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2020/07/30

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  • エドウィン・ルフェーブル『欲望と幻想の市場』

    エドウィン・ルフェーブル『欲望と幻想の市場』1999年刊(原書 “Reminiscences of a Stock Operator” 1923年刊) ジェシー・リバモアという有名な投機家へのインタビューをもとにして書かれた小説。邦訳に際して、あえてリバモア自身を主人公にしたとのこと。そのうえ一人称視点で書かれているため、半自伝小説のような仕上がりになっている。訳文はとても読みやすい。 こういう投資・投機関連本のレビューを読むと必ずと言っ...

  • 守屋淳『最高の戦略教科書 孫子』

    とある株式投機(トレード)ブログの執筆者が推薦していたトレード関連本の1冊。より正確には、トレードにも応用できる1冊と言った感じ。400ページ弱というボリュームの割には、意外とあっさり読めた。2014年刊行。〈Ⅰ部『孫子』はそもそも何を問題とし、何を解決しようとしたのか〉〈Ⅱ部『孫子』の教えをいかに活用するか〉の2部構成。つまり本書の狙いは、『孫子』の内容について知ることに止まらず、それを読者それぞれが...

  • エミン・ユルマズ『一生使える投資脳のつくり方』

    著者のことはツイッターでフォローしていて、ツイートの内容にはいつも唸らされてばかり。その彼が初心者向けの投資本を出したとのことで、簿記3級の試験を受けに行ったついでに、駅近くの大型書店で購入して、帰りの列車に揺られながら読み終えた。 本書の要旨は「はじめに」の中に書かれているこの一文。〈簡単にいえば、ストーリー投資とは、とことん自分の頭で考え、未来を予測するストーリーという “ものさし” を手に、売...

  • 【雑文】資格試験:簿記3級

    決算書を読むのに役立つかもしれないという理由で勉強することにした簿記3級。参考書を一通り読んでみてぼんやりと理解できたのは、どうやら簿記とは日々の取引を分類・整理・まとめて決算書を作る技能らしいということ。 あえて言ってしまえば決算書を読めなくても作ることはできるわけで、自分の想像していたものとは違っていたわけだけど、もう参考書と問題集は新品を揃えてしまっていたため、とりあえず資格を取るまでは続...

  • 【雑文】外務員試験一種・二種

    最近受けた資格試験の話。 8月が外務員二種、9月が同一種。金融商品取扱業に必要な資格だけど、そういった仕事に就くつもりはなく、資格を取ったのは知識を得た “ついで” 。新しく何かを始める時、「分からないけどとりあえずやってみる」思い切りの良さも大事だけど、それでもやはり最低限の知識は必要。 勉強方法は、まず初めに参考書を通読してから、問題集をチェックボックス3回分が全て埋まるまで繰り返し、最後に予想模...

  • 益田ミリ『47都道府県女ひとりで行ってみよう』

    〈日本には47都道府県もあるのに、行ったことがない場所があるというのはもったいないなぁ。というわけで、全部行ってみることにした。33歳の終わりから37歳まで、毎月東京からフラットひとり旅。名物料理を無理して食べるまでもなく、観光スポットを制覇するでもなく。その時の自分にちょうどよいペースで、「ただ行ってみるだけ」の旅の記録。〉† とある資格試験を受けるために、列車で片道4時間かかる会場へ向かう。その移動...

  • 福本清三/小田豊二『どこかで誰かが見ていてくれる』

    〈恥ずかしがり屋の少年が、15歳で京都撮影所へ。運動神経に恵まれた彼は、時代劇の華やかな立ち回りを盛り上げる斬られ役として、有名監督や銀幕のスターたちの目に留まるようになる—。以来43年、セリフはもちろん、台本がないのが当たり前の、斬られ斬られて2万回の大部屋生活。東映時代劇映画の盛衰とともに歩んだ男が語る、笑いあり涙ありの役者人生。〉† とくに時代劇ファンというわけでもなかった父の書棚に、2001年に刊行...

  • かぶカブキ『決算書3分速読から見つける10倍ときどき50倍株』

    タイトルの数字だけをパッと見ると、楽して簡単に儲かりそうな印象。そういう投資本の内容はきまって、軽薄なタイトルとは真逆だったりする。著者のツイッターの過去ログを一通り確認してみたところ、本書はそこに補足説明と取引例を付け加えたものらしい。 紹介されている投資手法はファンダメンタルズに基づいたオーソドックスなもので、これと言って取り立てて目新しいもの見当たらない。前書き後書き込みで200ページ弱ある...

  • 小沢信男『俳句世がたり』

    〈祭りに相撲、友人の死、敗戦の記憶、そして大震災—。浮き世の様々な出来事を、武玉川か子規、漱石や荷風、万太郎、現在活躍中の俳人まで、古今の俳句を通じて描く。時に鋭く怒り、時に呵呵大笑。名吟佳吟を引きつつしなやかに世を斬る練達の筆に、近年の世相が鮮やかに浮かび、俳句というものの魅力を改めて感じさせる。〉† 著者が2010年から2016年にかけて月刊「みすず」誌上で連載したエッセイをまとめたもの。各編とも冒頭と...

  • 大手町のランダムウォーカー『世界一楽しい決算書の読み方』『(同)【実践編】』

    タイトルには〈会計クイズを解くだけで財務3表がわかる〉とのキャッチコピー。財務3表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)とは一体全体なんなのか?具体的な企業の決算書をもとに作った会計クイズを解くことで理解していこうというもの。 詳細な項目と巨大な金額がずらりと並んだ財務3表を、最小限の項目に分解したうえ図解までしてくれている。例えば、貸借対照表は「資産、負債、純資産」という3ブロック...

  • 渡辺淳一『あとの祭り 冬のウナギと夏のふぐ』

    〈「あなたと同じ空気を吸いたくない」と、突然離婚を切り出された夫。暇を持て余した夫が家にいるせいで、体調を崩した妻。それでは定年後の夫婦円満の秘訣とは?女性を口説かない男性が陥っている「覇気のない症候群」の処方箋は?なんでも人と逆をやること、天邪鬼精神を薦める表題作など全47編。深い人生体験から得られた好評シリーズ第2弾!『あとの祭り 恋愛は革命』改題。〉† 渡辺淳一の本を読むのはこれが初めて。作者紹...

  • 山田詠美『風味絶佳』

    〈70歳の今も真っ赤なカマロを走らせるグランマは、ガスステイションで働く孫の志郎の、ままならない恋の行方を静かに見つめる。ときに甘く、ときにほろ苦い、恋と人生の妙味が詰まった小説6粒。恋愛小説の名手がデビュー20年目におくる風味絶佳な文章を、1粒ずつじっくり味わってください。谷崎賞受賞。 解説・高橋源一郎〉†『風味絶佳』というタイトルにちなんでか、文庫版のカバーは森永ミルクキャラメルの黄箱を模したデザ...

  • 米原万里『米原万里の「愛の法則」』

    〈稀有の語り手でもあった米原万里、最初で最後の爆笑講演集。世の中に男と女は半々。相手はたくさんいるはずなのに、なぜ「この人」でなくてはダメなのか—《愛の法則》では、生物学、遺伝学をふまえ、「女が本流、男はサンプル」という衝撃の学説!?を縦横無尽に分析・考察する。また《国際化とグローバリゼーション》では、この二つの言葉はけっして同義語ではなく、後者は強国の基準を押しつける、むしろ対義語である実態を鋭く...

  • 米原万里『心臓に毛が生えている理由』

    私の父は1年ほど前に寝たきり状態になり、現在は病院で療養中。父が使っていた部屋を、私が片付けている。無駄に大きな書棚に詰め込まれている本のほとんどが、おそらく何十年もの間、読まれないまま埃をかぶり続けていた。 とくに中途半端に集められた文学全集の端本などは酷い有様で、問答無用で処分することに決めたのだが、保存状態のよい小説やエッセイの単行本に関しては、興味の持てそうなもの限定で私的読書用に取って...

  • 羽生善治『決断力』

    〈「直感の七割は正しい」「簡単に、単純に考える」など最強棋士の思考法を徹底公開。勝負師は日々どのように決断を下し、勝利を引き寄せているのか。逆境や追い込まれた時の心構えを通じて、「決断」の極意を教える。〉† 2005年刊行の新書。羽生善治の著書を読むのはこれで3冊目になる。全体を通して強く感じたことは「自分で考えることの重要性」。これが言い回しを変えながら何度も繰り返し出てくる。例えばこんな節題が全体的...

  • 梅原大吾『勝負論 ウメハラの流儀』

    〈17歳で世界大会に優勝し、「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロ・ゲーマー」としてギネスにも認定されている著者が、「勝負」についての考え方を余すところなく綴る。「勝ち続けることと単発の勝ちはどう違うのか」「どうして僕は勝ち続けられるのか、読者がそれぞれの世界で勝ち続けるにはどうすればいいのか」。目先の勝利にはこだわらず、成長を続けることで「勝ち続ける自分」を築き上げてきた著者が、自らの経験をもとに明...

  • はっしゃん『決算書「3分速読」からの10倍株の探し方』

    著者・はっしゃんは投資歴25年の個人投資家。サラリーマン時代の従業員持株会から始めて、30代で資産1億円を達成、2019年に資産3億円を突破して脱サラ&独立とのこと。これは、そんな著者が実践している成長株投資について解説した1冊(2021年刊行)。 成長株投資における基本的な考え方は「売上が2倍になれば利益は2倍になり株価も2倍になる」というもの。そして、本書では、この考え方に沿うような(売上・利益・株価...

  • 志名坂高次『裏レート麻雀牌録 凍牌』

    久しぶりに漫画を読んだ。フォローしている億トレーダーさんが過去にTwitterで推していた作品で、志名坂高次の『凍牌』という麻雀もの。本編は全部で38巻もあるため、気になって少しずつ集め始めて、各編とも全巻が揃うたびに一気読み。 2006年から2021年にかけて『ヤングチャンピオン』誌上で断続的に連載。「凍牌(無印)」「人柱編」「ミナゴロシ編」の全3部。他にも、完結済みのスピンオフ作品が2つ、現在連載中の新シリ...

  • 藤沢周平『喜多川歌麿女絵草紙』

    〈江戸の町の人びとや風景を生き生きと描いた浮世絵師には、素性が知れていない人が多い。生涯美人絵を描き、「歌まくら」「ねがひの糸口」といった枕絵の名作を残した喜多川歌麿は、好色漢の代名詞とされているが、実は愛妻家の意外な一面もあった。著者独自の手法と構成で人間・歌麿を描き出した傑作長編。解説・蓬田やすひろ〉† アンソロジーにうんざりしてしばらく小説から遠ざかっていたが、せめて時間と気持ちに余裕がある...

  • 乙一 他『七つの黒い夢』

    〈天使のように美しい顔をした私の息子。幼稚園児の彼が無邪気に描く絵には、想像を絶するパワーがあった。そしてある日—。乙一の傑作「この子の絵は未完成」をはじめ、恩田陸、北村薫、岩井志麻子ら、新感覚小説の旗手七人によるアンソロジー。ささやかな違和感と奇妙な感触が積み重なり、遂に現実が崩壊する瞬間を描いたダーク・ファンタジー七篇。静かな恐怖を湛えたオリジナル文庫。〉† 巻末の初出一覧を見ると、どの作品も発...

  • 湊かなえ 他『猫が見ていた』

    〈現代を代表する人気作家たちが猫への愛をこめて書き下ろす猫の小説、全7編。作家の家の庭に住みついた野良猫。同じマンションの女の猫が迷い込んできたことで揺れる孤独な女の心。猫にまつわる名作絵本に秘められた悲しみ。ミステリアスな猫たちに翻弄されるオリジナルアンソロジー。澤田瞳子選・オールタイム猫小説傑作選も収録。〉† 2017年7月に刊行された文春文庫オリジナルだが、収録作品はすべて「オール讀物」2017年4月...

  • 京極夏彦/柳田國男『遠野物語remix』

    〈岩の上の肌が抜けるように白い女、川岸に足跡を残す赤い顔の河童—。岩手県遠野の郷に古くから伝わる、不可思議な説話を集めた『遠野物語』。日本民族学の黎明を告げた柳田國男の記念すべき名著を、京極夏彦がリミックス。深く読み解き、新たに結んだ。百年の時を隔てた二者の感性の邂逅は、新たな世界観を生み、読む者を見知らぬ境地へといざなう。静かな恐怖がにじり寄ってくる、比類なき怪異譚。解説・赤坂憲雄〉† 本書は柳田...

  • 中村敦彦『日本の風俗嬢』

    〈「そこ」で働く女性は三〇万人以上。そんな一大産業でありながら、ほとんど表で語られることがないのが性風俗業界だ。どんな業態があるのか?濡れ手で粟で儲かるのか?なぜ女子大生と介護職員が急増しているのか?どのレベルの女性まで就業可能なのか?成功する女性の条件は?業界を熟知した著者が、あらゆる疑問に答えながら、「自らの意志でポジティブに働く」現代日本の風俗嬢たちのリアルを活写する。〉†『日本の風俗嬢』と...

  • 藤沢周平『日暮れ竹河岸』

    〈江戸の十二ヶ月を鮮やかに切りとった十二の掌篇と広重の「名所江戸百景」を舞台とした七つのの短篇。それぞれに作者秘愛の浮世絵から発想を得て、つむぎだされた短篇名品集である。市井のひとびとの陰翳ゆたかな人生絵図を掌の小品に仕上げた極上品、全十九篇を収録。これが作者生前最後の作品集となった。解説・杉本章子〉† 収録されているのは、「江戸おんな絵姿十二景」12編、広重「名所江戸百景」より7編。19作品いずれも10...

  • 阿川佐和子『アガワ対談傑作選』

    〈アガワの文庫新シリーズ創刊!コワイ人、エライ人、黙る人の懐に飛び込む阿川佐和子のインタビュー術が縦横に駆使された、落語家、教育者、俳優、スポーツ選手、映画監督、音楽家らとの新旧対談傑作選。各対談にまつわるエピソードもお楽しみください。大ベストセラー『聞く力』の副読本としても最適な「聞く力」実践編。〉† 本書は、「週刊文春」誌上で阿川佐和子が行った対談から以下の19編を精選して、巻末に歴代担当編集3...

  • 池波正太郎/津本陽/直木三十五/五味康祐/網淵謙錠『剣聖 乱世に生きた五人の兵法者』

    〈剣の境地はいずれにあるのか。戦乱の世にあって、兵法を練り上げていく剣客たち—新陰流・上泉伊勢守、神当流・塚原卜伝、二天一流・宮本武蔵、巌流・佐々木小次郎、柳生新陰流・柳生石舟斎。男たちは、ときに師弟となり、ときに死命を争いながらも、その心技を受け継いでゆく。歴史時代小説の名手五人が描いた剣と戦の世を生きる人々の真の姿。名篇・傑作を選りすぐった剣豪小説集。〉† 池波正太郎『上泉伊勢守』、津本陽『一つ...

  • 藤原正彦/小川洋子『世にも美しい数学入門』

    〈「美しい数学ほど、後になって役に立つものだ」数学者は、はっきりと言い切る。想像力に裏打ちされた鋭い質問によって、作家は、美しさの核心に迫っていく。〉† 小川洋子『博士の愛した数式』を読んだのは、今からもう10年近く前のこと。内容は全くと言っていいほど覚えていないし、当時の感想を書いたブログの記事を見返してみても、一種のファンタジーだなと思ったくらいで、とくに印象に残るような作品ではなかったらしい。...

  • 『このミステリーがすごい!』大賞編集部 編『10分間ミステリー』

    〈「バチスタ」シリーズ海堂尊や『さよならドビュッシー』中山七里、「オサキ」シリーズ高橋由太など『このミステリーがすとい!』大賞作家が(ほぼ)勢ぞろい!原稿用紙10枚(4000字)、1作品10分間で読めるショート・ミステリーを書きました。さまざまな舞台設定と、ユーモアタッチの作品から本格派、ホラー、戦記ものまでバラエティに富んだ全29作品が詰まったミステリー短編集です。〉† ジャンルとしてはミステリーとホラー...

  • 日高敏隆『春の数えかた』

    〈春が来れば花が咲き虫が集う—当たり前?でもどうやって彼らは春を知るのでしょう?鳥も植物も虫も、生き物たちは皆それぞれの方法で三寒四温を積算し、季節を計っています。そして植物は毎年ほぼ同じ高さに花をつけ、虫は時期を合わせて眼を覚まし、それを見つけます。自然界の不思議には驚くばかりです。日本を代表する動物行動学者による、発見に充ちたエッセイ集。〉† 私が大学で生物学を専攻するきっかけになったのが、K・...

  • 丸谷才一『ゴシップ的日本語論』

    〈テレビと携帯電話が日本語に与えた深刻な影響とは?昭和天皇の「ア、ソウ」と近代日本が背負った重荷!「猫被りの香具師のモモンガーの…」漱石の悪態づくしから学ぼう—。他にも、鏡花、折口から源氏、歌舞伎、現代思想まで、刺戟に満ちた講演、対談が満載。日本語を考えるために必読の書。解説・竹内修司〉† 久しぶりに丸谷才一の著書を読む。日本語論2編、講演録4編、対談鼎談3編、の三部構成。あとがきによると、〈話をし...

  • 新潮社 編『時代小説 読切御免 第四巻』

    〈海坂藩の近習・甚之丞は、自分の飼犬にとった親友の酷い仕打ちだどうにも許せず…)「岡安家の犬」)。土豪の娘・おぬいは、借金の形に側女へ出される。相手は、鬼瓦とまで呼ばれる木曽の代官で…(「命、一千枚」)。忍者から江戸の凄腕同心、中国の佳人譚まで、躍動と叙情に満ちた全七篇。《収録作家》藤沢周平・宮城谷昌光・北方謙三・火坂雅志・鈴木輝一郎・佐藤雅美・平岩弓枝〉† 収録されているのは30ページほどの読切短...

  • 安野光雅『絵のある人生』

    〈いい絵とは何だろうか。名画はどのように生まれ、画家たちはどう生きたのか。プロとアマ、油絵と水彩画、写実と抽象、そして美術的価値と価格などにもふれつつ絵画の豊かな世界へと案内。ブリューゲル、ゴッホらの興味深い逸話や自らの経験を語るとともに、これから絵を描いていようとする人への具体的な手ほどきも行なう。〉† 著者自身は絵とどう関わってきたかという自伝的な話、ブリューゲルとゴッホを中心にして絵画の歴史...

  • 星新一『さまざまな迷路』

    〈ある日とつぜん、おとぎ話の主人公になりたいと、とんでもないことを言い出した《王女》、なぜか、鬼が見えるという患者で繁盛する《神経科の医師》、街頭で通行人相手にキャンディーを売る《ロボット》etc. 未来・現代・過去を一つの次元にとらえ、迷路のように入り組んだ人間生活のさまざまな世界を32のチャンネルに写し出し、文明社会を痛撃する傑作ショート・ショート。〉† 2ページにも満たない超短編から、20ページ近くあ...

  • 竹内政明『名文どろぼう』

    〈人の心を打つ名文を書くには、名文を盗むことから始めよう。当代随一の名文家が、小林秀雄からスティーヴンキング、落語、六法全書まで、秘密のネタ帳から古今東西の「名文」を絶妙に引用して綴る人生の四季。名文の芳香に浸る至福のひととき。〉† 名文集と言えば丸谷才一『文章読本』がすぐに思い浮かぶが、本書はそういう意味での名文集ではない。紹介文に〈秘密のネタ帳〉とあるように、気の利いた言い回しもあれば、下らな...

  • 羽生善治『大局観 - 自分と闘って負けない心』

    〈考え抜いても結論がでなければ「好き嫌い」で決めていい/「選択肢」が多いことは迷いにつながる/「感情」の起伏が生むエネルギーをつかむ/「視野」を広げてリスクを軽減する/「慣れ」によって心の余裕が生まれる/「自己防衛」で疲れきった心は癒やしを求めている/「野生のカン」で難局に立ち向かう〉† 羽生善治の新書を読むのは、『直感力』に続いてこれで2冊目となる。大局観を中心テーマとしているように思われるタイト...

  • 『このミステリーがすごい!』編集部 編『5分で読める!ひと駅ストーリー 降車編』

    〈ショーショート・アンソロジーの決定版、書き下ろし文庫2冊同時刊行!!『このミス』大賞・日ラブ大賞・『このラノ』大賞作家総勢49名が輝く、ひと駅の間に起こる様々なストーリー。5分で読める気軽さとは裏腹に、本格謎解きアリ・爆笑アリ・感涙アリの盛りだくさんな内容。降車編は山本周五郎賞ノミネートで話題の柚月裕子、デビュー作『珈琲店タレーランの事件簿』が発売3ヶ月で40万部突破の岡崎琢磨ら24名の作品を収録。〉† ...

  • 太田直子『字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ』

    〈映画字幕翻訳を初めて約二〇年、手がけた作品数は一〇〇〇本余りの著者が、外国映画翻訳の舞台裏、気になる日本語などについて綴る。〉† タイトルだけだと、字幕翻訳家である著者が他人の字幕翻訳に難癖をつけるような内容に思える。おそらく著者にはそういう気持ちが多分にありそうな感じなのだが、むしろ字幕翻訳そのものへの誤解に対する不満を訴える内容が多い印象。 また、字幕翻訳業というマイナーな仕事の裏舞台につい...

  • 山田雅夫『スケッチは3分』

    〈私がこれから本書でみなさんに提案するスケッチ表現は、時間をかけて細部までしっかり描き込むようなものではありません。ペンによる線画主体の絵、この持ち味を伝える言葉として、もし造語を許されるのなら、ちょいとスケッチするイメージから「ちょいとスケッチ」、短縮して「ちょいスケ」と呼ぶべきものかもしれません。 私の場合は通常えんぴつで下描きすることなく、いきなり黒のペンで線描写を始めます。そして3分から5...

  • 羽生義晴『直感力』

    〈個性、持ち味を大切にすれば、悩み、迷いがなくなる。 無駄はない/「見切る」ことができるか/力を借りる/忘れること、客観的に見ること/キャンセル待ちをする/思い通りにならない自分を楽しむ〉† BOOKOFFから半対象商品50%offクーポンが届いたので、文庫と新書を合わせて12冊ほどまとめ買い。購入した新書6冊のうち2冊は羽生善治の著書で、『直感力』と『大局観』。2冊並んで置かれていたのが目に止まり、なんとなく手...

  • 星新一『ようこそ地球さん』

    〈まったく、面白くもない時代に、生まれあわせたものだな。むかしの連中がいけないんだ — 。紀元4000年の地上は青白く厚い氷河に覆われていた。食事は配給の深海魚のみ、それももうじき尽きるという。起死回生の策といて、男はタイムマシンを作り、過去に出発したが…。宇宙、未来、異生物。人類を待ちうける多彩な悲喜劇を、奇想天外なアイデアで描いた傑作ショートショート42編!〉 † 久しぶりに星新一のショートショートに手...

  • cis『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』

    〈上がり続けるものは上がり下がり続けるものは下がる。押し目買いは避ける。重要なのは勝率ではなくトータルの損益。ナンピンは最悪。ヘッジは無駄。不動産投資は罰ゲーム。負ける人の特徴は冷静にモノを見られない人。配当狙いは儲からない。生ける伝説、独自の投資哲学を初開陳!〉† 今年の春ごろに株式投資に興味を持つようになってから、投資関連の書籍を読んだり動画を見たりするようになった。YouTubeにある株関連のチャン...

  • 有栖川有栖 他『七つの死者の囁き』

    〈死者はそこにいる。生きている私たちの記憶の中に、夢の中に、そしてすぐ背後に。私たちを見つめ、語りかけ、時に狙っている。ひそやかで絶え間ない、死者たちの攻勢 — 。少女の幽霊は窓辺に立ち、死んだ恋人からのメールが届く。自殺した女の呪詛が響き、亡くなった男は秘密を打ち明け、死霊の化身が地底から出現する。恐怖と憂愁を纏った七つの死者たちの物語。文庫オリジナル。〉†有栖川有栖「幻の娘」/道尾秀介「流れ星のつ...

  • 綾辻行人 他『7人の名探偵 新本格30周年記念アンソロジー』

    〈新本格ミステリの端緒を開いた『十角館の殺人』刊行から三十周年を記念して出版されたアンソロジーが、ついに文庫化。綾辻行人、歌野晶牛、法月綸太郎、有栖川有栖、我孫子武丸、山口雅也、摩耶雄嵩、新本格第一世代のレジェンド作家七人の夢の競演。「名探偵」をテーマに書かれた各作家の個性あふれる短編集。〉†摩耶雄嵩「水曜日と金曜日が嫌い」 意味もなくゴテゴテと飾り立てただけの凡作。本書には「新本格30周年記念アン...

  • ジャック・D・シュワッガー『マーケットの魔術師』

    〈世界有数のやり手トレーダーたちは、いかいにして年間 — 場合によってはほんの数年間で — 数百万ドルも稼いでいるのだろうか?彼らの驚くべき成功の裏に隠された秘密とは?〉† 本書は米国で大成功を収めたトレーダー17人に対して行ったインタビューをまとめたもの。原書の刊行は1989年。著者自身による「『マーケットの魔術師』日本語版の復刻にむけての序文」の中で、インタビューの中心的内容として次の5つが挙げられている...

  • 藤沢周平『玄鳥』

    〈無外流の剣士として高名だった亡父から秘伝を受けついだ路は、上意討ちに失敗して周囲から「役立たず」と嘲笑され、左遷された曾根兵六にその秘伝を教えようとする。武家の娘の淡い恋心をかえらぬ燕に託して描いた表題作をはじめ、身の不運をかこつ下級武士の心を見事にとらえた「浦島」など珠玉の五篇を収録。解説・中野孝次〉† 久しぶりに藤沢周平の時代小説を手に取った。収録されている「玄鳥/三月の鮠/闇討ち/鷦鷯/浦...

  • 矢口新『実践生き残りのディーリング』

    〈トレーダー/投資家には、そのレベルや立場に応じ、乗り越えねばならない「壁」がある。例えば「仕掛けと仕切りに恐怖を感じる」という壁、「どれくらいポジションを維持したらよいか分からない」という壁、「自分の技法が通用しない期間が長く続いている」という壁…。実にさまざまだ。本書は、そうした壁に挑もうとする人々に格好のアプローチを提示しようとする哲学書である。〉† ディーリングとは、証券会社などが自身の資金...

  • 辻村新月・万城目学・湊かなえ・米澤穂信『時の罠』

    〈辻村新月、万城目学、湊かなえ、米澤穂信 — 綺羅、星のごとく輝く人気作家たちによる、《時》をテーマにしたアンソロジー。小学校時代に埋めたタイムカプセルがほどくこじれた関係、配置換えになった「縁結び」の神様の新たな仕事、人類には想像もつかない悠久なる物語…。《時間》が築いたきらびやかな迷宮へ、ようこそ — 。〉†辻村新月『タイムカプセルの八年』(2012年7月号)万城目学『トシ&シュン』(2014年7月号)湊かなえ...

  • 藤原久敏『あやしい投資話に乗ってみた』

    〈なんとなく、あやしい。でも、けっこう儲かるらしい。とはいえ、やっぱり怖い。未公開株に和牛オーナー、海外ファンドに先物取引…こういった投資に対して、皆さんが持っているイメージだと思います。しかし、興味はあっても、実際に投資するとなると、なかなかできないものです。そこで本書では、私自身がこれまで、そういったあやしい投資に首を突っ込んで得た経験を、渾身の実録レポートとしてまとめました。(「はじめに」)...

  • アミの会(仮)『アンソロジー 捨てる』

    〈連作ではなく、単発でしか描けない世界がある— 9人の人気女性作家が、それぞれの持ち味を存分に発揮し、今大変注目を集めている「捨てる」をテーマに豪華競作!女性作家ならではの視点で、人の心の襞をすくいとり丁寧に紡がれた9篇は、いずれも傑作ぞろい。さまざまな女たちの想いが交錯するしゅごくの短編小説アンソロジー。〉† 大崎梢「箱の中身は」、松村比呂美「蜜腺」、福田和代「捨ててもらっていいですか?」、篠田真...

  • マーセル・リンク『高勝率トレード学のススメ』

    〈夢と希望を胸にトレーディングの世界に入ってくるトレーダーのほとんどは、6ヶ月もしなうちに無一文になり、そのキャリアを終わらせる。この世でこれほど高い「授業料」を払う場があるだろうか。こうした高い授業料を払うことなく、最初の数ヶ月を乗り切り、将来も勝てるトレーダーになるためには、市場での実績が証明されたプログラムが不可欠である。本書はこのような過酷なトレーディングの世界で勝つためのプログラムを詳し...

  • 小説トリッパー編集部 編『25の短編小説』

    〈最前線に立ち今を代表する人気作家25人が短編小説を競作。何気ない日常の後継からSF、寓話、ナンセンス、ジャンルに収まらない現代小説まで、2020年という時代の空気に想像力を触発され書かれた珠玉の25編。バラエティ溢れる最強の文庫オリジナル・アンソロジー。〉†阿部和重「Unown」、磯崎憲一郎「新元号二年、四月」、小川哲「あんなカレーに……」、尾崎世界観「サクラ」、恩田陸「悪い春202X」、角田光代「ポケットのなか」、...

  • オリバー・ベレス/グレッグ・カプラ『デイトレード』

    〈…最初に取り組むのは、読者の心に変革をもたらすことである。強調しておきたいのは、一つひとつのトレードには必ず相手がいるということだ。問題は『どちらが、より賢いのか』である。それが読者なのか?あるいは、トレードの相手なのか?本書の目的は、マーケットの機微を知ることによって『賢い側』に立てるよう、読者を鍛えることである。(序章より)〉† 数ヶ月前から、Amazonのレビューや個人投資家のブログを参考に、投資...

  • 池波正太郎/山本一力/北原亞以子/山本周五郎/藤沢周平『たそがれ長屋』

    〈藩の取り潰しを防ぐため、金策に奔走する宗兵衛に新たな試練が待ち受ける(「疼痛二百両」)。口入屋の番頭、長兵衛は突然暇を言い渡されたが納得できず(「いっぽん桜」)。たった一人の友達が、約束の日に現れなくて(「ともだち」)。腕ききの職人でありながら職を捨て、女房子を捨てた男のその理由とは(「あとのない仮名」)。伜の果し合いを止めるため、孫左衛門は一世一代の勝負にでる(「静かな木」)。落涙必至、感動人...

  • けむ。『投資家心理を読み切る板読みデイトレード術』

    〈板読み=心理読み 「勝ち組がわずか5%」といわれるトレードの世界において、心理戦(板読み)で勝つために必要な考え方を身につけることから徹底指導。大衆心理を手玉にとって板読みに挑め!〉† 株式投資に興味を持ち始めた頃、YouTubeでたまたま見つけたのがテスタという個人投資家の切り抜き動画。その動画における彼の発言がどれも説得力のあるものだったため、彼のすすめていた株関連書籍の1冊である本書を購入してみる...

  • 彩図社文芸部 編纂『文豪たちが書いた「猫」の名作短編集』

    〈本書は、文豪たちが書いた猫にまつわる短編小説・エッセイを収録したアンソロージーである。 15人の文豪たちから作品を集めたが、猫に対する視線はさまざまだ。 次第に弱っていく飼い猫への愛情を綴った作品、猫を擬人化したおとぎ話風の作品、猫とともに貧乏暮らしをする作品、猫を介在した男女の機微を描いた作品…。 収録した作品は、どれも猫が生き生きと描かれており、読めば読むほど文豪たいの猫に対する感情が心に響い...

  • ダイヤモンド・ザイ編集部 編『たった7日で株とチャートの達人になる!』

    先週に引き続き、初心者向けの株関連本。扱っているテーマは〈株価チャートのつくり、チャートパターン、テクニカル指標、+αテクニック、ウィークリー・トレード、デイトレ、信用取引〉の7つ。内容的には初心者向けの解説サイトで事足りると思う。 1日約30分の時間で各テーマについて勉強できるという触れ込みだけれど、当然ながら、読んで理解して身に付けるには、30分程度ではぜんぜん時間が足りない。今回は通して読んだだ...

  • 安恒理 著/吉村佳 画『マンガでわかる最強の株入門』

    2017年刊行の株入門書。株式投資に興味を持ったので、1冊目の入門書として購入。 株式投資の基礎知識を一通り扱っているという点では看板に偽りなしではあるけれど、内容自体はインターネット上の初心者向け解説サイトで間に合うと思う。本書は文章と図表による解説が中心で、マンガはおまけ程度なので、タイトルの「マンガでわかる」は…。 マンガで気になったのは、面白くするためにバトル要素を盛り込もうとした結果、株式投...

  • 丸谷才一『恋と女の日本文学』

    〈恋と女を抜きにして日本文学は語れない — 。世界に誇る最古の長編恋愛小説『源氏物語』を遺す日本。『万葉集』から『細雪』まで、隠された恋ごころ、文学の中の女たちの力について、作家にして批評家をも兼ねる著者が縦横に読み解くユニークな日本文学史。『日本文学史早わかり』『忠臣蔵とは何か』三部作完結。〉† 200ページ弱の文庫本だが、予想以上に面白い内容で、読了後の満足感は大きかった。一応、本居宣長の恋愛エピソ...

  • 藤沢周平『霜の朝』

    〈その財力を賭けて粋を競った相手の紀ノ国屋文左衛門は、悪銭廃止令によって没落した。勝ち残った奈良屋茂左衛門の胸を一陣の風が吹き抜けていった。紀文と共に一つの時代が過ぎていったようだ…(表題作「霜の朝」)。ほかに、若い武家夫婦の無念を晴らす下男の胸中(「報復」)や、意に染まぬ結婚をした女のあわれ(「歳月」)等、人の心に潜む愛と孤独を、円熟した筆に綴った時代小説傑作集。〉† 順番から言えば『よろずや平四...

  • 上橋菜穂子『獣の奏者 Ⅲ 探究編』『(同)Ⅳ 完結編』

    〈愛する者と結ばれ、母となったエリン。ある村で起きた闘蛇の大量死の原因究明を命じられ、行き当たったのは、かつて母を死に追いやった禁忌の真相だった。夫と息子との未来のため、多くの命を救うため、エリンは歴史に秘められた真実を求めて、過去の大災厄を生き延びた人々が今も住むという遥かな谷を目指すが…。〉〈闘蛇と王獣。秘められた多くの謎をみずからの手で解き明かす決心をしたエリンは、拒み続けてきた真王の命に従...

  • 山田譲 編『文豪のミステリー小説』

    〈推理小説や探偵小説だけがミステリーではない。人間の心を深くそそる謎、それが本来のミステリーである。ユーモラスな語り口の中に非日常の世界をのぞき見る夏目漱石「琴のそら音」、真相のありかそのものを問う芥川龍之介「藪の中」、理化学トリックの幸田露伴「あやしやな」、思いもよらぬ犯罪を暴き出す大岡昇平「真昼の歩行者」など、名作九篇を厳選。〉† 夏目漱石「琴のそら音」、大佛次郎「手首」、岡本綺堂「白髪鬼」、...

  • 谷崎潤一郎/吉行淳之介ほか『猫は神様の贈り物〈エッセイ編〉』

    〈一度知ったら戻れない、猫との奥深い日常。 太古より人間の側で暮らしてきた猫は、時代や飼われ方によって色々な表情を見せる。猫と犬の性質の差や猫好きと犬好きの違いについえ思いを馳せる「猫と犬」(谷崎潤一郎)や、吉行家で買っていた《モテる》雄猫と彼についての思い出を語る「モテる系統のネコ」(吉行淳之介)など、ネコの生態と猫が繋ぐ人々の機微が味わい深いエッセイ集。解説/角田光代〉†谷崎潤一郎・奥野信太郎...

  • 藤沢周平『よろずや平四郎活人剣(上)』

    〈神名平四郎。知行千石の旗本の師弟、しかし実質は、祝福されざる冷や飯食い、妾腹の子である。思い屈し、実家を出奔、裏店に棲みついたまではよいのだが、ただちに日々のたつきに窮してしまう。思案の揚句、やがて平四郎は奇妙な看板を掲げる。…喧嘩五十文、口論二十文、とりもどし物百文、よろずもめごと仲裁つかまつり候。〉† 久しぶりに読んだ藤沢時代小説は『よろずや平四郎活人剣』の上巻。剣の腕は立つが旗本の冷や飯食い...

  • 丸谷才一『軽いつづら』

    〈豆腐のルールに思いをめぐらし、女性の名前と時代の関係を語り、オチョクルという言葉の語源を探る。あるいは、背広のボタンの正しいかけ方を説き、紳士はなぜいつも鉛筆を持っていなければならないかを論じ、果ては、上野の西郷隆盛像の犬の性別と名前について講義する。 — 生活・風俗から文化・歴史まで、雑学知識の蘊蓄と鋭い人間観察で、軽妙洒脱につづられたコラムの名品92篇。〉† 久しぶりに丸谷才一のエッセイ集。和田誠...

  • 井上ひさし『新版 國語元年』

    〈「全国統一話し言葉」の制定を命じられた官吏・南郷清之助は、妻、舅、使用人たちの放つ十もの方言が飛び交う中でひたすら途方に暮れていた。発音、人情、エゴイズム…。壁は次から次へと立ち塞がった。明治初期に方言の統一という超難問に翻弄される人々の姿を大爆笑のうちに描きながら言葉の本質、言語の生命力を高らかに宣言する傑作。幾度もの舞台化を経て今なお色褪せぬ伝説の戯曲。〉† 本作は小説ではなく台詞とト書きで構...

  • 丸谷才一『快楽としての読書[日本編]』

    〈丸谷書評は、読むに価する本の魅力を、普通の読者に向けてすっきりと語る。そして読者を本屋さんまで走らせる。読書共同体のための本の評判記にして書物の買物案内 — そんな見本が123本。石川淳、大岡昇平から池澤夏樹、村上春樹まで、王朝和歌から谷川俊太郎まで、広辞苑、日本国語大辞典から絵本まで。ジャンルを超えた最高必読の本を推薦する文庫オリジナルの第一弾。解説・湯川豊〉† 本書は、1964年から2001年までに書かれ...

  • 上橋菜穂子『天と地の守り人 第三部 新ヨゴ皇国編』

    〈ロタとカンバルがうごいた!北の諸国のうねりを背に、瀕死の故国へ帰還するチャグムに父との対決の時が迫る。緒戦の犠牲となったタンダの行方を必死に探し求めるバルサ。大地が揺れ、天変地異が起こるとき、金の鳥が空を舞い、地を這う人々の群れは、ひたすらに生きのびようとする。 — 十年余りの時をかけて紡ぎだされた大河物語の最終章『天と地の守り人』三部作、ついに完結!〉† 大きな戦と大洪水の果てに、主要登場人物たち...

  • 上橋菜穂子『天と地の守り人 第二部 カンバル王国編』

    〈再び共に旅をすることになったバルサとチャグム。かつてバルサに守られて生き延びた幼い少年は、苦難の中で、まぶしい脱皮を遂げていく。バルサの故郷カンバルの、美しくも厳しい自然。すでに王国の奥深くを蝕んでいた陰謀。そして、草兵として、最前線に駆り出されてしまったタンダが気づく異変の前兆 — 迫り来る危難のなか、道を切り拓こうとする彼らの運命は。狂瀾怒濤の第二部。〉† 残すは最終巻のみとなった今、私の中には...

  • 上橋菜穂子『天と地の守り人 第一部 ロタ王国編』

    〈大海原に身を投じたチャグム皇子を探して欲しい — 密かな依頼を受けたバルサはかすかな手がかりを追ってチャグムを探す困難な旅へ乗り出していく。刻一刻と迫るタルシュ帝国による侵略の波、ロタ王国の内側に潜む陰謀の影。そして、ゆるやかに巡り来る異界ナユグの春。懸命に探索を続けるバルサは、チャグムを見つけることができるのか……。大河物語最終章三部作、いよいよ開幕!〉†「守り人」シリーズ最終章『天と地の守り人』3...

  • 上橋菜穂子『蒼路の旅人』

    〈生気溢れる若者に成長したチャグム皇太子は、祖父を助けるために、罠と知りつつ大海原に飛びだしていく。迫り来るタルシュ帝国の大波、海の王国サンガルの苦闘。遥か南の大陸へ、チャグムの旅が、いま始まる! — 幼い日、バルサに救われた命を賭け、己の身ひとつで大国に対峙し、運命を切り拓こうとするチャグムが選んだ道とは?壮大な大河物語の結末へと動き始めるシリーズ第6作。〉†「守り人」シリーズ第6作目となる本作の内...

  • 上橋菜穂子『神の守り人 下 帰還編』

    〈南北の対立を抱えるロタ王国。対立する氏族をまとめ改革を進めるために、恐ろしい《力》を秘めたアスラには大きな利用価値があった。異界から流れくる《畏ろしき神》とタルの民の秘密とは?そして王家と《猟犬》たちとの古き盟約とは?自分の《力》を怖れながらも残酷な神へと近づいていくアスラの心と身体を、ついに《猟犬》の罠にはまったバルサは救えるのか?大きな主題に挑むシリーズ第5作。〉† 上巻から感じていたが、物...

  • 上橋菜穂子『神の守り人 - 上 来訪編 - 』

    〈女用心棒バルサは逡巡の末、人買いの手から幼い兄妹を助けてしまう。ふたりには恐ろしい秘密が隠されていた。ロタ王国を揺るがす力を秘めた少女アスラを巡り、《猟犬》と呼ばれる呪術師たちが動き出す。タンダの身を案じながらも、アスラを守って逃げるバルサ。追いすがる《猟犬》たち。バルサは幼い頃から培った逃亡の技と経験を頼りに、陰謀と裏切りの闇の中をひたすら駆け抜ける!〉† しばらくは「守り人」シリーズの未読巻...

  • 上橋菜穂子『明日はいずこの空の下』

    〈十七歳の夏スコットランドで迷子になり、研究の地オーストラリアで羊の尻尾を食べ、イランの遺跡を前に母と二人息を呑む — 旅は苦手なのに、二十カ国以上を巡った作家上橋菜穂子が、異国の地で見聞きし、食べ、出会い、心動かされた出来事を表情豊かに綴る。物語を育む土壌となった旅にまつわる名エッセイ。〉† 途中まで読んだ「守り人」シリーズの未読巻はすべて揃えてあり、あとは順番に消化していくだけなのだが、その前に同...

  • 小野不由美『白銀の墟 玄の月(四)』

    〈「助けてやれず、済まない…」 男は、幼い麒麟に思いを馳せながら黒い騶虞を捕らえた。地の底で手にした沙包の鈴が助けになるとは。天の加護がその命を繋いだ歳月、泰麒は数奇な運命を生き、李斎もまた、汚名を着せられ追われた。それでも驍宗の無事を信じたのは、民に安寧が訪れるよう、あの豺虎を玉座から追い落とすため。—戴国の命運は、終焉か開幕か!〉† 大きな荷物を背負って悪天候の雪山を登っていく第一・二巻。山頂に...

  • 小野不由美『白銀の墟 玄の月(三)』

    〈新王践祚 — 角なき麒麟の決断は。 李斎は、荒民らが怪我人を匿った里に辿り着く。だが、髪は白く目は紅い男の命は、既に絶えていた。驍宗の臣であることを誇りとして、自らを支えた矜持は潰えたのか。そして、李斎の許を離れた泰麒は、妖魔によって病んだ傀儡が徘徊する王宮で、王を追い遣った真意を阿選に迫る。もはや慈悲深き生き物とは言い難い「麒麟」の深謀遠慮とは、如何に。〉† 起承転結の〝転〟に相当すると思われる第...

  • 小野不由美『白銀の墟 玄の月(二)』

    〈民には、早く希望を見せてやりたい。国の安寧を誰よりも願った驍宗の行方を追う泰麒は、ついに白圭宮へと至る。それは王の座を奪い取った阿選に会うためだった。しかし権力を恣にしたはずの仮王には政を治める気配がない。一方、李斎は、驍宗が襲われたはずの山を目指すも、かつて玉泉として栄えた地は荒廃していた。人々が凍てつく前に、王を捜し、国を救わなければ。—だが。〉† ようやく「白銀の墟 玄の月」第2巻を読了。400...

  • 小野不由美『白銀の墟 玄の月(一)』

    〈戴くにに麒麟が還る。王は何処へ—乍驍宗が登極から半年で消息を絶ち、泰麒も姿を消した。王不在から六年の歳月、人々は極寒と貧しさを凌ぎ生きた。案じる将軍李斎は慶国景王、雁国延王の助力を得て、泰麒を連れ戻すことが叶う。今、故国に戻った麒麟は無垢に願う、「王は、御無事」と。—白雉は落ちていない。一縷の望みを携え、無窮の旅が始まる!〉†「十二国記」シリーズは、「風の万里 黎明の空」と「図南の翼」の後、「黄昏の...

  • 江戸川乱歩 編『世界推理短編傑作集3』〈その2〉

    〈欧米では、世界の短編推理小説の傑作集を編纂する試みが、しばしば行われている。本書はそれらの傑作集の中から、編者の愛読する珠玉の名作を厳選して全5巻に収録し、併せて19世紀半ばから1950年代に至るまでの短編推理小説の歴史的展望を読者に提供する。本巻には、フィルポッツの「三死人」からバークリー「偶然の審判」まで、1920年代の読み応えある佳品10編を収録した。〉† 前回に引き続き『世界推理短編傑作集3』、後半...

  • 江戸川乱歩 編『世界推理短編傑作集3』〈その1〉

    〈欧米では、世界の短編推理小説の傑作集を編纂する試みが、しばしば行われている。本書はそれらの傑作集の中から、編者の愛読する珠玉の名作を厳選して全5巻に収録し、併せて19世紀半ばから1950年代に至るまでの短編推理小説の歴史的展望を読者に提供する。本巻には、フィルポッツの「三死人」からバークリー「偶然の審判」まで、1920年代の読み応えある佳品10編を収録した。〉† 私は推理小説に関してまったくの門外漢なので、...

  • 上田秋成『雨月物語』(角川ソフィア文庫)

    〈巷に跋扈する異界の者たちを呼び寄せる深い闇の世界を、卓越した筆致をもって描ききった秋成の本格怪異小説の数々。崇徳院が眠る白峯の御陵を訪ねた西行法師の前に現れたのその人は…(白峰)。男同士の真の友情は互いの危機において試された(菊花の約)。戦乱の世に7年もの間、家を留守にした男が故郷に帰って見たものは…(浅茅が宿)。男が出会った世にも美しい女の正体は蛇であった(邪性の婬)など、珠玉の全9編。〉† 本...

  • 丸谷才一『夜中の乾杯』

    〈チャップリンとダリのヒゲは、どう違う。なぜ関東では豚を食べ、関西人は牛肉を好むのか。源頼朝エイズ説。「ロビンソン・ルクーソー」のデフォーは危険思想家だった…。例によって博引旁証、古今東西の人物のエピソード、ゴシップから手品のように人生の英知を引き出す甘口辛口の極上エッセイ三十篇。解説・嵐山光三郎〉† 何を読もうか迷った時は丸谷才一、エッセイ集ならばハズレはほぼない。今回の『夜中の乾杯』には、写真週...

  • 松本直也『怪獣8号』〈3〉

    「ウルトラマン、仮面ライダー、デビルマン」などの要素も窺えるが、各種設定の名称が違うだけで大枠は典型的な「少年ジャンプ」系バトル漫画。画力が高くて見せ方も上手いため、各場面を存分に楽しむことができる。 ただ、どうしても「物語の背景設定が大きすぎやしないか?」という不安が払拭できない。物語の構想や世界観の設定について、現段階でどのあたりまで練ってあるのか?大きく広げた風呂敷を畳む算段はしてあるのか?...

  • 大野晋『日本語と世界』

    〈高く揺ぎなく聳える本居宣長の国文学。しかし著者はその根底に、若き日の宣長を新しい学問へと駆り立ててやまなかった人間のアツい秘密を探り当てる。人は何のために学問をするのか。学問とは何か。根源的な疑問に答える巻頭講演を初め、上代文法・日本語系統論など十一の論文を収録。既に巨きな業績をあげながらなお未知の真実の解明を目指して前進する著者の、方法と行動と情熱が凝縮した論文集。〉† 本書は、国語学者・大野...

  • 松本直也『怪獣8号』〈2〉

    第1巻の内容は、防衛隊員選別試験の第二次最終審査終了まで。ただし、その最終審査には想定外の人型怪獣が紛れ込んでおり、超優秀な隊員志望のヒロイン・四ノ宮キコルがピンチ。そこに主人公・日比野カフカが怪獣化姿で登場して「あとは俺に任せろ」の決め台詞で締め。 第2巻では、その人型怪獣を(人知れず)撃退し、晴れて隊員(候補生)となったカフカが、隊員(候補生)としての初任務に臨むことになる。新しい職場、新し...

  • 『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』

    バンド・デシネ(以下、BD)の紹介と案内を目的として、2013年に発行されたムック本。BDとは何か?についてはこんなふうに説明されている。〈フランス語圏の漫画。(市場規模は)ヨーロッパでは随一を誇り、その歴史も長い。大半がオールカラーで描かれ、ページ数も日本マンガの単行本と比べるとずっと少ない。〉 本書では、代表的なBD作家&作品を紹介するだけでなく、日本の作家(谷口ジロー、江口寿史、松本大洋)へのインタ...

  • 松本直也『怪獣8号』〈1〉

    携帯電話の使用で貯まったポイントの一部が失効目前だったので、以前から面白いという評判だけは知っていた漫画『怪獣8号』の電子書籍版を購入することにした。1000円以上お買い上げで500Ptサービス!に釣られて、最新巻である3巻までの3冊をまとめて購入。 電子書籍で購入したとは言っても、読むためには毎回PC等でログインする必要があり、正直、これが何気に面倒くさかったりする。データとしてダウンロードできればなあ…...

  • 上橋菜穂子『虚空の旅人』

    〈隣国サンガルの新王即位儀礼に招かれた新ヨゴ皇国皇太子チャグムと星読博士シュガは、《ナユーグル・ライタの目》と呼ばれる不思議な少女と出会った。海底の民に魂を奪われ、生贄になる運命のその少女の背後には、とてつもない陰謀が—。海の王国を舞台に、漂海民や国政を操る女たちが織り成す壮大なドラマ。シリーズを大河物語へと導くきっかけとなった第4弾、ついに文庫化!〉† 本作は「守り人」シリーズ第4弾。主人公は新ヨ...

  • 丸谷才一/山崎正和『二十世紀を読む』

    〈二〇世紀!人類史上全く例外的な一〇〇年。昭和史と日蓮主義から『ライフ』の女性写真家マーガレット・バーク - ホワイトまで、ハプスブルク家最後の皇女から匪賊までを論じ、この時代の諸相を剔出した現代文明論。最も息の合った大知識人二人が二〇世紀とは何であったのかを考えようと、絶妙の話芸を繰りひろげる歴史対談。〉† 本書は、丸谷才一と山崎正和が1995年に『中央公論』誌上で行った計6回の対談をまとめた1冊。両者...

  • 丸谷才一『花火屋の大将』

    〈まずは囃子言葉の研究。「讃岐金比羅 狸の金玉」なんて凄いのから「日本書紀」、「現代詩」まで、日本特有の言葉の本質を探る。また「勝負がついた試合で 0 - 3 からフルスウィングしてはならないのか」との野球の大問題を検討。その他、スパイの金の使い方、影武者についてなど、おなじみ傑作エッセイ集。 解説・張競〉† 丸谷才一の著書を読む場合、文芸評論ならばある程度の教養を必要とされるが、エッセイならばさほど教養...

  • 星新一『つねならぬ話』

    〈海の下の、奥の奥で眠っている神の夢。大地をうごめき、すべてを食い尽くす不快なブガン。アステカの怪しげな薬草に酔って義経がみる昔日の幻。満月の夜にとらえた人魚を食べてしまった男たちのゆくえ — 。 天地の創造、人類の誕生など語りつがれてきた物語が、いま奇抜な着想で生まれかわる。あなたを空想の小宇宙へ誘う、幻想的で奇妙な味わいの52編のワンダーランド。〉 † 久しぶりに星新一の掌編集を手に取る。お馴染みラ...

  • 上橋菜穂子『夢の守り人』

    〈人の夢を糧とする異界の“花”に囚われ、人鬼と化したタンダ。女用心棒バルサは幼な馴染を救うため、命を賭ける。心の絆は“花”の魔力に打ち克てるのか?開花の時を迎えた“花”は、その力を増していく。不可思議な歌で人の心をとろけさせる放浪の歌い手ユグノの正体は?そして、今明かされる大呪術師トロガイの秘められた過去とは?いよいよ緊迫度を増すシリーズ第3弾。〉† 上橋菜穂子の代表作「守り人」シリーズの第3弾。今作は...

  • 泉鏡花『高野聖・眉かくしの霊』(岩波文庫)

    〈北陸敦賀の旅の夜、道連れの高野の旅僧が語る、若かりし日に僧が経験した飛騨深山中の怪異陰惨な行脚物語。『高野聖』は、自由奔放な幻想の中に唯美ロマンの極致をみごとに描き出した、鏡花文学の最高傑作である。併収の『眉かくしの霊』は、木曽街道の旅話に怪談的司教を織り込んだ作者晩年の佳作。(解説 吉田清一)〉† 泉鏡花と言えば怪奇と幻想の作家として有名だが、これまでに私が読んだことのある作品は、澁澤龍彦の編...

  • 小林昇『日本プラモデル六〇年史』

    〈昭和三十三年、国産プラモデルが産声を上げた。以来六十年、プラモデルは常に少年の夢であり続けた。パルサータンク、ウォーターラインシリーズ、ガンプラ、ミニ四駆、ガレージキット…。豊富な写真で解説する僕らの憧れの過去、現在、そして未来。〉† タイトル通り、日本プラモデル60年の歴史をメーカー側の視点に立って概括した1冊。いわゆるプラモデルだけでなく、電動RCカー(ラジコン)やミニ四駆、また食玩を含むフィギュ...

  • 石川淳『新釈古事記』

    〈この世のはじまり、国土を成さない、くらげなす、あぶらなす原初から〝くに〟の生成に至るまで、古事記の筆者はそれをつぶさに見て来たという。読者を信じこませるためにたるその雄渾な筆致の魔力。本邦最初の文学として生み落とされた千古の文体と、夷斎を名乗る作家との出会い。正確かつ奔放な訳業によって、難解な古典も親しい読み物として、今、生命を吹きかえす。解説 西郷信綱〉† 丸山才一が評論集『みみずくの夢』で石...

  • リービ英雄『英語でよむ万葉集』

    〈「万葉集にたどりついたとき、古い日本語というよりも、とても新しい文学に出会ったという不思議な感じがした」英語を母語としながら、日本語作家として現代文学をリードする作家の感性が、英語という鏡に古代日本語の新しい姿を映し出す。全米図書賞を受賞した名訳から選りすぐった約50首の対訳に、作家独自のエッセイを付す。〉† 取り上げられている和歌は、長歌の一部を抜粋したものも含めて全部で50首ほど。和歌と現代語訳...

  • 藤沢周平『竹光始末』

    〈世の中変っても、変らないのは男の心 — 。一家の糊口を凌ぐために刀を売り、竹光を腰に仕官の条件である上意討へと向う浪人の心意気『竹光始末』。口喧しい女房を尻目に、藩の危機を未然に防ぐ一刀流剣士の手柄『恐妻の剣』。他に『石を抱く』『冬の終りに』等、小説巧者藤沢周平が、世の片隅で生きる男たちの意地と度胸を、ユーモラスに、陰翳豊かに描く傑作時代小説全6編。〉† 今年になって何冊かの短編アンソロジーを読んだ...

  • 丸谷才一『みみづくの夢』

    〈高度経済成長以後、男は泣かなくなった。泣くと笑われるようになった。男が泣くことを肯定するのは日本文学の伝統で、英雄は臆面もなく泣くことで英雄となり、男に涙はヒロイックであることの必要条件であったのに。この大転換の意味を問う「男泣きについての文学論」のほか、「司馬遼太郎論ノート」「大岡昇平」「王朝和歌二首」など、切れ味の鋭い評論十編を収める。〉†〈男泣きについての文学論/あの少年のハーモニカ/司馬...

  • 荻原浩『海の見える理髪店』

    〈店主の腕に惚れて、有名俳優や政財界の大物が通いつめたという伝説の理髪店。僕はある想いを胸に、予約をいれて海辺の店を訪れるが…「海の見える理髪店」。独自の美意識を押し付ける画家の母から逃れて十六年。弟に促され実家に戻った私が見た母は…「いつか来た道」。人生に訪れる喪失と向き合い、希望を見出す人々を描く全6編。父と息子、母と娘など、儚く愛おしい家族小説集。直木賞受賞作。〉† 以前、短編アンソロジー2冊...

  • 上橋菜穂子『闇の守り人』

    〈女用心棒バルサは、25年ぶりに生まれ故郷に戻ってきた。おのれの人生のすべてを捨てて自分を守り育ててくれた、養父ジグロの汚名をそそぐために。短槍に刻まれた模様を頼りに、雪の峰々の底に広がる洞窟を抜けていく彼女を出迎えたのは — 。バルサの帰郷は、山国の底に潜んでいた闇を目覚めさせる。壮大なスケールで語られる魂の物語。読む者の心を深く揺さぶるシリーズ第2弾。〉† 今回読んだ「守り人」シリーズ2作目『闇の守...

  • 【雑文】本の〝自炊〟に手を出してみる

    バイオリズムの周期が関係しているのか、年度末になるといつもモチベーションが全般的に低下し、周囲のあれやこれやを整理したくなる。...とまあそんなわけで、前回からまだ数ヶ月しか経っていないにもかかわらず、またぞろ本の処分整理を検討し始めた。 いつもならばまとめてBOOKOFFが古書店に持っていくところだが、今回は本の電子書籍化いわゆる〝自炊〟に手を出してみることにした。iPadにはiBooksという電子書籍アプリが標...

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