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  • 『風姿花伝』その11

    問申楽の勝負の立合の手立はいかに。答これ肝要なり。先づ、能数を持ちて、敵人の能に変りたる風體を違へてすべし。序にいふ「歌道をすこし嗜め」とはこれなり。これ、芸能の作者別なれば、いかなる上手も心のままにならず。自作なれば、詞、ふるまひ、案のう

  • 『風姿花伝』その10

    問。能に、序破急をば何と定むべきや答。これ、やすき定めなり。一切の事に序破急あれば、申楽もこれ同じ。能の風情をもて定むべし。先づ、脇の申楽には、いかにも本説正しき事の、しとやかなるが、さのみに細かになく、音曲・働きも舞も大方の風體にて、する

  • 『風姿花伝』その9

    問。そもそも、申楽を始むるに、当日に臨んで、先づ座敷を見て、吉凶をかねて知る事は、いかなる事ぞや。答。この事、一大事なり。その道に得たらん人ならでは、心得べからず。先づ、その日の庭を見るに、今日は、能、よく出で来べき、あしく出で来べき、瑞相

  • 『風姿花伝』その8

    五十有余この頃よりは、おほかた、せぬならでは手立あるまじ。「麒麟も老いては駑馬に劣る」と申す事あり。さりながら、誠に得たらん能者ならば、物数はみなみな失せて、善悪見所は少しとも、花は残るべし。亡父にて候ひし者は、五十二と申しし五月十九日に死

  • 『風姿花伝』その8

    五十有余この頃よりは、おほかた、せぬならでは手立あるまじ。「麒麟も老いては駑馬に劣る」と申す事あり。さりながら、誠に得たらん能者ならば、物数はみなみな失せて、善悪見所は少しとも、花は残るべし。亡父にて候ひし者は、五十二と申しし五月十九日に死

  • 『風姿花伝』その7

    四十四、五この比よりの能の手立、大方、変はるべし。たとひ天下に許され、能に得法したりとも、それに附けても、よき脇の為手を持つべし。能は下らねども、力なく、やうやう年たけゆけば、身の花も、外目の花も、失するなり。先づ、優れたらん美男は知らず、

  • 『風姿花伝』その6

    三十四、五この比の能、盛りの極めなり。ここにて、この條々を極め覚りて、堪能になれば、定めて、天下に許され、名望を得つべし。もし、この時分に、天下の許されも不足に、名望も思ふほどもなくば、いかなる上手なりとも、未だ、誠の花を極めぬ爲人と知るべ

  • 『風姿花伝』その5

    二十四、五この比、一期の藝能の定まる初めなり。さるほどに、稽古の堺なり。聲も既に直り、體も定まる時分なり。されば、この道に二つの果報あり。聲と身なりなり。これ二つは、この時分に定まるなり。年盛りに向ふ藝能の生ずる所なり。さるほどに、外目にも

  • 『風姿花伝』その4

    十七、八よりこの比は、また余りの大事にて、稽古多からず。先づ、聲変わりぬれば、第一の花失せたり。體も腰高になれば、かかり失せて、過ぎし比の、聲も盛りに、花やかに、安かりし時分の移りに、手立はたと変わりぬれば、氣を失ふ。結句、見物衆もをかしげ

  • 『風姿花伝』その3

    十二、三よりこの年の頃よりは、早や、やうやう、聲も調子にかかり、能も心づく頃なれば、次第次第に、物数をも教ふべし。先づ、童形なれば、何としたるも幽玄也。聲も立つ頃なり。二つの便りあれば、わろき事は隠れ、よき事はいよいよ花めけり。大方、稚児の

  • 『風姿花伝』その2

    七歳一、この藝において、大方、七歳をもて初めとす。この頃の能の稽古、必ず、その者自然とし出す事に、得たる風體あるべし。舞・働きの間、音曲、もしくは怒れる事などに手もあれ、ふとし出さんかかりを、うちまかせて、心のままにせさすべし。さのみ、よき

  • 『風姿花伝』その1

    されば、古きを学び、新しきを賞する中にも、全く風流を邪にすることなかれ。ただ、言葉卑しからずして、姿幽玄ならんを、うけたる達人とは申すべきか。まず、この道に至らんと思はん者は、非道を行ずべからず。ただし、歌道は風月延年の飾りなれば、もっとも

  • 『五輪書』その16

    一 さんかいのかはりと云ふ事山海の心と云ふは、敵我戦ひの内に、同じ事を度々する事悪しき所也。同じ事、二度は是非に及ばず、三度するに非ず。敵にわざをしかくるに、一度にて用ひずば、今一つもせきかけて、其利におよばず、各別替りたる事を、ふつとしか

  • 『五輪書(火の巻)』その15

    一 枕をおさふると云ふ事枕をおさふるとは、かしらをあげさせずと云ふ心也。兵法勝負の道に限つて、人に我身をまはされて、あとにつく事悪し。いかにもして敵を自由にまはし度き事也。然るによつて、敵も左様に思ひ、我も其心あれ共、人のする事をうけがはす

  • 『五輪書(火の巻)』その14

    一 三つの先と云ふ事三つの先、一つは、我方より敵へかかる先、懸の先と云ふ也。又一つは、敵より我方へかかる時の先、是は待の先と云ふ也。又一つは、我もかかり敵もかかりあふ時の先、体々の先と云ふ。是三つの先也。何れの戦ひ始めにも此三つの先より外は

  • 『五輪書(火の巻)』その13

    一 場の次第と云ふ事場の位を見分くる所、場に於いて日をおふと云ふ事有り。日をうしろになして構ふる也。若し所により、日をうしろにする事ならざる時は、右のわきへ日をなす様にすべし。座敷にてもあかりをうしろ、右脇となす事、同前也。うしろの場つまら

  • 『五輪書(火の巻)』その12

    二刀一流の兵法、戦の事を火に思ひとつて、戦勝負の事を火の巻として、此巻に書顕はす也。先づ世間の人毎に、兵法の利をちひさく思ひなして、或は指先にて、手くび五寸三寸の利を知り、或は扇を取つて、ひぢより先の先後の勝を弁へ、又はしないなどにて、わづ

  • 『五輪書(水の巻)』その11

    右書付くる所、一流の剣術、大形此巻に記し置く事也。兵法、太刀を取りて、人に勝つ事を覚ゆるは、先づ五つの表を以て五方の構を知り、太刀の道を覚えて惣体自由になり、心のきき出でて道の拍子を知り、おのれと太刀も手さへて、身も足も心の儘にほどけたる時

  • 『五輪書(水の巻)』その10

    一 打つとあたると云ふ事打つと云ふ事、あたると云ふ事、二ツ也。打つと云ふ心は、何れの打にも、思ひうけて慥に打つ也。あたるは行きあたる程の心にて、何と強うあたり、忽ち敵の死ぬる程にても、是はあたる也。打つと云ふは心得て打ちと云ふ所也。吟味すべ

  • 『五輪書(水の巻)』その9

    一 敵を打つに一拍子の打の事敵を打つ拍子に一拍子と云ひて、敵我あたるほどの位を得て、敵のわきまへぬうちを心に得て、其の身も動かさず、心も付けず、如何にも早く、直ぐに打拍子也。敵の太刀、ひかん、はづさん、打たんと思ふ心のなき内を、打つ拍子、是

  • 『五輪書(水の巻)』その8

    一 有構無構の数の事有構無構と云ふは、太刀を構ふると云ふ事有るべき事に非ず。されども、五方に置く事あれば、構へとも成るべし。太刀は、敵の縁により、所により、けいきにしたがひ、何れの方に置きたりとも、其敵きりよき様に持つ心なり。上段も時に随ひ

  • 『五輪書(水の巻)』その7

    一 太刀の道といふ事太刀の道を知るといふは、常に我さす刀をゆび二つにて振る時も、道すじ能く知りては自由に振るもの也。太刀をはやく振らんとするによつて太刀の道ちかひて振りがたし。太刀は振りよき程に静に振る心也。或は扇、或は小刀など遣ふ様に、は

  • 『五輪書(水の巻)』その6

    一 五方の構の事五方の構は上段 中段 下段 右のわきに構ゆる事、左のわきに構ゆる事、是五方也。構五つに分かつと云へ共、皆人をきらん為也。構五つより外はなし。いずれの構なり共、かまゆるは思はず、きる事也と思

  • 『五輪書(水の巻)』その5

    一 足づかひの事足の運び様の事、つま先を少しうけて、きびすを強く踏むべし。足づかひは、ことによりて大小、遅速はありとも、常にあゆむが如し。足に飛足、浮足、ふみすゆる足とて、是三ツ、嫌ふ足也。此道の大事にいはく、陰陽の足と云ふ。是肝心也。陰陽

  • 『五輪書(水の巻)』その4

    一 太刀の持ち様の事太刀の取り様は、大指、人さしを浮べる心に持ち、たけ高指しめずゆるまず、くすし指、小指をしむる心にして持つ也。手の内にはくつろぎの有る事悪し。敵をきるものなりと思ひて太刀を取るべし。敵をきる時も、手の内に替わりなく手のすく

  • 『五輪書(水の巻)』その3

    一 兵法の目付と云ふ事目の付けやうは、大きに広く付くる目也。観見二つの事、観の目つよく、見の目よはく、遠き所を近く見、近き所を遠く見る事、兵法の専也。敵の太刀を知り、いささかも敵の太刀を見ずと云ふ事、兵法の大事也。工夫有るべし。此目付、ちひ

  • 『五輪書(水の巻)』その2

    一 兵法の身なりの事身のかかり、顔はうつむかず、仰のかず、かたむかず、ひずまず、目をみださず、額にしわをよせず、眉あいに皺をよせて目の玉動かざるやうにして、瞬きをせぬやうにおもひて、目を少しすくめるやうにして、うらやかに見るるかを、鼻すじ直

  • 『五輪書(水の巻)』その1

    一 兵法心持の事兵法の道に於て、心の持様は常の心に替る事なかれ。常にも、兵法の時にも、少しも替わらずして、心を広く直にして、きつくひつぱらず、少もたるまず、心のかたよらぬ様に、心をまん中におきて、心を静にゆるがせて、其ゆるぎのせつなもゆるぎ

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