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都合による詩誌に載せられなかった詩を掲載しています。全員が全員共感してくれるとは思いません。でも100人中、5~6人は共感してほしいな、という個人的希望を持っています。

牛田丑之助
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2020/08/27

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  • キャッシュで払え

    キャッシュで払えよ、キャッシュで。得体の知れないちっぽけな画面で決済するお前は実体がないこの妖術を無条件に信じるほど人生が充実しているのか。もしもそうならお見それするがでは俺の扶けはもう不要ということか。お前の陰日向となってお前の失敗 お前の恥 お前の絶望を巧妙に避け水たまりには自分のコートを段差には自分の帽子をTOEICテストには小さく畳んだカンニングペーパーを予め懐に用意してお前が自動人形でも滞り...

  • アクセの店

    この国の旅人の最終目的地は国の中央にある巨大な泉だ。泉と言ってもすでに岩肌は朽ち地中から湧き出る水を浴場の銭湯の人造の黄色い岩石から溢れさせているに過ぎないがしかしそこには多くの市民が集まるので私は近くの雑踏の路上でアクセの店を開いている。アクセ。本当の名称はもちろんアクセサリーだ。しかし本格的な名称で呼ぶほどのものではない、人の影のように。しかしアクセだからこそ虚飾なく生命の模造品を販売できると...

  • 抗不安薬Ⅰ

    何にせよ不思議なのは抗不安薬(デパス)は服用直後が一番不安になることだそれは希望に向かおうと決めたその瞬間人は最も絶望しているという皮肉だだからと言って今最も苦しい瞬間の君に後は上がるだけだよ~んなんて肩をぽんと叩いても仕方ない不安は自分だけで解消するしかない希望も自分で探し出すしかないそして歩くのは自らの足しか頼りにならないそんなことを人から言われても何の扶けになるだろうだから抗不安薬を何錠飲ん...

  • 鵺になんか生まれなければよかった

    鵺になんか生まれなければよかった何の悪事も働いていないのに気色と縁起の悪い鳥の代表として悪魔か死神の手先のように扱われ獄門島の効果音にまで使われてそれはそれでギャラが入れば我慢もしようが架空の存在だからと言って支払いを拒みやがるおまけに広汎性発達障害だから本当は障害手帳だって貰えるのに架空の存在には発行できないとぬかしやがる俺は架空じゃない 実存している サルトルのお墨付きだ 本当は虹色に輝く金糸...

  • 戦力外

    もしかしたら戦力外だった ドラフト一位でなければ人生はそれほど贔屓と不公平に満ちているしかし終わってみれば全員の掛け金は平等に失われているだから 選ばれて生まれしことが 本当に倖せなのか瀆神の原罪を背負っても 生きている方が倖せなのか老母を背負って金毘羅さんの千三百六十八段を昇ったことを自慢するよりカラオケの輪を抜け出し便所で交尾する方が余程しゃれている僕が本当に知りたいのは 用具係の充実なのだ何...

  • 私たちの星空ドライブ

    何日前から考えていたのか知らないけれど星空ドライブに行こうなんて今の私たちには美しすぎるわ私たちのドライブにふさわしい行先はあばた面のゴツゴツした酸素のない小惑星薄汚れたドヤ街のパチンコ屋の裏通りそれとも 蓮華の仇花咲く後生のあの世私たちはその駐車場にこのポンコツ車を停めてお互いの前立腺を淡々と刺激し合うでしょうでもだからと言って私は絶望も空虚にもなっていないそこには私たちだけの極楽浄土があり私た...

  • 同じ空の下に居るのに

    同じ空の下に居るのに君の街は目玉が灼けそうなほど容赦ない太陽が照り付け僕の街は灰褐色の雨が降り続けているしかしどちらの街に住んでも僕たちは愛するものを喪ったという点では共通していてそれに空が寄り添ってくれないだけだ愛する者が死んだら自殺しなければならないと中也はうたったように思うがしかし実際はそれほどのことはない君は太陽の下で生命力に溢れて暮らし僕は墨色インクの雨にずぶぬれの犬になっていて今にも自...

  • 神よ よくぞ爪を与え給うた

    神よ よくぞ爪を与え給うた爪があるから 包丁で失敗しても先っぽを切り落とさない爪があるから 星砂の粒を拾える爪があるから 目頭のヤニも落とせるそして 爪があるから あなたの乳首も摘まめる女は爪を伸ばし 花柄や真珠を描き入れ男はストレスを 爪を噛んでやり過ごす貧困者は 爪の先に火を灯して明るく暮らし富裕者は マニキュアを塗って爪自体に光沢を与える爪に黒い線が浮かべば死期が迫り白い半月があれば健康に過...

  • 未来の古事記

    炎のような夕焼けに夕食を中断して出動した消防署員降るような星に空襲警報!と洗面器をガンガン鳴らして町内中を練り歩いた老爺抜けるような青空の抜けた穴から何が落下するかを見届けようとする物理の教師波のように寄せ来る感情を防ぐために防波堤を築いた革新派市長川の流れのように滔々とした人生を歌いながら早死にした歌手彼らは八百年後に神話となるだろうそして国造りの物語の一部として末永く語り伝えられるだろう※毎金...

  • 靴下

    そういえば靴下を履いていないどうも足が軽快だと思ったら起床後の無意識反復行動(ルーチン)が抜けていたしかし靴下を履かない感覚はネアンデルタール人が初めて草むらを二足歩行した時のように自由であり 身軽であり 一切の束縛がなく 微かに不安でとは言え私は二十一世紀に生きる文明人なので自分を文化的規範で縛るために自覚的に靴下を履くフローリングに脂をつけないために迎合して靴下を履く履けば履いたで慣れた感覚だ...

  • 参謀本部で会いましょう

    二人が出会って三か月会うのも恥ずかし話すと嬉し手さえも握らずお堀をデートこの次こそは手を握り愛の告白 恋のお誘い廃墟の壁に霊魂揺れる参謀本部で会いましょう日本国民三百万見事に華と散りし夏涼しいところで遊戯盤駒を進めてため息ひとつ敗ける戦さを敗けないと将官殿(よわものども)が夢のあと参謀本部で会いましょう現実を見ずに空想であれこれ耽ったもの思いこれが恋かも 戦争かも最後の最後は気持ちだけ受けてくださ...

  • 雲の上は晴れている

    悔イ改メヨって マイクでガナられても人間そう簡単に改められるものじゃない改めるには欠点を知らねばならないがまずそこからしてできていないのだだから生きる速さと死ぬ速さは同じなので悔い改めることが神の御前に出るまでに間に合わないつまりはそのままロダンの地獄門へ一直線と言ってすべてが悪いわけでもない万引き少年にも横断歩道を渡る老婆に手を貸す真心が残っているそう 雨が降っていても雲の上は晴れている上司にパ...

  • 進め、国王軍

    僕たちは明日へと進む光速よりも速く亀足よりも遅く両手を強く振れ両足を高く挙げろ王国の見捨てられた義勇兵として臆病な勇敢さを見せてやろうじゃないか敵軍よいくらでも攻めてこいそして南京豆の銃を雨霰と降り注げ退却の準備は万全だ少し歩足を速め亀足と同じ速度で敵軍に背中を見せつけてやるそんな我が国王軍だからこそ国中の子供たちが憧れるそして国王軍にだけは入りたくないと言う何を言うか時給九百八十円だぞ正社員完全...

  • 正しい大人

    自分を説明するのは難しいしかしコツをつかめば極く容易い内容ではない基督として 手のひらに 足の甲に 五寸釘を打たれた苦悶の表情を浮かべ仏陀として骨と皮になり菩提樹の下で静かに身を横たえるだけだ言葉を選ぶな説明した瞬間に偽りになるだから正しい大人は自分を説明しないそれは無駄でありつく必要のない嘘だそして正しい大人は自分を解釈しない輪郭からはみ出た部分にも自分の意味が存在するただ在れ ただ呼吸せよ た...

  • アウシュビッツ、広島、長崎

    アウシュビッツでナチスドイツに殺されたユダヤ人は16万人広島、長崎の原爆で被爆死した民間人は19万人片や世紀の悪行として関与した人物は世界の果てまで追及されて死刑に処され片や戦争を終わらせた英雄として大統領になるこの違いは何だそれはただひとつ彼らが戦争で勝ったからだ勝ったものが歴史を作る勝ったものが歴史を教育する大和朝廷が蝦夷を熊襲を悪人集団に仕立てたのと構図は全く同じであるしかし日本人は彼らを理解し...

  • 月の兎

    手のひらを太陽に透かせば真っ赤な血が見えるらしいが月に手をかざしても血管も骨も見えないだから僕は月を握りしめてみた月はアイスクリームの入った丸風船のようにぷちんと割れて雲散霧消したが手のひらに小さな兎だけが残った僕は兎を胸ポケットに入れコンビニに寄ってサラダチキンと冷凍ほうれん草を買って帰宅しサラダチキンは僕が食べほうれんそう草は解凍して兎に与えた兎は餅の方がいいと文句を言ったが地球では与えられた...

  • 離脱

    世界で一番矛盾を感じるのは抗不安薬を飲んだ直後が最も不安なことだ助ケテ 助ケテ と小人さんが喚く無駄だ 無駄なことだ と美魔女が応える届かない恋文がただのポエムでしかないように今すぐ消えたい衝動は誰にも伝わらないそんなにつらいですかと問いかける 医者のくせに 本人にしかわからないと答える お笑い草の医学の否定ああ 息が詰まる 呼吸が止まる自分の肺なのに 鼻なのにしかしいずれ血中濃度が上がれば全ては...

  • スマートフォンと首

    モンゴルの草原にスマートフォンと自分の首を忘れたモンゴルでは3Gが使えるので遊牧民たちは スマートフォンで連携しながら迷子になった羊を探すしかし私は羊も失った恋も探す必要がないのでスマートフォンは丘の天辺のエーデルワイスの草原にわざと忘れてきたのだそして夜になると満天の星ばかりを見ていたその時に自分の首も忘れたのだ中にはネット口座のパスワードやマーケティング理論や残された借金の額や来週のtodoリスト...

  • 五つの哀歌

    その絵はバターナイフで丁寧にバターを塗ったように表面が美しく滑らかだった。そして特にそれは絵の上半分にいくつも描かれている星の周囲で確認できまるで透明だった。それは絵の美しさを越えており、画家がなぜそこまで執着したのかを思わせる。贖罪なのか、愛惜なのか。わかっていることは画家の感情の行く末はどこにもなかったことである。だから滑らかさは絵画表現として一層美しい。しかし実は表現ですらない。なぜなら塗ら...

  • 法悦

    ハレルヤ ハレルヤ!断捨離 断捨離!仏神両面で満ち足りるためには過干渉の姑を縊き殺すしかないだろうそれは誰の非難も称賛もない孤独な作業部屋一杯のアマゾンの段ボールに囲まれて夫は夫で今日も安気に寝ているのかそれとも死んでいるのかだからと言って責めてはいけない 口説いてもいけない 甘えても必要なことはハレルヤ ハレルヤ!断捨離 断捨離!もう少し待てば 世界救世教が あなたの胸に杭を打ってくれるいじらし...

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