chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
arrow_drop_down
  • 『桁違いな工業のマインクラフト』導入mod

    『桁違いな工業のマインクラフト』の導入mod一覧になります。把握してる限りですが、一文の解説付きです。(別のブログ立ち上げて記載するのもありかなと思ったけど、めんどくさかったので却下です。すまんな) ・AdditionalEnchantedMiner-1.18.2-18.23QuarryPlusとかChunkDestroyerとか追加するやつ。大地は消すものさ。・advgenerators-1.1.0.6-mc1.18.2マルチブロック発電機を追加するやつ。そんなに強くない。・ae2extras-2-1.18.2AE2のアドオン。MEGAcellsあるから正直いらない。・AE2-Things-1.0.7AE2のアドオン。強化版刻印機が便利。・AE2WTLib-11.6.3AE2のアドオン。ワイヤレスターミ...『桁違いな工業のマインクラフト』導入mod

  • ソクラテスはなぜ死刑宣告を受けたのか? 『ソクラテスの弁明』を読んだ心理学徒の感想。

    結論から言うと、彼は研究者の鑑ではあれるが、その振る舞いが一般に受け入れがたいものであったために死刑宣告をもらったと、私は考える。ソクラテスの姿勢は、何かを探求する人の理想的な姿なのだと思う。すべてを知っていると驕らず、自分は少なくともこれを知らないということを自覚している、という無知の知。あるいはこの事実に耐えられるだけの知的好奇心。問答から変数と論理関係を明らかにし、矛盾を淡々と指摘するさま。研究倫理に反した不正を認めることなく、また不正をただすこと、探求行為における正義の保持のために死んでもかまわないとする覚悟。「死ねば、ひとまずこの世からは脱せられる」ことから「(死ねば無意味になる)貯蓄への固執に対する無価値さ」に触れ「貯蓄をすべて使っても智見や真理の探究など善いことを行う」ことに生きる価値を見出...ソクラテスはなぜ死刑宣告を受けたのか?『ソクラテスの弁明』を読んだ心理学徒の感想。

  • わかりやすいマニュアルを作るためのマニュアル、区切りのいいとこまで完成しました。

    100時間以上かかりました(白目)。完全に完成したわけではありませんが(重要)、区切りいいとこまでできたのでいったん公開します。マニュアルの作り方サンプルクリックすると新しいタブでGoogleスプレットシートが開くはずです。これを読むだけで、マニュアル作成の全体の流れ、見やすくてわかりやすいマニュアルの作り方、マニュアルを作るうえで大事なこと、全部がわかる想定です。もう一度言いますが、完全に完成したわけではありません。画像が抜けている箇所がありますが、お使いのPCの不具合などではありません。PDFファイルでの配布は完成したら実行します。たぶんスプレットシートから保存できると思うけど。「マニュアルの作り方」の利用に関しては商用・非商用問わず制限はありません。そして何人もこの権利を侵害してはなりません。勝手に...わかりやすいマニュアルを作るためのマニュアル、区切りのいいとこまで完成しました。

  • 「共感できる人は廃人確定」99%の人はわからない論文読んでる人あるある。

    実際、論文に触れる機会ってどれぐらいなんだろうね?私はみんな年一ぐらいで触れていると思ってるけど。で、学部生は週1ぐらいで要約してそうだけど。1:論文をコピペで簡単に引用できるようにしてあるサイト、好き。APAPsycNetがいちばん好き。APAスタイルだから、そりゃそうか。引用:https://www.apahotel.com/resort/hakataeki-higashi/access/2:APAスタイル、アパって言い間違えそうになる。そして、どちらも同じつづりであることに気づく。3:iPadminiマジ優秀。ちょうど文書サイズだから読みやすいし持ち運びやすい。最新世代は論文リーダーとしてみた場合過剰スペックもほどがあるけどな。4:有意と優位の違いに気づく。前者は事象として確認できるかどうか、後者は...「共感できる人は廃人確定」99%の人はわからない論文読んでる人あるある。

  • 「動機づけは個人で完結するものではない」勉強しなさい、と注意するだけではダメな理由。

    「勉強をしろ!」という語気の強い発言は、特に受験勉強の関係でよく見る。そうでなくても、例えば宿題を理由に口うるさく言う人もいる。時期を選ばず、「早ければ早いほどいい」「お前以外はみんな努力している」「お前はそんなもんじゃないだろ」とまくしたてる。見ていて、あまり気分のいいものではない。それは脅しだ。圧を用いて行動を強いているに過ぎない。動機付けの観点からすれば、これらの発言は勉強させるには不十分であるといえる。勉強をさせたいのであれば、まず動機が必要だ。つまり、勉強をする理由が必要だ。それが具体的であればあるほど、効力は増す。複数持っていても罰は当たらない。「大学に受かるため」であれば、大学でやりたいことやできること、どんなキャンパスライフを送りたいかを言葉にする。知識を得るでも、サークル活動でも、ちやほ...「動機づけは個人で完結するものではない」勉強しなさい、と注意するだけではダメな理由。

  • マニュアル開発手稿 2023/10/12

    思想順序としては、まずマニュアル作りは何をすればいいのっていう疑問を解消する、「たくさん言語化しろ」というノリで。言語化して整理したところで、いよいよアプリを使ってマニュアルを作るのだが、このときの型式を「下地」「画像」「説明文」の各章で説明し、またこれらの章が先ほどの具体案として提示される。この3つが具体案であることを提示したうえで、実際の作り方について。・マニュアルにできるもの・最初にやること-言語化・言語化したものの整理必要なものとその細かい説明、実際の作り方、失敗したときの対処法(アドバイス)、作るときに心がけてほしいこと(応用)に振り分ける。材料は、ここにあって、どういった状態や形や色をしているかについてまた、間違えやすいものや使えないものについての補記も欲しい。実際の作り方は、ミスや予想外のこ...マニュアル開発手稿2023/10/12

  • マニュアル開発手稿 2023/10/11

    ・「情報量が多すぎて逆に読む気になれない」などの、TAMの知覚された使いやすさの主張の脆弱性を理由とした批評は基本受け付けない。これは確かに作業をわかりやすく伝える目的もあるが、もう1つ、作業の言語化と暗黙の了解の根絶を掲げているため、くどいぐらいの情報が詰め込まれる。・作業工数があまりにも多い場合、これは途中で中断することもできないような作業にもかかわらずこれが生じた場合、Part1、Part2…みたいに分けるか?→審議中・「下地の作り方」の列幅指定の段階にて入力された文字は数値ではありませんと表示される。これは数字を全角入力しているから。半角入力にするよう指示する。・著作権のある文章・画像の引用方法について、実際の作り方に記述する。作ったら、そのシートごとに引用一覧を設ける。・()閉じによる、説明また...マニュアル開発手稿2023/10/11

  • マニュアル開発手稿 2023/10/09

    大学生4人を対象としたパイロットテストを実施。実施期間は10/07~10/09。テスト前にGoogleスプレットシートまたはExcelを扱った経験があるかを尋ね、全員が扱ったことがあると回答した。参加者は開発中である「マニュアルの作り方」の「②下地の作り方」の応用,アドバイス項目含めたすべての行為を行うよう指示された。用いた機材はすべてPC機材(OS不明)である。実施時間は30分である。以下。問題点の列挙を行う。・応用:下地を増やしたいときの貼り付け指示が「列Aの好きなところに」であったために、一行余分に空白を設けたうえで貼り付けた。これは同内容を「列Aの最後の細い空白の次のセルを」と変更したことで対処。具体動作を定義のち一般化しないあいまいな表現はこれを制限する方針を追加した。・応用:下地を増やしたいと...マニュアル開発手稿2023/10/09

  • マニュアル開発手稿 2023/10/07

    「マニュアルの作り方」Ver.4.0現在、目次・必要なもの・下地の作り方まで完成。・画像の作り方①実際の作り方セルクリック、挿入→画像→セル内挿入、挿入方法の選択、画像の選択、挿入。②ヒント→画像を削除したいとき当該セルをクリックし、デリートキーもしくはバックスペースキーで消える。また画像を入れ替えたいときは、そのまま挿入の手順をすれば元の画像は消える。→画像の構成(写真を撮るとき)寄りすぎても周りの情報がなくてわからない。遠すぎても余計な情報ばかりでわからない。焦点を当てるべき事象を一枚一枚定義して、取得。位置関係が重要になる場合は、それを含めたうえで、本対象に焦点が当たるよう構図を調整せよ。好ましいのはGBの上での撮影である。→画像加工ゴテゴテ加工は必要ない、情報過多を引き起こし学習に悪影響。注目して...マニュアル開発手稿2023/10/07

  • 「AC6やりたい」ゲームプレイ時間は加齢とともに減少する傾向にある。

    最近、あんまりゲームできないんですよ。なんというんでしょう?こう、ゲームをしようにも疲れちゃって。ゲームする気になれないというか。ゲーム以外にやることが多くて、ゲームプレイに集中できてない感じがするんです。私も高校生の時は12時間ぶっ通しでマイクラやっていましたが、いま同じことをやれと言われても多分できません。昔は当たり前にできたことが、もうできなくなっている。楽しめなくなっている。正直に言うと、ちょっと悲しかったりします。これが老いというやつですか…。ちなみに、加齢するごとにゲームプレイ時間が短くなるのはある程度一般的にみられる傾向だそうです(Greenberg,B.Setal.2010)。ゲームプレイの主な離脱理由として環境の変化が挙がっているので(遠藤,三上2020)、おそらく進学や就職などの生活環...「AC6やりたい」ゲームプレイ時間は加齢とともに減少する傾向にある。

  • 「説明限界は1つの図に対し1つの動詞」マニュアル開発手稿 2023/09/19

    ・1つの説明文が説明できる領域についての定義。動作を複数回繰り返すとき、その動作の最初の段階で注意すべき点などを説明し、それの子プロセスのように扱う。これ以外の条件において、1つの図に2つ以上の操作(動詞を用いた指示)は行わない。・説明限界は1つの図に対し1つの動詞と暫定的に定義。固有名詞の省略などを防ぐため、文字数制限は行わない。なお、1つの図に必ず1つ動詞を設ける必要がある、というわけではない。「図で言うここの部分を」「こうする」といった説明が生じるためである。・語彙について。特に漢字については小学校学習指導要領の「別表学年別漢字配当表」を参照すること。・作業の分解手順。また細かな指示の詳細、位相による説明の詳細。図を添付するなら「どこから添付するか」「図のサイズや状態の指定」を「一操作ごとに」説明文...「説明限界は1つの図に対し1つの動詞」マニュアル開発手稿2023/09/19

  • 「絶対に真似できない」たった2年で論文を速読できるようになる方法を伝授します。

    これから、たった2年で論文が速読できるようになる方法を紹介します!これさえやればあなたも1本一時間で読めるようになります!しかも20分で読んで40分で要約できちゃう!やることはたったの2つだけ!この技術を体得して、そんじょそこらのコンサルでは手に入らないような知識と哲学的志向を手に入れて、なんかもうウハウハしよう!自慢しまくりだぜ!まず、論文の抄録を500本読みます。次に、論文の本文を500本読みます。以上です。お疲れさまでした。さすがにこれだと雑すぎるので、事細かに解説していきます。石は投げられたくない。最初の段階は動機の獲得。論文を読む理由を言語化します。動機は割と何でもいいです。知識自慢したいとか威張りたいとかでも構いません。勉強しなきゃいけないとか、知識が必要になったとかでもいいです。興味本位でと...「絶対に真似できない」たった2年で論文を速読できるようになる方法を伝授します。

  • 「暗黙の了解を、言語化する」わかりやすいマニュアル作成のためのマニュアル、公開。

    職場のマニュアルが人間にやさしくないつくりをしているので、マニュアルを作りたくなりました。手始めに、マニュアル作成のためのマニュアルを作りました。必要最低限の構成です。「ヒューマンエラーへの対応」「流動性の高い作業の説明」を追加コンテンツとして予定しています。A4紙への印刷を想定しています。画質が荒いですが、ご了承ください。転用はCC-BY4.0に従ってください。マニュアルの目的は暗黙の了解の言語化にある。マニュアルやメモ書きでは記載されないような微細な情報や、言語化しづらい要素の徹底的な具現化を称賛、これを促進するために設計した。設計の際、マルチメディア理論と技術受容モデルを参照した。技術受容モデルには熟達による知覚された使いやすさの効力の無効化が懸念されている。これに対し、マニュアルの徹底的な言語化は...「暗黙の了解を、言語化する」わかりやすいマニュアル作成のためのマニュアル、公開。

  • 「強制させたら、やる気は落ちるさ」ゲーミフィケーションの効力がいまひとつである理由を、簡単に解説。

    今日はゆううつな気分なので、シンプルな話をしたい。内発的動機付けに関するお話の1つに、認知評価理論(CET)というものがある。CETが言うには、人間は自分で自分の物事を決められる時や、自分のやったことがわかりやすく報われる時に、内発的動機付けが上がる。で、自分のことを他人に決められたり、どれだけやってもなかなか報われない時は、内発的動機付けが下がるという。ゲーミフィケーションやゲームベースラーニングという言葉を聞いたことはあるかな?前者はゲームを楽しくプレイできる要因を特定して、それを別のところで活かそうっていう試みのこと。後者は教育目的のゲームを作ったり、ゲームに教育的な意義を持たせて使ったりすること。どっちも発端は「ゲームって人間のやる気めっちゃあげるやんけ、これ利用したいなぁ」って発想から来てるの。...「強制させたら、やる気は落ちるさ」ゲーミフィケーションの効力がいまひとつである理由を、簡単に解説。

  • 「直観的操作の極致」ティアキンがなぜ”歩いているだけでも楽しい”のかを心理学的に解説。

    引用:https://www.nintendo.co.jp/corporate/release/2023/230517.html「ゼルダの伝説ティアーズオブザキングダム」(以下、ティアキン)という作品をご存じだろうか?わかりやすく言うと3日で1000万本売り上げたゲームです。やばいです。あとMetacriticのメタスコア96点ユーザースコア8.1点のゲームでもあります(執筆時点)。えぐいです。私もこのゲームに140時間以上費やしてます。ストリー全然進んでません。まだカメラ機能解放できてません。たすけて。でね、心理学にはプレイヤーの欲求充足尺度(PENS)ってものがありましてね。言ってしまえば、ゲームが楽しい理由は心理学の言葉で説明できるっていうお話なんですよね。言い方を変えれば、すべての"楽しい"には理...「直観的操作の極致」ティアキンがなぜ”歩いているだけでも楽しい”のかを心理学的に解説。

  • 「それは学術的に真剣な話題である」ゲームの利点を認知・動機づけ・感情・社会的側面からざっくり解説。

    ゲームの動機付け・認知的利点を特に調べている私でさえ、教育目的で利用することに多少の違和感というか、嘲笑いを知覚する。どこか、たかが娯楽と思えてしまう。あんなのただ視聴覚を過敏に刺激するだけのおもちゃであり、我々が常日頃から思案する五感にあふれた現実とは格が違う、と。ゲームの利点を知覚するのであれば、まずはそこから払しょくするべきだろう。つまり、遊びや娯楽がもたらす利益について理解する必要がある。古代ローマではパンとサーカスが求められ、1940~50年代には探索行動に関する解像度の低さから動因低減説が棄却されたように、それが人間の発達に欠かせないものである、と。ゲームは特に問題解決・意思決定・実験的行為などの高次の認知能力を用いる代替的な空間として機能する(Annetta,L.A.2008)。現実には不可...「それは学術的に真剣な話題である」ゲームの利点を認知・動機づけ・感情・社会的側面からざっくり解説。

  • 「こいつは簡単に阻害できる」自発的な行動がいかに難しいかを心理学的に解説。

    自発的な行動、特に目的的行動の文脈の内発的動機付けや知的好奇心など、自分自身で目標を立てそれに従い行動することはかなり難しいとされる。「かなり難しいとされる」と曖昧な表現をしたのは、自発的な行動の成功率や維持率を直接計ることがほぼ不可能なため、直接的な証拠を提示できないことに由来する。代わりに研究者らは「どうすれば自発的な行動を妨げられるのか」に焦点を当て研究を行った。そしてその研究成果から組み立てられた環境の現実における再現性の高さや普遍性から、「かなり難しいとされる」と表現するに至った。…つまり、私たちの身の回りにおいてそれを阻害する要素が多いから、自発的な行動は起こしにくいし続けにくいかもね、ってことが言いたいのだ。内発的動機付けについて掘り下げた認知評価理論というお話がある。これを引用する限り、内...「こいつは簡単に阻害できる」自発的な行動がいかに難しいかを心理学的に解説。

  • 「ないない絶対ない、ありえない」結局、ゲームが原因で人間は攻撃的になれるのか?

    画像引用:https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/5331.htmlゲームの暴力的描写・ゴア表現が人間を攻撃的にするという主張は、初期のアーケードゲームが出始めたころから存在した。アメリカのExidy社が発売した「DeathRace」をめぐっての論争は当時の全国紙に載るほどの大騒ぎになった。一部のデモ参加者は筐体を壊すなどして訴えたそう、君らが暴力的になってどうするんだ。FPSや格闘ゲームが流行した1990年代においても同様の論争が活発化した。ストリートファイターとかWolfensteinとかそのあたり。現在この論争がどのように展開されているかはわからないが、「ゲーム暴力的になる」とgoogle検索した結果、1ページ目に表示された記事のほとんどはこの主張を否定する内容の記事だ...「ないない絶対ない、ありえない」結局、ゲームが原因で人間は攻撃的になれるのか?

  • 「まだよくわからない」ゲームによっては男女比が極端になる理由を、心理学の観点から考察。

    「男の子ってこういうのが好きなんでしょ?」というネットスラングがある。これは男性が好きそうなものを紹介するときに添えられる一種のステレオタイプな文章である。ガンダムやアーマードコアに代表される人型ロボットがその代表例である。詳しいことはニコニコ大百科参照。私は一般的な男性だが、特に銃火器に対しては強いこだわりがある。推しはゲパードGM6lynxです、ガスガン出してくれ。このスラングは、心理学的に見たときに結構興味深い題材になる。ステレオタイプ的な価値基準への長期的な暴露による選好の変化とその循環を一言で表しているのだ。「男の子はこういうのが好き」という思い込みが十分に広がっている集団に、新しく男女1組が入るとする。男性がそれに触れたとき「やっぱり男の子は」というリアクションをもって受け入れられ、女性がそれ...「まだよくわからない」ゲームによっては男女比が極端になる理由を、心理学の観点から考察。

  • 「文脈によっては意味が異なることがある」内発的動機付けをもっと知りたい人に向けた小話。

    ひとえに内発的動機付けといっても、参考文献や文脈によりその意味が異なることがある。代表的なものをいくつが挙げる。まず認知的な情報プロセスに焦点をあてたもの。好奇心や探求心といったような"古い動機付け理論"では説明できない活動を説明するための概念としての内発的動機付けがある。この概念では、新規的で、複雑で、驚きと、曖昧さを持つものを理解したいという欲求が内発的動機付けの根源とされた。今はこういったものは知的好奇心といったほうが伝わるかもしれない。いま世間で広がっている内発的動機付けとはかなり雰囲気が違うけど、もともと「内発的動機付け」はこういった概念を指すものだったんだ。この概念は動因低減説に対する痛烈な批判という形でどんどん派生していって…という話は長くなるので割愛。次に目的的行動と手段的行動で区別したも...「文脈によっては意味が異なることがある」内発的動機付けをもっと知りたい人に向けた小話。

  • 「片方は教育にも使うし、片方は教育で使うもの」ゲーミフィケーションとゲームベースラーニングの微妙な違い。

    記録に残る限り、私は2020年10月11日から論文とふれあっている。約三年間休みなしで、論文とふれあっている。つい最近はセチリジン塩酸塩20㎎接種した状態で一日中論文読むとかいう奇行をしていた。ばかですね。結果、7本読んで要約できた。なにしてるんだろう。で、これだけ読んでいると、自分の読み込んでいる分野の研究のクセみたいなのが分かってくる。「自己申告制の質問票を用いたため自分を善く見せようとするバイアスに結果が左右されている可能性がある」という言葉が頻出、というのもその1つ。今回紹介するのもそんなネタの1つ。私が知る限り、ゲーミフィケーション(Deterdingetal.2011)は主に意欲向上の効果が認められ、ゲームベースラーニング(Prensky2003)は主に成績向上が認められる、という傾向がある。...「片方は教育にも使うし、片方は教育で使うもの」ゲーミフィケーションとゲームベースラーニングの微妙な違い。

  • 「理論上、性癖をめっちゃ煮詰めたゲームが一番課金される」プレイヤーの課金動機について心理学的に解説。

    問題。理論上、課金による売り上げが一番伸びるゲームは次のうちどれでしょう。補足として、すべてのゲームが一定以上のクオリティを保証しているものとする。1:課金しないとまともに収集できないゲーム(例:ASPHALT9)2:課金しなくても十分に遊べるけど、課金したほうがもっと楽しめるゲーム(例:原神)3:売上という概念をゴミ箱に捨て性癖を煮詰めたゲーム(例:ブルーアーカイブ)正解は…3:売り上げという概念をゴミ箱に捨てただ性癖を煮詰めたゲームでした。どうでしょう。この問題正解できましたか?できなかったとしてもあなたの回答を監視している公的機関は存在しないはずなので、事前解答を撤回して正解を答えられたことにしても問題ありません。よかったね。はい、理屈と根拠を説明します。プレイヤーの課金動機として最も有力なのは購入...「理論上、性癖をめっちゃ煮詰めたゲームが一番課金される」プレイヤーの課金動機について心理学的に解説。

  • 「だから、失敗を無下にするのはやめてほしい」出版バイアスに対する現実的な反論

    学術界隈には出版バイアスという言葉がある。ものすごく簡単に言えば「思うような成果が得られなかったから、この論文は出さないでおこう」「失敗しちゃった研究は報告しないでおこう」とする傾向や、否定的な結果があまり出版されない事実からくる憂いを指す。学術界隈も成功ばかりではなく、時に失敗や、まったく予想してない結果を得ることがある。心理学の研究ではこうなるだろうと仮説を立ててそれを検証するという流れがあるが、仮説どおりの結果が得られないことがある。仮説通りの結果が得られなかった研究は学術誌等で掲載されづらい傾向にあり、転じて、掲載されないことを理由に失敗した研究をお蔵入りにしたくなる心理的傾向が発生する。これが出版バイアス。「完成品が出るまで絶対に作品は出さない」「未熟なものは出さないし即削除」「どうせ評価されな...「だから、失敗を無下にするのはやめてほしい」出版バイアスに対する現実的な反論

  • 私が今まで裏どりしてきた言説まとめ。右脳型左脳型・ASD・EM菌・在庫管理の4本立て。

    論文と付き合い始めてから3年ほど。ほぼ毎日のように論文を読んでは知見を整理し新しいRQを生み出している日々を送っている。で、こういう日々を送っていることは周囲の知人友人にはある程度認知されている。ときどき、知人友人から「これってどうなの?」と言説の裏どりを頼まれることがある(或いは自分で勝手に調べている)。話題自体は興味深いので乗っかるが、大体は私の専門外のものなのでとても苦労する。専門外だと調べ方すらわからないので。で、調べていくうちにいろいろ面白いことが知れたり、ときどき視野が広がるものもある。なので今回は、ここ最近頼まれたり自分で勝手に調べたりした言説の裏どりについて記述していく。ASDや在庫管理等のちゃんとした話題から、EM菌のような疑似科学ぶった切りまで。ほとんどは私の専門分野ではないため裏どり...私が今まで裏どりしてきた言説まとめ。右脳型左脳型・ASD・EM菌・在庫管理の4本立て。

  • 「直観的操作」とはなにか? 心理学の観点から"やさしく"解説。

    直観的操作について心理学的に1から説明しようとするとだいぶややこしくなるため、今回は図を引用して簡単に済ませる。どれぐらいややこしくなるのかというと自己効力感の定義とか動機付けのダイナミックな変動とかを記載することになる。多分論文読んだほうがはやい。引用:中谷,矢野(1993)図はゲーム(図ではRPGと記載)とプレイヤーのやり取りを可視化したものだ。Inputの部分ではプレイヤーが実際にコントローラとかで入力してゲームを操作している部分。Outputの部分では操作されたゲームが音とか映像とかで出力されて、それをプレイヤーが感じている部分。このInputとOutputのサイクルがゲームプレイのなか絶え間なく続くわけだが、俗に「直観的」と言われる要素はこのサイクルを滞りなく続けるためのテクニックだと思ってほし...「直観的操作」とはなにか?心理学の観点から"やさしく"解説。

  • ゲームだって無理やりやらされたらクソつまらなくなる。

    ゲームが楽しい理由はいろいろあるけれど、その1つに「自由に遊べる」というのが挙げられる。どんなゲームを遊ぶか。いつ、どこで、だれと、どのように、どれぐらい遊ぶか。そしていつ辞めるのか。ゲームの楽しさは、プレイヤーが好き勝手にいろいろ決定できることに一因があるのだ。この好き勝手にいろいろ決定できる権利は私たちが根源的に求めているものとされ、心理学では自律性の欲求(DeciandRyan2000)なんていわれてる。じゃぁ、この自律性の欲求をゲームプレイで満たせなくしたら、どうなるだろう?このゲームをやってくださいと言われる。この時間から、この場所で、指定した人と、、指定したプレイングで、この時間まで遊んでくださいと。途中の離脱は許しませんよと言われる。無理やりやらされたとき、それでもゲームは楽しいものになるの...ゲームだって無理やりやらされたらクソつまらなくなる。

  • 論文を権威的で絶対的なものとして扱うのは正しくない。

    論文を権威的で絶対的なものとして扱うのは正しくない。論文は信頼性・妥当性への厳密さや堅苦しい記述などとっつきづらい要素はあるが、実態はある分野に性癖拗らせた人が執筆した同人誌のようなものである(※個人の感想です)。好きな同人誌の設定を採用しその性癖分野をより発展させるという行為(俗にいう、引用)が盛ん。発展先の解釈が気に入ったら大本が逆輸入するなんてもの日常的。ときどき同人誌に書かれている解釈の違いでマジで殴り合ったりするけど、とても楽しく興味深い産物なのである。少なくとも敬遠するような産物じゃない。それに、心理学という客観性を重んじる分野の論文であっても、書き手の主観はどうしても混じる。同人誌の内容を正しく解釈しないまま引用して言及するなんてこともある。そしてRyanandDeci(2006)みたいに手...論文を権威的で絶対的なものとして扱うのは正しくない。

  • 99%の人はわからない心理学あるある。

    心理学とは言ったけど、正確には「動機付け理論を探求している人あるある」です。釣り見出しで済まない。残り1%の人が共感できるとは書いてないからな。1:「同一化的調整」って打ちたいのに「同五日的調整」になる。別解は「同一科的調整」]引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%B8%E9%96%A2%E4%BF%82%E6%95%B02:実験心理学、統計できないと詰む。最低でも相関係数と有意水準は知らないと論文読めない。3:自己決定理論強すぎ。DeciandRyan(2000)の被引用数バグだろ。4:DeciandRyan(2000)は三本ある。"Self-determination"のやつがSDTの概論で、"whatandwhy"が概念について深掘りするやつで、あともう一本...99%の人はわからない心理学あるある。

  • 山本五十六「やってみせ」には心理学的な裏付けができる。

    昔々、日本には山本五十六という人物がいたという。引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E6%9C%AC%E4%BA%94%E5%8D%81%E5%85%AD私は歴史に疎いので詳細は知らないが、1918年からナショナルジオグラフィックを購買していた海軍大将って事だけ知っている。で、この人はある有名な名言を残している。「やってみせ言って聞かせてさせてみて褒めてやらねば人は動かじ話し合い耳を傾け承認し任せてやらねば人は育たずやっている姿を感謝で見守って信頼せねば人は実らず」よく自己啓発系の記事でお目にかかるこの名言だが、実はここで語られている要素は心理学的に正しいことだったりする。心理学には自律性支援という概念が存在する。平たく言えば指導対象の考えていることや思っ...山本五十六「やってみせ」には心理学的な裏付けができる。

  • 要約:Jennifer Christie Siemens,Scott Smith et al. 2015

    本研究は、アクティブラーニング,反転教室,ゲーミフィケーションの理論的概念を導入し、学生の学業に対する関心とアカデミックスキルの向上を狙う。本研究の序説では認知心理学におけるチャンキングについて触れられている。認知負荷理論に則れば、上記の理論的概念は認知負荷を過剰に与えることがないため、学習効率の向上やより高度な問題解決能力の発育に有利なはずである。また、ゲーミフィケーションを導入し動機付けを与え、学生の学業に対する関心を高める算段である。なお、今回のゲーミフィケーションは自己決定理論に基づき論じられている。本研究は2018年のオーストラリアの大学で行われた。1日3時間を週3日、計4週間配信しこれを1コース分とした。コースの定員を38名とし、36名(男性26名)をデータセットに用いた。コース最終週に自己申...要約:JenniferChristieSiemens,ScottSmithetal.2015

  • 要約:Jennifer Christie Siemens,Scott Smith,Dan Fisher,Anastasia Thyroff and Ginger Killian. 2015

    本研究は、マルチプレイ想定とシングルプレイ想定の2つの異なるゲーム環境が楽しさの知覚にどのような影響を与えるのか、またゲーム内広告への印象は知覚された楽しさを介して影響されるのかを、自己決定理論の観点から調査する。カギとなるゲーム要素はアバター(キャラ)である。特にマルチプレイ想定のゲームでは装飾,ステータス振り分けや表記の仕様などプレイアブルキャラを特色づける要素が多く実装されている。これらは単にフィードバックとして機能するだけでなく、ゲーム内集団での自身の識別、或いは自身が成した成果の他人への呈示としても用いられる。キャラの作成とその呈示はどちらも関連性充足を介した内発的動機付けに影響を与えると推測し、次の仮説を立てる。仮説。1)単なるステータス表記と比較して、キャラが作成できる場合は知覚された楽しさ...要約:JenniferChristieSiemens,ScottSmith,DanFisher,AnastasiaThyroffandGingerKillian.2015

  • 要約:Rob van Roy,Sebastian Deterding and Bieke Zaman 2019

    本研究は、ゲーミフィケーションが導入された教育プラットフォームにおいて学生はバッジをどう捉えているのか、また捉え様がもたらす教育プラットフォーム内行動への影響を探ることを目的とする。これは、SDTに基づくDeterding(2011)による理論的研究をもとにした、ゲーム要素と心理的欲求充足の「一対一の関係」に対し疑問を呈したものである。動機付けの変動には社会的文脈が密接にかかわっており、例え励ましを意味する文章であっても投げかけようにより情報的/支配的に捉えることができると、CETは主張する。また動機付けの志向性を議論するCOTもある。「一対一の関係」はこうした文脈的・個人的な要素が省かれた分析であり、また文脈的・個人的な要素を考慮した分析はほとんどない。ゆえに、本研究は上記2つを目的とした。方法。「Co...要約:RobvanRoy,SebastianDeterdingandBiekeZaman2019

  • 要約:Jonna Koivisto and Juho Hamari. 2019

    この研究の目的は、ゲーミフィケーションの概念に関する現存の文献を包括的にレビューし、情報システム研究分野におけるゲーミフィケーションと動機付け情報システムにおける研究課題を理論化することにある。また、ゲーミフィケーションを対象とした包括的なレビューはHamarietal.(2014)を例に行われており、論文ではそれら知見と対照した見解も記述されている。方法。文献検索はScopusデータベースとAIS電子図書館で行った。Scopusデータベースでは会議論文,記事,出版中の記事,レビュー,書籍の章に限定したうえで「TITLE-ABS-KEY(gamif*)」と検索した。AIS電子図書館では「abstract:gamif*ORsubject:gamif*ORtitle:gamif*」と検索した。検索フィールドは...要約:JonnaKoivistoandJuhoHamari.2019

  • 要約:Katharina Jahn,Bastian Kordyaka,et al.(2021)

    本研究の目的は2つ。フィードバックとアバターデザインの違いは、心理的欲求充足と継続的利用にどのような影響を与えるのか。ゲーム要素を導入したタスクにおいて、3つの心理的欲求の関係はいかようなものか、である。研究の動機について、筆者はゲーミフィケーションと心理的欲求の具体的な組み合わせに関する知見がまちまちであることを述べた。筆者曰く、ゲーミフィケーションが心理的欲求の充足をもたらすことを示す知見は数多いが、どのゲーム要素がどの心理的欲求を充足しているかという具体的な議論は少ないという。また、ゲーミフィケーションの場における特定の心理的欲求の充足による他の心理的欲求への影響がまだ明らかになっていないとも主張する。仮説は以下の通り。1)プレイアブルキャラと参加者の類似度が高い場合、参加者はキャラに対する高い識別...要約:KatharinaJahn,BastianKordyaka,etal.(2021)

  • 要約:Chris Perryer,Nicole Amanda Celestine,Brenda Scott-Ladd and Catherine Leighton.(2016)

    この論文は、ゲーミフィケーションによる生産性向上についての知見を整理し、利用の最適化を試みるものである。ゲームは明確な実用的目的がないにもかかわらず、強力な内発的動機付けを促進させる。自己決定理論や目標達成理論などの動機付けの理論はそうしたゲームの特性を説明しようと試みており、ゲーミフィケーションはそうしたゲームの特性を活用しようとする試みである。が、ゲーミフィケーションは2010年代より(GBL等を含めれば2000年代より)本格的に探究が始まった分野であり、サンプルサイズや測定方法の問題など新興分野では珍しくない問題に悩まされている。Hamarietal.(2014)によるメタ分析では、ゲーミフィケーションによる介入の効果は、ゲーム要素の仕様と利用者の特性に大きく依存することを発見した。仕様への依存につ...要約:ChrisPerryer,NicoleAmandaCelestine,BrendaScott-LaddandCatherineLeighton.(2016)

  • 要約:Paula Bitrián,Isabel Buil and Sara Catalán.(2021)

    本研究は、モバイルアプリに組み込まれたゲーミフィケーションが心理的欲求充足に及ぼす影響について調査したものだ。本研究におけるゲーミフィケーションはHofackeretal.(2016)の「顧客価値を高め、価値創造行動を促すことで購買意欲やサービスを強化するためのゲーム要素」と定義づけている。また、今回用いる理論的枠組みは自己決定理論を基にしたSSMMD(Theself-systemmodelofmotivationaldevelopment)(Connell,1990)を用いる。SSMMDとは環境変数が個人の動機付けに影響を与え、促進/阻害する過程を説明するものである。これを踏まえ、以下の仮説を立てた。ゲーミフィケーションにおけるバッジ,リーダーボード,ポイントなどの目標要素、協力,競争,SNS機能などの...要約:PaulaBitrián,IsabelBuilandSaraCatalán.(2021)

  • 要約:Rob van Roy and Bieke Zaman. (2019)

    この論文は、ゲーミフィケーションが自己決定理論における心理的欲求の充足に与える影響に焦点を当て、質的混合研究を行ったものである。自己決定理論の観点から分析する限り、頻出のゲーム要素であるバッジ,ポイント,リーダーボードはどれも外発的動機付けである。(意思決定の因果が自身ではなく外部評価に移行するため)外発的動機付けは内発的動機付けを阻害する作用があり、これが先人の研究において「ゲーミフィケーションは効果的ではない」と評価された一因ではないかと推測。また、ゲーミフィケーションの導入環境がゲーム要素の効果を左右するという知見もある。これを踏まえ、ゲーミフィケーションが心理的欲求充足に与える影響を議題とした。方法。自己決定理論とvanRoyandZaman.(2017)を参考に(1)12週分の習慣目標(2)71...要約:RobvanRoyandBiekeZaman.(2019)

  • 要約:Yuanyue Feng,Zihui Yi,Congcong Yang,Ruoyi Chenc and Ye Feng. (2022)

    この論文は、協調型クラウドソーシングにおけるゲーミフィケーションの効果を探るべく、自己決定理論を基盤に説明・構築することを目的とする。クラウドソーシングは競争型と協調型に分類できる。競争型は優秀者への報酬を動機付けとしてアイデアを募るのに対し、協調型は参加者が集団で問題解決することを奨励する。協調型はさらに投票型と創造型に分類することができ、前者は参加者に同質の質問で評価してもらうことで問題解決を行い、後者は参加者にある程度の権限を与え問題解決或いは知識の蓄積を図る。筆者は「競争型に関する考察は盛んだが、協調型に関する考察は量質共に劣る」と主張。これを理由に、協調型クラウドソーシングに導入されたゲーミフィケーションに注目、これの参加者の意欲の動向を調査するとした。推論を基に以下の仮説を立てた。ゲーミフィケ...要約:YuanyueFeng,ZihuiYi,CongcongYang,RuoyiChencandYeFeng.(2022)

  • 要約:Deci and Ryan. (2002)

    自己決定理論とは、人間の能動的で統合的という生得的な性質と、生得的な性質を促したり妨げたりする環境変数との間の相互作用を主な議題とする、弁証法的な理論体系である。 自己決定理論は3つの基本的な心理的欲求を定めている。この心理的欲求は生得的なものと置き、欲求充足は健全な発達に不可欠としている。その証明として生物学的な弁証も試みられている。自律性は自身に関する意思決定権の掌握に対する欲求である。自身が成すことへの一定以上の意思決定を、また意思決定のための情報を要求する。補足として、自律性と依存性は必ずしも対立するものではない。考慮ののち「この人に身を委ねる」ことを意思決定した場合、対象の自律性は充足されているとみなす。有能性は自己効力感と類似の概念であり、効力期待に対する欲求である。対象の能力や成果が直接反映...要約:DeciandRyan.(2002)

  • 要約:Michael Sailer,Jan Ulrich Hense,Sarah Katharina Mayr and Heinz Mandl. (2017)

    2017年に発表された論文は、自己決定理論の枠組みを用いゲーミフィケーションの動機付けの仕組みを説明すること、またゲーミフィケーションを実験的に調査しゲーム要素が心理的欲求充足に与える影響を具体的に説明することを目的とした。仮説を立てる際、ゲーミフィケーションの定義を整理。Werbach(2014)の指摘を踏まえ、ゲーミフィケーションを「ゲームに一般的にみられる要素を用いて、非ゲーム的文脈をよりゲームらしくするプロセス」と定義した。実験方法はオーダーピッキングのタスクを再現したアプリを開発、これを用いた。対照群と実験群1,2を用意し、参加者をランダムで振り分ける。対照群を含めたすべてのグループにポイントを適応、実験群1にはバッジ,リーダーボード,統計要素を適応、実験群2にはアバター,ストーリー,チームメイ...要約:MichaelSailer,JanUlrichHense,SarahKatharinaMayrandHeinzMandl.(2017)

  • 「ゲーム心理学」のための理論的枠組み(2022/10/03)

    この記事についてこの記事は本動画シリーズ「ゲーム心理学-ゲームのヤバさを心理学的に考察-」の理論的枠組みを説明するものです。かみ砕いて言えば、どういった基準でゲームを心理学的に考察しているのかを列挙している記事になります。また記事の性質上「どういった要素がゲームの面白さを決定するか」などの問いに答えられる構成にもなっています。理論的枠組みの構成は順次加筆・修正していきます(タイトル横の日付が更新日時です)。一番新しい加筆・修正箇所は青文字で記載されています。  概要本動画シリーズ「ゲーム心理学-ゲームのヤバさを心理学的に考察-」は主に自己決定理論を用いて、ゲームのヤバさ、すなわち幸福感や没頭を引き起こしているであろうゲームの要素を抽出、考察するものとする。 ゲームの定義[1,6]ルールによって定義され、定...「ゲーム心理学」のための理論的枠組み(2022/10/03)

  • 年齢によって充実感を感じる事柄に差があるのか?

    最近、友人にこんなことを聞かれた。「発達段階別の充実感の内容の違いについて調べてほしい」「例えば、幼少期はひたすら欲求充足されるのが充実だとか、児童期はちょっとした困難に立ち向かうことが充実だとか、青年期は長期目標を据えて行動するのが充実につながるだとか」「上記はただの例えでしかないから、実際はどの発達段階でも充実感の構造は同なのか」「あるいは、年齢によって充実感を感じる事象に差があるのかが知りたい」今回はこの疑問に答えていく。  前提として、人間は生まれつき『自律性』『能力』『関連性』といった心理的欲求の充足を求めている。欲求はそれぞれ、自律性は自身に対する意思決定権の強さを、能力は主に自己効力感をどれだけ感じているかを、関連性は自身の行動などにどれだけの人が関わり反応を返してくれるか、を指す。これらの...年齢によって充実感を感じる事柄に差があるのか?

  • それでも支配的な教育を続ける理由

    「総合的な学業成績で見た場合、問いかけなどの手段を用いて生徒に意思決定の機会を与えるような自律支援的な教育は、板書をひたすらに写すだけのような支配的な教育よりも優位である」上記は約20年前から確認されている事実であり、現在もそれを証明・補足する文献が多数存在する。現在、この知見への反応は支持的なものが大半である。2015年の教員へのアンケートでは、グループワークを提供する教員は小学校で8割、高校で5割程度という結果が得られたという。小学校においては、観察や実験・プレゼンテーションなどを提供する教員が多数派にあるという。また、教員の9割が「子供が困ったときに相談に乗る」と回答しており、子供の意志を尊重する姿勢が多数派であることが伺える。また、暗記作業に機械などの代替物が使用できるようになり、単に知識を習得す...それでも支配的な教育を続ける理由

  • 「経験中心の履歴書」と主張した人の特徴を、教育心理学の観点から考察。

    今週の頭ぐらいからか、「学歴中心の履歴書から経験中心の履歴書へ[1]」なる主張を中心に議論が展開された。私がSNSを視聴した時は、経済格差と学歴の構造を理由とした批判が殆どだったが。学歴やら経験やらといったお話は教育心理学にも関係があるため、本来なら私も「経験中心の履歴書が一般化したときに発生する災禍」といった真っ当な批判を投稿するべきだろうが、真っ当な批判はすでに成田悠輔さんをはじめとした方々が構築されているのでそちらを参照してほしい。この記事では、当該議論を違う視点から考察する。「経験中心」を主張した人が、なぜこのような主張をするに至ったかを、教育心理学の観点から考察していく。 まず、「個人が持つ唯一無二の経験。いつからでも、自分の頑張り次第で結果も生み出せて[1]」の文脈より、主張した人にとっての経...「経験中心の履歴書」と主張した人の特徴を、教育心理学の観点から考察。

  • 大前提として、意欲関心は健康な人が扱えるものと定義されている。

    WHOは健康の定義を「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態」としている。単に病を患っていないだけでなく、心身共に充足され、幸福に生きる権利を基本的人権として説いている。ここで説かれている健康は、意欲関心のあり様を主に説く自己決定理論の大前提とほぼ同じ内容である。自己決定理論は大前提として、意欲関心は健康な人が扱えるものと定義しているのだ。 自己決定理論は、人間を「活動的で成長志向で、自身の精神を統一させたく、また自身を社会に適応させようとする前向きな生物である(DeciandRyan2000)」と仮定している。また、人間は自身の成長のための活動や学習に喜びを見出せるよう作られているという。この仮定は自己決定理論が生得的...大前提として、意欲関心は健康な人が扱えるものと定義されている。

  • 「私はこれをすべきだ」と「私はこれをする理由がある」は別物だ。

    「私はこれをすべきだからやる」「私はこれをする理由があるからやる」どちらも対象自身の意思決定の表れである。ゆえに、この2つは混在されがちだが、実際は天地ほど違う。 前者は自分に対する指示や強制に近い文脈だ。「私はこれを「すべき」だから」と対象は自身に行動を課している。「すべき」に適切な説明や目的がつくことはなく、「すべき」は主に本人の不安や罪悪感を解消するべく発生する。言い換えれば「これをしなければ不安だから、罪悪感が生まれるから、やる」となる。行動の理由が明確ではなく、目的も定まらずただやることによって不安を解消するその実態は、他人に「いいからやれ」と強制されているのと同じである。これ即ち、他人に強制された時とほぼ同じ現象と症状が発生する。「すべき」ことがちゃんとできるか、緊張やプレッシャーに押しつぶさ...「私はこれをすべきだ」と「私はこれをする理由がある」は別物だ。

  • 「あなたのためを思って」という言葉の有害さを教育心理学の観点から

    「あなたのためを思って言っている」この言葉に心当たりはないだろうか。私はいくつかある。言われたことも、誰かが言われた現場も。言ったことはまだなかったはずだ。もしこの言葉を聞いたことがないなら、ぜひとも知ってもらいたい。もしこの言葉を聞いたことがあるなら、このお話にある程度納得できるだろう。もしこの言葉を言ったことがあるなら、繰り返さないように思い返してほしい。この言葉は、思う以上に私たちを蝕むもので、人になにかを教える時の一例として使えるものだから。 まず、「あなたのためを思って言っている」という言葉が使われる現場を想像する。 基本的に、この言葉は対象になにかを学習させたい指導者によって発せられる。ここで言う学習とは「行動の変容全般」を指す広域的な言葉であり、事の発端は指導者が「わたしの要求通りの行動をし...「あなたのためを思って」という言葉の有害さを教育心理学の観点から

  • 現代の学力格差は、学習意欲と情報社会によってもたらされる。

    教育学、あるいは生涯教育を語る場において、「強い人」と「弱い人」という概念が存在する。「強い人」と「弱い人」は自律的な学習ができるか否かを軸とした分類であり、・前者は自律的な学習が営める人で、周囲が何もしなくても基本的に学びまくる、学習意欲に富んだ人。・後者は自律的な学習が困難な人で、何らかの理由でそれが不可能である、学習意欲以前の問題を抱えていることが多い人。---を指している。そして、「強い人」と「弱い人」の学力格差は大きい。自分からどんどん学ぶ人と、周りが支えても動かない可能性がある人。差は歴然であり、当然のように思える。 この格差がある状況で、あるものを導入してみる。「誰でも無条件に扱える、知識が大量に詰まった場所」だ。わかりやすいものはWikipediaだろうか。Wikipediaは誰もが無料で...現代の学力格差は、学習意欲と情報社会によってもたらされる。

  • 完璧なゲームなど存在しないように、完璧な教育もまた存在しない。

    いわゆるコンピューターゲーム(以下、ゲーム)は、登場以来、私たちを熱中させ続ける魅力的な娯楽だ。熱中できる理由は心理学の言葉で説明することができ、端的に言えば「一貫性のある非現実的な場所が舞台で」「目標や勝利条件が明確であり」「達成までの道のりや勝利したことで得られたものがすぐにわかり」「選択の余地と自由度がある」からゲームに熱中できるのだ[参照]。また、これらは熱中しやすいゲームを作るための要素と言い換えることもでき、この要素を欠かせばたとえゲームであっても魅力を感じづらくなる。 教育心理学を学ぶ人たちは、これを学習に転用しようと企んだ。ゲーム以外の文脈で、ゲームのように熱中させることができるかを思案した。俗にいう、ゲーミフィケーション[参照2]である。ゲーミフィケーションとは"ゲーム的に表せる"意欲発...完璧なゲームなど存在しないように、完璧な教育もまた存在しない。

  • 「インク切れボールペン」を用いた、ゲームを活かした学習の一例。

    例えば、君がいまボールペンで勉強していたとしよう。メモ帳か、あるいはルーズリーフか。容赦なく教材に書き込むか、大胆に壁に記入するか。書く場所は不問とする。書く場所がどこであっても、書き写したい文面、メモしておきたい文言、勉強したことで気づいたことなどをボールペンで書いていれば、ボールペンのインクは等しく消費され、そして切れるはずだからだ。長く勉強することで、あるいは濃く勉強することで、ボールペンのインクはより速く消費されていく。インクの残量は、差し引くことで分かるインクの消費量は、たいてい目に見える形で表される。残量がわからなければ、いつ替えのボールペンを買えばいいのかがわからなくなるからだ。勉強を続けたい君にとっては、インクの残量は頭の片隅に置きたい情報のはず。 その頭の片隅に置きたい情報に、付加価値を...「インク切れボールペン」を用いた、ゲームを活かした学習の一例。

  • ゲーム要素を学習に転用する「ゲーミフィケーション」について解説

    いわゆるコンピューターゲーム(以下、ゲーム)は、登場以来、私たちを熱中させ続ける魅力的な娯楽だ。熱中できる理由は心理学の言葉で説明することができ、端的に言えば「一貫性のある非現実的な場所が舞台で」「目標や勝利条件が明確であり」「達成までの道のりや勝利したことで得られたものがすぐにわかり」「選択の余地と自由度がある」からゲームに熱中できるのだ[参照]。また、これらは熱中しやすいゲームを作るための要素と言い換えることもでき、この要素を欠かせばたとえゲームであっても魅力を感じづらくなる。 ゲームに熱中できる理由は、特に教育心理学のうち意欲関心を中心に言及する自己決定理論の言葉で説明されることが多い。上記の説明も、自己決定理論による説明をかみ砕いたものだ。ここで、教育心理学を学ぶ人たちは考える。「ゲームに熱中でき...ゲーム要素を学習に転用する「ゲーミフィケーション」について解説

  • なぜ私たちはゲームに熱中できるのか? 教育心理学の観点から解説。

    いわゆるコンピューターゲーム(以下、ゲーム)というものは、登場以来、私たちの興味を掴んで離さない魅力的な娯楽としてあり続けている。母親に「ゲームばっかりやってないで」と叱責されても、ゲーム脳と揶揄されてもその意欲は枯れることなく、やがてそれはゲーム実況のようなゲームを題材とした副次的なコンテンツやe-Sportなどのある種の文化を生み出すまでになった。2018年の国内ゲーム市場規模は1.8兆円程度で、年々何千億円単位で広がっている。経済的にも無視できない1つの産業となっているゲームは、一定以上のアイデンティティを確立しているように見える。 ゲームは実に多くの人間の興味を掴んできた。教育心理学を学ぶ人たちも、例外ではない。ただその、彼らは食らいつき方は一般的なそれではなく、「なぜ私たちは、ゲームに熱中できる...なぜ私たちはゲームに熱中できるのか?教育心理学の観点から解説。

  • 「教育とは、金の暴力である」ことを、授業形態の観点から解説。

    現在試行中の教育形態の1つに、反転教室というものがある。大雑把に言えば、授業と課題の役割を逆転させるというものだ。 今までは基本的に、授業内で基礎知識を習得し、その復習や一部応用を授業外の課題で行っていた。反転授業は、基礎知識の習得を授業外の課題で行い、その復習や応用を授業内で行うというのだ。また、反転授業ではオンラインで課題を提供・取り組めるように設計する、いわゆる『開かれた教室』を採用することが多い。いつでもどこでも課題に取り組むことができ、通話を通じた生徒同士の意見交換や教員への質問も可能。オンライン課題の提供形式に縛りはなく、動画を用いることもあるようだ。そして、今まで基礎知識習得のために使用していた授業内時間を、習得してきた基礎知識の復習・補填とそれを用いた応用的学習に割り振る。化学であれば実験...「教育とは、金の暴力である」ことを、授業形態の観点から解説。

  • 誰かに指示して行動させたいときに気を付けるべきこと。

    誰かに指示して行動させたいときに気を付けるべきこと。行動させたいのであれば、行動させたい理由をできる限り説明すること。説明不足は意欲減退を招くのだ。 私たちは、なんらかの理由を持つか、あるいは指示をもらうかして行動を起こしている。これらの理由や指示は俗に動機と呼び、持ち方・もらい方を基軸にいくつかの段階に区別できる。なんの理由も持てず、もらえすの場合は非意欲(アモチベーション)。誰かから指示をもらい、その指示にあまり理由を見いだせない場合は外的規制。誰かからの指示を「それをしなければいけない」と解釈した場合は内的規制。誰かからの指示を「やっておく必要がある」と理解した場合は統合的動機。誰かからの指示を「私のためにも重要な機会だ」と納得した場合は内在化。誰からの指示もなく「ワタシ、コレ、スキ」と発生した場合...誰かに指示して行動させたいときに気を付けるべきこと。

  • 「勉強を強いれば成績は上がる」のは、本当だろうか?

    ※この記事は「1つのテストで図れるほど、教育は甘くない。」の補足です。リンク先の記事の閲覧を推奨します。 かなりの問題点が挙げられるハイステークステストだが、ではなぜ米国政府はこれを良しとしたのだろうか?考えられる理由の1つに「少なくとも成績の向上が見込めるから」が挙げられるだろう。 参考文献の限り、「学校のテスト平均点を上げるために、成績が芳しくない生徒をテストに参加させない」などの不正を行わなかった学校は、ハイステークステストの導入後、テスト指定科目においてテスト平均点が向上したという。また、ハイステークステストの導入後数年間は指定科目において急激な平均点向上が観測されたというのだ。 ただ、この結果には懐疑的にならざるを得ない。平均点向上が、本当にハイステークステストによって促されたかものなのかが確定...「勉強を強いれば成績は上がる」のは、本当だろうか?

  • 意欲を無視した教育方法に、意欲が湧く道理はない。

    ※この記事は「1つのテストで図れるほど、教育は甘くない。」の補足です。リンク先の記事の閲覧を推奨します。 参考文献の限りでは、ハイステークステスト、特に2001年の落ちこぼれ防止法により制定された米国の教育策は勉強の持続を損ねる。これは、特に意欲など動機に関する観点からの提唱である。勉強の持続は学力向上に直結するため、この観点から見た場合、ハイステークステストは最悪学力低下につながるといえる。 理由を列挙する。まず、ハイステークステストは基準となるテストの点数次第で報酬or罰則が決まるものであり、勉強の持続に欠かせない対象生徒の学習意欲とその発育を担保するものではない。また、ハイステークステストという重荷は統制的動機、つまり対象生徒が持つ意欲とは無関係に与えられるため、学習意欲の維持が難しい。ハイステーク...意欲を無視した教育方法に、意欲が湧く道理はない。

  • テストの注力を強いられれば、テストのために動くようになる。必然的に。

    ※この記事は「1つのテストで図れるほど、教育は甘くない。」の補足です。リンク先の記事の閲覧を推奨します。 ハイステークステスト、特に2001年の落ちこぼれ防止法により制定された米国の教育策は、基準となるテストの点数次第で、教員の給与や在職期間、生徒の高校卒業の可否が決定されるという代物だ。その特性上、ハイステークステストは教員や生徒にとって自分の人生を揺るがしかねないほど比重の重たいものとなる。なので、学校側はカリキュラム(教育過程)の変更を、生徒側はテストへの注力を余儀なくされる。ここまでは、学力向上を狙う米国政府の思惑通りである。 が、ここで誤算が生じる。参考文献の限りでは、学校や生徒が行ったのはあくまでもハイステークステストへの対処であり、学力全体の向上を目指したものではなかったというのだ。まず、テ...テストの注力を強いられれば、テストのために動くようになる。必然的に。

  • 1つのテストで図れるほど、教育は甘くない。

    教育に限らず、多くの場面においてハイステークステストは適応されている。ハイステークステストとは、ある基準(テスト)を用いて対象を計り、一定以上の成績を収めたものには合格や報酬が、そうでないものには不合格や罰則が与えられるというもの。わかりやすいものは運転免許証等の国家資格の試験だが、今回は特に2001年の落ちこぼれ防止法により制定された米国の教育策を取り上げることとする。 これは(日本で言う)中学高校を対象としたもので、基準となるテストの成績を学校単位で集計、参加生徒の平均値が一定以上であれば教師などにボーナスが入り、一定以下であれば教師に追加講習などのペナルティを課すというものだ。また、俗にいう高卒認定試験も導入され、これに合格しなければ高校を卒業することができないものとした。諸々の提唱で生徒の成績低下...1つのテストで図れるほど、教育は甘くない。

  • やる気は継続的な学習を促し、成績を向上させる。

    基本的に、学業成績とやる気(意欲・関心・好奇心)には強固な関係があり、やる気の高さは学業成績の高さとしてあらわれる。が、そのあらわれ方には少しクセがあり、少なくとも「できる、できる、君ならできる!」と鼓舞するだけではやる気も、やる気による向上も見込めない。やる気は成績に対する即効かつ即応的な向上策ではなく、その育成と発現にはかなりの時間とコストを要する。 なぜ時間とコストがかかるのか。それは、やる気が成績向上に関与するまでの経路に理由がある。逆引きで答えよう。まず、成績向上のためには継続的な学習が必要となる。次に、継続的な学習は無から発生するわけではなく、何かしらの理由、それも対象が納得するような理由が必要となる。また、対象が納得する理由は外部から与えるよりも、対象自身が見つけ出したほうがはるかに速い。な...やる気は継続的な学習を促し、成績を向上させる。

  • 子供の宿題へのやる気を沸かせる、確実な方法と論理。

    グループディスカッションや論理的かつ丁寧な受け答えなどの、生徒の自律性を尊重する形式の授業は生徒の授業外の勉強のやる気を上げるという。この効果は生徒の授業・学業に対する態度や生徒が知覚する自身の能力の高さを介したものであり、平たく言えば勉強に対する考え方が変わったことで授業外の勉強が促されたという。また、上記の生徒の自律性を尊重する形式の授業は、学問に対する考え方が洗練された教員に多く採用されているという。ここでいう学問に対する洗練された考えとは「知識は絶対的なものではない」「知識は何度も学ばなければ理解できない」などを指す(=洗練された認識論的信念)。 これに近しい論調として、子供の宿題に対するやる気は、その親がもつ宿題への考え方・態度とそこから現れる学習支援の質にも委ねられるというものがある。基本的に、学問...子供の宿題へのやる気を沸かせる、確実な方法と論理。

  • 教員の勤務年数は、生徒の出来と関係がない。

    生徒の成績に対する影響を基準にした場合、教員の勤務年数は無視していいパラメータとなる(取り上げるまでもない、小さな効力ということ)。教員の知能・認知能力・学歴・学位・免許のグレード・学習時間・給与も同上である。教員が生徒の成績にもたらす影響において、上記の理由は説明にならないという。 逆に、教員教育の内容は無視できないパラメータである。これは、一律の教員教育を受けた教員間の成績差分が主に教師自身や生徒による小さなもの(例えばThomasJ.Kaneetal2006)なのに対し、異なる教員教育を受けた教員間の成績差分が教師自身や生徒によるものでは説明できないほどに大きい(LindaDarling-Hammond2000)ことから考察されたものである。具体的には、日本でいう教養学部で必修となるような科目を履修してい...教員の勤務年数は、生徒の出来と関係がない。

  • 『やればできる!』は万能ではない。

    『やればできる!』という考えは、つね一定数の指示を得てきた。「やれば成功するんじゃなくて、やれば成長できる。ベストを尽くすことができるんだ」挑戦に対する前向きな姿勢と成長を第一とする不屈の精神は、普遍的に効果があるものだと信じられてきた。『やればできる!』という考えが、結果的に成功につながるとも考えられ、焚きつけの言葉として多用された。 同じような概念は心理学にも存在し、これを成長マインドセットと呼称する。成功は才能ありきであり成長などありえないとする固定マインドセットより好ましく、こちらも学業成績に大きな効果をもたらしていると言われてきた。なんでも、成長を第一とすることで失敗という結果に囚われることなく、むしろ失敗を糧にして学習することができ、結果的に成績につながるのだという。 こうした理論構築もあり、最近で...『やればできる!』は万能ではない。

  • 社会心理学は、競馬・競輪から始まった。

    集団による個人への影響を考察・実験する社会心理学(心理学的社会心理学)。その始まりはTriplettが1898年に行った実験であるとされているが、このTriplettの実験は、競馬や競輪におけるひとつの疑問が発端となっている。 疑問を簡潔に言うと「競争の有無によるパフォーマンスの差分の原因とは」となる。スポーツ的な競争を前提としたとき、他人と競い合った時のほうが張り切る人、逆に一人黙々と精進できる人、どちらをとってもあまり変化しない人という、あからさまな違いが発生する。当時の競馬や競輪でも同じことがいえるらしく、ひとりでタイムアタックに臨むよりも、他人と競い合ったほうが明らかにいい記録が出せる選手がいたという。「なぜ競馬や競輪において、相手がいるいないでタイムが変わってくるのか」速さを求める業界において、こうい...社会心理学は、競馬・競輪から始まった。

  • 【社会的促進】なぜ私たちは、電車の中で踊りださないのだろう?

    心理学の用語の1つに、社会的促進というものがある。これは、他者の存在が与える個人への影響を指す言葉だ。その効果を発揮させるために他者が特別なにかをする必要はなく、ただ居るだけで個人に影響を及ぼすのだという。 影響は、基本的に抑圧として現れる。また、それと同じぐらい促進としても現れる。表れの違いは、個人が抱える課題の難度によるという。いわく、他者の存在による影響は、個人が何らかの課題をこなすとき、課題が難しければ抑制として、課題が簡単であれば促進として現れるというのだ。 表れの違いの原因はいまも議論されているが、説の1つとして「他者からの評価を気にしているから」が挙げられている。課題が難しいとき、つまり課題の達成が確証されず失敗の可能性があるとき、評価を下してくるであろう他者の存在が気がかりとなり、遂行が抑制され...【社会的促進】なぜ私たちは、電車の中で踊りださないのだろう?

  • 政治家も、印象で選ばれることがある。

    私たちは、顔や印象などのわかりやすいもので決断しがちである。その特性は、政治においても発揮される。いくつかの文献を参考にする限り、男らしい面立ちや身振り手振で激しく訴えるなどの要素を持つ政治家は比較的選ばれやすかったという。また、自己中心的で「結果のためなら犠牲を厭わない」と公言できちゃうような、いわば過激な性格をもつ政治家も選ばれやすかったという。外交的な性格も同上である。 面立ちや身振り手振りは「自分は誰よりも優秀である」という印象を含み、過激な性格と外交的な姿勢はこれをためらわない要因になる。また、そういった印象に触れた私たちは「この人なら何とかしてくれるだろう」といった漠然とした期待を抱くのだ。 ただし、そうして選ばれた政治家がいい人かどうかとは別問題である。1920~40年代のヨーロッパが、その参考に...政治家も、印象で選ばれることがある。

  • お金というものは、思う以上に幸福に結びつかない。

    お金というものは、思う以上に幸福に結びつかない。お金は価値の変動こそあれど基本的には定量的なものであり、定量的なものは経験などの定性的なものと比べて幸福に作用しないのだ。主な理由としては、幸福そのものが定性的であること、飽きや慣れが発生することである「ただ欲しいものは手に入れるまでが一番楽しい」という体験が、その裏付けとなる。 なので、稼げている/稼げていないを幸福の軸にするのはお勧めしない。もし、幸福の軸を稼げている/稼げていないに合わせた場合、「私の時給2000円なんだけど、今カフェでゆっくりしているこの時間があったら4500円は稼げてた。なんてもったいない」せっかくの休日が台無しになってしまう。一応、稼げている/稼げていないが頭の中にある生活はお金稼ぎに対するやる気を上げるが、やはり幸福につながるかどうか...お金というものは、思う以上に幸福に結びつかない。

  • 所得の再分配の是非から知る、私たちの我儘さ。

    「あんなに稼いでいるのに、なんで脱税なんてするんだろう?」「そんなに稼いでいるのならば、ちょっとぐらい分けてくれてもいいじゃないか」現在、そう考える人が多数派だろう。だが、もし自分がそういわれる立場の人になったとき、つまり多大な資産を抱える富豪にでもなったとき、私たちはそういった問いに、なんと返すのだろうか。  私たちは、私たちが思う以上に自分本位に考えている。表れはあらゆる形で顕在するが、その1つに、税金や資産の再分配に対する考え方が挙げられる。具体的に言うと、「自分は周りよりも稼いでいる」と考える人は再分配に否定的であり、「自分は周りよりも稼げていない」と考える人は再分配に肯定的なのだという。 再分配というのは、所得であれ資産であれ格差が発生した時に、その格差を縮めるために行われるもの。基本的には、"稼いで...所得の再分配の是非から知る、私たちの我儘さ。

  • 「好きなことで、生きていく」のはやっぱり難しい。

    私たちは基本的に、熱意だけで物事を成すのは難しい。「私はこれがやりたい」の一点張りは、やりたいことの中に潜むやりたくないことに直面した時にすぐに折れる可能性があるからだ。また、環境の変化により選り好みが変わり、熱意の対象も変わってしまうことが考えられる。「好きなことで、生きていく」と意気込み動画配信者を目指すのは結構だが、企画・撮影・編集などの裏作業にも熱意が働くかは不明瞭であり、その熱意がずっと続くかの保証はどこにもない。一朝一夕で物事を成すのが難しい現代の場合、熱意だけで物事を始めるのは少々リスキーかもしれない。  仮に、熱意がきちんと続き事をある程度成せてきたか、あるいは熱意以外の拠り所ができたとしよう。その場合、次に直面するのは競争である。つまり、数字などの外的指標ではかられる、その指標で他人と競い合う...「好きなことで、生きていく」のはやっぱり難しい。

  • 頭を使うことで認知能力の衰えは防げる、とは言いきれない。

    いくつかの文献を参考にする限り、知的な活動が認知能力の老衰を食い止められるとは言えそうにない。 現状、健常な高齢者を対象とした研究で、過去に就いていた職業の専門度と認知能力の老衰の傾向にはある程度の関係性がある、とするお話はいくつか存在する。いわく、専門性が高く"頭を使う"ことが多かった職業に就いていた人は老衰のスピードが遅くなる、というのだ。これに類似するものとして、読書や議論などのいわゆる"頭を使う"作業をする人は老衰のスピードが遅い、なんて主張もある。こういったお話では、たいてい「刺激の多い人生と出来事が、私たちを老衰から守ってくれる」「能力は使わないと衰えていく、使えばその分老衰を遅延できる」なんて論調を展開する。この論調自体はあり得そうだし、実際に効果アリとする結果も出たという。 まぁ、"頭を使う"作...頭を使うことで認知能力の衰えは防げる、とは言いきれない。

  • 記事執筆の低迷と、自己治療の失敗。

      参考文献BruceP.Hermann(1984)UnsuccessfulSelf-TreatmentofaCaseof“Writer'sBlock”:APartialFailuretoReplicate.NicholasF.Skinner,ArthurH.Perlinietal.(1985)TheUnsuccessfulGroup-Treatmentof“Writer'sBlock”.GeoffreyN.Molloy(1983)TheUnsuccessfulSelf-TreatmentofaCaseof“Writer'sBlock”:AReplication.KennethR.Olson(1984)UnsuccessfulSelf-Treatmentof“Writer'sBlock”:AReviewofth...記事執筆の低迷と、自己治療の失敗。

  • サクナヒメと農業:ゲームを用いた学習と自己決定理論から導く稲作へのやる気

    ※画像は実際に私が携わった水田私は地元で(まがいなりにも)稲作をしている。また農業だ自然だと論議する場も経験したことがある。その類の人々との交流も少なからず持っている。ゆえに私のところには、時々「耕作放棄地の活用案を求む」といった問いや議論のお誘いが降ってくる。農家でも農学専攻でもないのに、不思議な話である。 で、経緯はおいておくが、先日もその類の問いを投げかけられた。「若者に稲作への興味を植え付けるにはどうすればいい?」「稲作に興味を持っている人の、そのやる気の維持には何が必要だ?」年代層問わず農業従事者が減少傾向にある現状、従事者を増やすための策についてはいつかは問われるだろうなと思っていた。「……私に問うのは、いわゆる人選ミスというものでは?」と心うちで思いつつも、その問いに答えることにしよう。 なお今回...サクナヒメと農業:ゲームを用いた学習と自己決定理論から導く稲作へのやる気

  • 顔にある特徴を持つ人は、学業において好成績を残す。

    「顔が好みだから」なんて理由で恋仲や推しを決めたり、怪訝な面立ちから「あの人はきっと怖い人だ」と判断したり、笑い顔を不快に感じ「作り笑顔をするんじゃない」と指摘したり、無精ひげ生えた人に「だらしない人だ」という印象を抱いたり……。 挙げればきりがないほどに、私たちは顔で人を判断しがちだ。そして私たちは、その判断をもとにその人との接し方を考えている。笑顔が嘘くさくないだとか、ひげが生えててだらしないだとか。論的根拠もなく、ただ"顔から感じ取った印象"で動くことは少なくないだろう。「ただし、イケメンに限る」なんて揶揄は、その最たる例ではないだろうか。   顔から感じ取った印象は、私たちの判断にあらぬ介入をする。 その表れの1つに、学業成績への影響が挙げられる。ディベートなどの審査員に判定が一存されるテストにおいて、...顔にある特徴を持つ人は、学業において好成績を残す。

  • サイコパスに感情はあるのか。

    サイコパスとひとこと聞いた時、あなたはどんな人となりを思い浮かべるだろうか。なにを強調し、なにを根拠にするかで主張に差分は生まれるだろうが、おおかた「冷酷で、残酷で、人の痛みに共感できず、むしろすすんで痛みを与えるような」「まるで感情なんてないかのような」振る舞いをすると考えるだろう。あるいは「道徳やモラルなんて一切なく、ただひたすらに権力や支配欲求を満たすために」振る舞う、だとか。 先に言っておくと、それらの思い込みはある程度当たっている。経験則的にも、統計でみても、サイコパスな人は自身の利益のために合理的に動くことができ、一般的な人であれば道徳やモラルが阻むような行動を容赦なく実行できるという。わかりやすい例は水素水やシリカ水の販売業者になる。科学的には無益なものを、口上で付加価値をつけそれなりの額で「科学...サイコパスに感情はあるのか。

  • 運動がなかなか続かない理由を、やる気の視点から解説。

    「健康になろう」「体力をつけよう」として運動を始めるが、三日坊主を体現しただけでそれを止めてしまう。「今度こそ」と意気込んで買ったエクササイズ器具を数日使って物置にしまい、また器具を買っては部屋の隅に押し固めたりして、掃除の日にまとめて捨ててしまう。そんな経験はないだろうか。 健康のため。体力のため。誰が聞いても疑いようがない大義名分を、私たちはなぜか達成できないでいる。なんなら、私たちはその大義名分を果たそうとしたとき非常に嫌がるはずだ。なんでこんなことをしなきゃいけないのか、もっと楽な方法はないのか、疲れた・つらい・もう嫌だ、といった具合に。この"非常に嫌がる"理由と、達成できないわけを、やる気の視点から解説していく。  結論から言うと、体力のためと大義名分を掲げた時、私たちはその大義名分からやる気が発して...運動がなかなか続かない理由を、やる気の視点から解説。

  • "楽観的になれるコツ"をするためのコツ

    「性格や気の持ちようによって業績は上下する」のは事実だ。性格や気の持ちようは自身が持つ能力の方向性を決めるための要因であり、能力が発揮されるかされないかは気分ひとつで決まることもしばしば。認知能力ひとつとっても、誠実さが堅実な業績を導き出したり好奇心が美学の追及を促したり、あるいはサイコパスであれば犯罪のためにそれを行使することだってありうる。物事を悲観的にとらえていれば千載一遇のチャンスを危険と判断して退けたり、逆に無責任なまでに楽観的であればゼロに近い確率を「100%だ!」と誤認して自滅することも考えられる。 能力は業績と一番に関係している要素だが、その関係を保つ要素として一番に上がるのが性格や気の持ちようとなる。なので、業績の向上において楽観的かそうでないかも焦点に充てるべき事柄である。 ではここから、楽..."楽観的になれるコツ"をするためのコツ

  • 食わず嫌いがなかなか治らない理由

    『食わず嫌い』口にしたこともない食べ物を嫌いだと決め込むこと。転じて、物事に対して偏見を理由に嫌うことを指す。 恐らく、読者のほとんどはこの現象を経験したことがあるだろう。食べ物であれば口にせず、事柄であれば聞く耳を持たず、そこに正当な理由があるかと問うても顔を強張らせるだけ。「そんな偏見を持っていても意味なんてないぞ」「偏見を持っていたら失う利益のほうが大きいぞ」と、周囲は善意を持ってその偏見を修正しようとするが、当の本人は周囲に対し、いや、偏見の修正という行為に対し強い不愉快を感じることだろう。放っておいてくれ、余計なお世話だと、偏見の修正を遠ざけようとすることもあるだろう。 周囲が主張するように、偏見を持っていても誤った判断を下しやすくするだけで基本的に不利益だが、なぜ私たちは偏見の修正に不快感を感じるの...食わず嫌いがなかなか治らない理由

  • "物思いにふける"ことが望ましくない理由と、その対策

    「人間は起床時間の半分、物思いにふけている」とする知見もあるように、私たちにとってなにかを考えるという行為は非常にポピュラーなものだ。晩御飯なに食べたいとか知人は今なにしてるのだろうとか。将来何になりたいとかそれを成すためには何をすればいいのだろうとか。或いは、急に俯瞰的になり現状の自分をただ責めたりあら捜ししたり。もしくは、世界観と物語を作り自分だけの世界を楽しむのか。物思いのあり様は非常に多様だ。が、物思いにふけるという行為は基本的にネガティブな気分をもたらすという。  その理由の1つに、"物思いがひまで退屈なときに起こりうるものだから"が挙げられる。まず、私たちの脳には『自身に意識を向ける』『外に意識を向ける』選択をする部位がそれぞれ存在し、お互いがシーソーのように作用しあいその傾きから意識の方向を決める..."物思いにふける"ことが望ましくない理由と、その対策

  • "失職したからヤケ酒する"描写はなぜ起こるのか

    「失職したからヤケになり浴びるように酒を飲む深夜」なにか嫌なことを忘れようとアルコール類に浸る様は、こんな雑な描写でも伝わるぐらいには浸透している。そして、この類の描写は何かしらのきっかけがないと終わらないことも、大体の人は納得するだろう。 嫌なことを忘れようと酒瓶を開ける行為は嫌なことに対する対処でもなんでもなく、ただの逃避の表れ。嫌なことの解消にはつながらないため、どれだけ浸ろうが満足しないのだ。であれば、酒を口にするのをやめ嫌なことに対処しなければ事態は好転しないのだが。恐らく、この状況に陥った人のほとんどがそれを感情的に拒否するだろう。この『感情的な否定』のメカニズムとは、なんなのだろうか。  基本的に、私たちは理想と現実があまりにもかけ離れている場合その比較からやる気を失ってしまう。もともとテストで6..."失職したからヤケ酒する"描写はなぜ起こるのか

  • ささやかな励ましと気遣いは、人の命を救うほどに強い

    励ましは、意外なほどに私たちに活力をくれる。運動会で懸命に体をはっている時にかけられる「がんばれ」の声援。受験勉強に打ち込んでいる時に添えられる一切れのケーキ。残業でくたびれ背筋伸ばしたときに渡される同僚のおごりのコーヒー一杯。そんな他人からのささやかな気遣いを嫌がる人は、ほとんどいないだろう。 なぜ私たちは、励ましから活力を得られるのだろうか。理由の1つに、私たちはエゴを抱え、自分の期待を満たすために生きていることが挙げられる。その証拠として、2つの例を紹介する。 あなたがいま、何かしらの発表会で登壇していたとしよう。この場合、ほとんどの人は「失敗するのがこわい」という緊張を抱えることだろう。経験したことは少なくないはずだ。この緊張は失敗することで被害を被る聞き手のことを思ったものではなく、失敗することで自分...ささやかな励ましと気遣いは、人の命を救うほどに強い

  • 不快な企業案件とそうでない宣伝との差とは

    YouTubeやTwitterなどのSNS媒体が多くの人に認知されるようになったころ。企業がSNS媒体で人気を集めるインフルエンサーに依頼、自社の製品を宣伝してもらうという、いわゆるインフルエンサーマーケティングが本格的に講じられるようになった。身近な言葉でいえば、企業案件や『プロモーションを含みます』が該当するだろう。 このインフルエンサーマーケティングの国内市場は2020年時点で317億円程度と推算されており、SNS全体で行われているマーケティングに対する割合は実はそこまで大きくない。が、それでも"企業案件を受けたインフルエンサーが違和感少量含有の宣伝を行う"イメージを共有できるぐらいには周知されてきた。  それと同時に、宣伝に対する違和感の含有量に嘆く声もちらほらと上がるようになった。「いつも接客業に関す...不快な企業案件とそうでない宣伝との差とは

  • 結局のところ、私たちは見た目で相手を選んでいる

    『かわいい』『カッコいい』人に群がりができるという現象は、今も昔も変わらず起きていると思う。私も『かわいいから』『カッコいいから』という理由でお互いを選び『性格が合わなかった』ことを理由に別れた男女をそれなりに見てきた。彼らは自身の経験から「人間は外見じゃなくて中身が大事」と口をそろえて言うが、そんな彼らの次のお相手は、Tinderで見つけた『カッコいい/かわいい』プロフィールの持ち主だという。 こんな事例が散見される世の中だ。「結局見た目なんだよなぁ!」とやさぐれる気持ちもわからんでもない。……まぁ、そう拗ねる人も推しを『カッコいい/かわいい』で決めていたのだがな。 文献を参考にする限り、私たちは合コンなどの交際相手を決める場において知能や寛容さではなく見た目で選ぶ傾向にある。これはいわゆる"出会い系"と称さ...結局のところ、私たちは見た目で相手を選んでいる

  • ネガティブ・否定的な動画がよく再生される理由とは

    「〇〇で悪事を働く一部始終を完全公開します」「〇〇が逮捕された件についてすべてお話します」「昨日〇〇にブチギレて帰った話」このような、決してポジティブで平和的とは言えないような題名がつけられた動画は、彼らが投稿するそれらに比べ頭1つ抜けた再生数になることが多い。それはつまり、その動画が比較的より多くの人の目を引き付けているわけでもある。 ではなぜ、そういった動画が、比較的より多くの目を引き付けるのだろうか。そしてなぜ、私たちはネガティブ・否定的な動画を再生してしまうのだろうか。 結論から言えば、ネガティブな題材を取り上げた動画が嘘偽りのないものであると捉えてしまうことが理由の1つとして挙げられる。 ※画像は以前私が投稿した動画のサムネ。動画はこちら。基本的に、一貫性があり嘘偽りやごまかしがなく、読みやすくて見や...ネガティブ・否定的な動画がよく再生される理由とは

  • SNSで話題を作る人の割合は、全体の1%程度である

    インターネット関連の技術発展により、TwitterやYouTubeなど誰もがあらゆる形で意見や話題を発信できるようになった。旅中で撮影した観光名所やゲーム・アニメの口コミ、船の煙突をピックアップした画像集や明らかな偏向が加わった政治的主張までもが、個人で行えるだけのものになったのだ。読者が今閲覧しているブログも、個人が気軽に運営しているものとなっている。 で、いま私たちの身の回りにはボタン1つで動画投稿もできちゃうような環境があるわけだが、実際のところどれぐらいの人がインターネットで意見や話題を発信しているのだろう。「手軽に発信できるのだから、周りのみんなも好き勝手発言してるでしょ?」文献を参考にする限り、そういう訳ではないらしい。 2014年に発表された論文によると、医療系のSNSにおいて70%以上の投稿が上...SNSで話題を作る人の割合は、全体の1%程度である

  • なぜゲームは宿題よりも楽しいと感じるのか

    「ゲームばっかりやってないで、宿題やりなさい!」この言葉が一度も飛ばない家庭はないといえるまでに、この手の指摘は常日頃から飛び交っている。私もこの手の指摘を理由に何度殴られ、何度ゲーム機を取り上げられたことか。しかしなぜ、私はなぜここまでされても宿題をやらないのか、宿題をやる気にならないのだろうか。同時に、なぜ私たちはゲーム機を取り上げられてもなお、ゲームがやりたくなってしまうのだろうか。 私たちはなぜゲームは宿題よりも楽しいと感じるのか。その理由を導き出すために、まず自己決定理論というものを説明させてほしい。 自己決定理論とは人間のやる気・モチベーションに関する理論であり、「どうすれば人間のやる気は湧くのか」を主に取り扱っているお話である。この自己決定理論によると、個人がやる気を出すためには『自律性』『関連性...なぜゲームは宿題よりも楽しいと感じるのか

  • なぜ"サイコパスな人"が社会にとって良い行いをするのか。

    2018年に発表された論文によると、功利主義的判断はその被害者に同情するかどうかで施行されるかが決まるという。 まず、功利主義的判断とは『最大多数の最大幸福』を最優先する判断基準で、大多数の幸福や社会単位の利益のために少数の犠牲を厭わない選択のことを指す。「制御不能のトロッコが直進し続ければその先にいる5名が犠牲になる。あなたが分岐器のスイッチを切り替えることで5人は助かるが、切り替えた先にいる1人を救うことはできない」という、俗にいうトロッコ問題のような状況でスイッチを切り替えるという行動が例として当てはまる。そして、例に挙げたトロッコ問題のように、功利主義的な判断が求められる場面では少なからずリスクが付きまとうため「スイッチを切り替えた人たちは、きっと『スイッチを操作することで得られる社会の損得』を必死に考...なぜ"サイコパスな人"が社会にとって良い行いをするのか。

  • "人気のある女性"を誹謗中傷する女性の心理とは。

    1985年に発表された論文を参考にする限り、思春期の女子は拒絶からの嫌悪感を理由に人気のある女子を妬むことがあるらしい。 まず、思春期の女子は達成や成功よりも人気を重視する傾向にあるらしく、彼女たちはテストの成績や部活の成果よりも流行りものや魅力でどれだけ人を引き付けられるかに意識が偏重しているという。そのため思春期の女子は対人関係のトラブルで比較的自尊心が傷つきやすく悩みの種として挙げってるが、それは別のお話。 で、その人気を得るために彼女たちは「流行りものを身にまとう」などの施行のほかに、「人気のある女子と友達になる」という戦略を立てる。どうやら、人気のある女子に集う人々との面識を持つことで自分も人気者になれる、人気のある女子の仲間になることで自分も彼女と同じように振舞える、という考えを彼女たちは持つらしい..."人気のある女性"を誹謗中傷する女性の心理とは。

  • 能力・性格に次ぐ、成績向上の第三の柱とは。

    ーーー好奇心の赴くままに論文を読み続けてると、ときどき『読んだ論文が大学教材に引用されている』なんて現象が起こる。同じ頻度で『教材が引用している論文を検索する』なんて現象も起こる。それが果たしていいことなのかどうかはわからないが、心理学の成績はまぁまぁいいほうなので良しとしよう。 2011年に発表された論文によると、知的好奇心は能力・性格に次ぐ成績向上の第三の柱なのだという。知的好奇心とは物事を知りたい・知識を得たいという純粋な欲求であり、高ければ高いほど身の回りにある細かい事象にも興味を持てるようになる。で、発生した欲求を解消するために自発的な学習や情報収集が促され、結果的に成績向上につながるらしいのだ。欲求が高ければ高いほど自発的な学習の質量も増えていき、より高い成績も望めるということになる。また、自発的な...能力・性格に次ぐ、成績向上の第三の柱とは。

  • 「男性は女性よりもビジネス本を3倍好む」だけじゃない、性別と本の好みの関係。

    2017年に発表された論文によると、性別と本の選り好みに強調するだけの関係性はなく、男性だからと言って極端にビジネス本を好むわけでも、女性だからと言って極端に文学作品を好むわけではないという。今回の研究では、欧米を中心とした読書家に対するアンケートを実施し『本の好み』と『実際に読んだ本の傾向』が収集された。前者の本の好みには男女ともに大きな差はなく、小説を好む層か小説と実用書どちらも好む層に大半が割かれた。実用書を好む層は男女ともに全体の10%未満だった。後者の実際に読んだ本の傾向だが、実用書を読む男性の割合は同系統の女性の割合よりも3倍大きいものとなった……が、実用書を読む男性の割合は男性全体の20%未満であり「男性だからビジネス本を好む」わけではないことが示唆された。一応、男性は女性よりも実用書を好む傾向に...「男性は女性よりもビジネス本を3倍好む」だけじゃない、性別と本の好みの関係。

  • 一部の認知能力は、20歳を超えても成長することが判明。

    2009年に発表された論文によると、人間の顔面認識能力は30歳前半まで向上し続けるらしい。具体的には、標準となる顔を記憶したうえでテスト用の顔を閲覧、見慣れない顔を識別しその正誤を問うテスト(詳細はケンブリッジ顔面記憶テストを参照)のスコアと年齢の相関を計ったところ、スコアは10~20歳頃に急に上昇し、31~32歳でピークを迎えるという。その後の衰えは緩やかなものであり、この研究の限りでは16歳の顔面認識能力と65歳のそれはほぼ同等だったという。また反転させた顔と名前の認識能力テストも同時に行われ、こちらのピークは23~24歳頃がピークであると求めだされた。なお、今回の研究の範囲内では能力・記憶能力・参加者が抱えるバイアスはテストスコアの要因にはならないという。ただし、今回の研究で行われた実験のうち1つは子供の...一部の認知能力は、20歳を超えても成長することが判明。

  • PDCAは無意味? 数百の科学的知見を分析して判明した驚愕の事実とは。

    3件のメタアナライズ(大量の論文を分析してより正確な知見を求めだした論文)を参考にする限り、現状、PDCAやPDSDを代表とした作業効率や成果を上げるための策に『科学的根拠がある』とはいえない。だがこれは決してPDCAやPDSAが無意味で前時代的なものであるという主張ではなく、単にPDCAやPDSAなどを取り扱った論文のほとんどが非常に粗雑なつくりをしているから『科学的根拠を示せない』のだ。 なお、非常に粗雑なつくりの内訳は……・PDCAやPDSAに含まれる行動1つ1つの定義が成されていない。PDCAに含まれるPlanとはいったい何なのか、どのような計画がそれに該当するかなどの定義づけが行われていない。・通常、こういった策は何回か繰り返すことでその効果が発揮するとされているが、その条項をガン無視し計測を短期間し...PDCAは無意味?数百の科学的知見を分析して判明した驚愕の事実とは。

  • 集団浅慮が発生する8つの条件。

    2006年に発表された書籍は、なんらかの原因を抱えたグループに発生する集団の調和を最重視する思考が集団浅慮であると定義づけたうえで、その特性と発生原因を8つに分けた。なお、本書籍の考察は1986年1月28日に起きたチャレンジャー号の事故と、そこから派生した知見を基に組み立てられている。 1:グループが成した成功体験への過信。グループ全体が失敗の可能性から目を背け、「俺たちのグループは特別だから、きっと今回も上手くいく」と言いふるまうこと。2:グループの主張に対する盲信。グループやメンバーである自身の判断は絶対に正しいものであると思い込み、それを打破することに罪悪感や罰則が伴う状態。3:集団的合理化。何らかの理由で欠陥が生じた場合、グループ総出で欠陥が生じた理由を合理化すること。「俺たちは確かにそれを防げなかった...集団浅慮が発生する8つの条件。

  • 通知音に過敏すぎるあの子は、スマホに依存しているから過敏なわけじゃない。

    2015年に発表された論文によると、携帯への依存と対人関係への依存は別物であり、2つの依存の間に直接的な関係はないという。具体的には、社会不安(人の目を極端に嫌う状態。対人恐怖症)と依存症傾向は携帯の使用頻度をより多いものにしたが、社会的つながり(特に、対人関係)と携帯の使用頻度には特にこれといった関連がなかったという。研究では「携帯をバックに入れている」「携帯が目の前にある」「携帯を試験官に預けた」状態で携帯の使用制限をかけたところ、「携帯が目の前にある」条件下のみ不安が増大した。社会的つながりが携帯の使用頻度に影響するのであればつながりが最も制限されている「携帯を試験官に預けた」状態のときに不安は最大になるはずだが、そうはならなかったのだ。このことから、もともと依存傾向にある人は携帯にも依存しやすいが、対人...通知音に過敏すぎるあの子は、スマホに依存しているから過敏なわけじゃない。

  • 「経験がモノを言う」のは嘘。仕事の業績に関する、身もふたもない事実とは。

    1996年に発表された論文によると、一般的な認知能力(IQなど)は仕事における個人の業績と一番深い関係にあるという。これは、知能が学業成績において圧倒的な予測変数であるという知見(SophievonStumm2011)と類似したものになる。また、認知能力がもたらす業績向上と経験・熟練がもたらす業績向上を比べた場合、認知能力がもたらすそれのほうが圧倒的に高いという。特定の職場に就いたばかりであれば経験・熟練は業績向上の要因として挙がるが、特定の職場で勤務を続ける限り経験・熟練の重要性は小さくなっていき、認知能力の差で業績が開いていくという。また、経験・熟練がもたらす物事の予測精度は認知能力がもたらすそれよりも低いものであるとの記述もある。 こうなる原因として、論文内では「認知能力が成長や学習速度に深くかかわってい...「経験がモノを言う」のは嘘。仕事の業績に関する、身もふたもない事実とは。

  • 「自己啓発を好んで読む人は、社会不適合者である可能性が高い」⁉

    2005年に発表された論文によると、自己啓発やビジネス書などの物語の形を成していない文書を好む人は、社会不適合の度合いが高いという。具体的には、SFやファンタジーなどの物語の体を成している文書の暴露と共感能力と社会的能力(調和など)のスコアは正の相関を示したが、自己啓発やビジネス書などの物語の形を成していない文書の暴露とは負の相関を示したという。この相関の原因として、論文内では「疑似的な社会体験」を挙げている。いわく、SFやファンタジーなどの文書を読むためには物語を形作る世界観や設定をきちんと理解することや、物語で繰り広げられる対人関係や対話をシミュレートすることが必要で、それらを組み立てる過程で共感能力や社会的能力が刺激され、結果的に文書を読むことで欠落するはずだった現実での対話で得られる効果をある程度補えた...「自己啓発を好んで読む人は、社会不適合者である可能性が高い」⁉

  • ただ言葉をかけるだけではいけない。落ち込んでいる人を励ます科学的なコツ。

    2009年に発表された論文によると、相手をポジティブな気分にさせたい場合、単にポジティブな言葉を投げかけるのではなく、相手にポジティブな状態を想像させるような問いかけをするといいらしい。従来の研究で「特定の対象にポジティブ/ネガティブな情報を投げかけ続けると、対象は投げかけられた感情に染まる」という認知バイアスに関する現象が確認されている。だが『自己ギャップ』という概念があるように、抑うつや低い自尊心を抱える人はたとえポジティブな言葉を投げかけられても、ポジティブな言葉と自身を比較し、また反芻思考に陥るという知見もある。今回の研究では、ポジティブな言葉をどう投げかければネガティブな気分が改善するかを探るため、「ポジティブな言葉を投げかける」条件と「ポジティブな状態を想像させるような言葉を投げかける」条件の結果を...ただ言葉をかけるだけではいけない。落ち込んでいる人を励ます科学的なコツ。

  • ただ歩くだけでは上がらない。創造力を高めるための1つのポイント。

    2022年に発表された論文によると、創造性は外的要因により縛られることがない状態に身を置くことで高まるという。具体的には、「制限なく歩き回る」「歩行範囲に制限をかけて歩く」「制限なく座る」「一点をじっと見続けながら座る」という4つの環境に分けた場合、制限がない状態は発散的思考(新しいアイデアを思いつくために割り当てられる創造性)のスコア上昇と相関があったという。また発散的思考が強化されたときとそうでないときの瞬きの回数も計られたが、これといった相関は発見されなかったそうだ。要するに、仕事で新しいアイデアを求められたときは、人目のつかない場所に移動して歩いたり座ったり涅槃したりパラパラを踊ったりすればいいということである。多分何しててもOKだと思われる。なぜなら重要なのは行動そのものではなく、周りの目などの「行動...ただ歩くだけでは上がらない。創造力を高めるための1つのポイント。

  • 創造性を高めてアイデアをいっぱい出したいのなら、〇〇をすればいい。

    2014年に発表された論文によると、歩行は創造性を高め、またその効果は歩行後もしばらくは残るという。具体的には、創造性は突発的にアイデアを生み出す能力である発散的思考とアイデアをくっつけてより洗練されたものを生み出す能力である収束的思考の2つに分けられるのだが、歩行は発散的思考のスコア上昇と大きく相関し、収束的思考のスコア上昇と弱く負の相関を示したという。また歩行環境はたとえ『真っ白な部屋』と『野原』という対照的な空間で施行したものを比較してもあまり差はなく、また歩行によるスコア上昇の相関は歩行後もしばらくは残ったという。要するに、仕事についている時に新しいアイデアを求められてに困っている時はその場をぐるぐる歩き回っていればいい……というわけだが。研究では発散的思考と歩行の相関を求めることはできたのだが、そのメ...創造性を高めてアイデアをいっぱい出したいのなら、〇〇をすればいい。

  • いじめっ子気質の子がモテやすい理由を、進化心理学の観点から解説。

    2012年に発表された論文によると、いじめっ子気質の思春期の子は男女ともに性的成熟が早い傾向にあったという。具体的には、流行への乗っかりや他人への攻撃をわざとあらわにして人目を引こう(=合意的人気を得よう)としている思春期の子は性的成熟が早く、内向的で被害者意識の強い思春期の子は性的経験とは最も遠い位置関係にあったという。また他者への攻撃手段には性差があり、男性は直接的な、女性は間接的な攻撃を好んで利用するという。性的接触の絶対数は地位や人気の高さによって上昇するという知見と今回の結果を組み合わせるに限り、性的成熟の始まりでもある思春期の子たちの一部は、攻撃性をあからさまに表現することで性的競争で優位になろうとしているのではと予測された。進化心理学的な視点では「先生に反逆的になっている俺様カッコいい!」というよ...いじめっ子気質の子がモテやすい理由を、進化心理学の観点から解説。

  • 「私ももう年だから」なんて言えなくなる、学習意欲に関する科学的知見。

    2011年に発表された論文によると、認識論的概念(学習に関する考え方や思い込み)は年齢が高くなればなるほど、またよりよい教育を受けるほど洗練されたものになるという。具体的には、加齢は「学習能力は生まれつきのものではなく、努力によって改善できる」という信念の保持と正の相関を持ち、また受けた教育の質・量の高さは「知識は複雑怪奇で常に変化し続けている」という信念の保持と正の相関を持っているという。また、理科の実験のような予算の都合上頻繁にやらないような質の高い授業を実施することで、年齢や性別関係なく享受側の認識論的信念が洗練されたものになるという知見(AnneMarieMConley2004)もあり、このことから認識論的信念は資源と時間がある限りいくらでも研磨可能であるということが推測できる。認識論的信念の洗練は学習...「私ももう年だから」なんて言えなくなる、学習意欲に関する科学的知見。

  • 同調圧力に関する5つの知見。

    1955年に発表された論文は、たとえ人工的に作られた些細なものであっても、集団からの同調圧力による個人の判断の歪み様は大きいものであるとし、その主張を理由とともに5つに分けた。まず、Asch(1955)でも示された通りの状況に置かれた場合、個人の判断は集団の行動によって歪められる。たとえ集団の選択が間違っていようと、個人は「集団から逸脱している」ことを理由に判断を修正するのだ。次に、同調圧力が匿名制によってガードされている場合、個人はその判断を変えることはない。たとえ集団からの物理的な視線があったとしても、決断の匿名性が保たれている場合はある程度圧力を無視できる。また、「自分の判断に身をゆだねる」と言葉にできるような固い意志は、同調圧力をある程度防いでくれる。が、周囲が個人の意見を直接見ることができ、容易に批評...同調圧力に関する5つの知見。

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、バリン3gさんをフォローしませんか?

ハンドル名
バリン3gさん
ブログタイトル
ばりん3g -教育を心理学の観点から解説-
フォロー
ばりん3g -教育を心理学の観点から解説-

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用