歴史28 幕末――テンチュウ③
天誅組が代官所を襲撃したのは午後4時ごろ。五條代官所の座敷には、代官の鈴木源内と妻のやえ、取次役の木村裕二郎。そして、病み上がりの源内に按摩をしていた嘉吉という男がいた。「ああ、嘉吉、もうよい。ずいぶんと楽になったわい。そなたは名人じゃ」「めっそうもございません。そこらの田舎按摩でございます」その時、遠くでドドンドンドンと太鼓の音。「木村、なんじゃ、あの太鼓は?」「秋祭りが近いゆえ、村人が俄の稽古をしているのでございましょう」しばらくして、表門の方で鉄砲の音が一発、二発・・・。刀を抜いた役人が「代官様。天誅組と申す者たちが攻めてまいりました。ご用意を!」源内は奥座敷へと逃げる。嘉吉は羽織を頭からかぶって震えている。木村は刀の柄に手をかけて庭に出た。役人が四、五人座敷に逃げて来た。その後ろから天誅組の池内源...歴史28幕末――テンチュウ③
2022/11/24 08:29