写真を撮るのが好きだけれど、写真はフットワークも体力も必要で、今、病気療養中の私は、書くことを止めたらいけないのかもしれない。 書き物の自分。 真白涼
※ 写真は私が撮っているものです。 『one day・夏の記憶』 詩 朝曇り、 抱き起こす紫陽花の花が色粉濃く ほころびていた昼下がり 青紫の花びらに 記憶のアルバムを辿っていた その横には、日没を待つ あなたの横顔 夏の空は あっという間に深い青に包まれていく、 日没を待った君は シャッターを切る 駆け抜けていく日々。 少しづつ、少しづつ時が深くなり、 季節は冬へと向かう。
写真家、ホリウチジョー 2021 summer 世田谷での 写真展開催♡︎ʾʾ また、 本になります。 都内、主に渋谷で活躍しているフォトグラファー。 森山大道をも彷彿するような写真家、ホリウチジョーさんの個展です。 (*´-`) お近くにいらした時はどうぞお立ち寄りくださいませ♡︎ʾʾ 圧倒されるその写真。 これからも開催されますので、 今後ともどうぞよろしくお願いします。 お時間が許されましたら 是非 あそびにいらしてください♪
暑い日々が続いた。私の足の裏に腫瘍ができ、手術で取り除いた後は楽になるものだと思っていた。 ところが、予期せぬ出来事が起きた。 持病の心臓発作を起こしてしまった。 思えば、コロナ感染がテレビで流れるようになった昨年4月から自粛生活が始まり、ストレスによる、副交感神経の乱れが始まった。 最初は不眠。 病院の先生にも「コロナ鬱でしょうか?」と聞くと「みんなだよ」と優しい目で言う。周りの患者さんも、不眠や鬱状態や不安を確かに訴える人が多くみられた。 やがてめまいも始まった。 耳鼻科に行ってみるが、耳からくるものではなかった。 そこで今度は内科に行くと、『睡眠の質・血流の流れが悪
上の写真は銀座です。 音楽が好きです。私はまだnoteさんのコンセプトを理解せずにいると思います。 迷いと戸惑いばかりです。 音楽を載せてもいいことなのか悪いことなのかすらわかりません。 申し訳ありません。 音楽 音楽が好きになったのは、母の家族が音楽一家であることでした。 幼少期から音楽に触れ、自分自身も学生の頃は中古のレコード屋さん(主にブルースやジャズ・ボサノバ専門)で長くアルバイトをしたのもきっかけでした。 また、記事にその日選曲し載せる音楽が自分のバイオリズムともなります。 「この時はこんな気持ちだったのだ」と振り返ることが出来るためにも載せております。不快な方
先週、1週間は足裏に出来た『腫瘍』摘出を予定。 その前に済ませる業務・家のことやら持病の病院通院の他に皮膚科を探す為、時間に追われていた。 結局は元の主治医のところで「ここがいいよ」と紹介していただいた病院で摘出した。 ー§ー その『異物』ができ始めたのは25歳くらいの頃からだっただろうか。 仕事のイベントではハイヒール・普段勤務中でも低いとはいえヒールのある靴で歩き回る。 ーー『走り回る』が正しいかもしれない。一日の大半をヒールとともに過ごしてきた。 それも足にきちんと合わせていない靴だった。 デザインが気に入り履きやすければ、私にとって靴とは足に多少無理があっても
『吉本隆明を読む』 吉本隆明氏を読むきっかけになったのは、 吉本さんが在命中に、彼を知る人がいて、 その時の話を聞き、 吉本隆明氏の人柄を知るほどに 関心を持ったことが、きっかけでした。 また、お嬢様の吉本ばななさんの本も大好きです。 吉本ばななさんのお父様というのも関心を引きました。 その中の一冊 『永遠の吉本隆明』洋泉社 『なぜ、安保世代、団塊世代は彼の思想に魅せられたのか なぜ、共闘者との訣別を恐れず「孤独」を貫き通せたのか、 彼が貫いた思想の原則、 その誠実さゆえに「代償」としなくてはならなかったものは何なのか...』 橋爪大三郎氏が吉本隆明
上記添付写真は、東京・恵比寿にあるお店のテラスです。 お店の方のご理解、ご協力のもと撮らせていただいています。 noteを書き始めて2ヶ月が過ぎました。 全然、noteのことをわかっていないですし、毎日、ものすごく緊張しています。 「スキ」も......本当は『スキしていいの?』とオロオロしながら押しています。 何事も私は情けないほど本当は自信が無いです。 (そう見られないこともありますけれど💧) 少し恐る恐る自分のことを書いてみます。 若い方が多いクリエイターさんの中、私は立派なおばちゃん年齢です。 大丈夫かなぁ・・・いいのかなぁ・・・ なんて思ったり戸惑った
まち合わせの時間に遅れてしまう。 足早に歩きながら 腕時計を見ると、針が止まっている。 ーー揺れ動く心。 待ち合わせのバーの前で息を弾ませながら、 鞄から携帯を取り出し時間を確認する。 「なんとか間に合った......」 思わず声になり私は胸を撫で下ろした。 重厚な扉が目の前に広がる。 このドアを開けたならあなたは微笑みを浮かべてくれるだろうか......。 ドアの引に手に指を絡めた時、私は躊躇いを覚えた。 それは、このドアを開けた先にいるあなたに 自分の失意を知ったことを知られることに怯えているのかもしれない。 その思いを振り切るように開ける
記録 あの頃、寒かったのだろうか、 薄れそうになる記憶 何処か心が暖かい、懐かしさを想いだし、感じながら...... 昨年の記録 恵比寿ガーデンのバカラがいつもの輝きから 昨年は感謝と希望、ブルーのライトアップ 自分の中で思いが残る一枚 恵比寿は私の思い出が多い場所、そしてとても好きな街。 学生の頃、恵比寿へはじめて一人で映画を観に行った。 (幼い頃、母が私の手を引いて叔父の店がある恵比寿へ行っていた。 ある日、私は母の手をはなれ、こっそり初めての一人散歩へ出かけたのが恵比寿だった。大冒険のようで楽しかった記憶を思い出
『one day』 朝曇り、 抱き起こす紫陽花の花が ほころびていた昼下がり 青紫の花びらに 記憶のアルバムを辿っていた その横には、日没を待つ あなたの横顔 夏のような空は あっという間に深い青に包まれていく その様子は凪のような穏やかさだ 眺めていた空から あなたの 横顔に沈黙で話しかける 『少しずつ、少しずつ時が深くなったなら、 私はきっと 孤独と隣り合わせだった 凍りついた心が 『何故』 あなたの横で溶けていったのか その理由が やがて解るのでしょう』と 空には紫陽花の青紫の余韻が 浮かんだ
低血圧・持病によるめまいの治療を受けている。 薬と点滴の中にビタミンと目眩どめを50ミリから最近は少しその量が増えている。 映画の上映が決まった当時から観に行きたかったが、目眩により起きていられる時間が短い。その為、諦めていた。 「森山大道」の1968年に出版された森山大道のデビュー写真集復刻プロジェクトに密着したドキュメンタリー映画。 観に行くことができた。 私はどれくらい前からだろう、とても憧れる写真家、森山大道。 その写真を前にすると圧倒され、私は言葉を失う。
二人揃いの足袋を揃えたのに、 あなたは素足で部屋の中を歩いています。 あなたのためにと用意した浴衣を羽織る。 背を向けるあなたの帯を私が締めると、 それから、お風呂へ向かうあなた。 外に立ち寄る下駄の『音』 「雨に濡れた花が美しい」と誘うあなたの 横に並ぶ。 衣摺れの音、あなた歩く『音』 素足のあなたの足音が 心地よく私の心に届きます。 難しいことは私にはわかりませんが、 あなたの『音』がただ愛おしく、 あなたが私を愛する音がより愛おしく、 あなたの、何気ない『音』を抱きしめている。
ーーこの扉を開けたなら今日は何が待っているのだろう...... 出社したものの、朝から、不安でいっぱい。 目の前に大きく立ちはだかる、扉を開けられず立ち止まっていた。 すると、悩みの『根源』が目の前を、 ポケットに手を入れながら、憮然と素通りしようとしているではないか。 慌てて「おはようございます」というと、 「おはよう」と返ってはくるものの、 大竹は私の顔もみずに、 開けられなかった扉を、何食わぬ顔でさっさと開き、悠然と中へ入っていく。 まさかの、予期せぬ『大竹』出現。 しかも、やはり私の顔などちらりとすら、見ることも無い。
建前と心の中は違うもの 泣きじゃくりたい想いを抑えるために つっぱねる勝気さ、 それが、余計悲しくて一人になると泣けてくる 女性の心は 一つじゃない… 多面体の大人の女性を沈められる胸がある。 ただの女に戻る時、 あなたにただ甘えたくなるのに それさえも、遮った自分。 冷たい 氷のようになりきれない自分と あなたの心に 溶ける氷…。 あなたのもとに戻りたくても 二度と戻れない 帰りたいのに 帰れない いじっぱりな自分。 許されるならあなたの胸に
出張続きで疲労、めまいが一番難関。。歳だなぁ💧病院で目眩どめの注射を打ちながら、仕事。ホテルの朝食、ビジネスホテル暮らしが長い私は何故か一番落ち着く場所。朝食もだいぶ変わりました。・・・ なんちゃって小説家@真白涼
『北山修』の本を読んで・・・。 1960年後半にデビュー「The Folk Crusaders」 「帰って来たヨッパライ」史上初のミリオンセラーとなる。 『詩』北山修 きっと、どこかで誰もが聞いたことがある曲かと思います。 (*´ω`*) 最近は他の方がcoverしたりしてますね この詩は飲酒運転の死を関西弁「天国と地獄」を描いた北山修 「The Folk Crusaders」時代の「詩」のほとんどを、 北山修が書いていました。 その後、グループは解散してしまうのですが それぞれが、それぞれの道を歩き 加藤和彦は「サディスティックミカバンド」で活躍。
朝日
フィルムのように焼きついた 昨夜の記憶 乾いた内部を湿らせていく 水 深い海へ落ちていく 夜 明日があるというのに 時を急ぐ心 はやる心を 沈黙で抱きしめる君 明日という閃きを探し求め 彷徨う
既知なものが、僅かだった日から 少しずつ君を知り、 そして、 未知な君が果てしなく広がりを見せると 楽しくて笑っている私 君は「僕なんか・・」って言ったり拗ねたりすることもあるけど 私も同じ...... 君と僕は、とてもよく似ていて でも、違う...... 同じ人間は一人もいないもの。 それでも重なりあう言葉 重なりあう『色』があると 嬉しくて...... 弱い糸が いくつも重なり織りなし太い糸へと変わっている。 二人紡ぐ糸。 君と僕には理由なんていらなくて 「いい!」と感じるその瞬間の重なりが事実が 二人を繋いでいく。 いくつもの夜を超
ドアを開けると取り付けられた鈴が『カランコロン』と心地よく鳴った。 「いらっしゃいませ」 「こんにちは〜、昨日はごめんなさい」 頭を下げながら、会計を後回しにしたことを謝ると、「ガラテア」のマスター後藤寿史は笑顔を浮かべて目で合図をする。 視線の先を見ると、カウンターに神崎美寿江が座っている。 白いスーツの彼女のその姿は、百合の花でも飾られているかのような華やかさだ。 「久しぶり」 私は美寿江の隣の椅子に座った。 「あゝ、りこ。『久しぶり』ってそうね。 言われてみると1週間ぶ
ーーどうしよう いくら考えても状況が変わるわけではない。 冷えたカップを俯いて眺めていると、 ふと、コーヒークリームの上に、ぽっかりと浮かびあがる顔。 ーーそうだ、彼はどうしているのだろう。 関連会社へ勤務している、幼馴染でもある桜樹を思い出した。 電話してみよう、何かいい策でも思いつ
テーブルの上の君の手にそっと触れると 君は戯けて見せた 無邪気な 屈託のない笑顔をみせる まるで初めての恋をするかのような気持ちで 君の姿を見ている 君がどうあろうと 構わない 最後の恋人 戸惑いも迷いもなく 私は、 君の手を固く握りしめた 『Waltz』
昨日の午前中、 今にも雨が降り出しそうな空。 見上げると風は強くて、雲の流れがとても早い。 近頃、めまいで起き上がれなかったけれど、久しぶりにカメラを持った。 何だかわからない一枚になったけれど、『梅雨が近い空と雲』 まるでキャンバスのような空だった。 『キミとの歩調・記憶』 「今日ねこんなことがあったのよ」と、アレもコレもと一気に話そうとする私に、許容範囲パンク寸前のキミ。 多分、普通なら『少しずつ話してくれよ』とでも困惑顔で、言っても良さそうなものなのに、キミはただ黙って聞いている。 左側に座っているキミに、「ねぇ、知ってる?」 「結婚式では、新郎が右よ
その日の私は、淡緑の紬を選んだ。 今日は姪っ子の誕生日祝いだと、弟の嫁に珍しく『この私』が呼ばれたのだ。 「そうかい」とつれなく電話口で返事はしたものの、口元には笑みが浮かんだ。 姪っ子の美和子が生まれた時はどうなるかと思ったけどね、 そりゃ、あのひ弱な弟が大丈夫なんだろうかと、 あれこれと気を揉んだものさ。 それから、余所の土地へ行き、ひょっこり私の前に現れた時は、 あの子は小学1年生になっていた。 あの子の瞳に何故だろうね、 私は自分が重なったのさ。 自分のことなんて、幼い思い出も育った環境も、 とうの昔、記憶から捨て去ったつもりだったのに、どうしたことやら、
ー 何かの冗談ですか ー 大竹が真顔ではっきりとした声で憮然と放った言葉。 大竹の憮然とした態度を、部長はまるで予測していたかのように動じる様子もなく、大竹を真っ直ぐと見据え「大竹ちゃんも一人で手が回らなくなってきて補佐が欲しいとも言っていたじゃないか、まぁ、一つ頼むよ。いいね、任せたよ」一歩もひきさがらず、安定した声だが鋭い視線で大竹を見る。 すると、大竹は私を見た。 私を見る彼の目を私もまっすぐ見ていた。 メガネの奥の大竹の瞳は意外にも『その時』は、優し気だった。 どれくらいの時間だろう、しばらくの間、大竹は私と目を合わせたままでいたが、部長へ顔を向け不適な
部長に声をかけられた大竹がゆっくりこちらに向かい歩いてくる。 すると周囲は、仕事の手を休め、会話を中断し、電話中の人は受話器を持ったままストップモーションのように動きが止まり私たちの方へ視線を向け始た。 部長の席の前へポケットに手を入れたまま彼は私の横に立つと、ちらりとだけ私を見た。 大竹は背格好も整っており、自身が持つ雰囲気だろうか、立っているだけでも存在感があった。 部長は座席の背をもたれに背を預け足を組みなおし、薄いイエローのスーツズボンのポケットに右手を入れると、先ほどまでのあっけらかんとした明るい声や
「どうしよう」 諦めるにも諦められない、ため息ばかりが出る。天国から地獄へ突き落とされた気分で私はコーヒーカップを前にしていた。『思い出すのも嫌だ』 ...... 入社が決まり会社へ向かう、 目の前に開かれる新しい世界。 希望に満ち、清々しい朝に軽快に歩く、 新しい社会のはず、 夢と希望の門出のはず....... そのはずだったのに、何かから突き落とされたような気持ちで私は馴染みの店のコーヒーを前にして、口もつけられず俯いていた。 店のマスターも心配そうにチラチラと見る。 その視線は入るものの、いつものようにマスター
それにしても、緑のスーツを着て行くことができる職業とは一体何だろう。一般的ではないように思えて美寿江ではないが、知りたくなり、 彼をチラリと見た。 ーーもう会うこともないだろう、ええぃ! 聞いちゃえ! 「あの、お仕事は何をされているのですか?」 カメレオンスーツへ直球を投げた。 すると、彼は『クスリ』と笑い、 一瞬俯いたかと思うと私をまっすぐに見据え、 「銀行員だよ」 ーー嘘つけ! 右手をポケットに入れながら、太々しく平然と言ってのけるその様子に、 危うく、声になりそうな言葉を飲み込み、体裁だけは繕う。 「そうですか」 またもや『クスリ』と
「こちらのマスターの店が、もう一軒近くにあるのですが、 一緒に行きませんか?」 グレースーツの男性がにこりと笑い、私たちを交互に見た。 すると、友人の美寿江は俯き女性らしい仕草で、躊躇いを見せている。 ーーまさか、まさかとは思うけれど、行きたいのだろうか。 そういえば先ほど、美寿江はグレースーツの男性に向かい、 楽しい時間であったことを、 美しすぎる笑みを浮かべ伝えていた。 男性に対して、ましてや、見ず知らずの人に、無防備で、少女の様なあどけなさのままの、彼女も珍しい。 こんな姿を見るのは、 もしかすると、 結婚式以来かもしれない。 美寿江
「何のお仕事されているんですか?」 友人は二人に突然、尋ねた。 「さぁ、何でしょうね」 グレースーツは答えなかった。 その会話を聞いた、カメレオンスーツは微笑を浮かべた。 そのまま、友人の言葉を『聞いちゃいない』とでも言いたげな様子で、 悠然と二人はカードゲームを続けている。 今度は声を1オクターブ上げ、 「何のお仕事をされているんですか?」 再び聞くが二人は笑みを浮かべるだけで何も答えない。 ーーどうやら答える気はなさそうだ。私はハラハラしながら友人を見ていた。 少しの間をおくと、グレースーツの男性が話題を変え、話始めた。 すると、あまり自分か
BARのドアからゆっくりと歩いてくる男性二人。 遊びなれた雰囲気が服装や余裕を見せる動きから伝わってくる。 前を歩く男性は、スーツは一見地味なグレーだが、 薄暗く少し離れた距離でもわかるほどの、生地の質の良さ、品のいいネクタイ、 よく磨かれた靴など、まるでスキがない。 後ろの男性はポケットに手を入れ悠然と立っている。 スーツの色は、なんと緑色だ。 普通の会社員は絶対に選ばない色。 センスがいいのか、悪いのかよくわからないが、「カメレオンか」と思った。
大学生の時に薬科大に進学した高校時代の友人が、年の離れた医師と学生結婚した。 大人の男性に見初められた友人はトンデモナイ美人だった。 ある夜、その彼女に洒落たバーに連れていってもらった。 カウンターに座り、ふたりでグラスを傾けていた。 もっとも私はアルコールは飲めないので、 ジュースのカクテルを飲んでいた。 彼女はストレスが溜まっているのか、 ウォッカ系の濃いカクテルをガンガン飲みながら、 結婚生活への不満を延々と話し続けているが、 私はずっと頷きながら聞いていた。 ふ
土砂降りの雨降る心に灯をつけた貴方 飾らない姿が愛しい 互いの心が寄り添う瞬間(とき) 許されるならずっと抱きしめていてほしい 日曜日の朝も夜も 光射す時も月夜に照らされる時も とびきりの瞬間(とき)は 痛いほど爪を立て 貴方の愛を受け止めるから 抱きしめられると貴方の言葉を信じたくなる 優しい嘘は知りたくないから 目を閉じて抱かれるの 言葉などいらないから 掴む腕に身を委ねて 貴方の優しさに縋りたくなる リフレインする貴方の愛しかた 覚えていく貴方の愛しかた 知ることに怯
わぁ……。 ファインダーを覗いた私は思わず感嘆の声を上げた。 「ねぇ、秦さん、秦さん何かね、違う!違うよ!」 解読難解な言葉を繰り返す、私。 ーー今まで覗いていたファインダーから見る感覚とは、全く違うのだ。 テーブルの上に無造作に散りばめられたビーズは、太陽の柔らかい光を浴び、キラキラと輝いている。 熱もダルさも瞬間的に忘れ、はしゃいぐ私に、秦はその姿を見て笑っていた。 「たくさん、撮ってご覧よ」 「シャッター押すの、緊張するよ〜」 「何故?......変だよ、それ」 「いいから、いっぱい撮ってご覧」 「失敗なんかないから」 「え?」 「ブレてるとか、秦だって失敗し
「nostaigie 4」小説 「いつか世界中を周り撮って歩くんだ」 秦がいつもそう言っていた。 「見てろよ」 誰に言うわけでもなく、一人呟いていた。 デジタルカメラ1台しか持つ余裕がなかったのに、秦はずっとそう言い続けていた。 「街の景色を撮ってくる」と出かけては、ぼんやりとした灯、華やかさを撮る秦ではなかった。 暗闇、夜の灯。 昼間に撮っていても、どこか暗く重い。 その灯からは、何故なのかわからないけれど、 「悲哀」のようなものを感じることがあった。 労働に疲れた人の手(美しい手などでは無いのだ)、歌舞伎を撮っても裏方。能だと言っては、『面』を撮
「nostaigie 3」 テーブルがコトンと音を立てた。 『それ』は、君の手にすっぽりおさまるほどの、 小さなサイズの透明な丸いケースだった。 ーーあ、あれ?見覚えがある。 私が手芸用に使っていたケースを拝借したものだ。 中に何かが入っている。 何だろうと、目をこらしてみると、中には色とりどりの小さなビーズが入ってる。 「ねぇ、シン(秦)さん、これ何?」 「さっき、まほろに聞いただろう?」 「今日は何を撮る?ってさ」 「これを撮るの?」 「そう〜」 にこりと笑い、私が手にしていた本を取り上げて、静かに読み始めた。 パラパラとめくった頁を少しばかり読
「nostaigie」 前回より 『それ』を引き出しから見つけた君は、 丁寧に『それ』をデニムのポケットに押し込むと朝食の支度を始めた。 冷蔵庫を覗く先から、のんびりとした君の声が聞こえてくる。 「まほろ、起きてご飯食べれるかい?」 「うん、でも、食欲無いなぁ......」 「スープでもあたためようか?」 そう言うと、君は冷蔵庫からコーンスープのパックを取り出した。 スープを鍋で温め始める頃には、部屋中にトーストの香りが立ち込めている。 私は、だるくて重たい身体を「ヨイショ」と持ち上げ、 ベッドの横にある、本棚を眺め一冊の本を選んだ。 青
通り過ぎた彼の夢を見て、ひどく情緒を乱し目が覚めた。 ベッドを振り返ると、隣で寝息をたて眠る彼がいる。 その吐息を愛おしいと思い、少し起き上がり彼の髪を撫でた。 彼は私の心の奥底にあるものは、きっと、知らないだろう。 知る必要も話す必要もなない....... 白いシーツに包まる君を置いて、 冷たい空気の外気、 私はcashmereの黒のロングコートを羽織り 外に飛び出した 。 胸にわだかまる不安を抱きながら、 それは、誰でもない自分が解決するためにであろう。 『冷静になりたかった』 外に駆け出すと、凛とした空気が『正気』を取り戻していく。
「nostaigie」 若き日の私は何の不安もなかった。 迷いも躊躇いも何もなく、 ただ、ただ、君の跡を追いかけていた。 その四角い枠の中の君の視線の先を、 君が何を追い求めているのか 何が君をそうまでさせるのか...... 何が君の鼓動を鳴らしているのか、 知りたかったからかもしれない。 遠い日の君との物語。 その日も、微熱が下がらない私に元気付けようと明るい話題を次々と探す君がいた。 夜更けから、ぼんやりとした二人の会話が続いている。 私の額に手を置いて「まだ、熱っぽいね」と言うと、 むくりとベッドから起き上がった君がキッチンへと向かった
『カラン』と静かな音をたて、森川の持つグラスの氷が揺れた。 森川とこうやってこのBARで会うようになって 一年半ほど経つ。 私は何度彼に真実を聞きたくなったことか、でも、聞くことはなかった。 森川が何を考えているのか私にはわからなかい。 「君は岩間の奥さんと何か話していたのかな?」 「いえ、以前、お見舞いに行った時にお化粧品を紹介していただいたので、 社交辞令程度のお付き合いで、何度かそちらをお願いして購入して世間話をした程度です」 「そう.......」 「森川さんは岩間さんの奥様と何か......」 「何か.......」 森川は少し笑って「何か?」と続きを尋ねてくる
その日、私は、会社からの依頼で治験コンタクトレンズの紹介のため、 昼近くに川崎寄りの都内、N総合病院を訪れ待合室に座っていた。 ーー会社のコンタクトレンズ部署営業の先輩から、 「置いてくるだけでいいから、頼むよ人手が足りなくてさ」 「お願い、蓮ちゃん、頼む!今度昼飯おごるからさぁ」って 頼まれたものの...... (治験レンズとは、新しいコンタクトレンズとキッドを無料で提供し 患者さんに試してもらえる方にお願いし、そのデーターを医師に依頼する) 同じメーカーとはいってもコンタクトのこと私詳しくないというより 全然分かっていないのに...... 私の業務内容と違うし、それなの
『door1』前記事よりーー 森川は製薬会社を経営している。 岩間は森川が右腕としている、プロパー社員であった。 森川は一から岩間に仕事のノウハウを教え、『B型肝炎』である岩間を 治療を含め1日業務の中に休養時間として病院での点滴時間と、インターフェロンの移行を含め、森川が関係している医師へ治療を依頼し岩間はそれを受けていた。 岩間は常に「劇症肝炎」になることに怯えてもいた。 時には治療の最中、検査の数値が悪く入院することもあった岩間を森川は見舞っては、肝臓にいいという、しじみのお味噌汁をわざわざ自分の知っている 料理屋から闘病中の岩間へ毎日病院へ届けさせてもいた。
まち合わせの時間に遅れてしまう。 足早に歩きながら 腕時計を見ると、針が止まっている。 ーー揺れ動く心。 待ち合わせのバーの前で息を弾ませながら、 鞄から携帯を取り出し時間を確認する。 「なんとか間に合った......」 思わず声になり私は胸を撫で下ろした。 重厚な扉が目の前に広がる。 このドアを開けたなら君が微笑みを浮かべてくれるだろうか......。 ドアの引に手に指を絡めた時、私は躊躇いを覚えた。 それは、このドアを開けた先にいる君が、 自分の失意を知ったことを知られることに怯えているのかもしれない。 その思いを振り切るように開ける、ドア。
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