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蓮華の言の葉 https://lineblog.me/toakoko/

大切な存在と別れを告げたあなたへ。 歩みを止めたあなたへ。 心を少しだけ支えてくれる言葉たちを紡いでいます。 この物語が、あなたが明るい未来へ踏み出すきっかけとなりますように… 暗い世界に、小さな星が降ることを祈って。。

蓮華
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2022/02/10

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  • さよなら そして はじめまして8

    思いや感情を書き綴ったノートは、どんどん埋まっていく。最初は簡潔で暗い色の多い言葉に埋まっていたそれは、次第に色を変えていった。希望を見出すような、明るさで満ちているような言葉達が連なっていく。そのうち、自身を肯定できるような言葉も増えていっていた。"人の

  • さよなら そして はじめまして7

    来る日も来る日も感情を書き綴った。彼女は2ヶ月…毎日過去と、自分と、向き合った。焦らなくていいとの周囲の声を聞きながら、ちゃんと頑張るんだと気がせいていた。かなり、ハイペースに進んだ治療に、電話口の四葉は少し心配そうな声音を漏らした。「あれだよ…焦っても、

  • さよなら そして はじめまして6

    次の日から、彼女はネットとYouTubeで自己肯定感を上げる為の記事や動画を見始めた。様々な人のブログを読んでみたり、他の人の視点から自分を見つめ返してみたり。スピリチュアルな面でも、占いに頼ってみたり。カードリーディングの中で、自分に必要な言葉が貰えた時には驚

  • さよなら そして はじめまして5

    ❁✿✾ ✾✿❁︎「複雑性PTSD…よっちゃんはそう思う?」「トラウマが原因だと思うなぁ。アダルトチルドレンって知ってる?」次の休みの日。臨床心理士の友人に話をすれば、電話口から少し悩んだ末の声が運ばれてきた。よっちゃんこと四葉は高校からの友人で、彼女の複雑な家庭

  • さよなら そして はじめまして4

    ❁✿✾ ✾✿❁︎夜寝る前の暗闇に占められた時間。瞼は重いし、体は鉛のよう。けれど…頭の芯は冷えているようだ。重たい思考がぐるぐる巻きついて離れない。必要のない過去の暗がりが顔を覗かせてしまい、眠りに落ちる前に現実へ戻ってしまう。また、スマホを手に取ってス

  • さよなら そして はじめまして3

    ❁✿✾ ✾✿❁︎「ただいまー。大丈夫?」「うーん。大分?明日病院で紹介状もらっていってくるよー」曖昧な答えに笑って返して、彼女は昨晩用意していた夕食を温める。今日は親子丼だ。母親の体調を崩す原因は、兄が空へ旅立った時から続いている…心の傷である。ストレスがか

  • さよなら そして はじめまして2

    ❁✿✾ ✾✿❁︎「おはようございます」勤務先の歯科医は穏やかな時間が流れる。心が限界を迎えて退職した、以前の職場とは全く違った。怒声が飛ぶことも無い、物が投げられることは無い。機嫌を伺い続けることも無い。でなければ、彼女は今仕事をすることすら出来なかっただ

  • さよなら そして はじめまして

    異常と気づくためには正常を知らねばならない。気づくことから全ては始まる。この世に生きる全ての存在には、多かれ少なかれトラウマというものが存在する。失敗した記憶、悲しかった記憶、忘れたくても忘れられない…。それは、ずっと心の1部となって固まっていくことが多い

  • あとがき🐾

    大切な存在へ別れを告げたあなたへ…小さくも大きな友人達への物語が、終わりを迎えました。ここまで読んでいただいた皆様、ありがとうございます😊この物語は、私が長年一緒に過ごした猫さんとの別れから立ち直るために、2年程前に書き始め…まだ心が立ち直れてなく、紡ぐこ

  • ネコとわたし。おわり

    ぴぴぴぴ…ぴぴぴぴ…目覚ましのアラームと共に始まる一日は、普段と何も変わらない。靄がかった思考のままに彼女は洗面台へと足を運び、冷たい水道水で眠気を遠ざける。一抹のそれが大きな欠伸となり零れ、鏡を見据えた。真っ直ぐ見つめ返す自分は、昨日の自分と同じ。ただ

  • ネコとわたし。37

    大きな瞳に、利発な光。何度か瞬いている内に、紬は優しく笑んだ。「…やっと思い出せた!遥ちゃん、お手紙持ってきたよ」紬が差し出したそれを見れば、宛名には可愛らしい文字が書かれていた。"はるかちゃんへ"きっとこれを受け取れば…紬との時間が終わってしまう。差し出さ

  • ネコとわたし。36

    先に家に帰ると歩き始めた彩月を見送って、遥と紬は空を眺め続けた。流星群が近いと今朝のニュースで言っていた通り、疎らに星が流れていく。遥の少し気落ちした感情を汲み取ってか、紬がその膝の上に飛び乗った。じんわりと重さとともに暖かさが広がる。「…彩月ちゃん、大丈

  • ネコとわたし。35

    「…っ、…ないで、いか…っ、ないでぇっ」涙と嗚咽が混ざって、彩月は苦しそうに声を零す。見送るまで笑顔を保っていた姿が嘘のように弱々しい。消えた光をかき抱くように胸元を掴み、ひたすらに慟哭した。「ココ…っ、ココっ…」「…彩月ちゃん」遥が小刻みに震える肩を抱き締め

  • ネコとわたし。34

    「ねぇね!」可愛らしく奔放そうな声が響いた。明るい黄色の羽にオレンジのチークを輝かせた、ルチノーのオカメインコが彩月の手の中に現れる。勝気な瞳は薄赤く、小さな身体ながら自信に溢れていた。「ココ…ちゃん…」信じられないと言うように優しい指先で撫でれば、ココは嬉

  • ネコとわたし。33

    翌日の夕方。講義が延びて小走りの遥と、それを追う紬がベンチの傍で一息ついた。昨日と同じく静かな池を、彩月は1人穏やかな瞳で眺めている。その背に声を掛けるために一瞬躊躇して、遥は緊張を隠して声を上げた。「待たせてごめんね」「…!お疲れ様です!」こちらこそ急にごめ

  • ネコとわたし。32

    「…先輩、明日空いてますか」写真を取り終わりバイトに向かう泉と美尋を見送って、彩月が遥を呼び止めた。唇をきゅっと引き結んだ表情は強ばっており、何かあったのかと遥は内心がざわつく。「夕方とかあいてるよー」「…じゃあ、夕方。ココちゃんのお手紙貰っていいですか」ぎゅ

  • ネコとわたし。31

    「先輩!お待たせしました!」「水瀬くん!彩月ちゃん!お疲れ様〜」週が明けた月曜日の夕方時。遥と美尋は彩月と泉を呼び出して、いつもの池の畔にいた。紬と過ごした日曜日は、夢のように遥の心に残っている。紬もまた、楽しそうに尻尾を振っていた。「2人は初めまして…だよね

  • ネコとわたし。30

    ❁❀✿✾お風呂が苦手ながら、耐える紬。ドライヤーの風は苦手で、ヒーターの前を陣取るのもお約束。ブラッシングが好きで、膝の上で身体をくねらせて。ふわふわに仕上がったシャンプーの香りの紬を抱きしめながら、ベットにダイブする幸せの一時。昔と何一つ変わらない。幸

  • ネコとわたし。29

    「だから、もう少し待ってあげられるかな?」「うん!」彩月と別れた後、遥はバイト前に紬を捜していた。商店街の路地裏で日向ぼっこしていたのを見つけ、その側にしゃがみこむ。毛の長いお腹に手を埋めると、コロコロと振動が手に伝わった。思わず顔を埋めたい欲求に抗い、幸せ

  • ネコとわたし。28

    「…今は、考えてないです。だから、友達に戻ろって伝えました」返事はないけど、と苦笑する彩月に、遥は目を見開く。「友達に戻るの?」「はい。今は私は彼の負担にしかなってないから。いつか彼の気持ちも落ち着いて、私も前向きになれたら…その時に考えます」その時にお互い別

  • ネコとわたし。27

    ブランチの時間帯。お昼時にはまだ早く、カフェには緩やかな時間が流れている。窓辺の特等席は遥のお気に入りで、ここから覗く中庭の風景を見ながら紅茶を戴くのが好きだった。カラン、と扉が開く音がする。「彩月ちゃん、こっちだよー」「遥せんぱい!」遥と彩月が出会った日か

  • ネコとわたし。26

    午後からは遥も美尋も講義にバイトにと慌ただしく、紬はできる限りで彩月の傍にいた。友達と話していたり、講義を受けていたり。だが、1人になったタイミングで、彼女は再び池の畔に戻ってきた。ベンチに座って、ぼんやり視線を投げ出している。紬はその横に静かに座って、彩

  • ネコとわたし。25

    「…よく頑張ったね」2年程心理学を学んだ上で、足りない知識も総動員して。遥は彩月の話を理解していった。ゆっくり、解りやすいように、遥は伝えていく。彩月は不安定な家庭で育った背景があり、無意識的に依存欲求が高いこと。元々その欲求を満たしていたペットが先日空へ旅

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