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デジタル社会に向けてメンバーとの議論を通じ知りえたこと、内外の識者から学んだことなど、様々な観点から問題提起します。よりよい社会に向けた議論のたたき台になればと考えています。

Kazuo Adachi
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2021/05/18

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  • インディペンデント・ワーカーの重要性

    オケージョナル・ワーカーの増加 今日、インディペンデント・ワーカー(組織に属さない独立した労働者)が新しい働き方として注目され、その数が急速に伸びつつある。米国でインディペンデント・ワーカーを支援するMBO Partnersの年次レポートによると、2021年時点で5,110万人にのぼると言われており、米国内での年次推移も2015年を境に急速に伸びていると報告されている。 とりわけ“Occasional(労働時間を設定しないフリーランサー)”が2020年の1,580万人から2021年に2,390万人と51%も急増していることは特筆すべきだろう。なぜなら、一定の勤務時間のなかで働くという従来の労働観から、自らの能力や経験が生かせる仕事をこなして結果を出すという業績中心の労働観に大きく転換しつつあることを示しているからである。言うまでもなく、労働も需要(雇用者)と供給(求職者)の市場によって成り立っているため、オケージョナル・ワーカー(フリーランサー)へのニーズが労使ともに高まっていることが背景にあると考えられる。 労働観が変化した背景 こうした労働観が変化しつつある背景について、私なりに考察したい。 組織が一定の業績を上げることは、古今東西あらゆる組織にとっての究極的な目的であることには変わりがない。その意味から、時間給などに盛られる勤務時間(拘束時間)をベースにした賃金制度は、雇用者が働いた時間を一律に計測することで賃金を公平に支払う上での一手段であったと考えられる。時間給という手段に基づく業績(目的)達成には、決められた時間内でどれだけの生産性が挙げられるかが問われ、そのためには雇用者にモチベーション向上を求めることはもちろんのこと、仕事をいかに効率的に割り振るかといったマネジメント技法が強く求められる。 こうした管理技法は、産業革命以降長く続いた大量生産体制のような大量の業務をこなすには極めて有効な手段でもあった。その象徴がヘンリー・フォードが自社の自動車工場で行った生産手法や経営思想である“フォーディズム“で、大量生産時代の成功モデルは“科学的管理法”と呼ばれ20世紀半ば頃から全世界に普及し、現代組織論のバイブルにもなった。“かんばん方式”として有名なトヨタ自動車の生産方式(トヨティズム)もこうした考え方を基本としている。つまり、生産工程を細分化し、それぞれの組み

  • <新連載>デジタル時代の組織とは?

    組織とは? 18世紀の産業革命以降、人格を持たない“組織”という存在が社会に大きな役割を果たしてきた。組織の存在価値が高まったことで、人間という自然人と同等の権利・義務を与える必要性から“法人”という言葉も生まれた。 産業革命から260年余り経た今日、組織は人間の進化の数千倍ものスピードで巨大化し、いまや組織に従属することで自らの地位や立場を証明するまでに至っている。言うなれば、人間がモノを効率的に生産し流通・販売するための道具であったはずの組織がいつの間にか自己増殖を始め、組織の最大の目的である存続(Going Concern)を果たすために、そこに属する人間までも支配するに至ったと言えるのではないだろうか。 組織に属する人間は、多くの場面で組織論理に忠実に動こうとするが、より俯瞰的に観れば、それはあたかも熱心な信者のように、自分の価値観を組織に委ねることで得られる地位や立場に執着しているようにも映ってしまう。日頃は善良で親切な人でも、一旦組織に入ると人が変わったように非情で傲慢な態度で相手に接することは往々にしてある。虫も殺せない気弱な人でも、軍隊という組織に入れば大量殺戮すら辞さない人間に変貌することだってある。自らを魅力や能力に欠けた人間と劣等心を抱えた人でも、組織というパワー アシスト スーツを身にまとい一定の地位や立場が得られると、人が変わったように自信満々のナルシストに変わり、立場の弱い人に居丈高に振る舞うこともある。 逆に、自己と組織の狭間で生じる相克によるストレスが高じ、うつ症状、さらには自殺にまで追い込まれる人もいる。そこまで追い詰められる前にさっさと組織を抜ければ良いのにと客観的な観察者は思うが、一旦組織を抜ければ社会との接点が断たれるような恐怖もあり、容易に組織を離れることができない。 このような例は枚挙に暇がないが、これらはみな組織に従属して生きる人間模様を象徴しているように思えてならない。シンギュラリティが現実化しAIによる人間支配は心配しても、すでに組織という非人格的存在に支配されていることに思いを馳せる人は少ないだろう。こう考えると、組織という存在は260年もの間に人間の潜在意識のなかに潜り込み、現代人の価値観のなかに血肉化されたと言っても良いかもしれない。 <集団で活動する人間には組織の存在はごく自然な本能である>と考える人もおられるだろう。

  • 韓国の”現金領収書”に学べること

    前のブログでも紹介したが、韓国では所得税を納めている勤労所得者とその家族は、総給与額の20%を超過する現金使用額の20%が、500万ウォンを限度として年末調整時に所得控除の対象となる『現金領収書』という税制度がある。この制度を導入した目的は店舗等における売上実態の確実な把握にあり、韓国の税収増に大きく貢献したと言われている。 仮に、わが国で同様の制度を適用した場合、どれほどの控除額になるのかを試算してみた。 2019年度家計調査年報によれば世帯平均消費額は389万円で、このうち住居費・光熱費・医療費・教育費・交通費などを除く物販などの一般消費額はおよそ236万円になるようだ。 これに対し、世帯平均年収は約552万円で、年収の20%といえば110万円になる。つまり、これを超える一般消費額は126万円となり、控除額はこの20%つまり一世帯当たり25万円が控除される計算になる。韓国では500万ウォン(約50万円)を上限としているが、上限まで控除される世帯は少ないだろう。 わが国の世帯数はおよそ4900万世帯のため、全世帯で約12兆円の税額控除となるようだ。 さて、12兆円の控除(歳入減)に見合うだけの収税効果が期待できるかが問われることになるが、3つの観点から検討してみる価値はありそうに思える。 1)法人税捕捉の確実性向上 いましきりと問題となっているネット販売に伴う所得把握には極めて効果的ではないだろうか。GAFAに限らず、電子商取引市場は年々拡大の一途をたどっている。とりわけ、コロナによる外出自粛の影響もあって、ネット取引への依存度はかなり増加している。トーゴーサン(給与所得者:10割、自営業者5割、農林水産業者3割の所得捕捉率)などと言われているが、電子商取引市場も含めた所得の確実な捕捉手段の確立は、税収増だけに留まらず納税の公平感の醸成にも大きく寄与すると考えられる。 2)消費意欲の向上に寄与 消費が控除に反映されれば、消費意欲の向上に大きく寄与すると考えられる。仮に控除額の上限を韓国と同等の50万円とすれば、上記試算では25万円だった控除額を限度額まで使うとすれば、さらに同額(126万円相当)までの消費が可能ということになる(もちろん可処分所得の多寡にもよるが)。消費が増えるということは、消費税による歳入(現行では20.3兆円)も増加することになる。つま

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