searchカテゴリー選択
chevron_left

カテゴリーを選択しなおす

cancel
プロフィール
PROFILE

弌矢さんのプロフィール

住所
武蔵野市
出身
未設定

自由文未設定

ブログタイトル
弌矢コード
ブログURL
https://ichiyacode.hatenadiary.com/
ブログ紹介文
はてなブログです。 主に掌編小説、ショートストーリー(ショートショート)を書いています。 よろしくお願いいたします。 東京。
更新頻度(1年)

1回 / 7日(平均1.0回/週)

ブログ村参加:2020/09/14

本日のランキング(IN)
読者になる

新機能の「ブログリーダー」を活用して、弌矢さんの読者になりませんか?

ハンドル名
弌矢さん
ブログタイトル
弌矢コード
更新頻度
1回 / 7日(平均1.0回/週)
読者になる
弌矢コード

弌矢さんの新着記事

1件〜30件

  • 秋の彼女の彩りかたに

    秋になるたびに哀しむ人があふれて嬉しくなる。 夕方、千咲と新宿にある大きな公園を歩いているときだった。 どうしてそうなるのかな。 憂鬱が多くなれば、笑いを強要されもしないわ。 ポタージュ色をしたトレンチコートに身を包む千咲が俯くのを見た。彼女は嬉しいときに笑わない女だった。笑うときはいつも無理に合わせている。二年のつき合いでそれが分かった。 哀しみを強要されるだろう。 されない、嬉しいから。 立ち並ぶ樹木はめっきり滅入った色使いに色づいて見える。梢の上に青い猫が乗ってこちらを覗っていた。見つめている青い猫を千咲が呼ぶと、真っ逆さまに樹木の幹を駆け下りてきた。 青い猫は星の灯りの目を持っていた。…

  • 色々と色々

    うるさいだけの狭苦しさに巻き込もうと必死なテレビを消して、久しぶりに弟と通話をすることにした。ぼくは東京に落ち着き、弟は事業を起こしてオーストラリアに住んでいた。 オンラインで飲み会をやらないかと持ち掛けると、弟は大麻が良いと答えた。酒より増しだと説き伏せられ、オンライン大麻通話にすることに決まった。「そうか、こっちはテレビのなかの人間どもが逮捕されてつるされているってのに、そっちは良いな」 監獄の近くと天国の近くみたいなヴィテオ通話が始まった。弟はダウンを着て日射し色のなかにある広い庭が映像で見えるアングルを保ち、ぼくは狭いマンションのベランダから太陽の色が射し込むなかに半袖半ズボンで陣取る…

  • 私にふれる

    あろうことか私は女の子にもかかわらず、二四歳の夏で失った。バージンを、ではない、性欲を、だ。 一八歳のときはお酒を飲むと(あるいは飲まされると)、性欲が噴火してベッドのなかは炎に包まれたものだ。実際、吸いなれていない煙草をベッドシーツに落としたまま快楽の余韻のなかで眠ってしまい、ホテルがボヤになったことがあるくらいだった。 二四歳の誕生日を迎えた二箇月後の八月のことだ。夜色の東京湾で友達の子と二人、釣りをしているときに海に向かって発作的に、私の性欲ないないどこいった! と叫ぶと、その子がたいそう私の気持ちを心配してくれたのだが私は、気持ちじゃなくてこの躰! と続けて叫んでさらに心配された。海ほ…

  • 老いてからのLSD迷宮入門

    アシッドをチャリと呼ぶ流行りもとうに廃れたいま、こちらは八〇歳になった。ドラッグは使ったこともなくて、けれども興味はあった。 手に入れたのは東京タワーの展望台だった。女の子の細い手がそれをこちらに渡したのだった。女の子は二人組で連れの男といた。その女の子たちに、あなたの長い過去の極彩色を見るわ、と言われたのに、それが違った。 未来を見てしまったのだった。過去など見やしなかった。 ところで、ヘロインには興味がなかった。快楽はもうたくさんだった、といったら枯れ木扱いされるだろうが、こればかりは仕方がない。セックスには若いときに狂ったし、実は今でもやっていた。三〇代くらいがいまの好みの味わいだけれど…

  • 夜の色

    超高層ホテルのベッドの横に、藍色の髪の女が寝ていたことに気がつくと、女は寝返りをこちらに打って、暗がりに白い肌をあらわにした。「ギターを弾いてよ」「お安いご用さ。さあ何か飲もう」「ウイスキーね」 女が躰をよじり、ベッドの横のフリーザーから、ボトルが取り出された。ぼくも起き上がった。 麦色に輝く液体がそそがれる。女と一緒に杯を掲げた。「乾杯」 照明の乏しいベッドの上、ぼくは五〇万円したエレキギターを抱いて目を閉じ、女に聴かせはじめた。音色に雑音が混ざりこんできた。ホテルのアンプが安物だからだろう、癪に障って杯をあおり、思わずむせる。「ギタリストになったら、もっと高価なものを飲ませてやるのに」 突…

  • 異郷へ

    異郷を熟知している幼年が、国境を越えて行く。 コンクリートの谷間の途中、 立ち止まると、壁に走るひび割れを見つけた。 凝視する裂け目に世界が現れる。 その中に公園が見つけたので入り込む。 ほとりの噴水の水たまり、 水生生物の楽園、 覗き込むうちに、水面が鏡になって、 映り込む顔に見出された時間に、 幼年はとっくに国境を越えていた。 時間を通り過ぎようとしていた私が、 あわててもう一度、たぐりよせている。

  • 囲われて

    「日本人がネガティブキャンペーンをやっているのなら、諸外国をとり出し比較して、この国を批判できるのだけれど、世界中がネガティブキャンペーンをやっているとなると、如何ともし難いわよね」 その様に女がけむりを吐きながら言うので、僕もけむりを吐きながら頷いた。 二人は強制収容所の様な囲いの中にいる。けむりの中で女が笑っているのを眺めながら、僕がけむりを吐き続ける。女とともにけむりを吐きながら、実を言うと僕は、この女と二人きりの状況に、もう死んでも構わないほどに気分が高揚しているのだった。 けむりが尽きそうだ。またすぐに火を点けないと女とのひと時が終わってしまうので、僕が慌ててマッチをを点火させ、けむ…

  • 友と一人と連帯と

    ある知り合いが、友達が極端に少ないことに焦り嘆いていて、相談に乗っていた僕は、だんだんそれに違和感を覚えはじめたので、一人の時にインターネットを使って、「大人」「友達」「できない(いない)」で検索してみた。 すると、出てくる記事が、友達というより、共依存関係の作りかた(もしくは退屈な自分の欺きかた)としか思えないものばかりで辟易した。友達という言葉で隠された、共依存関係(または孤独を直視しない関係)を保ちたがっている大人たちがここまで多いのかと驚きもした。──大人になってまで、つるんで、徒党を組んで、たむろしていたりする人が多いのは、よく街で見かけるので知ってはいたのだが。「基本一人」が耐えら…

  • 月の女

    太陽を司る王から逃げ惑っていた。月を司る女は、太陽を司る王に依存するのはもう沢山だったのだ。 月を司る女は、他の衛星を司る男と駆け落ちして、太陽系から出て行こうとした。他の衛星と言っても、星の数ほどの中から一つ、選ばなくてはならない。 一つ選ぶという事は、他の星々を司る男たちを消し去る事になるわけだ。女の選んだ、一つの衛星、それを司る男は、高貴で輝かしかった。 しかしながら、月を司る女は、女神の様な顔などしてはいない。どちらかと言えば、不細工な形に歪んでいるし、そばかすもある。 だが、その衛星を司る男は月を司る女を好きになった。──あばたもえくぼ。 彼はそばかすも好きだった。月を司る女と衛星を…

  • ──もう沢山だ! レコードを叩き割って、おもむろにエレキギターを抱き、戦闘準備、ギターの兵士たる僕の出来上がりだ。 いい大人なのに、流行りに媚びた恨み節や、共依存に過ぎない恋心や、思いついただけの思わせぶりな思想を、曲にして演奏する奴らのライヴに乗り込んで、物凄い勢いでギターを弾いてやるのだ。 僕は全国を走り廻った。東京ドームから、場末にある様な小さな箱まで、僕は行進しては、ギターをぶら下げ突撃した。無数のバンドのメンバーたちの、無数のステージに、土足で乗り込み、ギターを勢い奴らへ向けて弾き、耳を引き裂いてやった。 僕のギターによる爆撃は続き、とうとう僕のギターによるテロは最後のステージとなっ…

  • 壁と予感

    せっかくダンジョンの出口を探し出したと思ったのに、突き当たりになっていて、とてつもなく高い壁に立ち塞れてしまっている。 老いたドルイドが壁の右横に立っていて、僕を見ていた彼が白い髭のたくわえられた口を開けて、笑い出し、かと思うと、突然真顔になって、言うのだった。「この壁は何万もの年月を経て、人間を絶望に陥れたのだ。わしはこの壁と同い年だ」 僕は梯子を探したが、そんな物は見当たるはずもない。足元には骸骨がうずたかい山となって、積もっていた。「そうですか、でしたら待ちますよ」 骸骨の山を爪先でつつきながら僕が言った。「未来永劫、待っても無駄じゃよ」 僕はドルイドに鉛筆ほどの棒を渡された。「何ですか…

  • 出来事

    冷暗所の様なホールの中、緞帳に挟まれた暗いステージ上で、なにやら実験的な演奏が行われている。ファズのきいたギターが二人、どうやら学生の時の知り合いのB氏とH氏だ。アフリカの仮面の様な顔をしている。ベースはドレッドヘアの気の弱いF氏だ。それをステージの下から眺めている。 ステージの左側にはレインコートを着た背の高い女が笑みを浮かべながら関節を曲げるだけの奇怪な踊りを見せている。昔交際した事のある女の様にも見える。踊りながら彼女は、こちらにも踊る様に仕向けているようだ。こちらも出来るだけ自分を解放した踊りを行う事にした。皆、それぞれ演奏が上達したものだ、と多少の嫉妬を覚えながら、解放の踊りを続ける…

  • 一つ年下の妹、不二子が、死んでしまった。仕方がない事なのだ。 海辺の火葬場に来て、妹を火葬した。外で煙突を見上げると、不二子の煙が空へ広がって行く。黒い海猫が火葬場の角から現れる気がして、視線を落とすと、本当に黒い海猫が現れて、足元をすり寄ったかと思うと海の砂辺の方角へ歩いて行ってしまった。 もう一度、煙突を見上げると、あの不二子の煙が大気に満ちて行くらしいのを感じて、裏淋しい気分でいると、雨が降って来た。傘を差してピースに火をつけた。吐くけむりが、雨の中を漂いながら、消えて行く。かと思うと、唐突に、雨が水柱になって、その中を物凄い速度で移動している。そのうち、僕が水の中を移動しているのではな…

  • 恋文を

    サント=ヴィクトワール山は、岩と樹木が不釣り合いに組み合っているだけの、とても淋しい場所だ。その岩山の麓に、丸太で作られた小屋の一室、ランプによる橙色の明るみの中、初老の男は机に向かって手紙を書いている。うら若い娘にあてた恋文だった。 初老の男は熱中していた。書くほどに、どんどんのめり込んで行くのだ。そのうち熱中し過ぎて、もはや、その文は恋文と言うよりも、独り言に近くなって来た。恋文はだんだんと狂気染みた書体になって行くうち、背中に羽根が生えて来たのだが、初老の男はそれすら気がつかない。 ゆらりと背中から分離した羽根の生えた男が、机に向けて丸めている初老の男の背中の上に浮き上がった。そして斜め…

  • 七つ目の夜の海で

    「こんな巨大な船も大した事のない敵だ! 皆沈めろ」 ビスケット船長は敵の最後に、甘いビスケットを口に放ってやるのが習慣だった。ビスケットを咥えさせた乗客を始末し終えてから、たちまち手下どもがその船をハンマーで壊して沈めた。 ビスケット船長に勝てる敵はいなかった。彼は七つの海を制覇したところだった。 その日の夜だった。ビスケット船長は真珠色の羅針盤を持っていて、いつも肌見放さなかったのだが、七つの海を制覇したこの夜に、手を滑らせて、暗い海に落としてしまったのだ。「やあ、これは大失態だ、もう私も引退か」 ビスケット船長は泳いだ事がない。何時も戦いは船上だったから。 恥をかかぬ様にと、ビスケット船長…

  • 女性について

    何を隠そう、私は女性好きである。と言っても俗に言う、下心の見え透いた「女好き」というやつではない。私には、女性の世界に憧れがあるのだ。私はたとえば、女装癖などないのだが、ある種、憧憬の念をもって、デパートのメイクブースなどを見て廻ったりしている。色とりどりの世界。私はたとえば、女性たちの話を聴いて、その発想の不可思議さを思い知らされては、男の自分がいかに女性の思考と程遠い存在であるかを思い知らされ、驚いたりもする。不可思議な発想力。マテリアルの次元においてもそうである。世にあふれかえる女性用のマテリアルの数は圧倒的に男性のそれを上回って消費されている。マテリアルに宿る女性の精神性。 色彩豊かな…

  • お嫁さん

    お嫁さんがいない。その事に、今朝も気が付いた。友人から連絡があって、部屋に一人きりで目覚めていた。そもそも今、交際相手もいなければ結婚もしていないのだ。お嫁さんがいるわけがないだろう。何か足りない気がして、それはお嫁さんがいないからだと思い至っているとは何事か。 机の上には読みさしのチェーホフの短編集と昨夜のワイングラス、片付けて座り込む。原稿を広げてからさて孤独な作業が始まって、けれども足りない事が充ちてくるので、やけっぱちに足を放り出し背伸びをしてから、端末を触って印象派の音楽を流す。お嫁さんと並んで印象派に身をゆだねる姿を絵空事に浮かべ、苦笑してからまた懲りもせず机に向かう。 太陽が真上…

  • 動機

    どうも、心地よい事、いい加減な事、どちらも大好きな弌矢です。 さて、ダイエットは二箇月で8.2キロ減量に成功しました。けれども今はダイエットの成功より、小説の構想を練る事で大変で、喜んでいる場合ではない。ダイエットは成功するんですが、小説となるとそうはいかないですね。ダイエットは結果が出るけれど、小説は結果が疑わしい。ダイエットの様に、数値に変換する事も出来ない。質を数値に置き換える事は哲学最大の誤謬である、みたいな事をベルクソンが書いていたと記憶しています。 で、フィクションを書く必要がある事。フィクションを本当に書かなければならない必要性を、感覚する事。 つまり動機ですが、僕はそれに立ち会…

  • ち か ら

    どうも、ひょっとしたらピキュリアンの、心地良い事が大好きな、弌矢です。 今んところ2キロ減っている僕は、お茶漬けが食べたいのだが幼いころ弟とお茶漬けの早食いを競い合った事があって、母親がいきなり、スタート! と声を出すので、僕は慌てて掻き込んで行ったのだった。頑張って頑張って飲み込んで行き、弟は美味しそうに食べ続けている。その結果、僕が負けた。そんな顛末だった。「頑張る」と言う言葉を好まなくなった僕は、「頑張」って何かを成してもあとで失敗して鬱になりかねなくなった。実際、振り返れば、「頑張」っては暗いトンネルばかりの人生だった。けれどたまに苦手な事が好きになる事もあったし苦手な事が好きになるの…

  • 夜に

    憂いある夜に深々と都会の、汚れた藍色の大気にも星はまだ見えている

  • 増減論序説

    断言します。2019/02/16土曜日の今日から、2019/04/16火曜日までに、七キロ痩せます。食事制限で痩せます。毎日ツイッターに体重の増減をつぶやきます。痩せなかったら、ツイッターも辞め、インスタも辞めて、文学も辞めて捨てます。おうちにある芸術の書籍も全部ナチスみたいに燃やしてしまいますし、自己啓発本しか買わない人間に、というか、読書すらしません。そして昼間のテレビcmをぼうっと眺めてばかりいて、一年に数回ある長時間番組のなかでマラソンをするタレントを観て、号泣してみせます。苦しむ子供たちの気持ちが解ったような口を利いてみせます。もし痩せなかったら、すべての言動に無責任で、虚栄と金だけ…

  • ブラウン&ホワイト

    彼女の名前を借りに「エリコ」とするけれども、とにかくバレンタインの前日に、僕がエリコという友達とインターネットを使った作業通話をしていた時だった。彼女はバレンタインのためのクッキーを作り始めていた。 する事のない僕は眠くなって、まどろんでいた。 ふと目を開けて、部屋の暗がりに発光するモニターを眺めやると、パソコンの向こう側で彼女がクッキーを作り続けている気配があった。 そして僕はまた、うとうとし始めた。 パタンと音がして、気付くと、彼女はまだクッキーを作り続けているらしかった。 それから僕は完全に眠りに落ちていった。それから目覚めた時には窓辺から陽が射しかけていた。寝惚けた僕の気配に気が付いた…

  • ACIDをしてまゐる

    なめらかな文殊菩薩の物言わぬ眉に、陽が差していた。文殊菩薩は座していた獅子と離れてしまったまま、曼陀羅の張り付いた仏壇に並べて置かれている。藤の樹で作られた物らしいが、罰当たりにも壊されたのだ。知人が、まるで生き物の様に大切にしていたそれは、もろい物だった。 ぽつねんとそれを眺めやっている私は仕事も辞めて、よるべなく、九〇〇〇〇円がある他、ひねもす何もない。喪についていた。詩を書く知人が死んだのだった。 知人は四〇を過ぎたばかりの歳だった。曼陀羅に囲われて死んだのだ。哲学を持っていたし、《樹木のスタンザ》と題された詩で名の知られているらしい賞を執った事もあったのだが、それでは食えずにいた知人は…

  • 君がここにいてくれたなら

    君がここにいてくれたなら。僕と君は友人だったから。ドラム缶を叩いて踊り狂っていたし、上空へ叫び声を上げて、怒鳴られてさえ止めなかったから。 君が今ここにいてくれたなら。友人である君を思い出している。潤みもしない瞳で、演じていた素晴らしい音楽たちと共に、君を思い出している。 僕らはハードコアでいてプログレッシヴな、あの音楽たちの批判していた内容のように、本当になってしまったのか?見当たらないのだ、あの痛みある震えた青空は今、どこにある。 君がここにいてくれたらいい。僕らは枯れた丸太のようになってしまったか。音も鳴らない枯れ木に?まだあの樹木のある公園もあった。すべて風に吹かれて燃えてしまったか。…

  • カラースライド

    「風景よりも写真機が気になるの?」 混み合うエレベーターのなかで、彼女がいって僕に笑みを見せた。彼女の精神にも良い事だろうと、東京タワーのなかからの景色を眺めに行く所だった。 確かに僕はカメラばかりを気にしていた。とはいっても、自分ではなくて他人の持ち歩くカメラばかりを気にしているのだが。親元を離れて東京で暮らしているせいだろうか。こうして僕は最近いつも苛ついている。エレベーターのなかでも皆がカメラを持っている。「一億総写真家」の現在、写真家である彼女はそれを気に病んだりはしていないが、プロではない僕の方はそれに対して苛立ちを覚えていた。 登りついた僕たちは窓際の皆に混じって上空のフロアからの…

  • 夕暮れの歌舞伎町から振り向くと、出勤タイムの女性たちの波が寄せてくる。左右に別けてぼくを通り過ぎていく。 女たちに支えられている街がある。笑いと涙、地獄と享楽に支えられている、素敵な街がある。 光っている磁場、彼女たちにぼくらは支えられている、そんな場所がこの国にもある。 不思議なのはそれが、ぼくに懐かしさを与えてくれる事だ。 女性たちよ、ぼくの母もまた女性だった。笑いと涙に煉獄享楽、母もそれを与えてくれていた。父親不在の思い出のなかで。 ぼくが夫だったなら、相手に何を与えよう。ぼくが父親だったなら、子供に何を与えよう。 ぼくは歌舞伎町の入り口で、夕日の色にシャツを染め、これから我が家に帰らな…

  • エクリチュールだ、あっかんべー

    このブログのおかげで、女性と別れる羽目になりました。 どうして、作品と作者を同一視するんですかね。 一体に、いつの時代の人なんでしょうか。 ぼくはブログに書いた作品の様な人物ではありません。 古い考えの人、 現代思想でも読んだらいかがでしょうか。 日本の私小説の因習は根強いですね。 というわけで、ブログを休んでいました。 本腰をいれている書物で忙しいのですが、 また更新しようと思っています。 エクリチュールと作者を同一視する古い考え、感覚しかもっていない人とは これからもぼくは戦っていく所存です。もしくは相手をしない。 あ、ぼく、お涙頂戴の作為にみちたお話は書きませんからね。 媚びませんから。…

  • LOVERS

    ひとしなみな男は暮れかけた海岸でのフェスに紛れながら女たちばかりを眺めていた。皆、恋愛や電子音楽を求め集まり乗り踊っている。ブースの小さなDJが巨大なスクリーンに映されては炸裂する花火とともに絶叫が湧き上がる。──異性に決して強くない。 呟く様に男がそう思う。音の色に乗ってはいたが、男は華やかな音とともに戯れる女たちを眺め、次第に観察へと入っていった。 目と目は合っていた。炎熱の夜のステージ前、女は光線に青く赤くちらつきながら染まっている。焦がれる様な見目形だった。一目惚れをしたのは初めてだったし声をかける必要はない積極的な女だった。激しくかき鳴らされる曲、地中海の舞踏をホテルで聴きたいと女は…

  • つぶやき

    いま、数百枚くらいのものを書いているのですが、描写が全く書けず筆が進む様子を見せません。千手観音だったらなあ・・・・・・ と空想してみて自分で苦笑してみたところで、 唐突ですが、何かを懸命に作ったのに批判されたとき、 「だったら、あんたが作ってみろよ」 とか言ってしまう人は作り手失格ですからとっとと表現など止めましょうさようなら。 とかなんとかついついツイッターなどに垂れ流してしまったのは、 あまりにそういう愚鈍者どもが多かったからつい。 だって作り手と受け手の関係性をすら感じ取れない気の毒なのが本当に多いんですよ! 翻って最近、音楽ばかりを聴いては友人たちに手紙を書いています。 千手観音だっ…

  • フライヤー

    前略夏フェスの季節でもありますね。踊り狂う人々盆踊りの如し、はつらつと綺羅びやかで頼もしい限りです。などと申し上げては誹りを受けかねるので付け加えるに、盆踊りもぼくは大好きです。参加せずに傍観するが好みです。なぜ盆踊りはくるくる廻るかご存知ですか? 存じておられる方々すみません。 只今、大変暇なのですが、精神的に多忙で御座います。しかしながら、執筆は続けておりますので、近々、また拙い文を上げる所存であります。 お読みになっていただいている方々、感謝申し上げ続けて止むことなしで御座います。土下座をでもしたいくらいです。その膝に重き石を乗せられても構わないほど。できれ年月をかけて成長する水晶とかが…

カテゴリー一覧
商用