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2022/02/21

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  • たろとみつのはなし 1

    夜が深まると わたしたちが暮らす駐車場は ざわざわと騒がしくなる わたしは子どもたちと待っていた 雨の日も風の日もいつも同じ場所にある 白い大きな車の下で ここがいつものわたしたちの場所 離れて暮らす成長した息子や 近所の森に住む仲間たちもこの時刻になると 丘の上にある病院の だだっ広いこの駐車場に ひたひたと集まってくる まるで月の光からのびる糸に操られた マリオネットのように わたしたち自身とは別の 何か大きな意志に導かれて 今日もこの場所に集まってきた あるものは駐車場の真ん中にじっと佇んで 丸い背中の影が月の光に長く延びて またあるものは生垣に寝ころんで 虫の鳴き声に耳を澄ましている …

  • ごまのはなし 2

    新しい家に来た時には その家のことを知る必要がある だからとにかく調べまくる ここは安全な場所なのか、敵はいないか トイレはどこか、ご飯の場所は? 何かに出くわした時に隠れるところ 住人の数、他の猫はいるのかとか でも一番大事なのは 安心して寝られる場所を確保すること それでぼくが夜中に調査して見つけたところ それが机の裏側 机と壁の僅かな隙間 ここは完全確実に安心できた 旗を立てて世界中の人たちに ここはぼくの場所だって宣言したいくらいだ 未開の地にやってきて初めて確保した土地だ それでぼくは机を爪でひっかいて印をつけた これなら誰かがあとからやって来ても ここはぼくの場所だって言うことがで…

  • オイルヒーター事件 4 犯人

    4 犯人 探偵は思案顔でゆっくり歩き回りながら推理し始めた。 「考えなければならないことは2つある。1つ目は、なぜロイヤルカナンがそこにあったのかということ。そして2つ目はそれによって何が起きたのかということです。前者に関しては目撃でもしなければ答えることは難しい。だが、2つ目については我々は推理することが出来るはずだ」 「やってみよう」探偵は自分の奥深くにある何かを捉えようとしていた。 「ふむ。まずロイヤルカナンがあって、そしてコンセントが抜かれた。この2つの事実を結びつける出来事から、こうは考えられないか」 「ロイヤルカナンがあり、そしてそれを何者かが見つけたとする。それを獲得しようと手を…

  • オイルヒーター事件 3

    3 推理 寝室に集められた3人の様子はそれぞれ違っていた。 一番最初に到着したのは「みつ」であった。足早に寝室に入ってきて、かなり憤慨した様子であった。彼女は落ち着こうとして背中あたりの毛を何度も舐めて整えていた。次は家人だが、容疑者の一人であると知った時には、かなり動揺し、ミイラ布団から出ている顔は真っ青であった。最後にやってきた「たろ」はいつもと変わらずにのそのそ歩いてきて、ベッド脇においてあった丸い爪とぎに一直線に向かい、その中に腰をおろした。まるでそこが最初からの目的地であったかのように。 「お集まりいただきました皆さまには大変恐縮に存じます」 探偵が演説を始めた。 「諸君にお集まりい…

  • 密室での事件 2

    2 名探偵登場 家人は寝室のドア枠に寄りかかって、体に再び巻き付けたミイラ布団から首だけを出して、たたずんでいた。 その視線は不安そうであると同時に、これから起こることへの期待の為に輝いていた。視線の先は「事件現場」である。 床に落ちたコンセントの周りはチョークで丸く囲んであり、それを見下ろす小さな一人の男がいた。 男の名はごまである。 名の知れた名探偵であった。この家に長く住み、夜な夜な俳諧しながら深く物思いにたたずみ、時々違法におやつを拝借していた。 そのような無頼な男である。 探偵はしゃがみこんで、桃花色と珈琲豆色の肉球で床をなぞったり、這いつくばって鼻をクンクンしたりしていた。コンセン…

  • 密室での事件1

    その事件は2月20日の日中に起きた。 1 午睡のあとに 昼日中、弁当を食べてから、心地よい眠気に誘われた家人は寝室に向かい、 オイルヒーターのスイッチを入れ、ベッドに入った。 しばしの間、惰眠をむさぼっていた家人だが嫌な悪寒に襲われて目を覚ました。 「なんだか寒いな」 ミイラのようにぐるぐると布団を体に巻きつけ、上体だけを起こして辺りを見回した。 モゾモゾと布団から出した手を額にやるが熱はなさそうである。 ものぐさな家人が布団を巻き付けたままベッドから這い出てきて、布団を引きずりながら歩くその姿は、さながらミイラ怪人といったところである。 ぼんやりした頭で、オイルヒーターのスイッチに手を伸ばし…

  • Blanc Noir Cinnamonとは?

    Blanc Noir Cinnamonは それぞれフランス語で Blanc (ブラン) 黒 Noir (ノワール) 白 Cinnamon (シナモン)シナモン、薄茶色 を意味します。 そして、当ブログのメインキャストがこちらです。 ごま きじしろ=黒、白、薄茶色 たろ はちわれ=黒、白 みつ 三毛= 黒、白、薄茶色 もうお分かりですね。 当ブログ名は、猫の3色の毛色から取りました。 三色三様の猫たちと どうぞ末長くお付き合いくださいますよう よろしくお願いいたします。 [http://:title] [http://:title] [http://:title]

  • Prologue(きじしろ)

    ぼくが生まれたのは港町 空までそびえたつビルヂィングの不動と どこまでも広がって揺れ動く海の碧の間に かもめ君たちの元気な声と色んな種類の静寂との間に ぼくは生まれた たくさんの路地の向こう側に続く冒険と 一歩踏み出す勇気 少し曲がったしっぽの先の不安定さと そして包み込む母さんのぬくもりの記憶に ぼくは目を閉じてまぁるくなる 1歳半の時に里子に出て、ぼくはあいつの家に来た バッグに入れられて 親しみのある人たちの手から離れて 見知らぬ人の手に渡る 新しい家に着くと、あいつは指示を受けて そそくさとぼくに水を差し出した それがあまりにも大きすぎる鉢だったから みんなが笑った あいつは照れた顔…

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