エドウィン・ルフェーブル『欲望と幻想の市場』1999年刊(原書 “Reminiscences of a Stock Operator” 1923年刊) ジェシー・リバモアという有名な投機家へのインタビューをもとにして書かれた小説。邦訳に際して、あえてリバモア自身を主人公にしたとのこと。そのうえ一人称視点で書かれているため、半自伝小説のような仕上がりになっている。訳文はとても読みやすい。 こういう投資・投機関連本のレビューを読むと必ずと言っ...
エドウィン・ルフェーブル『欲望と幻想の市場』1999年刊(原書 “Reminiscences of a Stock Operator” 1923年刊) ジェシー・リバモアという有名な投機家へのインタビューをもとにして書かれた小説。邦訳に際して、あえてリバモア自身を主人公にしたとのこと。そのうえ一人称視点で書かれているため、半自伝小説のような仕上がりになっている。訳文はとても読みやすい。 こういう投資・投機関連本のレビューを読むと必ずと言っ...
とある株式投機(トレード)ブログの執筆者が推薦していたトレード関連本の1冊。より正確には、トレードにも応用できる1冊と言った感じ。400ページ弱というボリュームの割には、意外とあっさり読めた。2014年刊行。〈Ⅰ部『孫子』はそもそも何を問題とし、何を解決しようとしたのか〉〈Ⅱ部『孫子』の教えをいかに活用するか〉の2部構成。つまり本書の狙いは、『孫子』の内容について知ることに止まらず、それを読者それぞれが...
著者のことはツイッターでフォローしていて、ツイートの内容にはいつも唸らされてばかり。その彼が初心者向けの投資本を出したとのことで、簿記3級の試験を受けに行ったついでに、駅近くの大型書店で購入して、帰りの列車に揺られながら読み終えた。 本書の要旨は「はじめに」の中に書かれているこの一文。〈簡単にいえば、ストーリー投資とは、とことん自分の頭で考え、未来を予測するストーリーという “ものさし” を手に、売...
決算書を読むのに役立つかもしれないという理由で勉強することにした簿記3級。参考書を一通り読んでみてぼんやりと理解できたのは、どうやら簿記とは日々の取引を分類・整理・まとめて決算書を作る技能らしいということ。 あえて言ってしまえば決算書を読めなくても作ることはできるわけで、自分の想像していたものとは違っていたわけだけど、もう参考書と問題集は新品を揃えてしまっていたため、とりあえず資格を取るまでは続...
最近受けた資格試験の話。 8月が外務員二種、9月が同一種。金融商品取扱業に必要な資格だけど、そういった仕事に就くつもりはなく、資格を取ったのは知識を得た “ついで” 。新しく何かを始める時、「分からないけどとりあえずやってみる」思い切りの良さも大事だけど、それでもやはり最低限の知識は必要。 勉強方法は、まず初めに参考書を通読してから、問題集をチェックボックス3回分が全て埋まるまで繰り返し、最後に予想模...
〈日本には47都道府県もあるのに、行ったことがない場所があるというのはもったいないなぁ。というわけで、全部行ってみることにした。33歳の終わりから37歳まで、毎月東京からフラットひとり旅。名物料理を無理して食べるまでもなく、観光スポットを制覇するでもなく。その時の自分にちょうどよいペースで、「ただ行ってみるだけ」の旅の記録。〉† とある資格試験を受けるために、列車で片道4時間かかる会場へ向かう。その移動...
〈恥ずかしがり屋の少年が、15歳で京都撮影所へ。運動神経に恵まれた彼は、時代劇の華やかな立ち回りを盛り上げる斬られ役として、有名監督や銀幕のスターたちの目に留まるようになる—。以来43年、セリフはもちろん、台本がないのが当たり前の、斬られ斬られて2万回の大部屋生活。東映時代劇映画の盛衰とともに歩んだ男が語る、笑いあり涙ありの役者人生。〉† とくに時代劇ファンというわけでもなかった父の書棚に、2001年に刊行...
タイトルの数字だけをパッと見ると、楽して簡単に儲かりそうな印象。そういう投資本の内容はきまって、軽薄なタイトルとは真逆だったりする。著者のツイッターの過去ログを一通り確認してみたところ、本書はそこに補足説明と取引例を付け加えたものらしい。 紹介されている投資手法はファンダメンタルズに基づいたオーソドックスなもので、これと言って取り立てて目新しいもの見当たらない。前書き後書き込みで200ページ弱ある...
〈祭りに相撲、友人の死、敗戦の記憶、そして大震災—。浮き世の様々な出来事を、武玉川か子規、漱石や荷風、万太郎、現在活躍中の俳人まで、古今の俳句を通じて描く。時に鋭く怒り、時に呵呵大笑。名吟佳吟を引きつつしなやかに世を斬る練達の筆に、近年の世相が鮮やかに浮かび、俳句というものの魅力を改めて感じさせる。〉† 著者が2010年から2016年にかけて月刊「みすず」誌上で連載したエッセイをまとめたもの。各編とも冒頭と...
タイトルには〈会計クイズを解くだけで財務3表がわかる〉とのキャッチコピー。財務3表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)とは一体全体なんなのか?具体的な企業の決算書をもとに作った会計クイズを解くことで理解していこうというもの。 詳細な項目と巨大な金額がずらりと並んだ財務3表を、最小限の項目に分解したうえ図解までしてくれている。例えば、貸借対照表は「資産、負債、純資産」という3ブロック...
〈「あなたと同じ空気を吸いたくない」と、突然離婚を切り出された夫。暇を持て余した夫が家にいるせいで、体調を崩した妻。それでは定年後の夫婦円満の秘訣とは?女性を口説かない男性が陥っている「覇気のない症候群」の処方箋は?なんでも人と逆をやること、天邪鬼精神を薦める表題作など全47編。深い人生体験から得られた好評シリーズ第2弾!『あとの祭り 恋愛は革命』改題。〉† 渡辺淳一の本を読むのはこれが初めて。作者紹...
〈70歳の今も真っ赤なカマロを走らせるグランマは、ガスステイションで働く孫の志郎の、ままならない恋の行方を静かに見つめる。ときに甘く、ときにほろ苦い、恋と人生の妙味が詰まった小説6粒。恋愛小説の名手がデビュー20年目におくる風味絶佳な文章を、1粒ずつじっくり味わってください。谷崎賞受賞。 解説・高橋源一郎〉†『風味絶佳』というタイトルにちなんでか、文庫版のカバーは森永ミルクキャラメルの黄箱を模したデザ...
〈稀有の語り手でもあった米原万里、最初で最後の爆笑講演集。世の中に男と女は半々。相手はたくさんいるはずなのに、なぜ「この人」でなくてはダメなのか—《愛の法則》では、生物学、遺伝学をふまえ、「女が本流、男はサンプル」という衝撃の学説!?を縦横無尽に分析・考察する。また《国際化とグローバリゼーション》では、この二つの言葉はけっして同義語ではなく、後者は強国の基準を押しつける、むしろ対義語である実態を鋭く...
私の父は1年ほど前に寝たきり状態になり、現在は病院で療養中。父が使っていた部屋を、私が片付けている。無駄に大きな書棚に詰め込まれている本のほとんどが、おそらく何十年もの間、読まれないまま埃をかぶり続けていた。 とくに中途半端に集められた文学全集の端本などは酷い有様で、問答無用で処分することに決めたのだが、保存状態のよい小説やエッセイの単行本に関しては、興味の持てそうなもの限定で私的読書用に取って...
〈「直感の七割は正しい」「簡単に、単純に考える」など最強棋士の思考法を徹底公開。勝負師は日々どのように決断を下し、勝利を引き寄せているのか。逆境や追い込まれた時の心構えを通じて、「決断」の極意を教える。〉† 2005年刊行の新書。羽生善治の著書を読むのはこれで3冊目になる。全体を通して強く感じたことは「自分で考えることの重要性」。これが言い回しを変えながら何度も繰り返し出てくる。例えばこんな節題が全体的...
〈17歳で世界大会に優勝し、「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロ・ゲーマー」としてギネスにも認定されている著者が、「勝負」についての考え方を余すところなく綴る。「勝ち続けることと単発の勝ちはどう違うのか」「どうして僕は勝ち続けられるのか、読者がそれぞれの世界で勝ち続けるにはどうすればいいのか」。目先の勝利にはこだわらず、成長を続けることで「勝ち続ける自分」を築き上げてきた著者が、自らの経験をもとに明...
著者・はっしゃんは投資歴25年の個人投資家。サラリーマン時代の従業員持株会から始めて、30代で資産1億円を達成、2019年に資産3億円を突破して脱サラ&独立とのこと。これは、そんな著者が実践している成長株投資について解説した1冊(2021年刊行)。 成長株投資における基本的な考え方は「売上が2倍になれば利益は2倍になり株価も2倍になる」というもの。そして、本書では、この考え方に沿うような(売上・利益・株価...
久しぶりに漫画を読んだ。フォローしている億トレーダーさんが過去にTwitterで推していた作品で、志名坂高次の『凍牌』という麻雀もの。本編は全部で38巻もあるため、気になって少しずつ集め始めて、各編とも全巻が揃うたびに一気読み。 2006年から2021年にかけて『ヤングチャンピオン』誌上で断続的に連載。「凍牌(無印)」「人柱編」「ミナゴロシ編」の全3部。他にも、完結済みのスピンオフ作品が2つ、現在連載中の新シリ...
〈江戸の町の人びとや風景を生き生きと描いた浮世絵師には、素性が知れていない人が多い。生涯美人絵を描き、「歌まくら」「ねがひの糸口」といった枕絵の名作を残した喜多川歌麿は、好色漢の代名詞とされているが、実は愛妻家の意外な一面もあった。著者独自の手法と構成で人間・歌麿を描き出した傑作長編。解説・蓬田やすひろ〉† アンソロジーにうんざりしてしばらく小説から遠ざかっていたが、せめて時間と気持ちに余裕がある...
〈天使のように美しい顔をした私の息子。幼稚園児の彼が無邪気に描く絵には、想像を絶するパワーがあった。そしてある日—。乙一の傑作「この子の絵は未完成」をはじめ、恩田陸、北村薫、岩井志麻子ら、新感覚小説の旗手七人によるアンソロジー。ささやかな違和感と奇妙な感触が積み重なり、遂に現実が崩壊する瞬間を描いたダーク・ファンタジー七篇。静かな恐怖を湛えたオリジナル文庫。〉† 巻末の初出一覧を見ると、どの作品も発...
〈江戸の町の人びとや風景を生き生きと描いた浮世絵師には、素性が知れていない人が多い。生涯美人絵を描き、「歌まくら」「ねがひの糸口」といった枕絵の名作を残した喜多川歌麿は、好色漢の代名詞とされているが、実は愛妻家の意外な一面もあった。著者独自の手法と構成で人間・歌麿を描き出した傑作長編。解説・蓬田やすひろ〉† アンソロジーにうんざりしてしばらく小説から遠ざかっていたが、せめて時間と気持ちに余裕がある...
〈天使のように美しい顔をした私の息子。幼稚園児の彼が無邪気に描く絵には、想像を絶するパワーがあった。そしてある日—。乙一の傑作「この子の絵は未完成」をはじめ、恩田陸、北村薫、岩井志麻子ら、新感覚小説の旗手七人によるアンソロジー。ささやかな違和感と奇妙な感触が積み重なり、遂に現実が崩壊する瞬間を描いたダーク・ファンタジー七篇。静かな恐怖を湛えたオリジナル文庫。〉† 巻末の初出一覧を見ると、どの作品も発...
〈現代を代表する人気作家たちが猫への愛をこめて書き下ろす猫の小説、全7編。作家の家の庭に住みついた野良猫。同じマンションの女の猫が迷い込んできたことで揺れる孤独な女の心。猫にまつわる名作絵本に秘められた悲しみ。ミステリアスな猫たちに翻弄されるオリジナルアンソロジー。澤田瞳子選・オールタイム猫小説傑作選も収録。〉† 2017年7月に刊行された文春文庫オリジナルだが、収録作品はすべて「オール讀物」2017年4月...
〈岩の上の肌が抜けるように白い女、川岸に足跡を残す赤い顔の河童—。岩手県遠野の郷に古くから伝わる、不可思議な説話を集めた『遠野物語』。日本民族学の黎明を告げた柳田國男の記念すべき名著を、京極夏彦がリミックス。深く読み解き、新たに結んだ。百年の時を隔てた二者の感性の邂逅は、新たな世界観を生み、読む者を見知らぬ境地へといざなう。静かな恐怖がにじり寄ってくる、比類なき怪異譚。解説・赤坂憲雄〉† 本書は柳田...
〈「そこ」で働く女性は三〇万人以上。そんな一大産業でありながら、ほとんど表で語られることがないのが性風俗業界だ。どんな業態があるのか?濡れ手で粟で儲かるのか?なぜ女子大生と介護職員が急増しているのか?どのレベルの女性まで就業可能なのか?成功する女性の条件は?業界を熟知した著者が、あらゆる疑問に答えながら、「自らの意志でポジティブに働く」現代日本の風俗嬢たちのリアルを活写する。〉†『日本の風俗嬢』と...
〈江戸の十二ヶ月を鮮やかに切りとった十二の掌篇と広重の「名所江戸百景」を舞台とした七つのの短篇。それぞれに作者秘愛の浮世絵から発想を得て、つむぎだされた短篇名品集である。市井のひとびとの陰翳ゆたかな人生絵図を掌の小品に仕上げた極上品、全十九篇を収録。これが作者生前最後の作品集となった。解説・杉本章子〉† 収録されているのは、「江戸おんな絵姿十二景」12編、広重「名所江戸百景」より7編。19作品いずれも10...
〈アガワの文庫新シリーズ創刊!コワイ人、エライ人、黙る人の懐に飛び込む阿川佐和子のインタビュー術が縦横に駆使された、落語家、教育者、俳優、スポーツ選手、映画監督、音楽家らとの新旧対談傑作選。各対談にまつわるエピソードもお楽しみください。大ベストセラー『聞く力』の副読本としても最適な「聞く力」実践編。〉† 本書は、「週刊文春」誌上で阿川佐和子が行った対談から以下の19編を精選して、巻末に歴代担当編集3...
〈剣の境地はいずれにあるのか。戦乱の世にあって、兵法を練り上げていく剣客たち—新陰流・上泉伊勢守、神当流・塚原卜伝、二天一流・宮本武蔵、巌流・佐々木小次郎、柳生新陰流・柳生石舟斎。男たちは、ときに師弟となり、ときに死命を争いながらも、その心技を受け継いでゆく。歴史時代小説の名手五人が描いた剣と戦の世を生きる人々の真の姿。名篇・傑作を選りすぐった剣豪小説集。〉† 池波正太郎『上泉伊勢守』、津本陽『一つ...
〈「美しい数学ほど、後になって役に立つものだ」数学者は、はっきりと言い切る。想像力に裏打ちされた鋭い質問によって、作家は、美しさの核心に迫っていく。〉† 小川洋子『博士の愛した数式』を読んだのは、今からもう10年近く前のこと。内容は全くと言っていいほど覚えていないし、当時の感想を書いたブログの記事を見返してみても、一種のファンタジーだなと思ったくらいで、とくに印象に残るような作品ではなかったらしい。...
〈「バチスタ」シリーズ海堂尊や『さよならドビュッシー』中山七里、「オサキ」シリーズ高橋由太など『このミステリーがすとい!』大賞作家が(ほぼ)勢ぞろい!原稿用紙10枚(4000字)、1作品10分間で読めるショート・ミステリーを書きました。さまざまな舞台設定と、ユーモアタッチの作品から本格派、ホラー、戦記ものまでバラエティに富んだ全29作品が詰まったミステリー短編集です。〉† ジャンルとしてはミステリーとホラー...
〈春が来れば花が咲き虫が集う—当たり前?でもどうやって彼らは春を知るのでしょう?鳥も植物も虫も、生き物たちは皆それぞれの方法で三寒四温を積算し、季節を計っています。そして植物は毎年ほぼ同じ高さに花をつけ、虫は時期を合わせて眼を覚まし、それを見つけます。自然界の不思議には驚くばかりです。日本を代表する動物行動学者による、発見に充ちたエッセイ集。〉† 私が大学で生物学を専攻するきっかけになったのが、K・...
〈テレビと携帯電話が日本語に与えた深刻な影響とは?昭和天皇の「ア、ソウ」と近代日本が背負った重荷!「猫被りの香具師のモモンガーの…」漱石の悪態づくしから学ぼう—。他にも、鏡花、折口から源氏、歌舞伎、現代思想まで、刺戟に満ちた講演、対談が満載。日本語を考えるために必読の書。解説・竹内修司〉† 久しぶりに丸谷才一の著書を読む。日本語論2編、講演録4編、対談鼎談3編、の三部構成。あとがきによると、〈話をし...
〈海坂藩の近習・甚之丞は、自分の飼犬にとった親友の酷い仕打ちだどうにも許せず…)「岡安家の犬」)。土豪の娘・おぬいは、借金の形に側女へ出される。相手は、鬼瓦とまで呼ばれる木曽の代官で…(「命、一千枚」)。忍者から江戸の凄腕同心、中国の佳人譚まで、躍動と叙情に満ちた全七篇。《収録作家》藤沢周平・宮城谷昌光・北方謙三・火坂雅志・鈴木輝一郎・佐藤雅美・平岩弓枝〉† 収録されているのは30ページほどの読切短...
〈いい絵とは何だろうか。名画はどのように生まれ、画家たちはどう生きたのか。プロとアマ、油絵と水彩画、写実と抽象、そして美術的価値と価格などにもふれつつ絵画の豊かな世界へと案内。ブリューゲル、ゴッホらの興味深い逸話や自らの経験を語るとともに、これから絵を描いていようとする人への具体的な手ほどきも行なう。〉† 著者自身は絵とどう関わってきたかという自伝的な話、ブリューゲルとゴッホを中心にして絵画の歴史...