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骨董商Kの放浪 https://kottousho.hatenablog.com/

大学卒業後1年もたたずに退社し、その後骨董商をめざす主人公Kが、美しくそして妖しげな骨董品をとおして、それに関わるさまざまな個性的な収集家、同業者などの人たちと織りなす創作小説。魅惑的な骨董品を巡る群像劇をお楽しみください。

立石コウキ
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2022/03/17

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  • 「骨董商Kの放浪」(四)

    「びっくりしましたよ。いきなり眼の前にあんなもの出すんだから」先ほど教授の与えた衝撃に、僕のテンションは高まっていた。ネエさんは笑いながら「教授、若い人が好きだから。今度お宅に誘われると思うよ」そう言ったあと「超目利きよ。凄いもの持ってる」とつけ加えた。「凄いもの?」僕が興味を示すと、ネエさんは続けた。「例えばね、私の好きなものだと」と言って、突然両腕を四十五度に差し上げ、手だけを内側に折った。「プレ・エジプト文明、紀元前3500年の加彩(かさい)の女性像。アメリカの美術館で見たことあるけど、おそらく日本にはあれしか無いわね」ネエさんは腕を下ろすと、ふーっと息を吐き、「超格好いい!もろ現代アー…

  • 「骨董商Kの放浪」(三)

    ネエさんの店の応接間の床(とこ)には、赤色をした、頭の後ろが大きな瘤のように隆起している牛の形をした土器が黒い敷板の上に置かれ、床(とこ)の隅には、胴部に円いスタンプ状の彫り込み文様のある、ほどよい高さの石製の筒瓶があり、そこに女郎花などの草花が生けてあった。先ほどまで内科の先生が腰かけていたところに僕は座り、ネエさんは新しく入れ替えたアイスティーを僕の前に置いた。先生はあの後すぐに用事があると言って帰ったので、自然とネエさんと二人でお茶を飲むことになったのである。 「優しそうな方ですね」僕が言うと、ネエさんは「何でも興味があって、いろいろ持ってるのよ。一度お家に行ってみればわかる。びっくりす…

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