心ならずもこのはかない現世に生きながらえるならば、恋しく思い出されるにちがいない、そんな夜更けの月だなあ。
心ならずもこのはかない現世に生きながらえるならば、恋しく思い出されるにちがいない、そんな夜更けの月だなあ。
(あなたが来ないとわかっていれば)ためらわずに寝てしまっただろうに。(あなたを待っているうちに)夜が更けて、とうとう西にかたむくまでの月を見たことだよ。
もろともに あはれとおもへ やまざくら はなよりほかに しるひともなし 和歌 (百人一首66) もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし 前大僧正行尊 『金葉和歌集』 歌意 私がおまえをしみじみいとしいと思うように、おまえ
つつみ隠していたけれど、顔色や表情に出てしまっていたのだなあ、私の恋は。恋のもの思いをいているのかと、人が尋ねるくらいまで。
こひすてふ わがなはまだき たちにけり ひとしれずこそ おもひそめしか 和歌 (百人一首41) 恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか 壬生忠見 『拾遺和歌集』 歌意 恋をしているという私のうわさは早くも立ってしま
『沙石集』より、「歌ゆゑに命を失ふ事」の現代語訳です。
『平家物語』より、「忠度の都落ち(ただのりのみやこおち)」の現代語訳です。
「こそあらめ」は、係助詞「こそ」+動詞「あり」の未然形+助動詞「む」の已然形です。「こそあれ」は、係助詞「こそ」+動詞「あり」の已然形です。どちらも、多くは「逆接構文」をつくるので、基本的には「~けれど」という逆接のかたちで訳しましょう。
『平家物語』より、「能登殿の最期」です。
「おきつ」の「おき」は、「置く」と同根と言われています。「これからしようとすることを心の中に置く」というイメージであり、実際、「おもひおきつ」「おぼしおきつ」のかたちで使われることが多いです。
『大鏡』より、「行成の器量」「行成とこま」の現代語訳です。 「行成」は「藤原行成」のことです。能書家の達人として、小野道風・藤原佐理・藤原行成を「三蹟(三跡)」といいます。 空海・嵯峨天皇・橘逸勢の「三筆」っていうのも日本史で出てきたね。
漢語「労」を重ねて形容詞化したことばだと言われています。「労」は「年功・熟練」などを意味し、多くの経験を積んだがゆえの「物慣れた巧みさ」を示しています。そういった「熟達性」は、周囲からすると気品があって美しく見えますので、「上品だ」という意味でも用います。なお、「老老じ」を語源とする説もあります。あるいは、「リョウリョウジ」と記す写本もあることから、「良良じ」を語源とする説もあります。
動詞「侮る(あなづる)」が形容詞化したものです。「あなづる」の「軽蔑する・見下げる」という意味がそのまま生きているのが(1)の意味です。「軽く扱ってよい」ということは、「敬意を持たなくてよい」ということなので、やがて「遠慮しなくてよい」「気を遣わなくてよい」という意味でも使われるようになりました。それが(2)の意味です。
「しる(知る・領る)」に、尊敬の「す」がついた「しらす」という語がありましたが、さらに「召す」が付くことによって、非常に高い敬意を示す語として用いられました。もとは「しらしめす」ですが、中古以降は「しろしめす」と言いました。もともと「しる」には、主に「知る/(領地などを)治める」という意味がありますので、その尊敬語として考えておけばOKです。
「たぎたぎし」という語から転じた語という説があり、その場合「怠」は中世以降の当て字といわれます。「たぎたぎし」の「たぎ」は、岩肌を屈折しながら落ちる「滝」と同根で、「道のりが屈折している」「道がデコボコである」「足がぎくしゃくする」といった意味になります。「デコボコ道」を進んでいくことが面倒で困ることであるように、(1)「不都合だ」という意味で使用されます。そういった「平らかに物事が進行しない」状況に対して非難めいた気持ちを込めて用いる場合には(2)「もってのほかだ・とんでもない」と訳します。その説とは別に、漢語「怠」を重ねて成立したという考え方もあります。
『栄花物語』より、「今さらのご対面」の現代語訳です。
つげる! 意味 (1)言う・告げる・宣言する ポイント 主に上代につかわれたことばでです。「言う」と訳して問題ありませんが、「普通のことば」ではなく、「神聖なものにかかわる呪力をもった発語」に用いられました。もともとは神が大切なことばを表明
『栄花物語』より、「世の響き」の現代語訳です。
『大鏡』より、「宣耀殿の女御(せんようでんのにょうご)」の現代語訳です。
「聞こす」に「召す」がついて一語化しました。主に天皇などの最高ランクの人の行為に用いるので、「最高敬語」だと言えます。文法的に考えれば「聞こす」は「聞く」+尊敬の「す」であり、「お聞きになる」という意味になります。それを「召す」によって一段階高めているのが「聞こし召す」だと言えます。ただ、「聞こす」は主に「おっしゃる」の意味で用いられていたことから、「これは『聞く』+使役の『す』であり、『聞かせる』という行為を指していた」とする説もあります。「相手に対して発言する」ということですね。「召す」は「お呼びになる」ということですから、「聞こし・召す」は、「聞かせる行為を・お受け入れになる」という構造だと言うこともできます。
ラ変動詞「あり」に、推量の助動詞「む」が接続詞、「あらむ」となったものから、「あ」が欠落して「らむ」となり、一語の助動詞として認識されていったものだと考えられています。「む」が主に「未来」を推量するものであるのに対して、「現在」を推量するものが「らむ」であり、「過去」を推量するものが「けむ」です。
『徒然草』の一説です。ポイントは、感動詞「あな」、副詞「などか」、助動詞「けん」、連語「なむ」です。
過去の助動詞「き」の古い未然形「け」に、推量の助動詞「む」がついて一語化したものと考えられています。過去のことを推量する場合は「けむ」、現在のことを推量する場合は「らむ」、未来のことを推量する場合は「む」を用います。
『宇治拾遺物語』より「児のそら寝」を教材にして、動詞の活用行を確認しましょう。
『宇治拾遺物語』より「ちごのそら寝」の現代語訳です。
「憂鬱」の「憂」のイメージどおりの形容詞です。動詞「倦む(うむ)」と同根のことばと考えられています。思い通りにいかないことに対しての「嫌になってしまっている状態」を示します。訳としては、「つらい・嫌だ」といったように、心情語として訳すことも多いです。
『徒然草』の一節です。ポイントは、形容詞「心うし」、動詞「おぼゆ」、連語「かちより」、動詞「まうづ」、助動詞「けり」です。
「憂し(うし)」に「心」がついたものが「心憂し」です。
『大和物語』の一節です。ポイントは、副詞「いと」、形容詞「むつかし」、形容詞「心もとなし」、敬語動詞「はべり」、動詞「参る」、完了「つ」です。
意味① 【完了】 ~てしまう・~た② 【確述・確認・強意】 きっと~・たしかに~③ 【並列】 ~たり、~たりポイント助動詞「ぬ」については、「つ」とセットで考えるとよいので、まとめたページをご覧ください。
意味① 【完了】 ~てしまう・~た② 【確述・確認・強意】 きっと~・たしかに~③ 【並列】 ~たり、~たりポイント助動詞「つ」については、「ぬ」とセットで考えるとよいので、まとめたページをご覧ください。
意味① 【自発】 自然と・ふと~② 【受身】 ~れる・~られる③ 【可能】 ~できる *主に打ち消しの文脈で使用➃ 【尊敬】 お~になる・~なさるポイント助動詞「らる」については、「る」といっしょに考えたほうがいいので、まとめたページをご
意味① 【自発】 自然と・ふと~② 【受身】 ~れる・~られる③ 【可能】 ~できる *主に打ち消しの文脈で使用➃ 【尊敬】 お~になる・~なさるポイント助動詞「る」については、「らる」といっしょに考えたほうがいいので、まとめたページをご
意味① 【使役】 ~させる② 【尊敬】 お~になる・~なさる・~ていらっしゃるポイント助動詞の「しむ」は、「す」「さす」といっしょに考えたほうがよいので、まとめたページをご覧ください。
意味① 【使役】 ~させる② 【尊敬】 お~になる・~なさる・~ていらっしゃるポイント助動詞の「さす」は、「す」「しむ」といっしょに考えたほうがよいので、まとめたページをご覧ください。
意味① 【使役】 ~させる② 【尊敬】 お~になる・~なさる・~ていらっしゃるポイント助動詞の「す」は、「さす」「しむ」といっしょに考えたほうがよいので、まとめたページをご覧ください。
『大和物語』の一節です。ポイントは、名詞「みだり心地」、動詞「おこたる」、動詞「はつ」、助動詞「ず」です。
助動詞「む」のク語法未然形「まく」に、「欲し」がつき、「まくほし」となったものが、「まほし」になっていったと考えられています。「む(まく)」によってイメージされている状態を「欲している」ことになりますので、「したい」「てほしい」という「希望」を表すことになります。
『源氏物語』の一節です。ポイントは、動詞「はべり」、助動詞「む」、動詞「思し出づ」、連語「なむや」です。
『平家物語』の一節です。ポイントは、連語「さて」、副助詞「しも」、助動詞「べし」、助動詞「ず」、接続助詞「ば」です。