<君から目が離せない> [その渦中に、来るべきものはやって来る]名札は見つからないまま、HRの時間になった。黒板には「模擬試験期末試験」と書いてある。「それぞれ6月10日と7月10日よ。気を引き締めて真剣に取り組むようにね」教室はため息と落胆の声でいっぱいになった。「静かに!あんたたち高校に行きたくないの?二つともすごく重要なテストだからね。模試は内申には関係ないからって、まさか適当に受ける人はいないわよね? もう一度言うけど、気を引き締めて真面目に取り組むように」 ミエはその話を流し聞きしながら、ちらっとチョルを見る。「普段よりも結果がすごく伸びる子も出てくるから、今回は頑張ること!分かった?」すると、横目でこちらを睨んでいるチョルと目が合った。ミエは咄嗟に逸らす。「模試の試験範囲は1、2年生の学習範囲...第六十七話⑦
ミエは9組に着くと、早速彼を呼び出した。「ねぇねぇモ・ジンソプ!」「あんた私の名札見なかった?毛虫見てビックリした時」 「え?見てないけど?てかビックリしてねーし。なんで?失くしたの?」 「うん」 「一緒に探してあげよっか?」「え?!いや大丈夫!あんたに責任はないし!誰かさんは手伝ってくんないけど!」「へーそっか」 「さっきは支えてくれてありがと・・」 ミエがそう言うと、モ・ジンソプはイケメンスマイルでこう返した。「どういたしまして。てか支えて当然でしょ、ミエを」ミッ・・不意に名前を呼ばれたミエは、なんだかゾワっとした。”ミエ”だって?かゆっこの人を思い出す。ジョンウクみたいw「ミエ〜」 そしてモ・ジンソプは、ずっと根に持っていたことを口に出す。「あ、ミエさ」「え?なに?」「キム・チョルと同じクラスだって...第六十七話⑥
朝の毛虫踏みつけ事件を経た日中、ミエの大声が教室に響いた。「あれっ?!」「私の名札は?!」気付いたら、ついているはずの名札がなかった。ミエは慌てて周囲に目を配らせ、隣の席のチョルに話し掛けた。「えーっなんで!?どこいった!?なんか今日服装検査がある予感がしたから、つけてきたんだよ絶対!!チョルキム!さっき私の名札見なかっ・・」「誰がチョルキムだ」チョルはミエが口にした妙なあだ名を、低いトーンで否定した。何〜?「おーいキム・チョル!昼休みサッカーしない?」顔を顰めるミエの方を振り返りもしないまま、チョルは教室から出て行く。そんなチョルの背中に、サッカー部のオ・ヨンスが嬉々として話しかけていた。ミエはおかんむりである。だって自分がチョルって呼ばせないからじゃん!昔も今も「名前を呼ぶんじゃねぇ」と発狂しているチ...第六十七話⑤
[こいつ、本当にどうしたら・・・]妹(10歳)よりも子供っぽいミエのことを考えると、チョルは途方に暮れるような気分だった。心配するミエの父親と同じように、自分もこの子のことを目にかけてやらないと、と。 [・・そう思ってたんだけど] けれどその考えが、少し揺らぐ出来事が起こった。それが今朝のこと。 「うおおおお!」突然の毛虫爆弾に驚いて立ち止まったチョルの背中に、ミエが激突したのだ。「ファンッ・・!」慌てて手を伸ばしたチョル。その目が、予想だにしない展開に丸くなる。「気をつけなくちゃ。チョルもね」突如彗星のように現れ、二人の女子を助けたイケメン☆モ・ジンソプに、ギャラリー達は沸き立った。「わ、モ・ジンソプ!」「かっこいー」まだ固まってるチョルに、ジンソプは言葉を続ける。「お前にぶつかったら、小さい女の子た...第六十七話④
休み時間、教室がざわついた。「あっ!変態がいるっ!」「どこ?!」「行こう!」走り出す生徒たちに続き、ファン・ミエも立ち上がる。「どこどこ!?・・うわっ!」ガンッしかし突然隣の席から足が伸び、ミエは強制的に座らされてしまった。ミエの視線の先には、ドス黒いオーラをまとったキム・チョルが・・。[何はともあれ] [確かにこいつは落ち着くってことを学ばなきゃならないんだと思う]チョルはそう思いながら、怒るミエの隣で耐えていた。教室の皆はそんな二人のことを努めて知らんふりをしながら、何の変哲もない話をしている。「なにさ!何すんのさ!なんで止めるのー!離してよー!」「静かにしてくれ・・」「今日のお昼何だっけ?」「ハヤシライスだって」 「えージャージャー麺とカレーの残り混ぜたのじゃないの?」 そんなこんなで、今日がまた終...第六十七話③
ここでチョルの視点から、これまでの二人の関係について追ってみよう。[1999年、一学期の約3ヶ月間、チョルとミエには][変わったことばかり起こった][このような一連の出来事の後、一週間ほどが経ったわけだが、] [実際、彼らの関係性にはそれほど大きな変化はない][しかし、キム・チョルは気になっていた][こいつ、どこかで一度頭を強く打ちでもしたんじゃないか?と] こいつ、とはもちろんミエのことである。 [そうじゃなきゃこんなことできないだろ!]チョルにとってミエは、幼い時からずっと”理解できない生き物”らしい。ある時はリュック全開のまま走り・・「おいっ!」「え?」[なんなんだ?]ある時はどうしてそうなった?と思うところにご飯粒をつけ・・「それはお前のおやつか?」「あっ!」[毎日] 「おっはよー!」「宿題は?」...第六十七話②
「ブログリーダー」を活用して、Yukkanenさんをフォローしませんか?