帰宅させて全員の無事を確かめた高木が解放されたのは19時を少し回ったところだった。 時間的には思ったより早めで他の係長も遠方から来ているところから戸締りを引き受けて、できる限りの防寒をして職場を後にし… いつもなら15分ほどで着く最寄り駅も大幅にダイヤが乱れているのもあって40分ほどかかったがそれでも難儀なことになら...

  • だってそれは運命の人 その2

    2年前。 年明けてまもない本庁は新年には似つかわしくない少しばかり物々しい雰囲気でその幕をあけた。 原因となった事案が起こったのは1か月ほど前。 12月初旬にも関わらず実は北海道より雪が多いと言われる北陸地方でも珍しく、24時間の予想降雪量が50センチを超えるかもしれないと言われていたその日に強行された北陸警備方面隊で毎年豪雪の日をわざわざ選んで実施される耐雪訓練。 時期を外れた豪雪は特に危険で経...

  • だってそれは運命の人 その1

    師走と言われる月がやってきて街中クリスマス一色という時期で… 朝からずっとどんより天気でおまけにこの時期には珍しく雪でも降りそうなくらいの底冷えと低く重い雲が空を覆っていて… …昨日見ていたニュースの天気予報では約四半世紀ぶりくらいの12月初旬の東京初雪かっていうくらい珍しい天気だそうで。 朝、いつも通り出勤していつも通りコーヒーを買いに自販機コーナーに寄ったら… 「係長お早うございまーす!…係長って...

  • おだぎりさんの奇妙で愉快でちょっぴり切ない休日 その3(完結)

    「もっと「息子よ会いたかった~!!」ってハグするとか感動的なものかと思ったんだけど…案外落ち着いてるねお父さん」 「…うーん…これでもかなり感動もしてるし動揺もしてるんだけど…」 「とりあえず落ち着かないとね」と言いながらコーヒーを淹れてソファーに座る息子「千明」の前にカップを置き、自身も愛用のマグカップを持って定位置に座った。 衝撃の再会から10分後… 32年前に悲しい別れをした息子・千明がどういう...

  • おだぎりさんの奇妙で愉快でちょっぴり切ない休日 その2

    「じゃあ、じいじ、千明お兄ちゃん、行ってきます…じいじ、千明お兄ちゃんと仲良くしてね!」 「じゃあ私たちも行ってきます…お父さん、千明のこといじめないでよ!」 「…そもそも仲悪くないし…いじめてませんよ…」 「千明もっ!お父さんがまたなんか言ったらすぐに私に教えるのよ!やっつけてあげるからっ!」 「大丈夫だよ姉さん…それよりも今日は一日和成さんと楽しんできて。美玖ちゃんもばあばの言うことよく聞いてね」 ...

  • おだぎりさんの奇妙で愉快でちょっぴり切ない休日 その1

    それまでの鬱々とした気分が一掃されたような雲一つない青空。 官公庁街の中心に位置する公園の一面に広がる緑が、梅雨の中休みの恩恵を受けてその青々とした 若草をより一層美しく輝かせ…のんびりとくつろぐ人々の目を喜ばせている。 その広場の真ん中で、梅雨の晴れ間の陽気に誘われ日頃のストレス発散とばかりにキャッチボールをする自分と…もう一人…テンポよくイイ感じに続くキャッチボールに何だか楽しくなってきて、昔取...

  • テンタシオンな君とネクタイの話 後日談

    ……あれから数日後。 高木は「ちょっと相談に乗ってほしい」という世にも珍しい宝生からの誘いをうけ、仕事でちょっと遅れていくという丸山より先に指定された個室仕様の居酒屋に顔をだした。 「……高木さん、何とかしてくれ。アンタの後輩だろ?」 「いや…うん…俺の後輩でもあるけど……それは…丸山に頼んだ方がよくね?」 「そんなことしたら千明が気に病むだろ?」 「…俺にとっても頭痛の種なんですけど…」 土曜日に丸山に自...

  • テンタシオンな君とネクタイの話 その8

    「……いやあ…そうくるとはなぁ…驚いた」 「…同感だ…」 「ふふふ…大変だったな二人とも…それにしても思い切ったことするなぁ藤野も」 日も変わって間もない丸山と高木が住むマンションのリビングにて。 リビングのローテーブルにビール片手にぐったりと頬杖をつく高木とその横で同じくビール片手に胡坐をかく宝生に、すっかりマストアイテム化した檸檬堂うま塩味を手に話を聞く丸山。 30分ほど前。 小田桐との会食の後、行き...

  • テンタシオンな君とネクタイの話 その7

    「藤野君は…君をライバルとして認識してるみたいだねぇ…というより君にとって替わりたいって感じかな」 「…え?」 この日、長官の代行で監督官庁の省庁間連絡会議に出席していた小田桐に随行していた丸山は夕食にはちょうどいい時間だからという小田桐の誘いに応じ、個室仕様の創作和風料理のレストランで会食をしていた。 以前小田桐の旧知の警察学校長にベタ褒めされたほどの育ちの良さが垣間見える美しい所作で目の前の料理...

  • テンタシオンな君とネクタイの話 その6

    きんきんきらきら金曜日。 いつも通りの午後の課業が始まりを告げ… 藤野は一人で大量の書類を目の前の段ボールに仕分けながら、後片付けをしていた。 高木率いる会計課のプロジェクトの案件はほぼ終わりを迎え、一か月間の藤野の臨時勤務も残すところあと2日となった。 提出すべき書類は整ったし、予算だって確保できた…あとは何かトラブルがなければ後処理をするだけで終わり… 藤野は一か月間、業務と打ち合わせに使ってい...

  • テンタシオンな君とネクタイの話 その5

    「……ねぇ…わっかりやすいよねぇ…アレ」 「いたよね、学生の時…狙い定めた男子に心の肉食獣むき出しなコ」 「まさにあれだね…」 「…うん」 「…ご令嬢に強力ライバル登場か?」 「由緒正しい深層のご令嬢に…そうねぇ…起こした事業が大当たりして一代で財産築いた成金の娘…ってとこかしら」 「……ジゴロどっちに靡くかしら…」 「ジゴロってさぁ…女にお金貢がせて生きてる最低な奴じゃん…それがご令嬢と出会ってご令嬢と釣り合う...

  • テンタシオンな君とネクタイの話 その4

    「目ぇ離すとこれやから…」 「…ふ…ぁ…」 夕暮の透過した茜色の陽射しが細く差し込む一室のブラインドを下ろした窓にその身を押し付けられ、目も眩むような激しく甘い口づけを受けながら体の線をなぞる様にすべる優しい手つきによって奏でられる衣の滑り落ちる音。 一枚また一枚とゆったりとした手つきで剥ぎ取られる己を公人として象っていた鎧が床に滑り落とされるたび、丸山の躰が小さく揺れた。 「俺はな…丸山」 「んっ…」...

  • テンタシオンな君とネクタイの話 その3

    …どうなってんだっ… ちょっと仮眠してネタ仕入れようと先輩を訪ねたら…… 「…室長付ですか?先ほど室長が来られて外勤にいってもらったからって」 「外勤??そんなの急に入ることあるんですか?」 「ええ、珍しいことではないですよ?ねぇ、平井さん?」 「室長付の予定なんてあってないようなもんですから」 「………」 …というよくわからない返事があの相崎と平井っていう職員から返ってきて…今日の打ち合わせにぶち込めるネ...

  • テンタシオンな君とネクタイの話 その2

    ……ちょろいもんだなぁ…本庁って言っても。 間借りしている会計課倉庫に設置してもらったデスクに足を投げだし、脱力しきった姿勢で買って来たコーヒーを飲む藤野。 デスクの上には丸山に「あくまで参考に」と丸山が作成した資料の山…ゴミ箱には何枚か貼られていた丸山直筆の付箋… 手元にあったバインダーに挟まれた資料を気だるそうにパラパラとめくり、面倒くさそうにデスクに放り投げると大きなため息をついて今度はすぐそば...

  • テンタシオンな君とネクタイの話 その1

    「アレっ!なんなのアレっ!高木っ!」 「ほんっと頭に来ます!あれは何なんですか!!!高木さんっ!」 「係長っ!アレなんとかしてください!」 「あんなの野放しにしてていいんですかっ!!!」 「私たちの聖域を守ってくださいっ高木さんっ!!ねっゆきの!」 「そうですっ!このままじゃ私たち安心して萌えられませんっ!」 「…ええええ…俺ぇ???」 …秋晴れの青空が目に眩しいある日の朝… 会計係長の高木は同期...

  • 今日までそして明日から last scene

    朝から降り続いている雨は夜半になっても止むことはなく梅雨が再び始まったことを意味していた。 この日、小田桐は同じ人物に恋しているもの同士でもあり部下でもあり飲み友達でもある高木を誘ってサラリーマンの聖地と言われている界隈の焼き鳥屋に来ていた。 食欲をそそる匂いと煙のなか、決してお世辞にもきれいとはいえない店内には仕事帰りのサラリーマンが所狭しとひしめき合って賑わいを見せていた。 適当に頼んだ焼き鳥...

  • 今日までそして明日から scene2

    「うぅ~…終わったぁ…我々チームサッチョウの勝利だぁ~!!」 「我々の勝利をお天道様も祝福してくれてますよ係長!」 「ほんとだなぁ…おっ、昼時かぁ…星野、お祝いになんか食っていくか!俺、奢ってやるよ。お前には連日無茶ぶりもしたし」 「えっ!…あっ、いいですよぉそんなの……でも、腹は減ったし係長と祝いメシは食いたいです!なんにします?今の時間だったらどこもいっぱいだしなぁ…」 昨日の天気予報ではここしばらく...

  • 今日までそして明日から scene1

    その日は…… 昨日の晴天が嘘のように明け方近くから降りだした雨はその勢いを徐々に増してきて東京の街を墨絵色に染めていた。 毎日の日課である各部署からの書類の精査に立ち会ってデスクの横に立っていた丸山は、窓外の空模様に向けていた視線を先ほどから会議資料の精査に神経を集中させているこの部屋の主にそっと落とした。 しんと静まり返った部屋に外の激しい雨音が小さなノイズのように低く響いていた。 丸山は小田桐の...

  • 君の馨りは…

    …う~ん…わからない… そろそろ街中にクリスマスソングが流れだしたある日の昼休み、長官官房室室長付詰所にて。午前中に実務者講習会に出ていたはるは、外に出たついでにキッチンカーで買って来た「キノコのデミグラスオムライス」を食べ終えて片付けを済ませると、早速スマホを取り出して慣れた手つきであることを調べ始めた。 つい先日、丸山の運転でお茶菓子買いに行った時も…その前に郊外のショッピングセンターにゆきのと遊...

  • 頑張る寝落ち王子

    「ねぇ宝生…眠くない?」 「……いや?」 「………」週の終わりの金曜日の宝生と安斎のマンションにて。 珍しく割と早い時間に仕事が終わり、家でのんびりと過ごしている二人。 安斎はラグにペタリと座ってチューハイ片手にスマホでネットサーフィンをしていて、宝生はソファーに座ってブランデーをロックで飲みながら愛読書の科学雑誌『nature』を読んでいて… さっきから何度か同じ質問をしているものの、件の男は雑誌の中で繰り...

  • 面白いことはとりま上司に報告

    ~テンタシオンな君とネクタイの話 その1~の小話的なもの。ある日の昼休みの会計課にて。 食堂で昼食を済ませ事務所に帰ってきた高木の部下の星野と土井が、あんぱん齧りながらパソコンを操作している高木の元にやってきた。 「係長~面白い話してあげましょうかぁ~?」 「面白い話?」 星野が高木に話を持ち掛け、パック飲料専用の自販機から買って来た「霧島山麓牛乳」を飲みながら小首を傾げた高木に、土井が星野の後を...

  • …もう一歩近づいて… その4

    高木は一緒に飲んでいた安斎と別れ、最寄駅からマンションに続く坂をゆっくりとした歩幅で歩いていた。 本人は知られたくなかったかもしれないが、自分と出会う前にそんな心の痛手を負っていたなんて… 知らなかったこととは言え、胸を締め付けられる。 ……あの日、カフェテリアで会っていたという女性とはどんな訳があって会っていたのかわからないが… たった2日…顔見てないだけなのにこんなにも気になって…あいつのこと全幅の...

  • …もう一歩近づいて… その3

    ……こんなこと初めてだなぁ… 今日やっておくべきことは終わらせてみたもののなんとなく気分が乗らないと他の仕事は諦めて早い目に帰ろうとパソコンの電源を落とし、小さくため息をついて背後にあるロッカーからビジネスバックとコートを取り出し身支度を整えた。 スマホを確認すると高木からのLINEで「ちょっと飲みに行ってきます。日が変わるまでに帰ります!」の一文と水色のカエルが敬礼している横に「お疲れ!」とコミカルな...

  • ある官僚たちのランチトークにて

    *唐揚げ定食大好きコロ助係長と高木君が昼食とりながら丸山君で妄想しているだけの話。お昼休みは大好きな時間…職員食堂には5種類ほどの丼ものと3種類ほどのパスタとラーメンと2種類の定食、日替わりAランチとBランチ…Aランチは和食もの、Bランチは洋食もの。 その見た目と佇まいのユルさからコロ助というニックネームで親しまれている総務局総務課の総務係長、警視・五嶋健助が愛してやまないのは唐揚げ定食(800円)。 ...

  • …もう一歩近づいて… その2

    「……あ?」 「だからね、昼休みに丸山が」 「…それ、どこ情報?」 「昼休みに外にランチしにいってたうちのコと人事課のコの目撃証言だって。例の自販機コーナーでめちゃくちゃ盛り上がってたよ。スマホの写真もあるし確かな情報じゃないかなぁ…」 「……へぇ」 会計課に後払い請求書を出しに来ていた五嶋がいつものように「高木~コーヒー奢ってよ~」とやってきて、めんどくさそうにしながらも自販機コーナーまでついてきて五...

  • ゆる友たちの日常風景その8~もう一歩近づいて~

    想いが通じてから気づいたことがある。 滑稽な言い方かもしれないが俺は丸山のことを何があっても一生離したくない…と本気で思っている。 …今、自分の横で安らかな寝息を立てている恋人も…同じ思いだと言ってくれた。 不満はないしむしろ幸せすぎてどうにかなるんじゃないかって思っているくらいで… …でも…あと一歩…二人の間に距離があるような気がするのは…どうしてなんだろう。 **********「だからねっ!見ちゃっ...

  • 色づく紅葉のひと

    一日中働き通しだったパソコンが静かな音をたて、その日の役目を終えた。 警察庁長官官房室室長付詰所。 二人の部下は大分前に帰路に着き、詰所内に残って今日のうちにやってしまっておきたい仕事を終わらせた丸山は、手早く机の上に広がっていたファイルや書類を片付け両腕を上に突出して事務椅子の背もたれに凭れ掛かりながら思いっきり伸びをした。 反らした顔の目線の先に見えた天地逆になった壁掛け時計が22時半過ぎ...

  • 島田くんの恋

    「350円になりまーす、ありがとうございます!」 秋晴れの青空が目に眩しいある日のお昼時。 「和樹~また完売だなぁ~」 「へへへ…」 キッチンカーの中でコーヒーを担当している和樹と呼ばれた青年の兄が、表に立って売り子をしている弟の和樹に声をかける。 赤と白のチェックのテーブルクロスが敷かれた小さいテーブルの上に置かれた5つほどのバスケットのうちの一つ『生ハムとカマンベールチーズのカスクート』完売。 ...

  • お兄様とお買い物

    長官官房室総括局官房室長付詰所に勤務する女子職員・相崎はるには、誰にも譲れないお楽しみがある。 「相崎君、時間とらせて申し訳ないんだけど…お願いできるかな」 「はい!大丈夫です!」 「今日は平井さんが休みだから…午後からでも大丈夫かな?」 「はいっ全然大丈夫です!それまでに下調べしておきます」 「じゃあ私はこれから会議に行ってくるから…あと頼むね」 「はい、お任せください!」 はるの元気いっぱいの...

  • 夏のせいだ

    燦々と降り注ぐ太陽の恵み。 絵にかいたような入道雲とただただ青い青い空。 派手な水しぶきを上げて半端ない体力をフル回転させる子供…その子供を見守る日焼け対策バッチリの母親、プールに来たにも関わらず水に入らず、ずっとプールサイドでいちゃついているカップル…でっかい浮き輪にずっぽりとはまり流れるプールに身をまかせる若者… ここに来るだけで体力使い果たして死んだように寝ているオヤジ…あちこちで上がるやたらと...

  • 雪かきの恋

    節分も過ぎ、2月も半ばにさしかかろうとしていたある日。 東京はじめ首都圏とよばれる地域では記録的な大雪となり、街は雪のおかげで日常生活に支障をきたすほどの大混乱となった。 慣れぬ雪に足をとられて転倒する者、通勤通学の足を奪われて困惑する者、スタックして立ち往生する車、それを後ろから押す互いに見ず知らずの親切者たち、普段持ったこともないスコップで黙々と雪かきに専念する者… 街のあちこちにはかいた雪が...

  • よき友とよき夜を…

    24時間眠らない街・東京。 その一画にある官公庁界隈のコンビニで買い物を済ませた丸山は、帰路に着くビジネスマンの波に逆らうように歩道を闊歩し、自身のフィールドである庁舎のエントランスに入りエレベーターの到着を待っていた。 無意識に顔をあげ、エレベーターホールに設置されている時計には20:10の表示。 程なく到着したエレベーターに乗り3階で降りると、エレベーターホールを右に曲がったすぐの「総務課」...

  • コロ助係長のプリンター騒動後日談

    「高木っ!何なのコレ!」 「…え?お望みのものですが何か?」 庁舎3階総務課事務室の隣・総務課倉庫兼印刷室にて。 連日続く穏やかな週明けの秋の昼下がり。 会計係長の高木は昼休みが終了してすぐ、総務課の五嶋に呼び出された。 いつもなら「用事があるんならお前が来い!」と一刀両断にするところ、今日の予定から見て呼び出されることはすでに織り込み済みだったようで、高木は素直に担当の部下・朝倉ゆきのと2人総務...

  • 幸せな結末~本気が突然やってきた~

    なぜあの時、笑い飛ばせなかったんだろう? 2か月後に省庁を跨いだ大々的な会議が開催されるその準備とルーティンワークに追われ1週間ほど泊まり込みが続いたが、それが功を奏したのか仕事の進捗状況にも少しばかり余裕が出てきてとりあえずはこの土日くらい家に帰ってゆっくりしようと帰途についた金曜の夜のコト。 互いに多忙な身でなかなか一緒に過ごすことはできないくせに顔を合わせればお互い吹き出しそうな憎まれ口ばか...

  • 官僚男子たちの秋の修学旅行~温泉宿でのゆるい夜~

    それは一か月前のこと。 秋深し…といえど、まるで春のような暖かさが続いていたある日の昼下がり。 「あ~ぁ…そうだった」 午後一番の公用便で届いた自分宛ての一通の封筒を丸山から受け取り内容を確認していた小田桐が何か思い出したようにポツリと呟いた一言に、書類の決裁箱に積まれた書類を仕分けていた丸山がふっと顔を上げた。 「何かお忘れになっていたことでも?」 「同期会なんだけどね」 「同期会?」 「うん…...

  • 二人の存在する理由

    外務省庁舎6階・国際協力局フロア。 「24時間年がら年中眠らないセクション」として有名なこのフロア…世界を相手に仕事をしている外務省だけあってその呼び名が単なる謳い文句でないことを示すかのように、一年でわりと手が空きそうなこの夏の夜でも半分以上の職員が昼間と同じように在席し自己の職責を果たしている。 そんなだだっ広いワンフロアをパーテーションで区切っただけの一番西側隅の一角…国際協力局海外開発支援室...

  • どたばた喜劇らぷそでぃ~ある官僚の結婚までの狂想曲~

    ある残暑厳しい土曜日の朝のコト。 午前9時を少し過ぎた日本の空は突き抜けるほどに真っ青で、でももうすっかり秋の色を漂わせていて… 約一週間のフランス出張を終え空の長旅から解放されて到着口を出た安斎は、スーツのポケットから携帯を取り出してメールをチェックした。 メル友が多いせいかすごいスピードでフォルダに振り分けられていくメール…その中でもほとんど使われることはないフォルダに「受信一件あり」の表...

  • 恋はご多忙申し上げます!

    ……こわ…こわい…誰か… 悪戯っ子のような風貌がこれ以上もないくらいに引き攣る… 額からは汗が噴き出し、訳も分からずさんざん追いかけ回されたのと何も悪いことした覚えないのにあれこれ考えて早くなっていく動悸…。 「…ど…どうしたんですか…みなさん…」 「今から順を追って詮議いたします」 「せ…詮議って」 「お…俺なんかした?」と恐々聞く男にこの徒党のリーダー格の女史が「お静かに!」と鋭い一言を投げかけ、男は体全...

  • 事実は小説よりも奇なりってマジですよ!

    ………ぱた。 世間はすっかり秋の色。 降り注ぐ柔らかい陽差しも、周りの木々も、道行く人の服装も…そして今、自分の目の前に置かれている「さつまいもとカボチャと栗の秋色パルフェ」っていうスイーツも…。 秋もすっかり深まり朝晩はコートが欲しくなってきたある日の昼時。 官公庁街の真ん中に位置するビジネスマンの憩いの場所というべき公園の一角にある老舗のカフェテリアの一席で、安斎は手にしていた小冊子を閉じ大きなた...

  • ゆる恋たちの狂想曲〜終章〜

    「えっ!ほんと??」 「うん、ほんと」 「…うそぉ……」 目の前の男の顔は舌先三寸でいい加減なこと言ってるとか、見栄を張ってるとか、妄想が暴走してる…とかを駆逐した無双の達成感が漲っている。 この前あった時は出会ったその日から12年間もの間、おおっぴらにもド直球にも秘かにも思い続けてきた自分の大親友でもあり自分の恋人の従兄弟でもある男とつい先ごろ想いが通じたのはいいが、その先にどうしても進むことができ...

  • ゆる恋たちの狂想曲〜第6章〜

      雨はだんだんとその激しさを増し、時折雷光が黒々とした雨雲の隙間に光を放つ。 朝の天気予報では今日、金曜日の夜半から日曜夜にかけて大雨と雷に注意が必要だと言っていた。 聞いてはいたけどまさか雨に降られるなんて…と小さくため息をつきながら、スーツを簡単に手入れをして掃除の行き届いた浴室のバーにハンガーを引っ掛けいつも通りに洗濯機のタイマーをセットしてから脱衣所を出た。 脱衣所のドアが閉まると同時...

  • ゆる恋たちの狂想曲〜第5章〜

    「ただいま」 「お帰りっ…雨大丈夫だったか?」 「坂の途中で降り始めたから…ちょっと濡れたけど平気」 そういって軽く振った髪の先から小さな雨粒がスーツの肩に落ちる。 細く息を吐きながら靴を脱ぎ、さりげない仕草で靴を整えてからふりむいた丸山の頭を首にかけていたタオルで覆い、軽く目を見張った丸山の唇に己のそれを軽く重ねる。 ほんの数秒重ねられた唇を解き、視界をタオルで遮られた小さな世界で優しげに微笑む高...

  • ある官僚のまったりでゆったりで怒涛で驚愕の日常(下)

    空は底抜けに青く…昨日に引き続き風はひんやりと冷たく穏やかな日曜の朝…。 あれから身支度を整え宝生の愛車に乗って一路、あの絵画のモデルとなっているであろう湘南の江ノ電沿線を目指し出発した完全オフのふたり。 安斎は昨日のスタイルで、宝生はインの白Tシャツに上下黒の細身のジーンズジャケットにステップインタイプの革靴というシンプルなスタイル… 自分同様、こだわり派の宝生は公人としてのスタイルもオフのスタイル...

  • ある官僚のまったりでゆったりで怒涛で驚愕の日常(上)

    「………違う」 「…え?」 都内でも一等地と呼ばれる中心地に佇むハイエンドホテルの最上階。 20畳近いリビングルームと10畳のベッドルームというかなり広め空間はこのホテルのコンセプトが生かされ、ややオリエンタルな雰囲気が醸し出された非日常的な空間。 ベッドルームにはダブルベッドが一つと間接照明と小さなサイドデスク。 蒸し蒸しじめじめとした梅雨の合間の、吹く風爽やか陽射し穏やかな土曜の朝… 宝生はそんな...

  • いい歳こいた男子たちの恋愛喜劇

    いつの時代も、胸中の理想と思惑と野望とを笑顔と機知に富んだ会話の中にチラつかせながら、お互いの見えない糸を切れないように手繰り寄せ腹を探り合う駆け引きを楽しむ催しというのは必要不可欠なものであるらしく…。 エントランスを入ったロビー天井にはこのホテルが改装されたときにも話題となったクリスタル製の煌びやかなシャンデリア。 次から次にやってくる招待客の対応に追われる受付。 ゆったりと荘厳なバイオリンの...

  • ゆる恋たちの狂想曲〜第4章〜

    あぁ〜いい天気だなぁ… ある日のお昼休み。 会計課の窓に頬杖ついて凭れかかり、高木はぼんやりと空を眺めていた。 連日続く好天の初冬の空高く、飛行機雲がその一点の曇りもない青空に綺麗な軌跡を描いている。 特に興味があるわけではないが空や景色を眺めるのは好きで、ついさっきまで薄く傷をつけたみたいだった雲は見ているうちにその輪郭がぼやけてなんだか気が抜けたような形になっていき「あぁ、明日は天気悪いんだな...

  • ゆる恋たちの狂想曲~第3章~

    磨き込まれた全面ガラス張りのフロアをぐるりと囲むように何十台ものトレーニング機器やランニングマシンが設置され、スイミングクラブやダンススタジオなどの設備も充実したフィットネスジム。 官公庁街からのアクセスもよく、仕事帰りに一汗流すにはうってつけの立地に位置する人気のジムは20:00も過ぎるとそれなりに利用者も増えてくる。 「…意外に続いてるんだな」 「………」 その中で都下の夜景に目を向けながらラ...

  • ゆる恋たちの狂想曲~第2章~

    その日の昼休み、偶然にも高木と一緒にランチしたときに聞いた胸の内。 でしゃばることではないけれど聞いてしまったからには何とかしてあげたいと、安斎は丸山にLINEを送り、行きつけの屋台で一杯飲まないかと誘ってみたら…一時間ほどして「19:00くらいなら大丈夫」という返事が来た。 こっちの仕事もやや進捗が好調なのを幸いに定時で職場を出て、先に待っていようと屋台のある川沿いに向けて歩いていた。 頭上を走る...

  • ゆる恋たちの狂想曲~第1章~

    きっかけ? きっかけなんて、大好きな相手と 同じ空間にいて… お互いがもっと近くにいたいな…って思ったらで… それでいいと思わね? ************ 「えっ…まだ?」 「うん、まだ」 「……………」 目の前の男の顔は決して嘘をついてるとか、虚勢を張ってるとか、悲壮感が漂ってる…とかいうのは微塵も感じられず、むしろ清々しさが勝った雰囲気が漂っている。 寝る時は低反発枕と女が必須と豪語し、その眉目秀麗な...

  • 急に自分の中の気持ちを書いてみたくなったので書いてみた

    ……自分の思い通りに書くのが楽しいという話です。ブログというものをやってみたくて、日記でも100は超えてるだろう趣味のことでもよかったんだけど、最近「何か書きたい」という意欲が湧いてきて、それだったら自分の好きなものをぎゅうぎゅうに詰め込んだもの書こうと思って。何が好きってまずは歴史が好きで特に江戸幕末明治大正…あたりが好きで、じゃあ時代物がいいなと思ったんだけど「あ、そうか。源氏物語も大好きだ!」...

  • 片想いの大団円~千秋楽~

    翌日…昼13時ごろ。 …ど…どうしよう… 丸山は自宅マンションの前に立っていた。 この日も連絡会議は開催されていたが当初からの予定で朝10時からの挨拶にだけ出席した小田桐を官用車内で待ち、所用が済んだ頃合いを見計らってエントランスに車を横付けした。 車から降りて上位者が乗るべき後部座席のドアの前に立って小田桐が出てくるのを待っていると、会場の方から大きな拍手の音が聞こえてきて、程なく会場から小田...

  • 片想いの大団円〜第12幕〜

    受付でルームキーを受け取り部屋に入ってさっさと部屋付きの風呂に入り一心地ついた丸山は、しんと静まり返る部屋の真ん中できちんと正座して両手でスマホを持ち、何の表示もしていない画面をじっと見ていた。 重厚そうな濃茶の座卓の上には、何やらびっしり書き込んだ今日の連絡会議の資料と立ち上げただけのノートパソコン…もちろん何にも手は付けていない…というか、手に付かないほどスマホに集中している。 …自分が避けて...

  • 片想いの大団円〜第11幕〜

    「あーきたきた!こっちこっちー!」 「ごめん…ちょっと迷ってしまって…」 自然に囲まれた会議会場兼保養施設からは車で30分ほど走ったところにある県下最大級のターミナル駅の近くの有名老舗和風旅館に千明を官用車で送り届けた丸山は、自身もそのホテルの一室を今日の宿にしていることからそのまま車をホテルに置いて、友人がLLINEに送ってきた今日の飲み会の会場である居酒屋を探していた。 時折スマホに目をやりながら人...

  • 片想いの大団円~第10幕~

    「これは熱燗がいいな…キッチン借りるぞ」 「あ、俺やろうか?」 「熱燗は何度か知ってるか?」 「えーあんまり考えたことない。徳利の底に掌あてて触れるくらいが大体いい温度って親父に倣ったから」 「日向燗は30度、人肌燗は35度、ぬる燗は40度、上燗は45度で熱燗は50度くらい…燗のつけ加減ひとつで同じ日本酒でも味わいは全然違ってくる… 酒の燗は熱くしすぎないことが肝だ…」 「あんたすごいねぇ…」 …昨日といい今日と...

  • 片想いの大団円~第9幕~

    会議はいつもの課業終了時間、17時に終了した。 これから催される宴会会場に向かうもの、上司と何やら打ち合わせをするもの、再会した友人や職務上での知り合いに挨拶するもの、帰りの電車の時間を気にして足早に会場を後にするもの。 丸山と会議場を一緒に出た竹内は、ついさっき久しぶりに会った同じ同期の藤堂と話が盛り上がっている丸山の様子を横目でこっそり窺う… 自分の記憶にある入庁当時の頃も、自分のように格闘技...

  • 片想いの大団円~第8幕~

    「この時期だと山の紅葉が綺麗だね…」 「昨日のニュースでは今ぐらいが見頃だと言ってました」 時刻は朝7時すぎ… 遠距離のトラックとちらほらと走る乗用車以外は見当たらない朝の東北道。 道路に沿って連なっているような山々が赤や黄色に染まっているのを横目に秋の柔らかい陽射しを片頬にうけながら、丸山は磨き込まれた官用車を目的地に向けて巡行速度で走らせる。 「…にしても毎年毎年ご苦労なことだよね…企画立ち上げて...

  • 片想いの大団円~第7幕~

    「ふふふ…結局起きなかったな」 「まぁ…想定内だ」 翌朝・5時ちょっと前 丸山的には謎の盛り上がりを見せた昔語りのあと「日も変わることだし…」と就寝して、一応何回か宝生と二人で交互に起こしてはみたもののまったく起きる気配のない安斎を置いて丸山は宝生の運転するGT‐Rで職場に向かった。 始発も動き出した街はそれなりに人の流れはあるものの車は順調に幹線道路を流れていく。 おおよそ30分足らずの道のり… 宝生は...

  • 片想いの大団円~第6幕~

    安斎が風呂から上がってリビングに来ると、広々としたバルコニーに全く見わけのつかない後ろ姿が二つ。 抜群の立地で少し高台に位置しているのと角部屋ということもあって、東京の夜景が一望できる絶好の光景。 この景色を眺めるのが好きで、夜になってもカーテンを閉めずにいることが多くて…普段なら宝生が煙草を吸うのにバルコニーに出ていることもあるが、今日はもう一人大切な「預かり人」がいる。 「……後ろから見るとほん...

  • 片想いの大団円~第5幕~

    ー今日、おたくの千明君を預かりますー 安斎からラインが来たのはその日の19時ごろ…。 まぁ…どこかわからないところに雲隠れされるよりかはいいけれど……これは暗に「迎えに来るな」と言ってるようなもんで… なんかわからんけど、なんていうんだろうこういう気持ち… 「あーそういうの、不安っていうんだよ」 「………」 さして広くもない店内には満員の客…目の前にはもうもうと上がる煙とみるみるまに美味しそうに焼きあがって...

  • 片想いの大団円~第4幕~

    「ねぇ~高木ぃ~高木くん~高木さまぁ~…これ何とかなりませんかぁ?」 「……ならねぇよ」 昼休みも終わり、午後の業務が始業してから30分ほど… 会計課の係員はさっきから堂々めぐりしている議論とも言えないじゃれあいのようなやり取りを笑いを堪えながら見守る。 …午後一番に会計課にやってきた、総務係長の五嶋が持ってきた頭痛の種にしかならないであろう仕様書を受け取った部下の朝倉ゆきのが「まずは予算の確保が先」...

  • 片想いの大団円~第3幕~

    …昼休みの会計課会計係は持ち回りで電話番が決まっていて、それ以外の職員が在席していることはほとんどない。 この日、朝から丸山を捕まえるのに躍起になって必要以上に席を外していた高木の机にはかなりの件数の精査書類が溜まっていて、さすがにこれでは仕事が回らないと思い直し今日の電話番と交代して、地下の簡易売店でほとんど市場ではお目にかからない業者のパンと牛乳を買ってきてパクつきながら書類の処理をしていた。 ...

  • 片想いの大団円~第2幕~

    昼休みのカフェのテラス席にて。 珍しく丸山からのランチの誘いがあって、仕事が手隙なのとちょっと前に受け取った高木さんからのメールの内容にちょっと気になることがあって誘いに乗ってみた。 お互いのフィールドの中間地点にあるいつものスタバが、部下たちの話によれば今度放送されるドラマのロケ地として聖地化しているらしく「オアシスがカオス…」と、ちょっとした不満を漏らしているところから、自分の職場寄りのところ...

  • 片想いの大団円~第1幕~

     「…聞いてほしいんだけど…この前の…俺がそばにいてほしい人って…」    人生、何が起こるかわからない。 わからないけど…これは多分…いや、絶対起こるべくして起こった… …俺の人生には必ず起こるべき出来事だったんだ。 それは本当にごくありふれた「日常」から始まった。 ある秋風がさわやかな昼下がりの給湯室でのこと。 「ねえ、平井さん。今朝から室長付ちょっとおかしくありません?」 「ん?なに...

  • 丸山君とたよれる仲間シリーズ~おおぬきさんのばあい~

    ある日。 無事に新部署が立ち上がり、当該本部長で丸山の元上司である大貫警視長がその報告とお礼がてら挨拶も兼ねて表敬訪問にやってきた。 5階にある古巣の外事局にかる~く顔を出し、11階長官官房フロアに着いてまっすぐに向かった先は長官室がある左側フロア…ではなく、副長官兼官房室長の小田桐の部屋…でもなく。「丸山君お久しぶり、元気そうだね」 「あっ本部長!ご無沙汰いたしております」…自分の元から巣立ってい...

  • 丸山君とたよれる仲間シリーズ~はこざきくんのばあい~

    長官官房室統括局所属長官付秘書官の箱崎雄一郎には尊敬を超えてもはや崇拝といっても差し支えない人物がいる。 昼下がりは睡魔がいちばん活発な時間。 学生時代だってそうだった……午後からの授業なんて「寝るな」という方が無理というもの。 これは社会に出てからも例外じゃない。 警察庁11階にある大会議室。 各部署の長クラスが一斉に集められて業務の進捗状況や問題点などを相互連絡しあう「指揮監督者会議」。 だだっ...

  • 丸山君とたよれる仲間シリーズ~あんざいくんのばあい~

    連日の猛暑にへたり気味になりそうなある土曜の朝のこと。 一年のうち、夏は割と業務に余裕がある会計課でも各課からの要求は年がら年中絶えることがなく… 前日、ちょっとした契約ミスがあって解決はしたものの全ての事柄が解決したのが日をまたいで終電もなくなった時間で… 「車で迎えに行こうか」と連絡くれた丸山にありがたくは思ったが、部下たちが泊まると言っているのに自分だけ帰るわけにはいかないと始発で帰ることを伝...

  • 丸山君とたよれる仲間シリーズ~ほうしょうくんのばあい~

    今年最大級といわれた台風が過ぎ、少しばかりの暑さと秋の雲を残した連休明け。 この日の午後、防衛省大臣秘書官室の給湯室でちょっとした事件があった。 「…ナオミ先輩、これ…どういうことでしょう?」 「わからないわ…全く検討がつかない」 「でもこれ…宝生秘書官がご自分で買ってこられたんだと思うんですけど」 「…うん」 給湯室に設置してある3ドアの冷蔵庫の中にこの界隈で有名なスイーツ店の淡い水色の小さな...

  • 丸山君とたよれる仲間シリーズ~おだぎりしつちょうのばあい~

    「まずは一献」 「あ…ありがとうございます」 大都会東京の巨大ターミナル駅の近隣とは思えない静かな空間。 とある老舗ホテルの地下が全面日本庭園風に造園された料亭の個室から臨むことができる景色には、今の季節によく見合った落ち着いた緑の木々とさらさらと耳を擽る小さな渓流。 寝殿造りを模したとされる一室で今日のこのささやかな宴の席を設けた主が差し向けた酒を受けた高木は、すぐさま自分の手元にある銚子を手に...

  • 丸山君とたよれる仲間シリーズ~ナオミさんのばあい~

    「どうしてどうして僕たちは出会ってしまったのだろう…なぁ?」 「知らないわよ、そんなこと」 「いくらこっちが押しても引いてもこの気持ち一つも通じないってどういうことなんだぁ…」 「不感症なんじゃないのぉ?そいつ」 「そんなわけないだろうが!」 和洋折衷の創作料理が人気のちょっとこじゃれた創作ダイニングのスタイリッシュな木目調テーブルに向かい合って座り、おまかせでオーダーした彩り美しい料理を前に力なく...

  • 丸山君とたよれる仲間シリーズ~たかみざわせんぱいのばあい~

    首都圏を直撃すると言われていた大型台風が進路を変えて通り過ぎ、蒸し暑さだけを残していったある秋の日のこと。 いつものように一日のスケジュール確認のために室長室に赴いたら… 「おはようございま…」 「おはよう」 ノックを2回…この部屋の主の許可を得てドアを開けると、この部屋の主の小田桐と、人事調整係長で丸山の2年先輩にあたる高見沢警視正が応接セットに座っていた。 丸山はちょっと驚いたような顔で「お取り...

  • 丸山君とたよれる仲間シリーズ~たかぎくんのばあい~

    残暑もなんとなく収まってきた9月も終わりのよく晴れた日のこと。 警察庁長官官房室会計局会計課は夏の大掛かりな会計監査も終わり、その後始末もなんとなく終わりが見えて きて、この日の秋の気候のようにのんびりまったりとした雰囲気が流れていた。 会計係長の高木にしても、まったく暇ではないにしても毎日のルーティンワークと各部署から上がってくる予算要求の精査さえなければ、特に急ぎの仕事もなく定時に帰ろうと...

  • 丸山君とたよれる仲間シリーズ~ころすけかかりちょうのばあい~

    「……こんなに?」 「これでも減らした方だけど?」 「噓でしょ~…丸山君、俺に何か恨みある?」 「仕事には『できるだけ』私情は持ち込まないように心がけてますが?」 「その『できるだけ』怖いよね…」 庁舎3階エレベーター降りてすぐ右手・総務課に籍を置く総務係長・五嶋幸助警視は丸山から手渡されたバインダーの夥しい数の付箋に思わず大きなため息をついた。 五嶋は丸山と高木とは同期入庁で妻と3歳に...

  • 丸山君とたよれる仲間シリーズ~はるとゆきののばあい~

    「はぁ…やっと座れたぁ…」 「すっごい人だかりだよね~」 気候もさわやかな秋の土曜日昼下がり。 つい先週リニューアルオープンをした東京近郊にあるファッション・グルメから映画館やアミューズメント施設など多彩な店舗が集結した大型ショッピングモールにて。 野外イベントで賑わう広大な芝生が広がる中庭を臨む3Fグルメエリアの屋外カフェテリアの席についた二人の女子。 一人は警察庁長官官房室会計局会計課に勤務する...

  • 丸山君とたよれる仲間シリーズ~ひらいさんのばあい~

    「失礼しまーす」 「あっ高木さん、お疲れ様です」 「あ、平井さんお疲れっす!あれ、丸山は?」 「室長付は会議に出られてますよ?11時までなんでもうそろそろ帰ってこられるかと…」 のんびりとした空気流れるある日の詰所にて。 持っているバインダーでトントンと肩をたたきながら周りを見渡す来客に、平井は椅子を反転させて手元のファイルを背後のキャビネットにしまいながら返事した。 「あ、そうなんだ…じゃ待たせ...

  • ゆる恋で行こう~高木君の切実なる日常~その12(完結)

    警察本庁庁舎6階・長官官房室会計局。 長い廊下と だだっ広いフロアに会計課はじめ契約課、経理課、監査課などの部屋が並び、殆んどの部屋が業務を終了し廊下も真っ暗になっている中。 ただ一室…会計課には未だ人の気配があって最小限の照明の下、ワイシャツの袖を捲りあげネクタイをかなり大胆に緩めた姿で残務処理に追われている男がいた。 ダカダカとやや乱暴にキーボードを叩く音と手荒に書類を捲る音…優男風の見た目に反...

  • ゆる恋で行こう~高木君の切実なる日常~その11

    高木という男は全くわからない。 カラオケ行く前といい…あの部屋の中でのことといい… ……わからなさすぎて分析どころの騒ぎじゃないし仕事の時の何倍もの疲労感を覚える。 宝生は自分が持ち掛けたこととはいえ、ふいに襲ってきた眠気と疲労感に思わず弱音を吐きそうになった。 カラオケ出たら交差点を渡ってすぐのゲームセンターに引っ張り込まれ… 「ああああああ!!こわいこわいこわいこわい!!」 「すっげっ!!怖いって...

  • ゆる恋で行こう~高木君の切実なる日常~その10

    ♪い~つまで~も~離さないぃ~今夜君は僕のものぉ~♪ 部屋の広さに対して不自然なまでに存在感を示しているワイドモニターと通信機器…ガラス製のテーブルと安っぽい革張りのソファ… テーブルの上にはウィスキーの醍醐味なんか知らないだろう店員がマニュアル通りに持ってきた水割りのセットと半分まで減っているどこにでも売っているハーフサイズのウィスキーボトルが一本… 大体4人くらいの客を想定している部屋は正直言って...

  • ゆる恋で行こう~高木君の切実なる日常~その9

    丸山が入院している病院を2人して出た後、「予定がないなら付き合え」と言われ何となく一人になりたくなかった高木は宝生の誘いに応じて宝生の車に乗り込んだ。 週末ということと帰路につく車が一段落ついた時間帯でもあって、いつも交通量が多い桜田通りもわりとスムーズに進んでいた。ごくごく小さな音でつけられたFMラジオから聞こえるクラシックの音以外は特に会話もなく、宝生の的確な運転に身を任せて車窓の景色に目を向け...

  • ゆる恋で行こう~高木君の切実なる日常~その8

    目の前には安心しきったように眠っている男。 「儚いよねぇ…」と呟いた室長の言葉に特別な感情はないとわかっていても軽い嫉妬が芽生え、点滴が効いてるのか目を覚ます気配のない丸山のあどけない寝顔にチクリと心が痛くなる。 誰かのコトが気になって、それを「好き」だと勘違いしてそれが楽しくて仕方ないことは今までいくらでもあった。 だけどこれはこれまでの恋愛ごっこの「好き」とはかなり違う…もどかしくて、イライラし...

  • ゆる恋で行こう~高木君の切実なる日常~その7

    台風一過…空は高く、陽差しはすっかり秋めいていて。 三連休も明けた火曜日…警察庁長官官房室室長付の詰所には少しばかりの異様な空気が流れていた。 カタカタとキーボードを叩くリズミカルな指の動きを止めて向かい側の机に座るこの部屋の先任の警部・平井と目が合った女子職員・相崎は、微妙な笑顔を浮かべてその異様な空気の原因をちらりと横目で伺った。 いつもならこの部屋の長である丸山が座っているはずの席に今日は「珍...

  • ゆる恋で行こう~高木君の切実なる日常~その6

    「ひゃあ!降ってきた!」 「…高木さん…アンタ…ちょっと顔色悪くないか?」 「宝生さんこそ指先震えてない?」 「……震えてない」 夏から秋へ変わる近頃の気候は本当に気まぐれで…。 夕方近くから徐々に低く黒い雲が空を覆いだして日暮れとともに空が低く唸りだし、少しずつ強く吹き出した風と共にとうとう大粒の雨まで降りだして…… 「うおっ!今すっげえ目の前真っ白になった!」 「……………っ!」 目の前がホワイトアウトし...

  • ゆる恋で行こう~高木君の切実なる日常~その5

    「あっ!あれ!あれ食べたい!!ちょっと行ってきていい?」 「うんうん、行ってらっしゃい」 「まだまだイケるぞおお!」 「…………」 目の前にはきちんと積み上げられた10枚ほどの皿…食べ方が上手だからか猫が舐めたみたいに綺麗だ。 「高木さんのも取ってきてあげるね~」とパタパタ手を振る安斎に高木は手を振って応えた。 なんだろうなぁ…癒される。 なーんか似てるんだよなぁ………自分と一つしか違わない人にいうのも失...

  • ゆる恋で行こう~高木君の切実なる日常~その4

    「…いつもは仕事に追われて気にする暇もないけど…こうやって見てみると東京も捨てたもんじゃないな…」 都下の夜景を見ていた丸山のそう呟いてこちらを向いた切れ長の瞳がふと笑みの形に緩む…夜景ではなくその横顔をじっと見つめていた高木は己の心を読まれたかもしれないという小さな焦燥にかられ、食後に用意されたデザートワインを口にした。 貴腐ワインの熟れきった果実のような甘い香りが口の中でふわりと広がる。 目の前...

  • キャラクター概要

    ★キャラクター概要★ *高木 祐輔(たかぎ ゆうすけ) 警察庁会計局会計課会計係長。警視・35歳 庁内はいうに及ばす界隈でも噂のチョイ悪風正統派イケメン。天才肌で話術が巧み、男気があってみんなの兄貴的 存在。とんでもなくモテる。2.5枚目っぽく妄想半端ない。 警察大学校入庁のその日から丸山に片想いしていて、ひょんなことから丸山のマンションに住むことになって淡い初 恋がガチ恋に発展し、色恋...

  • ゆる恋で行こう~高木君の切実なる日常~その3

    「う~……眠ぃ…」 とにかく連日猛暑のこの時期…いくら陽が翳ってきはじめる夕暮れでも陽差しは寝不足と疲労のたまった体に容赦なく突き刺さる…。 本日は土曜日…時刻は16時を回ったところ。 改札をくぐりスーツのポケットにパスケースをしまいながら陽の下に出てきた高木は、おしゃれなこの男にしては聊かだらしなく縒れてしまっているネクタイを緩めながら、ある事情で居候しているマンションに続く大きな坂道をゆっくりゆっく...

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