秋の朝遥に見ゆる白き富士
春の雨北の雪解け空に舞う
並木行く表参道春コート
雛祭り右官左官もかしこんで
日向ぼこ猫がひざのる父の夢
新しい家族を入れて雑煮わん
ホカロンの温もり浸みる立見番
独り身の仙台の夜牡蠣の店
河豚(ふぐ)食べて友と再会甘い酒
工事場の裸ストーブ風に勝つ
曼殊沙華旅の途中の分かれ道
梨狩りや陽射し和か(やわらか)梨の蜜(みつ)
秋雨や今も昔も日本橋
大雨や残暑を隠し災いす
盆休み線香あげて顧みぬ
無事おわる2020の夏忘れない
向日葵(ひまわり)やいつも立派な労働者
夏の朝誰を待つのかひとり鷺(さぎ)
子沢山遅れてならじ夏鴨の子
夏座敷麦茶をわきに烏鷺の戦い
飛ぶ車あとに雷鳴追いかける
日傘さし傘の陰よりバス探す
昼寝して逢ふてきました過ぎし母
夏暑き雀も口を開けるかな
氷水あずきとミルクは現代風
プールサイドボーイが運ぶマンゴーシェイク
蟻の子や穴を離れてひとり旅
夏山や朝の冷気に紫煙の香
冷麦や避暑地のなかを風わたる
夏暑きいずこにくらす古き友
枝豆や仲直りせし妻の顔
青トマトふっくら短いデブ乙女
紫蘇畑なにに入れよう葉の香り
紫陽花のビルの谷間に雨上がり
青葡萄若きあなたの宝物
青柿や梅雨をその実の糧として
梅雨空にきょうもそびえるスカイツリー
雨雲にとどかんとする立葵
梅雨の空木葉ざわめき夏きたる
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