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  • 問いの“余白”

    余白を残した問いかけ、とでも言おうか。大事な助言というのは言葉少なく、数年経ってから「あの時のアレはこういうことだったのか」と思い至るようなものが少なくない。 他者の助言一つで即変わる程人は単純に出来ておらず、問いを内面化し自分の言葉で解を見つけることでしか人は変わり得ない。即変わったように見えるとすれば、それは契機を与えただけだ。ならば教育者の役割とは、どれだけ芯を捉えた、同時に考える余白を与える問いを授けられるか、ということに尽きるのだろう。 あるいは、助言の本質を"説得=convince"というのもあながち的外れでもない。しかし、それよりはむしろ相手が元々漠然と認識しているであろう課題と…

  • 大陸的想像力、海洋的想像力

    東南アジア人は日本に比し圧倒的に国際感覚を備えていると見受けられる。 エスタブリッシュメントが教育水準の高い英米に子息を送るのを好むということに加え、欧米人、華僑、印僑をはじめとする異邦人らとの交通と融和の地であったという史実がメンタリティに与えている影響もまた少なくない。翻って日本における近代史教育はこうした大陸的想像力、海洋的想像力を排除し、内向きな社会認識を一層助長、強固にする様作用しているのではないか。 これは国民としてのアイデンティティの源流をどの時代に求めるか、という問いと言い換えることができる。公教育が暗黙の了解として中心に据えているのは鎖国期の江戸であろう。だから前時代の織田信…

  • シティ伝説のバンカー、シーグムンド・ウォーバーグ(一)

    歴史学者のニール・ファーガソンは、先の大戦後における金融街シティの復興において最も重要な役割を果たした人物は、シーグムンド・ウォーバーグ(Sir Siegmund George Warburg (30 September 1902 – 18 October 1982))であると述べている。1946年、シーグムンドがロンドンに設立したS.G. Warburg & Co.(以下、"SGW&Co.")はシティに現れるや、英国初の敵対的買収、ユーロボンド市場の創設という革新的な仕掛けによって英国金融街にその名を轟かせた。なお、SGW&Co.はその後紆余曲折を経て1995年にスイス銀行に買収されており(…

  • 知性の多様性

    知性のあり方には様々な方式がありうる。引出しが多いに越したことはないが、一方でオールラウンダーである必要はない。 他人を評価するとき、自分が慣れ親しんだ規範によって専断的な態度で接することだけは、厳に慎むべきである。これは(広義の)マネージャー、あるいは採用担当者が犯しがちな誤謬だ。 評価する側に回ると自分の基準によって人を見定めることに慣れてしまう。しかしそれは単に、個別具体の趣旨・目的に応じたその状況固有が構造的にもたらす関係性であって、決してそこに優劣はないのである。

  • 矛盾の包容

    "謙虚な傲慢"や、"柔軟な我流"など、そういう一見すると相反する素養を兼ね備えていることが人間性に奥行きを与えるのだと思う。 これは所謂アウフヘーベン(止揚)を言っているのではなく、むしろ矛盾する概念を矛盾するままに包容するということだ。 論理的に筋が通っていない(ように見える)概念を自分の中に併存させるというのは生易しいことではない。最初から最後まで観念的なメモになってしまったが、一言でいえばその許容度がつまりは当人の器ということなのだろう。

  • 才能と持ち場

    身も蓋もないようだが、世の中は才能だとつくづく思う。 私的な縁を振り返っても、その分野の誰もが知るようなプロのスポーツ選手やミュージシャン、あるいは20代半ばで最高学府助教に登用される才能もいた。自分自身は決して裕福なコミュニティに属していた訳ではないし、先に述べた知人たちとて、少なくとも食卓を想像できるくらいには同じような環境で育っている。 だから、生まれた環境が人間を決めるというのは全くもって違う、と思う。兎にも角にも、生まれ持った才能である。ただし才能というのは常に多義的であって、多様な特性と適性がある。それは上に挙げた知人たちとて変わるところがない。 だから才能と同じくらいに、その才能…

  • ステップ関数と複線的な仕掛け

    しばしば成長曲線は右肩上がりの1次関数的なイメージで捉えられている。俯瞰で見るとたしかにそうかも知れないが、寄りで見るとむしろステップ関数の形をしているのではないかと思う。 ステップ関数といっているのは、要するに一定の閾値を超えることではじめて次の次元に移行できるということであり、Inputに対してOutputが比例して伸びていくような漸進的な推移を辿ることはないということである。 事業成長をステップ関数的に捉えるということはInputに対するOutputの伸長との関係には常にラグがあることを所与とするということである。物事の見方としてこれは実際、経験則に即している。 派生して、複線的に仕掛け…

  • スタートアップ戦略の定石

    時節柄、昨年の振返りと来年の計画を考える頃である。その過程で、以前にごく私的なメモとして残していた走り書きが目に入った。「スタートアップ戦略の定石」と些か大層な題がある。 そんな文章を書いたことさえほぼ忘れていたのだが、読み返してみると(多分に概念的かつ簡素ではあるものの)大枠としてはそれなりに俯瞰的な整理はされているように思われたため、備忘も兼ねてここに記録しておく。便宜上、「スタートアップ」という言葉を用いているが、広く非ドミナントプレーヤーによる、新規性の高いモノ・サービスによる市場における戦い方を、念頭に入れている。 スタートアップ戦略の定石 1. コンセプトを削ぎ落とし、磨く 2. …

  • 縁、ということについて

    “縁”ということがよく言われるが、その言葉の意味を最近になってようやく、理解できた気がする。当時は縁がないように思えた出会いが後になって、再び巡り合うということがここ数ヶ月、何度かあった。時機が来たということなのだろう。 思い返してみれば、これまでの自分の人生も、そうした縁が織りなす人々との出会いの中で生れた轍そのものである。意志が道を拓く一方で、縁の導きなしに何かに辿り着くこともできない。ひとり自分の人生だけではない。縁と縁が交錯し、また新たな縁が生起する、その只中を人は生きている。 巡り合った縁を活かすも殺すのはまた、縁というものに対する当人の向き合い方に左右されうるとも思った。英語にも、…

  • 問いを立てる

    人の在り方は、問いを立てることで定まる。歴史の一頁に刻まれるような偉業に人を導いたのは、その固有の状況において彼らが定立した問の抽象度と質にある。 問いとは証明し、または解き明かそうとする対象である。問いを立てる、とは自らが証明し、解き明かそうとする対象を定めるということだ。極限まで結晶化すれば、問は「あれか、これか (“Enten – Eller”)」の二択として立ち現れる。 問を立てる力が及ぶ抽象度こそ、独立した思索家としての当人の器を示すものである。ここで抽象度とは階層としての高度を言っている。 偉業を成した人々の掲げた理念が獏とした後付の美辞麗句としか映らないなら、それは単に彼らが持つ…

  • 状況は所与である

    人生において、仕事あるいはプライベートに関する話題であるかを問わず、困難な状況に陥るということはままある。更に、ある問題を解決したと思えば別の所でまた新たな問題が起きる。世の中というのは実にうまく調和が取れているものだ。 たかが一個人によって管理可能な事象というのはごく僅かであり、たいていの物事は自分の意志の及ばないさまざまな要因によって行く末が左右される。 こうした状況に対する幼稚な反応というのは、状況を言い訳にする、他責にするというものだが、それは当事者としての主体の放棄にほかならない。 与えられた状況に主体として対峙し、意志と創意工夫によって自ら道を切り開くこと。この規律を思い出そうと、…

  • リーダーの発するメッセージ

    リーダーシップ論なるものが巷では溢れており、自分もまた相応に、テーマとして一定の関心は払っているが、実地の試行錯誤を通じて自分なりに体得し始めてきたことが幾つかある。 中でも、"(ポジティブな)メッセージを発信し続ける"ことは、(広義の)リーダーシップにとって最重要の素養の一つであると考えるようになった。ここには、2つの問が包含されている。まず他ならぬ自分自身がその目標・ビジョンなりを信じることが出来るか、次にそのメッセージを組織・チームに行き渡せることが出来るか、という問である。 何事においても未来を語るならば、不確実性はそこに所与としてある。転々とする状況において尚、一貫して「こうなる」と…

  • 種をまく

    ブログやツイッターを定期的に更新するようになったのは、ちょうどコロナ禍の影響が本格的になり始めた2020年初旬であり、自戒と備忘の記録を名目としていた。 国際的な往来が事実上遮断された事によって、日本語という言語空間から取り残されたことによる漠然とした不安を慰めるものだったかもしれない。そういう意味では至極私的な営為ではあった。 一方で、自分の雑然とした思索を公衆に閲覧可能な形で書き残す事で、それが人の目に留まり、新しい縁に繋がることもごく稀にある。そういう意味で、“種をまいていた“のかもしれない。 1000人の目に止まったとして、そのうち1人でも面白いと思い、何かしらの縁に繋がればよい。今は…

  • 掛け算と引き算の組織力学

    よい組織、よいチームには掛け算の組織力学がある。つまり、自分より優秀な人物を(別け隔てなく)歓迎し、時には引き上げ、巻き込む事で、互いにレバレッジをかけて共通の目的を達成しようという風土があり、それは事業推進においても強力な動力として作用する。 一方で、悪い組織、悪いチームには得てして引き算の組織力学が働いている。そこでは限られたパイを奪い合う弱肉強食的な風土が蔓延し、次第に共通の目的よりも個々の保身、政治的な仕草が蔓延るようになる。 一般に大企業、と言われる企業ほど、ここで言う引き算的な組織力学が強くなりやすいように見える。人材の流動性に乏しく(しかも往々にして年功序列であり)、かつ市場成長…

  • 成長曲線の射程と傾斜

    成長曲線の射程と傾斜、という事を最近よく考える。 これが自分のやりたい事である、という強い目的意識がなければ徹底的に没入する事はできないし主体的な創造性が働く余地はない。自ずと妥協も生まれる。成長曲線を人並み以上にintensifyする理由もない。成長曲線の射程と傾斜は、当人の目的から逆算して導かれるものでしか有りえず、本人の意思に反して他人が設定するべきものでは決してない。 採用なり、"人"に関わる業務上、しばしば投げかける一連の質問がある。 「あなたはどういう存在になりたいか。なぜそうなりたいか。ここに居る意味はあるか。」 これは、個々人の成長曲線の射程と傾斜をどう設定するか、という事を聞…

  • コンサルタントとアドバイザーの違い

    自分の理解では、(伝統的な)コンサルティングとは、経営という文脈における意思決定に関する助言を生業とするものであり、アドバイザリーとは、特定の取引に関する助言を生業とするものである。役務の提供対象がそれぞれコンサルティングでは「経営」、アドバイザリーでは「取引」であるという点は、両者の特質を隔てる大きな要素である。 ここで、投資銀行(あるいはM&Aブティック)に所属しM&A関連の助言業務を提供する人たちは“アドバイザー”と呼ばれるのが慣例である。 コンサルタントがクライアント・ワークであるのに対し、アドバイザーにはクライアントに加え、「利害の対立する」「第三者」が存在するというのは決定的に大き…

  • 『戦場にかける橋』の実存的矜持

    『戦場にかける橋 (原題:The Bridge on The River Kwai)』という映画がある。今から半世紀以上前の1957年に公開され、今なお映画史に残る名作の一つに挙げられる。 題名の「戦場にかける橋」とは、タイ王国のクウェー川に架かるクウェー川鉄橋を指す。第二次世界大戦の1943年のタイとビルマの国境付近にある日本軍の捕虜収容所、そこに収容されたイギリス軍兵士らと、彼らを強制的に泰緬鉄道建設に動員しようとする日本人大佐との対立と交流を描いたこの映画は、フランスの小説家ピエール・ブールによる同題の小説を原案とする。原作は、ピエールの実際の従軍経験に基づいて書かれたものと言われている…

  • 六次の隔たり

    六次の隔たり、という言葉がある。 相手が世界中の誰であれ(アメリカの大統領であっても)、世界中の人間は「知り合いの知り合い」といった関係を辿れば6人目で繋がるという。ある調査によれば、5人という検証結果もある。いずれにせよ、近いせ世界になるほど辿り着くのは早いハズだ。実際の肌感覚で言っても、同じ業界で仕事をしている人であれば大抵は間に一人、間に二人くらい挟めばまず共通の知り合いがいるものだ。 ここから改めて分かるのは、紹介してもらえる信頼を築くこと、消極的な言い方をすれば誰に対しても真っ当な関係を作っておくことの意味合いだろうか。 しかし、別の見方をすれば、この原理原則さえ抑えているなら"コネ…

  • 巨木を切り倒す

    事業を創る過程は、巨木を切り倒すという行為に似たところがあるように思う。 人や物事を動かすという事には忍耐を要する。斧で巨木を打ち据えるが如く、手応えがない空白の期間をじっと耐える事ができるか。戦略に対する確信を維持できるか、そもそもそれは確信に値する戦略であるか。試されているのはConfidence(自信)ではなく、Conviction(確信)である。

  • 仕事を任せる/任せられる順序

    仕事を他人に任せる/任せられる時、伝えるべき内容には然るべき順序があると思っており、それは以下の3要素によって構成されるというのが自分なりの整理である。 1. Why : なぜやるのか(背景と目的)2. What : 何をやるのか(求める結果)3. How : どうやるのか(具体的な方法)

  • はじめに 言葉 越境 海外とビジネス ビジョン 直感 機会 「アジア地域におけるビジネス機会の最大化を目指す」 おまけ|懐かしい本棚

  • 思考の強度

    仕事上、何か特定の事柄について考えを巡らせ、関係者に報告/共有する際、その思考/仮説は、自分が徹底して考え抜いたと言い得る強度を備えているか。

  • 財務モデリング入門(独学用リンク集)

    財務モデリング入門(独学用リンク集) - 自戒と備忘、虚構と酔狂

  • 筆始め (於2020年5月)|本ブログについて

    読書記録を中心とする日々の学び、自戒と備忘、そして「金融×経営×東南アジア」他、自分がテーマとしている事柄についての整理の為、徒然なるままに書き残していこうと思います。内省的な内容が多いかもしれませんが、何かしら目に留めて頂いた方々を益するものとなれば幸いです。 記事内容に関する質問や指摘、各種照会等につきましては、お問合せフォームからご連絡ください。執筆者本人の個人情報に関するご質問にはご回答致しかねる場合があります。宜しくお願いします。

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