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2020/08/11

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  • ジークムント・フロイト

    1.ジークムント・フロイト 私は善悪についてそれほど頭を抱えたことはありませんが、人々の中に「善」を見出したこともありません。私の経験では、善や倫理観をうたっていたとしても、多くの人間はクズのようなものです。 ジークムント・フロイト、オスカー・プフィスターへの書簡より

  • オクノフィリアとフィロバティズム

    1.オクノフィリアとフィロバティズム バリントが、前エディプス期の対象関係の障害に対するポジションの2つをオクノフィリアとフィロバティズムという言葉で定義つけた。 (1)オクノフィリア オクノフィリアとは、成長の過程で見出される重要な対象にしがみつき、これを独占し、一体化しようとする傾向のことである。その相手なしには生きていられないと感じ、強烈な分離不安が生じる。それゆえ、死にものぐるいでしがみつくとともに、対象を理想化することになる。例えば、母親に固着すると、いつまでも甘えと反抗と不満に執着し続けることになる。 しがみつきの背景には、何らかの不安や不満が存在するが、そのしがみつきが新たな葛藤…

  • 演技性パーソナリティ障害

    1.演技性パーソナリティ障害とは 演技性パーソナリティ障害は、過度に情緒的で、周囲の注目や関心を要求する行動様式によって特徴づけられる。もともとDSM-2において「ヒステリー神経症」と「ヒステリー性パーソナリティ」の2つに分けられていたが、従来のヒステリー性格の特徴である身体的機能障害は「転換性障害」に、精神的機能障害は「解離性障害」に区別され、DSM-3で演技性パーソナリティ障害という用語にまとめられることになった。 演技性パーソナリティ障害の特徴は、誇張した情緒表現や誘惑的な態度が顕著で、強い性愛性、注目の的になることを求める露出症的な欲求が強く、そこには対象を引きつけ、思い通りに操作した…

  • 依存性パーソナリティ障害

    1.依存性パーソナリティ障害とは 世話をされたいという過剰な欲求のため、従属的な振る舞いでしがみつき、分離に対する強い不安を抱いているパーソナリティ障害である。過剰な助言や補償がなければなかなか自分で決められない。終始、他人の指示に従おうとする。自分の考えがあったとしても、依存する相手の欲求に自分を合わせようとする。一人は不安で、無力で落ち着かない。 依存性パーソナリティ障害の家族は、往々にして自立性が低く、支配性が高い。自立は危険に満ち溢れていると伝えられ、根底にある不安によって世話すること、世話されることを求めざるを得なくなる。依存は怒りを周到に隠すことにつながり、敵意や攻撃性を防衛すると…

  • 境界性パーソナリティ障害

    1.境界性パーソナリティ障害とは 境界性パーソナリティ障害は、愛情を際限なく求め続け、暴力的なやり方を用いても自分の欲求の充足しようとする障害である。100%の愛情を常に求める。空虚で、耐えがたい愛情飢餓的な感覚に基づく行為といえるが、それは巧妙に周囲を巻き込み、混乱させ、倒錯的であるがゆえに周囲を不快にさせる。それゆえ、いかに愛情が注がれたとしても、境界性パーソナリティ障害が求める自己愛的で、万能的なものになり得ず、本当の意味で満たされることは決してない。 万能感、破壊性、攻撃性、倒錯性、自己破壊性等の病理構造体の病理面が同時あるいは交代で出現し、不安定で混乱した状態がいつまでもだらだら続く…

  • 反社会性パーソナリティ障害

    1.反社会性パーソナリティ障害とは 破壊性・攻撃性が前面に出てくるパーソナリティ障害が、反社会性パーソナリティ障害である。攻撃性と破壊性は、倒錯的に理想化される。現実的な自我は、病理構造体にからみとられ、本来備わっているはずの超自我や倫理観は麻痺される。その結果、犯罪に走る自分が何か素晴らしいことをしているような思いに支配されることになる。 攻撃性がそれほど強烈ではなく、直接には社会の迷惑にならないものを非社会的パーソナリティ障害という。情性欠如者や精神病質者に相当する。

  • 自己愛性パーソナリティ障害

    1.自己愛性パーソナリティ障害とは 万能感が中心的な病理を示し、自己の万能感や誇大性、優越感を必要以上に誇示し、対象を支配しようとするのが自己愛性パーソナリティ障害である。理想化された対象と合体することで、自己愛的な充足に浸り、対象との関係に関心を向けられなくなる。

  • 回避性パーソナリティ障害

    1.回避性パーソナリティ障害とは 引きこもりという病理は、シソイド・パーソナリティ障害に共通するものの、回避性パーソナリティ障害の場合、抱えている不安・苦痛が、シソイド・パーソナリティ障害のような迫害不安や精神病理による不安ではなく、抑うつ的な不安や罪悪感・苦痛である。自我を病理構造体に埋没させているわけではなく、より現実的で、対人関係を求める気持ちを抱いている。回避性パーソナリティ障害は、妄想・分裂ポジションではなく抑うつポジションに対する防衛といえる。 他の人から悪くいわれているのではないかとの恐怖を根づかせ、あらゆる対人関係で不安を感じ、そのために対人関係そのものを回避しようとする。とは…

  • シゾイドパーソナリティ障害

    1.シゾイドパーソナリティ障害とは シゾイドパーソナリティ障害は、現実の不安や苦痛、抑うつ等に耐えられないときにそそくさとシェルターとして病理構造体に引きこもろうとするパーソナリティのことである。病理構造体によって、妄想・分裂ポジションや精神病状態に陥ることから逃れることができる。 シゾイドパーソナリティ障害の特徴は、周囲から距離を取って孤立する在り方、万能的な振る舞い、内的な世界への引きこもり、現実感の喪失などである。自己愛の世界に深く引きこもり、理想化された対象と融合することで仮りそめの万能感に浸り、不安から逃れ、否認することができる。しかし、引きこもる程に健康な自我は痩せ細り、周囲の関心…

  • パーソナリティ障害の本質

    1.パーソナリティ障害とは 松木(2016)は、パーソナリティ障害について下記のように述べる。 パーソナリティ障害は、行動の病である。その人の心に抱かれた不安や悲しみ、苦悩、葛藤をこころに置いておき、それに持ちこたえてその含みを考え続けることをやめ、行動、行為によってそれらをこころから能動的に排出してしまおうとする在り方である。その心的排出行為は、身体的な行為として達成される。ここにその苦痛に蓋をし、上書きするための強い快感獲得行動が持ち込まれるなら、明確なこころの倒錯が生じる。たとえば、アルコールや薬物の嗜癖、性倒錯、性的乱脈というパーソナリティの病理行動においでは、こころの苦しみ、悲哀、不…

  • 離人症

    1.離人症とは 「自分がいる感じがしない。」といった自我機能の障害や、「外にあるものが全然ピンとこない。」、「そこにある感じがしない。」といった対象意識の障害、「自分の身体が自分ものでない感じがする。」といった身体意識面の障害を、主観的に体験する現象である。 ジャネは、離人症の背景に空虚感を考え、これは自我の実在機能が減退していることを自我が自覚している感情状態であるという。

  • 心的外傷と心的外傷後ストレス障害

    1.心的外傷とは 心的外傷とは、個人に、自我が対応できないほどの強い刺激的な体験が与えられることをいう。客観的現実の出来事が原因になることもあるが、心的外傷という場合、個人の主観的な体験がより重要視される。もともと心的外傷という概念は、フロイトの神経症に関する初期の研究の中で提唱し、恐怖、不安、恥、あるいは身体的な苦痛などの情動反応を引き起こす刺激として論じられた。 2.心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは 心的外傷後ストレス障害とは、過酷なストレスに対する反応として生じる精神障害で、強い恐怖、驚愕、絶望などの心理的な状態を呈する。誘因となる出来事は、通常人間が体験する体験を越えたものであり…

  • ミュンヒハウゼン症候群

    1.ミュンヒハウゼン症候群とは アッシャーが、ほら吹き男爵とも呼ばれるミュンヒハウゼン男爵にちなんで名付けられた症候群。各地を転々としながら多数の病院に入退院を繰り返し、虚偽の多い劇的な症状や生活史を述べる患者の総称で、虚偽性障害、空想虚言、ポリサージェリとも密接な関係がある。アッシャー症候群や病院放浪者とも呼ばれている。 多くは急性症状・急性腹症、出血、失神などで入院し、応急処置を受け、患者の述べる病歴には虚偽と真実が織り交ぜられ、病院の治療スタッフとうまくいかずに退院し、また他の病院に入ることを繰り返す。 ヒステリー、統合失調症、マゾヒスト、パーソナリティ障害などに見られるが、行動において…

  • 祈祷性精神病

    1.祈祷性精神病とは 森田正馬(1915)が「祈祷性精神症」と命名したもので、平常憑依、神罰、精神感通等の迷信を抱く患者に、祈祷もしくは類似した原因をきっかけに起こる一種の自己暗示性の精神異常定型で、錯乱状態、混迷状態、人格変容状態の3つに分類される。民俗事象である「犬神・狐」などの憑依症もこの中に含まれるとのこと。 祈祷性精神病は、いわゆる呪術的観念・思考が支配するシャーマン文化に由来する名称であり、この他に霊媒性精神病、神がかり、つきものと呼ばれる用語も精神医学的には同様の概念内容を持つものが多い。 疾病医学的には、ヒステリーを含む心因反応にとどまらず、神経症、非定型内因性精神病、統合失調…

  • 妄想

    1.妄想とは 古くは仏教語で「もうぞう」といい、「妄(みだり)なる想像(おもい)。」を意味したが、徐々に一般的な言葉として用いられるようになった。病的に誤った判断や観念で、妄想観念と同義である。ヤスパースによると、①並々ならぬ確信を持つこと、②経験や推理に影響されないこと、③妄想内容が不可能なものであること、という。妄想観念は、さらに①発生が心理学的に了解できない一次妄想(=真性妄想、さらに①①妄想知覚、①②妄想着想、①③妄想気分の3つの体験様式に分化)と②発生が心理学的に了解できる二次的妄想(すなわち、ヤスパースの妄想様観念やシュナイダーの妄想様反応など)の2つに分けられる。 意識化されてい…

  • 妄想性障害

    1.妄想性障害とは 妄想性障害は、一般的にパラノイアという表現が用いられる。系統的な妄想形成を主な特徴として、通常、幻覚や統合失調症のような思考障害は伴わない。妄想のテーマとしては、迫害と誇大の内容が混ざったものが多い。 もちろん、妄想は現実から遊離したテーマも多いが、それ自体まとまりを持っており、そのテーマ内において論理的矛盾はみられない。また、妄想以外に目立った異常は見られず、比較的知的能力は保たれている。通常、発症は40~50歳頃であり、妄想は数年かけて徐々に発展し、慢性の経過をたどることになる。

  • 本能

    1.本能とは 本能とは、各種に固有な遺伝的・先天的に規定された内因性の行動傾向のこと。個体差は見られず、生得的なプログラムによって発現し、環境や学習に影響されずに一定の目標に向かう。生得性、固定性、種別性、不可逆性などを特徴とする。

  • 抑制

    1.抑制とは 抑圧と区別され、観念や感情などの意識内容を意識的に「意識」から「前意識」に押し込めようとする心的な活動のことをいう。それゆえ、一度抑制されたとしても、再び意識化することはできる。なお、抑圧は無意識的に働き、意識的な意識化はできない。

  • 抑圧

    1.抑圧とは 抑圧は、フロイトによって一番最初に明らかにされた自我の基本的な防衛機制の一つ。受け入れがたい観念や記憶、それに伴う情動や衝動を意識から追い出し、無意識の中に閉じ込めておこうとする自我の活動であり、それ自体、無意識的に働くという点で意識的に働く抑制とは異なる。 フロイト由来の抑圧は、「スプリットオフ」、つまり分割されて意識の外においやられていると表現している。

  • 分裂

    1.分裂とは 人間の発達過程で、抑圧が可能になるのはエディプス期(4~5歳)以降であるが、分裂は、1歳前後の乳児において活発に働く原始防衛機制の一つである。対象や自己それぞれについて、欲求充足的な側面(良い対象、和良い乳房)と攻撃的・欲求不満的な側面(悪い対象、悪い乳房)とを別の存在として認知する。 分裂は、自己の分裂と対象の分裂の2つを含むことになり、自分の良い側面が、悪い側面に汚染され、破壊されるという被害的・妄想的な不安に対し、それぞれ別の存在と認知することによって防衛することを意味している。

  • 否認

    1.否認とは 否認とは、知覚しながらもその存在を認知すると、不快、不安、恐怖などを引き起こすような現実や自分自身を、そもそも認知しないようにすること。防衛機制の一つ。しばしば否認は、抑圧と対比されるが、抑圧が内的な情動や欲動を意識から排除するのに対し、否認は意識しているにもかかわらず、それを否認するところに違いがある。 現実見当識や注意を、そもそも麻痺させる働きといえよう。

  • 反動形成

    1.反動形成とは 反動形成とは、自分にとって許しがたい衝動が起こったときに、その衝動とは真逆の態度を取ることで対峙しようとすること。防衛機制の一つ。当初、抑圧によって対処しようとするが、どうにもならないため、真逆に舵を切ることで補強しようとする試みといえる。 しばしば引用されるのが、慇懃無礼な態度である。丁寧でひどく従順な振りをしながらも、結果的に相手を不快にさせることが重要である。

  • 取り入れ

    1.取り入れ(摂取)とは 対象の属性を取り入れて、自らのものとすること。投影が生物学的に異化に例えられるのに対して、取り入れは同化、すなわち自己の一部とする現象に例えられる。防衛機制の一つ。

  • 投影

    1.投影とは 投影とは、自分の本能・衝動・情緒・観念・表象などを外在化して、自分とは別の対象に属するものとして知覚する規制である。防衛機制の一つで、取り入れが同化にたとえられるのに対して、投影は異化や吐き出しに相当する。つまり、自分の内に留め置くことが不快なので、外に吐き出す機制である。客観的現実を主観的に歪曲するといえる。 要するに、「そう思うこと」自体が不快なので、相手が「そう思っている」ことにすることで、現実から目を逸らそうとすること。自分のこころから苦痛を吐き出し、相手のこころにその苦痛をねじ込むことで、自分だけすっきりしようとする。

  • 同一化

    1.同一化とは 自己と対象の境界が曖昧になる認識のあり方と、取り入れの機制を介して、自己が対象の持つ属性を獲得するプロセス。防衛機制の一つ。 要するに、相手になりきることで、無力で、惨めな自分を覆い隠そうとする。

  • 昇華

    1.昇華とは 原始的な対象備給が禁止される場合、性的・原始的な満足以外の目的、つまり文化的・社会的に有用で、より創造的な目的に転換されることになり、これを昇華という。防衛機制の一つで、「成功した防衛」といわれる。 要するに、正攻法で乗り切ること。

  • 躁的防衛

    1.躁的防衛とは 躁的防衛とは、空白の時間を埋めるため忙しく動き回ること。防衛機制の一つ。 万能感を喪失するのではなく、万能感を自らが放棄するととらえ直すのが抑うつポジションの進展といえるが、これらの抑うつ不安を打ち消し、万能な自分がいるという感覚にもう一度浸ろうとするのが「躁的防衛」である。躁的防衛は、万能感、否認、理想化がシステム形成されて作られているものであり、支配、服従、軽蔑といった感情や感覚によって構成される。 要するに、せわしなく動き回ることで、不安や悩みから逃げ出そうとすること。家庭の不和から逃れるために、残業や休日出勤に走るなど。

  • 打ち消し

    1.打ち消しとは 打ち消しとは、既に行われた行為や意識された考えに伴う特定の情動を、正反対の情動的意味を持つ行為や考えによって打ち消そうとする「つぐない」と「やり直し」の心理規制である。防衛機制の一つ。この打ち消される行為や考えは、常に超自我の批判を受け、罪悪感や恥の感情を引き起こすような情動を伴っている。 なお、打ち消しが、個々の行動や考えについて生じる心理的な機制であるのに対し、反動形成ではその人物の全体的態度が、無意識の欲動に対してそれと正反対の形を取り、この点で両者は区別される。反動形成が不全又は未発達の状態では、打ち消しが活発化することが多い。 要するに、とんでもないことをしてしまっ…

  • 合理化

    1.合理化とは 自分の取った行動や態度や考えに対して、論理的に妥当な、あるいは倫理的に非難されない説明をつけ、それによって不安を起こさずに自分の望む言動を達成しようとする試み。防衛機制の一つ。 知的活動を要するにもかかわらず、知性化や昇華と異なるのは、欲求充足の手段や目標を、より社会的なものに置き換えるのではなく、充足しようとする欲求がより低い水準に留まっている点にある。 要するに、場当たり的な言い訳のこと。

  • 防衛機制

    1.防衛機制とは フロイトによって明らかにされた精神分析の中心的理論概念の一つ。主観的・意識的な安定を保つ無意識的な自我の働きを目的とする心理機制のことで、意識することによって、不安、不快、苦痛、罪悪感、恥などを体験するような情動や欲動を意識から追い払い、無意識化してしまう自我の働きである。不安から逃れ、心穏やかでいるために自動的に行われる。 歴史的には、①ヒステリーの場合、抑圧、転換など、②強迫神経症の場合、隔離、反動形成、退行、やり直しなど、③恐怖症や妄想症の場合、これらに加えて投影、④うつ病の場合、取り入れ、同一化などの防衛機制が明らかにされた。 (1)原始的防衛機制 クラインによって研…

  • パニック障害

    1.パニック障害とは パニック障害の患者は、重要な人と一緒にいても、安全で、安心であると感じることができず、加虐的な親の表象を内在化することで、成長してもなかなか信頼感を抱くことができない。パニック障害の患者の多くは、親は威厳的で、気性が激しく、批判的・支配的で要求がましいと感じやすく、反動形成、打ち消し、身体化、外在化という防衛を組み合わせることで対処しようとしやすい。

  • 浮動性不安

    1.浮動性不安とは 一般的に不安とは、危機の到来が予測される状況において体験する判然とした対象ない怖れの感情とされる。フロイトによると浮動性不安は、神経症的不安の2つの形で、字義どおり特定の対象を欠いた漠然とした、いわば最も純粋な形の生の不安という。

  • 不安

    1.不安とは 不安は、漠然とした未分化な怖れの感情である。しばしば恐怖が、はっきりした外的な対象に対する感情であるのに対し、不安は内的な矛盾から発する、対象のない情緒的な混乱で、重いものになると情緒的な体験は破綻する。また、破局的状況に置かれた主観的体験を不安と定義するときもある。なお、不安は多少とも身体的表出を伴い、動悸、どきどき、発汗などから瞳孔の散大にいたる多彩な自律神経症状を呈する。 2.不安の発達的なヒエラルキー A.破滅・解体不安 自己がばらばらになり、統合を失う恐怖のこと。 B.迫害不安 外界からの迫害対象が侵入し、内側から絶滅させるという不安のこと。 C.対象喪失のおそれ(対象…

  • パーソナリティとパーソナリティ障害

    1.パ ーソナリティ(人格)とは 心理的・身体的な個性を、パーソナリティという。パーソナリティはラテン語のペルソナに由来し、もともとは劇などに使われた仮面の意味であったが、その徐々に変化していった。キケロは、①実際にはそうではないが、他人にはそう見えているもの、②人がその人生において演じる役割、③人の持っている性質の集合体、④区別と威厳などに分け、今日使われているパーソナリティはそのうちのどれかから分かれてきたものである。 2.パーソナリティ障害とは 松木(2016)は、下記の文献においてパーソナリティ障害について次のように述べている。 パーソナリティ障害は、行動の病である。その人の心に抱かれ…

  • 発達障害

    1.発達障害 …。 2.自閉症 自閉症は人をものの「ように」扱 うといわれるが、正確ではない。本当は人をもの「として」扱うのである。生きているものと無生命のものの区別がなく、生命感を実感できないのが自閉症の特徴といえる(参考文献失念)。 3.広汎性発達障害 …。 4.アスペルガー症候群 オーストリアの小児科医であるアスペルガ ーが、「小児期の自閉的精神病質」(1944)を発表し、この論文がアスペルガー症候群の原型となった。①社会的に奇妙で不適切な一方的関わり、超絶した態度、自己中心的、深刻な社会性の問題を持ち、②自分の関心あることについては言語表現が豊かだが、話が回りくどく、言葉を反復的に使用…

  • 認知症

    1.認知症とは 認知症は、比較的遅い段階までパーソナリティが保たれ、通常の日常生活を比較的うまく送ることができる。ウィナー(1997)によると、進行的な認知症に伴う精神機能の損失は、自我の退行過程として理解できるという。より原始的な防衛機制が、成熟した防衛機制に取って代わるようになる。最も一般的な防衛機制は否認と投影となり、認知症患者は何かを間違えた際、それを自分の責任として理解するよりも、他人を避難するようになる。 (1)アルツハイマー型認知症の特徴 アルツハイマー型認知症の場合、多くの精神機能が低下するまで自己意識が障害されることはない。過去の自分を思い出し、機能不全が生じている今の自分に…

  • アンヘドニア

    1.アンヘドニアとは アンヘドニアとは快楽喪失のことで、快楽・喜びを感じられない状態を意味する。うつ病と統合失調症の両方において用いられるが、意味内容は多少異なる。 (1)うつ病 うつ病のアンヘドニアは、これまで楽しめていたことが楽しめなくなり、さらに強まると何事にも興味が持てなくなる陽性感情の鈍麻である。離人症とも関係する。感情の消失そのものが苦痛として訴えられる。 (2)統合失調症 統合失調症のアンヘドニアは、陰性症状の一型とされ、感情の平坦化と関係して、喜びがなくなるために動機が失われて無為の原因になると考えられるものである。感情の消失は自覚されず、訴えられることはない。

  • ウェクスラー成人知能検査

    1.ウェクスラー成人知能検査とは 成人用の個別式知能検査法。精神発達の遅れを鑑別するために作成されたビネー法が、成人には不十分であることから、1939 年、ペルヴュー病院のウェクスラーが「ウェクスラー=ペルヴュー知能検査」を開発した。ウェクスラーは、知能を「目的的に行動し、合理的に思考し、効率的に環境を処理する総合能力」と定義した。その後、問題項目やサンプリング上の欠陥を修正し、1955年に「ウェクスラー成人知能検査(WAIS)」に改名している。 なお、検査結果は、その年齢の被検者の成績を同年齢群の者が獲得した平均得点と比較することによって知能水準を示す偏差値IQで表される。 2.知能検査(W…

  • MMPI

    1.MMPI(Minnesota Multi phasic Personality Inventory)とは MMPIは、ミネソタ大学のハサウェイとマッキンレイによって作成された心理検査である。オリジナルは566項目、日本版では550項目の質問から構成されている。質問項目は、当時の問診内容や医学的な教科書、各種の性格検査などから選ばれたもので、正常者群とそうでない群との間で項目分析を行い、有意差の認められた項目だけが集められた。 もともとは、クレペリンによる精神病の分類をもとに、精神障害の種類と程度を把握するために作成されたものであるため、経験的にいけそうな質問項目が選ばれている。 2.MMP…

  • MAS(顕在性不安尺度)

    1.不安に関する2つの質問紙法 アイゼンクら(1985)は、①特性とは、様々な状況を通じて行動を規則的・永続的に決定する要因であり、②状態とは、ある特定のときに生じる要因であるという。 テイラー(1953)のMAS(顕在性不安尺度:Manifest Anxiety Scale)は、永続的な不安(特性不安)を測定するために考案された質問紙である。一方で、キャッテルらは、不安は何らかの嫌な出来事をきっかけに生じた一時的な状態でもあると考え、特性不安だけでなく状態不安も加えるべきとしててSTAI(状態ー特性不安尺度、State-Trait Anxiety Inventory)という質問紙を開発した。…

  • 質問紙法

    1.質問紙法とは 質問紙法とは、被験者(テストを受ける人)が、ある特定のテーマに関する質問項目に対して「はい」、「いいえ」、「どちらでもない」などで回答する心理検査のことである。アンケートのようなものだが、主にパーソナリティ全体をとらえようとするものと、不安などの一部のパーソナリティ側面をとらえようとするものに分けられる。自分の行動や意見を記述することができる場合、質問紙法や面接法は有効な手段である。 なお、質問紙法や面接法は、被験者の言葉を信頼するという点で同じであるが、質問紙法では被験者自身が質問を読み、回答する(自記式)のに対し、面接法では被験者に直接つ質問を行い、回答を面接者が記入する…

  • 知的障害

    1.知的障害とは 以前は、精神薄弱や精神遅滞と呼ばれていたもので、明らかに平均以下の全般的知的機能(知能検査によるIQ70以下)と適応機能の障害が同時に存在(その文化圏で年齢に対して期待される基準を満たない)し、18歳未満に発症する。桜井(1988)は「出生前あるいは出生後の何らかの原因によって、発達期に知的機能障害が現れ、能力低下や社会的不利を生じ、生活、学習、仕事などの人間関係の営みに支障を来す可能性があるため、医療、福祉、教育、職業等の面で特別な援助を必要とする状態」と指摘している。 人口の1%程度で、男女比は1.5:1、古くは、魯鈍、痴愚、白痴の3段階に分けられていたが、侮蔑的ともいえ…

  • 認知

    1.認知とは 認知は、理解、判断、記憶、論理などの知的過程に関するもので、知能に最も近い。情動や意志の過程と対比として用いられる。

  • 知覚

    1.知覚とは 世界を認識する基本的な形式のこと。

  • 寄る辺なさ

    1.寄る辺なさとは フロイトが乳児の無力さを示すために用いた言葉である。自らの飢えや渇きを満足させるために、他者や環境に全面的に依存しなければならない状態を指す。

  • 欲動

    1.欲動(drive)とは フロイトに定義された精神分析的な概念。「心的なものと身体的なものとの間の境界概念」などといわれ、「精神生活に表現される身体的な欲求」とされている。「本能」と訳されることもあるが、生物学的な本能の心理学的な欲求の形での表れという意味で「本能」とは一応区別される。心理学的な概念である欲求(need)や欲望(desier)に比べれば、生物学的な基礎を考案した概念といえよう。生物学的・身体的→本能、生物学的・心理的→欲動といえるかもしれない。 (1)欲動行為 欲動行為とは、欲動が意識的、理性的な統制を受けずに開放される行為である。衝動行為と同義で用いられることが多い。

  • 家族ロマンス

    1.家族ロマンスとは 本当は「自分は捨て子だった。」、「自分の両親は本当の両親ではなく、自分は高貴な生まれだった。」といった両親との間柄について抱く空想について、フロイトが名付けた呼び名。フロイトは、ランクの「神話と英雄の誕生」(1909)の中で記述された「家族ロマンスと神経症者」という論文の中で、その空想はエディプス・コンプレックスの影響を受けていると論じた。つまり、両親を否定したい衝動、自分を誇大視したい願望、近親相姦願望の壁をうまくすり抜けようとする企てや同胞葛藤など、様々な動機によって形成されるとした。この空想は、幼児期のみならず、血統妄想や家族妄想にもつながっていくことになる。

  • アクティングイン

    1.アクティングインとは 精神分析の治療場面で生じる行動化のこと。言葉の交流が行われているように見えても、実際は内的な対象関係が実演されている状態を指す。転移状況で惹起され、抵抗としての側面と関わりとしての側面がある。レニックは、アクティングインにエナクトメントという言葉を当て「本人が必ずしも意識できないような個人的な動機が、行動によって表現される」とした。

  • リビドー

    1.リビドーとは リビドーは、フロイトが用いた性的エネルギーの概念である。人間に生得的に備わった本能エネルギーで、発達とともに成熟する。フロイトの幼児性欲論によると、リビドー発達は口唇期、肛門期、エディプス期、性器期へと発展するが、それぞれの段階に対応する快感刺激帯、欲求の目標、充足の対象を持っている。

  • 精神分析の性格類型

    1.精神分析の性格類型とは 2.口唇性格 アブラハムによって明らかにされた性格で、口唇期への固着が強く、口唇に発する特徴的な性格傾向のこと。依存的で、愛情欲求を抱き他者からの愛情を手に入れるためには喜んで自分自身を犠牲にする。あるいは、愛して欲しい人に同一化することによって、人の世話をしたり極端に親切にしたりするなど、見せかけの振る舞いに走ることで、依存・愛情欲求の過補償を求める。いずれにせよ、外からの愛情が得られていなければ不安で、自尊心を保つことができない。フロイトは「自己愛的な人格」と呼び、大から愛情と「取る」「受ける」ことにのみ過度の関心を持つとした。 3.肛門性格 肛門期への固着が強…

  • 精神病

    1.精神病とは 精神病とは、精神障害のうち、より重症の精神症状や行動障害を呈する一群の総称である。より軽症の精神障害とされる神経症の対照として用いられることが多い。とはいえ、神経症と同様に精神病も曖昧な概念であるため、限定的に使われている。 2.様々な精神病 (1)単一精神病 クレペリンによって早発 生痴呆(統合失調症)、躁うつ病がそれぞれ独立した疾患であると主張されるまで、19 世紀を通じて疾病論のーつを担っていた精神病である。当時、多様な精神障害の病像は全体としてただーつの精神病の異なる現象形態であって、複数の疾病が存在するわけではないとされた。なお、ツェラーらは、4つの基本形ないし4つの…

  • 精神障害

    1.精神障害とは 精神障害とは、精神病を含めて、平均からある程度偏った精神状態の全てを包括する上位概念である。ただし、その輪郭は漠然としており、諸国あるいは学派によって異なった内容を持つ。 2.精神障害に特徴的な症状 (1)欠陥 身体機能や精神機能に持続的で、非可逆的な喪失が起こった場合、欠陥という。知的な面での欠陥は認知症と知的障害であり、精神医学では統合失調症に用いられることが多い。 (2)荒廃 精神障害の末期的な精神荒廃状態を指すが、通常は統合失調症に限定ぎれた用語となっている。統合失調症の荒廃は、周囲との交流をなくし、あらゆることに無関心となり、無欲ではなく無為な生活を送る。 (3)精…

  • 摂食障害

    1.摂食障害とは 摂食障害とは、特定の精神障害に起因せず、食行動の異常をきたす障害の総称である。不食による痩せを特徴とする①神経性無食欲症と、むちゃ食いを特徴とする②神経性過食症に大別される。「anorexia=食欲がない」というのは、言葉の持つ本来の症状を反映しているとはいえず、食欲がありながらも体重や体型への強いこだわりや無意識的葛藤から極端な接触に及んでいるといえよう。 ①神経性無食欲症は、痩せていることが美徳であると考えられていない国ではほとんど知られていない。精神的要因と生物学的要因は、摂食障害の病因として過小評価されるべきではないが、これらの要因は明らかに文化・文明につながっている…

  • 精神病質

    1.精神病質とは 背徳症や変質者の概念などに由来し、コッホの精神病様底格の概念を経て成立した。意味内容は歴史や学派によっても異なるが、①精神病と正常の中間状態や、②精神病や神経症の病前性格とするもの、③病気とは無関係で、人格が正常から逸脱した状態(変異概念)とするものがある。 精神病質の成因については、遺伝的・生来性の脂質と生育史的な環境が重視されている。

  • 性格と人格

    1.性格 characterはもともとギリシャ語の「刻み込まれたもの」、「彫り込まれたもの」に由来し、特質、特性といった意味がある。人格(personality)と性格(character)を同義に用いることもあるが、人格の感情・意思に限るものと、道徳的な価値判断を含むものとに分けられる。 人格=感情+意思 性格=感情+意思+道徳+価値観 2.人格 人格(パーソナリティ)は、倫理的な価値判断を含んだ語感を与えるなどの理由で、英語をそのまま仮名書きにして用いられることが多い。

  • 葦原将軍

    1.葦原将軍とは 本名、葦原金治郎(あしはらきんじろう、1850~1937) 明治時代から昭和初期にかけて有名だった「狂人」の代表的人物。金沢県に生まれ、明治維新後に江戸に出て、本人は埼玉県深谷の櫛屋に引き取られた。24 歳頃に血統妄想や誇大妄想様な発言をするようになり、妄想に伴う暴力犯罪や宮城付近の徘徊などで何度か受刑した後、1882 年(明治15 年)、天皇への直訴を試みて1882年から死去まで、途中脱走退院もあったものの、東京府癲狂院、東京府巣鴨病院、東京府立松沢病院に収容されていた。 病名は、統合失調症、進行麻痺(いわゆる脳梅毒)、蜑 生躁病など諸説ある。葦原将軍と呼ばれたのは、自らを…

  • 思考

    1.思考とは …。 2.様々な思考障害 (1)思考障害 …。 (2)思考錯乱 思考過程に連続性と統一性が欠け、全体としてまとまりがないものを支離滅裂といい、意識混濁があって支離滅裂が生じている場合を思考錯乱という。症状精神病に見られる思考過程の異常である。 (3)思考制止 思考過程の障害で、抑うつや意志制止とともにうつの基本症状である。思考の進行は遅く、観念の想起が困難で、思考の目的になかなか到達しない。ぼんやりして、何も思い浮かべられず、何かを決めることもできない。 (4)思考促迫 考えのまとまりがなく、勝手に浮かんできて抑えられないこと。統合失調症の初期に見られ、思考促迫が進むと、思考吹入…

  • 修正感情体験

    1.修正感情体験とは ポジティブなものを供給する治療者のこころに患者が触れることで、その患者が持っていた、こころの中のネガティブな人間観がポジティブなものに変わることを目指すこと。

  • 逆転移

    1.逆転移とは クライエントが転移を起こすのとちょうど同じように、治療者は逆転移を起こす。治療者もクライエントも、無意識のうちに相手を過去の誰かとして経験することになる。

  • 反復強迫

    1.反復強迫とは フロイトは死の本能を説明するため、有機物である生物が原点である無機物に戻ろうとする傾向のあることを指摘し、その際に反復強迫という言葉を用いた。反復強迫は、早期状態へと戻ろうとする生来の心的な傾向を表し、幼い頃に理解できなかった不安や外傷体験が、大人になった後、行為の中で反復される場面を想定している。

  • 抵抗

    1.抵抗とは 抵抗は、洞察と変化をもたらそうとする治療者の関わりに反して、そのままの状態を保ちたいという患者の願望にかかわっている。意識的・無意識的であり、共通して怒り、罪悪感、憎しみ、愛、羨望、恥、悲哀、不安など、不快な感情を避けるための企てといえる。 簡単にいうと、苦痛で不快なことは認めません!という反抗である。 なお、抵抗は観察できるものに対し、防衛は観察できず、推測しなければならない。抵抗や防衛の強さは、内在する衝動の強さに比例する。

  • 転移

    1.転移とは 転移とは、本来は過去の特に子ども時代に重要な人物、両親などに対して体験した感情、思考、行動、態度を今の人間関係のある人物に置き換えることである。それゆえ、今の対象(相手)にとっては、不合理な内容の感情、思考、行動、態度といえる。学校や職場、社会の全ての人間関係には、理にかなった現実的側面とともに転移的な側面が存在する。 ブレナー(1982) は、「すべての対象関係は、最初の関係に新しく加えられたものであり、子ども時代の決定的な愛着‥・転移は至る所にあり、それはその人の生活で他人が重要な影響を持つ全ての状況で起きるのだから、あらゆる分析状況で起きる。」という。

  • 退行

    1.退行とは ある時点において、それまでに発達した状態や機能あるいは体制が、それ以前のより低次の状態や機能ないし体制に逆戻りすることをいう。大人が子どもになる。

  • 神経症

    1.神経症とは 神経症とは、心因性に生じる心身の機能障害で、器質的なものによるものではなく、特有の症候群や状態像を示し、精神病、心身症、パーソナリティ障害などとは違うことで診断される。 もともとはカレンが、現在よりも遙かに広い概念として提唱したのが始まりである。カレンは全ての疾患を①熱性疾患、②神経疾患、③消耗性疾患、④局所性疾患に分け、さらに②神経疾患を②①卒中・麻痺、②②化不良・心気症、②③踏病・てんかん・ヒステリー・心悸亢進・呼吸困難、②④幻覚妄想を示す精神病の4つに分けた。その後、器質的神経疾患、進行麻痺、てんかん、内因性精神病、内分泌障害などが独立した疾患として神経症から外れる中で、…

  • 迷信

    迷信(めいしん) 迷信とは、人類の歴史において古くから伝えられてきた俗言の一種。人間の理性やその時代の思想や常識では説明できず、実際の日常生活に厄介な実害を伴うことが多い。

  • 舌がたり

    舌がたり(したがたり) 宗教的な神がかりによって神の言葉を自分の口で語る現象のことをいう。本来自己の所属である思考が、自己の統制を離れて働く自我障害の一つ。いわゆるヒステリー。

  • 悟り体験

    悟り体験(さとりたいけん) 悟り体験とは、至福や啓示の強い感情が急激にわき上がる体験のこと。レオンハルトが非定型精神病で取り上げた不安・恍惚精神病の恍惚性の症状で見られる。非合理的な観念を語り、統合失調症などにも見られる。

  • 回心

    回心( かいしん) 回心という言葉は「向きを代える。」、「本来あるべきもとの状態に帰る。」という意味を持つ。もともとの意味は、これまでの自己中心的な行き方を悔い改めて、キリスト教の神を中心とする生き方に鞍替えし、他者に仕える行き方をするように抜本的に改めるところにある。それゆえ、回心は神の超越的な慈しみによってのみ可能になるとされる。 回心は、聖パウロの回心のように一時的・劇的なものと考えられてきたが、最近では漸進的・持続的なものであると考えられるようになってきている。普通、心理療法では使われない。

  • シュナイダーの精神病質人格類型

    シュナイダーの精神病質人格類型 1.狂信者 熱狂者と訳すこともある。その特徴は、思想と行動全般の中で支配観念が際立った優位性を示し、社会に認めさせるために熱狂的・徹底的に動き回ることにある。その際、個人的欲望や自分の生活、家族などには一切目を向けない。シュナイダーは狂信者を2亜型(①闘争的な狂信者と②活気のない好訴者)に分けた。 (1)闘争的な狂信者 強い自我感情と権利意識を持ち、自分の主義主張の中に「公共的重大性」を認めて闘争し続ける。もちろん、全財産・全生涯をつぎ込むこともいとわない。 (2)活気のない好訴者 風変わりな主義・思想を持つが、主張の仕方は穏やかで、奇妙な服装・態度・言動などに…

  • クレッチマーの性格分類

    クレッチマーの性格分類 1.循環気質 太り型の体型に、循環病質にみられる気質を認めることができる。クレッチマーは、おしゃえりな陽気もの、もの静かな情の人、のんきな享楽者、精力的な実務家などをあげている。 2.敏感者(敏感性性格) 強い感受性を持ち、得られた印象を意識的に保持するが、それを思うように処理できない人である。非常に高い自我理想や超自我を備え、罪悪感や屈辱感を抱き、倫理的な葛藤に囚われやすい。シュナイダーは、精神病質人格の類型の中で自信欠如者の一亜型として敏感者を上げている。 3.分裂気質 クレッチマーは、健常な痩せ型体型に分裂病質に見られる器質標識を認めることができるとした。上品で感…

  • クレペリンの精神病質人格障害

    クレペリンの精神病質人格障害 1.虚言者 以前は「病的虚言」といわれていたもので、クレペリンは「虚偽及び欺瞞」をいう行動をとらえて一類型とした。デルブリックの「空想虚言」と全く同じ概念である。虚言者は、異常に活発な空想を抱き、その空想に熱中して非現実的な境遇を夢想し、願望に従って過去・現在・未来を思うがままに改変し続ける。そして、自分自身でもその空想と現実との区別がつかなくなるのが特徴である。 現実はあまりに酷なので、夢の世界で生きているといえよう。 2.軽ちょう者 軽ちょう者は、「生き方全体を支配する意志の被影響性」を特徴とすると定義される。知能に恵まれ想像力豊かで、気分はたいてい爽快だが、…

  • 自殺

    1.自殺とは (1)アノミー デュルケムは、「自殺論」において、自殺の原因は個の要因よりも、まず社会的要因こそが重要であると述べた。社会には一定の自殺を引き起こす傾向があり、それは個人の動機からというよりは、社会的原因に大きく依存しているという学説である。そして、自殺を①自己本位的自殺、②集団本位的自殺、③アノミー的自殺、④宿命的自殺に分けた。 (2)群発自殺 群発自殺とは、自殺や自殺企図が、特定の地域においていつも以上に時間的・空間的に隣接して起きる現象である。とはいえ、これといった明確な基準はない。もともと18世紀末にゲーテの「若きウェルテルの悩み」が出版された後、ヨーロッパ各国で小説の主…

  • 思考

    1.思考とは …。(後日記載) (1)思考障害 …。(故実記載) (2)思考錯乱 思考過程に連続性と統一性が欠け、全体としてまとまりがないものを支離滅裂というが、意識混濁があって支離滅裂が生じている場合を思考錯乱という。症状精神病に見られる。 (3)思考制止 思考過程の障害で、うつ、意志制止とともに抑うつ状態の基本症状の一つ。思考の進行は遅く、観念の想起が困難で、思考の目的になかなか到達しない。考えようとしても考えが頭に浮かんでこない。生気がなく、ぼんやりして、何も思い浮かべられず、何かを決めることもできない。 (4)思考促迫 考えのまとまりがなく、勝手に浮かんできて抑えられない。統合失調症の…

  • 自我と自己

    1.自我とは 自我はフロイトが用いたIchの訳語で、直訳すると自分、私、自我などの意味を含んでいる。要するに「私」のことを意味するが、この場合の「私」は、主人公である「私」こそが全てで、それ以外の物事はほとんど関係がない(興味がない)という立ち位置にいる。自我心理学で好んで使われるが、対象関係論では客体を想定した「自己」が用いられるため、自我が使われることはほとんどなくなった。 良くも悪くも自我には「私!」感が強すぎる。 (1)自我親和的 欲求、感情、観念、行動などが、その個人の自我(自己の意識)にとって受け入れられ、違和感を生じないような状態にあること。自分の基準に受け入れられ、調和している…

  • 興奮

    1.興奮とは 急激に気持ちが高ぶり、押さえられなくなること。精神医学では、興奮状態を精神運動興奮といい、激しく統制できない運動が過剰に現れる状態をいう。このとき急激な情動や自律神経系の変化、覚醒水準や欲求の亢進、統制の低下などを伴う。

  • 攻撃性

    1.攻撃性とは 攻撃性には、いくつかの概念が組み合わされている。①攻撃行動。怒り、敵意、憎しみ、恨み、不満などにもとづいて、他人、自分、その他の対象に重大な暴力や死、苦痛、恐怖などをもたらす行動。身体的攻撃と言語的な攻撃に分けられる。②攻撃本能。人間がもともと持つと思われる攻撃。③その本能のもつエネルギーなどである。 カ動的な心理学で最初に着目したのがアドラーで、「権力への意志」と表現した。続いてフロイトは、攻撃性を性欲と共同して征服本能と考えたが、中期には、自己保存に役立つ自我本能の一部と見なし、後期には、エロスとタナトスの二大本能論を立てると、この2つの融合によって生じるがタナトスが優勢に…

  • 行動

    1.行動とは 行動は、快・苦痛原則に基づく「一次過程」であるという。フロイトは「増大した刺激の運動による放出」といい、クライン・ビオン風にいうなら、万能空想としての投影同一化による苦痛の排出としての行為・行動が想定される。

  • 幻覚

    1.幻覚とは 知覚としては体験されるものの、実際はその対象が存在しない心的現象を剌す。エスキロールは、「対象なき知覚」と表現し、あくまでも「知覚」という形態を取った何らかの障害と考えられる。 (1)幻聴 聴覚性の幻覚。単純な音の幻聴である①要素幻聴と、それ以外の②複雑幻聴とに分けられ、②複雑幻聴はさらに②①音楽性幻聴と②②言語性幻聴に分けられる。①要素幻聴と②①音楽性幻聴は、側頭葉てんかんなどのてんかん発作として現れることが多い。②②言語性幻聴は、統合失調症精神病、アルコール幻覚症などで見られることが多く、シュナイダーは自生思考、考想化声、考想奪取、作為思考と同一のもので、自己所属感が障害され…

  • 恐怖症

    1.恐怖症とは 恐怖症とは、たいして危険でも脅威でもないはずの対象や状況に対して、不釣り合いなほどに激しい恐怖を覚え、理屈に合わないとわかっていても、恐怖に駆られてその対象や状況を回避しようとする病的な恐怖のことである。非合理的で、抵抗できないという点では、恐怖というよりも強烈な不安といえる。 恐怖症は、そのテーマにしたがって名付けられ、広場恐怖、対人恐怖、動物恐怖、疾病恐怖、不潔恐怖などが上げられる。なお、行動主義の立場から神経症は学習された不適応反応とされるが、その典型的な例として恐怖症が選ばれている。なお、DSM-5 における不安障害の分類に含まれる恐怖症は、限局性恐怖症、社会不安障害あ…

  • 解離

    1.解離とは 解離が意味しているのは、知覚、記憶、同 一性、そして意識を統合することの失敗である。解離によっては、人々が無力感を体験し、身体へのコントロールを失ったとしても、心理的にはコントロールできているとの錯覚を維持することが可能になる。解離による防衛は、外傷的な出来事が生じている際に、その出来事から離れ、遠く離れて眺めることができるようにする。

  • 強迫

    1.強迫とは 強迫とは、無意味で、非合理と判断される思考や行動が、支配的になってやめられないこと。やめたくても、やめられない。 (1)強迫観念 たえず心を占め、意識して取り除こうとしてもそれができない観念のこと。妄想とは、その非合理性を理解している点において理論上区別されるが、実際には区別が困難な場合が多い。誰にでも起きうるが、病的な場合はそれにとらわれ多大な苦痛をもたらすことになる。 (2)強迫思考 その内容が無意味・非合理的で、支配的・持続的であるとわかっているにもかかわらず、その思考を追い払うことができない場合を強迫思考という。そのため、思考内容は自我違和的なものとなる。 (3)強迫行為…

  • 欲求

    1.欲求 欲求は、渇き、飢え、眠気などが、現実の特定の働きによって緊張が緩和される生物学的な次元のものである。 (1)欲求不満 何らかの妨害によって欲求満足を阻止されている状態のこと。フラストレーションともいう。

  • 愛情

    1.愛情 フロイトは、「愛情とは対象の再発見である。」という。つまり、全ての愛情は幼児期の愛の再現といえる。なお、最初の愛は同一化として体験され、対象と自己との区別のつかない愛情の在り方から出発するとした。

  • 気分

    1.気分とは 気分は、精神生活を彩りながらある程度持続する感情状態のことである。意識に上ることのない気分の変化があり、今日はいい気分(→意欲は高まり、楽観的)となったり、今日は嫌な気分(→意欲は低下し、悲観的)となったりする。 (1)気分変調 気分はある期間持続する感情状態であるが、気分変調は、正常な気分から偏って正しくない状態とされる。うつ病における抑うつ気分、躁病に見られる易怒的気分がこれにあたる。不機嫌、不平不満を持続的な特徴とする性格の場合、気分変調は恒常的に精神生活を彩ることになる。 (2)気分高揚 快活な気分だが、躁病ほどではない。活発で活動性が高く、自制が利かない。軽躁病と同義語…

  • 欲望

    1.欲望とは 願望とも訳される。フロイトによれば、欲望とは、記憶に刻み込まれた肯定的な体験を再現しようとする試みであり、「夢は欲望の充足である。」という。欲望は欲求と要求の間に位置づけられるもので、現実的な満足感を得られるものではないが、かといって口先だけの夢物語でもない。いかなる方法でも埋めることのできない欠如と結びついている。

  • 衝動

    1.衝動とは 衝動とは、突然、行為や行動を触発されるような基本的な原動力をいう。この原動力はしばしば自覚されない。精神分析的には、衝動は本能に関係し、その源は身体過程に基づくとされる。なお、主体的な自我により意識されたり、体験されたりして意味を与えられると、衝動は欲求や情動に姿を変える。 衝動:自分の気持に気づけぬまま、ぱっと動くこと。

  • 羨望

    1.羨望とは 羨望とは、うらやましく思う気持ち。嫉妬が三者関係の中で競争者を排除し、自分が愛する対象を獲得したいという欲求から生じるものであるのに対し、羨望は二者関係で生じるもので、対象の持つものを自分のものにしたいという点で区別される。 対象が良いものである、あるいは、良いものを持っているゆえに、その良い対象を攻撃し、破壊しようとする陰性の感情である。その結果、その対象から取り入れて自分を豊かにする良いものも同時に破壊してしまうことになる。言うまでもなく、その結果は自滅ということになる。 2.羨望の病理 クラインは、良い対象、良い母親、良い乳房、良い分析家の創造性を破壊する最も原初的な破壊・…

  • 嫉妬

    1.嫉妬とは 嫉妬は、少なくとも3者間系の中で自分のものだと感じていた愛情が奪われるか、奪われる可能性があると感じることである。自分以外の人が、望ましいものを我がものとし、それを楽しんでいることへの怒りの感情である羨望(2 者関係)とは区別される。 フロイトによると嫉妬は三層に分けられるという。一層目は、正常な嫉妬であり、愛情対象の喪失という考えによって引き起こされた苦痛や自己愛的な傷つき、競争者に対する敵意などである。異性愛、同性愛に根ざし、正常であるが合理的ではない。二層目は、投影された嫉妬であり、抑圧された衝動を軽減するために無意識的に投影することで良心の呵責から逃れようとするものである…

  • 罪悪感

    1.罪悪感とは 罪悪感とは、倫理、道徳、宗教的な戒律から非難されて当然と考えるような行為をしたときに生じる感情のことである。些細な過失や怠慢に基づく不合理な自責感のほかに、具体的な行為がないにもかかわらず、自分は無価値で罪深い人間であると思う感情まで含まれる。懲罰的な超自我に対する自我の反応といえよう。

  • 情動

    1.情動とは 驚愕、激怒、喜び、恍惚、憎悪など、急激に生じる身体不随現象を伴う一過性の強い感情であり、身体変化として客観的にとらえることができる。情動の異常としては、情動不安定や情動失禁、情動麻痺、病的興奮などがある。ブロイラーのいう「情動性」とは、感情、情動、気分を包括した概念である。 2.様々な情動 (1)情動失禁 わずかな刺激で、泣いたり、笑ったり、怒ったりする状態で、情動の調節がうまくいかない。一般的に高齢者に見られる。 (2)情動麻痺 激しい精神的な震撼(驚愕、地震、戦争など)のために全ての感情が怒らなくなった状態で、情動昏迷ともいう。この状態を動物が危険に際して取る死態反射になぞら…

  • 感情

    1.感情とは 感情は、心的機能の基本をなすもので、快・不快を中心に直接体験される能動的・受動的な自我状態のことをいう。何かに反応して急激に生じる一過性の強い感情を情動といい、逆に持続的で軽度な感情状態を気分という。 感情:能動的あるいは受動的な「快」から「不快」の自我の状態 情動:一過性の強い感情 気分:持続的で軽い感情 2.様々な感情 (1)感情異常 感情異常は、量(強弱)、質、持続に分けられる。量の異常は、躁病における感情高揚(躁病の中核症状・生気的感情の亢進した状態)や気分高揚として現れ、持続期間は長い。一方で、量の低下は、うつ病における感情沈滞(うつ病の中核症状・生気的感情の低下した状…

  • うつ状態とうつ病、その意味

    1.うつの意味 精神分析的には、うつ病にぜい弱な自己愛や低い自尊心を想定する。罪悪感や自己卑下と関連する怒りや攻撃性、現実には存在し得ないような完璧な養育者像を求めるのも特徴的である。要求がましく完璧主義的な超自我が中心的な役割を演じ、同時にその要求によって苦しめられているように見える。 フロイトは、うつ病について「対象の陰が自我の上に落ちる。」といい、うつ病の人が見せる自己非難、自己叱責は、実はその人にとって失われた対象を非難、叱責していると続ける。そういう意味で、うつ病は愛する対象の喪失に伴う情緒を抱えきれず、失った他者と自己を自己愛的に同一化し、一体化することによって喪失した現実とそれに…

  • 意欲

    1.意欲とは 意欲とは、生命や生活を維持するために必要な行動をする欲動と、欲動を統制する意志を含む概念で、人間を行動に駆り立てる低次なものから高次なものまで含む。欲動が減退すると、自発性や活動量が低下する。 (1)自発性欠乏 一般的に意欲の減退によって、自発性が欠乏した状態を自発性欠乏というが、精神医学上では、感情鈍麻、意欲喪失の状態にある統合失調症のみに用いられる。欲求、意志、行動の異常として現れる自発性の欠けた状態で、しばしば無為の状態に至る。なお、うつ病が意欲減退のために自発 生がなくなっているものも自発性欠乏といえるが、基本的にこの場合は制止という。

  • 意識

    1.意識とは 意識とは、自分の状態と周囲の状態を知っていること、それに気づいていることである。英語、フランス語ともにラテン語のcum(ともに)とscius (scireの過去分詞、知った)から合成されたconscius を語源とする。ラテン語自体にも、ともに知るという意味の他に己を知るという意味もある。意識は、最も基本的で、直接的な体験のことである。 2.意識障害 意識障害とは、知覚、注意、認知、思考、判断、記憶などの全ての精神活動の一過性ないし持続的な障害のことである。論理的思考などの高次精神活動の障害だけでなく、自分は誰で、ここはどこかといった知覚・注意・認知などの低次の精神機能の障害も含…

  • 意志

    1.意志の意味 意志とは、ある行動を選択・実行することである。動因、動機、欲求などの行動を引き起こす内的な状態とほぼ同じ意味で用いられ、何かをしよう、何かをしたいという気持ちを表す。「意志」→「動因・動機・欲求」という流れ。 精神医学では、意志を動因の上に立ってそれを方向づけるものと定義している。意志&動因=意欲である。なお、その意志や意欲の障害として、制止( 意志の表出が緩慢になる)、途絶(感情の表出が突然中断すること)、混迷(意志表出の欠如か、極めて乏しい状態をいう。全く動かない状態になること)などがある。 なお、ジェームズは、欲望が実現しそうにないときにその欲望を願望といい、実現しそうな…

  • 愛着

    愛着(あいちゃく) 他の人と「情緒的に結びつきたい!」という欲求のこと。

  • アルコール中毒

    1.アルコール中毒の特徴 アルコール中毒は、ICD-10 やDSM-5 において急性中毒のみに用いられる用語である。通常の酩酊状態とは異なり、意識水準、認知、知覚、感情、行動などに一過性の障害が生じる。「複雑酩酊」や「病的酩酊」に相当する状態である。 (1)単純酩酊 普通酩酊ともいわれ、病的な状態は見られない。 (2)複雑酩酊 量的に異常な酩酊で、興奮し、暴行・傷害に至ることが多い。その行為は周囲の状況から了解できる。酒癖が悪い場合はたいていコレに該当する。 (3)病的酩酊 質的に異常な酩酊で、精神病的酩酊ともいわれる。その行為は無差別・盲目的で、周囲の状況から了解できない。

  • アルコールに関する色々な精神障害

    1.アルコール精神病 実際のところ、アルコール精神病に定義はなく、アルコール依存に関連して生じる神経・精神障害の総称である。何でもあり。 2.アルコール幻覚症 アルコール精神病の一つ(下位カテゴリー)で、アルコール依存症の人が多量の飲酒をした際に急激に発症する精神病性障害である。内的な葛藤や罪悪感を反映した敵意的・脅迫的な内容の幻聴が展開され、三人称で名指ししながら対話し、侮辱・中傷する形で生じる。幻視が生じることはほとんどなく、現実検討識と記憶は保持される。また、激しい不安と被害妄想を伴い、それに対応する形で暴力が生じることもある。ビルツは、迫害者に取り囲まれる体験様式を「包囲攻撃状態」と呼…

  • アルコール依存症

    1.アルコール依存症の特徴 アルコールは、リラックスした気分や酩酊の心地よさ、人付き合いのツール、酒に伴う楽しい雰囲気などのために行われるが、いつしかそれが形骸化し、飲むことだけが目的になる。酒を飲まなければならないとの強迫観念に囚われ、不快なことや苦痛なことがあると過剰な飲酒に逃げ込もうとする。このままではまずいと薄々気づきながらも自分に嘘を付き、正当化するために飲酒を続けることになる。 アルコール依存症とは、飲酒に起因する健康問題や社会問題が、個人に積み重なった状態のことである。診断には通常ICD-10(分類コード:F10.2)が用いられる。以下の6項目のうち、通常、過去1年間のある期間に…

  • フェティシズム

    1.フェティシズムの意味 母子関係に重大な問題があると、幼児は母親や移行対象によって自分自身を慰めることができず、「安心できるほどの強固な、たわまない、形の変わらない、信頼できるほど丈夫な」ものを必要とする。そうすることで、自分の身体を自分自身に結びつけようとする。 なお、フロイトは、フェティシズムは去勢不安から生じるといい、選ばれた「対象」が去勢不安に打ち勝つのを助けてくれると続けている。

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