松岡正剛『ことば漬』角川ソフィア文庫 (2019) 小室直樹 新・読書日記19 – ラボ読書梟 (旧 はてなブログ大学文学部)
「欲求を満たす」というフレーズはなんとなくピントが外れていると思うわけです。 というのも、満たすべき欲とは何なのか。満たすための行動は何なのか。 これが、寝る、食べる以外の話になると事はそう単純ではないことが分かるわけです。 「体を動かしたい」 と思ったとします。 でも家のなかでも「着替える」「支度する」これも全て体を動かすことです。 つまりは、ある欲が生理学的に発生した場合、それをどのように「自覚」するかがまずポイントとなると思われるのです。 野球がしたいのか。 「誰かと」野球がしたいのか。 バッティングがしたいのか。 欲を「細分化」しなければ、満たすことはできないと考えられます。 「なんか…
議論し尽くしたところで環境は変わらない。テクノロジーのみが環境を救う。 僕も同意する。 個人的には良い意味で裏切られたい。 囚人のジレンマと同じであると思われる。 つまりは、お互いがお互いを信じきれないでいる。 そしてお互いがそれぞれ有利と思われる条件のほうを選択し、結果的にマクロでは環境が悪化し、収集がつかなくなる。 ここまでは誰でも分かる。 僕が知りたいのは、そのメカニズムと構造である。 合理的な行動 利他的な行動 利己的な行動 ・ ・ ・ 人は行動を説明できない限りにおいては、いつまでも、経済について説明がつかないのではないだろうか。 そこで「行動分析学」が登場するのだろうけれども、まだ…
昔、音が鳴っている棒に別の棒を近づけると、その振動が棒に伝わるという面白い理科の実験があった。 この原理はストレスという枠組みにも応用できると考えられる。 それを説明する為に、美について書いていく。 美しい景色を見て何も思わない人はおそらくいない。 美は普遍的、つまりは誰もが等しく平等に経験できる認知経験であると思われる。 そして、美は「調和」や「整合性」と関わる。 何故美しいと思うのかは不明ではあるものの、人は調和のとれたものに惹かれることは否定できそうもない。 雑音や雑念がストレスになるのは、おそらく整合性がないからである。 共鳴のように、美に触れること、つまりは調和のとれたものに触れるこ…
こちらに付け加えたい。 nainaiteiyan.hatenablog.com この本では直感に関しても言及されていた。 人は危険を察知した場合、40ミリ秒以内に論理よりも本能が働く。 つまり、論理は万能ではない、というお話を量子論にまで遡って説明されていく。 アリストテレスから始まった「線形的」な論理学は量子で行き詰まる。 アインシュタインですら理解に苦しんだみたいである。 換言すれば、論理だけを頼りにしていた科学のひとつの限界点であった。 そして見直しを余儀なくされた。 ただ、人類は量子論を打ち立てた。 まさしく「直感的」な能力のおかげだろう。 ゲシュタルトのように、人間には1からでは説明…
久々に夢中になったサイエンス系の本である。 新しい発見の連続であった。 以下、記憶するためにまとめばがら感想を書いていく。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ・生命体の活動が地球の冷却に寄与していた もし生命が存在していなかったとしたら、今頃はもっと地球は暑かったと書いてあった。 「全てのシステムは冷却を目指す。」 海面温度が47度に達すると不可逆的に、地球は金星のようになるとのこと。 地球規模で、有機物と無機物が相互に、どのように作用しながら、どのように地球環境が変化していくのか、とても知的興奮に溢れる本であった。 ・AIと人間の未来 つまりは、AIが「冷…
トマス・ニューコメンという人物が蒸気機関の原型を発明し、その後産業革命に応用されていく。 そして近代化は始まり現代社会へと発展した。 この一連の流れには「利益」が前提となっている。 利益のないものは基本的に消費されていくか、捨てられていくかである。 当たり前のお話で、機械の導入は人間よりコストがかからない場合が多いので、AIによって置き換わっていく。 今は利益にはならないが、長期的には望める場合は「投資」という形で進んでいく。 現代社会を「人間の進化」として捉えるならば、その条件は間違いなく「利益」である。 一方で、生物学上の進化はまた異質で、「突然変異をしつつたまたま生き残った種」であるとさ…
ウェルビーイングとは、端的に言えば「人生の充足感・幸福感」である。 しかしトルストイが言ったように、幸せという「形式」が存在しているように僕は思う。 笑顔に溢れる毎日、やりがいのある作業に尽力できる毎日等。 幸福というものほど曖昧なものはないし、人生の充足は叶必ずしも幸福を必要としない。 というのも、何に価値を置くべきか、というお話は結局のところ、人それぞれ、「多元的」であると今でも思う。 閉塞感のある世のせいで、「もっと幸福に、満足のある生活を!」といったキャンペーンが流行りやすい条件が生まれやすいのでは、と思う。 僕は今でも岡本太郎の本から学ぶことが多い。 僕のタチなのか、「ぬるま湯」には…
作家の佐藤優氏によれば、海外の一部では「文系」「理系」といった区分けは存在しないとのこと。 それは、GHQがどうやら関係しているみたいだ。 そして当事者のアメリカは現在学問の最先端にいる。 文理問わず、相乗効果を狙っていくべきと言える。 数学は苦手、または嫌いな方は多いように思う。 逆に僕は、初めは国語が嫌いで数学が得意、その後数学が苦手になり英語が得意になったという流れである。 そもそも、受験⇒卒業⇒入学⇒卒業⇒就職といった流れはあっという間で、時間が足りない。 社会人の方はちょっと勉強すれば吸収でき、理解が深まって数段高い思考レベルを獲得できると僕は思う。 近年の脳科学系の本を読むと分かる…
こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com 「社会的うつ」という言葉がある。 国際的には厳密な定義付けはないと思われるが、社会的な原因で発病するうつ病のことを指す。 参考文献:奥田祥子『社会的うつ』晃洋書房2020年 しかし、原因が社会的なものにせよ、元気がないことは事実であり、 何らかの生理的現象が脳内に起きていることは否めない。 「自然の書物は数学の言葉によって書かれている」 というフレーズと同じで、 「うつ病は生理学用語、心理学用語、数学用語、、、、、、によって書かれている」 と言えると思われる。 僕は研究者ではなく、学会というものをよく知らないのでなんとも言…
肝心な情報は能動的に調べなければ掴めない。IQとEQに関するお話
こちらの本と記事のつづき nainaiteiyan.hatenablog.com 本書によれば、EQはIQの要素を取り除いても、高ければ学業の成績が上がる、と書かれている。 つまりは、IQが高い人のなかにもEQが低い人が存在することを意味する。 しかしながら、IQとEQの相関性については書かれていない。 「google scholar」にて、幼児の非認知能力と認知能力の相関性を研究した論文をみると、認知能力と「忍耐力」に正の相関性が見られると書いてある。 参考文献:「幼児の認知能力と非認知特性の関連」 杉浦 ひなの, 春日 晃章, 日本学術振興会特別研究員(DC2) [日本]" style="…
y = 2x この1次関数について考える。 この1次関数をAとする。 また、 y = 0 この直線をBとする。 Aの式に、aをxに代入し、 x = a ・・・・・C ABCに囲まれた三角形の面積について考える。 訂正: ✕ y = 1/2x二乗 ○ y = x二乗です。凡ミスです。 算数で計算すれば、 「たて×よこ×1/2」なので、 a × 2a × 1/2 = aの二乗になる。 Xが3だったら 「3×6×1/2」なので面積は9になる。 y = 2x を積分すると、 y = x二乗+C(積分定数)となるが、Cは考えずに、0とする。 すると面白いことに、三角形の面積は、 必然的に、 y = x二…
非認知能力 (grid、好奇心等) というものが近年話題になっている。 端的に言えば、IQと言われるもの以外の能力である。 参考文献:小塩真司『非認知能力』北大路書房2021年 例えば、自己制御力が年収や健康に影響を与えると本書には書かれている。 端的に言えば、目の前のマシュマロを長く我慢できた子供は、将来年収が高くなる傾向がある、といった話である。 本書でも、単純には言えないとは書かれている。 そもそも、「我慢できる」という本質的な定義が難しいからだと思われる。 例えば被実験者は、 「ルールは守らなければ罰を受ける」という信念を持っているかもしれない。 「我慢することは美徳だ」と思っているか…
『自分の中に毒を持て』青春出版社 より 人は、大災害の後に度々、 「生き方が変わった」 「人生が変わった」と言う。 僕は感じた。 生が生らしくあるためには、 逆説的には死に近づかなければならないのだと。 例えば、何をしていいかわからなくて悩む若い人が時々いる。 それは、その人が「死」から遠い位置にいるからかもしれない。 若ければあと50年以上は生きるだろうし、加えて平和な世だ。 外国を見渡すと、とても平和とは思えないものの、人間らしく生を全うしている人が多いように見える時がある。 また、動物が美しく見えるのは、動物が常に死と向き合っているからだとも思われる。 死から限りなく遠いほどに生でなくな…
高校の頃はただ公式を覚えて計算するというバカなことをやっていました。 そのため、基礎が無いので挫折するというお決まりのパターンです。 大人になってから、1から理解することの大切さを改めて感じます。 1なしに2はない。2なしに3はないということが、生きていてよく分かりました。 ビジネス書などで「積み上げ」「継続」等、表現されますが、 算数なしに微積が成り立たないのと同様、 充実した生活もxなしには成り立たないのだと思います。 そのxについてこのブログでいろいろ書いていく次第です。 つづく
こちらの本を読んでいる最中です。 nainaiteiyan.hatenablog.com この本はわりと衝撃的で、がっかりすることばかり書かれているのですが勉強になります。 例えば近年までは、欧米の人はネアンデルタール人を「愚かな生き物」として扱っていたとのことですが、 最新の研究で、今生きているほぼ全土のホモ・サピエンスのDNAには、ネアンデルタール人のDNAが含まれていることが立証されるやいなや、 「ネアンデルタール人は優れた生き物」と称賛をする方向に傾いたとのことです。 どこまでも欧米の科学者は自分達が優れていると思っていたいのだなと、がっかりするわけですが、『human kind』にも…
参考文献:アンジェラサイニー『科学の人種主義と戦う』作品社2020年 わりと衝撃を受けてしまいました。 どうやら、イマヌエル・カントがレイシストだったということみたいです。 僕は何故このことを見抜けなかったのか、と少し残念な気持ちです。 カントはアフリカの人をもはや人とは思っていなかったようです。 第二次世界大戦は、有色人種が白人よりも優れているんだ、と証明するための戦いだった、という解釈をしていた本を読んだことがあったのですが、やはり歴史的にレイシズムは根深いですね。 まさか哲学もレイシズムの領域にいたとは。 哲学を発信してきただけにショックです。 このことが事実なのかどうかをしっかり見極め…
目は2つであることに僕は普遍的な意味を感じる。 何故3つではないのか。 それはおそらく認知機能と関連している。 人は同時に3つのことをやるのは難しいと思われる。 例えば、走りながら人の話を聞きながら数学の問題を解くことはできるのだろうか。 「注意の目」と言える。 つまり、筋肉を動かして前へ走る注意、 相手の話を聞く注意、 数学の問題に対する注意。 おそらく2つが最も合理的で、それゆえに変化に対応し、生き残ってきたのだと思った。 つづく
自分を犠牲にすることは、自分を大事にすることなのだろうか。 自分を犠牲にしてまで相手に尽くすことは何を意味するのか。 身近な例を考える。 自分を犠牲にしながら介護をし続けるパターンを考える。 ヤングケアラーという問題がある。 学生が介護に時間を取られ、学業が進まないという問題である。 自己犠牲が美徳と考えるならば、学業をおろそかにしても良いという発想になる。 しかし、普通に考えれば学業をおろそかにしても良いという意見は少ないだろう。 したがって、自己犠牲には疑問点が残る。 献身と自己犠牲の違いを明らかにしていきたい。 自己犠牲はどう考えても自分を「大事」にしてはいない。 献身は確立された自己が…
こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com こういう考え方は「アナロジー」と言われるらしいが、僕は相似、つまりは「フラクタル」であると常に思う。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 例えば、どこかに出掛けるとき、「雨ならやめよう」という方は少なくないと思われる。 柔軟性のある方は、雨ならではの楽しみを見つけたりして積極的に活動をするものである。 「柔軟性」と「固執」を物理的に考えてみる。 水はすき間があれば必ず通る。 ある一定の「体積」を持った水でも、「柔軟性」「流動性」のおかげで進行できる。 ところが氷になると、一定の体積を通さ…
本はデジタルで読むか、紙で読むか。 現代に課された問いである。 例えば持ち歩く場合。 質量0のデジタルは圧倒的に有利である。 紙とデジタルのメリットとデメリットはそれぞれの次元で複雑に絡み合う。 記憶に関しては圧倒的に紙のほうが強いのではないだろうか。 本も当然、触れば触るほど、時間が経てば経つほどに変形し、変色する。 時系列的に変化するということと、変化しないことが記憶にどう影響を与えるか。 これはハッキリしていないだろうか。 人も時系列的には必ず外見は変わる。 昔の履歴書を見れば別人の自分がそこにいる。 アナログは振り返る力を与える。 回帰。 デジタルにはその僅かな、一見取るに足らないと思…
僕はそう考える。 忍耐力と言っても様々な種類があると思われる。 空腹を我慢する力、勉強を続ける力、イライラを抑える力etc. 共感力は、いかに相手の立場に立ち、いかに相手の話を文脈から理解できるかに尽きると思われる。 しかし話をじっくりと聞けない人は多い。 それは認知的忍耐力がないからだとも言える。 すぐに反論したくなる、 聞くに足らない、 その態度はもしかしたら「逃げ」でもあるからかもしれない。 忍耐力は奥が深い。 非認知能力の「grid」と関連があるだろう。 また新しいことが分かれば記事にしていきたい。 つづく
こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com 脳科学者の中野信子氏が、テクノロジーによって人間は人と人との交流が物理的に消えていき、個人化する趣旨のことを書いている。 僕はエントロピー増大と相似しているとみた。 つまりは、最終的に個人化するのであれば、それはマクロレベルでは「分離」を意味し、偏在⇒均質へと以降することも意味する。 勿論、個人化は仮説に過ぎず、僕はそこまで行くとは考えてはいないが、 ミクロとマクロは最終的にはそうなる運命であることはなんとなく否めない。 つづく
大学生の頃印象的だったTEDトークを紹介したい。 大胆な姿勢を取れば気持ちに変化が生まれるというお話であった。 プレゼンターは女性の方だったと記憶している。 面接を前にして緊張したら、トイレで強気のポーズを取ってから行けば大丈夫、というお話だった。 姿勢が内面に変化を与える。 僕は文章も感性や気持ちに変化を与えるとみている。 認知科学的には、文章を読むと説明仕切れないほど脳が働くらしい。 大胆な姿勢が内面に変化を与えるように、 大胆な文章も感性に変化を与えると僕は考える。 姿勢から内面への内在化。 文章から感性への内在化。 つづく
昨日、さんま御殿で「キリが良い時間じゃないと作業ができない」という趣旨の悩みがあるという話が紹介された。 僕は完璧主義に陥っているとみた。 「キリがよくなければならない」という信念がある。 それは保守的であり、柔軟性に欠ける信念でもある。 一方でマインドフルネスは「今」を重んじる。 マインドフルネスには過去も未来もない。 時間に合わせて動くのは仕事上、しょうがないのかもしれないが、 プライベートでも時間に合わせていくと、確実に精神が病むと思われる。 時間に合わせるのではなく、時間を行動に合わせる。 そのほうが健康的である。 ということで、「キリが良い時間」と「マインドフルネス」は相容れない。 …
パラレリズム[ 英: parallelism] とは、平行関係、平行体といった意味をもつ。 数学的には、直線が決して交じることのない関係を示す。 広告ではキャッチコピーがとにかく大事である。 以前、noteのほうに書評を書いた。 nainaiteiyan.hatenablog.com 人は平凡なタイトルに気が引かれない。 それはつまり「平行」であって、両者が交差しないということではないだろうか。 線と線が交わるというのは比喩で、つまりは、 この文脈において、交差とは、キャッチコピーと人が接点をもつということである。 接点がない ≒ 平行 とみなせる。 もちろん、関数上では接点をもたない関係は他…
感情を円環モデルに置き換える考え方がある。 今日、カフェで中国と戦争について熱く語っている若い男性がいた。 僕は、国際関係の話や軍事にはあまり関心がないために、何を話しているのかあまり理解できなかった。 大学で、勢力均衡の講義を受けたことを思い出す。 詳しくは覚えていないが、均衡が保たれる限りにおいては、安定していて、強弱のバランスが崩れると同時に秩序も崩壊するという話だった。 僕はそれを感情に当てはめてみた。 感情も実は常にあって、とりあえず自覚できないレベルで落ち着いていて、怒りが強くなれば怒り、不安が強くなれば不安になる。 ウォークマンにノイズキャンセリングがある。 ある騒音を別の周波数…
こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com 例えば、 囚人のジレンマが典型的であるように、 個人の利益「だけ」を最大化することを目的とした場合、結果的に「非合理的」な結果になる。 つまりは、「だけ」においては「合理的」で、「二者」においては「非合理的」。 肥満の例も、もしかすると、 本人「だけ」においては「合理的」で、国というマクロからすれば「非合理的」。 つまりは、合理的な行動というものは、常にある側面においては「非合理的」となるのではないだろうか。 しかしながら、経済学の本を読むと、今日では、人々は複雑な計算式で経済を、政治を、そして世界を考えている。 僕は大学…
特に、専門書コーナーで顕著なのは、分断に関する本、フェミニズムに関する本、格差を嘆く本が増えたことだ。 明らかに増えている。めちゃくちゃ増えている。(あくまで個人の感想) 僕は中立的に物事を見ていきたいので、嫌な感じがする本も読む。 視野を広げたい。 しかし積んどくは怖いので、基本は興味ある本を買う。 でも。 なんだか、最近、文句みたいなタイトル、嘆くようなタイトルが多い。(気がする) 僕は、人間関係は苦手だが、なるべくなら仲良くやっていったほうが良いとは思う。 文句を言うとあまり良い気がしない。なるべく褒めたり、応援したり、ポジティブに生きたい。 人は見たいものを見る、という決まり文句がある…
本質主義・多層構造・パイの実 僕は「物事の本質」という言葉をこのブログで頻繁に使ってしまった。 「本質主義」という鋳型があるらしい。 その対極にあるのが「文脈主義」であるとのこと。 参考文献:Robert Stecker 『分析美学入門』勁草書房 2013年 本質主義は「静的」であって、文脈主義は「動的」であるとのこと。 つまり、本質は真理、プラトンの「イデア」のようなもので一元的。かつ不変的。 文脈主義は文脈ごとに意味が変わる、「可変的」な考え方だろう。 本質とは深掘りし、深掘りし、複数の層に切り込んでいく末にみえてくるもの。 パイの実も、数十層のパイでコーティングされているみたいだ。 最近…
ナッジ [ nudge ] とは行動経済学の用語で、端的に言えば「望ましい選択を選んでもらうために後押しすること」である。 しかしナッジを巡って人々は対立するーーー。 肥満にたいして、制度的なアプローチでの改善を目指すか、それとも自由を尊重し、そのままにしておくかーーーー。 ある主張では、ファストフードを食べることは肥満になりコストがかかる。そのため「非合理的」な選択なのだという。なにやらおかしい、、、 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 何を持って「合理的」と判断するのか、という基準付けが大前提である。 というのも、ある側面においては「合理的」で、ある側…
こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com 前回は『人倫の体系』と『精神現象学』との関係性についてまとめた。 ヘーゲルはイェーナ期においてフィヒテ、ホッブズ、シェリングの哲学から吸収しつつ独自に解釈し直す方法で、1807年に『精神現象学』を発表した。 ホネットは、「承認」について、ヘーゲル『精神現象学』の再構成を試みることによって独自の理論を構築しようとする。 ホネットによれば、『人倫の体系』と『精神現象学』において差異がみられるという。 それは、『人倫の体系』においてのみ、「闘争」が媒体となってはじめて「自我の能力を高める」とかいてあるという。 つまり、ヘーゲルが…
イメージできるけど描けない。では描ける人は夢の光景を完璧に再現できるのか。
僕はそうは思わない。 描くこと以外にも、知っているつもりで知っていない、ということが見受けられる。 つまり、夢の内容を知っているつもりでも実は知らない可能性がある。 僕の経験では、夢を再現した人物はいない。 もしかしたらいるかもしれないので調べてみたいとは思うが、 イメージと美術は似ているようで似ていない。 これもまた面白い研究の素材である。 いろいろ分かれば、また続きを書きたい。 つづく
僕のブログにたまたま遭遇して、ゲシュタルトという概念を初めて聞く方がいるかもしれない。 もう10記事以上書いていると思うので割愛したい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ゲシュタルトは魔術的で不思議な概念に思える。 しかし、最近はそう思えなくなってきた。 というのも、人間が知覚、認識できない閾値以下の僅かな現象が、塵も積もれば山となるように、最終的に我々の目の前にやってくると思われるのである。 音楽も、10秒聞けば良い曲だなと思う時がある。 作曲をやった方なら分かる方がいるかもしれないが、3秒のさわりを聞いたらわくわくする時がある。 これからの展開が楽しみで仕方がない。 つまりは、物…
アルコール依存症というものがある。 僕は時々飲むワインが好きで、毎日は飲みたくない。 毎日飲まないと駄目になってしまう、そんな状態が依存症を強めるかもしれない。 病院は病気を治すことが目的であって、それを超えることはほぼない。 というのも、医師の業務は治療が主で、啓発は二次的なものだからである。 治療とは消去に近い。 つまり病気を消しさること。 例えば、外科は手術で異物を体内から消去する。 内科も似ている。 ただ、精神疾患は簡単には消去できない。 とういうのも、生物社会心理モデルがあるように、社会と分離できてない。 外科は社会との接点が薄いだろうから、消去しやすい。 アルコール依存症もしかり。…
二次元しか分からない生物がいたとしたら、穴を理解できないだろう。 昔読んだ本に、口はどこか?という哲学的な問いがあった。 穴はある意味対比である。 穴は平面上の窪みであるならば、必然的に平面を必要とする。 平面なしに穴はない。 ただの空間に穴は存在し得ない。 必然的にBをA。 つづく
こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com 前回をざっくりまとめると、ヘーゲルは承認形成には3つの過程があるとした。 家庭において自己形成・自立へ経て、所有権の闘争、名誉をめぐる闘争の3段階からなるとした。 つづきを書いていく。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 本書を読んでいくと、ホネットはヘーゲルの様々な著作から「承認」というものを再構成しようとしている様子がうかがえる。 というのも、ホネットによれば『人倫の体系』と『精神現象学』において、社会の共同体が形成される過程に差異がみられるという。 ホネットによれば、『人倫…
本日、久々に明晰夢をみた。 夢のなかでなんらかの面倒くさい仕事に追われていた。 ところが僕は悟った。 「これは夢に違いない。」 そうして安心感を得たわけではあるが、完璧な明晰夢とはほど遠い内容であった。 というのも、夢とは理解できたように思えるものの、コントロール感が足りなかった。 「これは夢なんだから」 という意識のようなものはあったものの、夢のなかで自由に遊ぶような、完璧な覚醒状態にまでは至らなかった。 ただ、夢の記憶をできる限り記録していくことは、明晰夢に近づくための条件であるような気はした。 就寝時間0時20分頃 起床8時 であった。 つづく
こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 病名を与えることは承認にはなり得ない 「僕は発達障がいだったんだな、とわかったときに、何だかホッといたしました」 というお話を時々目にする。 僕はちょっと違和感を覚える。 確かに、本人からしてみれば、得体の知れないものに苦しめられていて、それが「発達障がい」というものによるものであった、という、「原因」が特定されたことは嬉しいニュースであったかもしれない。 ただ、「病人」になって嬉しいというのはいかがなものか。 僕は、同じ精神疾患でも「うつ病」…
参考文献:仲正昌樹『フーコー<性の歴史>入門講義』作品社 2020年 僕は表面積と問題解決について以前記事にした。 nainaiteiyan.hatenablog.com 問題を解決にするために必要な「問題の細分化」は、細分化によって表面積が増え、可視できる領域が増えるので、問題に対するアプローチ法が増えるということになるのでは、と書いた。 今回はこの逆を書きたい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 詳しく読み込んでいないので、後日加筆、修正していく予定である。 精神医学は今、DSM-5という診断の基準・マニュアルが存在する。 5というのは、4回「改…
佐藤優/杉山剛士『埼玉県立浦和高校 人生力を伸ばす浦高の極意』読了
久々に新書を読んでみた。 以下、内容と感想をざっくりとまとめたい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー [内容] 現役浦高生とその母親に対して、OBである元外交官の佐藤優氏が「真のエリート」になるにはどうしたらいいのか、というテーマの講演をまとめたものとなっている。 佐藤優氏によれば、 人間力 ≒ 総合知 ということであった。 話は、「総合知」とはなにか、それを会得するにはどうすればいいのか、というテーマで進む。 大事な力は以下であるとされる。 ・英検準一級以上の英語力 ・数Ⅲまでの数学力 ・論理的思考能力 ・哲学史等の教養 僕の記憶では、上智大学の英文科に受…
こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com 前回をざっくりまとめると、ヘーゲルは、マキャベリやホッブズが前提とした社会存在に異を唱えた。 彼らは「原子論」的な人間観を想定しており、つまりは人間の本性を「自己中心的」であると「単純化」することから帰結される社会共同体は「フィクション」であるとした。 そこから「再解釈」しなおし、ヘーゲル独自の「承認論」をまずは「人倫」という観点から展開していくのであった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ヘーゲルは承認が形成されていく過程を3段階にまとめた。 1. 自己形成 2. 所有権をめぐ…
科学者には知的好奇心が相対的に強い人が多いと思う。 比較できるものではないが、僕もそこそこ知的好奇心は強いと感じている。 何のためか。 科学は実用的であるので、理由としてはやはり「世のため人のため」と説明されることが多いだろう。 しかし、それはあくまで二次的なもので、本当は「ただ知りたい」という欲が強いはずである。 というのも、科学は常に難解な問いとの格闘であり、生易しい世界ではないと思われるからである。 なぜ知りたいのか。 「知りたいから知りたいんです!!」 「理屈じゃないんです!!」 が正解だと思う。 つまり、「知りたい」というその理由は「知りたい」という感情によって説明されるという、トー…
レイシズム(人種差別)はどのようにして解消されていくのか。 僕は「意識」と「無意識」の領域についてまず考える。 ある人種に対して「怖い」という感情が生まれると仮定する。 この感情は「無意識的」なものであると考えられる。なぜならば、「怖い」という感情は「意識的」に生まれるものではないと思われるからである。 怖いという感情を感じることはいけないことなのか。という問いが生まれる。 しかしながら、なぜ「怖い」と感じるのか、を突き詰めると事の複雑性にぶち当たる。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「規則ですから」 という文句は、僕はあまり好きではない。 「じゃあ貴方は…
こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com 前回をざっくりまとめると、ヘーゲルは、マキャベリとホッブズが想定した人間社会を「無機的 = フィクション」として、実体とは違うと考えた。 人間の本性は「非人倫的な統計」とヘーゲルは考え、彼らの想定した共同体は人倫的に統一されたものとはなり得ないとした。 であるので、ヘーゲルは「承認」の観点から、人間同士の相互作用から考え直し、人倫の総体について考察を始める。 つづきを書いていく。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ホネットによれば、ヘーゲルはフィヒテの承認論とホッブズの闘争概念にヒン…
僕はパニック障害が生まれる条件というものを解明したい。 精神医学のやっていることは生理学的観点、脳科学的観点の研究に限定されている節がある。 それは自然の秩序、システムを「説明」するに留まると思われる。 その後、「○○が原因ではないだろうか」と解釈を作り出し、研究結果と紐付けしようとする。 しかし。 パニック障害というものは昔からあったという事実がある。 いったい、解明できるまで何十年かかるのだろうか。 これが生物学モデルの限界である。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ストリートファイターというゲームがある。 必殺技を繰り出し、防御をし、攻撃をかわしながら相手を倒すゲー…
まだ明晰夢は見れていない。 しかし記憶はしっかりと取り続けている。 今日の夢も相変わらず、複数の場面が記録・確認された。 なかでも、イデア論について語る夢は明確に記憶している。 「イデア論に改善の余地はあるか」という議題であった。 イデアとはプラトンが提唱した概念である。 よくある例えによれば、人は映し出された「影」を見ているだけで、影の「元」となっている実体は掴めていないという概念のことである。 この考え方は、現代では効力を失ったと思われる。 「善のイデア」というものを想定すると、すぐに気づくはずである。 というのも、「一元論」にすぎず、「善」というものの多様性を否定するからである。 以前に…
こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com さっそく本題に入る。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 別の記事に書いた通り、ここで書いていく「承認」とはマズローの「承認欲求」のお話ではなく、ヘーゲル『精神現象学』における「承認」のことである。 以前の記事でフレイザーが語ったように、時代の変容とともに、経済状況と社会的地位の秩序も代わり、社会は承認や再分配を必要とした。 ホネットも、ヘーゲル哲学の「承認」が時代の変容とともに効力を失い、承認について「再構成」する必要があると判断した。 従って、以降はホネットによるヘーゲル哲学の再構成をまと…
こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com ホネットの反論を要約しようと頑張って読んだものの、 先に、 『承認をめぐる闘争』を読んでおかないと理解不可能と判断しました。 というのも、『再配分か承認か?』は、『承認をめぐる闘争』よりもあとに発行されていると判明したからです。 そして、『承認をめぐる闘争』における、ホネットの思想を知っていることが前提で話が展開されていると感じました。 ということで、明日から急遽『承認をめぐる闘争』の読解に入り、まずはホネットの思想を解き明かしていきたいと思います。 つづく
細分化は表面積を増大させる 物事をどれだけ捉えられているのかを、幾何学的に考えてみる。 見えている部分、分かっている部分を「面積の総量」として考えてみる。 問題解決能力は、人間が持つ認知能力において、最も高度で複雑なものとされる。 「人間力 ≒ 問題解決能力」 と言えなくもないのではないだろうか。 物事は可能な限り、全体を可視化できるほうがよい。 つまりは、面積は多ければ多いほどよい。 細分化とは表面積の増大を意味する。 例えば、アイスコーヒーの氷は粒が小さければ当然、冷える速度が速くなる。 液体の温度がどれだけのスピードで下がるのかは、氷の表面積に依存する。 問題解決も同じである。 何事も細…
落合陽一氏が語るように、本当にテクノロジーの力によってのみ世の中は前に進むのだろうか。 であれば、何のために理数系以外の科目が存在するのだろうか。 例えば、この時代においては、もはや「徳倫理学」は暇人による暇人のための遊びなのだろうか。 この学問領域が現代に提出できるものは何であろうか。 「酒を飲まずにやってられるか」という状況があるから徳が効かないのか。 そもそも人間が弱いから徳が効かないのか。 社会構造が人間をミクロ単位で、摩擦熱のようなものを生み出し、それが火事となって何らかの犯罪事件や汚職事件を生むのだろうか。 という、途方もない問いを抱えつつも、面白いので考える日々だ。 つづく …
今、承認論を読解している最中である。 nainaiteiyan.hatenablog.com というのも、「社会的うつ」という言葉からわかるように、うつ病は社会的な要因のほうが割合が高い、というのが僕の率直な意見。 うつ病を説明するときに、生物社会心理モデルというものがあるが、どう考えても生物モデルより先に、社会のほうが説明が先になされるべきだ。 というのも、セロトニンがああだこうだという前に、それを「誘発」するものはなにか、ということを突き詰めてみると、「社会的ななにか」だと思うのは当然ではないだろうか。 拒食症と痩せ願望は密接な関係がある。 そして、痩せ願望は社会的に作られる。 アナウンサ…
はてなブログ10周年特別お題「私が◯◯にハマる10の理由」 読書は文字という特殊な散歩道をわたること 今までにない感覚を覚えるときもあれば、イライラするときもある。 人は歩く生き物なので、文字を歩くことも大事である。 人は言葉でできている 思考はほぼ100%言葉でできる。 読書が思考に新たな様式を与える。そして新しい思考が生まれる。 大人は新しい発見が少ない 自分から見つけにいくことが大事。 新しいものを見つけるのに、人の残した言葉は手がかりになる。 今をいきること 夢中になることができる活動のひとつである。 読書はひたすら文字をおうので、今に集中できる。 思考が活性する それは沈殿しかけた物…
本日は、約10の場面を記録することに成功した。 まだ夢の中で夢を意識するのは無理であると感じている。 しかし、鮮明な夢を見ることはできている。 内容は誰でもみるような、取るに足らない話であった。 ただ、なんとなく物語のような順序付け、秩序を感じている。 記録方法としては、ラインの部屋に内容をささっと書くようにしている。 夢の中で発せられた「フレーズ」は確実に押さえることはできている。 これからが楽しみである。 つづく
以下、学術的な根拠としてではなく、僕の考えとしての記述。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 赤ちゃんの頃の記憶が無いのは、言語の未獲得ゆえに、日常を認識し、「記憶のまとまり」として「切り取る」ことができないため、「物語のように順序づけができない」から。 というのが僕なりの仮説。 「無意識」というのは、文脈によって意味は変わる。 「無意識でやっていた」という使われ方もする。 ただ、僕にはそれは、「身体が記憶」していたからであって、「反射的」動作のように見え、意識はあると考える。 厳密な「無意識」は、やはり睡眠中や気絶したとき、全身麻酔のような限定的場面だけに限られる…
『夢の操縦法』という衝撃的な本に出会いました。(オカルトではありません。国書刊行会という、ちゃんとした出版社から出ている本です。) もともと明晰夢を何回かみた経験もあり、僕は夢の日記をつけ始めました。 今日、「夢の中でその夢について記録しようとする夢」をみました。 少し進んできているように感じます。 夢に関する研究もまだまだ未発達です。 裏を返せば、可能性に溢れる分野です。 わくわくします。 少し前に、軽く触れました。 nainaiteiyan.hatenablog.com 僕は「敢えて」夢に関する論文を、今は見ないようにしています。 論文というのは、時に間違いを犯すものであり、時に夢を壊すも…
こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com 前回をざっくりまとめると、 「平等の参加」が前提となる議論において、社会的コンフリクト(争い)が発生する原因を特定するための基準として、変数をしっかりと見定めることが重要だと述べた。 変数は多様であり、社会福祉へのアクセス権や、クレジットカードを持つ権利など、個人の所有権や富の配分法に至るまで、多岐にわたる。 それらの変数に対し、「承認」と「再配分」を「同時に」達成させるためには、改善案を「肯定的是正」と「脱構築論的アプローチ」の2観点から絞り出すことが大事だとフレイザーは考えた。 また、肯定的是正のように、制度を壊さない…
こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com 世の中、魅力的な異性を「優良物件」と言う方がいるみたいだ。 人間世界はもはや「アナロジー」であり「フラクタル」である。 関数と同じ。 nainaiteiyan.hatenablog.com つまりは、xに「優良物件」を代入すると、yは「魅力的な異性」であったり、「賃貸」であったりする。 高次方程式ほどyの値は複数になる。 この現象をフラクタルといわずになんというのか。 もはや、人になにかを説明するときはフラクタルで十分だ、とも言えそうだ。 言葉を媒介変数とした概念は無意識に出力される。 フラクタルにフラクタルが重なる。 つ…
参考文献:松本千『38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみたヤバい結果日記』幻冬舎2021年 アプリが人との距離を極端に縮める。 メッセージが音速を超えるスピードで届く。 いつでもどこでもすぐ会える。 飛行機が生まれ「地球は狭くなった」と言われたように、 恋愛も「狭くなった」と思われる。ここでも逆説は機能する。 近づくほどに遠くなる。 この類いのアプリは、ただ発散させるための公衆トイレと何も変わらない。いつでもどこでも出会えるトイレ。僕には公衆トイレにしか見えない。 ただ読み物としては面白いと思った。 つづく
こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com 議論は相変わらず複雑であり、まとまりに欠けるところもあるが、最後までやり通したい。60点を狙うつもりでやっていく。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 前回をざっくりまとめる。 前回は制度設計に関する導入部分を書いたのみであった。 あくまでも議論は「平等の参加」を前提とし、所有権、分業、富の配分法を「変数」と位置付け、そのあとのお話をせずに記事がストップしてしまった。 続きを書きたい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー フレイザーによれば、制度設計のアプロー…
特に意味はないのですが、スキージャンプのスタートから着地までの軌道が3次関数の標準的な軌道とそっくりだなと思いました。 世の中、アナロジーが多すぎて面白くて見つけるのが楽しい毎日です。 nainaiteiyan.hatenablog.com つづく
言語の違いは認識の違いを生む。 「brother」には序列の概念がない。 兄、弟。 単語に「brother」の概念が入りつつ序列の概念を併せ持つ。 そして文化的な相違が発生する。 ミクロからマクロへの転移。 社会言語学はそういった文化的な違いと言語上の違いを検討する面白そうな学問である。 比較文学という研究分野もある。 ある国の文学を別の文学と比較させ、相対的に検討するみたいだ。こちらも面白い。 僕の疑問はこうだ。 つまりは、文化と言語にも進化論的な要素があるのでは、と。 たまたま「DNA複製のエラー」によって変異種が生まれることと、たまたま言語も変異のような仕方で「間違って」使われ、そのまま…
とにかく1万文字書いてみたいので、はてなブログ10周年特別お題をやってみた
はてなブログ10周年特別お題「10年で変わったこと・変わらなかったこと」 この記事を書いてからカフェを出たいと思う。 また、おそろしく長い記事になるのでマニア方のみお願い致します。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー この10年で変わったこと。 以下の点である。 ・恋愛観 ・人生観 この2つを中心に書いていきたい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 恋愛観について 二十歳に初めて彼女ができる。 とりあえずネットで繋がった相手であった。 僕は恐ろしく内向的で、恐ろしくビビリであった。 とりあえずネットに頼るしかなかっ…
だからといって、それは「記憶」から外れることを意味はしない。 自己肯定感 (学術上は自己効力感) を高めるには、意識からはずされるものを守りにいけば良い。 僕はある仮説をたてた。 夢が何故消え失せていくのか。 ワーキングメモリーの考え方に則せば、単なる無意味な文字の配列はすぐに忘れるという現実がある。(平均6~8チャンクといわれる) 夢も断片的にとらえるならば、6~8場面が限界と思われる。 そして、すぐに忘れる。単純な配列も同様。 番号を暗記して電話をかける。 電話が終わる。 そのあと、用済みの番号は忘れる。 用済みの「能力」もすぐに忘れはしないだろうか。 自己肯定感の低さは、忘却の次元に内包…
夢・インプット・アイデア 夢には、今まで見たものしか出てこないという事実があるように思われる。 夢はアイデアの宝庫と僕は考えるが、インプットが少なければ夢の材料が品薄になる、と思われるので、どれだけ様々な感覚を刺激するのかにかかっているのだろうか。 記憶に関する本を読むと、まだ未解明のことが多いように見える。 一度目に入った情報は「思い出せないのか」、それとも「完璧に消えていくのか」。 短期記憶や長期記憶、そしてワーキングメモリーの枠組み、概念だけでは説明がつかないことが多いように見える。 もし単に「思い出せない」だけであるとしたら、豊かな夢を見るには「インプットの総量」次第なのだろうか。 興…
こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.co 前回をまとめる。 資本主義以前の社会構造においては、社会的地位の秩序がそのまま経済構造に影響を与える世界であったが、現代はそうはなっていないとフレイザーは述べた。 現実では、社会的地位がそのまま経済構造に「直接」影響を与えることはないが、「間接的」に作用することを示した。 例えば、ジェンダー問題においては、資本家の目的に沿った形で「文化的価値のパターン」が形成され、「男の仕事」、「女の仕事」といったカテゴリーが生まれ、分化し、それが結果的に、部分的な格差へ繋がることが示された。 具体的な対策を練るには、経済構造上に隠された「…
僕は自分に言い聞かせ、衝動を抑えます。 抑える必要性がない時、我慢すべきではない時はあるがままに解放させていきますが。 nainaiteiyan.hatenablog.com 落合陽一氏の効用逓減の世界で僕たちができることはテクノロジーの改変のみ、という言葉がなかなか抜けきれません。 また、「幸福感」「幸福」がモノとして消費されているのではと感じます。 nainaiteiyan.hatenablog.com 資本主義においては、実は「貨幣」が欲を作り出しているのでは、という疑問が僕の中で溶けきれません。 お金の量、つまりは資産が行動の基準となるのであれば、それこそ貨幣が行動を作り出しているので…
参考文献:エルヴェ・ド・サン=ド二『夢の操縦法』国書刊行会2012年 睡眠に関する論文はまだ手を付けていないので、あくまでエンタメとして。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー この本はフロイトも読んだそうで、「明晰夢」を見るために人生を捧げたような人のお話である。 夢日記をひたすら書き続け、1700日目くらいで悟ったようである。 本によれば、夢は断片的ではなく、物語として秩序付けられているとのこと。 断片的に感じるのは、彼によれば「訓練不足」だそうで、夢を「記憶」する技術の問題であるそうだ。 僕もたまに明晰夢を見る。 ラインのメモ帳によく夢の内容を書いていた。 夢はアイデアの…
こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com 前回までで、「承認の要求」に対する基礎づけは大方定まったように思われる。 社会的地位の秩序はいかなる社会構造をもってしても、最終的には「経済構造」によって、不正義と誤承認の相互作用に従い「再配分」と「承認」の両方を必要とされる情勢が形成されることが示された。 次は実践的に、どういうアプローチを練れば良いのかについてフレイザーは考察する。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 昔は、「社会的地位の秩序」がそのまま経済構造に影響を与えた。 例を出すと、奴隷のような位置付けをされた当事者は、経…
掘る、盛る、鏡像 抽象的な概念を、別の概念へと「転化」または「代入」によって新しいアイデアが生まれる可能性について書いてきた。 nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com 地面を掘り、別の場所へ土を運ぶ。 面白いことに、これを繰り返すと鏡像になる。 つまりは、作業が終わる頃には、運ばれた土の山を見ると、最下層の土が「最上階」になるということである。 まさに鏡像。 「掘り下げる」という言葉は、ビジネスや学術の世界で幅広く使われる言葉である。 掘り下げたすえに、「掘り下げられ…
昔の自分がそうだった。 しかし今はそれがある意味「恥ずかしい」ことでもあったと思っている。 (視線を集める、そんなことはあり得ない、という意味で) そもそも、目立ちたがりの多い東京で目立つことなど不可能ではないか、、!! 目立とうとすればする程に「逆に」目立たない。それが東京ではないだろうか。 言い換えれば、0.0001%クラスの超人、偉人でないと目立つことは不可能と思われる。 もはや何をしても東京では目立てない。対比と同じで、少なからず地元では見られないような人々が存在する東京においては、もうなにをやっても目立つことはできない。 取るに足らない存在、というよりかは、人間の森なのだ。 どんな木…
落合陽一氏の動画を観ながら、『分析美学入門』と重ねていろいろ考えた。 理系の視点から見た世界についてのお話の感想をだらだら書いていく。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 普及すると安価になる。 人は安いものを価値あるとは思わない。 いくら先端の科学技術が庶民に普及しても、スマホによる中傷のように、幸せをもたらすことは稀であるし、スマホの価値すらも忘れていく。 落合氏によれば、効用逓減の世界ではテクノロジーのみが世界を変えるとのこと。 どれだけ学者が議論し尽くしても、結局はあまりたいして世の中は変わっていないと言っていた。 幸福と価値が似ているように思う。 幸福も「消費」され、次の幸福で…
いよいよ平成3年生まれである僕も30歳です。 ブログを始めた当初は27歳でした。 この年になると積極的に動いていかないと毎日新鮮な気持ちでいることは厳しいと思ってしまう今日この頃です。 僕はゆるい生き方には肯定派ですが、毎日刺激が欲しい血も流れているせいか、退屈な生活は嫌いです。 以下の3つを積極的に行っています。 ・新しい本を買う ・知らない場所に行く、知らない道を歩く ・ICレコーダーに知らない曲を定期的に録音する。 です。 本は新鮮な価値観に触れあえます。お金がかかるので、メルカリで売らざるを得ません。 知らない場所は、交通費を本代にまわしたいので、主に自転車や徒歩です。 障がい者手帳を…
こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com 議論が複雑になってきているので、翌日に読むと文章に粗さを感じる。 その場その場で少しづつ訂正や加筆をしていきたい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 前回をまとめると、承認の要求に対する判定を行うには議論の交換が必要であり、そのプロセス・メカニズムには循環論法が孕むものの、「再帰性」が含まれているため、民主主義の機能は保持されているとした。 その後、議論の材料をあぶり出していくためにフレイザーは2つの社会構造を想定した。 文化的価値の地位がそのまま経済構造(=格差、不正義による…
こちらと似ている nainaiteiyan.hatenablog.com 感情とは常に上書きされ続ける節がある。 楽しく過ごしても何か嫌なことがあると、その後引きずる。 常に更新し続ける機械みたいだ。 生命を機械として考え、「身体なき器官」と書いたガタリの思考そのものではないか。 面白いのでまた記事にしたい。 つづく
こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com こちらをまとめると、 「誤承認」も「不正義」も、根本的には資本主義の「経済構造」にあるとフレイザーは考えているものの、資本主義の経済構造を変えることは現実的に考えて「不可能」であるため、「誤承認」と「不正義」の双方を解決に導き出せる「案」を考えることが肝と提案した。 議論は「承認の要求の正当性について」の方向へ。 何をもって「適切な承認の要求」とするか。その基準はなにか。 フレイザーは「普遍化は不可能」とし、議論が必要とした。 しかし、それを実現する(基準の明確化)には「議論」の交換が必要であったが、「循環論法」に陥る、と…
希少性に関する考察を深めていきたい nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 参考文献:ロバートテッカー『分析美学入門』勁草書房 2013年 価値の性質について、別の視点を考える。音楽で考える。 ・聴くことそれ自体を目的とする ・作業が進むように聴く、つまりは目的が道具的なもの。 などがすぐに挙げられる。 それに対し、評価の軸も複数存在することが考えられる。 仮に、 A・・目的としての音楽 B・・道具としての…
こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com こちらを簡単にまとめると、「承認」には「再配分」でしか有効な策はないとフレイザーは考える。 不正義、誤承認は、社会的地位に根づいたものであるとみなす。 問題は、その2つを「同時に」解決することが見込める「案」を見出すことができるかどうかである。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 何回も書いているとおり、フレイザーは、「経済構造」が全ての原因とする。 ・文化的価値のパターン⇒誤承認 ・不公正な再配分⇒不正義 しかしながら、資本主義を「構造自体」から変えることは不可能である。 誤承認と不正…
僕はtwitterでインフルエンサーの問題点を書き続けた時期があった。 僕は全く影響力を持たない人間なので、空振りだったかもしれない。 人間をパソコンに置き換えて考えてみる。 遺伝のプログラムに従い、脳が指令をだし、各々の機能やソフトが起動する。 価値観はまず、様々なカテゴリーがあると考えられる。 「好きなことはすぐやるべきだ」 「我慢することは大事だ」 「ゆとりをもって生きるべきだ」 「好きな人のためには犠牲を厭わない」 これらを全て「データ」として持っているとするならば、 そこに「侵入」という形で、個人に影響を与えてしまうインフルエンサーは、良くも悪くも価値観の「上書き」をしていないだろう…
カタルシスの条件 映画やドラマを観て泣く。スッキリする。その浄化作用はカタルシスと呼ばれる。 ではと、制作する側に立ってみる。 どうすれば浄化作用を引き出せる構成を作れるのだろうか。 ここに、前提が隠されている。 物語は必然的に、時系列的であるがゆえに、その流れは結合的であり、連続的である。 ここに認知心理学が絡む。 例えば、 ★★ ★★ ★★ ★★ これをみた瞬間に、 無意識的に「2×4」が想像される。 つまりは、カタルシスの前提条件としては、構造的に「まとまり」が要求されていると想像できる。 あまりに当たり前かつ無意識的であるがゆえに、意外と忘れられていると思われる。 何が言いたいのかとい…
うたた寝はアイデアの宝庫 こちらの続き nainaiteiyan.hatenablog.com 僕は確信し始めた。 うたた寝から現れてくる言葉やイメージは、普段考えていることを上手くまとめあげ、大事な部分を凝縮し、その絞り出した果実を与えてくれる。 うたた寝から生まれた記事が増えてきた。 僕は考えずにはいられなくなった。 一体何が起きているのだろう。 とても不思議だ。 つづく
こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com 前回をざっくりまとめると、 承認と再配分の両方はそれぞれ独立的な概念・枠組みであり、どちらかを達成させても独立しているので他方には影響がない、ということであった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 経済構造が与える「自己実現・承認要求」への影響 フレイザーは「経済構造」が「文化的不正義」を生むと考える。 まずは、経済と格差に関する考察をまとめる。 社会階級が格差を生んでいるならば、究極的には「政治経済上の不正義」から生じていると指摘する。 例えば、業務上、ホモセクシャルの人がその属性だけ…
参考文献:『ゲーテ全集13 エッセイ』潮出版社 2014年 新装普及版 あの、偉大なるゲーテですらも絶賛するシェイクスピアとは一体なんぞや "はじめて彼の本を読み終えたときは、ちょうど生まれつき目の見えない人が魔法の手で一瞬のうちに視力を授けられたような感じでした。" P8 勿論、僕も外国語学部にいたので、(化学科⇒英文科に編入) シェイクスピアの作品には触れている。『ハムレット』の、 to be, or not to be これはいまだに覚えている。 しかし頭の無い僕にはお経にしか聞こえなかった。 今もまだシェイクスピアがわからない。 まだ読むには10年早いとすら思わされる。 シラーという、…
こちらの「huma kind 上」を読了しました。 nainaiteiyan.hatenablog.com 心理学者の書いた本で、端的に言えば「人は生まれながらに善良」であることを支持する本です。 僕も浅くではありますが、基礎心理学、行動分析学、臨床心理学、社会心理学、認知心理学などは勉強しました。 もともと心理学の理論はまだ「仮説」であることも、このブログでは何回も書いてきました。 例えば、 nainaiteiyan.hatenablog.com アンダーマイニング効果に関しても、確固たる証拠などないのです。 そこは「理論と実践」の反復で別の新たな「理論」を練り上げるしかないと僕は考えていま…
無気力にどう立ち向かうか 心理学では「学習性無力感」と言われる。 厄介なのは、ただ無気力ではなく、回復の見込みが少ないということ。 小手先の理論は通用しにくいと僕は考える。 うつ病の再発率が約50%の現状がある。 リワークという、復職プログラムにおいても、出戻りの方が数名いた。 医師が復職の為に診断書を書けるようになる状態では、持続的な労働はまだ難しい、と言われる。 ある意味、「学習性無力感の罠」のような状態から抜けきっていないとも考えられる。 例えば、鬱は「沈殿物」として考えてみる。 それは底にくっついている可能性もある。 撹拌するだけでは取り除けないかもしれない。 であるならば、 ・全体の…
こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com ※あくまで独学である。誤読があると分かればすぐに別の記事にて訂正していきたい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「承認」の定義を引用 "相手を対等であると同時に独立した存在と見なすような主体間の理想的な相互関係を意味している。" 主体=個人 であるので、端的に言えば「皆、お互い違うけれども平等の関係」である。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 本書はフレイザー氏とホネット氏の論争である。 お互いの立場は以下の通り フレイザー「配分と承認は相…
力を借りる 心理学はいうまでもなく、哲学から派生した。 しかしながら、派生するためには「数学」の力も必要とした。 また、実験をするには「技術」も必要とされた。 何事も「一人」ではできない。 イチロー氏も、毎日バッティングセンターに通うには「親の支援」が必要であっただろうし、高校時代の「恩師」もいなければならなかった。 助けを求めることは全くもって悪いことではないし、むしろ前に進むには必要。 日本では何故か「甘え」という概念がそれを妨害するときがある。 甘えとはなんぞや もしかしたら「支援」への「嫉妬」なのだろうか。 僕はそう思うときがある。 つづく
本日より、法政大学出版局「ウニベルシタス」シリーズの読解をブログにしていこうと思います。 その前に、僕と大学院入試の話を書きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 僕は認知行動療法を受けていた当初、現代哲学の「承認論」というものに興味を持っていて、当然ながら哲学科の院試を受けようと思っていました。 しかし、「ドイツ語」という難関が立ちはだかりました。 それは、ドイツ出身の哲学者がめちゃくちゃ多いことも関係しています。 例:マルクス、ニーチェ、ヘーゲル、カント、ライプニッツ、ハイデガー また、「承認論」はヘーゲル『精神現象学』が基盤になっております。 現在、承…
継続と不確実性 僕は、このタイトルを考えるときにいつも思うことがあります。 「継続は力なり」 いやいや、当たり前じゃないですか。 逆に、継続が力にならないということは、要するに「断片的」であって、行っていたことがそれぞれ「独立」していたということを意味しないでしょうか。 継続とは作業の結合です。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー さて、本題ですが、継続は確かに結合ではありますが、 点と点を結ぶ「距離」はあまり考えなくて良いのかなと思っております。 「毎日やらなければならない」 という余計なプライド、強迫観念が「継続」に「意味付け」し、結果的に「無意味」になる可能性が…
ゲーテはあらゆる学問を横断的に研究した、いわゆる万能型の人物であった。 ニュートンは自然の法則を掴むことに耽溺した、天才型の人物であった、 万能であることと、一点集中のタイプ。 どちらが優れているか、そんなことは全くもってどうでもよい。 自分の興味ある分野に飛び込めば良い。 僕は音楽鑑賞は好きだが、作曲は難しくて挫折をした。 Youtubeに何曲か投稿をし、コメントを貰ったこともあったがやはり限界を感じた。 僕は自然現象を「感じる」ことが好きで、「分析」は苦手だ。 歴史や科学のような実証主義の世界には向いていない。 分析は、個人的にはつまらない。 自分がどのように感じたのか、その主観を記述して…
こちらの記事を少し前に進めたい nainaiteiyan.hatenablog.com 文明が人を堕落させるというのがルソーの見解。 僕はルソーに乗っかって少し書いてみたい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 結論から書くと、 貨幣というシステムが欲を作るのではないのか、ということである。 よくあるお話で、「ニーズは作るもの、我々は消費者が欲するものを作り出すのだ」というマーケティング手法があった。 僕は環境が与える力を書いてきた。 nainaiteiyan.hatenablog.com 貨幣というシステムも「環境」としてとらえるならば、貨幣が人間を支配している…
嫌悪と回避、そして不安 もしかしたら、嫌悪は回避のためのサインかもしれない。 何事も度が過ぎれば毒になる。 例えば、笑い過ぎると怖くなる時がある。 自分が制御できなくなるのでは、という不安だ。 勿論、そんな経験をする人は少数かもしれない。 不安は度が越えつつあるサインかもしれない。 嫌悪⇒不安 嫌悪の次に不安が来るのではないだろうか。 つづく
参考文献 : ルトガー・ブレグマン『human kind』文藝春秋2021年 本書によれば、ルソーはホッブズとは対極的で性善説を唱えた。 しかしながら、人間を戦争に導き、あらゆる人を不幸にしたのは「文明」と説いたことはホッブズと違う。 僕はメタ認知を想起した。 人は物事に対してどう解釈を与えるのかは、個人の「認知の仕方」次第だ。 うつ病の方は「気分が落ちるほうの解釈」を選びがちである。 破滅型思考、全か無か、結論の飛躍、などと呼ばれる。いろいろな解釈の仕方が存在する。 つまりは、「解釈」とはある意味、「観念的」なものと言える。 貨幣も同じである。 貨幣に価値があるのは誰もがその「観念」を共有し…
人は他人の痛みに同情するが、それは傍観者としての場合。 小さいものが大きく見え、大きいものが小さく見えるのが遠近法の作用。 痛みも同じである。 小さな痛みも、当事者として大きく見えてしまう場合、必然的に他者の大きな痛みが小さく見えてしまう。 遠近法に括られた同情と言える。 つづく
実験的に、1日20~30冊を断片的に、横断的に読んでいる。 しかしながら、ジャンルが近いものでも何かピントくる確率が少ない感覚がある。 多読にも技術があり、おそらく僕は初心者である。 今のところは、やはり2、3時間、一冊ずつまとまった単位で読書をしたほうが為になる気がする。 ただ点をばらまいているようなものだろう。 線が作れない。 これからも検証していきたい。 つづく
こちらの記事を統合 nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー AからBの場所へ移動することを、僕は空間の「交換」と呼びたい。 すると「集中力」が与えられる。 BからCへまた移動すれば、再び集中力は回復する。 この循環が生活を豊かにする。 つまりは、「交換」と「集中」の「反復」。 つづく
はてなブログ10周年特別お題「はてなブロガーに10の質問」 ブログ名もしくはハンドルネームの由来は? 人生を豊かに暮らす為 はてなブログを始めたきっかけは? なんとなく 自分で書いたお気に入りの1記事はある?あるならどんな記事? nainaiteiyan.hatenablog.com ブログを書きたくなるのはどんなとき? ブログに草を生やしたくなったとき 下書きに保存された記事は何記事? あるならどんなテーマの記事? 2 自分の記事を読み返すことはある? はずかしいので見ないのです 好きなはてなブロガーは? Nっぺさん、たそーさん、ももはなさん はてなブログに一言メッセージを伝えるなら? 草 …
定期的に書きますが、このカテゴリーは結論の見えない、断片的なエッセイです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 多元論の罠 価値観は多様性であり多元的。いろんな方がいる。 しかし、多様性という言葉を乱用していては思考停止になる気がしてならない。 というのも、理論は「体系的」でなければならない。 もしあるカテゴリー内に理論が複数存在し、それらを「多元的」で済ませていては体系としては成り立たない。 もはやただの「寄せ集め」に過ぎない。 こういうのを「多元論の罠」と言うべきではないだろうか。 つづく
京都駅周辺は時に、直線的、人工的でブロックのような街であり、「ひどい」と言われることがある。 しかし、シンプルなものも「美しい」と言われる芸術。 この矛盾がまだ僕にはわからない。 少なくとも、機能性は良いはずだ。 無駄な死角が少ない。運転はしやすいだろう。 街には何が求められるのだろう。 それは文化的で相対的であるかもしれない。 しかし何を持って美しいと言うか。 それは普遍的なように思われる。 つづく
ただ楽しい、ただ幸せ、と思うだけ、言うだけでは幸せとは考えられない。 薬物による理性の崩壊、洗脳による人格の崩壊。 この類いの人間も同じことを感じることはできる。 しかしながら、それは錯覚である、と普通の人であれば思う。 トルストイが、幸せはシンプルで不幸は多様性があると言ったように、やはり幸せには普遍的なものがあると考えるのが妥当。 今後も倫理学や道徳哲学を深掘りしていく。 つづく
簡単に手に入るものは簡単に離れていく。 情報もしかり。 毎日ニュースは簡単に手に入りつつも、一週間前のニュースはだいたい忘れる。 恋愛もしかり。 簡単についてくる人は簡単に離れていく。(僕の悲しい経験から) しかし筋肉は違う。 筋肉は簡単に付かないが、一度付けばしばらくは維持される。 知識もしかり。 長い時間をかけて吸収したものはしばらくは忘れない。 特に外国語。 情報は流動的。 水をたくさん飲めばその日に出てしまう。 情報もしかり。 つづく
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松岡正剛『ことば漬』角川ソフィア文庫 (2019) 小室直樹 新・読書日記19 – ラボ読書梟 (旧 はてなブログ大学文学部)
谷川嘉浩『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』ちくまプリマー新書 (2024) 新・読書日記18 – ラボ読書梟 (旧 はてなブログ大学文学部)
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[荒谷大輔『贈与経済2.0』翔泳社 (2024) 小室直樹『新装版 危機の構造』ダイヤモンド社(2022) 新・読書日記16 – ラボ読書梟 (旧 はてなブログ大学文学部)
小室直樹『新装版 危機の構造』ダイヤモンド社 (2022) 新・読書日記15 – ラボ読書梟 (旧 はてなブログ大学文学部)
押井守『押井守のニッポン人って誰だ!?』TOKYO NEWS BOOKS 新・読書日記14 – ラボ読書梟 (旧 はてなブログ大学文学部)
横尾忠則『創作の秘密日記』文藝春秋(2020) 新・読書日記13 – ラボ読書梟 (旧 はてなブログ大学文学部)
谷川嘉浩/朱喜哲/杉谷和哉『ネガティブ・ケイパビリティで生きる-答えを急がず立ち止まる力』さくら舎 (2023) 新・読書日記12 – ラボ読書梟 (旧 はてなブログ大学文学部)
アーロン・バスターニ『ラグジュアリーコミュニズム』堀之内出版 (2021) 新・読書日記11 – ラボ読書梟 (旧 はてなブログ大学文学部)
加藤泰史/松塚ゆかり『人文学・社会科学の社会的インパクト』法政大学出版局 (2023) 新・読書日記10 – ラボ読書梟 (旧 はてなブログ大学文学部)
クリステン・R・ゴドシー『あなたのセックスが楽しくないのは資本主義のせいかもしれない』河出書房新社 (2022) 石神賢介『婚活中毒』星海社新書 (2023) クリステン・R・ゴドシー『あなたのセックスが楽しくないのは資本主義のせいかもしれない』河出書房新社 (2022) + 石神賢介『婚活中毒』星海社新書 (2023) 読了 – ラボ読書梟 (旧 はてなブログ大学文学部)
倫理について突き詰めると、ギリギリのところで分岐点があったり (事実と価値は分離可能と考えるか否か) 、自由について突き詰めると、今度は認知主義と非認知主義という陣営があり、枝分かれしていく議論を追うのに疲れてしまった。 感情や精神というものも突き詰めると、今度は還元主義やなんとか主義とか、どれだけ深く行けば見えてくるのかと、苛立ちもあった。 言語自体にも限界があるかもしれず、自分は何処までも曖昧な存在だと痛感する。 日々気分が変わっていく。 毎日髭は伸び、体重も増減し、爪も気づいたらかなり伸びている。 時間も決まった方向に流れることになっている。 実力も運のうちやその他自由意志に関する本は、…
金川顕教『すごい効率化』KADOKAWA (2017 金川顕教『すごい効率化』KADOKAWA (2017) 読了 – ラボ読書梟 (旧 はてなブログ大学文学部)
谷川嘉浩/朱喜哲/谷川和哉『ネガティブ・ケイパビリティで生きる』さくら舎 (2023) 新・読書日記9 – ラボ読書梟 (旧 はてなブログ大学文学部)
スコット・ジェイムズ『進化倫理学入門』名古屋大学出版会 新・読書日記8 – ラボ読書梟 (旧 はてなブログ大学文学部)
リチャード・ランガム『善と悪のパラドックス』NTT出版 (2020) リチャード・ランガム『善と悪のパラドックス : ヒトの進化<自己家畜化>の歴史』NTT出版(2020年) 読了 – ラボ読書梟 (旧 はてなブログ大学文学部)
川内有緒『パリの国連で夢を食う。』イースト・プレス (2014) 新・読書日記7 – ラボ読書梟 (旧 はてなブログ大学文学部) ランキング参加中読書
吉川浩満『理不尽な進化』ちくま文庫 (2021) 新・読書日記6 – ラボ読書梟 (旧 はてなブログ大学文学部)
ビートたけし『人生に期待するな』扶桑社 (2024) 新・読書日記5 – ラボ読書梟 (旧 はてなブログ大学文学部)
菅 豊彦『道徳的実在論の擁護』勁草書房 (2004) 新・読書日記4 – ラボ読書梟 (旧 はてなブログ大学文学部)
nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 301. 斎藤環/福山哲郎『フェイク時代に隠されていることについて』大和出版 (2018) 302. 仲正昌樹『現代哲学の最前線』NHK出版 (2022) 303. ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟1』光文社古典新訳文庫 (2006) 304. ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟1』光文社古典新訳文庫 (2006) 305. 田中ひかる『アナキズムを読む<自由>を生きるためのブックガイド』皓星社 (2021) 306. 香山リカ『しがみつかない生き方:「ふ…
読んだ本 小室直樹『日本人のための憲法原論』集英社インターナショナル (2006) つづきを読みすすめた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 学部生時代に学んだイギリス史の復習でもあるように思えた。 本書の射程は歴史から民主主義と憲法、多数決や言論の自由、はたまた資本主義の精神や宗教社会学にまで派生していくので、200ページ程度の読書でさえも、多くの新しい収穫を与えられたように思う。 ・・・ 憲法を掘り下げ続けイギリス史の解説に入っていくわけであるが、なかなか内容が濃いので個人としては重要…
nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 201. プラトン『国家 (下) 』岩波文庫 (1979) 202. プラトン『国家 (下) 』岩波文庫 (1979) 203. プラトン『国家 (下) 』岩波文庫 (1979) 204. プラトン『国家 (下) 』岩波文庫 (1979) 205. プラトン『国家 (下) 』岩波文庫 (1979) 206. プラトン『国家 (下) 』岩波文庫 (1979) 207. 池田晶子『考える日々 全編』毎日新聞出版 (2014) 208. 宮本弘暁『101のデータで読む…
読んだ本 小室直樹『日本人のための憲法原論』集英社インターナショナル (2006) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 自分は法律に関していかに無知であるか、本書を読んで痛感した。 ひとまず120ページ弱読みすすめた。 講義形式で進むので、小室直樹の本のなかでは読みやすいほうであると感じた。 ・・・ 小室直樹のマスコミ批判は参考になった。 マスコミの本来のあり方について、小室直樹は「国家権力の暴走から人民を守るためにある」と語る。 また、松本サリン事件で冤罪が起きてしまったのは、警察発表をそのまま真実であるかのごとく報道する姿勢にあると語った。 …
nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 101. 熊代亭『何者かになりたい』イースト・プレス (2021) 102. 城戸淳二・坂本桂一『学者になるか、起業家になるか 理系の未来は明るい』PHP新書 (2011) 103. 田畑真一・玉手慎太郎・山本圭『政治において正しいとはどういうことか:ポスト基礎づけ主義と規範の行方』勁草書房 (2019) 104. 伊藤守『コミュニケーション資本主義と<コモン>の探求」ポストヒューマン時代のメディア論』東京大学出版会 (2019) 105. 伊藤守『コミュニケー…
nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1. 松岡正剛『資本主義問題』角川ソフィア文庫 (2021) 2. 松岡正剛『感ビジネス』角川ソフィア文庫 (2019) 3. 仲正昌樹『ドゥルーズ+ガタリ<アンチ・オイディプス>入門講義』作品社 (2018) 4. 松岡正剛『感ビジネス』角川ソフィア文庫 (2019) 5. 松岡正剛『感ビジネス』角川ソフィア文庫 (2019) 6. 中沢新一『新版 はじまりのレーニン』岩波現代文庫 (2017) 7. 小坂井敏晶『格差という虚構』ちくま新書 (2021) 8.…
nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenab…
読んだ本 ルネ・デカルト『方法序説』ちくま学芸文庫 (2010) 池田晶子『死とは何か:さて死んだのは誰なのか』講談社(2009) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 池田晶子は語る。 "「役に立たない」学問の筆頭は、言うまでもなく哲学である。「生きなければならない」と人々が思い込んでいるところ、「何のために生きるのか」と問うからだ。(・・・)生きるとは、考えることなのだ。こんな当たり前なことを言ったために、哲人は死刑になった。" (『死とは何か』P166) 約束事は目に見えない。「言葉」によって可視化はできる。しかし質量はない。言葉はどこに「存…
読んだ本 池田晶子『考える日々 全編』毎日新聞出版 (2014) 大河内昌『美学イデオロギー 商業社会における想像力』名古屋大学出版会 (2019) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 『美学イデオロギー』のなかで、文学の市場形成によって中傷目的の批評家が生まれることに対するコールリッジの批判が取り上げられた。 ”コールリッジによれば、中傷的な言語を生産することが習慣化した匿名批評家たちは、自らの人格を損ない、自己同一性を失う。(・・・) 言語と実体の乖離という特徴をもつ機械的言語の生産者は、自分自身の人格の堕落という結果を招くのである。” (『…
読んだ本 島田雅彦『小説作法XYZ』新潮選書 (2022) 池田晶子『考える日々 全編』毎日新聞出版 (2014) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 島田氏のこの本は、小説を書くためのただのハウツー本となっておらず、文学史、哲学史を横断しながら言葉の本質に迫る優れた本であるように感じる。端的に知らなかったことも多く書かれており、本書は読んでいて面白いものであった。 多少口の悪さが目立つが、それは歴史的に文学が人類にもたらした貢献の数々と、その価値を次の世代へと継承したいという気持ちの表れでもあると感じた。 "私が四十年かけて会得した創作技法を手…
読んだ本 アントワーヌ・コンパニョン『第二の手 または引用の作業』水声社 (2010) ブルース・フィンク『ラカン派精神分析入門』誠心書房 (2008) 中田光雄『デリダ 脱ー構築の創造力:メタポリアを裁ち起こす』水声社 (2017) 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "これまでもそうであったし、そして、今もそうであるように、多くの学者たちのあいだで引用を流行させてきたのは、偽の博識と多識の精神でしかなかったということ、このことは明らかであるように思われる。というのも、引用しなければならない理由がまったくないのに、大量の…
読んだ本 大河内 昌『美学イデオロギー 商業社会における想像力』名古屋大学出版会 (2019) 斎藤環『「自傷的自己愛」の精神分析』角川新書 (2022) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 斎藤環氏の新書のづつきを読み進めた。 「就活自殺問題」について、斎藤環氏は「食べるために働く社会」から「承認を得るために働く社会」へと移行したことに原因をみる。 日本人は世間体を気にするという一般論がある一方、例えばアメリカではキリストの目を気にすると書いてある本もあった。宮台氏の本だったと記憶している。 ドーナツのようなもので、核は空洞になっているが、「和…
ハーマン・メルヴィル『ピェール 黙示録よりも深く (下) 』幻戯書房 (2022) つづきを読み終えた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー あらすじ 物語の骨格をあとで思い出せるように、下巻の300ページまでのあらすじをざっくりと書き残す。 早くに父親を亡くしたピェールは教養ある気高い母親、グレンディング夫人に愛されながら成長する。 ピェールは詩的な才能を早くも獲得し、街で出会う数々の女性を表現力溢れる言葉で魅了する。 やがてルーシーという年下の女性と婚約。グレンディング夫人も息子の幸せを願う。…
ハーマン・メルヴィル『ピェール 黙示録よりも深く (下) 』幻戯書房 (2022) サラ・サリー『シリーズ現代思想ハンドブック:ジュディス・バトラー』青土社 (2005) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "彼がより賢明で、思慮深くなればなるほど、日々のパンを得る機会が減ってゆく。それなら、自分の深淵な書を窓から放り捨て、いくらか身を落として、長くてもせいぜい一か月で書き上げることのできる、かなり薄っぺらなくだらない小説を書いてみたらどうだ。そうすりゃ、称賛と報酬をほどよく期待できる。しかしピェールの心を貪り食うような深淵な思想が、今や彼の心の…
読んだ本 サラ・サリー『シリーズ現代思想ハンドブック:ジュディス・バトラー』青土社 (2005) 引用元:版元ドットコム ロージ・ブライドッティ『ポストヒューマン:新しい人文学に向けて』フィルムアート社 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "主体とは、個人が理解可能性を達成し、再生産するための言語学的根拠であり、その存在と行為能力の言語学的条件である。" (『権力の心的な生』P20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 バトラー『欲望の主体』に挫折してしまったが、『反「大学革命」論』のなかに書かれて…
読んだ本 斎藤環『「自傷的自己愛」の精神分析』角川新書 (2022) 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "自己批判を繰り返す人ほど、自分と他人を比較したり、自分の価値について思い悩んだりするなどして結果的に「自分について考え続けることで忙しい」状態に陥りがちです。この自分に対する尋常ならざる関心ゆえに、私はこれを「自己愛」と呼ぶのです。" (『「自傷的自己愛」の精神分析』P76) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今思えば認知行動療法(CBT)は言…
読んだ本 ロージ・ブライドッティ『ポストヒューマン:新しい人文学に向けて』フィルムアート社 (2019) 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "誇りをもつ人間は、他人によって投影された自分ではなく自分の中に充実した自分自身を感じることを好む。" (『ピェール 黙示録よりも深く (下) 』P115 ) "進歩的な政治信条として、人文主義は、連動する他の二つの考えと特権的な関係をもっている。その二つとは、平等の追求による人間の解放と、合理的な統治による世俗主義である。これら二つの前提は人文主義という概念から生まれたものであり、…
読んだ本 ジャコモ・レオパルディ『断想集』幻戯書房 (2020) マーク・ソームズ+カレン・カプラン=ソームズ『神経精神分析入門:深層神経心理学への招待』青土社 (2022) 宮台真司・苅部直・渡辺靖『民主主義は不可能なのか?ーコモンセンスが崩壊した世界で』読書人 (2019) 藤本夕衣・古川雄嗣・渡邊浩一『反「大学改革」論:若手からの問題提起』ナカニシヤ出版 (2017) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 少し前の日記に、自分は「凡人は欲望にしたがって、天才は好奇心から派生した信念で生きる」といった主旨のことを書いた。 また、執行草舟氏が強く…
読んだ本 藤本夕衣・古川雄嗣・渡邊浩一『反「大学改革」論:若手からの問題提起』ナカニシヤ出版 (2017) 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 PDCAサイクルというものはもともと経営学の概念であった。 しかし何故か教育の現場に「義務」づけられている。 「授業評価アンケート」や「教育目標」などが「PDCAサイクル」の名のもとに大学の現場でも適用させられ、講師は書類作成などに追われる。 古川氏は「人間の物象化」について語りかける。 いろいろと考えさせられた。 教育は必ずしも生産活動に直接直結しない。「生産活動」というのは曖昧…
読んだ本 宮台真司・苅部直・渡辺靖『民主主義は不可能なのか?ーコモンセンスが崩壊した世界で』読書人 (2019) 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 日々、目を凝らせば面白い本は沢山あることを実感する。 しかし発掘することは時に骨が折れる作業ともなる。 悪貨は良貨を駆逐するが如く、悪書は良書を駆逐しつつある出版業界であると痛感せざるを得ない。 2009年の発言であるが、宮台真司氏がベストセラーの6割は自己啓発の類いであると述べていた。精神安定剤のように、読んで気持ちを元気にさせるものとなるが、すぐに…