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ねこえびすの名著決定版 https://buecher-und-katze.hatenablog.com/

東京の片隅で密かに生きる野良ネコ音吉です。読書と音楽鑑賞三昧の猫生を送る音吉が勝手に名著と決めた本を紹介します。

野良ネコ音吉
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2020/05/29

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  • 内堀弘『ボン書店の幻 モダニズム出版社の光と影』

    内堀弘著『ボン書店の幻 モダニズム出版社の光と影』(ちくま文庫)。ここ数年で、音吉にとってはいちばん読み応えがあり、感動した本です。 鳥羽茂(とば・いかし)という出版人をご存知でしょうか。1930年代の数年間、その後の詩壇を率いる詩人たちを輩出した出版社『ボン書店』の主です。とはいっても、オーナー兼編集者兼デザイナー兼印刷工の「ぼっち版元」(後に結婚して社員[?]は一人増えましたが)。社屋も東京は雑司が谷の一角にあった二間の借家で、土間にドンと一台の印刷機が置かれ、もう片方の部屋で寝起きするという、出版社というよりは町の印刷屋さんといった風情ですね。 ボン書店という名は、デザインの斬新さと希少…

  • シモーヌ・ド・ボヴォワール『おだやかな死』

    今回の本は、シモーヌ・ド・ボヴォワール(Simone de Beauvoir, 1908 - 1986)の『おだやかな死("Une mort très douce", 1964)』です。 ボヴォワールのことは改めて説明するまでもないと思いますが、念のために簡単に。彼女は20世紀を代表する哲学者にしてフェミニスト。サルトルと共に神無き実存主義を牽引し、政治的には社会主義を標榜しつつ、書斎を出て女性開放運動に身を投じました。 キリスト教徒の家庭に育った僕が教会に行かなくなったのは中学2年生の時のこと。以来、妻さんとの出会いで信仰を取り戻すまでの20年にわたって僕の心を占めていた実存主義哲学は、サル…

  • 福岡カルメル会編訳『沈黙を聴く ー 現代の神秘家モーリス・ズンデルの人と霊性』

    宗教関係の本は馴染みが薄いかもしれませんが、少々お付き合いください。モーリス・ズンデル神父(1897 - 1975)の『沈黙を聴く 現代の神秘家モーリス・ズンデルの人と霊性』(女子パウロ会)です。 ズンデル神父は、前世紀の初頭にあって、現代のカトリック教会にあってすら保守的な人々が眉をひそめるような斬新な思想の神学者であったがために、30年近くにわたってヴァチカンから遠ざけられ、生国のスイスからフランス、エジブト、レバノンの教区を転々とすることになります。 なぜ疎まれたのかについては神学的なお話になるので詳しくは触れませんが、聖職者や修道者になったり、公教要理(カテキズム)を厳守するのが神に至…

  • マーティン・ルーサー・キング・ジュニア『私には夢がある』演説全文

    www.youtube.com 【以下はキング牧師による1963年8月28日の演説全文(後段に原文もあります)です】 今日、私は米国史の中で、自由を求める最も偉大なデモとして歴史に残ることになるこの集会に、皆さんと共に参加できることを嬉しく思います。 100年前、ある偉大な米国民が、奴隷解放宣言に署名しました。今、我々は、その人を象徴する坐像の前に立っています。この極めて重大な布告は、容赦のない不正義の炎に焼かれていた何百万もの黒人奴隷たちに、大きな希望の光明として訪れました。それは、捕らわれの身にあった彼らの長い夜に終止符を打つ、喜びに満ちた夜明けとして訪れたのです。 しかし100年を経た今…

  • 宮田修著『オリエント世界はなぜ崩壊したか ー 異形化する「イスラム」と忘れられた「共存」の叡智』

    今日の本は、 宮田 律 (Osamu Miyata)さんの『オリエント世界はなぜ崩壊したか ー 異形化する「イスラム」と忘れられた「共存」の叡智』(新潮選書)です。 宮田さんは現代イスラム研究センターの理事長をお務めで、古代オリエント世界から現代のイスラム世界に連なる研究と論評において文字通りの第一人者でいらっしゃいます。 こんな紹介をすると、いわゆる象牙の塔にお籠もりするしかめっ面の学者を想像されるかもしれませんが、宮田さんは柔軟で寛容な精神をお持ちで、必要に応じてどこにでも出向き、誰とでも分け隔てなくお話のできる方です。 なぜ安全な象牙の塔から下野して、今なお痛めた腰に手を当てながら政情不…

  • 佐野洋子『私の猫たち許してほしい』

    「ドイツにいたとき、台所から隣りの家の小さな窓が見えた。その窓に、黒い洋服を着た老婆が、身動きもせず横を向いて座っていた。 小さな窓は清潔なレースのカーテンで囲まれ、庭にはもやのかかったような枯草があった。毎日食事が終わると、私は隣りの窓を見た。老婆はすでに座っていた。私は、いつ老婆が立ち上がり、食事をしたり、家の中の事をするのだろうと思い、台所のスチームの上に、かえるのようにしゃがんで、老婆を見守った。 いつまでたっても老婆は微動だにしなかった。窓の中の老婆は、額縁の中の絵であった。 私が執念深く老婆が動くことを期待したのは、何であったのだろうか。 たんなる下世話な好奇心であったのだろうか。…

  • カリール・ジブラン『預言者』

    カリール・ジブラン(ハリール・ジブラーン)という詩人をご存知でしょうか。 ジブランは1883年にレバノンで生まれ、1931年にニューヨークで没した詩人にして画家・彫刻家で、詩人としては「20世紀のウイリアム・ブレイク」と称されるほど高い評価を受けています。 今回紹介する『預言者(The Prophet)』は1923年に英語で発表された詩集で、美智子上皇后の愛読書としても知られています。 あなたは語る。思考の平和に在ることを止めるときに。 そして、もはや心の孤独にとどまり切れぬとき、あなたは唇に生きることになる。音声は気晴らし、気慰み。 多くを語るとき、思考は半ば殺されたも同じ。 なぜなら、思考…

  • 向井透史『早稲田古本屋日録』

    こんにちは! 東京の片隅で密かに暮らす野良ネコ音吉です。実は音楽のブログを書いているんですが、Facebookで「ブックカバーチャレンジ」という、一週間限定で愛読書のカバーと記事をアップする(そして次の人にバトンタッチする)という面白い企画が回ってきて、それが思いのほか楽しく、お役目が終わっても余韻が忘れられずにこのブログを始めました。もし音楽にも興味をお持ちでしたら、サイドバーのリンクから「ねこえびすの名曲決定盤」にぜひ飛んでいってやってください。よろしくお願いします。 さて音吉が勝手に名著に決めた本のトップバッターは、早稲田古本屋街にある古書店『現世』のご主人、向井透史さんがお書きになった…

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