【現代詩】「遠い駅」 もう帰ることのない、遠い駅のイメージ 現代詩の試み
遠い駅 その駅を最後に旅立った子供は 小さな箱を膝の上に抱えたまま 窓の外の景色を眺めていた 古く、少し傾いた、よく震える家の 奥の、薄暗い部屋の、仏壇の前に置き去りにした いくつもの小箱のことを、時々思い出しながら 汽車は風に追い越されるくらいの速度で進んだ その先は、森の、さらに奥 言葉よりも、木々の軋みが多く聞こえる 小さな池のほとりを回り込んだら 不意に谷地坊主が散らばる 冷たい湿地帯の中を走る 時折聞こえる小さな水音は 山椒魚が飛び込む音 古代からの魚たちが、舞い上げる飛沫 霧が、濃い霧が流れ 子供は夢を見る 小さな箱を、抱きしめたまま 夢を見る ***** Google Gemin…
2024/09/29 08:09