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やさしい芸術論 https://blog.goo.ne.jp/kusamakura

芸術に関する事を、 分かりやすく書いていきます。 「愛は藍色」と 「バラの花とジョー」、 「赤毛のアンを救った一言」の記事が おすすめです。

ひばり
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2021/01/09

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  • やなせたかしさん特集 その1

    尊敬している人、影響を受けている人はたくさんいますが、ぼくの中の二大好きな人は、ショパンとやなせたかしさんになります。尊敬しているということは、シンパシーを感じているという事になります。やなせさんの言葉、生き方、人生、もちろん詩やアンパンマンなどの作品すべてに深くシンパシーを感じており、まだやなせさんの事をあまり知らない人にすこしでも伝えられたらと、やなせたかしさん特集を勝手に始めた次第です。とはいいつつも、自分自身アンパンマンを軽視しており、アニメをあまり見ていませんでしたが、大人でも感動すると評判の「映画それいけ!アンパンマンいのちの星のドーリィ」を見て涙を流して感動し、これは幼児向けのアニメではなく、大人も楽しめる哲学的、芸術的映画だ!と胸が熱くなりました。詳しい内容は伏せますが、ドーリィ(上記の女...やなせたかしさん特集その1

  • やなせたかしさん特集 その9

    本日2月6日は尊敬するやなせたかしさんの誕生日であります。「絶望せずにですね、まず一歩進むことです。まだまだ希望はあると思う。それを信じないと生きていかれない。」NHKのTVに出演された際、上記の言葉を力強く仰っていました。短い言葉の中にも、やなせさんの哲学が込められています。ではやなせさんの詩を2つ、以下記載させて頂きます。私のお気に入りの詩であります。人生の一瞬が大切とても大切なぜなら明日がわからない明日はおわかれかもしれない今眼の前にいる人をよろこばせることがとても大切なぜなら明日がわからないもしも今がどん底なら絶望しないことがとても大切なぜなら明日がわからない明日は希望にあえるかもしれないところであなたは……。なにも知らないなにもできないなにもないなのになにかを求めている自分の微力はよく承知してい...やなせたかしさん特集その9

  • はじめに

    このブログでは芸術に関する事を書いていきます。芸術とは簡単にいえば、「何らかの方法によって美を表現すること」です。例えば絵を描いたり、楽器を演奏したり、詩を書いたりしてその人の感性が「美しい」と感じるものを絵や音で表現します。しかしその「美」とは一体何なのか、分かりそうでなかなか分かりません。決まった基準など無く、目には見えないからです。「愛」や「幸福」なども「美」と同様に、人生において大切なテーマであるにもかかわらずなかなか分かりません。ぼくは、芸術を理解することによって「美」や「愛」や「幸福」を少しでも理解することが出来ると信じています。だからこそ芸術を学ぶ必要があり、芸術の価値がそこにあるのだと思います。やなせたかしさんは芸術について次のように述べています。「すべての芸術、すべての文化は人を喜ばせた...はじめに

  • 2月の終わりにバッハのメロディを……

    2月も終わりが近づいて、雪の代わりに花粉が舞っています。寒い日、暖かい日、いろいろありますね。夜に上を見上げるときれいなお月さまがきれいに光っています。下を向いたり、つまらないことに悩んでばかりいると、月の美しさに気が付きません。生活をしていくうちに知らず知らずついた日々のホコリ、汚れを今日だけはバッハさんのメロディーできれいに流してしまいたいですね。。。↑バッハさんの曲です。ぜひ聴いてくださいね(^^♪♪↑クラシック・ア・ラ・モード人生はよろこばせごっこ♪ピアノの音色でこころが少しでも癒されますように😌すべては秋の蜃気楼……🍂束の間の、歓喜悦楽・芸術タイムを🎶🎵YouTube2月の終わりにバッハのメロディを……

  • やなせたかしさん特集 その8

    やなせさんの人生についての詩を2つご紹介致します。人生は山あり谷あり、いい事もあれば悪い時もある。隣の芝生は青く見えて、自分自身は相変わらず井の中の蛙で、この先の見えないご時世を五里霧中に生きていく。確かな事なんてない。答えなんてない。信じるものなんかない。ただ、前を向いて、自分が正しいと思う事をやっていくのさ。やなせさんの言葉があなたに届くように。まだほんのちいさな子どもだった頃大きなガラス瓶いっぱいのコンペイトウをもらった毎日すこしずつ食べたけれど瓶の中のコンペイトウは昨日も今日もおんなじようにガラス瓶の中にぎっしりつまっていた少しもへっていないようにみえたでもそのうちにはじめは無限におもえたコンペイトウはある日急にどんどんへりはじめて残り少なくなってしまったぼくの人生はあとどのくらい残っているのだろうそう...やなせたかしさん特集その8

  • やなせたかしさん特集 その7

    今も昔も人の世は世知辛いものです。夏目漱石は小説「草枕」の中で、人の世は住みにくいと語っています。やなせたかしさんも社会の理不尽な部分に疑問を呈しながらも、それでも一歩前に進む事を伝えています。やなせさんの詩を二つ紹介します。【人生のレース】小学一年生のとき鉢巻きしてスタートラインに並んだピストルの音で夢中でかけた今人生のレースに参加してみるとみんなずるいことばかりしているだれかピストルをうってください並んでください私はフェアにたたかいたい【ところであなたは…より】なぜほくはここにいてなぜぼくは生きていてなぜぼくはこんなことをしているのかなぜこんなにもひたむきに仕事を続けているのだろう?なぜだかぼくはわからないしかし今の仕事をやめるとしてぼくは何をすればいいのかそいつもぼくにはわからない本当に自分のしていること...やなせたかしさん特集その7

  • 諸行無常の四季を感じて

    小さい時に耳にした、ヴィヴァルディの四季。特に「冬」が印象的で、不思議とそのメロディーはいつまでたっても色褪せずぼくの記憶にインプットされている。最近改めてヴィヴァルディの四季を聴いて、約300年前のヴィヴァルディの美の感性がイヤホンを通じてぼくの心の琴線に触れる。季節は移ろいやすく、諸行無常。春も秋も、夏も冬も表裏一体。子どもから知らぬ間に大人になって、いつまでも健康と思っても病はつきもの。すべては秋の蜃気楼。真夏の陽炎。三途の川を渡るまで、今を生きてくのさ。ヴィヴァルディの四季にインスパイアされて、私自身、「四季」という曲を書きました。今のぼくの心の音……楽しい時間。諸行無常の四季を感じて

  • やなせたかしさん特集 その6

    やなせたかしさんの詩をご紹介します。これは「詩とメルヘン」というやなせさんが編集長として発刊していた雑誌の最初のページに載っていた詩です。(恐らく…)人生はなかなか思うように生きられません。時間やお金や仕事や人間関係などを含め、理想と現実のギャップはどうしようもありません。やなせさんのモットーである「人生はよろこばせごっこ」の精神がよく表れた詩だと思い、ますますやなせさんを人間的に尊敬しています。詩の後に私の作曲したピアノ曲を載せておきます。興味がある方はぜひお聴きください!↓やなせさんの詩です↓疲れたひとをやすませたいさびしいひとをなぐさめたい悲しいひとをほほえませたいでもどうやってどうすればそんな大それたことが出来るだろうじぶんでさえもボロボロでもうくじけそうと思うのにまして他人のことにまでお節介ができるは...やなせたかしさん特集その6

  • やなせたかしさん特集 その5

    やなせたかしさんの詩になります。やなせさんはみんな大好きアンパンマンの生みの親として広く認知されていますが、その人生は苦難の連続でした。やなせさんが小さい頃、父は死に、母はやなせさんと弟を捨て再婚、弟は成人してから戦死して、やなせさんは天涯孤独となります。そして69歳でアンパンマンがヒットするまで、「何のために生まれて、何をして生きるのか」というアンパンマンマーチの歌詞の言葉を自問自答しながら生きてこられました。若くして成功する人もいますが、やなせさんのように苦労が続いた人生だからこそ分かる事もある。何よりそんな壮絶な人生からあの朗らかなアンパンマンが生まれたかと思うと何か感慨深いものがあります。詩の最後の神様へのお願いのところの部分は何故か共感出来ますね。無理だと分かっていても、無神論者であっても神様に泣きつ...やなせたかしさん特集その5

  • やなせたかしさん特集 その4

    やなせさんの詩です。命について、人生について考えさせられます。やさしさって何だろう。うまく生きるって何だろう。正しさってなんだろう。時に人は、簡単なことさえも分からなくなって、小さい子供のように泣きながら、それでも大人の仮面をかぶって生きていくものなんですね…【高速道路の鳩】私があなたを愛したのはあなたの胸のそこにあるだれよりやさしい心ですでもやさしい心とはなんでしょうあなたは高速道路であそんでいた鳩をよけそこないガードレールにぶつかって死んでしまった鳩を殺せばよかったのよ鳩をころしてあなたが生きればよかったいったいのこされた私はどうなるのこれから私はどうすればいいの私はとても泣きながら鳩に石をぶっつける私があなたをにくむのは生まれながらにもっていただれよりやさしい心ですやなせたかしさん特集その4

  • やなせたかしさん特集 その3

    やなせさんの詩の紹介です。この詩はやなせさん自身を投影しているかのような内容で、69歳でアンパンマンのアニメがヒットするまで苦労されたやなせさんの思いがあるような気がします。最後の言葉がだんだん少なくなっていって、~なのさ、という感じはどことなく太宰治のような感じを受けました。味わい深い詩で、とても好きな詩です。【老眼のおたまじゃくし】山のうえの古い池におじいさんのおたまじゃくしが住んでいたもうとてもとしをとっていてひどい老眼になっていたなにもかもみんなぼやけて見えたさざ波もすいれんも散る花もなにもかも山のうえの古い池のおじいさんのおたまじゃくしのひとりごとずいぶんながく生きてきたひどい老眼になったけどおでこにしわがよってきたけどいつまでもかえるにはなれないでこのままさ山のうえの古い池におじいさんのおたまじゃく...やなせたかしさん特集その3

  • やなせたかしさん特集 その2

    やなせさん特集という事で、やなせさんの詩を紹介していきます!ぜひ、の詩はやなせさんのきれいな子供のこころと、その中にある「ひとらしさ」の定義が曖昧になっている現代へ向けた問いかけのような詩です。幸福、の詩は、巷であふれている、幸福だと思えばいい、不幸と思えばすべて不幸だから、という個人の感情や気持ちを排除して、とにかく機械的、合理的、教科書的な精神論へのアンチテーゼ的作品でもあると思います。ぼく個人的には、物事は見方や受取り方によって幸・不幸が分かれるという事も大いにあるとは思いますが、やはり大好きな人が亡くなれば悲しいし、叩かれれば痛いし、褒められれば嬉しいし、そういう感情は感情のままで大事なのではないかと思います。ブルーハーツの歌詞に「叫ばなければやりきれない思いをああ大切に捨てないで」とありますが、共感し...やなせたかしさん特集その2

  • 映画「戦場のピアニスト」を見終わって…

    先日、改めて映画「戦場のピアニスト」を見ました。舞台は第二次世界大戦のポーランド、ナチスドイツ軍から迫害を受ける、ユダヤ人達の姿を描いています。戦争映画の為ショッキングなシーンもありますが、主人公のユダヤ人ピアニスト、シュピルマンは地獄のような状況をなんとか生き延びます。シュピルマンの中には常にショパンの音楽があり、音楽を支えとしながら辛い状況を過ごしていきます。劇中に主人公が、レストランでピアノを弾くシーンがあるのですが、そのピアノ曲は誰が作曲したのか、何という曲なのか不明ですがとにかくショパンのような甘美なメロディーで美しい曲なのです。その曲が気に入ったので、耳コピして弾いてみました。https://youtu.be/fJRHeG0jHbQ戦争という悲劇の中でも、不思議とショパンの音楽は輝き続けます。喜びも...映画「戦場のピアニスト」を見終わって…

  • 6/18 ポールマッカートニーの誕生日

    本日、6月18日は元ビートルズのベーシスト、ポール・マッカートニーの79歳の誕生日になります。ポール・マッカートニーと言えば、ビートルズ時代にジョン・レノンと共に数多くの名曲を生み出しました。「レットイットビー」、「イエスタディ」、「ヘイジュード」などなど枚挙にいとまがありません。個人的に、ビートルズ後期の曲が好きです。「ホワイトアルバム」、「マジカルミステリーツアー」、「アビィロード」、「レットイットビー」など。またビートルズ解散後は、「ブルーバード」「アンクル・アルバート〜ハルセイ提督」の曲がとても好きです。ポールマッカトニーが誕生日という事で、ぼくがピアノで編曲した「ハッピーバースデイトゥーユー」を下に載せます。6/18ポールマッカートニーの誕生日

  • 愛は愛から生まれます

    昨日、2021年5月24日の朝日新聞を見て、私は大変感動した。記事には、大分市に住んでいる大呂(おおろ)家族について概ねこう書かれていた。父、母、兄、双子の妹という5人家族。その双子の妹の一人が100万人に1人の難病「先天性角化不全症」を抱えていて、3歳で自ら血を作り出せなくなり、その後も様々な病気が合併症として現れ、終末期医療として最後を穏やかに過ごすか、両親それぞれの片肺を移植するかという決断を迫られた。「その子の運命として、終末期医療を受け入れるべきではないか」という周囲の意見もあり、移植で助かっても長く生きられないかもしれず、麻痺が残り、本人が辛い思いをするのではないか、と家族で眠れない日々を過ごし、何度も何度も考えた。”命の価値ってなんだろう…”そんな時、ベッドに横になって、多くの管を通された状態の妹...愛は愛から生まれます

  • ある穏やかな一日

    春の穏やかなやわらかい風にふかれて桜は嬉しそうに揺れて花びらがひらひらと静かに散っていく公園のベンチに座って子どもたちの遊ぶ声やお年寄りが桜を眺めている顔があたたかい日を浴びている様子を見た時ただただ平和で幸福な風景が目に映りニュースで流れる悪い事件や生老病死の苦も少しの間、頭から遠ざかってこの短い春が現実なのかそれとも長く感じた冬が現実なのかはっきりしない桜を見てふと思ったこんなに綺麗であれば一年中咲いていればいいのに、と何故、桜はすぐに散ってしまうのか何故、幸せはすぐに思い出に変わってしまうのか春の風がぼくのこころに向かって吹いてきて何とも言えないやさしい気持ちが伝わってきた空っぽな、諸行無常なぼくの足に一匹のアリが登ってきた桜の花びらが一枚ぼくの服にふんわり留まったこういう一日を美しい一日と言うのだろう桜...ある穏やかな一日

  • 美術品は目で見るのではなくて、「こころの目」で見る

    ロシアのピアニスト、ウラディミール・ホロヴィッツは子供のころ、母親の弾く、ショパンのマズルカ13番を聴いて、感動して涙を流したそうです。ショパンも、子供のころに、母親の弾くピアノの音色に感動して泣いたと、本で読んだことがあります。これは、知識や経験や努力や才能とは別のところの、その人の美的感性、つまり目に見えない「こころ」の作用によるものです。(ちなみに、ぼくが一番好きなマズルカ13番の演奏は、映画「戦場のピアニスト」の題材となった主人公「シュピルマン」の演奏です。「戦場のピアニスト」のサウンドトラックに入っています。ぼくは子供のころ、このアルバムの、この曲を繰り返し聴いていました。品があって、リズムがしっかりして、マズルカの哀愁がよく表現されています。)音楽を聴いて感動して涙するのは、ただ悲しいからではありま...美術品は目で見るのではなくて、「こころの目」で見る

  • 「マッチ売りの少女」における理想と現実

    正しさや、幸せの判断はとても難しいです。見方によって、答えが変わってくるからです。 物事の見方を3通りに分けてみます。 目に見える事で判断する見方と、目に見えない事で判断する見方と、目に見える事と目に見えない事の両方で判断する見方です。 現代社会は科学の進歩により物資文化が発展している事から、目に見える事のみで判断する見方が多いような気もします。例えば、収入や外見や学歴や人脈や地位などです。 その反対に、目に見えない事のみで判断する見方が良いかというと、こちらも目に見えない以上、判断基準があいまいな所があり、正しい判断を付けづらい点があります。愛や優しさ(人のこころ)や、死後の世界などは身近な存在でありながら、その実態はまだ科学的に解明されていないからです。 目に見える事と、目に見えない事の両方の視点から判断す...「マッチ売りの少女」における理想と現実

  • 「父母未生以前の本来の面目」とは何か

    夏目漱石は27歳の頃、神経衰弱となり厭世的な考えを持つようになります。そして鎌倉の円覚寺で参禅し、釈宗演老師より禅問答を受けます。その時の公案はこのような問いでした。「父母未生以前の本来の面目とは何か」これは「自分の両親が生まれる前の、本当の自分とは一体何なのか」という問いです。禅問答は修行僧が悟りを開くために、師匠から出される問答の事で、決まった答えは無く、その問いを考えているうちに、気付きを得たり、考え方が改まったりする為のものです。ちなみにこの問いに、夏目漱石は老師に自分の答えを伝えるも、「もっと、ぎろりとした所を持ってこなければ駄目だ」と言われ一蹴されてしまいます。父と母から自分が生まれてきた以上、父と母が生まれる前は当然自分も生まれていません。その頃の自分とは何者なのか。そもそも今の自分は何者なのか。...「父母未生以前の本来の面目」とは何か

  • ホロヴィッツの芸術性とピアノコンクールの空虚感

    20世紀最高のピアニストと称される、ウラディミール・ホロヴィッツ。ホロヴィッツの演奏する音楽は唯一無二の個性的な演奏であり、その魅力的な演奏は、人のこころに響き、聴く人に感動を与えます。例えば、ショパンの有名な曲を何十人の異なるピアニストが演奏しても感動しないところ、同じ曲をホロヴィッツが演奏すると感動します。ショパンのピアノソナタ2番の3楽章「葬送行進曲」は特に他のピアニストの演奏と一線を画します。強弱法、感情の付け方、鐘のような響きのff、前半部分と中間部との対比(明暗)の付け方、中間部の美しい歌い方など…むしろ、他のピアニストの演奏では感動しないので、この曲はホロヴィッツの演奏だけしか聴きません。そういう曲が何曲もあります。ホロヴィッツの音楽は、テクニックはあるのですが、ミスタッチがあり、現代ピアニストは...ホロヴィッツの芸術性とピアノコンクールの空虚感

  • 絵のない絵本

    現代社会では頭を柔らかくする必要があるように思います。有名な「千夜一夜物語」の内容は、大雑把に言うと、人間不信に陥った王に対し、たくさんの話を知っている娘が一日毎に物語を話します。それが千夜一夜繰り返されて、王は話に夢中になり、冷静になって、正気を取り戻します。この話と似ている点がある本が、アンデルセンが書いた小説「絵のない絵本」です。この本の主人公は、孤独な貧しい青年です。その青年に対し、毎晩月が物語を話して聞かせます。月が言います。「私の話すことを、そのまま書いてごらん、きっと美しい絵本が出来るよ。」絵にすると千夜一夜物語のような話になるのですが、ごく簡単に、即興的に、月からの33個の話を並べたのがこの「絵のない絵本」の内容になります。頭が堅い人は、月が話す訳がないといい、33個の短い話も無意味に思えるかも...絵のない絵本

  • あなたといると人のこころが分かるのよ

    ぼくが好きな人を二人あげるとしたら、やなせたかしさんとショパンです。二人に共通しているのは、「詩人」という事です。やなせさんは、絵本作家でもありますが、詩を書くし、ショパンは「ピアノの詩人」と言われ、言葉なき詩を美しいメロディーで表現します。ぼくの好きな人は芸術に関する人が多いのですが、アンデルセン、夏目漱石、シェリー、ウィーダなど詩を本業の傍ら、詩を書く人がたくさんいます。これはひとえに、詩というものが、作りやすく、相手に伝わりやすいという手軽さによるものもあると思います。そんな詩人の中でも、ぼくが好きな詩人は小曽根俊子さんです。彼女の詩は、素直で、やさしくて、真実味があります。彼女について書いた本「トッコはわたぼうしになった」では、脳性麻痺の障害を持って生まれた小曽根俊子さんの半生を描いています。小曽根俊子...あなたといると人のこころが分かるのよ

  • あなたの富があるところに、あなたの心がある

    1849年、ピアニスト・作曲家のフレデリック・ショパンが亡くなりました。ピアノによって、ショパンでしか創造出来ない「美」を表現し、楽譜として残され、200年以上経った現在でも世界中で愛されています。今までの古典派の音楽、発展しつつあったロマン派の音楽を完成させた人物。ショパンが生まれていなかったら、「音楽」の美の基準は今よりも低かっただろうと思います。ぼくの初めて芸術に触れ感動したのは、やはりショパンの音楽でした。ショパンのノクターン20番の初めの和音、そして最後の分散和音を自分で弾いて、言葉で表せないような感動がこころに残りました。その時は芸術の事も知らず、感動している事すら知りませんでした。でも、その時の目には見えない感動が残り続けて、芸術とは何だろうかと考えるきっかけになりました。そのショパンの心臓は、故...あなたの富があるところに、あなたの心がある

  • そっくりのくりのき

    アンパンマンの生みの親、やなせたかしさんは、良い詩や良いお話などを多数創作されています。やなせさんのお話は、子供でも分かりやすい簡単な内容が多いですが、深い意味も込められており、大人でも感動する内容のものがあります。やなせさんが書かれた絵本「そっくりのくりのき」という本があります。ある山の頂上に年寄りの栗の木が一本生えていて、その根元の穴にはキツネの子が住んでいました。キツネの子は一人ぼっちの子でしたが、栗の木と仲良しなので、寂しくありませんでした。しかし、ある晩の事、大きな雷が栗の木に落ちてきて、栗の木は消えて無くなってしまいました。キツネの子は、大好きな栗の木が消えてしまいショックを受けます。そこら中を探し周りますがどこにも見つかりません。とうとう山のふもとまで、降りた時、誰かがキツネの子を呼びます。声がし...そっくりのくりのき

  • 自分で立ち止まって、自分で休む

    以前、京都の大徳寺へ行った時の事、廊下を歩いていると頭上の漢字二文字が目に入りました。「自休」自休(じきゅう)、と一言。説明によると、次のような意味だったと思います。誰に言われなくても自分で立ち止まって休み自分の足もとを見つめて考えを改める時間を意識的に持とう今は大変な時期、生活に追われ、冬の風にあおられ、朝が来ると眠たい顔のまま、会社へ向かいます。一日なんてあっという間に過ぎて、一年が何回通り過ぎていったのか……自分で意識して、自分自身を客観的に見つめなおして、こころを整え直す事は現代社会人にとっては特に大切です。戦国時代の偉人、千利休さんのゆかりの深い大徳寺で、京都人の洗練された美学を学べた気がします。「時代に流されないように」というメッセージでしょうか。枯山水のような静かな空間で、季節とともに移ろってゆく...自分で立ち止まって、自分で休む

  • コンプレックスを忘れる瞬間

    人は誰しもコンプレックスを持っています。他人から見るとたいした事ないような事でも、本人にとっては、デリケートな問題なんです。そんなこころが、ふっと軽くなって、忘れてしまうような瞬間があったらいいですね。やなせたかしさんが書かれたお話「クシャラ姫」はそんなコンプレックスに関する内容です。ある国のお姫様、クシャラ姫は鼻が低いことがコンプレックスです。ある日、クシャラ姫は家来達が陰で「クシャラ姫の鼻は低い」という話を耳にして、ショックを受けます。それからというもの、ボール紙で作った三角形の鼻を、自分の鼻の上に乗せて生活していました。コンプレックスを隠そうと、ボール紙を乗せたのですが、それを見た人は、クスクス笑ったので、だんだん人の前に姿を現すのが嫌になって森へ行きました。森へ行って動物たちと楽しく遊んでいると、恐ろし...コンプレックスを忘れる瞬間

  • 「開運!何でも鑑定団」による知見

    以前、テレビ番組の「開運!何でも鑑定団」をたまたま見ていたところ、ある青年が石を鑑定してもらっていました。その石は「菊花石」(キッカセキ)と呼ばれる石で、石の中に自然に出来た菊の模様が美しい石との事で初めて知りました。また別の日にたまたま同番組を観ていると、板谷波山さんという日本の陶芸家の作品が出てきました。ぼくは全く陶芸に疎く、あまり興味が無かったのですが、その淡い色彩の奥床しい美を感じる作品に、初めて陶芸で感動しました。この板谷波山さんは、とても人柄がよい人物で、日中戦争が起こり、町に戦死者が出てくると、遺族のお宅へ行き、自作の観音像を故人の名前を入れて贈っていたそうです。また故郷の町の80歳以上の高齢者を労り、鳩杖を製作し、一軒一軒手渡しで渡したとのことです。優れた芸術作品には、技術や努力もさることながら...「開運!何でも鑑定団」による知見

  • わがままなわたし

    寒い季節です。冬が来たのなら、もうすぐ春という事です。イギリスの詩人シェリーはそういう言葉を残しています。詩人はいいですね。アンデルセンが書いた小説「即興詩人」のような人になりたいです。アンデルセンいわく、「詩人」とは、見たもの、感じたものを美しい歌にする事が出来る人の事です。ガラクタを金に変える錬金術は存在しませんが、普通の暮らしを、やさしい気持ちに彩る事は可能なのかも知れません。そうして、自作の詩をここに書きます。「わがままなわたし」幸せになりたい幸せな人になりたい今、この瞬間を幸せと言える人になりたいそうしたら、この幸せをみんなに分けてあげたいきれいな目を持ちたい人の良いところを見つけられる人になりたい外見や結果ではなくその人のやさしさを見てあげたいそうしたら、そのやさしい目で人生を見つめていたい音楽にな...わがままなわたし

  • リバー・フェニックスのやさしさ

    映画「スタンドバイミー」で有名な俳優リバー・フェニックス。映画「ジョーカー」の主演ホアキン・フェニックスは実の弟であり、リバー自身は23歳の若さでこの世を去りました。リバーは子供のころから、やさしいこころを持っていました。子供の時、両親とともに世界中を旅していた時の事をこう答えています。「キリスト教のパンフレットをたくさん配ったよ。ドラッグをやめさせるために、おもに若い人たちにね。妹とぼくのふたりで歌って、ぼくがギターを弾いた。マイクで喋ったりもしたよ…”神様はあなたを愛してる”って言うんだ。そして、ぼくは本当にそれを信じてた。」子役時代に、次第に名が売れ出した頃、子役仲間とこんなやり取りをしていました。リバー「君は将来有名になる?」友達「さあね、どっちでもいいよ(謙虚を装って言ったセリフ」リバー「おれは有名に...リバー・フェニックスのやさしさ

  • 「吾輩は猫である」は未来予言書である

    先日、少しづつ読み進めていた夏目漱石さんの小説「吾輩は猫である」を読み終えました。元千円札の肖像画の人物であり、その人物の代表的作品なので、知らない人はいない程有名な作品ですが、ぼく自身、なんとなくの内容は知っているけども、読み切った事はなかったので、読むことにしました。「吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生まれたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。」という有名な冒頭部分から出発して、主人公の猫による人間観察、人間描写が繰り返されます。呑気な、くだらない、どうでもいいような、他愛もない会話、出来事が次々と、延々と続きます。個人的に夏目漱石さんの中では「草枕」がお気に入りなので、正直退屈だなと感じつつ、最後の方ま...「吾輩は猫である」は未来予言書である

  • 人生は たからもの

    イタリア人のロベルト・ベニーニ監督が脚本・主演されている映画「ライフ・イズ・ビューティフル」は第51回カンヌ国際映画祭で「審査員グランプリ」を受賞されました。物語は第二次世界大戦中で、ユダヤ人迫害が描かれています。ユダヤ人の主人公は、捕まり、強制収容所へ連行されます。家族3人が戦争の悲劇による大混乱の中、主人公は冗談を言い、明るく振舞って、息子を悲しませないよう努めます。主人公は家族の為に、気丈に振舞っていましたが、所々で「これは夢なのか。夢であってほしい。」と不安と絶望を表しています。そんな時、強制収容所内で偶然、オッフェンバックの「ホフマンの舟歌」のレコードを見つけ、外に向けて、大音量で流します。その曲は、戦争が起こる前の主人公と妻との思い出の曲なのです。まだ戦争の悲劇の無い、美しい、恋の夜のあの日が、曲と...人生はたからもの

  • 頭の中にある理想の家族愛

    ぼくが好きな映画監督ガス・ヴァン・サントさんが監督・脚本された映画「マイプライベートアイダホ」について。この映画に、リバー・フェニックスとキアヌ・リーヴスという名俳優二人が出演しており、また、映画の内容が同性愛について触れていたりして、そちらの部分に注目が集まり、なかなか正当な評価をされていない気がします。物語は主人公のリバー・フェニックス演じるマイクがナルコレプシー(発作的睡眠障害)である事に触れる所から始まります。ざっくりとこの映画を3つのパートに分ける事が出来ます。1、オープニング(約5分)2、本編(約90分)3、エンディング(約5分)そして最も大事なのは、1、のオープニングです。ぼくが観た全ての映画の中で、一番良かったオープニングです。オープニングで、主人公マイクは果てしなく続く道の真ん中に一人で立って...頭の中にある理想の家族愛

  • ネイティブアメリカンの悟りのような歌

    アメリカの歌手ベックは、様々なジャンルの音楽を生み出す遊び心のある人です。オルタナティブロック、カントリー、ヒップホップ、ファンク、エレクトロニクスな曲まで作り、年齢と共にその音楽も成熟していきます。ぼく自身も2017年の武道館のコンサートを観に行きました。ベックと言えば「ルーザー」やアルバム「オディレイ」が有名ですが、ぼくの一番のお気に入りは「ゴールデンエイジ」です。アルバム「シーチェンジ」に収録されており、2002年の「ローリング・ストーン誌年間アルバム・ランキング」で1位となりました。曲全体に流れるゆるやかな時間と、平和な響き、ネイティブアメリカンのようなメロディー、その時間、その雰囲気により、現代社会で疲れたこころを慰めてくれます。「ゴールデンエイジ」車のハンドルに手を置いて、ゴールデンエイジを始めよう...ネイティブアメリカンの悟りのような歌

  • 苦労と不足のない男

    デンマークの童話作家アンデルセンはいくつもの童話を創作しました。「みにくいアヒルの子」や「マッチ売りの少女」などが有名ですが、「かたわもの」という童話もあります。「かたわもの」の話は、幸せとは何だろうかと改めて考える良い作品です。お金持ちで幸せな夫婦の元に、庭師として働く貧しい夫婦がいました。その夫婦には5人の子どもがいて、そのうち1人は足が不自由な子どもでした。(かたわというのは身体障害者を指します)庭師として働く貧しい夫婦は、仕事が大変である事や、お金持ちがいる世の中でどうして自分達は貧しいのだろうといつも不平不満を言っていました。足の不自由な子どもはハンスという名で、ハンスは親が不平不満を言うと、童話の話を聞かせてあげて、不平不満なこころを慰めてあげていました。ある時、貧しい夫婦が、人間の中で運のいい人と...苦労と不足のない男

  • 即興詩人のような生き方

    デンマークの童話作家・詩人のハンス・クリスチャン・アンデルセンは良い作品をたくさん書きました。アンデルセンは「みにくいアヒルの子」や「マッチ売りの少女」などの有名な童話を書いた事で有名です。アンデルセンの人生は、アンデルセンが出した自伝の最初の二行に集約されています。「私の生涯は波乱に富んだ幸福な一生であった。私の人生はまるで一編の美しいおとぎ話のようだった。」アンデルセンは貧困な家庭に生まれ、様々な困難や苦労を乗り越えて、童話作家として成功を収めます。その童話作家として認知される前の、いわば出世作のような作品が長編小説の「即興詩人」です。今年は、即興詩人のような生き方をしていきたいと思います。「即興詩人」はアンデルセンの自伝的作品で、貧困や困難を、自らの即興的な詩を作る才能により切り抜け、その芸術によって人を...即興詩人のような生き方

  • 「フランケンシュタイン」で考えるアイデンティティ

    この世界にはあらゆる人種の人が住んでいて、あらゆる考えを持ち、十人十色の個性を持ち、それぞれ違った人生を歩んでいます。性的マイノリティの人や、障害や、人と違う感性を持っている人、宗教に入っている人など色々な人がいます。それが人間の多様性です。自然界でも、花や動物などが多種多様なのを見ても分かります。しかし、人間は周りの人間を見て、自分が周りと違う考えや容姿をしている事を気にします。ひどい時は、いじめの対象になったり、差別をされたり、社会から取り残されてしまうからでもあります。アイデンティティとは、他と相対的に比べずに、「自分は自分」という意識を持つ事です。以前、美輪明宏さんは同性愛者である事を、マスメディアでカミングアウトしました。当時は同性愛は悪とされていて、理解されていなかったので、周囲から猛反対にあうも、...「フランケンシュタイン」で考えるアイデンティティ

  • 美しい一瞬の思い出はいつまでも続いていく

    小沢健二さんはシンガーソングライターであり、東大出身のインテリで、世界の小澤征爾を親戚に持ちます。小沢健二さんが書いた名曲「さよならなんて云えないよ」の歌詞に注目したいと思います。「さよならなんて云えないよ」(歌詞抜粋)青い空が輝く太陽と海のあいだ”オッケーよ”なんて強がりばかりの君をみているよサクソフォーンの響く教会通りの坂降りながら美しさOhbabyポケットの中で魔法をかけて心からOhbaby優しさだけがあふれてくるねくだらないことばっかみんな喋りあい嫌になるほど続く教会通りの坂降りて行く日なたで眠る猫が背中丸めて並ぶよ”オッケーよ”なんて強がりばかりをぼくも言いながら本当は思ってる心にいつか安らぐ時は来るか?と左へカーブを曲がると光る海が見えてくる僕は思う!この瞬間は続くと!いつまでもこの曲はマイケルジャ...美しい一瞬の思い出はいつまでも続いていく

  • 子供のためのユートピア

    黒柳徹子さんは現在も、舞台にテレビに活躍されていますが、「戦後最大のベストセラー」といわれた「窓ぎわのトットちゃん」を執筆した事でも有名です。また、「ユニセフ親善大使」を務めていたこともあり、慈善活動も精力的に行われています。その黒柳徹子さんの原点は、やはり「窓ぎわのトットちゃん」の中に書いてあるトモエ学園といえるでしょう。トモエ学園の校長先生は人格者であり、先進的な考えの持ち主で、障害がある人でも誰でも楽しめる学校を目指した。電車が教室であり、運動会は障害のある人が有利になるような競技を考え、運動会の賞品は野菜だったりと、常識にとらわれず、みんなが楽しめる理想郷(ユートピア)のような学校だった。トットちゃん(黒柳徹子さん)は、小学校一年生のころ、授業中にあまりに落ち着きがなかったため、退学処分となってしまう。...子供のためのユートピア

  • バラの花とジョー

    「バラの花とジョー」はやなせたかしさんが書かれた短編のお話です。バラの花とジョーという名の犬の恋の話です。ジョーはひとりぼっちの犬で、美しい良い香りがするバラの事が好きになります。バラの花もジョーをとても気に入りますが、ある日、バラの花がカラス達に襲われ、ジョーがバラをかばった際に怪我をして、失明してしまいます。バラの花は悲しみ、自分のために目が見えなくなった事を謝ると、ジョーはやさしさから、美しい君の姿が見えるよと冗談を言います。ジョーは失明をした状態で過ごしますが、いつもバラの花のそばで過ごし、毎年、バラに「今年もきれいだろうね?」と確認をします。バラの花は「今年もきれいに咲いたわ」と返事します。ジョーは死ぬ直前まで、バラの花の美しい姿を思い浮かべ、幸せそうに笑ってしにました。ジョーは失明してから、バラの花...バラの花とジョー

  • 赤毛のアンを救った一言

    カナダ人の小説家、モンゴメリが書いた「赤毛のアン」はとても有名です。「赤毛のアン」は田舎に住む少女アンの成長を追った話ですが、この話の中にとても印象に残っている一言がありました。物語の主人公である赤毛のアンは、生後三か月で両親を亡くしており、孤児院で生活しておりました。ある日、年老いた兄妹は力仕事を手伝ってもらうため、孤児院から若い男の子を引き取ることにしました。しかし、何かの手違いで引き取られる子は男の子ではなく、赤毛の女の子が来てしまいました。その女の子がアンでした。アンは引き取ってくれる嬉しさにこころを弾ませますが、どうやら欲しいのは自分ではなく男の子だったらしい、と知ると、夢見心地から覚め、一気に現実に引き戻されます。「あたしをほしくないんだ。男の子じゃないもんで、あたしをほしくないんだ。いままでだれも...赤毛のアンを救った一言

  • 「だれのための幸福」

    やなせたかしさんが大好きで、本を何冊か持っています。古い本で1981年に発売された「幸福の詩集」の表紙は、かわいい天使が描かれたメルヘン調のイラストが描かれています。やなせさんが好きな「星の王子様」の作者サン・テグジュペリさんの影響がとても出ています。今の時代、絵を描いたり、詩を作ったり、音楽を演奏したりして、つまり芸術によってお金を稼ぐのはとても難しいです。生活に追われ、生活を優先するあまり、仕事中心となり、絵や詩や歌などの芸術活動は生活の隅に追いやられてしまいます。芸術に触れ、芸術を楽しむ事はこころを豊かにし、人生をより楽しむことが出来ます。プロとしての芸術家でない人はお金にもならないし、特に人から必要もされない自らの芸術活動に迷いを感じ、芸術活動は何のためになるのだろうかとふと思ったりします。「だれのため...「だれのための幸福」

  • 「今あなたと」

    2016年、相模原市の知的障害者施設で起きた、殺傷事件では19人の方が尊い命を落としました。その事件について、犯行に及んだ被告人はこう語りました。「意思の疎通が取れないような重い障害者は、安楽死させたほうが良い。彼らは人々を不幸にするだけだから」誰もが重度の障がい者の人でも、死んだ方がいいとは思っていないでしょう。価値の無い人間とは思わないでしょう。しかし、障害の無い、健常者と言われている社会人でさえ、人を学歴で見たり、収入で見たり、見た目で判断したりします。ホームレスの前を平気で素通りして、満員電車に乗り込みます。いじめがあり、会社の不正があり、毎年何万人もの自殺者も出ています。この世知辛い世の中だからこそ、被告人の言葉に不快な思いを持ちつつも、重度の障がい者の生きがいとは何かと問われたら、閉口してしまう人も...「今あなたと」

  • 「愛は藍色」

    小曽根俊子さんの詩になります。小曽根俊子は重度の脳性麻痺により、両手両足が不自由で、言語障害もありました。そんな不自由な体ですが、詩をいくつも書いていて、全国の障害を持つ方たちが詩を書き、それを曲にして歌う全国わたぼうし音楽祭というイベントがあり、小曽根さんは第五回全国わたぼうし音楽祭でわたぼうし大賞という賞を受賞されています。小曽根俊子さんは、障害の苦しみから自殺未遂をしたり絶望状態となりますが、詩を書く事で、自分を表現し、芸術に触れることでこころが救われていきます。やなせたかしさんが編集長を務めた「詩とメルヘン」という雑誌にて度々取り上げられ、雑誌内にて小曽根俊子さんを以下のように賞賛しています。「心の中で鐘が鳴り響き言葉を失った。」「絶望の隣は希望です」というやなせさんの詩があるが、小曽根さんはまさに、絶...「愛は藍色」

  • 「人間なんてさみしいね」

    やなせたかしさんの詩を紹介します。この詩はまだアンパンマンが世に出る前の頃の作品です。やなせさんの人生は苦難の連続でした。親と別れ、弟は戦死し、天涯孤独となります。様々な病気をしながら過ごして、漫画家として売れない日々を過ごしながら、アンパンマンが売れたのは、69歳の時です。アンパンマンがやなせさんの光の部分だとしたら、この詩はやなせさんの「影」の部分と言えます。影、すなわち苦労や痛みを知っているからこそ、アンパンマンのような博愛的な人を助けるキャラクターを生み出せたのかもしれません。この詩には、辛い人生を一生懸命生きてきて真剣に人生について考えたやなせさんのこころの声が聴こえてきます。「人間なんてさみしいね」(一部抜粋)とにかくこうして何となく諸行無常と生きているこのたよりない存在を誰かがみとめてくれること心...「人間なんてさみしいね」

  • 「人を愛する資格はね」

    小曽根俊子さんという方をご存知でしょうか。やなせたかしさんと共同で詩集を出されている方なのですが、重度の脳性麻痺の障害により、両手両足が不自由で言語障害もあります。小曽根俊子さんは、以前やなせさんが創刊されていた「詩とメルヘン」という雑誌に詩を投稿されていて、そこからやなせさんと交流を深められたそうです。障害を持って生まれた人は、健康な人よりも、何倍もの苦労を背負いながら生きていく事になります。生と死の狭間で揺れ動くような長い期間を経て、障害があったからこそ見えてくる人の本質をうまく表現出来るのではないでしょうか。小曽根俊子さんの詩は良い詩が沢山ありますが、この詩はとても良いです。人を愛するという事。この世はお金か容姿か学歴か才能か……と言われていますが、果たしてどうでしょうか。もしその通りだとしたら、お金も容...「人を愛する資格はね」

  • 「ひとが生まれるとき」

    やなせさんの作詞された「アンパンマンのマーチ」の中で、「なんのために生まれてなにをして生きるのか答えられないなんてそんなのはいやだ!」という歌詞があります。人は生きていると、時に、ふと、何のためにうまれてきたのか分からなくなる時があります。人が嫌いになったり、生きている事が辛くなる時もあります。そんな時の為に覚えていて欲しい詩がやなせたかしさんの詩「ひとが生まれるとき」です。命はみんな尊い。みんな誰しも赤ちゃんの時があって、誰でもみんな天使だった。原点回帰というか、命の始まりの神秘さ、家族という関係性、生まれてきた事の喜びを改めて思い出させてくれるような詩になっています。「ひとが生まれるとき」ひとがうまれるときおかあさんはくるしい涙こぼしてひとが生まれるひとは生まれるとき泣きながら生まれる涙こぼしてひとが生まれ...「ひとが生まれるとき」

  • アンパンマンの見つめる幸せ

    みんな大好きアンパンマン。恐らくアンパンマンを見て毛嫌いする人はいないのではないでしょうか。そのアンパンマンの生みの親は、ぼくが敬愛するやなせたかしさんです。童謡「手のひらを太陽に」や絵本「やさしいライオン」なども創作されました。やなせさんの人生は、苦難の連続で、苦難の連続にも関わらず、正義について、幸せについて考え、「希望」の大切さを強く訴えて、アンパンマンなどを通して世の中に平和と安らぎを与えてくれます。やなせさんは小さい頃、父親を亡くし、母親に捨てられ、親戚の家に弟と二人で預けられました。青年になると戦争が起こり、中国の戦地へ赴きます。そこで初めて飢える事の苦しみを知ります。やっと終戦となり、祖国へ帰ると、たった一人の愛する弟が戦死している事を告げられます。天涯孤独の身になるも、積極的に漫画や詩や絵本など...アンパンマンの見つめる幸せ

  • 草枕4 青年画家の芸術論

    夏目漱石さんが書いた小説「草枕」の主人公は青年画家です。この青年画家は芸術的観点からあらゆる物事について考えます。「草枕」冒頭部分は青年画家が考える人生観や芸術論から始まります。この部分は「草枕」全体を貫く、物語の基本となる考えとなります。「山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情にさおさせば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生まれて、画が出来る。……人の世が住みにくければ、住みやすい所をどれほどか、くつろげて、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。ここに詩人という天職が出来て、ここに画家という使命が降る。あらゆる芸術の士は人の世をのどかにし、人の心を豊かにするが故に尊い。住みにく...草枕4青年画家の芸術論

  • 草枕3 シェリーの雲雀の詩

    夏目漱石さんが書いた小説「草枕」には、様々な芸術家の名前や言葉が出てきますが、その中にイギリスの詩人シェリーの「雲雀」の詩が出てきます。主人公の青年画家は人の世の住みにくさに疲れ、山中の温泉宿に泊まり、自然に触れて、芸術について考えます。温泉宿に向かう前に、山路を登っている途中で、どこからともなく雲雀(ひばり)の声が聞こえてきます。そして以下のように考えを巡らせます。「春は眠くなる。猫はネズミを捕る事を忘れ、人間は借金のある事を忘れる。時には自分の魂の居所さえ忘れて正体なくなる。ただ菜の花を遠くに望んだときに目が醒める。ひばりの声を聞いたときに魂のありかが判然する。ひばりの鳴くのは口で鳴くのではない、魂全体が鳴くのだ。魂の活動が声に現れたもののうちで、あれほど元気のあるものはない。ああ愉快だ。こう思って、こう愉...草枕3シェリーの雲雀の詩

  • 草枕2 那美さんのこころの美

    夏目漱石さんの小説「草枕」は、ぼくが一番好きな小説です。「草枕」の中では、色々な良い部分があります。特に良いと思ったのは登場人物の一人、那美さんのこころです。那美さんの人生、境遇を前提に置き、那美さんの言葉、行動を通してこころの動きが見えてきます。そのこころにぼくは感動しました。主人公の青年画家は山路を登りながら、芸術について考えを巡らせていきます。山の中の温泉宿で宿泊をしている時に、温泉宿の若い奥様とよばれる人物と出会います。その人物こそ那美さんです。主人公が那美さんと初めて会った時、その見た目の美しさに以下のように思いました。「画にしたら美しかろう。」しかし、その表情や態度から那美さんの内面の部分を以下のように形容しています。「軽蔑の裏に何となく人にすがりたい景色が見える。人を馬鹿にした様子の底に慎み深い分...草枕2那美さんのこころの美

  • 草枕1 草枕について

    ぼくが一番好きな小説は夏目漱石さんが書いた小説「草枕」です。「草枕」は、著者の芸術に対する考えが描かれています。俳句や短歌や漢文や英詩や絵画などが作中で描かれており、芸術の事を知る上でとても参考になります。夏目漱石さん特有の品のある言葉の言い回しや、絢爛豊富な語彙により、美しい日本語に触れる事が出来ます。宮崎駿さんやピアニストのグレングールドさんも草枕を愛読していました。夏目漱石さん自身、「草枕」について以下の通り述べられています。「現在の小説というものは、必ずしも美しい感じを土台にしていないらしい。汚くても、不快でも一切無頓着のようである。しかし、文学であって、仮にも美を表す人間の表現の一部分である以上は、美しい感じを与えるものでなければならない。草枕は、ただ美しい感じが読者の頭に残りさえすればいい。それ以外...草枕1草枕について

  • 芸術の三大要素

    芸術は絵画、音楽、詩など色々な分野がありますが、全ての分野に共通している点があります。それは、芸術には三大要素が必ず含まれている点です。この芸術の考え方は人生哲学や、他の分野にも共通している点があると思います。ということは、芸術だけでなく世界の多くのものは三大要素によって成り立っているともいえます。三大要素は以下の通りです。①「バランス」②「シンパシー」③「スピリチュアリティ」①「バランス」芸術の基本形として、相反する二つのものが含まれています。相反する二つのものとは、例えば、プラス・マイナス、男・女、昼・夜、春・冬、大人・子供、暑い・寒い、長い・短い、高い・低い、明・暗など…バランスという意味はその相反する二つの物事の釣り合いが取れている。調和がとれているという意味です。仏教用語で中庸を指します。偏っていない...芸術の三大要素

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