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躁鬱の会社員です。お散歩と旅行と読書、思考の記録など。

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千野
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2022/01/28

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  • 小笠原伯爵邸(旧小笠原邸)「おはなし会」の拝聴と館内見学:約27年の空白期間を経て復元されたスパニッシュ・コロニアル様式の近代建築

    黄昏の深く青い空を切り取って、大きな星を埋め込んだみたいな天井。等間隔に椅子が並んだ円形のシガールーム。どこだかもう憶えていない場所で写真を見たときから、ずっとこの部屋に入ってみたかった。先日その夢を叶えられたので嬉しい。4月26日に開催された「おはなし会」では総支配人の方によるレストラン開業までの道のりや、建物の復元においてどのような工夫がなされてきたか、また竣工当時の様子や小笠原伯爵自身について分かっていることなどのお話を実際に拝聴でき、理解を深めるよい機会になった。

  • 純喫茶マイアミ - 箱根湯本駅にあるレトロ喫茶店|神奈川県足柄下郡エリアのカフェ

    塔ノ沢で日帰り温泉に浸かった帰り、午後に利用した喫茶店。箱根湯本駅の改札を出てから歩道橋を渡って、階段を下りるとすぐの場所にある。表に出ている看板の上部に大きなコーヒーカップ(MIAMIと書かれている)のレプリカが載っており、中から白い湯気がもくもくと湧いている仕掛けが可愛らしかった。遊園地みたい。調べると昭和26(1951)年の創業だそうで長い歴史があり、湯本付近では最も古い喫茶店のひとつと言われている。店内は十分に明るいけれども雰囲気が落ち着いていて、まっ白いテーブルに、ベロア風の素材で背もたれのところが波打った形状の赤いソファが魅力的。そこに観葉植物の緑が彩りを添え、全体的な色の均衡がとれた感じになっている。天井中央の照明器具もよい。

  • いくつかの道具に見出せる誠実さ

    あなたのために。あなただけのために。そういった言葉がすっかり形骸化して久しい今、お子様ランチというものは本当に素晴らしい存在だな、とさっきから考えていた。子供だけが実際に注文し、子供だけが食べることのできるメニュー。それが体現する料理。まず、名前に「お子様」を冠している。この時点で対象が明白である。そして実際に、お子様という特定の存在にしか、基本的には提供されない(期間限定の企画などで大人も食べられる場合は除外しておく)。当然ながら、元来お子様以外のために作られたものではないから。それを一種の誠実さだと感じる。

  • 旧公衆衛生院(港区郷土歴史館)- 円形の吹き抜けホールに心も吸い上げられる、昭和初期の「内田ゴシック」建築|ゆかしの杜

    何度も訪れている地域だが、私がこの旧公衆衛生院の存在に気が付いたのはつい先日のことであり、こんなところに随分と大きな近代建築があったものだ、と感心して東側から正面入口の方に回った。昭和13年に竣工した鉄筋コンクリート造りの建物。設計は、かつて東京大学(旧帝国大学)の総長を務めたこともある内田祥三で、東大本郷キャンパスに存在する大講堂(安田講堂)も手掛けている。作品のうちいくつかは「内田ゴシック」の通称で呼ばれ、独自の様式の特徴を持っているのだった。

  • 近代建築系のみを記録する用のTwitterアカウントを作りました

    タイトルの通りです!雑多な記録や言葉による表現など、それらとは分離しておいた方が今まで訪れた近代遺産の見返しが楽だったので、既存アカウントとは別にもうひとつ作りました。建物の名称と建築年代、わかれば設計者、また簡単な特徴を添えて写真を投稿します。完全に記録用で、そちらには近代遺産の情報しか流しませんので、お好きな方がいらっしゃればぜひご覧ください。個人アカウントを追うよりは色々と見やすいはず……。

  • 大正ミステリーBLG「古書店街の橋姫」感想メモ・聖地関連

    ゲーム中に元ネタとして散りばめられている要素を見つけるのとか、今までに訪れた近代遺産が背景スチルのモデルとして登場するのに気が付くのとか、シナリオ以外の部分でもわりと楽しめた。公式サイトの「奥付」ページで読める後日談、実際にはもうほとんど本編の一部だよね……と思うなど。この作品の初出は2016年の夏コミ。私がプレイしたのはスマホブラウザ版で、他にもNintendo Switch版やPS Vita版など(こちらはいずれもR18シーンがカット)、2022年現在いろいろなバージョンが出ているようす。

  • 穏やかな地獄、イヴ・タンギーの絵画風、石のライオンを添えて|神戸北野異人館街

    番人じみた門柱に目を留めたらその奥にいたライオンにたぶらかされて、足がもつれ、はじめは行こうと思っていなかった場所に引っ張り込まれた。坂の中腹にある平坦な煉瓦敷きの道。脇の家は旧フリューガ邸とあるが、石像横にある肝心の玄関は固く閉ざされていたから、今日は休業しているのだろう。情勢の影響でもうしばらく開けていないのかも入れなかった。通路を抜けて、庭の側に出る。どういうわけか周囲にはしきりに風鈴を思わせる高い音が響いている。金属的で規則的、かつ淡々とした響きは、まるでささやかな意思の伝達を試みる信号のよう。数本先の通りの方から話し声が聞こえる。でもここに人間はひとりもいない。どうやらまた、この種の地獄に来てしまったみたいだ。

  • 草原(ある種の傷は癒えるほどかなしくなる)

    適切な薄さの白いティーカップを手のひらで撫でまわし、じっと眺めては、陶器に傷などひとつもない方がよいと考える。わずかなひびでも生じてしまったら最後、にわかに存在自体を受け入れがたくなるのが目に見えているし、食器棚にしまっておくだけでなく視界に収めるのすら嫌になるだろう。よほどの品でもないかぎりは、わざわざ欠けた部分を直して使い続けたいとも別に思えない。ゆえに捨てるしかない。見るたびさっさとどこかにやりたいなと思いわずらい、ゴミの日に回収されたのを確認して、ようやく胸をなでおろす。これで「新しいものが欲しい」と大手を振って言える。

  • 【宿泊記録】ホテルニューグランド本館ロビーと客室、それから美味しい氷菓子|昭和初期の近代化産業遺産・横浜市

    本館、正面入口から伸びる大階段。青いカーペットをできるだけ優しく踏んで上った先には、エレベーターの扉と、盤面の周囲に美しい石の彫刻が施された時計がある。壁の画は「天女奏楽之図」で、川島甚兵衛が製作した綴織だった。時計、といわれて私が真っ先に思い浮かべるのは銀座の旧服部時計店だが、実はこの建物もそれと同じ設計者の手によるもの。彼の名は渡辺仁という。ほかにも旧原邦造邸(原美術館)などすぐれた建築物を生み出しており、現在、その作品は全国でも半数ほどしか現存していないのが残念。ホテルニューグランドが開業したのは昭和2(1927)年のことだった。

  • 雪原(恐ろしいものが綺麗だとうれしくなる)

    雪原はあれほど恐ろしいのに人を惹きつける様相を見せるからいけない。しきりに誘惑されている、と感じる。昔から、よく考えていた。雪に埋まって眠りにつくことを。疲れた足を永劫に休める場所として雪原を選ぶことを。なにしろ、かの雪の女王がおわすのはスヴァールバルのスピッツベルゲン島なのだから、私が憧憬を抱かない方がおかしいといえる。

  • アール・ヌーヴォーの運動と時代背景 - 洋館長屋 / 仏蘭西館(旧ボシー邸)内を歩きつつ|神戸北野異人館

    洋館長屋で見ることができる家具類や工芸品の目玉は、アール・ヌーヴォー(Art nouveau)の流れを汲んで19~20世紀に制作されたものの数々。アール・ヌーヴォーは表面的に言うと、多くの機械工業的製品とは対照的な、植物や生き物を思わせる造形と、そこから醸し出される妖しい雰囲気が魅力的な様式である。視覚的に愛でるだけでも十分に楽しいものだが、もう少し踏み込んでその面白さを考えてみたい。

  • 「怪異」として存在する邸宅とお屋敷

    明治24年、民俗学者の柳田国男が自費で出版した説話集「遠野物語」。そこに収録されている異聞怪談、なかでもマヨヒガと題された2編の話は、私が昔から特定の建物に対して抱いていた曖昧極まりない感覚にいくつかの支柱を与えた。すなわち、人が不在のはずの空間で、「あたかも誰かが生活を営んでいるように見せる」何かの存在。性質が、私の目に映る保存邸宅にとてもよく似ている。マヨヒガは時に迷い家とも表記され、調べれば、遠野地方以外にも類似の伝承が散見されるとあった。

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