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騒音のない世界で本を読む https://brubebe.hatenadiary.com/entry/2021/11/17/162439

児童文学大好き。 願わくば、煩わしいことすべて放り投げ、 児童文学に浸っていたい人の読書日記です。

モンゴメリ、バーネット、オルコット、アリソン・アトリー、 アレックス・シアラー、ジョージ・マクドナルド、ダール、 高楼方子、梨木香歩、松谷みよ子、佐藤 さとる、香月日輪 、etc. 読みたい本が山盛りで無職になっても時間が足りない。 HSPでぼっちで本の世界に逃げるのが得意なおばさんの読書日記です。 もちろん、児童文学以外も読みます。

びねが
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2021/12/02

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  • 完璧なこども

    小公子 フランシス・ホジソン・バーネット 著 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ バーネットの「秘密の花園」と「小公女」が大好きで何度読んだかわからないくらい読み返している。最近また読み返していたらやっぱりとっても面白いからもっとバーネットの本を読みたいと思って「小公子」を図書館で借りた。 昔からバーネットが大好きなのに何故か「小公子」だけは手元にないし、あんまり読んだ記憶がない。多分あんまり私好みじゃなかったからだと思うが2、30年ぶりに読んだら面白いと思うかもしれないと期待して読んだのだけど。 小公子 (岩波少年文庫) 作者:フランシス・ホジソン・…

  • ムーミンって何?

    埼玉の飯能にあるムーミンバレーパークに行こうと思い、 行く前にムーミン物語の作者のトーベ・ヤンソンについて書かれた本を読んだ。 ずっとトーベ・ヤンソンは児童文学作家だと思っていたのだが 最初は、社会風刺画家として世に知られるようになったと知って興味が湧いた。 作家自身に興味が湧くとかわいいキャラクターとしての認識だけだった ムーミンの話もちゃんと読みたくなる。 ムーミン本は色んな出版社からたくさん出ているから どれを選んでいいかわからず、図書館で状態がきれいな本を選んで借りてきた。 それがこの本。 ムーミン全集[新版]9 小さなトロールと大きな洪水 (ムーミン全集 新版 9) 作者:トーベ・ヤ…

  • 9月になると思い出す

    今は手放してしまったけど、毎年9月になると思い出す絵本。 九月姫とウグイス 文 サマセット・モーム 訳 光吉夏弥 絵 武井武雄 持っていた頃は、季節の絵本を玄関に飾るのを楽しみにしていて なかでもこの絵本はお気に入りだったから 早くこの絵本を飾りたくて9月になるのが待ち遠しかったくらいだった。 まあ、9月以外に飾ってもいいのだけど、 なんとなくそういう「季節感」は守りたくて。 今年も9月になって、やっぱりこの本を思い出したので図書館で借りてきた。 タイトルに「九月」があるが9月という時節には全然関係ない物語だ。 九月という名前も9番目に生まれたからというだけで9月とは関係ない。 どこかで聞いた…

  • 男は老いて神となり、女は老いて妖怪となる

    狙われた身体 病いと妖怪とジェンダー 安井眞奈美 著 「妖怪とジェンダー」この言葉を見た時、何かが私の中で合点して ジェンダー=得体のしれない異性の性質と読み解けば 妖怪に女性が多いのもわかると本を読む前から妙に納得した私。 雪女、姑獲鳥、砂かけばばあ、人魚、お歯黒べったり、 口裂け女、お岩さん、貞子(妖怪か?)等々。 実際は性別のない(わからない)妖怪の方が多いだろうが なんとなく、幽霊、妖怪、妖精は女性のイメージが強い。 引き換え「神」は男性のイメージ。 イエス・キリスト、ブッダ、アッラー、オリンポスの神々、七福神、 女の神様もいるけれど圧倒的男率の高さ。 ジェンダーとは性別に基づいた社会…

  • わたしも眠れないのぉおおお

    あたし、ねむれないの カイ・ベックマン作 ペール・ベックマン絵 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 図書館で「あたし、ねむれないの」という絵本を見つけて、速攻借りた。 私のことやん。って思って。 デフォ不眠症な私。 「あたし、ねむれないのぉおおおおお!!!!」と叫びたいくらい眠れない。 リーセンはお人形がないと眠れないから おかあさんを呼んでお人形を持ってきてと言う。 「お人形がいないとねむれない。」 私はお人形がそばにあったら存在が気になって余計に眠れなくなるから お人形持ってきてとは言わないけど(一人暮らしだし) 「眠れないの、毎晩眠れなくて辛いのぉ…

  • そっくりな絵本

    とんでもなく暑いので目だけでも涼しくなろうと 図書館で「雪」の文字の入った絵本を探した。 で、借りたのが「ゆきのひのおくりもの」。 この絵本は、うつになって物を捨てまくる前に持っていて お気に入りでよく部屋に飾っていた絵本だ。 私が持っていたのとは本の大きさ、表紙のデザインが違うし、 タイトルもなんか違うような気もするけれど、 絵とあらすじは同じだからセンダックの絵本みたいに出版社が変わったのだろう。 と思って家に帰って読んだのだけど、なんかちょっと違和感。 しっくりこないのでAmazonで 「ゆきのひのおくりもの」を検索してみるもやっぱりこの絵本。 タイトルが違うのかもと、昔、持っていた絵本…

  • 読みくらべ

    「まどのそとのそのまたむこう」 大好きなモーリス・センダックの絵本。 この絵本の絵をかわいいと思う人は少ないかもしれない。 どの絵も暗く、写実的なようでいて現実離れしていてとってもセンダックらしい。 一番可愛いはずのあかちゃんがとっても不気味なところも好き。 お気に入りの絵本だったのだが病んだ時に手放してしまったので また欲しくなってAmazonで検索して驚いた。 絶版になっていたのは想定内だが同じ絵本がタイトルを変えて出版されていたのだ。 しかも、超絶ださいタイトルになっていた。 「父さんがかえる日まで」 ダサすぎる・・・絶句した。 こんなタイトルをつけた出版社や翻訳者に怒りを覚えた。 もち…

  • パンはしあわせの食べ物

    ジオジオのパンやさん 岸田衿子作 中谷千代子絵 大好きな絵本「ジオジオのかんむり」は 読み終わった後、やさしい気持ちになれるが 王者の老いと孤独がテーマになので悲しさや切なさもある。 しかし、この本(絵本というには分厚い)のジオジオにはそんな哀愁は微塵もない。 かんむりではなくコック帽を被ったパン屋のジオジオの表情は明るく優しい。 王であるがゆえの厳しさもない。 パンを作るのが大好きで毎日いろんなパンを焼くジオジオ。 しまうまパン、きりんパン、どせいパン。 どんなパンをやこうかなと考えるのも楽しみ。 ぱたん ぱたん きゅっ きゅっ 小麦をこねる。 ちぎってまるめて焼く。 ほかほかのパン。 焼き…

  • かわいさに心が和む

    せかいいちのいちご 林 木林 作 庄野ナホコ 絵 森のくまさんといちごの絵ならそんなに違和感を感じないが 氷の国に住むしろくまがいちごを大事そうにみつめいている表紙絵は ちょっと意外で目に止まった。 絵本をめくってみれば「かわいい~♪」って言葉しか でてこないくらいかわいいの連続。 花のチョーカーやブレスレット、アンクレットでおしゃれしてるしろくま。 いかにも女の子って感じでわかりやすく可愛い。 乙女ゴコロがキュンキュンする可愛さ。 たった一粒届いたいちごに大喜びしていちごを窓辺に飾って眺めたり、 枕元に置いていちごの香りに包まれて眠ったり、 外国製の高価なお皿にいちごを乗せておしゃれした友達…

  • 鉛筆で描かれた犬が愛おしい

    アンジュール ある犬の物語 ガブリエル・バンサン 鉛筆でさらっと描かれた下書きのような絵だけの絵本。 文章はない。 初めて本屋で見かけたときはびっくりした。 これで出版できるの?って。 こんなラフな絵で? 下書きのままで?って。 でも手にとってちょっとパラパラめくっただけで これは絶対買わなきゃいけないやつ!と思った。 ある日、走る車から投げ捨てられた犬。 必死でその車を追いかける。 「ぼくを置いてかないで! ねえお願い、待って待って!!」と爆走する。 その必死さが鉛筆で描かれたデッサンからひしひし伝わってきてうるうるする。 「お願い、待って待ってよー!!!!」 どんなに必死に走っても車に追い…

  • ドードーに会いたい

    ドードーをめぐる堂々めぐり 川端裕人著 :::::::::::::::::::::::::::::::::::: ドードー鳥、とっても気になる。 特に鳥が好きなわけではないのに ドードーのイラストがプリントされたグッズなど見ると欲しくなる。 可愛くはない。でも心惹かれる。 数年前、ドードーの絵をふと描きたくなって参考資料にしようと ドードーの写真をネットで探した。 しかし、探しても探しても誰かが描いた絵は出てくるけど写真はでてこない。 仕方なく「これじゃパクリじゃん」って思いながら その誰かが描いた絵を参考に絵を描いた。 この本を読んで写真がでてこない理由がわかった。 絶滅したのは知っていたけ…

  • 犬と猫がいればいい

    子のない夫婦とネコ 群ようこ著 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 大好きな群ようこの短編小説集。 犬猫の写真を観ているわけでもないのに 文字を追ってるだけなのに まるで目の前にいる犬猫を愛でているかのように 顔をデレデレさせながら最後まで読んだ。 「そうそう猫ってこんな感じ、犬ってこんな感じ」と 文字を頭の中で画像変換して今まで私が出会った犬猫たちに置き換えて 「ああ~なんて可愛いのかしらん♪」と身悶えしながらニマニマ。 そしてそんな犬猫に振り回されてる人間の様子に激しく共感して 「うんうん、そうなるよね~しょうがないよね~」とうなずく。 猫を間にして…

  • 犬生は人間次第

    ある女の子のための犬のお話 ダーチャ・マライーニ著 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ この本の「わたし」が関わった犬の物語集。 アイスクリームが好きな犬、文句ばっかり言う犬、飛ぶことが大好きな犬。 可愛くてちょっとおマヌケな愛すべき犬の ほっこりする話ばかりの本かと思いきやそうではなかった。 犬の病気や死、人間の身勝手でゴミ箱や道に捨てられる犬の話が綴られていた。 おそらく著者の実体験ではないだろうか。 中でも犬の安楽死の話はドキッとした。 怪我や病気で死が確定した犬の飼い主に獣医が言う 「死なせてやりませんか?」 「楽にさせてやりましょう。」 それは苦しみを取り…

  • すべてに意味を求めてはいけない

    人生なんて無意味だ ヤンネ・テラー 著 意味のあるものなんてこの世には何もない。 ものはみな始まったとたん終わりに向かっている。 だから何をしても意味がない、無益だ。 自分の存在意義、人生の意味。 人生について世界についておぼろげに見えてきた思春期の子どもに湧き上がる疑問。 自分が今ここにいる意味はなんだろう? どうせ死ぬのになぜ生きなきゃいけない? 意味がないなら今やっているすべてのことが無駄なのか? 思春期をこじらせまくってそのまま大人になった私。 人生の意味は極力考えないようにしている。 だって、意味なんてないって知ってるから。 私の存在なんてあってもなくても変わらない。 今私が消えてし…

  • 傷を笑いにかえる

    秘密のノート ジョー・コットリル著 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 前回の「レモンの図書室」と同じ著者の本。 「レモンの~」がドストライクに好みだったので図書館で迷わず借りてきた。 「レモンの~」はヤングケアラーを題材にした物語で 社会問題になっていることは知っているが 私にはあまり身近なテーマではなかった。 が、主人公の心の動きが鬱になる前の私によく似ていて共感し涙した。 本作はルッキズムがテーマ。 11歳の少女ジェリー。 ものまねが得意でひょうきんな女の子。 太めの体型も自虐ネタにして笑いをとる。 そんなジェリーだからみんな遠慮せず彼女に言う。 セイ…

  • わたしは大丈夫という呪文

    レモンの図書室 ジョー・コットリル著 本が大好きなカリプソはいつも一人。 でも大丈夫、ひとりでも幸せだ。 ママが子供のころに読んでいた本に囲まれて幸せ。 自分の一番の友だちは自分、頼りになるのは自分の強い心だけ。 そうパパに教えられて生きてきた。 「他人はいらない」 「もしパパになにかあっても大丈夫だ、お前には人一倍強い心があるんだから」 パパはママが死んで悲しくて心が壊れてしまった。 その壊れた心はどこかに仕舞って鍵をかけた。 そして「パパは大丈夫だからカリプソも大丈夫だ」と言って カリプソの存在を忘れるようになった。 この物語は、近年社会問題になっているヤングケアラーを題材にした話だが 私…

  • 本を眺める楽しみ

    私の本棚 新潮社編 本が好きだ。 もちろん文章を読むのが好きなわけだが それ以上に本の存在そのものが大好きだ。 “モノ”としては紙の集合体にすぎないけど その中は文字や絵や写真を通して未知の世界が広がっている。 だからだろう、本の背表紙を眺めているとワクワクするのは。 当然、本屋も図書館も大好きだ。 そこには無数の夢と希望と可能性がある。 (私にしてはかなりポジティブなワードのラインナップ) 一生かかっても知り得ることのできない知識や事象、歴史、概念etc. そして人様の本棚を見るのもこれまたとっても楽しい。 「本棚は人を表す」と言われるように 本棚は、その人の趣味、思考、嗜好、価値観が可視化…

  • ルッキズム支配

    かわいい子ランキング ブリジット・ヤング著 衝撃的なタイトルとかわいい装丁で手に取らずにはいられなかった本。 今の時代、かわいい子ランキングなんてあっていいのか? 生徒たちに突然送られてきた8年生の女子のかわいい子ランキング。 1位から50位までのランキング。 みんなの予想を裏切って1位は、地味で本ばっかり読んでてぼーっとしているイヴ。 誰もが憧れる人気者のソフィーが2位。 自分の世界に満足してひっそり生きていたのに いきなり学校の中心人物になってとまどうイヴと 自分が1番じゃないこと、誰かの下になったことががまんできないソフィー。 そしてランキングに入ってもいない、ぽっちゃりタイプのイヴの親…

  • 言葉の怖さ

    パッとしない子 辻村深月著 小学校教師が国民的アイドルのかつての教え子に再会し、 先生と二人で話がしたいと言われ、気分良く応じたら 聞かされたのは自分が過去に言った彼と彼の弟を傷つけ言葉の数々。 あなたが放った言葉で如何に傷ついたか、 どれだけあなたを嫌ってるかを 面と向かって話されるというある意味復讐劇のようなストーリー。 言われた方はしっかり覚えているが 言った方は、言われてみればそんなことを言ったような気もする程度の記憶で しかも「私そんなひどいことした?」と納得がいかないどころか 傷つく人が繊細すぎるのだと思う。 深く考えずに言った言葉でいちいち傷つくのはやめてほしいと。 傷つく方が悪…

  • 人間も動物も結局見た目

    やさしいライオン やなせたかし著 やなせたかしと言えばアンパンマンを思い浮かべる人が多いだろうが 私は「やさしいライオン」と「チリンの鈴」、 この2冊の絵本を思い出す。 大好きで大事な2冊の絵本。と言っても手元にはない。 好きなら買って手元に置いておくべきなのだが ここ10年ほど物を捨てたい病に罹患中で 病が悪化すると発作的になんでもポイポイ捨てしまう。 そうやって今まで何度も買っては処分しを繰り返しているこの2冊。 どうしても読みたくなったので今回は図書館に行った。 あいにく「チリンの鈴」はなかったので 「やさしいライオン」だけ借りてきた。 いつも震えているからブルブルと名付けられたみなしご…

  • 殺人鬼ノーム

    庭のこびとノームから身を守る方法 チャック・サンプチーノ著 ふらっと立ち寄った図書館で目について借りた本。 赤い三角帽をかぶった小人のおじいさん、ノーム。 その存在は、知るともなく知っている。 映画アメリにも出てきたし、 どこの家の庭にもある、とまではいかないけど、 わりと見かけることが多い陶器でできた置物だ。 ディズニーの白雪姫に出てくる7人の小人を彷彿とさせる見た目から 善良な妖精の類かと思っていた。 しかしこの本のタイトルには「ノームから身を守る」とある。 なんか気になるではないか。 厚さ1センチほどで写真もたくさん載ってるから すぐに読み終わるだろうと思い、借りたのだが。 この本は一体…

  • 自然と感性

    みどりのゆび モーリス・ドリュオン著 この本を読んでまず思ったのが その世界観も登場人物の設定もまるで違うけど バーネットの秘密の花園と似ているなと。 秘密の花園は、イギリスに住むネグレストされた子どもの頑なだった心が 草花にふれることで癒やされ 子どもらしい明るさと素直さを取り戻し成長する物語。 みどりのゆびは、チトという少年のみどりのゆびの力で 街のここかしこに草花があふれ 犯罪も戦争もなくなるという、いわばファンタジー。 馬も喋るし。 2つの物語のどこを似ていると感じたのか。 それは自然の偉大さとSense of wonderの大切さを知れるところだ。 Sense of wonderを調…

  • お菓子のない人生なんて

    お菓子の大舞踏会 夢野久作 著 夢野久作といえば、ドグラマグラ。 私はドグラ・マグラしか読んだことがない。 ドグラ・マグラのチャカポコチャカポコ・・・が辛すぎて なんとか読破したものの、チャカポコしか覚えていない。 以来、夢野久作の本を手にとることはなかったが 「お菓子の大舞踏会」というタイトルに惹かれて読んでみた。 これが夢野久作の作品なのかと驚いた。 タイトルは可愛いけどきっと難読なのだろうと予想していたのに 反してタイトルそのままにお菓子が踊る童話である。 お菓子の食べすぎは体によくないと 子どもへの注意喚起を目的に作られたような童話だ。 お菓子が大好きな五郎くんがお菓子をたくさん食べた…

  • クズ夫の妻たるもの

    ヴィヨンの妻 太宰治 著 私はとくに太宰のファンというわけではないので 太宰といって思い浮かぶのは、 「人間失格」「走れメロス」「斜陽」くらいである。 3作品とも確かに本を読んだのだが、内容を覚えていない。 どういう話だったっけ? 「斜陽」は 読後に ”好きだなこれ” と思った記憶はあるのだが ストーリーが全然思い出せない。 私は多分、太宰の世界がよくわからない。 だけど「ヴィヨンの妻」、タイトルの“ヴィヨン”に惹かれた。 ヴィヨンとはなんぞや、 ちょっと童話っぽいとワクワク読んでみれば まったくの見当違い、クズ夫とその妻の話だった。 そして初見ではなく、 過去にもやっぱり“ヴィヨン“に惹かれ…

  • 人形の存在

    りかさん 梨木香歩 著 ―ひな祭りのプレゼントにリカちゃん人形をリクエストしたら おばあちゃんから送られてきたのは市松人形のりかさんだった― 確かにどちらも人形であるし、 同じ名前だから間違ってはないけれど 期待していたプレゼントとはずいぶん違う。 箱を開けた時のようこの消沈は、推して知るべしだ。 だけどこのりかさん、そこらの人形とは格が違う。 ようこも後に言う。 「りかさんは、世界中のどのリカちゃん人形よりいちばんいいりかさん」 物言わぬ人形と表現されるが このりかさんは喋る。 厳密に言うと“喋る”わけではないけど、 ようことおばあちゃんとりかさんはとっても仲良しだ。 そして、この物語に登場…

  • バカ最強説

    イワンの馬鹿 トルストイ著 この物語を読んでますますバカ最強説を唱えたくなってしまった。 何も考えない、考えられない人、 世の理になんの疑問を持たず、 目に見えているものが全てと信じて疑わない人、 ことの複雑さを理解できない人、 そんなバカの方が賢い人より幸せなのではないかと常々考えていたのだが その考えを後押しするような物語だった。 イワンの兄弟のシモンは、軍人で力と権力を欲し タラスは、商人で金欲が強い。 対してイワンは、それらに何の価値も感じていない。 だから貰えるはずの父親の財産分与も気前よく兄たちに譲ってしまう。 無欲なのか無知なのか。 無欲も無知も現状を受け入れている点は同じだが …

  • 悪くない魔女

    ラプンツェル グリム童話 塔に幽閉された髪の長いお姫様が王子様に助けられるお話だと (ディズニー版は知らない)と思っていたが そんなわかりやすい勧善懲悪な物語ではなかった。 そもそも、ラプンツェルはお姫様ではなく一般庶民だ。 つい童話に出てくる女の子は、 皆お姫様だと思ってしまうのはどうしてだろう。 それに魔女と言えば、悪者と相場が決まっているが この物語にでてくる魔女を悪者とするのはちょっと可哀想だ。 たしかに物語上は、悪者として位置づけられているのだが 魔女のしたことは、我が子を大事に思う母親の 行き過ぎた行動にしか思えないからだ。 それよりも長い間子どもができなくて、 やっとできた娘を青…

  • ただ、淋しくて悲しい

    赤いろうそくと人魚 小川未明 アンデルセンの人魚姫は悲恋の物語だが 王子とその花嫁の幸せな結婚という明るい要素と 恋は叶わなかったけれど 自己犠牲を尽くした人魚姫が永遠の魂を得るという救いがあるから ハッピーエンドとも言えなくもない。 だがこの小川未明の人魚の物語は、どうだ。 最初から最後までどんよりと重くて淋しくて全く救いがない。 冷たく暗い気の滅入りそうな北の海で暮らすよりも この世界の中で一番やさしいものだと聞く 人間の元で暮らした方が幸せになれるだろうと 陸に娘を産み落とした人魚。 神様から授けられた子どもだからと 人魚の赤ん坊を大事に育てる、ろうそく屋の老夫婦。 だけど大金を目の前に…

  • 全員ルッキスト

    白雪姫 グリム童話 誰もが知ってる白雪姫の物語。 美しい白雪姫に嫉妬した継母が 彼女の殺害をたくらむが 何度か失敗し、 なんとか毒りんごを食べさせて、やっと殺害成功!悲願達成! かと思ったら、 実は死んでなくてりんごが喉に詰まっていただけだった。 と、ちょっとマヌケな魔女のおかけで死を免れた白雪姫が ふらっと現れた王子様と結婚するという ハッピーエンド(なのか?)物語。 ちゃんと白雪姫を読んだのは初めてかもしれない。 何故なら、こんなひどい物語だったのかとショックを受けているからだ。 この物語のテーマはズバリ、ルッキズム。 外見至上主義バンサイ!だ。 つい小人やお姫様とキラキラしたものに惑わさ…

  • 夢膨らむお菓子の家

    ヘンゼルとグレーテル グリム童話 パンの本を読んだからか パンと同じくらい魅惑的なお菓子のことが気になって ヘンゼルとグレーテルを思い出した。 ヘンゼルとグレーテルと言えばお菓子の家。 その甘くてメルヘンな様相から 可愛らしい童話を想像しがちだが そんなことはなく、なかなか残酷な物語だ。 自分の食べる物がなくなるからという理由で 森の奥深くにこどもを置き去りにする継母と実父。 こどものために食べ物を我慢する親の方が多い (そうであってほしい)と思うが グリムやアンデルセン、 多くの童話にでてくる親はそんなに優しくない。 我が子より我が身が何より大事な 実に本能に忠実な大人たちだ。 そんな親に捨…

  • パンのない人生なんて

    いつものパンがあなたを殺す Grain Brain デイビッド・パールマター/クリスティン・ロバーグ 著 白澤卓二 訳 三笠書房 私はパンが大好きだ。 ケーキも好きだがどちらか選べと言われたら 迷わずパンを選ぶ。 スコーンとパンのどちらかを選べと言われたら・・・ 無理、選べない。 スコーンは、パン?菓子?どっち? ま、ケーキもパンもスコーンも 小麦を使った食品であることに違いはない。 小麦に含まれるグルテンというタンパク質が 体によくないと言われ、 グルテンフリーが流行り始めたのは いつからだったか、 グルテンフリーは定着した感がある。 グルテンフリーや 糖質制限ダイエットが流行る前は、 大好…

  • ガーデニングの癒し

    秘密の花園 フランシス・ホジソン・バーネット著 説明するまでもない有名文学作品で 私がバーネットの作品の中で一番好きな物語だ。 主人公のメアリとコリン、 二人とも全然いい子じゃなくて 可愛げもないところが好きなのだが とんでもなくわがままでいつも不機嫌で、 思い通りにならないとキレる扱いに困るこどもで。 でもそれは親にネグレストされて 愛情に飢えてるからなのだと知ると いたたまれない気持ちになる。 メアリの両親もコリンの父親も自己中な人間だ。 特にコリンの父親には、怒りが湧いてくる。 妻を亡くした悲しみから抜け出せず、 愛と保護を必要とする我が子を放置して旅三昧。 自分の悲しみにどっぷり10年…

  • 貯金生活

    れんげ荘 群ようこ著 ハルキ文庫 有名広告代理店を45才で早期退職して 貯金だけで生活すると決めたキョウコ。 家賃3万円のボロアパートに引っ越し、 月10万円で慎ましく心穏やかに暮らす。 現在無職の私は、 主人公キョウコの貯金生活に親しみを覚える。 もちろん、自分で決断して無職になったキョウコと 思いがけず無職になった私とでは 心構えが全然違うのだが 会社という組織に馴染めなかった 独身無職のおばさん一人暮らしの心情に 共感するところも多い。 私は、会社の人間関係で病んだので 人間がうじゃうじゃいる組織に戻りたくないが 今は、傷病手当金でなんとか生活してるけど キョウコのように8桁の貯金がある…

  • おしゃれしたい気持ちは罪なのか

    赤いくつ 作者:アンデルセンハンス・クリスチャン Amazon この有名な物語は、宗教色が濃くて クリスチャンではない私にはちょっと受け入れ難い。 村の靴屋のおばさんが 赤い靴を少女にプレゼントしたのが 少女の母親の葬式の日とは、 ちょっと意地悪じゃないか。 だけど靴も買えないくらい貧乏な少女が 赤い靴を手にした時は、そりゃあ嬉しかったろうし 葬式といえどもそれしか靴がないのだから その靴を履いて当然だろう。 そして赤い靴を初めて履いた日に 裕福な婦人に引き取られて 貧乏から抜け出せたのだから 今の幸せはすべて赤い靴のおかげだと 思ってしまうのも仕方がない。 少女にとって赤い靴がラッキーアイテ…

  • 映画化したくなる物語

    みんなワッフルにのせて 作者:ポリー ホーヴァート Hakusuisha/Tsai Fong Books Amazon 私がポリー・ホーヴァートを知った最初の本。 (ホヴァート?ホヴァス?発音がわからない) 「ブルーベリーソースの季節」も 「サリーおばさんとの一週間」も好きだけど イチオシはこの本だ。 両親が海で行方不明になって一人ぼっちになった 11才の少女プリムローズと 彼女を取り巻く個性の強い人々を描いた物語。 各章末にレシピが載っているのも楽しい。 ポリー・ホーヴァートの作品を読んでいると いつも頭の中で映画化してしまう。 彼女の作品は、ミニシアター系映画の好きな人に 受けると思うのだ…

  • 女性の結婚と仕事

    続あしながおじさん(新潮文庫) 作者:ジーン・ウェブスター 新潮社 Amazon あしながおじさんの続編で原題は、DEAR ENEMY。 親愛なる敵様といったところだろうか。 敵様とは、孤児院院長のサリーが 手紙を送る仕事仲間の医師マクレイ先生のこと。 あしながおじさんの物語は、 ジュディが思いを寄せるジャービス坊っちゃんが あしながおじさんだとわかったところで終わっている。 続編は、ジュディの友人サリーが ジャービスとジュディ夫妻から ジョン・グリアー孤児院院長を指名されて 驚いている様子から始まる。 ジュディはジャービスと結婚して 幸せに超リッチに暮らしている様子が 私が想像していたジュデ…

  • こんな風に生きれたら

    Heaven?〔新装版〕 コミック 全6巻 完結セット 作者:佐々木 倫子 Amazon フレンチレストラン Loin d’ici(ロワン ディシ)=この世の果て Loin d’iciとは、 直訳すると “ここから遠い場所”。 繁華街からも駅からも利益からも遠い、 そして何よりも現実から遠いレストラン。 このレストランを“この世の果て化”してるのは、 超マイペース自己中わがままオーナー黒須仮名子。 美味しいフレンチと酒を思う存分 自分が楽しむために開業したのだから、 そもそも客に対するサービスの概念がない。 顧客満足 < 自己満足 サービス業に携わる人間として レストラン経営者として 誰が見て…

  • 自分が自分でいられること

    窓ぎわのトットちゃん 新組版 (講談社文庫) 作者:黒柳徹子 講談社 Amazon この本をはじめて読んだのは 小学校5年生の時。 この頃の私にとって黒柳徹子は、 “TVに出てるちょっと変わったおばさん” という認識だったから このおばさんのこどもの頃の話は 面白そうだと思ってこの本を買った。 小学校を退学になったトットちゃん。 トイレの汲み取りの穴に飛び込んだトットちゃん。 どのエピソードも面白くて、 いわさきちひろの絵も可愛くて すぐにこの本が大好きになった。 トットちゃんが通うトモエ学園にも憧れた。 教室は電車で、席が決まってなくて 自分の好きな学科を優先して学ぶ。 お昼は、講堂に集まっ…

  • 金銭にシビアなクマ

    くまのパディントン (世界傑作童話シリーズ) 作者:マイケル・ボンド 株式会社 福音館書店 Amazon Yahooニュースで イギリスのエリザベス女王と お茶をするパディントンの映像を見た。 エリザベス女王の在位70年を祝う 祝賀コンサートの冒頭で流れた映像らしい。 バッキンガム宮殿で女王とお茶するクマ。 なんてイギリスらしいんだろう。 と微笑ましく思ったが 一目でそのクマがパディントンだと 日本人の私でもわかるくらい有名だけど どんなお話だっけ? 映画は見た。 子供向けだろうと侮っていたら 面白くて、1、2共にお気に入りの映画になった。 原作は、読んだことがないから 早速買って読んだ。 暗…

  • 自分だけの世界がほしい

    だれも知らない小さな国―コロボックル物語 1 (講談社青い鳥文庫 18-1) 作者:佐藤 さとる 講談社 Amazon 小人の物語の定番、セオリーと言えば 小人の敵と味方の攻防を描いた物語だろう。 小人の味方となるのは、たいてい子供で 敵は大人、小人で金儲けしようとする人や 小人の世界を壊そうとする人。 この物語もそんなセオリーどおりと言える。 子供のころに出会ったコロボックルの存在を信じて 大人になったせいたかさんが コロボックルを守ろうとする物語。 だけどそれは物語の外枠にすぎない。 この物語が教えてくれるのは 自分の心の中にある世界、 誰にも邪魔されない 自分だけの世界を持っていることが…

  • 面倒くさいの根底にあるもの

    生きるのが面倒くさい人 回避性パーソナリティ障害 (朝日新書) 作者:岡田 尊司 朝日新聞出版 Amazon <回避性パーソナリティ障害> ー自分に自信が無くて人から批判されたり 恥をかくのが怖くて社会や人を避けてしまう。 愛されたいが冷たい仕打ちが怖くて相手に近寄れないー 人と会うのが面倒くさい。 喋るのが面倒くさい。 考えるのが面倒くさい。 生きるって超絶面倒くさい。 人と親密な関係になれない。 他人の批判や拒否に敏感。 いつも皆に嫌われてると思う私。 自己肯定感自体がない私。 そんな私は愛着スタイル回避型だから =回避性パーソナリティ障害だろうと 思っていたが両者は、別物だった。 両方が…

  • 神さま次第

    ミシェルのゆううつな一日 作者:マルティナ・ヴィルトナー 岩波書店 Amazon ミシェルは、14才の女の子。 背が低くて、自分の名前が嫌い。 ママとパパは別居中で 学校でリディアにいじめられている。 なんかうまくいかなくて、 やることなすことすべて失敗の日。 負のループにハマってしまった日。 朝、寝坊した。 先生の足を踏んでしまった。 フランス語の授業でミス。 ママのお金でジャグリングボールを買った。 リディアのリュックを盗んで逃走。 他人の車を開けて中を物色。 財布からメモを盗んで逃走。 靴の代金を支払わずに逃走。 つかなくてもいい嘘をついた。 失敗が失敗を呼んで、失敗に焦って逃げる。 次…

  • 老いと孤独

    ジオジオのかんむり 作者:岸田 衿子 株式会社 福音館書店 Amazon ジオジオは、王様のライオン。 誰もが恐れる強い王様。 ピカピカ光る冠を見ただけで皆、隠れてしまう。 強者の孤独。 強者の王様も年をとる。 老いを感じた時、さらなる孤独が襲ってくる。 私は強者ではないから、 強者、上に立つ者の孤独はわからないが 容易に想像することは出来る。 反対に弱者は、どうだろう。 弱者は、数が多くていつも群れてるから孤独じゃない? そんなことはない。 弱者だって孤独だ。 上司からのパワハラで病んで無職になった私は、 上司が強者ってことだから弱者だ。 人と関わるのが怖いから 社会復帰もままならない。 未…

  • 夢見る少女の会

    いたずらおばあさん 作者:高楼 方子 フレーベル館 Amazon 夢見る少女の会とは、 「いつまでも少女の心のままだから 少女達の気持ちがよくわかる」と 認知機能がバグっている、 どこでもけたたましく喋り倒す、 迷惑千万なBBAの集まりの会のこと。 1枚着ると1才若くなる服。 見た目だけ若くなって中身はそのまま。 私なら何枚着るだろう。 デブとか一重とか 可愛くてチヤホヤされる子と されない子がいて 私はされない方だと自覚する前がいい。 無邪気にその日その瞬間を生きていた 子ども時代がいい。 でも意識が今のままなら デブも一重も自覚するか。 デブで一重でも シミもシワも白髪もゴルゴもないから …

  • 12才の生と死

    オリーブの海 作者:ケヴィン ヘンクス 白水社 Amazon 事故で死んだ同級生の日記の1ページが届く。 ほとんど口をきいたこともないオリーブの日記に マーサと友達になりたいと書いてある。 日記を読んだ日からそれが頭から離れなくなる。 誰にもそのことを話せない。 話せないくらい重くのしかかるオリーブの死。 この人ならと打ち明けたら、 盛大に裏切られて傷ついて 頭の中がぐちゃぐちゃになる。 12才。 子ども時代が終わりを告げ、思春期が始まる。 大人になる準備に入った体と心は、 いろんなことに敏感になる。 12歳の少女にいきなり突きつけられる「死」。 否が応でもそれに支配される。 12才。 小学生…

  • ゆきて帰りし物語

    ホビットの冒険 (全1冊) (岩波少年文庫) 作者:J.R.R.トールキン 岩波書店 Amazon 家に突然、知らない人がワラワラ14人も 押しかけきて勝手にごはんを食べて 宴会を始めたらどうする。 怒る、そして警察に通報する。 そのうえ、祖国を取り戻す旅に同行してほしいと言われたら? 断るに決まってる、怪しさ100%だ。 バギンズもそう思ったのに何故か一緒に旅に出る。 この強引さがファンタジーだ。 ファンタジーはあんまり好きじゃない。 世界観がゆるいと なんでもありの無法地帯になるから。 制限のない世界の住人や出来事は どこか空々しくて安っぽく感じる。 だからホビットにも興味がなかったのだが…

  • 視えますか。

    超常現象の科学 なぜ人は幽霊が見えるのか 作者:リチャード ワイズマン 文藝春秋 Amazon 幽霊を信じるかと聞かれれば、 信じているわけではないが全否定もしないと答える。 子どもの頃は信じきっていた。 何かを視たわけじゃないが否定する理由もなかった。 お岩さん、口裂け女、こっくりさん、天井下り、トイレの花子さん・・ どれもこれも心から怖かった。 大人になってそれらは一種のエンターテイメントになり 真実ではなくなったが 頭から否定するのは人間の傲慢だと思っている。 私は視えない、何も感じない。 だけど勘が働くことがたま~にある。 ある場所で、なんかココ嫌だな~と思うこともある。 誰でもそれく…

  • 夫婦だから似てるのか、似てるから夫婦なのか

    アッホ夫婦 (ロアルド・ダールコレクション 9) 作者:ロアルド ダール 評論社 Amazon アッホ夫婦 The Twits タイトルがアレだし、ダールなので 他の人があまり書かないようなことを 書いてるんだろうなとは想像した。 が、不潔な夫婦の吐き気がするほどの不潔っぷりに気持ち悪くなり、 不潔夫婦の騙し合いと不愉快ないたずらを ずっと読まされるのはかなわないと本を閉じそうになった。 想像してたより胸糞悪い。 しかし、それはダールの狙いのようでもある。 人間は、性悪で意地悪になると外見がこんなにも 醜くなると言っている。 美醜とは容姿の造形をさすのではなく、 心根の美しさ醜さのこと。 性悪…

  • 未来をみる

    春のウサギ 作者:ケヴィン・ヘンクス 小学館 Amazon 春のウサギ SWEEPING UP THE HEART ケヴィン・ヘンクス かわいそうな私。 2才の時、お母さんがガンで死んだ。 だからお母さんのことは覚えていない。 いつも憂鬱なお父さん。 オブライエンさんがよく言う。 「かわいそうなアミーリア」 両親が “夫婦の絆をたしかめあうプログラム” に参加するために ルイーズのところに預けられたケイシー。 二人とも喧嘩に忙しくて息子のことを忘れてる。 よりによって多感な思春期に 親の離婚、再婚問題が浮上するのは何故だろう。 親に逆らっても結局、親の都合に振り回されるこども。 傷ついてそれで…

  • ヘルジャパン

    モヤる言葉、ヤバイ人~自尊心を削る人から心を守る「言葉の護身術」 作者:アルテイシア 大和書房 Amazon 日本に住む女性で 一度もハラスメントを受けたことがない人がいるだろうか。 セクハラ・パワハラ・モラハラ・マタハラ・・・・ 「いい奥さんになれるよ」 「あなたはみたいに私は強くない」 「悪気はないんだから許してあげたら?」 「最近の若い奴は、根性がない」 「冗談なのに、何まじになってんの?」 私が無職なのは、会社でのパワハラが原因だ。 パワハラによるメンタル崩壊→休職→退職→無職・通院中。 人事部に相談したが何も変わらなかった。 パワハラ加害者、すなわち 社内でパワーの大きい人、権力を握…

  • やられたらやり返す

    マチルダは小さな大天才 (ロアルド・ダールコレクション 16) 作者:ロアルド ダール 評論社 Amazon 小さな女の子にしかすぎないマチルダが ひどいことをする自分勝手で理不尽な大人に、 きっちり仕返しをするのが清々しく爽快な物語。 金とTVに生きる世俗的で下品なワームウッド夫妻。 我が子に何の興味も持たない最悪な親。 そんな親元に生まれた天才マチルダ。 親のせい、育った環境のせいにして哀れんでひねくれるのは簡単だが マチルダは、生まれた環境を悲観して投げやりになったりせず その頭の良さで打破していく。 バカな親とは早々に見切りをつけ、自分に見合う環境を手に入れる。 血縁だからとしがみつか…

  • とりあえず、インゲンが食べたい

    サリーおばさんとの一週間 作者:ポリー ホーヴァス 偕成社 Amazon サリーおばさんとの一週間 ポリー・ホヴァース THE TROLLS Polly Horvath 急病になったベビーシッターの代わりに メリッサ、アマンダ、フランクの家にやってきたサリーおばさん。 サリーおばさんの語る、面白くて不思議な話に魅了される子どもたち。 でもパパは、姉のサリーに来てほしくなかったみたい。 インゲン、否、ゼンマイの話をするサリーおばさん。 インゲンを指ではさんで回転させ、はしから食べる。 インゲンを口のはしから突き出した牙みたいにして食べる。 子どもたちが嫌いなインゲンを食べながら語られるのは、 ゼ…

  • 魔女になりたい

    小さい魔女 (新しい世界の童話シリーズ) 作者:オトフリート・プロイスラー 学研プラス Amazon 魔女のイメージ。 黒マント、三角帽子、おばあちゃん。 ほうきに乗って空を飛ぶ。 大釜で何かをぐつぐつ煮る。 黒猫、カラス、杖、呪文、魔法。 魔法が使えるようになりたいと何度願ったことか。 苦しみを与えたい人間が少なからず2人、3人、あー5人はいる。 殺しはしない、楽に死なせてたまるか。 死なない程度の苦しみを 生きるのを止めたくなる苦しみを100年くらい味あわせてやる。 “小さい魔女”は、たった127才の気のいいおばあちゃん。 おしゃべりなカラスと森奥深く小さな家で暮らしてる。 1日6時間の魔…

  • バカって何回言った?

    「バカ」の研究 作者:セルジュ・シコッティ,イヴ゠アレクサンドル・タルマン,ブリジット・アクセルラッド,アーロン・ジェームズ,エヴァ・ドロツダ゠サンコウスカ,ダニエル・カーネマン,ニコラ・ゴーヴリ,パトリック・モロー,アントニオ・ダマシオ,ジャン・コトロー,ライアン・ホリデイ,フランソワ・ジョスト,ハワード・ガードナー,セバスチャン・ディエゲス,クローディ・ベール,ダン・アリエリー,ジャン゠フランソワ・ドルティエ,ローラン・ベーグ,アリソン・ゴプニック,デルフィーヌ・ウディエット,ジャン゠クロード・カリエール,ステイシー・キャラハン,トビ・ナタン 亜紀書房 Amazon バカの研究 ジャン=フ…

  • 奪われる思考と自由

    動物農場 (角川文庫) 作者:ジョージ・オーウェル,高畠 文夫 KADOKAWA Amazon 動物農場 ジョージ・オーウェル 前知識がなくタイトルから牧歌的な物語だと思っていた。 例えば、ケネス・グレーアムの“たのしい川べ”のような。 違った、全然違う、違いすぎる。 他のジョージ・オーウェル作品を読んでいれば想像ついたかもしれない。 人間と戦い、革命を起こし自由を手に入れた動物たち。 低俗な人間とは違う。 動物主義、七戒、不動の法律、崇高な理念。 「四本脚は良い、二本脚は悪い」 過酷な労働とひもじい生活は終わり、 働かずに安楽に暮らせる自由な生活を手に入れた。 スノーボールとナポレオンは革命…

  • 逆境にめげない孤児、古典少女文学のセオリー

    リンゴの丘のベッツィー (望林堂完訳文庫) 作者:ドロシー・キャンフィールド・フィッシャー 望林堂 Amazon リンゴの丘のベッツィー ドロシー・キャンフィールド・フィッシャー 私好みなタイトルと表紙絵。 りんごが大好きな私は、“りんご”に引っかかる傾向がある。 原題は「Understood Betsy」 直訳するなら「理解されたベッツイー」か? 可愛くないね。 孤児のベッツィーが引きとられた先で 周りの大人に影響され影響し、成長する物語。 古典少女文学の定番。 古典少女文学に親しんでる人はデジャブ感満載だ。 孤児の少女の物語と言えば 赤毛のアンが有名。 他にもエミリー、メアリー、セーラ、ポ…

  • 貧困と馬鹿の罪

    フランダースの犬 (岩波少年文庫) 作者:ウィーダ 岩波書店 Amazon この世でいちばん大事な「カネ」の話 (角川文庫) 作者:西原 理恵子 KADOKAWA Amazon フランダースの犬を久しぶりに読んで号泣した。 何度読んでも号泣だ。 今回読む前に西原理恵子の「この世でいちばん大事なカネの話」を読んでいた。 だから貧乏と無知について深く考えてしまった。 ネロの祖父、ジェハン・ダースは極度に貧乏だ。 食べ物が十分にあったことは一度もない。 何も食べない日もある。 そんな家にネロは引きとられた。 80才過ぎた老人とこどもの超絶貧乏暮らし。 自力で抜け出す方法があるだろうか。 現在、日本で…

  • 人なんかより、動物のほうがいい・・・でも

    新訳 ドリトル先生アフリカへ行く (角川文庫) 作者:ヒュー・ロフティング KADOKAWA Amazon ドリトル先生 アフリカへ行く ヒュー・ロスティング 動物と会話できる医者ジョン・ドリトルと動物の冒険物語。 いわゆるGift的能力で動物と会話ができる人、 ある日突然、動物の言ってることがわかるようになった人が ドリトル先生だと思っていた。 映画はそうなっていたような。 (エディ・マーフィ主演のとロバート・ダウニーJr主演の) 違った。 ドリトルは勉強して会話できるようになった。 鳥語、犬語、猿語、etc. すごい。 動物の種類の数だけ言語がある。 ひょっとしたら人間以外の動物間共通言語…

  • 人間は、都合よく現実を変える

    変身 (角川文庫) 作者:フランツ・カフカ KADOKAWA Amazon 変身 フランツ・カフカ ある朝、目覚めると虫になっていた男。 グレゴールは、 虫になったことより仕事に遅刻したことにパニックを起こす。 我が身より仕事。 なんとか汽車に乗らなければ。 店の支配人を説得し、 故意にさぼってたわけじゃないと理解してもらわなければ。 自分が養っている両親と妹。 店に借金がある。 自分が働かなくては、たちまち家族が路頭に迷う。 記憶と感情はそのままで虫になったグレゴール。 ちゃんと話してるつもりでも 大きな虫が音を出してるだけにすぎない。 なぜ、虫になったのか。 人間に戻れるのか。 嘆き、怯え…

  • 新しい誕生日を迎えたら

    月あかりの中庭 (講談社文庫) 作者:立原えりか 講談社 Amazon 月あかりの中庭 立原えりか 1987年 12篇の短編からなる童話集。 日常の不思議な話というより、ファンタジー&メルヘン色が強い。 <新しい誕生日> この寓話に出会えただけで満足。 他はいらないかも。 もうすぐ60才の独身のはるな。 「楽しいこと何一つなくて年をとってしまった。 なんでそうなったかわからない。」 ああ、その通り。 なんでそうなったかわからない。 気づけば独身、いつも一人。 明確に意図的にそう生きている人もいるだろうが 大半は、気づくとそうなっていた。 これがホントのところだと思う。 少なくとも私はそう、気付…

  • 好きな世界を思い出させてくれた

    ハリー・ポッターと賢者の石 J.K.ローリング 1999年 児童文学の大大大ヒット作。 映画化される前から話題になってた。 どこの本屋でも山積みで 分厚い本にも関わらず売れていた。 ひねくれてる私は、当然のようにスルー。 流行りものは興味がわかず、 まれに手にしても好みじゃないことが多いからだ。 どんなきかっけで読んだのか覚えていないが 読んだ時の衝撃は、忘れない。 頭をガーン!とやられた感じ。 これだこれだ、私が好きなのはこれだ。 こんなに好きな世界を忘れていたなんて。 魔法使い、マント、小鬼、空飛ぶほうき、百味ビーンズ、トロール・・ 目が覚めたような、 凝り固まっていた殻が割れて外へ飛び出…

  • クリスマスの奇跡?わかりやすい性善説

    クリスマス・キャロル チャールズ・ディケンズ 1843年 言うまでもなく、クリスマスの大定番。 クリスマス・キャロルは知らなくても 守銭奴で情け知らずの老人が3人の精霊と出会って善人になるストーリーは 聞いたことがあると思う。 スクルージの描写が容赦ない。 並外れた守銭奴、因業じじい、牡蠣のように人付き合いが悪い。 (牡蠣のようにとは?) 彼が通るとその低い体温で辺りを冷やす。 しかし、よくよく見れば 確かに親切ではないが、悪人でもない。 犯罪も侵さない。社会人としての義務は果たしている。 ただ、それ以上のことはしない。 強欲だが、私利私欲に走らず、贅沢もしない。 真面目に商売をして儲ける。 …

  • ラノベと児童文学の境目ってどこだろう?

    カーリー 黄金の尖塔の国とあひると少女 高殿円 2012年 第二次世界大戦前 イギリス統治下のインド 思春期の少女たち 女子校の寮生活 少女文学好きがこの設定に惹かれないわけがない。 まるでバーネットのようじゃないか。 本屋で見た時、買おうかと思ったが、 全然知らない著者で、 本カバーがアニメっぽいのが引っかかって購入しなかった。 先月、Kindleのセールで¥96になっていたのでポチった。 ¥96ならハズレ本でもいいやって思える価格だし。 結論、ハズレ。 3巻続いてる人気シリーズで、夢中になる人がいるのも理解できるが 私には合わなかった。 設定が超好みだっただけに残念だが、予想通りだったかも…

  • 不思議が不思議じゃなかったこどもの頃

    そこなし森の話 佐藤さとる 1976年 佐藤さとると言えば、コロボックル。 コロボックルと言えば、佐藤さとる(私的に!) その!佐藤さとるの短編集。 大人の今、振り返るとあれは何だったんだろうと不思議に思うことがある。 日常に不思議が散らばっていた子供時代。 子供は、不思議を不思議と思わないから 大人の方が不思議に会う回数は多いかもしれない。 大人は、出会った不思議を解明しようとする。 誰かのいたずら、うっかり、記憶違い、偶然の産物・・・ 謎解きできないともやもやする。 そんなおかしなことあるわけないと不思議を一生懸命、否定しようとする。 科学は万能ではないし、 人間が解明できないことは5万と…

  • 孤独を恐れる人は体が大きくなっただけのこども

    孤独こそ最高の老後 松原惇子 著者は、ひとり女性の老後を応援するNPO法人SSS(スリーエス)の活動をしている。 日頃から孤独な老人を見ている。 本人もシングルの70代、前期高齢者(執筆時)。 読んでいた時は気づかなかったが私の両親と同世代と知って驚く。 軽快でちょいちょい笑わせてくれる文章と 彼女のライフスタイルが50代前半と思わせる。 両親とは随分違う。 これもひとり者とツガイの違いだろうか。 頼る人がいないってことが頭や体、果ては細胞までも強く、若くさせるのだろうか。 老人の孤独という軽くはないテーマを扱ってるが、全然重くない。 SSSという団体を通じて知るエピソードは、 ビックリでぞっ…

  • 青い城で待ってればいつか王子様が迎えに来てくれる

    青い城 ルーシー・モード・モンゴメリ 1926年 The Blue Castle Lucy Maud Montgomery モンゴメリと言えば、「赤毛のアン」が有名すぎるくらい有名。 私も幼稚園児の頃、赤毛のアンでモンゴメリを知った。 赤毛のアンは、私的に好き嫌いのレベルを超えた別次元の本。 私という人間の中で重要人物の“アンと言う名の赤毛の少女”。 安易に語れない。 なので、モンゴメリ作品の中で好きな本を挙げるとしたらこれだ。 まだ自分に夢と希望を持っていた10代の終わり頃に初めて読んだ。 未来はバラ色だと思っていたはずなのに、 何故かオールドミスのヴァランシーに共感した。 無意識に知ってい…

  • ピノッキオは果たして人間になりたかったのか

    ピノッキオの冒険 カルロ・コッローディ 1883年 嘘をつくと鼻が伸びる、木で造られたあやつり人形の男の子。 なんやかんや冒険をして最後は、願いかなって人間になる。 原作を読んで自分の記憶がどっぷりDisney的ピノキオ物語だと驚いた。 Disneyのアニメは、見ていないにも関わらず ピノキオと聞いて頭に浮かぶのはDisneyのピノキオなのだ。 恐るべしDisneyMagic! ジェッペット、善良で短気。 とんでもなく貧乏で、幸せで温和な老人というイメージと程遠い。 ピノッキオ、わがままで怠け者で誘惑に弱い、悪ガキ。 生みの父を蹴り飛ばし、家を飛び出して、追いかけてきた父は牢屋にぶち込まれる。…

  • からっぽの頭と心でも姿が美しければハッピーエンド

    かるいお姫さま ジョージ・マクドナルド THE LIGHT PRINCESS George MacDonald 物語は、誰もが耳にしたことがある昔話や童話に似てる。 お姫さま誕生の洗礼式に呼ばれなかった魔女がお姫さまに呪いをかける。 すべての重さを奪う呪い。 心もかるく 体もかるく 重さはみんな飛んでいけ。 よく考えたなこんな呪い。 かけられた本人より、周りが苦しみ、嘆き、悲しむ呪い。 飛ばされしまうほど軽いのは困るが、 もっと体が軽くなりますようにと日々願い、 何も考えない頭と心をうらやましいと思う私。 軽いから風で飛ばされてしまう。 お姫さまが身につけた物も重さがなくなる。 うっかり飛んで…

  • 何度読んでも疑問だらけ。でも、この言葉だけで満足。

    金の鍵 THE GOLDEN KEY ジョージ・マクドナルド George MacDonald 虹のたもとで金の鍵を見つけた男の子モシー。 母親を亡くし、父親と召使いに放置された女の子タングル。 二人が一緒に鍵穴を見つける旅に出る物語。 タングルが妖精の悪戯から逃げて迷い込んだのは 妖精の国のおばあさまの家。 不思議なおばあさまの導きで旅に出る二人。 目的は、金の鍵の鍵穴を探すこと。 箱の鍵なのか、家の鍵なのか誰も知らない。 いつの間にか、はぐれてしまう二人。 一人になっても旅を続ける。 海の老人、大地の老人、火の老人に導かれ再会する二人。 何度読んでも疑問がいっぱいな物語。 文字を追ってるう…

  • 最強タッグの完璧な本に出会ったら

    去年の今頃だったか、 本屋の児童書コーナーを物色してた時、出会った。 この2冊を見つけた時の喜びをどう表現したらいいだろう。 嬉しすぎて思わず「いやん♪」て、言いそうになった。 マクドナルドとセンダック、翻訳は、脇明子。 これを最強タッグと言わずして何と言う。 そして、安心、信頼の岩波書店。 買わない理由がない。 本の装丁が、残念ながら誰の仕事かわからないが、素晴らしい。 表紙の色は、淡く落ち着いた黄色と緑。 そこにセンダックの繊細な線画。 表紙をとってみれば、紺地に金色で描かれた絵。 ウィリアム・モリスのいちご泥棒を思い出した。 美しい。 どこかカフェでも入ってすぐに読みたいと逸る気持ち。 …

  • 仲良しだった本に再会して嬉しい気持ち

    森おばけ (福音館創作童話シリーズ) 作者:中川 李枝子 株式会社 福音館書店 Amazon 小学校の図書室で借りていた。 転校前だから小学生の低学年。 何度も借りていた。何度も借りるくらい好きだった。 大人になってこの本のことは、うっすらしか覚えてなくて、 タイトルも内容もおぼろげ。 “ゆらりさん”とかいう名前のおばけが森に住んでいて。 本の表紙は、水色っぽくて・・。 物語より、何度も何度も読んだことを強く覚えていた。 ある時、本屋の児童文学コーナーを眺めていて見つけた。 見てすぐわかった。 「そうだ、森おばけってタイトルだった!」 手に取ってパラパラと拾い読み。 森に住んでるから森おばけ。…

  • 乙女チックとメルヘンと可愛いで和らぐ

    ため息の行方 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL) 作者:陸奥A子 集英社 Amazon 乙女チック。 陸奥A子の作品を乙女チックと言わずして何という。 とくに、80年代の作品は、乙女チックと可愛い(KAWAIIではない)が盛り盛り。 夢中だった高校生の私は、この中に住みたいと願った。 栄光高校に通う。 休みの日は、にんじんデパートで買い物。 まきこ堂のオルゴールと、手作り雑貨を部屋に飾る。 寒い冬は半纏を着て、馬男(子犬)と散歩に行く。 ギンガムチェックの制服で制服デート。 眼鏡かけた学者や研究者っぽい彼氏。 クラスメイトの伝言、公衆電話、駅で待ち合わせ。 奇をてらった話や描写はない…

  • 超ポジティブで満ちた世界は、ある意味ファンタジー

    少女ポリアンナ 作者:エレノア ポーター 偕成社 Amazon 少女ポリアンナ ポリアンナの青春 エレノア・ポーター 著 この本は出版された1913年、 アメリカで100万部売れた大ベストセラー。 苦しい環境にいても嬉しいことを見出す。 悲しみより嬉しさを追求する。 ポリアンナの生き方に共感、影響された人は多かったようだ。 孤児になった11才のポリアンナが 独身のポリー叔母さんに引き取られるところから物語が始まる。 ポリアンナは超ポジティブ、楽天的。 どんなにつらい事にも嬉しいことを見出すゲーム、 嬉しい探しゲームが好き。 人形が欲しかったのに、慈善箱に入っていたのは松葉杖。 でも松葉杖を使わ…

  • 妄想が暴走する時

    魔女のパン (オー・ヘンリーショートストーリーセレクション 3) 作者:オー ヘンリー 理論社 Amazon 小さなパン屋を営む40歳で独身のミス・マーサ・ミーチャム。 貯金は2000ドルある。 マーサは、いつも売れ残りの値引きしたパンを買っていく客を ちょっとした事から貧乏画家と思い込む。 服はヨレヨレだがとても礼儀正しい。ドイツなまりの中年男。 マーサは、自分の豊かな食事を見て思う。 貧乏画家の彼は、すきま風の吹き込む屋根裏部屋で 売れ残りの固いパンを食べている。 日に日にやせ細っていく。 私の美味しい食事を一緒にすることができたらいいのに。 才能ある天才の貧乏画家が 2000ドルの貯金と…

  • 長女は心配性 世界でいちばん素敵なデパートってどんなとこ?

    (愛蔵版)魔法があるなら 作者:アレックス・シアラー PHP研究所 Amazon 邦題が気に入らない。 “魔法”に惹かれてファンタジーを期待した人は、は?てなる。 確かに小見出しに“魔法があるなら”とあるけど・・。 この本が出た頃、 世界中で「ハリー・ポッター」が大ブームになっていた。 その大ヒットにあやかりたかったのか 当時、“魔法”と名の付く本が増えてた記憶がある。 本文に出てくる、 「世界でいちばんすてきなデパート」が良いんじゃないかな。 「世界でいちばんすてきな いちばんワクワクするデパート」 どんなところだろう。 伊勢丹とか三越みたい? イギリスが舞台だからやっぱりハロッズデパートみ…

  • 思春期キラキラ 自分がなれる最高のもの

    ブルーベリー・ソースの季節 (ハリネズミの本箱) 作者:ポリー・ホーヴァート 早川書房 Amazon シングルマザーのヘンリエッタと娘のラチェット。 ヘンリエッタは、娘を愛しているようには見えない。 ブランドやセレブが大好きなペラペラな港区女子みたいな女。 ひきかえ娘のラチェットは、そんなものに興味のないおとなしい子。 ラチェット13歳の夏、 遠縁の遠縁の親戚の91歳の双子、ティリーとペンペンの家、 グレン・ローザ壮に預けられる。 夏中、ヘンリエッタがラチェットから解放されるために。 ティリーとペンペン。 91歳という高齢で、無免許運転、猟銃をぶっ放し、一日中酒を飲む。 電話は着信のみ、発信で…

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