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  • 小川洋子「人質の朗読会」

    初版 2014年2月 中公文庫 あらすじ 遠く隔絶された場所から、彼らの声は届いた―慎み深い拍手で始まる朗読会。祈りにも似たその行為に耳を澄ませるのは、人質たちと見張り役の犯人、そして…。人生のささやかな一場面が鮮やかに甦る。それは絶望ではなく、今日を生きるための物語。しみじみと深く胸を打つ、小川洋子ならではの小説世界。(アマゾン商品紹介より) ・・・ネタバレあり・・・ 始めは何か観念的な世界観の話かと思ったけど リアルに南米のテロリストに拉致されて人質となった日本人8人の話です。 ハリウッド映画ならヒーローによって最後は救出されてハッピーエンドとなるはずが、 小川さんはそんなに甘くないんです…

  • 小川洋子「猫を抱いて象と泳ぐ」読書感想

    初版 2011年7月 文春文庫 少年がデパートの屋上に取り残された象に心を寄せるところから始まります。 その象インディラは、子象の時に屋上遊園地に見世物として運び込まれ、大きくなったら屋上から降ろせなくなって、そのまま屋上で孤独に生涯を閉じました。 インディラの錆びた足輪の記念碑と、おそらく長年そこにいた事でできた窪みの水溜りに 心を寄せて、少年は想像のなかでインディラを友達にしています。 また、自宅と隣の家の細すぎる隙間に、挟まったまま誰にも気づかれず死んでいった・・・かもしれない少女を想像して、ミイラとあだ名をつけて心の友にしてたり・・。 そんな少年が主人公です。 少年はおそらく今でいう発…

  • 退廃って何でしょう? 小池真理子「恋」読書感想

    初版 2002年12月 新潮文庫 あらすじ 1972年冬。全国を震撼させた浅間山荘事件の蔭で、一人の女が引き起こした発砲事件。当時学生だった布美子は、大学助教授・片瀬と妻の雛子との奔放な結びつきに惹かれ、倒錯した関係に陥っていく。が、一人の青年の出現によって生じた軋みが三人の微妙な均衡に悲劇をもたらした……。全編を覆う官能と虚無感。その奥底に漂う静謐な熱情を綴り、小池文学の頂点を極めた直木賞受賞作。(アマゾン商品紹介より) 学生運動が盛んだった時代。 政治、哲学、イデオロギー。そこかしこで、観念的な理屈をこねくり回していた時代。 その相反で、「退廃」「虚無」「堕落」「ヒッピー」などという、イデ…

  • 成長とは何かを考えさせられた小説、桜庭一樹「荒野」

    初版 2017年5月 文春文庫 あらすじ 鎌倉で小説家の父と暮らす少女・荒野。「好き」ってどういうことか、まだよくわからない。でも中学入学の日、電車内で見知らぬ少年に窮地を救われたことをきっかけに、彼女に変化が起き始める。少女から大人へ―荒野の4年間を瑞々しく描き出した、この上なくいとおしい恋愛“以前”小説。(アマゾン商品紹介より) ゆるふわ日常系? ほとんど何も起きない・・。 平凡な女子中学生が高校生になるまでの4年間の成長の話です。 主人公山野内荒野は部活動に熱中するわけでもなく、何かオタクな趣味を持ってるわけでも、色恋に奔走するわけでもありません。 女友達3人組で喫茶店でおしゃべりしたり…

  • 「ブレイクアウト 行き止まりの挽歌」 映画感想

    公開 1988年 監督 村川透 原作 栗本薫 出演 藤 竜也 村上弘明 石野陽子 成田三樹夫 我が青春の80年代作品です。レンタル新作のぐらいのタイミング(もちろんVHSテープの時代)で観て、すごく良かった印象が残っていて。 3年ぐらい前に、もう一度観たいと思って、近所のツタヤの旧作コーナーを探すも見つからず、ゲオに行ってもなく、隣町のレンタルビデオ店など数件回っても、どこにもなくて、 こうなったらアマゾンで買ってやろうじゃねえのと思うも、いつも在庫切れで。 ずっと1つだけ残っているのは6万円の中古DVDでさすがに買えず。 3年越しに、ようやく4千円程度のやつが出てきたから、即買いしちゃいまし…

  • 「ガラスの海を渡る舟」寺地はるな 読書感想

    初版 2021年9月 PHP研究所 あらすじ 大阪の心斎橋からほど近いエリアにある「空堀商店街」。そこには、兄妹二人が営むガラス工房があった。兄の道は幼い頃から落ち着きがなく、コミュニケーションが苦手で、「みんな」に協調したり、他人の気持ちに共感したりすることができない。妹の羽衣子は、道とは対照的に、コミュニケーションが得意で何事もそつなくこなせるが、突出した「何か」がなく、自分の個性を見つけられずにいる。正反対の性格である二人は互いに苦手意識を抱いていて、祖父の遺言で共に工房を引き継ぐことになってからも、衝突が絶えなかった。そんなガラス工房に、ある客からの変わった依頼が舞い込む。それは、「ガ…

  • 「晴天の迷いクジラ」窪美澄 読書感想

    初版 2014年7月 新潮文庫 あらすじ デザイン会社に勤める由人は、失恋と激務でうつを発症した。社長の野乃花は、潰れゆく会社とともに人生を終わらせる決意をした。死を選ぶ前にと、湾に迷い込んだクジラを見に南の半島へ向かった二人は、道中、女子高生の正子を拾う。母との関係で心を壊した彼女もまた、生きることを止めようとしていた――。どれほどもがいても好転しない人生に絶望し、死を願う三人がたどり着いた風景は──。命のありようを迫力の筆致で描き出す長編小説。 (新潮社HPより) 物語は 自殺しようとしている人どうしが いまわの際で出会って、すったもんだして、ギリギリで自殺踏みとどまって、 さて、どうやっ…

  • 「ドライヴ」映画感想

    www.youtube.com 製作 2011年 米 監督 ニコラス・ウェンデング・レフン 出演 ライアン・ゴズリング キャリー・マリガン ブライアン・クランストン あらすじ 天才的なドライビングテクニックを持つ寡黙な“ドライバー”(ライアン・ゴズリング)は、昼間は映画のカースタントマン、夜は強盗の逃走を請け負う運転手という2つの顔をもっていた。ある晩、仕事を終えたドライバーは、同じアパートに暮らすアイリーン(キャリー・マリガン)と偶然エレベーターで乗り合わせ、一目で恋に落ちる。次第に親しくなっていく2人だったが、ある日、アイリーンの夫スタンダード(オスカー・アイザック)が、服役を終え戻ってき…

  • 「滅びの前のシャングリラ」 凪良ゆう 読書感想

    初版 2020年10月 中央公論社 あらすじ 「一ヶ月後、小惑星が衝突し、地球は滅びる」学校でいじめを受ける友樹、人を殺したヤクザの信士、恋人から逃げ出した静香。そして―荒廃していく世界の中で、四人は生きる意味を、いまわのきわまでに見つけられるのか。 (アマゾン商品紹介より) デザスターものと言うんでしょうか、デストピアものと言うんでしょうか・・。 ハリウッド映画や海外ドラマではおなじみの設定ですね。 ただ、本作は科学者が主人公で隕石衝突を回避させてヒーローになる。 という、ものではありません。 本作の主人公4人、いや5人は、普通の人。どちらかと言えはマイノリティーで 平常の社会では生きづらさ…

  • 「その手に触れるまで」映画感想

    製作 2019年 ベルギー・フランス 監督 ジャンピエール&リュック・ダルデンヌ あらすじ ベルギーに暮らす13歳の少年アメッドはどこにでもいるゲーム好きの普通の少年だったが、尊敬するイスラム指導者に感化され、過激な思想にのめり込む。ある日、学校の先生をイスラムの敵と考え始め、抹殺しようとする。狂信的な考えに取り憑かれてしまった少年の気持ちを変える事はできるのだろうか……? (アマゾン商品紹介より) イスラム原理主義に傾倒していく少年の話。 過激な1信教に傾倒してく理由は何なのか・・・。 女性と握手しちゃいけない。キリスト教、ユダヤ教、他 イスラム教以外はすべて敵。 信仰を妨げるものは殺してよ…

  • 「冬のひまわり」五木寛之 読書感想

    初版 1988年8月 新潮文庫 あらすじ 山科の旧家の娘遠野麻子は短大をでたあと、24歳で平凡な小学校教師と結婚した。 それから6年目の夏、彼女は鈴鹿サーキットで、イタリアから帰国したばかりの昔の恋人森谷透と劇的な再開をした。以後、麻子と透は年に1度、二人が初めて出会った鈴鹿で、オートバイの耐久レースを見るだけの逢瀬を重ね、7年の歳月が経ったのだが・・・ (新潮文庫表紙裏より) 実は麻子は16歳で20歳の透と鈴鹿で出会い、以来、37歳まで 毎年1回8月に鈴鹿8耐を観に行き続ける話。 あまり細かいことは描かれない。 結構短い短編に近いものの中で、20年に及ぶ歳月がざっくり端的に描かれていく。 ど…

  • 「アルプススタンドのはしの方」映画感想

    製作 2020年 日本 監督 城定秀夫 あらすじは、タイトルから想像できるまま 甲子園1回戦出場校の応援スタンドのはしの方にたむろする 斜に構えたやつらのワンシュチュエーションもの。 観る側でもなく、観られる側でもなく・・・ 何者にも属さない半端者たち・・。 私もこういうタイプの高校生だったから いやいや懐かしく思い出しちゃった。 私の場合も、部活は何もやってなかったし、勉強もスポーツも落ちこぼれ。 かといって不良でもなく、特別目立ついじめられっ子でもなく 制服もノーマル。なんの改造も着崩しもしない、 いたって地味な「パンピー」と呼ばれていた。(その他大勢一般ピープルの略) 1年に何度かあるク…

  • 「哀しみの女」五木寛之 読書感想

    初版 1989年8月 新潮文庫 あらすじ 年下の画家・章司と暮らす和実は、たまたま見かけた異端の天才画家エゴン・シーレの作品「哀しみの女」に、自分の未来の姿を予感する。そして、彼女は、モデルであり画家の愛人でもあった女の薄幸な人生に、自分の運命を重ね合わせていた…。ウィーン世紀末の画家とモデルとの退廃的な関係を現代に重ねて、男の野心と女の愛を描く大人のための恋愛小説。 (アマゾン商品紹介より) この作品で、エゴン・シーレという画家も「哀しみの女」という絵も初めて知りました。 たしかに、なんとも惹きつけられる絵です。(文庫表紙の挿絵) この絵のモデル、ヴァリー・ノイツィルは14~15歳にして50…

  • 「すべて真夜中の恋人たち」川上未映子 読書感想

    初版 2014年10月 講談社文庫 あらすじ 入江冬子(フユコ)、34歳のフリー校閲者。人づきあいが苦手な彼女の唯一の趣味は、誕生日に真夜中の街を散歩すること。友人といえるのは、仕事で付き合いのある出版社の校閲社員、石川聖(ヒジリ)のみ。ひっそりと静かに生きていた彼女は、ある日カルチャーセンターで58歳の男性、三束(ミツツカ)さんと出会う・・・。 (アマゾン商品紹介より) SNSで、「文章がきれい」「彼女の書く表現が好き」との声をたびたび目にして。 比較的若い女性層から支持されてるのかな、となんとなく気になっていた作家です。 しかしオッサンの私には合わないか?と躊躇していたところ。 たまたま立…

  • 「流」東山彰良 読書感想

    あらすじ 1975年、台北。偉大なる総統の死の直後、愛すべき祖父は何者かに殺された。内戦で敗れ、追われるように台湾に渡った不死身の祖父。なぜ?誰が? 無軌道に生きる17歳のわたしには、まだその意味はわからなかった。台湾から日本、そしてすべての答えが待つ大陸へ。歴史に刻まれた一家の流浪と決断の軌跡。満票決着「20年に一度の傑作!」(北方謙三氏)。第153回直木賞受賞作! (アマゾン商品紹介より) 国民党戒厳令統治下の70年代台湾が舞台。主人公は17歳の青年、秋生。 ゴリゴリの国民党員の祖父は中国山東省に生まれ、抗日戦争を戦い、親日派の一家を皆殺しにし、戦後は中国共産党との抗争に追われ、蒋介石と共…

  • 「砂上」桜木紫乃 読書感想 ~理解と共感の狭間で~

    初版 2020年7月 角川文庫 主人公は40歳独身女、柊令央。ビストロでバイトしながら小説書いている。 離婚した元夫からの慰謝料を頼りに生活しているが、最近は滞りがち。 向こうも生活が厳しいと金額の値引きを打診されたり・・・。 直近、母が死んだらしいが、それにたいしての感情は希薄なようだ。 疎遠な妹がいるが、お互いにあまり干渉しあわないドライな関係だ。 この妹が実は娘で・・そのあたりの身の上話を私小説風にして書いていたのだが。 あちこちの文芸新人賞などに原稿を応募しては落選を続けている。 そんな落選原稿に目を止めて連絡してくる風変わりな女編集者小川乙三。 「あなたの身の上話など、誰も興味ありま…

  • 「六月の雪」乃南アサ 読書感想

    初版 2021年5月 文春文庫 あらすじ 30代前半、独身の杉山未來は、声優になるという夢に破れ、父母、妹、弟と離れ、 祖母・朋子と東京でおだやかな二人暮らし。 ある日、祖母の骨折・入院を機に、未來は祖母が台湾うまれであることを知る。 彼女を元気づけるため、未來は祖母ゆかりの地を訪ねようと台湾へと旅立つ。 ところが戦前の祖母の記憶はあいまいで手掛かりが見つからない。 そこで出合ったのはひと癖もふた癖もある台湾の人たち。 台湾が日本の植民地であったこともぼんやりとしか知らない未來は、中国国民党に蹂躙された台湾の人々の涙を初めて知る。 いっぽう、朋子は認知症を発病し、みずからの衰えに言いようのない…

  • BS1ドキュメンタリー「良心を束ねて河となす 〜医師・中村哲 73年の軌跡〜」 を観て。

    概要 2019年12月、アフガニスタンで銃撃により命を落とした医師・中村哲。長年、戦乱が続くアフガニスタンで活動を続け、医療体制を整備。さらに、用水路の建設で荒れ果てた土地を恵み豊かな大地へと変え、65万人分の食料生産を可能にした。九州福岡出身。元々精神科医師だった中村が、なぜアフガニスタンに傾注していったのか。そこには、どんな思いがあったのか。番組は、生い立ちや仕事を知る20人余りにインタビュー。様々な活動を記録した貴重な映像と共に、医師・中村哲の足跡を振り返る。 (公式HPより) 心震える番組でした。 こういう作品に対する熱い感想を人に語るのは ある種の政治的、思想的プロパガンダになりかね…

  • 「三島由紀夫VS東大全共闘」映画感想

    公開 2020 監督 豊島圭介 出演 三島由紀夫 東出昌大(ナレーション) 概要 1969年5月13日、 1000人を超える学生たちが待ち受ける 東大駒場キャンパス900番教室に、 ただならぬオーラを放つ文豪・三島由紀夫が現れる。 東大全共闘が、思想も立場も正反対の三島を討論会に招いたのだ。 いったい何のために? 午後2時5分、伝説の幕が開ける──。 その全貌を明かす 衝撃のドキュメンタリー! (アマゾン商品紹介より) 予想どうり討論の内容はチンプンカンプン。 なんとなく感じた事として 三島由紀夫VS東大全共闘=右翼VS左翼=保守VS革新 の激論会にする事が、当時の討論会主催者の狙いで 今回の…

  • 「フリーソロ」映画感想

    製作 2018年 米 監督 エリザベス・チャイ・ザバルヘリィ ジミー・チン 出演 アレックス・オノルド 作品紹介 ロープや安全装置を使わず、素手で岩壁を登る“フリーソロ”。 本作は、その第一人者として知られるアレックス・オノルドが、カリフォルニア・ヨセミテ国立公園にある970メートルの高さを誇る北米最大の岩壁「エル・キャピタン」に挑む様子を描いたドキュメンタリー作品。 他の誰もが達成したことのないその挑戦は、彼に究極の選択を突き付ける。 成功か死か・・。 幾度の失敗と練習を重ね、2017年6月3日、人類史上最大の挑戦に挑む―。 (ファッションプレスより) あのヨセミテの大岩壁をロープなし一切の…

  • 「ハーフネルソン」映画感想

    製作 2006年 米 監督 ライアン・フレック 出演 ライアン・ゴズリング あらすじ 暗闇の中、僕は一筋の光を見つけた。 ブルックリンの中学校で黒人やヒスパニックの子どもたちに歴史を教える教師、ダン・デューン(ライアン・ゴズリング)。型にはまらない授業で生徒たちの信望を集めているが、一方で自身はドラッグに溺れている。ある日学校のトイレの個室でドラッグを吸っている現場を、女子生徒ドレイ(シャリーカ・エップス)に見つかってしまう。彼女の兄は薬物を売った罪で刑務所におり、近所には多数のドラッグディーラーがたむろするような劣悪な環境で母親と二人で暮らしている。そんな彼女を何とかして救おうとするダンと、…

  • 「ライムライト」映画感想

    製作 1952年 米 監督 チャールズ・チャップリン 出演 チャールズ・チャップリン クレア・ブルーム バスター・キートン あらすじ 第一次大戦前、ロンドンでの物語である。カルヴェロ(チャップリン)はミュージック・ホールの道化師で、かつてはイギリス最大の芸風を謳われたが、中年をすぎた今はすっかり落ちぶれてしまった。ある日、彼が酔ってアパートに帰ってみると、美しい女が自殺を企てて意識不明になって倒れていた。カルヴェロは大急ぎで医者を呼び彼女を手当てしたので幸い息を吹きかえした。彼はその女がすっかり回復するまで自室におくことにした。女はテリー(クレア・ブルーム)というバレエの踊り子で、自分の芸術に…

  • 「神様のカルテ」ドラマ感想

    放送 2021年2月15日~3月8日 テレビ東京 原作 夏川草介 出演 福士蒼汰 大倉孝二 大島優子 イッセー尾形 北大路欣也 最近、この作品の原作者である夏川草介さんの「はじまりの木」を読んで、 心惹かれるものがあって。 「神様のカルテ」の方の原作は実は読んでなくて。 櫻井翔主演の映画は観たんですがね。 まあまあ良かった印象は残ってるけど詳細は忘れたという感じで。 あれが2011年ですか・・・。 今回、テレビ東京系で2時間×4夜の大型スペシャルドラマとして放送されたもの 録画して観ました。 なぜ今これなんだ?という思いはあれど・・。 さて。 「はじまりの木」を読んだからこそ分かったのはこの原…

  • 「幼子われらに生まれ」映画感想

    公開 2017 監督 三島有紀子 原作 重松清 出演 浅野忠信 田中麗奈 寺島しのぶ 宮藤官九郎 あらすじ バツイチ、再婚。一見良きパパを装いながらも、実際は妻の連れ子とうまくいかず、悶々とした日々を過ごすサラリーマン、田中信(浅野忠信)。 妻・奈苗(田中麗奈)は、男性に寄り添いながら生きる専業主婦。 キャリアウーマンの元妻・友佳(寺島しのぶ)との間にもうけた実の娘と3カ月に1度会うことを楽しみにしているとは言えない。 実は、信と奈苗の間には、新しい生命が生まれようとしていた。 血のつながらない長女はそのことでより辛辣になり、放った一言―「やっぱりこのウチ、嫌だ。本当のパパに会わせてよ」。 今…

  • 「わたしの美しい庭」 凪良ゆう 読書感想

    初版 2019年 12月 ポプラ社 あらすじ 小学生の百音と統理はふたり暮らし。朝になると同じマンションに住む路有が遊びにきて、三人でご飯を食べる。 百音と統理は血がつながっていない。その生活を“変わっている”という人もいるけれど、日々楽しく過ごしている。 三人が住むマンションの屋上。そこには小さな神社があり、統理が管理をしている。 地元の人からは『屋上神社』とか『縁切りさん』と気安く呼ばれていて、断ち物の神さまが祀られている。 悪癖、気鬱となる悪いご縁、すべてを断ち切ってくれるといい、“いろんなもの”が心に絡んでしまった人がやってくるが―― (ポプラ社HPより) 凪良ゆう、二冊目。 どうもこ…

  • 「始まりの木」夏川草介 読書感想

    初版 2020年9月 小学館 『神様のカルテ』著者、新たなステージへ! 「少しばかり不思議な話を書きました。 木と森と、空と大地と、ヒトの心の物語です」 --夏川草介 第一話 寄り道【主な舞台 青森県弘前市、嶽温泉、岩木山】 第二話 七色【主な舞台 京都府京都市(岩倉、鞍馬)、叡山電車】 第三話 始まりの木【主な舞台 長野県松本市、伊那谷】 第四話 同行二人【主な舞台 高知県宿毛市】 第五話 灯火【主な舞台 東京都文京区】 藤崎千佳は、東京にある国立東々大学の学生である。所属は文学部で、専攻は民俗学。指導教官である古屋神寺郎は、足が悪いことをものともせず日本国中にフィールドワークへ出かける、偏…

  • 「あなたが眠っている間に」韓国ドラマ感想

    製作 2017年 韓国 出演 イ・ジョンソク ぺ・スジ チョン・ヘイン あらすじ 予知夢が見える女性ホンジュは、起こると分かっている悲劇を防げないことに苦悩する日々を送っていた。ある夜、見知らぬ男性に抱きつく夢を見るが、翌朝向かいに越してきた新人検事ジェチャンがその男性だと気づき仰天。互いに最悪の第一印象を抱くが、数日後ジェチャンがある事故を防ぎ、ホンジュの命を救う。実はジェチャンも予知夢を見て助けてくれたと知ったホンジュは、彼となら未来を変えられると考え始め…。一方、事故が防がれたことで命を救われた警察官のウタクもまた予知夢を見始める。不思議な夢で結ばれた3人の運命、そしてホンジュとジェチャ…

  • 「天気の子」映画感想

    製作 2019年 監督 新海誠 あらすじ 高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らす少女・陽菜。彼女には、不思議な能力があった。「ねぇ、今から晴れるよ」少しずつ雨が止み、美しく光り出す街並み。それは祈るだけで、空を晴れに出来る力だった。 (映画の時間より) 雨を100%の確率で晴れに変える力を持つ少女の話。 さすがにファ…

  • 「たゆたえども沈まず」原田マハ 読書感想

    初版 2020年4月 幻冬舎文庫 19世紀後半、栄華を極めるパリの美術界。画商・林忠正は助手の重吉と共に流暢な仏語で浮世絵を売り込んでいた。野心溢れる彼らの前に現れたのは日本に憧れる無名画家ゴッホと、兄を献身的に支える画商のテオ。その奇跡の出会いが“世界を変える一枚”を生んだ。読み始めたら止まらない、孤高の男たちの矜持と愛が深く胸を打つアート・フィクション。 (アマゾン商品紹介より) マハさん得意の半分実話の中にフィクションをぶっこむ アートフィクションシリーズです。 今回の主な登場人物はフィンセント・ファン・ゴッホ。 その弟テオ。テオの妻ヨー。 日本人画商、林忠正。林の助手、加納重吉。 架空…

  • 「流浪の月」凪良ゆう 読書感想

    初版 2019年8月 東京創元社 あらすじ 小学生の家内更紗(かないさらさ)は大好きな両親と平和に暮らしていた。 自由奔放な母と寛容な父。(ちょっとジョンとヨーコを思いだす) 近所の人や学校の友達からはヤバイ家族と噂されていたけど。 更紗自身も常識や規律に縛られない性格で、そんな両親との暮らしは最高に幸せな日々だった。 しかし、父が病死。それを機に母も蒸発。伯母の家に引き取られる。 そこは「常識」に満ちた窮屈な空間だった。 さらに大嫌いないとこ、孝弘の存在。 更紗は自分の居場所は無いと感じるようになり、学校帰りの公園で友達と別れた後も一人で本を読んだりするようになる。 その公園の向かいのベンチ…

  • 「機関車先生」伊集院静 読書感想

    初版 1997年 講談社文庫 あらすじ 新しい先生は、口をきかんのじゃ…。舞台は戦争の傷跡の残る昭和三十年代、瀬戸内の葉名島。この小さな島の、生徒わずか七人の小学校に、北海道から代用教員がやってきた。口がきけないことと体が大きい事をかけて「機関車先生」 数々の事件が起こるなかで、子供たちは逆に心の交流を深め、自然の大切さや人間の優しさについて学んでいく。 第七回柴田錬三郎賞受賞作。 口がきけない先生・・・。 となれば当然、父兄たちが黙っちゃいないだろうし、子供たちにだってそう簡単に受け入れるだろうか・・・と。 まずはそんなドラマがメインなのかなと想像するでしょう? その問題はあっさり序盤で解決…

  • 「鬼滅の刃 無限列車編」映画感想

    観てしまいました。 TVアニメシリーズはタイムリー放送時に全話観まして。 私的にはまずまず良かったという印象でした。 もう嫌でも耳に入っているかもしれませんが、ここでもざっと概要の説明をさせてもらいますね。 ざっくり言えば桃太郎的鬼退治の話です。 しかしここの鬼は元は人間で、鬼舞辻という鬼の始祖に噛まれたり故意に血を分け与えられたりして鬼となるわけですが。 その生態は様々で下級の鬼は本能むき出しに人を捕食するゾンビ的なものから、上級になってくると自我を持ち言葉も普通にしゃべり、人間の時の記憶も持ちながらその怨念を晴らしているものまでいたり。 基本的には人間を食べて生きているので、人間にとっては…

  • 「建築学概論」映画感想

    製作 2012年 韓国 監督 イ・ヨンジュ 出演 オム・テウン ハン・ガイン スジ イ・ジェフン あらすじ 建築学科に通う大学1年のスンミン(イ・ジェフン)は、“建築学概論"の授業で音楽科の女子学生ソヨン(スジ)に出会い、一目で恋に落ちた。しかし、恋に奥手なスンミンはなかなか告白できないまま、小さな誤解からソヨンと遠ざかってしまう。それから15年後、建築士になったスンミン(オム・テウン)の前に、ソヨン(ハン・ガイン)が突然現れ、家を建てて欲しいと言う。その建築の過程で次第に明らかになるソヨンの素性。そして、よみがえる記憶と新たに生まれる温かな感情。しかしスンミンには婚約者がいたー。 (アマゾン…

  • 「風の電話」映画感想

    製作 2020年 監督 諏訪敦彦 出演 モトーラ世里奈 三浦友和 西島秀俊 西田敏行 2011年の東日本大震災で家族全員をいっぺんに失ってしまった少女の話。 主人公ハルを演じるモトーラ世里奈の存在感。すごいな。 もう笑っちゃうほどすごいよ。一切コメディ要素の無いシリアスな内容なんだけど・・・もう、笑うしかないという感じ。 感動するとか、泣くとか、お涙頂戴とかそういうものでもない。 ほとんどセリフもない表情と佇まいの長回しで進行していくんだけど 並の俳優だったらこんなの観れたもんじゃないだろうけど・・・。 のっけから心壊れてまくってる感じ。 いつ折れるか分からない小枝のような佇まい。 次の瞬間、…

  • 「ジョーカー」 藤堂志津子 読書感想

    初版 2003年6月 講談社文庫(角川文庫1993年の再販) なぜ今更こんなのを読む気になったのか・・・。 藤堂さんは青春時代にはまった作家さんの一人。 誰しも青春時代は輝いて思えるのではないか。 遠く離れれば離れるほどに 実際は鬱屈したものもたくさん背負っていたはずなのに ただただ素晴らしき日々であったかの如く 昔はよかったと回顧するようになる。 そんなジジイになってしまったという事か・・。 いやいや。そこは認めたくない・・・。 僕の青春時代は80年代後半から90年代といったところか。 バブルのちょっと後・・・ギラギラした下品さが薄れて 台風一過の爽やかな風がキラキラと吹いていたような時代。…

  • 「老人と海」アーネスト・ヘミングウェイ 読書感想

    初版 1966年6月 新潮文庫 (原作出版1952年) あらすじ キューバの老漁夫サンチャゴは、長い不漁にもめげず、小舟に乗り、たった一人で出漁する。残りわずかな餌に想像を絶する巨大なカジキマグロがかかった。4日にわたる死闘ののち老人は勝ったが、帰途サメに襲われ、舟にくくりつけた獲物はみるみる食いちぎられてゆく…。徹底した外面描写を用い、大魚を相手に雄々しく闘う老人の姿を通して自然の厳粛さと人間の勇気を謳う。 (アマゾン商品紹介より) 名前は知ってたけど読んだことなかったヘミングウェイ。 もちろん本作もタイトルとストーリーはなんとなく知ってたけど初読みです。 こんなにペラペラだったとは。(内容…

  • 「サラバ」上・中・下巻 西加奈子 読書感想

    初版 2017年10月 小学館文庫 いや~時間かかった。長かった。 上・中・下・文庫3巻。 長い長い、家族の話。 僕と真逆の性格の主人公に全く共感できず、 終始イライラ、読むのも何度も挫折しかかり中断し・・・ 何とか意地で読み進めた・・・。 この作家はこの物語をどう締めくくるのか、 その1点だけをよりどころにして・・ そしてそれは、あまりにも小さな小さな結末だった こんな小さな結末に思わずホロリとさせられてしまうとは・・ 参りましたよ。 第152回直木賞受賞作。異論なしです! (上巻あらすじ) 圷歩(あくつあゆむ)は、父の海外赴任先であるイランの病院で生を受けた。その後、父母、そして問題児の姉…

  • 「ファミリー・マン ある父の決断」映画感想

    製作 2016年 カナダ・アメリカ 出演 ジェラルド・バトラー ウィレム・デフォー あらすじ 腕利きのヘッドハンターとして優秀な人材の引き抜きや仕事の斡旋に誰よりも熱心に取り組み、会社の中でも一、二位を争う業績を上げてきたデイン(ジェラルド・バトラー)。 社長のエド(ウィレム・デフォー)は、彼とそのライバルの女性社員リン(アリソン・ブリー)に、今後の業績次第でどちらかに社長の座を譲ると告げ、2人に更なる発破をかける。ところがそんな折、10歳になるデインの息子ライアンが、急性リンパ性白血病にかかっていることが判明し入院することになった。 息子の一大事にも関わらず、依然として仕事に明け暮れているデ…

  • 「キリングフィールド」映画感想

    製作 1985年 英 監督 ローランド・ジョフィ 出演 ジョン・ウォーターストーン ハイン・S・ニョール ジョン・マルコビッチ 冒頭5分。 主人公の新聞記者の言動で、ちょっと否定的な見方になってしまいました。 「どこに行こうと僕の自由だ!」 「法で認められている」 「妨害は違法行為だ」 「あんたの一言一句を記事に載せるよ」 マスコミの、言論の自由を盾に、自分の正義を疑わない姿・・。 最近のコロナ渦でマスコミや芸能人たちの「正義の言葉」に辟易していて タイミングも悪かったのかもしれないけど・・。 鼻について仕方なかった。 他の記者やカメラマンたちも、やみくもにバシャバシャ写真を撮っているだけで、…

  • 「戒厳令の夜 上・下」 五木寛之 読書感想

    初版 1980年 3月 新潮文庫 あらすじ 元美術史学徒で今は二流の映画ライターをやっている主人公の江間。 とある映画祭の取材の帰りに、ふらりと訪れた福岡の酒場で そんなところにあるはずもない幻の名画を発見する。 福岡に在住する元右翼の重鎮で美術コレクターでもある鳴海を訪ね その絵の真贋について意見を求めると、鳴海の意見もそれは間違いなく その画家のものだという。 その画家の絵はおそらくかつてナチスに搾取され 約150点の作品群と共に行方知れずになっていたもの。 ナチスに搾取された美術品が、同盟国だった日本に流れたという可能性はある。 鳴海の個人的要請によって、江間は映画ライターの仕事を辞して…

  • 「赤い靴が悲しい」片岡義男 読書感想

    初版 平成元年10月 祥伝社文庫 高校生の頃、みんなが赤川次郎をまわし読みしたりしてた時、 僕は一人で片岡義男を読んでいた。 まあ、どちらも今思えばラノベ的で、(いい意味で)軽薄で、 おおよそ文学賞とは無縁な、心の闇とかドロドロした人の業 などほとんど描かれない。 あの時代、80年代バブルのちょっと浮かれていて、湿り気の無い、カラッと爽やかな世情が色濃く表現されていたり。 たいした中身は無いんだけど・・・。 大人になってからも5年周期ぐらいで、無性に読みたくなるのですよ。 なぜか・・。 赤川次郎は置いといて、片岡義男の本の魅力とは、 一言でいうなら、淡々とした情景描写とどうでもいいストーリーの…

  • 「アイ」西加奈子 読書感想

    初版 2019年11月 ポプラ文庫 最近書店でよく見かけて、気になっていた作家さん。 はじめて読みました。 記念すべき第1冊目です。 この物語の主人公はワイルド増田アイ。 アイはシリアで生まれた。 本当の両親は知らぬまま、赤ん坊の時、アメリカ人の父と日本人の母のもとに養子としてやってきた。 小学校卒業まではニューヨーク、ブルックリンの高級住宅街で育つ。 両親は慈善活動家で、4歳の頃には世界の不均衡について教えられ、養子であることも教えられた。 アイは表面的にはおとなしく素直ないい子だった。 決して、だだをこねたり、おねだりしたりしない。 しかし、その裏にはいつも「養子」であるという意識があった…

  • 「伏 鉄砲娘の捕物帳」アニメ映画感想

    公開 2012年 監督 宮地昌幸 原作 桜庭一樹 あらすじ <伏を狩らねばならない>猟師の少女と、<人に狩られる>運命を背負った青年の出会い、初めての想い、そして、それぞれの決断の物語。 祖父の死をきっかけに山を下りた、猟銃使いの少女・浜路。観るもの聞くもの初めてづくしのその町で、彼女は奇妙な噂を耳にする。 人と犬の血を引き、人に化けて暮らし、人の生珠(いきだま)を喰らう<伏>と呼ばれる者たちのこと。そして、彼らが起こす凶悪事件について。 居場所を探して彷徨う浜路は、やがて、犬の面をつけた白い髪の青年・信乃と出会う-。 (アマゾン商品紹介より) 僕が好きなタイプの話です。 ブレードランナー的な…

  • 「浮草」映画感想

    公開 1959年 監督 小津安二郎 出演 中村鴈治郎 京マチ子 若尾文子 あらすじ 志摩半島の小さな港町を舞台に、ドサ廻り一座「嵐駒十郎一座」とそれを取り巻く人々のさまざまな人間模様を描く。 画面に広がる昭和ノスタルジー。昭和女性の艶っぽさ。 男たちの悲哀、人生の哀愁。滑稽さ・・。 独特にして唯一無二の世界観があるのですね~ と、鑑賞後3日ぐらい経って客観的に引いて思い返すと じわじわと味わい深く思えてくるのですが・・・。 鑑賞直後の率直な感想はイライラ! やっぱり小津監督はどうも合わない! 何が合わないって、一言で言えば 根底に流れる男尊女卑な世界観。 当時の世情を描いているのはわかるけど …

  • 「僕たちのアナ・バナナ」映画感想

    製作 2000年 米 監督 エドワード・ノートン 出演 ベン・スティラー エドワード・ノートン ジェナ・エルフマン 男二人とマドンナ一人の典型的な幼なじみ三角関係ラブコメです。 しかし、そこに宗教的なエッセンスが加わって、 なかなかに奥深い作品となっています。 舞台はニューヨークのアッパー・ウエストサイド。 子供の頃から大親友ジェイク(ベン・スティラー)とブライアン(エドワード・ノートン)は、大人になり、それぞれに ユダヤ教ラビと、カトリックの神父になった。 互いに聖職についた二人は、伝統や格式に囚われない開かれたアプローチで仕事に専念し、その説法はまるでTVのエンターテーメントショーのようで…

  • 「リーチ先生」原田マハ 読書感想

    集英社文庫 初版 2019年6月 好いものは好い。 そう感じる私たち日本人の心には、きっと“リーチ先生”がいる。 日本を愛し日本に愛されたイギリス人陶芸家の美と友情に満ち溢れた生涯を描く感動のアート小説。 第36回新田次郎文学賞受賞作 若きイギリス人芸術家バーナード・リーチ。 ロンドン美術学校で芸術を学ぶも、ルネッサンスを継承するような貴族中心のきらびやかな西洋美術にはどこか違和感を感じていた。 やがて、ジョン・ラスキンの自然派芸術論に影響を受け、ラフカディオハーン(小泉八雲)の伝記を読み日本に強いあこがれを持つようになった。 そんなおり、留学中の一人の日本人青年、高村光太郎と出会い、日本への…

  • 「万引き家族」映画感想

    製作 2018年 監督 是枝裕和 出演 リリーフランキー 安藤サクラ 樹木希林 あらすじ 高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の4人が転がり込んで暮らしている。彼らの目当ては、この家の持ち主である初枝の年金だ。足りない生活費は、万引きで稼いでいた。社会という海の底を這うような家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしていた。 冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼い女の子を、見かねた治が家に連れ帰る。ちょっとご飯を食べさせてあげて返すつもりだったが、女の子は体中傷だらけで・・。 いや~なかなかに良…

  • 「星の子」今村夏子 読書感想

    初版 2019年12月 朝日文庫 初めて読む作家さんです。 芥川賞受賞作家さんという事は知らず ふらっと入った書店で背表紙のあらすじに惹かれて 衝動買いでした。 そのあらすじとは 主人公・林ちひろは中学3年生。 出生直後から病弱だったちひろを救いたい一心で、 両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき、 その信仰は少しずつ家族のかたちを歪めていく・・・・。 第39回 野間文芸新人賞受賞作。 「あやしい宗教」といっても本作の宗教は別に 人を殺したり監禁したりはしない。 ただ病気が治るという「特別な水」を使い水道水は飲まないとか。 その水をタオルに浸して頭に置きながら生活してるとか。 定期的に集会が…

  • 「父親たちの星条旗」映画感想

    製作 2006年 米 監督 クリントイーストウッド 出演 ライアン・フィリップ ジェシー・ブラッドフォード アダム・ビーチ 本作の主軸は、いかにもアメリカらしい 英雄をマスコットにしての国債集金キャンペーンの話です。 ほぼ制圧完了した硫黄島のすり鉢山てっぺんに 星条旗を掲げるのをちょっとお手伝いした3人の米兵が 英雄に仕立て上げられて、集金キャンペーンに利用され、 地方回りをする様子が描かれていきます。 一人は、自分は英雄なんかではないという罪悪感に精神を病み。 一人は、自分は英雄ではない。真の英雄は死んでいった同胞たちだといいながらも、まだ戦地で戦っている兵士らのためと、黙々と集金活動に励み…

  • 「硫黄島からの手紙」映画感想

    製作 2006年 米 監督 クリントイーストウッド 出演 渡辺謙 二宮和也 加瀬亮 これは軍国主義圧力に翻弄される主人公を描いた これまでの日本の戦争映画に多い典型的なタイプの作品。 軍上層部の個人的な見栄の張り合いで作戦を動かしていたあたりは 絶妙に描けているけど、実名を使っているので、その人物像の解釈に対して 実際の人物像とはだいぶかけ離れていると物議を醸しだしているようです。 僕はその点に関しては勉強不足でよく知りませんのノーコメント。 アメリカとの戦い、戦略性より、日本人同士が自分のプライドばかりを 優先して行動し、醜く争い自滅していくという・・・。 敵兵より味方のほうが怖いという‥ …

  • 「あゝひめゆりの塔」映画感想

    公開 1968年 監督 舛田利雄 出演 吉永小百合 浜田光夫 二谷英明 乙羽信子 ひめゆりの塔という映画はいくつもつくられているようで、 僕も名前は聞いたことあったけどちゃんと観たのは初めてです。 沖縄戦に動員され玉砕あるいは集団自決した女学生たちの悲劇。 かな・・・というイメージでした。 そのイメージ。そんなには間違っていなかったです。 いや。もうちょっとふわっとした話かと思ってましたが(吉永小百合。女学生のイメージから)中盤以降はかなり壮絶なシーンの連続でした この映画に描かれていることが、どのぐらい事実に迫っているのか・・ それは分かりません。 「こういう事実があったことを忘れちゃいけま…

  • 「蜜蜂と遠雷」 恩田陸 読書感想

    初版 2019年 4月 幻冬舎文庫 あらすじ 近年その覇者が音楽界の寵児となる芳ヶ江国際ピアノコンクール。自宅にピアノを持たない少年・風間塵15歳。かつて天才少女としてデビューもしながら母の突然の死去以来、弾けなくなった栄伝亜夜20歳。楽器店勤務のサラリーマン、高島明石28歳。完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。彼ら以外にも数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか? 極力、人間ドラマをそぎ落とし コンクールの演奏だけで進行していくところが斬新でした。 4人…

  • 「グリーンブック」映画感想

    製作 2018年 米 監督 ピーター・ファレリー 出演 マハーシャラ・アリ ビゴ・モーテンセン あらすじ 時は1962年、ニューヨークの一流ナイトクラブ、コパカバーナで用心棒を務めるトニー・リップは、ガサツで無学だが、腕っぷしとハッタリで家族や周囲に頼りにされていた。 ある日、トニーは、黒人ピアニストの運転手としてスカウトされる。 彼の名前はドクター・シャーリー、カーネギーホールを住処とし、ホワイトハウスでも演奏したほどの天才は、なぜか差別の色濃い南部での演奏ツアーを目論んでいた。 二人は、〈黒人用旅行ガイド=グリーンブック〉を頼りに、出発するのだが─。 (アマゾン商品紹介より) (ネタバレあ…

  • 「こんな夜更けにバナナかよ」映画感想

    製作 2018年 出演 大泉洋 高畑充希 三浦春馬 あらすじ 札幌で暮らす鹿野靖明(大泉洋)は幼少から難病を患い、体で動かせるのは首と手だけ。介助なしでは生きられないのに病院を飛び出し、ボランティアたちと自立生活を送っていた。夜中に突然「バナナ食べたい」と言い出すワガママな彼に、医大生ボラの田中(三浦春馬)は振り回される日々。しかも恋人の美咲(高畑充希)に一目ぼれした鹿野から、代わりに愛の告白まで頼まれる始末! 最初は面食らう美咲だが、鹿野やボラたちと共に時間を過ごす内に、自分に素直になること、夢を追うことの大切さを知っていく。 (アマゾン商品紹介より) 予想通りのお話だったけど 予想以上に心…

  • 「マイハートマイラブ」映画感想

    製作 1999年 米 出演 ショーンコネリー アンジェリーナジョリー マデリーンストウ ライアンフィリップ あらすじ 結婚40周年を機会に今までの人生を見つめなおす老夫婦(ショーン・コネリー&ジーナ・ローランズ)。ある秘密を抱えた男性とその恋人(ライアン・フィリップ&アンジェリーナ・ジョリー)。不倫を続ける女性と、彼女を本気で愛してしまった男性(マデリーン・ストウ&アンソニー・エドワーズ)。嘘の身の上話を語り続ける男性(デニス・クエイド)。離婚が原因で恋に臆病になってしまった女性と、そんな彼女を支えようとする男性(ジリアン・アンダーソン&ジョン・スチュワート)。エイズの末期患者で死が目前に迫っ…

  • おすすめ韓国ドラマ「ベートーベンウイルス」感想

    製作 2008年 韓国MBC 全18話 出演 キム・ミョンミン イ・ジア チャン・グンソク イ・スンジェ ストーリー ソクラン市の文化芸術課に勤めるルミ(イ・ジア)は、自分の企画が採用され、プロジェクト・オーケストラを創設することになる。ところが、公演プロデューサーが運営資金を横領し、楽団員までもが皆去ってしまったため、メンバーを一般公募することに・・・。 しかし、集まったメンバーは、専業主婦や高校生、認知症の老人、停職中の警察官、など、プロとはかけ離れた人材ばかり。 そして、そんな楽団の指揮者としてルミが招聘したのは、“オーケストラ・キラー”と悪名高い世界的マエストロ、カン(キム・ミョンミン…

  • おすすめ韓国ドラマ「イニョン王妃の男」感想

    製作 2012年 韓国ドラマ 全16話 出演 チ・ヒョヌ ユ・インナ ストーリー 時は朝鮮王朝時代。王の命を受けて南人の動きを監視していた弘文館の校理キム・ブンドは、右議政ミン・アムらが企てたイニョン王妃の暗殺計画を阻止する。 しかし、ミン・アムの刺客に命を狙われ、もはやこれまでと思った瞬間、現代にタイムスリップしてしまう。一方、現代の韓国。 無名の女優チェ・ヒジンは、ドラマ「新 張禧嬪」でイニョン王妃役に抜擢される。そして、撮影現場でブンドと出会う。 ドラマの関係者だと思っていたヒジンだが、何度か奇妙な出会いが続くうち、半信半疑ながらブンドの状況を理解し、彼を助けるはめになる。 韓国ドラマ生…

  • おすすめ韓国ドラマ「パダム・パダム」感想

    パダムパダム 放送 2011年 韓国 全20話 脚本 ノ・ヒギョン 出演 チョン・ウソン ハン・ジミン キム・ボム ストーリーは、 検事の息子である友人に殺人の濡れ衣を着せられて収監されたヤン・ガンチル(チョンウソン)が16年ぶりに出所し、チョン・ジナ(ハンジミン)と出会い恋をする話。 殺人の汚名を晴らしたいガンチルとガンチルの出所による事件の蒸し返しを阻止したい検事の友人との攻防のサスペンス。ガンチルとジナの恋の行方。自分はガンチルを守る天使だと自称する弟分グクス。事件前に一度だけ関係を持った女性との間にできた息子ジョン。 貧しくも漁港の路上で魚を売ってたくましく生きる母。 らとの人間模様を…

  • 「7月4日に生まれて」映画感想

    製作 1989年 米 監督 オリバーストーン 出演 トムクルーズ ウィレム・デフォー キーラ・セジウィック あらすじ 1946年7月4日、アメリカ独立記念日に誕生したロン・コーヴィック。 愛国心を持つ若者へと成長したロン(トムクルーズ) 高校卒業を控えたある日、志願する若者を集うため訪れた海兵隊の言葉に目を輝かせ海兵隊へ入隊することを決め、意気揚々とベトナム戦争に従軍する。 ロンが送られた先は戦争の最前線。 戦争の過酷な現実を前に懸命に任務をこなすロンだったが、負傷し下半身不随になり収容された病院では劣悪な環境で人とは言えない扱いを受ける。 長い療養生活を終え、ようやく故郷に帰還したロン。 し…

  • 「ワンスアンドフォーエバー」映画感想

    製作 2002年 米 監督 ランダル・ウォレス 出演 メルギブソン あらすじ アメリカがヴェトナム戦争に深入りするきっかけともなった1965年11月のイア・ドラン渓谷の戦い。 アメリカ軍は400名の新兵を最前線までヘリで運び、落としていくという過酷な作戦を決行した。 だが、彼らを率いて戦場に降り立ったハル・ムーア中佐は、瞬時に2000名の北ベトナム兵に包囲されてしまう。 ハル・ムーア中佐は想像を絶する戦いの中で、一人でも多くの部下を生きて家族の元へ返したいと願うが…。 また彼の妻(マデリーン・ストウ)が毎日戦死者通知を自ら配達するエピソードを挿入し、戦争は男だけのものではないと強調。 なお、こ…

  • 「フルメタルジャケット」映画感想

    製作 1987年 米 監督 スタンリー・キューブリック 出演 マシュー・モディーン リー・アーメイ ビンセント・ドノフリオ あらすじ ジョーカー(マシュー・モディーン)、アニマル・マザー(アダム・ボールドウィン)、<デブ>のレナード(ビンセント・ドノフリオ)、エイトボール(ドレイン・ヘアウッド)、カウボーイ(アーリス・ハワード)他、全員が地獄の新兵訓練所に投げ込まれ、情け容赦ない教官ハートマン(リー・アーメイ)に鍛えられる。 後半は厳しい訓練を終え、ベトナムに出兵。舞台となるフエ市を悪夢のどん底に落とし入れた戦闘を描く・・。(アマゾン商品紹介より) これは観る人の感性によって響き方も大きく変わ…

  • 「天と地」映画感想

    製作 1993年 米 監督 オリバーストーン 出演 ヘップ・ティー・リー トミー・リー・ジョーンズ あらすじ O・ストーンが描く、ベトナム戦争をくぐり抜けてきた実在の人物レ・リー・ヘイスリップの真実の物語。1949年、フランス領インドシナ。ベトナム中部の小さな村キーラで、貧しい農民夫婦に女の子が生まれた。彼女の名はレ・リー・ヘイスリップ。物語は、ゲリラから娼婦となり、アメリカ軍人と恋に落ちて渡米。異なる文化圏での新生活を過ぎて再び夢にまで見た祖国の土を踏むまでの、彼女の波瀾万丈の40余年の半生を描いてゆく……。 (yahoo映画より) ベトナム戦争とは何だったのか・・。 長らく疑問だったけどそ…

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