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お昼をすぎたころから、私のバースデーパーティーははじまった。 パーティーといっても、お披露目会みたいなものだ。 海の使族は10歳になったらいろんな制約がなくなる。 だから「今日から大人の仲間入りをします」というあいさ ...
私のバースデーパーティー当日。 朝から香りつきパールエキスを塗りこみ、マッサージで揉みほぐされ、ゴシゴシと磨かれる。 手足に宝石選抜組を身につけ、髪の毛をハーフアップにしてドレスを着れば、戦闘準備完了だ。 ドレスア ...
海の中に戻ってからは、誕生日パーティーの準備で忙しくしていた。 海の使族にとって、10歳は節目だ。 地上に行ける許可がもらえるようになる。 あとは正式に加護を授けられるようになったりね。 公式の場に呼ばれるようにも ...
我が家にたどり着くと、干からびた父上が貝殻ベッドの上で倒れていた。 「お父上さまっ?」 なんてことだ! 体から水という水がしぼり尽くされている。しぼりたて雑巾みたいだ! ベッドに寝ている父上をゆさぶる。 「お父上さま ...
ルイスと別れ、港とは真逆に歩き、人のいない場所を探して街を少し外れた場所へとやってくる。 切り立った崖を囲むように落下防止用の柵が建てられているそこには、たくさんの墓石。 そう、まさかの、人のいない場所が墓地しかなか ...
「ボスー、隣の国の統治者が挨拶に来てるっすよ」「は? ずいぶんと急だな。連絡は来てねェだろ」「来てないっすけどねぇ。まぁ、しょうがないといいますか」 グレイと次に作る髪飾りの打ち合わせをしていたリリアは、ササッとテーブ ...
「おい、リリア」 呼びかけられたリリアはびくりと体を震わせた。 「言いてェことはたくさんあるが、そのナイフ……どうするつもりだ?」「あ……」「な、なんだ。おまえらは。おいっ、リリア・エスカーナ! 早くしろ! こいつが死 ...
「シルカッ!」 足を押えてうずくまったシルカのそばに、リリアもしゃがみこむ。 撃たれたのは左の太もものようで、みるみるうちに服が真っ赤に染っていく。 「大丈夫。大丈夫よ」 額に皮脂を浮かべ、苦しげに呼吸を浅くしている ...
リリアは驚いて前を見る。 そこには、クヴィスリン宰相の使いの男がいた。メガネをクイッと押し上げて、ゆったりと微笑んでいる。 「……あんた、もしかして、同類?」 シルカが眉間のシワをぐっと深くした。 なんのことだろうか ...
大きく開けられた窓から、夜の風が吹き抜けていく。 リリアは窓の外に立つ、青い髪をした少女に駆け寄った。 だが、すぐに少女は眉を釣り上げて、駆け寄ってきたリリアの額を指先で突いた。 「こんの、バカッ!」 声量は抑えら ...
「ん……。あ、れ……」 リリアはうっすらと目をひらく。 少し頭が重たかった。 片手でひたいを押さえながらゆっくり体を起こし、目玉を動かして周囲を見た。 空間を仕切るようにベッドの上から垂れている、白いレースのカーテン ...
リリアはぐったりとベッドに身を沈めた。 そんなリリアをを労わるように、グレイが指の背でリリアの頬をなでていく。本当に触れているのかと思うほど優しい手つき。 とっておきの宝物を愛でるみたいに、リリアに触れている。 リ ...
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