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ノラ学者のメモ帳 https://noraschmemo.blog.fc2.com/

野良学者やってます。 読んだ本とか研究用のメモを置いてます。 とりあえず西洋哲学からはじめて、現在は生物学、オートポイエーシス論、経済学、心理学、その他いろいろです。

むつきさっち
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2020/08/26

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  • ストア学派の自然学と倫理学:ホームページ用メモ2

    ストア学派の自然学で、決定論的な思考についてのメモが続いています。まずメモの記述を抜き出してみます。*****また「神が世界に浸透し、いっさいのものの原因となり、すべてのものは相互にはたらきかけあい、作用をおよぼしあう」のなら、そこからの帰結は、すべての事象がすでに決定されているとする、いわゆる決定論です。すべての結果が原因を持つのであれば、世界のはじまりとともにその後の世界の様相もすでに決定されてい...

  • ストア学派の論理学と自然学:ホームページ用メモ1

    ホームページでストア学派のページを書こうとしたんですが、上手くまとまらなくて困ってます。先にここにメモを残しておいて、それを元にまとめてみることにします。ストア学派は経験論的な色彩が強いらしく、論理学、自然学、倫理学の三つに分けられます。論理学は現代の論理学とはちがって、認識論、意味論、文法論等、知性と言葉にかかわる様々な考察が含まれているとのことです。ブログのメモで重要そうなところを抜き出してみ...

  • 単純化されたフラクタルのモデル:蔵本由紀「非線形科学」第六章メモ4

    フラクタルの話の最後です。以下、だいたいの要約です。一般的なゆらぎも視点を変えるとフラクタルとの類似性が見えてきます。直線上のランダムウォークで、縦軸に位置、横軸に時間をとってグラフに現わすと、山の稜線によく似た形になります(225ページ、図6-7、省略)。このような曲線をブラウン曲線と呼びます。ただし実際の山の稜線や海岸線を表すのにブラウン曲線だと急峻過ぎるので、非整数ブラウン曲線と呼ばれるもので一般...

  • 所得制限なしの教育無償化:福山哲郎×斎藤環「フェイクの時代に隠されていること」第四章メモ1

    第四章 なぜ貧困と差別が固定化してしまうのか最終章に入りました。日本における貧困化をもたらすものは何かという話です。まずスクールカーストから話が始まってます。斎藤は、日本のシステムが六、七割の人々にとっての利益や幸福度を最大化する仕組みになっていて、残り三割が非常に苦しい思いをするような構造に、ずっとなっているんじゃないか、として話を始めています。スクールカーストがそういう感じになっているみたいで...

  • 斎藤環、與那覇潤『心を病んだらいけないの?うつ病社会の処方箋』書評と要約

    心を病んだらいけないの? うつ病社会の処方箋 (新潮選書) [ 斎藤 環 ]価格:1,595円(2021/7/26 11:52時点)感想(1件) 斎藤環、與那覇潤『心を病んだらいけないの?うつ病社会の処方箋』評価: 臨床精神科医の斎藤環と歴史学者の與那覇潤による対談集『心を病んだらいけないの?うつ病社会の処方箋』の書評です。與那覇はうつ病になってからは歴史学者としての仕事はしていないみたいなので、著述家と言った方がよいか...

  • 表象・意識システム再考(ホームページ用)

    ホームページの方でオートポイエーシス入門を書いているのですが、そっちの方でオートポイエーシス論の発展も試みることにしました。順不同で書いていく予定なのだけど、まずは表象・意識システムを再考してみようと思っているので、先にこっちにメモを書いておくことにします。山下和也による意識システムの定義は次のものです。意識システム:身体による脳・神経系への攪乱をコードとして作動する、生命システムの一階言及システ...

  • 可能態と現実態:木田元『反哲学史』第六章メモ2

    アリストテレスの章、後半です。以下、だいたいの要約です。アリストテレスは目的論的な世界観を打ち出したのでした。そしてすべての存在者の運動の目的(テロス=終極点)を、アリストテレスは「純粋形相」とか「神(テオス)」と呼びます。この純粋形相は生成消滅を免れた超自然的な存在であり、その限りプラトンのイデアと同質です。「古くからギリシア人にとって「万物(タ・パンタ)」を意味してきた「自然」の外にイデアとい...

  • 斎藤環、與那覇潤著『心を病んだらいけないの?うつ病社会の処方箋』まとめ9

    最終章のまとめです。ここまでの議論を振り返ると、患者/悩んでいる人といった「個人」だけを見て治そうとしても、問題は解決しなくて、むしろ個人が訴えるつらさや症状を、時代背景や周囲の環境と一体をなす連続した存在として捉えて、そうした「つながり」に働きかけることが大事なのではないか、と考えられます。結局のところ、誰が心の病気と呼ばれるのかは、しばしば当人の気質や症状以上に、社会で置かれている環境で決まる...

  • 斎藤環、與那覇潤著『心を病んだらいけないの?うつ病社会の処方箋』まとめ8

    第八章はうつ病についてです。1991年の電通の過労自殺に対する最高裁判決は、「うつ病観」を一変させた画期的なものでした。当時うつ病は内因性の疾患でストレスなどの「外因」でうつ病になることは少ないと考えられていたのですが、最高裁の判決が精神医学の常識も塗り替えて、今は「ストレスでうつ病になる」という理解は当たり前になっています。ただし抗うつ薬でなんとかするという話になって、職場の環境をなんとかするという...

  • 可能態と現実態:木田元『反哲学史』第六章メモ1

    第六章 アリストテレスの形而上学アリストテレスの章前半のメモです。プラトン哲学と対照的な思想とみなされているのがアリストテレスの哲学です。そういう側面は間違いなくあるのですが、二人の関係はもっと複雑です。まずアリストテレスの生涯が詳細に記述されていますが、ざっとまとめると次のようになります。マケドニア出身で、老年のプラトンの下、アカデメイアで20年ほど学び、アレキサンダーの教育に携わった後、アテナイ...

  • 斎藤環、與那覇潤著『心を病んだらいけないの?うつ病社会の処方箋』まとめ7

    第七章は、近年のセクハラ問題に見られる思考停止状態の批判です。セクハラ問題に関して、数十年前と同じことが繰り返されていて、いわゆる意識高い系の人たちがそのことに全く無自覚です。意識高い系に多いのが「○○を言った、ハイ、セクハラ」みたいな実質何も考えていない言動で、この人たちのセクハラ批判は結局、「セクハラ認定を強化していくほど、女性が活躍しやすい自由な社会ができる」という神話を崩壊させ、むしろ「セク...

  • 佐藤俊樹『近代・組織・資本主義』序章メモ2

    二 方法論的基礎付け:理解社会学の転換以下だいたいの要約です。まず社会の一次モデルと二次モデルについてです。一次モデルは、ある社会が固有にもっている社会理論のことで、その社会が持っている公式の社会像、設計図のようなものです。それに対しその社会の外的な観察者(例えば社会学者)がその社会の制度や人々のふるまいを見て、「この社会はこういうふうになりたっている」と記述・説明する場合を、社会の「二次モデル」...

  • 斎藤環、與那覇潤著『心を病んだらいけないの?うつ病社会の処方箋』まとめ6

    第六章は人間主義と反人間主義についてです。AIが人間に追いつくとか現状は夢物語で、実際はむしろ人間がAI化していると言えます。與那覇から、小保方春子もAI的な入出力のパターンを学習していただけなのでは、という話が出てきます。與那覇「彼女は写真やグラフの「切り貼り」を論文だと自称していたわけですが、それができちゃうのは自分の研究の意味を、自分でわかっていないからでしょう。「こういうデータを出せば周りの人は...

  • サルトルの相互主観性:木田元『現代の哲学』4章-4節メモ1

    4 相互主観性(一)- サルトルとメルロ=ポンティ(前半)4節は意識を通しての他者との関係についてです。いわゆる独我論とかの話なんですが、よくわからない上にあまり興味もないところなので、流し気味で見ていこうかなと思います。言語が他者との関係を含んでいるのは当然といえば当然です。ところが他者の問題は近代哲学においては最大のアポリアの一つです。その理由は「人間存在を自己自身によってのみ近づきうる意識として...

  • 斎藤環、與那覇潤著『心を病んだらいけないの?うつ病社会の処方箋』まとめ5

    第五章は発達障害にまつわるかなり具体的な話で、一般的なイメージとはかなり違ってます。現在注目されているのは「発達障害」です。発達障害は専門家でも鑑別が困難なカテゴリーだそうです。現在の発達障害バブルは、産業構造の変化に伴う「コミュ力総必修社会」の成立で、コミュニケーション不足から生じるトラブルのはけ口に、発達障害ブームが使われているためだろうとのことです。一般に流布された知識はすでに治療の現場とは...

  • 制作的存在論から物質的自然観へ:木田元『反哲学史』第五章メモ3

    プラトンの章、後半です。以下だいたいの要約です。丸山真男の「歴史意識の<古層>」という論文から、創世神話に関わる論考を引いてみます。創世神話は理想型をつくってうまく整理してみると、それぞれ「なる」「うむ」「つくる」という原理によって規定される三つの型に分類できます。「なる」は植物的生成をモデルにしたもので、日本の古来の考え方やギリシア早期のフュシス的考え方がここに分類できます。「うむ」は動物的...

  • 制作的なモデル:木田元『反哲学史』第五章メモ2

    プラトンのイデア論の章、メモ二回目です。五章のメモは三回に分けることにしました。以下だいたいの要約です。「机」を例にとってイデアについて考えてみます。あるものが「机」の名前で呼ばれるのは、材料とか高さの違いとかがありながらも、ある一定の持つべき形を持っているからです。職人がなぜ机を作れるかというと、一般にあるべき机の姿、つまり机のイデアを視界に置きながら、その形(エイドス)を材料の上に写して作った...

  • プラトンのイデア:木田元『反哲学史』第五章メモ1

    第五章 プラトンのイデア論いったん四章を飛ばしてプラトンとアリストテレスの章を先に読むことにします。五章はプラトンの章で、けっこう長いので二回に分けます。まずプラトンの生涯がかなり詳細に記述してあるのですが、ピュタゴラス教団で数学を学んだこと、アテナイでアカデメイアという学園を創設し教育と著作活動に従事したこと、シュラクサイで理想国実現の政治的実験を行ったことだけ挙げておきます。プラトンの関心は先...

  • 斎藤環、與那覇潤著『心を病んだらいけないの?うつ病社会の処方箋』まとめ4

    第四章は「適度なあきらめ」についてです。日本では「あきらめさせない装置」が機能し過ぎていると考えられます。例えばジブリアニメには「勤労=人生修行=人間の条件」みたいな価値観が根底にあって、ジブリ系もインフルエンサー系と同じ「あきらめさせない装置」であるのではないかと述べられています。それで適度にあきらめることの重要性へと続いていきます。ただし斎藤の言う「あきらめ」というのは「幼児が抱いている万能感」...

  • 本能行動の縮減と欲求行動の挿入:大村敏輔『本能行動とゲシュタルト知覚』第2章メモ6

    Ⅱ. 1. 2. 2 本能行動と習得的・洞察的行動との間の系統発生的関係(後半)(5) 要約①「ある動物において、その「心的能力」(欲求行動)がこなしえないような課題でも、本能行動はそれを見事にこなす、という事実は、本能行動の本質的標識と見なせる。そしてこの点からしても、動物が学習や洞察を通して本能行動を改良するなどということは考えられない。」②ある課題を固定的定型的な本能行動によって解決するよりも、同じ課題を...

  • 斎藤環、與那覇潤著『心を病んだらいけないの?うつ病社会の処方箋』まとめ3

    第三章は承認についてで、承認がビジネスになってきていることに関連した話です。SNSとかオンラインサロンとかいろいろありますが、承認に絡むビジネスは共依存の危険性があります。斎藤は、閉鎖的な言説空間で一、般メディアには掲載できない情報を発信し続けるのは、一見自由に見えてかなり不自由なことではないかと述べています。安定した購読者を確保し、さらに増やすには「期待されたキャラ」を演じ続けなければならず、ある...

  • 本能行動と習得的・洞察的行動との間の系統発生的関係:大村敏輔『本能行動とゲシュタルト知覚』第2章メモ5

    Ⅱ. 1. 2. 2 本能行動と習得的・洞察的行動との間の系統発生的関係今回も引き続き本能行動と洞察的行動の関係についてです。本能行動から習得的行動が直接発展してきたのではない、ということを示すのがここのところの主目的のようです。以下、だいたいの要約です。(1) 脊椎動物における本能行動と習得的・洞察的行動との間の発展方向の相関性「高等脊椎動物では、「高等な知的能力」をもった品種が、「高度に分化した本能行動」...

  • 斎藤環、與那覇潤著『心を病んだらいけないの?うつ病社会の処方箋』まとめ2

    第二章は家族についてです。斎藤によると、精神分析は、患者自身の物語を尊重し、仮説を提示して苦しみを解いてあげるべきで、一方的に「真実」を突きつける必要はないとする考え方です。エビデンスを無視するわけではないですが、エビデンス主義で押し切ろうとすると患者の自由を阻害する危険性が大きくなります。スピリチュアルな本を読んで治ったとかでも許容されそうですが、治療の目的は主体性が回復したり、自由度が増したり...

  • ソクラテス裁判:木田元『反哲学史』第三章メモ

    第三章 ソクラテス裁判ソクラテスについて最後の章です。前回はソクラテスのアイロニーについてでした。今回はソクラテスが政治的にも無限否定性としてのアイロニーを貫いたことについての考察です。ソクラテスが最後裁判にかけられて処刑されたことは有名です。実はソクラテスが裁判にかけられた理由は政治的なものでした。「国家の認める神々を認めず、新しい鬼神(ダイモーン)の祭りを導入し、かつ青年に害悪を及ぼす」という...

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