障害者である前に
電動車いすで進む路面に、建物の影がくっきり浮かびあがる。 雲間からの陽の光が並木の葉に映え、目を細めた。 平成二十八年七月二十九日、長町南(仙台市)は朝のうち雲が広がっていたが、徐々に陽がさしてきた。 昼前、自宅玄関から外の電動車いすに乗せてもらった。近所での用足しである。 銀行の入り口へ進んでいる途中で、 「こんにちは」 と小さな声がした。 コンクリートの壁を背にしている男の子がいて、目が合った。小学三、四年生だろうか。建物の中で用を済ませているお父さんか、お母さんを待っているところなのかもしれない。 その子へにっこりうなづき、あいさつをして、入り口へ進んだ。手足が不自然に曲がり、かってに動…
2016/07/29 23:02