提唱した「分子進化の中立説」 ‶自然淘汰”に有利でも不利でもない突然変異が偶然定着した!?
国立遺伝学研究所の元名誉教授、木村資生は1968年に「分子進化の中立説」を提唱した。生物の外観から展開したダーウィン進化論に対し、DNAやアミノ酸、タンパク質といった分子レベルでは「自然淘汰に有利でも不利でもない中立的な突然変異が起きていて、新しい遺伝子が偶然に子孫に伝わる。つまり、運のいいものが生き残る」とする、分子レベルでの進化論だ。この中立説によって新型コロナやエイズ、インフルエンザなどのウイルスの変化速度(進化速度)が速いことが説明できる。「分子生物学の進展に伴い、さらに中立説を支持するデータが出てきそうだ」と話していた木村だが、1994年の自分の誕生日(11月13日)に自宅の階段で転倒し亡くなってしまった。
2022/05/12 13:11