小さい頃から雨の中をパシャパシャと水しぶきをあげて走るのが好きだった。お気に入りのレインコートを身につけて。 いつしかレインコートは着なくなったが、走ることが好きなのは変わっていない。小学校のかけっこはダントツで一番だった。今でも鬼ごっこなら誰にも負けない自信がある。 中学になって陸上部に入り、大会で何度も優勝した。 でも高校になって勝てなくなった。私が速く走れるのは数十メートルまでで、その距離を過ぎるとスピードがガクンと落ちる。そういう身体なのか、どれだけ練習しても距離は伸びなかった。 諦めた私は走るのをやめた。 そして新しい夢を見つけた。 … アジトで密談する二人の男た
思い出すとノスタルジックな気持ちになる桜を「セピア色の桜」と呼ぶとしたら、私にとってのセピア色の桜はいつ見たものだろうかと考えてみた。 すぐに出てきたのは通っていた小学校の中庭に植えられていた桜並木だ。 小学5年のある朝、校門を通って校舎に向かう時にグラウンドの横に植えられた満開の桜並木を見て「おお…」と感激した時のことを思い出した。 その桜並木自体は自分が入学した時からそこに存在しており毎年見かけていたはずなのに、その時に初めて綺麗だと思ったのだ。 きっと自分の中にそれまで存在しなかった「風景を楽しむ」という美的感覚のようなものがまさに生まれた瞬間だったのだろう。 その出来事を
変わる時といえば。 学生や新社会人の頃は新年度を特別な区切りとし、次の1年の目標を決めて何かしら変わろうとしていたものだ。 40歳を超えると当然ながら新年度という時期を既に40回ほど迎えているわけで、その特別感というのもかなり薄れている。月が3月から4月に変わったり、季節が冬から春に変わったりするのと同程度の扱いである。 そうなると次の1年の目標を決めようという神聖な気持ちも生まれにくくなるのか、ここ数年はこの時期に目標を決めた記憶がない。 ではそんなおじさんがいつ変わろうと思うのかと言うと「しばらく変わっていない自分にふと気づいて怖くなった時」である。 ふとした拍子に、あらわた
飲み仲間の平太郎に「金が入ったので高い酒をごちそうしてやろう」と誘われ、「はい喜んで!」とやつの住む長屋に向かう。 描いた浮世絵が売れたらしい。お前画家だったのか。 知り合ってからかなり経つが、酒を飲んでいる姿か部屋の隅に住み着いた蜘蛛に話しかけている姿しか見たことがない。 ただの無職の変人だと思っていたのに。いつ絵を描いてたんだ。 そしてそんな変人には美人で若い奥さんもいる。 軽く嫉妬を覚えつつ、いつも奢ってくれる良いやつだしまあいいか、と今日も高い酒を遠慮なくいただく。奥さんは留守らしい。 「さっきいいものを手に入れたんだよぉ」 しばらく二人で飲んで食べて気持ちよくなってき
始まりはだいたいボツになるアイデアからスタートする。 私のショートショート小説執筆の話である。 昨年の9月にnoteでたらはかにさんの「毎週ショートショートnote」という企画を見つけて以来、週に1回のペースでショートショート小説を書いている。 私が書くショートショートは平均2000文字くらいだ。 いや企画のルール上は「だいたい410文字くらい」と書かれているのだけど、毎回2000文字くらいになってしまうのだ。どうやっても短くならないので、ワンチャン2000文字もまあだいたい410文字だと言えなくもないのでは…?といつしか合わせるのを諦めてしまった。 それはさておき2000文字
スペースコロニー内にはパークルームと呼ばれる室内公園がいくつか存在する。そのパークルームの1つを貸し切り、矢端は一人実験の準備をしていた。 部屋の入口の正面、いつもは時間帯によって青空や夕焼け空の映像が映されている壁が今は実験の要となる特殊なシートでコーティングされ、オパールのような薄い虹色に輝いている。 矢端がシートの状況を確認しながら手元のタブレットを操作していると、入口の扉が開いて60代くらいの白衣の男性が入ってきた。 矢端の同期でこのプロジェクトをともに進めている塚口である。 「エリア長に実験開始の連絡をしてきたぞ。問題が起こったらすぐに報告するように、って何度も念を押さ
「お二人で旅行ですか~?海に行かれるなら三日月浜が景色が良くておすすめですよ~」 洋平と美佳がサービスエリアの土産物コーナーを見て回っていると、店員のおばちゃんが声をかけてきた。 3月上旬。週末を利用した一泊二日旅行の帰り道。 まだ時間があるのでどこか観光してから帰りたいね、と二人で話していたところだった。 「良いところを探してたところなんです。三日月浜はここから近いんですか?」 「はい、すぐそこですよ!こちらの地図をお持ちください。ちょっと道路から離れているので、ここの駐車場に車を停めると良いですよ。」 地図に印をつけて渡してくれる。 「ありがとうございます。行ってみます
小説の登場人物の名前を考えるのに時間がかかるので何かないかと「小説 名前メーカー」ググってみたら、いい感じの名前を生成してくれるサービスがいくつか見つかりました。便利だ! ピロスケ
「フハハ、次に我が降臨する時を震えながら待つがよい!」 玲奈がスタッフに別れの挨拶をして楽屋に入ると、マネージャーの志代が待ち構えていた。 「玲奈ちゃん大変。 玲奈ちゃんのファンから届いた贈り物が多すぎて、もう事務所に入り切らないみたい。 社長から何とかしてくれって電話があったわ」 「ククク、愚民どもが我の…じゃなかった。 そ、そんなに来てるんですか?」 「わたしもびっくりよぉ。 とりあえず事務所に向かいましょう」 タクシーで事務所に戻ると、受付から廊下まであらゆる場所が贈り物の詰まったダンボール箱で埋め尽くされていた。 「あらあら。 しばらく来ないうちにとんでもない
「今日もがんばったね…」 土曜日の午後。 膝の上で丸くなっているルナの背中をそっと撫でて労う。 ルナとの出会いは一ヶ月ほど前。 大学の授業を終え、午後の公園。 お気に入りのベンチでコーヒーを飲んでいた。 公園の隣にはペットショップがあり、ベンチに座るとウィンドウ越しにかわいいネコちゃんやワンちゃんを眺めることができるのだ。 子猫たちがじゃれ合う姿に癒やされながら、ほう…とため息をつく。 ああ、猫が飼いたい。 毎日癒やされたい。 今住んでいるアパートがペット禁止じゃなければ今すぐにでも飼うのに…。 大家さんに交渉してみようかな。 いや子猫くらいなら飼ってもバレないのでは?
ぼくは今とても傷ついている。 朝起きて食堂に入ったら、クルーのジョージが仰向けになって床に倒れていた。 目を見開き、苦悶の表情。 どう見ても死んでいる。 ジョージの動かなくなった視線が向いている先、中央のテーブルには同じくクルーの女性二人、サラとミウが向かい合わせの席に座った状態で朝食のトレイに顔を突っ込んだ状態で息絶えている。 4人しかいないクルーのうち、ぼく以外の3人全員が死んでいた。 何があったらこんな状況になるの? 船内の監視カメラの映像を観れば何が起こったかが分かるかもしれない。 ぼくは食堂を出てコントロールルームに向かった。 食堂の録画映像をモニタに映し出し
「洞窟の奥はお子様ランチ…」 「はい?」 被害者の机を調べていた紗英さんが発した不可解な言葉に聞き返す。 紗英さんと僕は殺人事件の調査のため二人目の被害者、豊中康介氏の自宅を捜索している。 一月ほど前に最初の被害者である冒険家、桃山敬之氏が何者かに毒殺された。 その犯人の目星もつかない中、同じく冒険家の豊中氏が毒に侵されて倒れた。 幸い豊中氏は発見が早かったため一命をとりとめたものの、いつ意識が戻るかが分からない状態。 有名冒険家2名が相次いで毒に倒れるというセンセーショナルな事件として注目されており、早期の解決が求められるということで捜査一課の椰子野警部から僕たち神田川
『フハハハ、貴様ら全員生ける屍になるがよいわ!』 2月14日、バレンタインデーの18時を過ぎた頃。 恋人たちが愛の言葉を交わすその裏側で、恐るべき呪いがばらまかれた。 ある悪魔が生み出したその呪いは各地に潜む悪魔崇拝者たちのもとへと届き、彼らを甘い香りで惑わせる。 虜になってしまった崇拝者たちは理性を奪われ、本能のままに動く生ける屍へと変わってしまった。 そうして生まれた数万におよぶ呪われた崇拝者たちは、バレンタインの賑わいに導かれるように街へと歩き始める。 「えー、それが今のこの騒ぎの発端だと言うわけですか?」 そう言って俺は応接室のテレビをつける。 そこには街
『接続エラー発生』 気がつくとユミは道端に座り込んでおり、手に持ったスマホにはエラーメッセージが表示されていた。 「イゴーロ」との接続が不安定になり、その影響で座り込んでしまったらしい。 『至急再接続してください』 繰り返しメッセージが表示されるが、やり方も分からない。 ふらつきながらどうにか立ち上がり、近くのベンチに腰掛けた。 身体を自分で動かすのも随分ひさしぶりだ。 イゴーロを装着して以来、これまで意識して身体を操作する必要がなかった。 イゴーロは数年前に各通信会社が共同して提供を始めたサービスである。 スマホアプリでレシピを設定すると、首裏に埋め込んだ身体リモー
もしあの時引き返していたら…いや、結果は同じだっただろうな。 「鬼には神通力があったとか、心を読む力があったとか。 ただ暴れるだけではない話もたくさん残っているのよ」 助手席のユミがスマホをいじりながら語る。 ユミは民俗学研究会に所属しているだけあって各地の伝承に詳しい。 いつもよりテンションが高いように見えるのは、めったに見られないという鬼の遺物とやらを楽しみにしているからだろうか。 それともひさしぶりに俺と過ごす週末を楽しみにしてくれているからだろうか。 ユミとは大学のゼミで出会い、付き合って1年くらいになる。 バイトが忙しくてあまり会えていなかったので、この旅でユミ
プロットを決めるのに5日かかった時は2日で書き上がるのに、1日でプロットが決まっても書き上がるのに6日かかるのはなぜなのか...。 ピロスケ
「タカシくん、ヒロアキくん、開けなさい!」 二人の男子小学生が学校の保健室に閉じこもった。 後ろでガシャンという音が聞こえて田口先生が振り向くと、自分について保健室を出るはずだった二人の姿が消え、分厚い扉が閉まっていた。 慌てて開こうとするが、びくともしない。 その扉は普通の小学校にあるようなドアではなかった。 アメリカの姉妹都市から招いた建築家が設計したこの小中一貫校は、外部からのあらゆる脅威に対応できるように必要以上の頑丈さで建てられた。 特に各部屋の扉は特別頑丈に作られており、一度ロックされると、外からは簡単に開くことができない。 保健室に閉じこもったタカシとヒロ
ブーン…。 両肩と腰をドローンにつながれ、床から30センチほど浮いた山田課長が目の前を横切っていく。 私がこの佐久主商事に転職してきて数ヶ月。 営業支援システムの開発職ということで気合を入れて入ってみたら、高齢でフラフラの先輩方をドローンで吊るして目的の営業先に飛ばす仕組みの開発が待っていた。 いや吊るされる皆さんは移動が楽になったと喜んでいるし、一応営業を支援しているわけなのだけど。 なんというか…思っていた開発職とちがう。 老人が吊るされて飛んでいく姿を見た時の罪悪感が半端ではない。 次に取り組んだのが、コミュニケーション支援ゴーグルの開発である。 頭にヘルメット
1年中雪に覆われる北の街。 その街の外れにある教会にソーニャという女の子が住んでいました。 赤ん坊のときにシスターに拾われたソーニャには両親の記憶がありません。 教会には同じような孤児が数人いましたが、ソーニャは誰ともあまり話さず、いつも一人で過ごしていました。 その日もシスターや他の子供たちが過ごしている部屋を抜け出したソーニャは、マフラーと手袋を身につけて教会の裏庭に出ました。 裏庭は遊ぶには少し狭いので、人があまり来ないのです。 誰もいないことを確認すると、ソーニャはしゃがんで雪だるまを作り始めました。 小さな雪だるまを作り、その両隣に少し大きめの雪だるまを2つ作り
神職として新たに着任した神社で初めての年始。 「噂には聞いていましたが本当にすごい人出ですね!」 お守りやお神札を求めて押しよせる初詣客に対応する巫女達を一緒に見てまわりながら、宮司に話しかけた。 「そうですね、ありがたいことです。 夜光おみくじはまだまだ人気があるようですね」 宮司が答える。 既に日は沈んでおり、人混みの向こうに灯籠で照らされた参道が見える。 参拝を終えた晴れ姿の女性二人がキャッキャと話しながら歩いていた。 それぞれ手に淡く光る紙を大事に持っている。 「夜に光るおみくじは他では手に入りませんし、写真映えしますからねぇ。 なぜ光るのか誰にも分からないというの
「兄さん、急に呼び出して何ごとだい?」 「きたか。 お前が開発したコールドスリープ装置はずいぶん注目されているらしいじゃないか」 「おかげさまで問い合わせが殺到して忙しくしているよ。 兄さんも意地を張らずに開発に加わってくれたら良いのに」 「ふん、なぜ私がお前の下で働かなくてはならない。 先に成果を出したからと言って調子に乗りすぎだ。 これを見るがいい!」 兄が仕切りのカーテンを引くと、小型車のような乗り物が現れる。 「私が開発したタイムマシンだ!」 「な、なにぃ!!」 「未来にしか飛べないが、瞬時に時間を超えることができる。 コールドスリープとどちらが優れているかは言う
「パパ、確認なんだけど」 「なんだい」 「これはクリスマスツリーではない?」 「クリ…スマ…なんだって?これはうちの店の年末用の飾り付けだぞ」 「いやどう見ても立派なクリスマスツリーなのだけど? もみの木にオーナメントが飾り付けられてキラキラしてるし」 「これはあれだ…でかい盆栽に菓子を飾り付けるという新しい販売手法だ。目立つように光らせてな」 「あくまで和のイメージだと言い張るわけね。 見た目の和菓子感ゼロなんだけど…。 あのオーナメントボールのようにたくさんついてる球は?」 「えーっと、あれはりんご飴だ。 イザナミとイザナギが食べて結ばれたという禁断の飴で…」 「そ
「じいちゃん…」 男手一つでミゲルを育ててくれた祖父が亡くなった。 事故で両親を失った時に引き取られ、それ以来唯一の家族だったのに。 支えを失ったミゲルは途方に暮れた。 そんなミゲルの元に遺産の管財人が訪れる。 未成年のミゲルが一人になっても生きていけるように、祖父があらかじめ手配してくれていたのだ。 祖父と住んでいた自宅と工房はミゲルが相続し、今後5年間ミゲルが成人するまで毎年生活費が支払われる。 管財人はそう説明すると生活費が入った重い袋をミゲルに手渡し、これも祖父からだという封筒を1通置いて帰っていった。 封筒の中には鍵が1つと「工房の引き出し5」と書かれたメ
自動ドアを通って店に入ると、やたら明るいスタッフに迎えられた。 「いらっしゃいませ!スカルモバイルへようこそ! 本日は乗り換えですか? こちらへどうぞ!」 テーブルを挟み向かい合わせに座る。 スマホをテーブルの上に置き、氏名や年齢等の質問にボソボソと答えた。 「見たところまだまだ乗り換えは必要なさそうですが、何か問題でも?」 「半年くらい前から調子が悪くて…あちこちで診てもらったんですけど治すのは難しいみたいで…もう乗り換えるしかないかな、と。」 「そうですか…まあだいぶ機能が変わるので乗り換えを躊躇される方は多いですけど、慣れたら便利なものですよ。 見ての通り私も使ってます
その日、田中くん一家は家族旅行からの帰りのドライブ中でした。 パパが運転しながら助手席のママとお話しています。 後部座席の田中くんの隣では妹のみさちゃんが疲れて眠っています。 田中くんもウトウトして眠りそうになっていると、 パパが突然「おい、どうした!!」と叫びました。 びっくりして目を開けると、助手席のママのまわりに光の粒がたくさん浮かんでおり、その数がどんどん増えています。 「ママーッ!!」 光はどんどん強くなっていき、ママの姿が見えなくなりました。 田中くんはあまりの眩しさに目をギュッと閉じました。 しばらくすると光が収まったような気がしたので、おそるおそる目を開きまし
「今お時間ありますか?」 ブラブラしていたら探検家のような格好をした女性に声をかけられた。 近くで無料VR体験会をやっているのでぜひ体験していってほしいという呼び込みだった。何やらその時々の格好に応じて異なる世界を体験できる最新型のVRゲームらしい。 面白そうなので体験してみることにした。 女性に案内されて体験施設に入り、受付で簡単なアンケートを記入する。 隣接する動物園にちなんでか、動物の着ぐるみを着て遊ぶのがおすすめとのことなので、目の前にあったゴリラの着ぐるみを選ぶ。 動きづらいかと思いきや妙にフィットするゴリラの着ぐるみを着せられ、案内されるまま薄暗い部屋に入り、診察台
「10秒で全員倒す」 「ふはは、この10人は精鋭だぞ?10秒後に倒れているのはお前の方ではないか?」 「1」 「一撃でやられないようにせいぜい気をつけ…どこに消えた?!」 「2」 「に、逃げたのか?!いや、どこかに隠れて不意打ちを狙っているはずだ。気をつけろ!」 「3!」 「さ、三人が一度にやられただと?!」 「4!!」 「集合して防御を固めろ!このままでは一人ずつやられていくぞ!」 「5…」 「5人倒されてしまったが、どうやらその技はかなり体に負荷がかかるようだな。動きが鈍っている。クク、まだ半分残っているぞ?」 「…6…」 「ろくに動けなくなってきたようじ
戦国時代。 戦のために近くの村の働き手の男たちが兵として徴用され、残された村には女性と子供、老人しかいなくなってしまうということがよくありました。 その村も近くで大きな戦があり、男たちは兵として徴用されてしまいました。 戦は激しく、徴用された者のほとんどが帰ってきませんでした。 村には田畑はあっても耕せる者がおらず、このままでは年貢を納めるどころか残った村人が冬を超える分の食料すら確保することができません。 もう別の村に引っ越すしかないかと諦めかけていたある日、高齢の陰陽師が数人の弟子とともに村を訪れました。 彼らは戦の終わった合戦場から都に帰るところでした。 事情
ガシャンッ!! ガラスが割れた音がしたと思ったら首根っこを掴まれて床に引き倒され、背中に誰かが覆いかぶさってきた。 次の瞬間、耳をつんざくような爆発音が起こり、熱風が襲いかかる。 何者かによって執務室に爆弾が投げ込まれたらしい。 今も背中で守ってくれている者がいなければ、気づく間もなく吹き飛んでいただろう。 私を狙ったのであろうこの爆破はT国によるものと思われる。 軍の参謀を担っている私を暗殺することで戦争を短期決着させる目論見だったのだろう。 「このまま死んだ方がこの国のためかもしれないな…。」 我がS国は大国であるT国に無謀な戦争を仕掛けて返り討ちにあい、既に領土の
「ごはんが食べたい…」 遭難してかれこれ2日経った。 4日間かけてのソロ縦走登山。 その1日目に崖を滑り落ちて荷物を失い、足もくじいて動けなくなってしまった。 手元にあるのは水の入ったペットボトル、圏外のスマホとトレッキング用の杖のみ。 空腹で意識が朦朧としてきた中、ふとスマホを見るとメールが届いていた。 今はまた圏外になっているが、一時的に電波がつながったらしい。 メールは自宅で待つ娘からで「ご飯が食べられない状況になったら杖の持ち手を開けてみてね♪」とある。 こちらからの救援を求めるメールは届いていないようで、ほんわかした文調のメールである。 そんなことよりも杖だ。 山に
「昨日ラブレター届けに行ったんでしょ?どうだった?」 「う~ん、ダメだったわ…。」 仕事帰りにカフェで話す二人の女性。 「試験でやったとおり潜入して机に手紙を置いてみたんだけど、部屋に戻ってきた彼が手紙を見つけた途端に震え上がって読まずに捨てられちゃったわ。」 「急に自分の机の上にラブレターが現れたらそうなるわね。」 「本当にこんな方法が結婚につながるのかしら…」 二人はこの3ヶ月間一緒に受講した婚活セミナーを振り返る。 「幸せは闘って手に入れろ」というアグレッシブなキャッチフレーズが刺さったのでセミナーに申し込んだまではよかった。 しかしいざ参加してみると走り込み
父が数学教授で、休日にはよく勉強を教えてもらっていた。 ある日、数学の課題の解き方が分からなくてイライラしていると 「紅茶はリラックス効果があるんだよ」 と父がミルクたっぷりのダージリンティーを淹れてくれた。 生まれて初めて飲む紅茶の香りは確かに心を落ち着かせてくれて、問題を解きやすくなった気がした。 父はそれ以来数学の勉強をするときはいつも紅茶を用意してくれるようになった。 「数学ダージリンをどうぞ」と冗談めかして。 問題が解けるようになると勉強も楽しくなるもので、成績も伸びて目指していた大学に入ることができた。 受験の直前の勉強会では「これが最後の数学ダージリンだね」と
「いでよ、時計職人っ!!」 男が叫ぶと床の魔法陣が光り始め、部屋の中が眩しい光で塗りつぶされた。 しばらくして光が収まると、魔法陣の中心に法被姿の男が立ち、その隣には扉がついた1m四方の箱状の装置が鎮座していた。 「…あの、あなたは我らの時計店を救いに来てくださった異世界の時計職人、ということでよろしかったでしょうか?」 魔法陣のまわりを囲む数人の男たちの中から一人が進み出ておそるおそる尋ねる。 この男は時計店の店長で、周りにいるのはその店の職人たちであった。 「$S%F&H?Y@E*R+S#V$J%Y&K'F?K@D」 法被姿の販売員は隣の装置を指しながら何
西岡刑事は頭を捻っていた。 その日、都内に住む家族3人が全員意識を失って倒れているのが見つかり、病院に運ばれた。 通報を受けて駆けつけたものの、3人とも倒れたときの記憶が曖昧で、何が起こったのかがさっぱり見えてこない。 夫の大介はリビングのソファに座った状態で見つかった。 外傷はなし。 最近飼い始めたチワワのペロの元気がなかったので膝に乗せて様子を見ていたところで記憶が途切れている。 妻の聡美はキッチンとリビングの間で倒れており、後頭部に打撲傷あり。 キッチンで夕食の準備をしていたらリビングの方から大きな音が聞こえて、様子を見に行こうとしたところで記憶が途切れている。 息子の悠
名古屋のきしめん、群馬のひもかわうどん、パスタならフェットチーネ。 麺の細い太いではなく、幅でちがいを見せる平麺には抗えない魅力がある。 ただ麺が平たいだけなのに、どうしてこんなに食べたくなるのだろう? そんな平麺の中でも今一番気になっているのが「ビャンビャン麺」だ。 ビャンビャン麺。 ビャンビャン。 名前の響きからして興味を引き付けてやまない。 担々、ジャージャーなどインパクトのある名を持つ麺類は数あるけれど、ビャンビャンはその中でも群を抜いている。 近くで誰かが「ビャンビャン麺が~」と発しただけで思わず振り返ってしまうくらいインパクトのある名前である。 響きもさることながら、
水筒を洗うのがめんどくさい。 我が家には食洗器があり、水筒以外のほとんどの食器はその食洗器が自動で洗ってくれるというのに、水筒だけは手洗いしなくてはならない。 いやひょっとしたら水筒も食洗器で洗えるものなのかもしれないし、みんなそうやって洗っているのかもしれない。しかしどうしてもあの飲み口部分しか開いていない細長い筒の中にうまく洗剤やらお湯やらを飛ばしてきれいに洗えるとは思えないのだ。 「食洗器で楽に皿洗いできるのだから水筒を洗うくらい良いでしょう?」だなんて言わないでほしい。他が楽だからこそ水筒を洗う時のめんどくささが際立つのだ。際立ってめんどくさい。 食洗器に入らないような
タコスって何となくどんな食べ物か知ってるけど食べたことはない、という人が意外と多いのではないだろうか。 タコライスとかスナック菓子のドリトスとかブリトーとか、タコスに近いものを食べる機会はあるが、タコスそのものについては「よしタコス食べよう」とか「メキシコ料理を食べに行こう」とか思いたって行動に移さない限り食べる機会がない気がする。 私は子供の頃に何度かタコスを食べた記憶があるのだけど、それ以来数十年食べる機会がなかった。 たまに子供の時に食べたあの味を思い出しては、また食べたいと思うことはあるのだ。だけどタコスを食べることができるメキシコ料理店を知らなかったり、うちの妻や
私は辛いものがそこそこ好きだ。 特別辛さに強いわけではないのだけど、「辛すぎて食べきれなかったらどうしよう...」とドキドキしながら注文して、「すごく辛い...無理かもしれない...」と辛さやら熱さやら食べきれないかもしれないという焦りやらからくる汗を流しながら食べるのが好きなのだ。 なので辛いと書かれたメニューがあったらとりあえず頼んでみることにしている。 そうしてこれまでに食べた辛いものの中でも印象に残っているのが、今回紹介する蝋燭屋の麻婆麺だ。まあ印象に残っているのは辛さというよりはシビれなのだけど…。 あれはまだ新型コロナ流行前で、会社に出勤して仕事をしていた頃。
「数字で考えるダイエット」第四弾。 ダイエットを続けていても全然効果が出ず、やっていることに意味があるのか疑問が湧いて始めたこのシリーズ。 今回は運動の効果について疑ってかかりたい。 第二弾で「1日のエネルギー消費量の算出方法」と、「筋トレでそのエネルギー消費量をどれくらい増やせるか」について調査した。 今回はウォーキングやランニング等の筋トレ以外の運動を習慣づけることによってどの程度体重を減らすことができるものなのかを調査する。 たとえば毎日ウォーキングを60分したとして、1日あたりどれくらい体重が減っていくものなのだろう?50gだろうか?それとも500gだろうか?
日々ダイエットを頑張っていても、ついつい誘惑に負けてしまうことはあるものだ。おかずが美味しすぎてご飯が進み、おかわりしちゃうことだってある。 ところでその誘惑に負けた際の代償とはどれほどのものなのか? おかわりしちゃった結果、自分は昨日よりさらに太ってしまったのだろうか?それとも大した影響はなかったのか?「なんか太りそう」とは思うけど、実際どの程度太るのかが分からない。 ということで今回は、ごはんを食べ過ぎた場合にどのような流れで脂肪に変わるのか、そしてどれくらい食べ過ぎたらどれくらい脂肪が増えるのかを調査してみた。 「数字で理解するダイエット」第三弾だ。前回の記事はこちら。
高校生の時にロッテリアで初めて食べて以来、心のどこかでいつも「カヌレ」を求めている。 カヌレというのは、シフォンケーキを手のひらに載るくらいのサイズまで小さくしたような見た目の焼き菓子だ。 カヌレ - Wikipedia ja.wikipedia.org 表面はしっかり焼かれていて固くカリッとしており、中はしっとりもっちりしている。このカリッモチッの食感がクセになる。表面はちょっと焦げたような苦みのある香りなのだけど、噛むと卵の甘い香りが広がる。 ロッテリアで一時期だけ発売されてそこで初めて存在を知ったのだけど、自分が知らなかっただけで世の中的には当時
昨日に引き続きダイエットネタ。 筋トレで筋肉量が増えると代謝が上がり、やせやすくなるらしい。 脂肪を減らすには有酸素運動が有効だということは理解している。理解はしているが有酸素運動はそれなりに時間をかける運動を習慣にする必要があるので、結構しんどい。 もしちょっと筋肉をつけるだけで運動せずとも勝手にやせていく体が出来上がるなら、ぐうたらを自負する者としてぜひとも試しておかなければならない。 ということで今回は筋肉をつけて代謝を上げることでどれくらいダイエット効果があるのか、そのためにはどれくらい筋肉をつける必要があるのかを調べてみた。 代謝とは ここで言う「代謝」とは基礎代
長期に渡りランニングしたりウォーキングしたりサイクリングしたりしているのだけど、一向に体重の減る気配がない。 運動して汗をダラダラかいているというのに体重に何一つ影響を与えていないとはどういうことなんだ。汗を吸ったシャツは明らかに着る前よりも重くなっているわけで、その重みの分くらいは私の体重が減っていてしかるべきではないか? 食事についても量や内容に気をつけて食べているというのに。 このままではダイエットに対するモチベーションが下がって「運動しても食事を減らしても体重が変わらないなら、好き放題食べまくっても体重変わらないんじゃないの?」という危険な考えに走りそうだ。 そこでこの
気がつけばゴールデンウィークの4日目がもう終わろうとしている。おかしいな、つい先日「やった11連休だ!」と喜んだところなのにもう半分近くが過ぎてしまっているじゃないか。 予定ではサボり気味だったnoteエッセイを3本くらい書き上げているはずなのに、まだこれが1本目だ。私は一体この4日間何をしていたのか?(遊んでた) 長期休暇の時はいつも「プログラムをたくさん作ろう」とか「文章をたくさん書こう」とか生産的な目標を立てて臨むのだけど、その目標を達成できたためしがない。 やらなきゃな~と思ってるうちに矢のように時間が過ぎていき、気がつけば休み最終日の夜になっている。そして「なにもできて
最近「エルデンリング」というゲームで遊び始めた。 エルデンリングというのは2月25日に発売されたフロムソフトウェアの新作ゲームだ。「狭間の地」と呼ばれる場所に「褪せ人」として降り立ち、立ちふさがる敵を剣やら魔法やらで倒しながら王を目指すというオープンワールドアクションRPGである。「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」や「ウィッチャー3」とだいたい同じジャンルのゲームだ。 ELDEN RING オフィシャルウェブサイト ELDEN RING オフィシャルウェブサイトです。 www.eldenring.jp 発売元のフロムソフトウェアはとにかく難しくて
Twitterで面白い動画が流れてきた。こちらだ。 ニュース風に仕立てたネタ動画なのだけど、アナウンサーが必死で笑いをこらえて何とか原稿を読もうとしているのがおかしくて、初めて観たときは涙が出るほど笑った。 人が笑いをこらえている様はなぜこんなに面白いのだろう。こちらまで誘われるように笑ってしまう。「笑いをこらえる」という仕草には笑いをおさめるどころかさらなる笑いを引き起こしてしまうという、求めているのとはまったく逆の効果があるのかもしれない。 笑いをこらえることについて考えていたら田原君のことを思い出した。田原君は同じ高校に通っていた友人で、ちょっとしたことですぐに大
うちの子らの小学校が春休み期間に入った。およそ2週間の休みだ。 私と妻は仕事なので平日どこかに出かけることはできないが、休日にお出かけに誘っても家で過ごすことを選ぶようなわが子らなので、きっと家で楽しく過ごせるだろう。一応試しに「電車に乗って二人だけで実家に帰ってみては?」と冒険に導いてみたが断られた。 そんな休み満喫中の二人がゲームして楽しんでいる物音を聞きつつ、今日も私は在宅勤務だ。 いつも平日の昼間は一人で過ごしているので、隣の部屋から笑い声が聞こえてきたり、一緒にお昼ご飯を食べたりできるのが何だかちょっとうれしい。一人の時間を楽しんでいるつもりだったけど、実は寂しかったの
一人で実家に帰る。 いよいよ家族に見捨てられた、というわけではなくちょっと用事があっただけである。すぐに終わる用事だが親と会うのもひさしぶりなので一泊することにした。 一人で実家に帰ることはほとんどない。この機会に子供の頃に通っていた小学校とか遊んでいた公園とかを数十年ぶりに見に行ってみることにしようと思い立ち、折り畳み自転車を車に積んで実家に向かった。 用事をサクッと済ませ、両親としばし過ごしてから自転車で出かける。 まずは小学生の頃に住んでいた家に向かう。今の実家は私が社会人になってから引っ越した新実家だ。大学生になるまで住んでいた旧実家が今どんな風になっているのか気になっ
そうは見えないと思うけれど、私はエッセイを毎日書きたいと思っている。めちゃくちゃ思っている。めちゃくちゃ思って書いた結果が月3~5本ペースだ。目標の10分の1の本数しか書けていない。なぜなのか。 なぜなのか、とは書いたが理由は分かっている。時間がないからでもなく、ネタがないからでもない。眠ってしまうからだ。 机に向かい、ネタを決めてさてどんな内容で書こうかとイスの背もたれに寄っかかって考え始める。考え始めてしばらくするとうつらうつらと舟をこぎ始め、いつの間にか眠っている。ハッと目が覚めていかんいかんと考え始めるものの、またこっくりこっくりと舟をこぎ、眠ってしまう。その繰り返しをして
朝起きて朝食の準備をする。朝食を作るのは私の担当だ。 家族分の食パンにバターを塗り、妻と子供たちのパンにはとろけるスライスチーズを、自分のパンにはオイルサーディンをのせてトーストする。焼けたらマヨネーズを少量塗ってきゅうりのスライスを並べてその上にハムエッグをのせる。 子供たちのハムエッグはハムと白身の部分だけだ。完全版のハムエッグを出しても必ず黄身だけ残す。 我が家の朝食はパン食である。 日によって卵がスクランブルエッグになったり、チーズをのせる代わりにスプレッドを塗ったりする。子供たちのメニューはコーンフレークになったり菓子パンになったりもする。 オイルサーディンは
ウォーキングを始めた。 ついこないだ「ランニングを1年続けたぜ」という話を書いたところなのにその後寒くなってモチベーションが下がり、ぱったり走らなくなってしまった。1年続けた習慣をやめさせるとは。2月の寒さ強い。 このままではこの1年間のランニングでがんばって培ってきたものが失われてしまう。1年前から体重も減ってないし体力が上がったようにも思えないので何が失われるかは自分でも分からないが、とにかくこのままではいけないという焦りを覚えたので、とりあえず歩いてみることにした。 痛風を診てくれた医者も「運動しろ、1日1万歩歩け」と言っていた。「走れ」とは言ってなかった。まだ自分の体に
多重人格というのをご存じだろうか。よく推理小説なんかで出てくるアレだ。ある人物の中に複数の人格が存在し、表に出ている人格が切り替わるとまるで別人のように振る舞う。大抵の話ではそれらの人格のうちの一つが問題を抱えており、そいつが犯行を起こす。当の本人は自分が複数の人格を持っていることに気がついていない場合が多い。 ここだけの話なのだけど、どうやら私の中にも複数の人格が存在しているようなのだ。またバカなことを言いだした、と思うかもしれないが本当の話だ。その発見に至った経緯を聞けば納得してもらえると思う。 物忘れがひどいので忘れたことを思い出すために日記を書いているということは以前
20代の頃には「40歳になる頃には働かなくてもよいくらいお金が貯まってるんじゃないかしら」だなんて根拠のない夢を見ていたものだけど、そんなふんわりした夢が叶うわけもなく、今もしっかり週5日間働いている。 土日は休みだが暇ではない。買い物に行ったり掃除したり子供たちと遊んだり、なんやかんやと忙しい。一日中ゴロゴロしているなど許されることではないのだ。 そんな生活を続けている中でふと考える。「自由」ってなんだったっけ?と。 それは仕事をしなくても良い日であり、一日中ゴロゴロしていても文句を言われない日であり、好きなものを食べて過ごせる日だ。自由とはあらゆる約束事や責任から解放されるこ
中年になるくらいまで長く生きていると、それなりに痛い目にあう。財布を無くすとか悪いことをして罰が当たるとかそういう話ではなく、物理的な痛みの話だ。 そんな中年の私が今まで生きてきた中で一番痛かったのは何か、と聞かれたら答えは決まっている。「痛風」だ。 今思い出してもあれはほんとに痛かった…。 ちなみに2番目に痛かったのは「ぎっくり腰」であの数日間続く痛みも辛かったけど、1位の痛風は痛みの爆発力が違う。 自分が痛風になるまでは「風が吹いただけで痛い」だなんて大げさすぎるだろ、とせせら笑っていたものだけど、実際なってみると確かに風が吹いただけでも痛いくらい痛い。風が吹かなくて
完全在宅勤務で既婚で週末に友人と会うわけでもなく、オンライン飲み会すらない。そんな私にバレンタインのチョコをくれる相手は多くない。具体的に言うとチョコをくれるのは妻と小学生の娘二人の家族三人だけだ。 もらえるだけでもとてもありがたいことで毎年楽しみにしているのだけど、1年前にもらえたからといって今年ももらえるとは限らない。 妻からはもらえそうな気がする。それなりに仲は良いはずだ。逆にもらえなかったら気づかずに怒らせている可能性があるので「私何かやっちゃいましたかね…?」と謝る準備をしないといけない。 それより問題は娘たちだ。当日の気分によっても変わりそうで読めない。今年もくれるの
テレビを観ていたらコメダ珈琲特集をやっていて、家族全員が「コメダに行きたい!」という気持ちになったので、週末みんなでお茶をしに行ってきた。 本当は玉子たっぷりピザトーストを食べるためにランチの時間に行きたかったのだけど、子供たちのやる気を引き出すのに手間取り、結局お茶の時間になってしまった。 昨日はあんなに「行きたい!」ってなってたのにいざとなるとやる気がなくなってなかなか動き出さないのは困ったものだ。私もまったく同じタイプであり、それは子供たちにもばれているので面と向かって注意はできないけども。 出かけてしまえば楽しいことは分かってるのに、出発直前にやる気がなくなってしまうこの
ネットラジオで流れてきた田中さん(男性)と山本さん(女性)二人のゆるいトーク。テーマは「旅行」。 た: 山本さん、旅行好きですよね。 や: 好きですよ。一緒に行きたいんですか?メンバーが女の子ばかりなのでちょっと聞いてみないと…。 た: いやありがたいですけど大丈夫です(笑)。 今回のテーマが「旅の楽しみ方」なので聞いてみたんですけど…。というか山本さんもテーマ知ってますよね? や: そうでした、すみません(笑)。 た: 旅行に行くときは決まった友達と行くことが多いんですか? や: 一人で行くこともありますけど、友達か家族と行くことが多いですね。やっぱり誰かとわいわ
パパです。 これはある年の冬休みに小学生の娘二人と家で過ごしていた時のお話。子供たちは外が寒いのであまり出かけることもなく、リビングか子供部屋で遊んだりごろごろしたりして過ごしていた。 そんなある日に私が自室で在宅勤務していると、次女が部屋に入ってきた。 我が家は私と妻と娘二人の4人家族で、リビングやキッチンとは別で家族の寝室、私の仕事部屋、子供部屋の3部屋がある。子供たちは二人で子供部屋を使っている。 先ほどまで子供部屋で長女と仲良く遊んでいたはずなので「どうしたの?」と聞くとどうやらケンカをして出てきたらしい。 最近あまりパパの相手をしてくれない次女が近くで過ごしてくれる
テレビを観ていたら散歩嫌いで太ってしまった犬を飼い主が何とかして散歩させようと奮闘する番組がやっていた。犬は散歩が大好きなものだと思っていたけれど、そうじゃない犬もいるらしい。 その番組を観ていて思ったのだけど、これは自分がジョギングするときに頭の中で起こっていることと同じではないか。 健康診断結果があまりに悪かったので「このままではいけない!」と危機感を感じ、どうにか運動させようとする私の良識(飼い主)。そして「まだ大丈夫じゃない?もっと太ってる人いるよ?外寒いよ?」とこれまで通りのんびりダラダラ生活を続けたい私の怠け者気質(犬)。 ジョギングに出ようとする度にこの両者が「走る
あけましておめでとうございます、と言うにはちょっと遅いけど2022年もよろしくおねがいします。 年末に「来年は毎日エッセイ投稿するぞ!」と意気込んだのは何だったのか、既に年が明けてから一週間以上経ってしまった。この調子だと今年も程々の投稿数で終わりそう。 今年の正月休みは2年ぶりに実家に帰った。 着いた次の日から数年ぶりの大雪で40cmくらい積もり、子どもたちは大喜び。昼は外で雪遊び、夜は家の中でこたつに入ってかるたやら人生ゲームやらで遊ぶという、これぞ正月休みという日々を過ごしてきた。 トランプゲームもいろいろやった。「ババ抜き」や「七ならべ」ならだいたい私が子どもたちの分か
週末に家族で近所の家具店にソファを買いに行ってきた。 うちのリビングには既に2〜3人掛けのソファがあるのだけど、子どもたちがソファでくつろぐ心地良さに気がついてしまい占拠するようになったので、あと1つ追加することにしたのだ。 家具店は家から車で15分くらいのところにある。そこそこ広い(くら寿司3軒分くらい)2階建ての店で、今使っているソファや子どもたちの学習机もこの店で買った。我が家御用達の家具店だ。 新しく買うソファは親のものだ、いや子が使う、とわいわい揉めながら店に入る。さて良さげなソファを探すか、と見回していると次女の目があるコーナーに釘付けになっている。 視線を追ってみ
歌がヘタである。 どれくらいヘタかというとドライブ中に曲に合わせて歌っていると、妻に「子どもたちが変な音程で覚えてしまったらかわいそう。やめてください」と真顔で言われるくらいヘタである。心配なのは分かるけども。子どもとパパへの気遣いの差よ。 うちの父親も歌がヘタである。幼少期にそれを聴き続けたからなのか遺伝なのかは分からないけど家庭環境の影響というのは本当にあるのかもしれない。 多感な学生時代、まだ自分がヘタだと知らない気がついていない時に家族でカラオケに行って「わしと同じくらいヘタやな」と父に言われた時はショックを受けたものだ。歌ヘタ代表だと思ってた人と同じレベルだったと気付か
健康診断が3日後に迫っている。40歳を越えてからの健康診断は次の1年を好き放題食べて過ごせるか、それとも細々とカロリーを考えながら摂生して過ごすかを占う重要なイベントである。その結果の重さは元旦のおみくじの比ではない。 年初から続けているランニングもこの年末の健康診断を目指して頑張っている。 しかしここ数日、仕事での外出が続いていてまとまった運動の時間が取れておらず、体重が増加傾向にある。1年かけて少しずつ減ってた体重が数日で元に戻っていく。もしかして太った状態が私の標準体重なんじゃない?と思うくらいすぐ戻る。 ここまできてこの1年の努力を無駄にするわけにはいかない。幸い仕事も落
うちの娘たち二人が寝る時は親のどちらかが一緒に添い寝している。そろそろ子供だけで寝られる年齢だと思うのだけど、ちょっと話したり遊んだりしてから眠りたいと主張するので、まだ続いている。 「子ども 寝かしつけ 何歳まで」でググってみたら、小学生のどこかで一人寝できるようになるものだと書いてあった。うちは姉妹だし、昼間は子供部屋で二人きりで遊んでることもあるのできっかけがあれば子供だけで寝るようになってくれそうだ。今度言葉巧みに誘導してみよう。 私が添い寝する時は3人で寝転んで何かしらの言葉遊びをする。 誰かが決めた数を他の二人が当てる「数当てハイ&ロー」をしたり、一人が決めた動物を「
ある日家族で夕食を食べている時に 「パパが太ってるのは、食べるのが早いからだよ。ゆっくり食べなさい」 と次女に注意された。 私は食べ終わって立ち上がろうとしたところで、見回してみると妻も娘二人もまだご飯が半分以上残っている。たしかに食べる速度に差がある。 どうやら次女は父親の太り具合を問題視しており、独自に原因を探るため観察していたようだ。そしてついにその原因と思われる行動を見つけたので、教えてくれたらしい。ありがとう娘よ。 なるほど確かに私はそれなりに太っている。早食いが太る原因になると聞いたこともある。ここはひとつ心配?してくれた次女の言うことを聞いて早食いをやめ、この太
お風呂の中でのんびり考える時間を1日の中でも割と大事にしている。夏場でもシャワーで済ませず、お湯に浸かる。今のように寒くなってくるとさらに長風呂になって、十数分の間ボーッとあれこれ考え事をして過ごす。 腹がよじれるほど笑える話が湯水のように湧いてくる方法ないかな、と考えながら今日もお風呂に入っていたら「エッセイを書いてるつもりで日記を書く」というアイデアが浮かんできた。公開するつもりでその日の出来事や考えたことを書き記すようにすることで読み手がいることを意識したストーリーや文章を考える訓練になる。呼吸するように文章を書けるようになれば面白い話も自然に湯水のように湧いてくるかもしれな
ビシイィッ! 稲妻が落ちたかのようなすさまじい痛みが背中から足にかけて走った。 この痛みには覚えがある。 やつだ。 やつが来た。 魔女の一撃。 またの名をぎっくり腰。 この時期にやられやすいということは分かっていたはずなのに。 40代になり衰えた記憶力は1年前の痛みなど忘れてしまっていた。 しかしまさかリュックを持ち上げただけでやられるとは。 ふつうは無理な姿勢になったり、おもいっきりくしゃみをしたりした時にやられるものでしょう。 大して重くもないリュックを持ち上げただけなのよ? もはや気をつけようがないではないの。 いやまて落ち着け。 まだぎっくり腰だ
「...25階です...」 ものすごく小さい声で音声案内が流れてエレベーターの扉が開く。降りたらそこは25階じゃなくて10階。声が小さい上に階数を間違えてる。 このマンションが20階建てで25階なんて存在しないというのがまた怖い。私が多感な中学生だったら「異世界につれてこられたのでは...」と震え上がっているところだ。 私が住んでるマンションは建物の東西にエレベーターホールがあり、それぞれ3基のエレベーターが並んでいる。西側はなんの問題もなく、ハキハキしゃべる。東側のエレベーターだけが3基ともちょっとおかしい。 住み始めた頃は「とびらがひらきます」「10階です」とそこそこ生き生
うちの小学生の娘は毎月マンガ雑誌の「りぼん」を読んでいる。妻も小学生の時読んでいたらしい。そういえば実家の妹も読んでいた。私は少年ジャンプ派だったのでほとんど読んだことがないけど「ときめきトゥナイト」というタイトルだけよく表紙で見かけたからか記憶に残ってる。 娘はりぼんを読むようになってからマンガの面白さに気がついてしまったらしく、お小遣いでコミックも買うようになった。そろそろ子供部屋の本棚がマンガで一杯になりそう。 マンガを夢中で読んでる姿は子供らしくて可愛らしくてずっと見ていたいくらいなのだけど、そろそろマンガ以外の本にも興味をもってもらいたい。 小説などの文章を読む習慣を身
マーク・ウェインズさんの食べ歩きYoutubeチャンネルを気に入ってよく観ている。「フルタイムイーター(フルタイムで食べる人)」という聞いたこともない羨ましい職種のマークさんは世界を旅しながら名物を食べ歩くYoutuberだ。 Mark Wiens Food is the reason you should travel, and on my channel you'l www.youtube.com マークさんがアメリカの肉もりもりフードを食べてる動画を観ているだけでお腹が空いてくる。昨日観た動画では持ってるだけでボトボトドボドボ落ちるくらい肉
全人口のうちだいたい10%くらいが左利きらしい。私もその選ばれし10%の一人だ。 そんな左利きの私が左利きであるがゆえに困っていることがある。 といっても「ハサミが切りにくい」とか「急須やスープ用おたま、缶切りが使いにくい」とかそういう話ではない。 それもあるにはあるけど、急須もおたまも缶切りもそうそう使うものではないし、ハサミは頻繁に使うなら左利き用のものが割とどこにでも売っているし、そもそも「左利きは右手を使うべからず」というルールがあるわけではないので右利き用の道具は右手で使う。 左利きは幼少の頃から右手専用アイテムに囲まれているので、右手もある程度使えるように訓練されて
先日ちょっと派手に転ぶ機会があって、そういえば小さい頃から何年かごとに派手に転んでるな、と気がついた。七転び八起き、七転八倒という言葉もあることだし、せっかくなので私の経験した特に印象に残っている7つの転倒エピソードをここにまとめてみたい。 一転 ベランダで 1つ目の転倒は覚えていないくらい幼い時のこと。ベランダでなぜか両手にビール瓶を持ってよちよち歩いていたところ何かにつまづいて転び、割れたビール瓶の破片がおでこや頭に刺さって血塗れになった。 頭からダラダラ血を流して倒れている私に気づいた両親が大慌てで病院に駆け込んだらしい。「あれはヤバかった」とやや遠い目で言ってたので、結構
うちの子は卵の黄身が好きではない。 ゆで卵や目玉焼きのように黄身と白身が分離できる状態になっている場合は白身だけを食べて黄身を残す。黄身を食べられないというわけではなく、卵焼きやオムレツのように混ぜられた状態なら好んで食べる。オムライスなんか大好きだ。何なら自分でも作って食べる。 親である私も小さい頃は「卵の本体は黄身だ」と考えていて「白身は不要!」と思っていたことがあるので好みは逆ではあるが偏っているという意味では似た者親子だと言える。 そんな子だから、白身と黄身が完全に別れた卵料理であるハムエッグとか好きじゃないのかと思うと大好きだったりする。ただし黄身は食べない。ハムと白身
窓を開けて仕事していたら、もう10月なのにセミが鳴いている。夏を寝過ごしたセミなのか、それとも来年の夏に起きるつもりだったセミなのか分からないが、今起きても周りに仲間は一匹もいないし、1週間鳴き続けても何も得られない辛い人生になるぞ。なんて考えていたらしばらく鳴いたあとでパタっと聞こえなくなった。夏じゃないことに気づいて二度寝に入ったのか。二度寝できるのか? 運動会 そんな暑い日が続く週末、小学校の運動会に観戦に行ってきた。 コロナ禍の中では2回目の運動会ということもあり、小学校側の対策も去年から格段に進化している。運動会の様子をオンライン会議で流して遠方の祖父母が観戦できるよ
「ブログリーダー」を活用して、pirosuke_noteさんをフォローしませんか?