「店長! あのお婆さん、また来てます!」 アルバイトのAさんが慌てた様子で飛んできた。 健一(65歳)はカウンターの奥でコーヒーを淹れながら、 苦笑した。 「いいじゃないか。お客さんだぞ」 「でも……店長目当てで毎日来てるんですよ。 ストーカーじゃないですか!」 確かに、毎日のように来店する女性がいた。 少し右側に体を傾けながら歩く、小柄で小ぎれいな老婦人。 コーヒーを注文すると、1時間から2時間ほど、 健一の姿をじっと見つめながら時間を過ごしていく。 健一は2年前に定年を迎え、プラプラしていたところを オーナーの知り合いに頼まれて、このカフェの店長を 務めることになった。 元々爽やかな顔立ち…