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ネコと倫理学(ネコ倫) https://chine-mori.hatenablog.jp/

『ネコと倫理学』にご訪問頂き、ありがとうございます。 働きながら主にカント道徳哲学や動物倫理学の在野研究を行っています。 保護猫/地域猫活動をしながら、私たちとねこが住みやすい社会のあり方について倫理学視点で発信しています。

チネモリ
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2021/11/07

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  • 【第2回】非社交的社交性|「悪」から見るカント道徳哲学【カント道徳哲学】

    永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編 (光文社古典新訳文庫) 作者:カント 光文社 Amazon カントはわれわれの「悪」と向き合い、「道徳法則」(moralisches Gesetz)とどう関連付けたのか。この問いについて考察する際、『世界市民という視点からみた普遍史の理念』(以下『普遍史』と略記)の中に登場する「非社交的社交性」(ungesellige Geselligkeit)という、カント独自の概念を検討している。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 『普遍史』の中でカントは「社交的」な人間観を描きながら、一方で人間には正反対の傾向があることもカントは認…

  • 【第1回】非社交的社交性|「悪」から見るカント道徳哲学【カント道徳哲学】

    永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編 (光文社古典新訳文庫) 作者:カント 光文社 Amazon 認識論にしろ道徳哲学にしろ『三批判書』の中で、カントは一貫して「理性的存在者」(vernüftiges Wessen)の視点から自らの批判哲学を展開する。 一方で『単なる理性の限界内の宗教』では、人間の心情の邪悪さは「選択意志」(Willkür)の「性癖」(Hang)であるとして、カントは「人間は生来悪」(Kant,1793,32)であると明示する。 すなわち、カントは人間に「悪への自由の可能性」(藤田,2004,144)を認める。 いかにしてカントはわれわれの「悪」と向き合い、「道徳法則」(m…

  • 【私訳#27】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は最終回の第27回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 For if we t…

  • 【私訳#26】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第26回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 So you might sa…

  • 【私訳#25】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第25回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 By contrast, mo…

  • 【私訳#24】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第24回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 According …

  • 【私訳#23】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第23回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 This dilemma points to…

  • 【私訳#22】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第22回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 So when we…

  • 【私訳#21】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第21回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 The virtue…

  • 【私訳#20】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第20回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 Some peopl…

  • 【私訳#19】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第19回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 To acknowl…

  • 【私訳#18】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第18回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 Greed is v…

  • 【私訳#17】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第17回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 Christ tou…

  • 【私訳#16】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第16回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 But the ou…

  • 【私訳#15】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第15回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 But we als…

  • 【私訳#14】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第14回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 Second, de…

  • 【私訳#13】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第13回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 Not surpri…

  • 【私訳#12】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第12回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 The standa…

  • 【私訳#11】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第11回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 These ques…

  • 【私訳#10】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第10回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 The debate…

  • 【私訳#9】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第9回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 Attorney Ge…

  • 【私訳#8】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第8回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 Jeff Jacoby…

  • 【私訳#7】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第7回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 Higher pric…

  • 【私訳#6】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第6回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 Thomas Sowe…

  • 【私訳#5】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第5回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 But even as…

  • 【私訳#4】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第4回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 引き続き、最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 Florid…

  • 【第6回】カントの「完全義務」と「不完全義務」について|おわりに【カント道徳哲学】

    道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 6.おわりに 以上、今回はカントの「完全義務」と「不完全義務」について検討した。その結果、次のことが明確になっただろう。 すなわち「完全義務」は、われわれの思考によって判定可能であるということである。他方、「不完全義務」について、理性的存在者としてのわれわれが意欲することができるかどうかによって判定できる。 「完全義務」について考える際、カントはそれに反する「格率」が普遍的法則になり得るかどうかで判定する。すると、この「格率」は自ら考えることによ…

  • 【私訳#3】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストにマイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第3回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 引き続き、最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 Many Fl…

  • 【私訳#2】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストにマイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)の訳出に、引き続き挑戦する。今回は第2回である。 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 前回と同じように、最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書から該当箇所を引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原…

  • 【私訳#1】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

    英語で読む哲学 研究社 Amazon はじめに 今回から27回に渡り、入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストにマイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)の訳出に挑戦する。 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書から該当箇所を引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。 [内容] ■原文 ■単語と文法事項の確認 ■私訳 ■本書の訳 ■私訳と本書の訳の比較 ■原文 In the summer in 2004, Hurricane Charley rol…

  • 【ネコ学】猫の學校|飼主として猫の一生と環境整備の重要性を学ぶ

    猫の學校 猫と人の快適生活レッスン (ポプラ新書) 作者:南里秀子 ポプラ社 Amazon 猫を飼育する上で、大切なことはたくさんある。これまで、猫の習性や歴史などの記事は書いてきた。 【参考:過去記事】 chine-mori.hatenablog.jp chine-mori.hatenabloなかった 一方で、猫の一生についてしっかり学んだことはなかった。『猫の學校』を読んで、分かったことは猫の一生や飼主としての環境を整備することについての大切さである。今回は、本書で学んだこと3点について共有する。 成長期、成熟期、老年期という3つの段階を経て、猫は人間と同じように成長していく。その中で、飼…

  • 【カント道徳哲学】「善意志」の絶対的優位性|ロールズの解釈を手がかりに【ロールズ】

    ロールズ 哲学史講義 上 作者:ジョン・ロールズ みすず書房 Amazon 『道徳形而上学の基礎づけ』(以下『基礎づけ』と略記)の到達地点は、「道徳性の最上原理を探求し、それを確定すること」(Ⅳ,392)である。その到達地点に向かうため、『基礎づけ』でカントは「善意志」(guter Wille)を出発点とする。 その意味でも、カント道徳哲学の中で「善意志」は重要な位置を占める。しかしカントは、「善意志」についてあまり明確に語っていない。 そこで、本記事では「善意志」の意義を明らかにする。本記事の結論は次の通りである。 善意志以外のあらゆる価値からの絶対的優位性を「善意志」に与え、それを自明のも…

  • 【カント道徳哲学】カントの間接義務|家畜動物や伴侶動物を丁寧に扱うことは間接義務である。

    カント全集〈11〉人倫の形而上学 作者:カント 岩波書店 Amazon われわれ人間と人間以外の動物の倫理的関係のあり方について考える際、カント道徳哲学は大きな手がかりを与えてくれる。カント道徳哲学には様々な概念が存在するが、本稿では「間接義務」(indirekte Pflicht)について検討する。 「間接義務」について検討することは、家畜動物や伴侶動物をカントがどのように捉えているかという理解に繋がる。今回は『人倫の形而上学』の「徳論」をテキストに、カントの「間接義務」を検討する。本稿の内容は、以下の通りである。 [内容] ■「間接義務」とは何か ■『人倫の形而上学』から見る「間接義務」 …

  • 【抄訳と訳注⑲】Tom Regan,1983:The Case for Animal Rights (p.174-pp.185)【カント道徳哲学】

    The Case for Animal Rights 作者:Regan, Tom University of California Press Amazon 5.5 カントの立場:目的それ自体としての人間性 (p.183-pp.184) A defender of Kant might object that Kant has been misinterpreted. It is, he holds, for humanity generally, not just for human moral agents, that things having value merely as a mea…

  • 【抄訳と訳注⑧】Tom Regan,1983:The Case for Animal Rights (p.174-pp.185)【カント道徳哲学】

    The Case for Animal Rights 作者:Regan, Tom University of California Press Amazon 5.5 カントの立場:目的それ自体としての人間性 (p178-pp.179) Three preliminary criticisms are worth making before moving on to assess Kant’s general account of our duties involving animals.First, Kant is mistaken when he claims that “animals a…

  • 【抄訳と訳注⑥】Tom Regan,1983:The Case for Animal Rights (p.174-pp.185)【カント道徳哲学】

    The Case for Animal Rights 作者:Regan, Tom University of California Press Amazon 5.5 カントの立場:目的それ自体としての人間性(p.177) While Kant’s moral theory is not a version of egoism, it has affinities with the rational egoism of Narveson and the contractarianism of Rawls, when it comes to specifying those individuals…

  • 【抄訳と訳注⑤】Tom Regan,1983:The Case for Animal Rights (p.174-pp.185)【カント道徳哲学】

    The Case for Animal Rights 作者:Regan, Tom University of California Press Amazon 5.5 カントの立場:目的それ自体としての人間性 (p.176ーpp.177) Kant’s understanding of the foundation of morality, unlike Narvison’s and Rawls’s, is not egoistic. We are not to imagine that morality arises from, or consists in abiding by, agree…

  • 【第2回】子どもへの教育実践は「不完全義務」か-『理性の構成』を手がかりに【教育倫理学】

    理性の構成: カント実践哲学の探究 (叢書・ウニベルシタス) 作者:オニール,オノラ 法政大学出版局 Amazon 前回の記事でオニール『理性の構成』を基に、教師に代表される教育実践を司る立場は「特定」の他者である眼前の子どもに、ある行為を果たすことあるいは控える「義務」を要求される、という結論を提示した。 【参考:過去記事】 chine-mori.hatenablog.jp 更に歩を進めるため、『理性の構成』での該当箇所を引き続き検討する。 [内容] 【第1回】子どもへの「義務」で要求されること3点 【第2回】子どもへの教育実践と「不完全義務」 【第2回】まとめ ■子どもへの教育実践と「不完…

  • 【第1回】子どもへの教育実践は「不完全義務」か-『理性の構成』を手がかりに【教育倫理学】

    理性の構成: カント実践哲学の探究 (叢書・ウニベルシタス) 作者:オニール,オノラ 法政大学出版局 Amazon 前回の記事でカント「不完全義務」は、「活動の余地」を持つ「義務」であるという結論を示した。 【参考:過去記事】 chine-mori.hatenablog.jp 「不完全義務」を教育倫理学的視点で理解するため、この結論を足がかりに子どもへの教育実践は「不完全義務」であるかという問いについて考察する。 この作業をカントに忠実な解釈を行うという評価が高いオニール(注1)の『理性の構成』を手がかりに、2回に渡り行う。 内容は、以下の通りである。 [内容] 【第1回】子どもへの「義務」で…

  • 【第2回】カント「不完全義務」への誤解|「不完全義務」は「例外を許す義務」なのか【カント道徳哲学】

    カント全集 第11巻 人倫の形而上学 作者:カント 理想社 Amazon 【第1回】の記事で、カントの「不完全義務」は「例外を許す義務」という解釈は、カント道徳哲学の体系から大きく外れることを指摘した。 そして道徳の「普遍化可能性」を維持する目線をカントは常に保ち続けていると考えるならば、「義務」に例外を認める立場はカント道徳哲学にとってあり得ないという筆者の立場を明らかにした。 【参考:過去記事】 chine-mori.hatenablog.jp では、どのように「不完全義務」を解釈すればよいか。その手がかりを、『人倫の形而上学』に求める。本記事の内容は、以下の通りである。 [内容] 【第1…

  • 【第1回】カント「不完全義務」への誤解|「不完全義務」は「例外を許す義務」なのか【カント道徳哲学】

    道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 教育(※1)やボランティア活動(※2)について倫理学的に考える際に、カントの「不完全義務」は有効な概念である。しかしカントの「不完全義務」は、誤解されたまま今日に至っていることが少なからず考えられる。 その誤解の原因は、『道徳形而上学の基礎づけ』(以下『基礎づけ』と略記)でのカント自身の記述にあるように思われる。 それでもカント道徳哲学の中から手がかりを探し出し「不完全義務」を解釈し直すことで、カント道徳哲学それ自体はもちろん様々な応用倫理学の分野を少しでも前進させることができるだろう。 本稿では2回に渡り、カ…

  • 【第2回】令和元年度 事業概要|データでみる沖縄県と久米島町の実態【地域猫活動】

    出典:沖縄県動物愛護管理センター https://www.aniwel-pref.okinawa/others/view/1 前回の記事で、『令和元年度 事業概要』(沖縄県動物愛護管理センター)(※1)から沖縄県全体の「収容猫頭数」及び「収容猫の措置頭数」の「殺処分数」は、共に減少傾向にあることが読み取れた。 【参考:過去記事】 chine-mori.hatenablog.jp さて、久米島町の現状はどうか。【第2回】では『令和元年度 事業概要』から久米島町の実態について分析し、その課題に対する提言を行う。 [内容] 【第1回】沖縄県全体の実態 【第2回】久米島町の実態 【第2回】まとめと提言…

  • 【第1回】令和元年度 事業概要|データでみる沖縄県と久米島町の実態【地域猫活動】

    出典:沖縄県動物愛護管理センター https://www.aniwel-pref.okinawa/others/view/1 過去の記事で、久米島町にある「球美にゃんこ亭」への取材を通して、久米島町の「地域猫活動」の現状について投稿した。 【参考:過去記事】 chine-mori.hatenablog.jp 今回は、沖縄県動物愛護管理センターによる『令和元年度 事業概要』(※)を基に沖縄県全体と久米島町の「ソト猫」の状況について2回に渡り考察する。内容としては以下の通りである。 [内容] 【第1回】沖縄県全体の実態 【第2回】久米島町の実態 【第2回】まとめと提言 【第1回】として本記事では、…

  • 【第3回】判断力批判|「定言命法」と「3つの格率」【カント道徳哲学】

    正義論 作者:ジョン・ロールズ 紀伊國屋書店 Amazon 前回の記事で、オニールの解釈に従って、「定言命法」と「3つの格率」について検討を行った。その結果、次の疑問が提示された。 ・「他のあらゆる立場」に立って考えられる「他者」とは一体誰か。 ・「拡張された自己」はどこまで「他のあらゆる立場」に立って「他者」を想定できるのか。 【参考:過去記事】 chine-mori.hatenablog.jp この問題と【第1回】の記事も踏まえ、筆者は「定言命法」と『判断力批判』の「3つの格率」から、次の2つを提案する。 ・カントが想定する「他者」は「無知のヴェール」的な存在として想定できる。 ・空間的・…

  • 【第2回】判断力批判|「定言命法」と「3つの格率」【カント道徳哲学】

    理性の構成: カント実践哲学の探究 (叢書・ウニベルシタス) 作者:オニール,オノラ 法政大学出版局 Amazon 前回の記事で、『判断力批判』に即して「3つの格率」を検討した。『判断力批判』の「3つの格率」とは、次の「格率」である。 ①偏見に囚われない考え方の「格率」=自分で考えること ②拡張された考え方の「格率」=他のあらゆる立場に立って考えること ③首尾一貫した考え方の「格率」=いつも自分自身と一致して考えること (Ⅴ,294-295 参照) 【参考:過去記事】 chine-mori.hatenablog.jp 【参考:判断力批判】 判断力批判 上 新装版 作者:イマヌエル カント 以文…

  • 【第1回】判断力批判|「定言命法」と「3つの格率」【カント道徳哲学】

    判断力批判 上 新装版 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 前回の記事で、「ボランティア活動の倫理学」を主題に筆者は「定言命法」に関する解釈を提示した。それは、以下の内容であった。 「定言命法」でのポイントは、「格率」が自己矛盾を犯さないかどうかという「無矛盾性」にある。 【参考:過去記事】 chine-mori.hatenablog.jp 更に踏み込んで、今回は道徳規則に対する「普遍化可能性」(※1)を要求する「定言命法」の「格率」とはどのようなものかについて考察する。 そのため『判断力批判』で登場する「3つの格率」について検討し、その後「定言命法」と「3つの格率」に対する2つの…

  • 【第3回】ボランティア活動の倫理学【試論】 「定言命法」から考えるボランティア活動

    道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 前回の記事で、次の2点を確認した。 ・ボランティア活動は「他人に対する不完全義務」である。 ・ボランティア活動は「活動の幅」を持つ。 【参考:過去記事】 chine-mori.hatenablog.jp 【第3回】では、ボランティア活動をカント「定言命法」の観点から考察する。 「定言命法」(※1)とボランティア活動との関連性について考えるならば、ボランティア活動を単に「やっても、やらなくてよい」という個人の自発性に純粋に任せた活動ではなく、ボランティア活動は「するべき」であると同時に「やりたい」という活動になる…

  • 【第2回】ボランティア活動の倫理学【試論】 「他人に対する不完全義務」とボランティア活動

    道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 前回の記事で、厚生労働省を基にボランティア活動を定義し、近藤良樹のボランティア活動の特徴について検討した。 【参考:過去記事】 chine-mori.hatenablog.jp ボランティア活動について考える上で、カントの「他人に対する不完全義務」での「親切」の例はヒントになる。「親切」な行為を組織化・拡大化するとボランティア活動になり得ると考えられるからである。 そこで、今回はカント「他人に対する不完全義務」の「親切」の例から、ボランティア活動を素描する。 [内容] 【第1回】ボランティア活動の定義およびその…

  • 【第1回】ボランティア活動の倫理学【試論】

    【写真】某所での地域猫活動の様子 これまで本ブログで「動物倫理学」の考察に加え、保護猫/地域猫活動を通して猫とわれわれ人間の倫理的関わりについて発信してきた。 【参考:過去記事】 chine-mori.hatenablog.jp 一方、保護猫/地域猫活動など地域活動を行う側の態度やそのあり方について考えたことはなかった。 保護猫/地域猫活動もボランティア活動の一部である。このように考えるのであれば、ボランティア活動を行う側の倫理的態度やあり方を整理する必要はある。 この動機の下、倫理学の中でも未開拓な「ボランティア活動の倫理学」について試論を述べる。学習すべきことや考えるべき課題もあるが、読者…

  • 【第2回】21世紀の道徳|差別とは「不合理な区別」である【動物倫理学】

    21世紀の道徳 作者:ベンジャミン・クリッツァー 晶文社 Amazon 本記事【第1回】で、「動物倫理学」を学習する上での第一歩は、「種差別」(speciesism)という概念を理解することであるという考えを示した。そしてシンガーの議論を基に、「種差別」の基本的な考えを確認した。 その後、われわれ人間が持つ能力や権利と人間以外の動物が持つ能力は異なり、それに伴う権利も当然異なるという私見を示した。 【参考:過去記事】 chine-mori.hatenablog.jp この議論を深めるため、【第2回】となる今回はベンジャミン・クリッツァーの著書『21世紀の道徳』の第3章『なぜ動物を傷つけることは…

  • 【第1回】21世紀の道徳|差別とは「不合理な区別」である【動物倫理学】

    21世紀の道徳 作者:ベンジャミン・クリッツァー 晶文社 Amazon 「動物倫理学」を研究する上での第一歩は、「種差別」(speciesism)という概念を理解することにある。「種差別」という言葉は心理学者リチャード・ライダーが初めて使用し、ピーター・シンガーが『動物の解放』で世に広めた。 【参考:「種差別」という概念】 pyrabital.hatenablog.com また人間と人間以外の動物の道徳的関係性を考える上で、ベンジャミン・クリッツァーの『21世紀の道徳』がひとつの手がかりとなる。本書でクリッツァーは、「差別」の区分に新たな切り口を与える。 今回は、彼の著書の第3章『なぜ動物を傷…

  • 【抄訳⑳】Tom Regan,1983:The Case for Animal Rights (p.174-pp.185)【カント道徳哲学】

    The Case for Animal Rights 作者:Regan, Tom University of California Press Amazon 5.5 カントの立場:目的それ自体としての人間性 (p.184) どちらの選択肢もカント主義者にとって喜ばしい知らせではないけれども、非恣意的な選択はよい判断能力と理性を味方に付ける。 人間の道徳的受益者は物件ではない。つまり彼ら自身は経験的な福利を持つ個人であり、道徳的主体は直接的な道徳的関心を持つ必要条件ではない。 しかし論理に好き嫌いはない。この同じ様な条件は関連する点で彼らのように動物の場合には必要ない。 経験的な福利を持つ動物た…

  • 【抄訳⑲】Tom Regan,1983:The Case for Animal Rights (p.174-pp.185)【カント道徳哲学】

    The Case for Animal Rights 作者:Regan, Tom University of California Press Amazon 5.5 カントの立場:目的それ自体としての人間性 (p.183-pp.184) カントの擁護者はカントが誤解されていると反論するかもしれない。彼が主張するように、動物を含め、単に手段として価値あるものが存在するのは、人間の道徳的主体だけでなく、人類全般のためである。 したがって彼の見解では、道徳的主体だけでなく人間すべてが目的それ自体として存在し最後の段落の議論は根拠のないものとして顕わになった。 さて、人間の道徳的受益者を含む人間すべて…

  • 【抄訳⑱】Tom Regan,1983:The Case for Animal Rights (p.174-pp.185)【カント道徳哲学】

    The Case for Animal Rights 作者:Regan, Tom University of California Press Amazon 5.5 カントの立場:目的それ自体としての人間性 (p.183) しかしカントの立場は怪しいというよりひどい。それは恣意的である。 議論のために、私が人間の道徳的受益者を苦しめることで得た喜びの結果として、やがて加虐的な習慣を身に付けるようになり、今度は私が人間の道徳的主体を苦しめるようにさせたと仮定しよう。 一方の行為が他方の行為につながっているとしたら、もし私が彼らにしたことに対して2つの行為の間に類似性がないとしたら、控えめに言って…

  • 【第2回】保護猫カフェ「球美にゃんこ亭」に行ってきた|離島特有の現状と課題【久米島町】

    2021年9月23日に久米島町唯一の保護猫カフェ「球美にゃんこ亭」(一般社団法人にゃんこ亭)が、オープンした。 カフェの運営にあたる、代表理事K氏と専務理事A氏から、久米島町の現状と保護猫/地域猫活動の拠点として「球美にゃんこ亭」の方向性を聞くことができた。 今回は、その2回目である。 【参考:過去記事】 chine-mori.hatenablog.jp [内容] ・【第1回】久米島町の現状 ・【第2回】「球美にゃんこ亭」の方向性 ・【第2回】感想 【参考:店内の様子】 成猫の部屋(下)。子猫と違い落ち着いた様子。去勢・不妊手術を受けた「さくらねこ」もいた。 【参考:店内の様子】 成猫の部屋(…

  • 【第1回】保護猫カフェ「球美にゃんこ亭」に行ってきた|離島特有の現状と課題【久米島町】

    プレオープンを経て、2021年9月23日に久米島町唯一の保護猫カフェ「球美にゃんこ亭」(一般社団法人にゃんこ亭)が、遂にオープンした。 オープン当日、早速お店を訪問。カフェの運営にあたる、代表理事K氏と専務理事A氏と対面。彼らから保護猫/地域猫活動について、久米島町の現状と保護猫/地域猫活動の拠点として「球美にゃんこ亭」の方向性を聞くことができた。 【参考:球美にゃんこ亭オープン】 無事に本日開店致しました✨仔猫たちは何故かオープン前にテンションが上がり過ぎて、ただ今全員爆睡中です🐱🐱💤💤今日も久米島は暑いので、是非気軽に涼しみにお寄りくださいね🐱あっ✨島民割✨しております🍀#久米島猫 #久米…

  • 【第2回】飼い猫のひみつ|「ネコ」好きなら知っておきたい!「ネコ」の3つの習性【ネコ学】

    ! 飼い猫のひみつ (イースト新書Q) 作者:今泉忠明 イースト・プレス Amazon 前回の記事で、人間と「ネコ」との関係性を「飼いネコ」誕生の歴史から探ってきた。 【参考:前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp その結果、次の2点が明らかになった。 ・「イエネコ」のルーツは「リビアヤマネコ」である。 ・「ネコ」が人に歩み寄った理由は、人家やその周辺からネズミという恩恵を得るため。 第1回に引続き、本書に沿って「ネコ」の3つの習性について検討する。この作業を通して、「ネコ」の気持ちをわれわれはより理解できるようになるだろう。 [内容] ■「ネコ」の気分は4通り ■転位…

  • 【第1回】飼い猫のひみつ|ネコ好きなら知っておきたい!「飼いネコ」誕生の歴史【ネコ学】

    飼い猫のひみつ (イースト新書Q) 作者:今泉忠明 イースト・プレス Amazon 本ブログの目標のひとつは、「動物倫理学」を軸にしてわれわれ人間と「伴侶動物としてのネコ」との関わりについて考えることである。 この目標を達成する方法として、これまで様々な本や論文などを参考に「動物倫理学」全般について扱ってきた。 一方、「伴侶動物」としての「ネコ」の行動や思考などについて言及することはなかった。 ということで今回、本書に沿って2回に渡り、われわれの身近にいる「ネコ」の歴史や習性を紐解いていく。 その第1回目として、今回は人間と「ネコ」との関係性について彼/彼女たちの歴史を通して検討する。この作業…

  • 2021年の目標|途中経過報告

    書けるひとになる! ――魂の文章術 (扶桑社BOOKS) 作者:ナタリー・ゴールドバーグ 扶桑社 Amazon 今年も気づけば、あと4ヶ月。引き続き、「コロナ禍」の1年になりそうである。「緊急事態宣言」で、行楽地や飲食店などが時短営業や自主休業する中、自宅で過ごすことが多くなった。 その結果、ブログ執筆や学習などをスムーズに進めることができている。もちろん「コロナ」の悪影響は心配である一方、この事態は自分を高める絶好の機会である。 さて、2021の目標の途中経過を今回は振り返る。今年立てた目標は、以下の通り。6項目を、順にみていく。 [途中経過報告:2021年の目標] ■【継続】質のいいブログ…

  • 【勉強法】独学大全|カント『宗教論』に「段落要約」と「注釈」をつけてみて学んだこと3つ

    独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法 作者:読書猿 ダイヤモンド社 Amazon 『独学大全』は20万部(当時)を超えるベストセラーである。本書の目的は「独学者を支え援護する」(p.8)ことである。 大学院(修士)を修了して、20年近く経った。その後、どの研究機関にも属さず、社会人として働きながら時間や資金の制限がある中で、カント研究などを行ってきた。もちろん、誰にも強制されてはいない。ただ自らの興味や関心などに任せて、継続してきただけである。 このような背景で、『独学大全』を手に取った。これまでの学習歴を振り返りながら、本書で学んだことを実践するという意図で、…

  • 【要約と注釈㉑】たんなる理性の限界内の宗教|第2編第2章 一般的注解(段落1~段落4)

    カント全集〈10〉たんなる理性の限界内の宗教 作者:カント 岩波書店 Amazon [内容] 第2編 人間の支配をめぐっての善の原理による悪との戦いについて 第2章 人間支配への悪の原理の権利主張、および両原理相互の戦いについて 一般的注解 ・段落1 要約と注釈 ・段落2 要約と注釈 ・段落3 要約と注釈 ・段落4 要約と注釈 文献 [段落1] 要約 道徳的宗教の基礎が置かれることになれば、その導入部に歴史が結びつける「奇跡」すべてによって奇跡一般への信仰は不要になる。理性により人間の心情に根源的に銘記される義務の準則であるが、更に奇跡によって認証されないことには、それは道徳的不信仰を表す。単…

  • 【要約と注釈⑳】たんなる理性の限界内の宗教|第2編第2章(段落1~段落4)

    カント全集〈10〉たんなる理性の限界内の宗教 作者:カント 岩波書店 Amazon [内容] 第2編 人間の支配をめぐっての善の原理による悪との戦いについて 第2章 人間支配への悪の原理の権利主張、および両原理相互の戦いについて ・段落1 要約と注釈 ・段落2 要約と注釈 ・段落3 要約と注釈 ・段落4 要約と注釈 文献 [段落1] 要約 叡智的な道徳的関係を、聖書は歴史の形式で語っている。この歴史では、人間の外にある人格として表される。2つの原理は互いに力を試し合うだけでなく、それぞれの権利請求を「法によって」認めさせようとしている。(Ⅵ,78) 注釈 「叡智的な道徳的関係」は、道徳法則につ…

  • 【要約と注釈⑲】たんなる理性の限界内の宗教|第2編第1章(c)(段落4~段落6)

    カント全集〈10〉たんなる理性の限界内の宗教 作者:カント 岩波書店 Amazon [内容] 第2編 人間の支配をめぐっての善の原理による悪との戦いについて 第1章 人間支配への善の原理の権利主張について c この理念の実在性に突きつけられる難問、およびその解決 ・段落4 要約と注釈 ・段落5 要約と注釈 ・段落6 要約と注釈 文献 [段落4] 要約 第3の最大の難問は、以下の通りである。人間は、悪からはじまった。この罪責は、人間から拭い去れない。これから送っていくはずのよい生き方でも、本人がその都度それ自体なすべき負い目を超えて余剰を作り出すこともできない。能力の及ぶ一切の善をなすことは、本…

  • 【要約と注釈⑱】たんなる理性の限界内の宗教|第2編第1章(c)(段落1~段落3)

    カント全集〈10〉たんなる理性の限界内の宗教 作者:カント 岩波書店 Amazon [内容] 第2編 人間の支配をめぐっての善の原理による悪との戦いについて 第1章 人間支配への善の原理の権利主張について c この理念の実在性に突きつけられる難問、およびその解決 ・段落1 要約と注釈 ・段落2 要約と注釈 ・段落3 要約と注釈 文献 [段落1] 要約 第1の難問は、次のものである。法則によれば、「天のあなたたちの父が聖であるように、あなたたちも聖でありなさい」という。われわれが自らの中に実現すべき善と離脱しなければ、悪との隔たりは無限であり生き方が法則の聖性に適合していることについて時間の中で…

  • 【要約と注釈⑰】たんなる理性の限界内の宗教|第2編第1章(b)(段落1~段落4)

    カント全集〈10〉たんなる理性の限界内の宗教 作者:カント 岩波書店 Amazon [内容] 第2編 人間の支配をめぐっての善の原理による悪との戦いについて 第1章 人間支配への善の原理の権利主張について b この理念の客観的実存性 ・段落1 要約と注釈 ・段落2 要約と注釈 ・段落3 要約と注釈 ・段落4 要約と注釈 文献 [段落1] 要約 実践的関係では、完全にそれ自身でこの理念[善の原理の人格化された理念]は実在性を有する。われわれは、この理念に一致してある「べき」である。合法則性一般の単なる理念が、合法則性のための動機であり得て、利益のために取ってこられるあらゆる動機より一層力強いもの…

  • 【要約と注釈⑯】たんなる理性の限界内の宗教|第2編第1章(a)(段落1~段落4)

    カント全集〈10〉たんなる理性の限界内の宗教 作者:カント 岩波書店 Amazon [内容] 第2編 人間の支配をめぐっての善の原理による悪との戦いについて 第1章 人間支配への善の原理の権利主張について a 善の原理の人格化された理念 ・段落1 要約と注釈 ・段落2 要約と注釈 ・段落3 要約と注釈 ・段落4 要約と注釈 文献 [段落1] 要約 世界を神の御心の対象とし創造の目的とする唯一のものは、「まったく道徳的完全性を備えた人間性」である。幸福は、最上制約としてこの完全性の最高存在者の意志に関する直接的結果である。(Ⅵ,60) 注釈 「道徳的完全性を備えた人間性」とは理性的世界存在者一般…

  • 【要約と注釈⑮】たんなる理性の限界内の宗教|第2編(段落1~段落5)

    カント全集〈10〉たんなる理性の限界内の宗教 作者:カント 岩波書店 Amazon [内容] 第2編 人間の支配をめぐっての善の原理による悪との戦いについて ・段落1 要約と注釈 ・段落2 要約と注釈 ・段落3 要約と注釈 ・段落4 要約と注釈 ・段落5 要約と注釈 文献 [段落1】 要約 道徳的によい人間になるには、悪の原因とも戦わなければならない。この点を、ストア派の人々は「徳」という言葉で標榜する。(Ⅵ,57) 注釈 ストア派が言う「徳」は、「勇気」や「果敢さ」を意味する。そもそも勇気を促すことは、すでに半ば勇気を引起こすことと同じである。 [段落2】 要約 不注意で傾向性に欺かれる「愚…

  • 【要約と注釈⑭】たんなる理性の限界内の宗教|第1編(一般的注解)(段落5~段落8)

    カント全集〈10〉たんなる理性の限界内の宗教 作者:カント 岩波書店 Amazon [内容] 第1編 悪の原理が善の原理とならび住むこと について、あるいは人間の本性のうちな る根源悪について 一般的注解 善への根源的素質が力を回復することについて ・段落5 要約と注釈 ・段落6 要約と注釈 ・段落7 要約と注釈 ・段落8 要約と注釈 文献 [段落5】 要約 人間の道徳的形成は、考え方の転機と性格の確立から始まらなければならない。どんなに偏狭な人間でも、義務に適った行為への尊敬を感じとれる。よい人間の「規範」そのものを挙げて、道徳上の弟子たちにいくつか格率の不純さを行為の現実的な動機に基づいて…

  • 【要約と注釈⑬】たんなる理性の限界内の宗教|第1編(一般的注解)(段落1~段落4)

    カント全集〈10〉たんなる理性の限界内の宗教 作者:カント 岩波書店 Amazon [内容] 第1編 悪の原理が善の原理とならび住むこと について、あるいは人間の本性のうちな る根源悪について 一般的注解 善への根源的素質が力を回復することについて ・段落1 要約と注釈 ・段落2 要約と注釈 ・段落3 要約と注釈 ・段落4 要約と注釈 文献 [段落1] 要約 善にせよ悪にせよ、人間はそれに「自分自身で」なるに違いない。善も悪も、自由な「選択意志」の結果でなければならない。人間は善に創造されていると言われるのは、人間は「善に」向かうよう作られており、その内なる根源的「素質」は善であること以上の意…

  • 【要約と注釈⑫】たんなる理性の限界内の宗教|第1編 (Ⅳ) (段落1~段落5)

    カント全集〈10〉たんなる理性の限界内の宗教 作者:カント 岩波書店 Amazon [内容] 第1編 悪の原理が善の原理とならび住むこと について、あるいは人間の本性のうちな る根源悪について Ⅳ 人間本性における悪の起源について ・段落1 要約と注釈 ・段落2 要約と注釈 ・段落3 要約と注釈 ・段落4 要約と注釈 ・段落5 要約と注釈 文献 [段落1] 要約 起源とは、ある結果が第1原因に由来することである。それは、「理性起源」か「時間起源」として考察される。「理性起源」という意味で、結果の「現存在」だけが観察される。「時間起源」という意味では、結果の「生起」が観察される。事象としての結果…

  • 【要約と注釈⑪】たんなる理性の限界内の宗教|第1編 (Ⅲ) (段落6~段落10)

    カント全集〈10〉たんなる理性の限界内の宗教 作者:カント 発売日: 2000/02/25 メディア: 単行本 [内容] 第1編 悪の原理が善の原理とならび住むこと について、あるいは人間の本性のうちな る根源悪について Ⅲ 人間は生来悪である ・段落6 要約と注釈 ・段落7 要約と注釈 ・段落8 要約と注釈 ・段落9 要約と注釈 ・段落10 要約と注釈 文献 [段落6] 要約 「格率」一般の統一で、「道徳法則」に固有のものを理性は必要とする。「傾向性」の動機には、幸福以外に「格率」の統一はあり得ない。この場合、経験的性格は善であるにしても英知的性格は悪である。(Ⅵ,36ー37) 注釈 「傾向…

  • 【要約と注釈⑩】たんなる理性の限界内の宗教|第1編 (Ⅲ) (段落1~段落5)

    カント全集〈10〉たんなる理性の限界内の宗教 作者:カント 発売日: 2000/02/25 メディア: 単行本 [内容] 第1編 悪の原理が善の原理とならび住むこと について、あるいは人間の本性のうちな る根源悪について Ⅲ 人間は生来悪である ・段落1 要約と注釈 ・段落2 要約と注釈 ・段落3 要約と注釈 ・段落4 要約と注釈 ・段落5 要約と注釈 文献 [段落1] 要約 人間は「悪」だという命題が言わんとしていることは、人間は「道徳法則」を意識していながら「道徳法則」からの逸脱を「格率」の中に採用していることである。人間は「生来」悪であるということは類として見られた人間について言われるほ…

  • 【要約と注釈⑨】たんなる理性の限界内の宗教|第1編 (Ⅱ) (段落5~段落8)

    カント全集〈10〉たんなる理性の限界内の宗教 作者:カント 発売日: 2000/02/25 メディア: 単行本 [内容] 第1編 悪の原理が善の原理とならび住むこと について、あるいは人間の本性のうちな る根源悪について Ⅱ 人間本性のうちなる悪への性癖について ・段落5 要約と注釈 ・段落6 要約と注釈 ・段落7 要約と注釈 ・段落8 要約と注釈 文献 [段落5] 要約 人間の心情の邪悪さは、「選択意志」の性癖である。これは、「道徳法則」に基づく動機を他の動機より軽視する「格率」に向かう。(Ⅵ,30) 注釈 悪い心情の異なる3段階の3つ目である、人間の心情の「邪悪さ」について。人間の心情の「…

  • 【要約と注釈⑧】たんなる理性の限界内の宗教|第1編 (Ⅱ) (段落1~段落4)

    カント全集〈10〉たんなる理性の限界内の宗教 作者:カント 発売日: 2000/02/25 メディア: 単行本 [内容] 第1編 悪の原理が善の原理とならび住むこと について、あるいは人間の本性のうちな る根源悪について Ⅱ 人間本性のうちなる悪への性癖について ・段落1 要約と注釈 ・段落2 要約と注釈 ・段落3 要約と注釈 ・段落4 要約と注釈 文献 [段落1] 要約 「性癖」とは、人間性一般にとって偶然的な限り「傾向性」が可能であるための主観的根拠である。ここで問題となるのは、道徳的悪への性癖だけである。道徳的悪は、自由な「選択意志」の規定としてのみ可能である。その意志の善悪が判定される…

  • 【要約と注釈⑦】たんなる理性の限界内の宗教|第1編 (Ⅰ) (段落1~段落5)

    カント全集〈10〉たんなる理性の限界内の宗教 作者:カント 発売日: 2000/02/25 メディア: 単行本 [内容] 第1編 悪の原理が善の原理とならび住むこと について、あるいは人間の本性のうちな る根源悪について Ⅰ 人間本性のうちなる善への根源的素質について ・段落1 要約と注釈 ・段落2 要約と注釈 ・段落3 要約と注釈 ・段落4 要約と注釈 ・段落5 要約と注釈 文献 [段落1] 要約 この素質は人間の規定要素として3階級に分けられる。①「生けるもの」としての人間の「動物性」の素質②生けるものであると同時に「理性的なもの」としての人間の「人間性」の素質③理性的であると同時に「引責…

  • 【要約と注釈⑥】たんなる理性の限界内の宗教|第1編 注解(段落1~段落5)

    カント全集〈10〉たんなる理性の限界内の宗教 作者:カント 発売日: 2000/02/25 メディア: 単行本 [内容] 第1編 悪の原理が善の原理とならび住むこと について、あるいは人間の本性のうちな る根源悪について 注解 ・段落1 要約と注釈 ・段落2 要約と注釈 ・段落3 要約と注釈 ・段落4 要約と注釈 ・段落5 要約と注釈 文献 [段落1] 要約 先に、2つの仮説を立てた。それら相互の争いの根底に、ひとつの選言的命題がある。それは、「人間は人倫的に善か悪か、そのいずれかである」ということである。このような選言的対立を立てることは、果たして正しいことか。経験が確証するのは、両極端の中…

  • 【要約と注釈⑤】たんなる理性の限界内の宗教|第1編(段落1~段落5)

    カント全集〈10〉たんなる理性の限界内の宗教 作者:カント 発売日: 2000/02/25 メディア: 単行本 [内容] 第1編 悪の原理が善の原理とならび住むこと について、あるいは人間の本性のうちな る根源悪について ・段落1 要約と注釈 ・段落2 要約と注釈 ・段落3 要約と注釈 ・段落4 要約と注釈 ・段落5 要約と注釈 文献 [段落1] 要約 「この世は邪悪だ」というのは、歴史始まって以来の嘆きである。(Ⅵ,19) 注釈 「この世は邪悪だ」の表現は、『ヨハネの手紙(1)』より。 [段落2] 要約 世界は、稚拙なものからよりよいものへと絶えず進む。少なくともその素質は、人間本性に見られ…

  • 【要約と注釈④】たんなる理性の限界内の宗教|第2版序文(段落1~段落4)

    カント全集〈10〉たんなる理性の限界内の宗教 作者:カント 発売日: 2000/02/25 メディア: 単行本 [内容] 第2版序文 ・段落1 要約と注釈 ・段落2 要約と注釈 ・段落3 要約と注釈 ・段落4 要約と注釈 文献 [段落1] 要約 第2版でも誤植と若干の表現の訂正以外は何も変わっていない。(Ⅵ,12) 注釈 省略。 [段落2] 要約 「啓示」は、純粋「理性宗教」を含む。啓示を信仰の「より狭い」領域としての理性宗教を含む「より広い」信仰領域だ、と私はみなす。この狭い方の領域内で純粋な理性教師として哲学者は、身を持さなければならない。その際、あらゆる経験を度外視しなければならない。こ…

  • 【要約と注釈③】たんなる理性の限界内の宗教|第1版序文(段落7~段落9)

    カント全集〈10〉たんなる理性の限界内の宗教 作者:カント 発売日: 2000/02/25 メディア: 単行本 [内容] 第1版序文(1793年) ・段落7 要約と注釈 ・段落8 要約と注釈 ・段落9 要約と注釈 文献 [段落7] 要約 最高検閲官は、哲学部ではなく神学部に属す。双方の教説すべてが相互に接近していて哲学的神学の側から越境の懸念があっても、干渉についての疑惑など容易に予防できる。(Ⅵ,9-10) 注釈 「哲学的神学」が「聖書神学」の範囲に干渉した場合、聖職者である最高検閲官は神学部に属す。確かに、「哲学的神学」と「聖書神学」の教説はお互い接近する部分もある。しかし、理性の限界内で…

  • 【要約と注釈②】たんなる理性の限界内の宗教|第1版序文(段落4~段落6)

    カント全集〈10〉たんなる理性の限界内の宗教 作者:カント 発売日: 2000/02/25 メディア: 単行本 [内容] 第1版序文(1793年) ・段落4 要約と注釈 ・段落5 要約と注釈 ・段落6 要約と注釈 文献 [段落4] 要約 「法則」の聖性についてこの上ない尊敬の対象を認識するとすれば、宗教の段階になると、「法則」を遂行する再興の原因について道徳は「崇拝」の対象を表象して厳かに現われる。限りなく崇高なものという理念を人間が自らの使用に役立てようとして手にかけると、一切が卑小になる。尊敬が自由である限りのみ崇敬できるものが強制的法律によって威信が、与えられるだけの形式に従うよう強制さ…

  • 【要約と注釈①】たんなる理性の限界内の宗教|第1版序文(段落1~段落3)

    カント全集〈10〉たんなる理性の限界内の宗教 作者:カント 発売日: 2000/02/25 メディア: 単行本 [内容] 第1版序文(1793年) ・段落1 要約と注釈 ・段落2 要約と注釈 ・段落3 要約と注釈 文献 [段落1] 要約 人間は、自由な存在である。それゆえ人間は、自己自身を理性により無制約な法則に結びつける存在者でもある。このような存在者としての人間の概念に基づく限り、道徳は、人間の「義務」を認識するのに人間を超えた人間以外の存在者の理念を必要としない。また道徳は、「義務」を遵守するのに法則以外の動機も必要としない。そのような要求が人間の中に見出されるとすれば、少なくともそれは…

  • 【動物倫理学】アニマルウェルフェア―動物の幸せについての科学と倫理|「他者への配慮」は動物への倫理的配慮の基準になり得る

    アニマルウェルフェア―動物の幸せについての科学と倫理 作者:佐藤 衆介 発売日: 2005/06/01 メディア: 単行本 過去記事で、 動物への倫理的配慮の基準を「苦痛」だけではなく「動物の豊かな内面」という、新たな基準を提示した。 この作業を通して、シンガーが言う「苦痛」という動物への倫理的配慮の基準だけでなく、それ以外の基準も設けながら、動物への倫理的配慮について見直す必要性を主張した。 【参考:過去記事】 chine-mori.hatenablog.jp 今回は佐藤衆介著『アニマルウェルフェア―動物の幸せについての科学と倫理』を手がかりに、動物への倫理的配慮の基準としての「他者への配慮…

  • 【教育倫理学】学校におけるケアの挑戦|「ケアリング」と「継続性」

    学校におけるケアの挑戦―もう一つの教育を求めて 作者:ネル・ノディングズ メディア: 単行本 教育が人生の幸福を目的とするならば、学校教育はその目的を実現する源である「ケアリング」を中心に再構成されるべきである。 既存の学校教育に異を唱え、カリキュラムだけでなく学校組織それ自体を「ケアリング」の視点で見直すことをノディングズは本書で提言する。 これが、本書の一般的見方である。今回は、ノディングスの「ケアリング」と「継続性」について考察する。 彼女によれば「ケアリング」で必要なことは「継続性」である。この見解を本書から読み解いていく。 ■本書の概要 まず始めに、本書の概要を確認する。「編者序文」…

  • 【第6回】2021年の目標|2020年を振り返りながら

    本当の自由を手に入れるお金の大学 作者:両@リベ大学長 発売日: 2020/06/19 メディア: Kindle版 [今年の目標] ■質のいいブログ記事執筆 ■朝活と質のいい睡眠 ■『たんなる理性の限界内の宗教』読了 ■『学校におけるケアの挑戦』読了 ■日商簿記3級受験 ■FP3級受験 ■FP3級受験 日商簿記3級に合格後、「3級FP技能検定」に挑戦する。 以前Twitterで発信したが、今年は「マネーリテラシー」の向上に努めたい。 【参考:過去のTwitter】 今年は両学長と大河内薫氏に出会えことが収穫だった。来年は本格的にマネーリテラシー向上を目標にする。年の瀬に購入。#リベ大 #両学長…

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