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本を読んでいる間だけは、無心で自分と向き合える時間。 「読みたいを届けたい」をモットーに幅広く本を紹介します♪

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2020/05/05

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  • 【書評・感想】「薬指の標本」――偶然と運命を結ぶ”虚無”という視点

    清涼飲料水工場に勤めていたわたしはある日、機械に指を挟み、薬指の先が欠けてしまう。わたしはこの事故をきっかけに工場を辞め標本室と出会う。標本室と言っても、研究のような複雑なことを行っているわけではない。この標本室の役割は標本を作り、保存すること、ただそれだけ。わたしは戸惑いながらも標本室で働くことになり、標本技術師の弟子丸氏に次第に心を惹かれていく。

  • 【書評・感想】「人質の朗読会」――役割から解放された"自分語り"

    地球の裏側で、バスツアーの参加者7名と添乗員および現地運転手を含めた計9人が反政府ゲリラの襲撃を受けて拉致される事件が起こった。彼らが生きたまま解放されることは叶わなかったが、犯人の動向を探るために仕掛けられていた盗聴器は人質たちが催す朗読会の様子を記録していた。荘厳な拍手の中、祈りにも似た自分についての物語が語られる。

  • 【書評・感想】「聖なるズー」――人間と動物の対等な関係性を問う

    「動物性愛」は悪なのか?人間と動物の間に対等な関係を築くことはできないのだろうか?

  • 【書評・感想】時代の分かれ目に読むべき圧巻のエンターテイメント!!――「革命前夜」須賀しのぶ

    「革命前夜」文春文庫 須賀しのぶ/著 あらすじ 著者_須賀しのぶ 【書評・感想】天才たちの静かな戦い 印象的なフレーズ おわりに あらすじ 舞台は冷戦下の東ドイツ。日本の元号が昭和から平成に変わった日からベルリンの壁が崩壊するまでを描いた歴史エンターテイメント。東ドイツに”鈍化した音”を求めて音学留学したピアニストの眞山柊史はさまざまな音楽の天才たちと出会い、その才能に打ちのめされながらも少しずつ自分の音を見出していく。 著者_須賀しのぶ 1972年埼玉県出身。上智大学文学部史学科卒業。1994年「惑星童話」でコバルト・ノベル大賞読者大賞を受賞しデビュー。2016年「革命前夜」で第18回大藪春…

  • 【書評・感想】「線は、僕を描く」――不自由さに宿る凛とした自然 

    「線は、僕を描く」講談社 砥上裕將/著 あらすじ 著者 【書評・感想】不自然さに宿る凛とした自然 印象的なフレーズ 終わりに あらすじ 交通事故で両親を失った僕は、心に空白を抱えたまま無為に学生生活を送っていた。ある日、友人からの頼みで展示会の設営バイトをしていた僕は水墨画の巨匠、篠田湖山と出会い、水墨画を教わることになる。森羅万象を描き出す水墨画とその絵師達との関わりの中で、僕は少しずつかつての自分を取り戻していく。 著者 砥上裕將 1984年生まれ。福岡県出身。水墨画家。 本作「線は、僕を描く」で第59回メフィスト賞受賞。 【書評・感想】不自然さに宿る凛とした自然 「線は、僕を描く」 この…

  • 【あらすじ・感想】「老人と海」――人間の尊厳と老いへの屈服

    「老い」「衰え」といった面にスポットを当てた感想を書かせていただきました。 ・船上での独り言 ・誇りのために釣り、生きるために殺す ・残骸への賞賛

  • 【書評・感想】「ワイルドサイドをほっつき歩け」――

    「ワイルドサイドをほっつき歩け」筑摩書房 ブレイディみかこ/著 目次 はじめに こんな人におすすめ! 著者 印象的なフレーズ おわりに はじめに 「ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー」の著者でもあるブレイディみかこさんが労働者階級のおっさんたちの生態を紹介してくれます。 ブレクジットに揺れる英国の現地の様子をおっさんたちの悲哀とともに知ることができたのは新鮮でした。 21編のエッセイの後には、英国の世代、階級、酒事情を専門的な知識とともに解説するパートがあり、こちらも読みごたえがありました。 こんな人におすすめ! ブレクジットに揺れる英国市井のリアル事情が知りたい方 労働者階級の実情を知…

  • 【書評・感想】「マインクラフト はじまりの島」――マイクラで学ぶ36の教訓

    「マインクラフト はじまりの島」竹書房 マックス・ブルックス/著 北川由子/訳 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに マイクラ公式小説の1冊目。 7人の著名な作家が1作ずつマインクラフトの世界を書き下ろすという企画が進行中で、現在日本語版は3冊出版されているようです。(2020/06/28現在 原作は4冊目まで出版されているようです) 本書「マインクラフト はじまりの島」の担当は「WORLD WAR Z」などの人気ゾンビ映画を世に送り出したマックス・ブルックス。 このことは知らずに読んだのですが、言われてみればこの2作には「立てこもっているだけでは生き残れない」とい…

  • 【書評・感想】「とにかく散歩いたしましょう」――犬は茄子を投げたくても、投げられない

    「とにかく散歩いたしましょう」毎日新聞社 小川洋子/著 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに 本書は小川洋子さんが毎日新聞で連載していたエッセイを一冊にまとめたものです。 何気ない日常を色彩豊かに語り、日常をリアルな質感で伝えてくれる作家さんのエッセイが大好きです。 多くの読者に影響を与える文章を紡ぐ作家が、どんなものから影響を受けているのかを知ることができるので、非常に面白かったです。 読んだことがある小説の裏話も聴けて大満足の一冊でした。 著者 小川洋子 1962年岡山県生まれ。「博士の愛した数式」で読売文学賞、本屋大賞を受賞。 翻訳された作品も多く、海外での評…

  • 【感想】「コンビニ人間」はバッドエンドなのか?

    「コンビニ人間」文春文庫 村田沙耶香/著 第155回(2016年)芥川賞を受賞した「コンビニ人間」 この作品のラストはハッピーエンドなのか、それともバッドエンドなのかTwitterを見ていても意見が分かれているような印象を受けます。 筆者へのインタビュー記事を読んでみると、筆者のもとに届く感想も結末から受けた印象は二分されており、女性はハッピーエンド、男性はバッドエンドと感じた人が多いのではないかと発言しています。 もちろん、どちらかが正解というわけではないのですが、私自身もやもやしているところがあるので、「コンビニ人間」の結末について少し整理して考えてみたいと思います。 納得のいかない点であ…

  • 【書評・感想】「ラスト・イニング」――ねえ、兄ちゃん、マウンドで投げ続けることって、楽しい?

    「ラスト・イニング」角川文庫 あさのあつこ/著 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに 最&高。 本作は「バッテリー」の続編。番外編といった方が正しいかもしれません。 「バッテリー」本編では天才ピッチャー原田巧に焦点が当てられていましたが、本作ではもう一人の天才門脇秀吾にスポットが当てられています。 口達者な水垣の視点で語られるということもあって古語が結構出てきたりと、本編より数段語彙力のギアが上がっています。(私は数回辞書を引きました笑) 著者 あさのあつこ 小説家、児童文学作家。 代表作に「バッテリー」「THE MANZAI」など。 小説「バッテリー」はのべ100…

  • 【書評・感想】「バッテリー」――おれは、嘘じゃなく野球が好きだったんだ

    「バッテリー」角川文庫 あさのあつこ/著 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに 全6巻のシリーズものなのでとっつきづらさがあったのですが、KindleUnlimitedで全巻公開されていたので、この機会に一気読みしました。 筆者が「少年の成長物語などと言わせるものか。友情物語などに貶めたりしない。」と語っている通り、野球を通して人間模様やそれぞれの葛藤が描かれています。 バッテリーⅠ~Ⅲは天才ピッチャー原田巧の野球を妨害する外的要因(人間関係、規則)、Ⅳ~Ⅵでは巧みに狂わされた選手達の葛藤にスポットが当てられているように感じました。 著者 あさのあつこ 小説家、児童…

  • 【書評・感想】猫を抱いて象と泳ぐ――ただ駒がルール通りに動いていないだけ

    「猫を抱いて象と泳ぐ」文春文庫 小川洋子/著 【※この記事は、ネタバレを含みます】 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに 将棋が趣味の私にはドストライクな小説でした。 「勝って当たり前の局面を本当の勝ちに持ってゆくのは想像するより難しい」という言葉のわかり味が深すぎる。 対局相手の視点から盤を見る「ひふみんアイ」は将棋界では有名ですが、盤を下からのぞき込むという発想は新鮮でした。 ストーリー自体はシンプルですが、モノクロなチェスの世界観と筆者のみずみずしい文章の相性が抜群で独特な世界観に引き込まれました。 もちろん、チェスになじみのない方でも楽しめる作品だと思います…

  • 【書評・感想】「世界は贈与でできている」――ボランティアはどのような場合に偽善と見なされるのか

    『世界は贈与でできている 資本主義の「すきま」を埋める倫理学』ニューズピックス 近内悠太/著 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに 本書の特筆すべき点は贈与を受け取る側の視点で「無償の愛」「正義」などの本質を説明しているところでしょう。 本書では贈与を「僕らが必要としているにもかかわらずお金で買うことのできないものおよびその移動」と定義しています。 筆者はこのように自ら定義しながら、お金で買えないものとは何なのかを問う。 これは猫を犬ではない生き物と定義しているようなもので非常に曖昧です。 また、「鶴の恩返し」「サンタクロース」など誰もが知っている存在から考察を深め…

  • 【書評・感想】「子どもの脳を傷つける親たち」――夫婦げんかはLINEの中で

    「子どもの脳を傷つける親たち」NHK出版新書 友田明美/著 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに 普通に重めの内容でしたね。でも、ちゃんと向き合わないといけないお話。 「虐待」より広めの概念である「マルトリートメント」(不適切な教育)がテーマ。 ニュースで虐待と聞くと、憤りを覚えるものの虐待について詳しいことは何も知らなかったんだなということを思い知りました。 子どものために何をすべきかを説くとともに、親に対するケアの重要性も説いています。 著者 友田明美 1987年、熊本大学医学部医学研究科修了。医学博士。 2011年6月より福井大学子どものこころの発達研究センタ…

  • 【書評・感想】「コンビニ人間」――「店員」という架空の生き物を演じる。

    「コンビニ人間」文春文庫 村田沙耶香/著 【※この記事は、ネタバレを含みます。 】 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに 久しぶりに文学作品を読んだなという感じがします。 序盤と終盤で作品の印象ががらりと変わる。 序盤は猫の目を通して社会風刺をした「吾輩は猫である」のようなイメージで、社会になじめない冷淡で無機質な主人公恵子の視点から社会風刺をするお話かなと思いながら読み進めていました。 終盤では一転して、周囲の人間の仮面が剥がれて悪意が渦巻き、恵子の人間味が徐々に描写されていきます。 The性悪説な物語。正直、ページ数が少ないから舐めてました… 至る所に技が詰め込…

  • 【書評・感想】「政治的に無価値なキミたちへ」――古代から一貫して、労働の本質は苦痛だ。

    「政治的に無価値なキミたちへ――早稲田大学政治入門講義コンテンツ」大田比路/著 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに 筆者も最初に指摘していますが、本書は「政治学」の教科書ではありません。 あくまで「政治」の入門書です。 講義のスライドを使って、講義の内容を書き起こしたような口語体で書かれているのが特徴です。 ショッキングな日本の問題が次々にあぶりだされていきます。 避けては通れない話題だが、知人と議論するわけにはいかないようなデリケートな内容を多く含んでいます。 故に、当記事では極力私見を挟まずに本書の内容を書き綴っております。ご了承ください。 著者 大田比路 早…

  • 【書評・感想】「グラスホッパー」――人としじみのどちらが偉いか知っているか?

    「グラスホッパー」KADOKAWA 伊坂幸太郎/著 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに 伊坂幸太郎の殺し屋シリーズ一作目です。 最近KindleUnlimitedに追加されたので、 4度目か5度目の読み返し。 主人公の鈴木は伊坂作品の中で最も没個性的なキャラクターだと思っているのですが、 周りが殺し屋だらけのこの作品でも存在感を放っている不思議な人物。 何か決断をするわけでもなく、行動を起こすでもなく、ただ成り行きに任せて振り回されている一般人なのに、いつの間にか感情移入しちゃいます。 著者 伊坂幸太郎 小説家。宮城県仙台を舞台にした作品が多い。 ある作品の登場人…

  • 【伊坂幸太郎】「いい人の手に渡れ!」――5分で読めるメルカリのTwitter小説が神すぎる件

    「いい人の手に渡れ!」 伊坂幸太郎/著 Twitter眺めてたら、伊坂幸太郎のショートショートが 流れてきたんですけど! 株式会社メルカリが4月28日に「モノガタリ by mercari」という企画を始動させました。 10名の豪華な作家陣が「モノ×物語」をテーマにストーリーを執筆。 毎日の生活にちょっと楽しいを届けたい。 作家に依頼したストーリーの条件は「モノを捨てないこと」だけ。 参加者は伊坂幸太郎、又吉直樹、三浦しをん、朝井リョウ、藤崎彩織、吉田修一、絲山秋子、角田光代、吉本ばなな、筒井康隆。 豪華すぎるでしょ…。 企画の詳細は下記リンクから見ることできます。 magazine.merca…

  • 【書評・感想】「星の王子さま」――大切なことがわかっていない大人たちへ

    「星の王子さま」ゴマブックス株式会社 サン=テグジュペリ/著、浅岡夢二/訳 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに The素敵なお話。 名前を聞いたことがあっても読んだことはなかったので読んでみました。 人の数だけ解釈がある奥が深い小説だと思います。 ひたすら考えさせられるし、手元に置いて何度でも読み返したくなるような一冊です。 KindleUnlimitedでも読めますが、Kindle版は挿絵が小さいので、紙の書籍で読んだ方が楽しめるのではないかと思います。 著者 サン=テグジュペリ フランスの作家、パイロット。 「星の王子さま」は彼の代表作であり、1943年にアメ…

  • 【書評・感想】「大学で学ぶゾンビ学~人はなぜゾンビに惹かれるのか~」――人間社会を映すゾンビという鏡

    「大学で学ぶゾンビ学~人はなぜゾンビに惹かれるのか~」扶桑社 岡本健/著 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに これまたおもしろい本を見つけてしまいましたね~♪ ゾンビを通じてメディアがどのように進化してきたのか、その背景にある社会情勢はどうなのかといったことを学べます。 TwitterやAI、香川県のゲーム禁止条例、流行りの「鬼滅の刃」にまで言及してます。 ゾンビの本と侮るなかれ。 著者 岡本健 1983年奈良県生まれ。近畿大学総合社会学部総合社会学科准教授。 専門は観光学、観光社会学、コンテンツ―リズム学、ゾンビ学。 概要 映画、ゲーム、アニメ、漫画、小説、ドラ…

  • 【雑談】テクノロジーの進歩がフィクションを加速させる

    新聞を読んでいる時だか、動画を見ている時だかにふとこんなことを思った。 もしも自動運転が普及して交通事故が全く起こらない社会が実現したら、どのようにしてドラマチックな死を演出すればよいのだろうか。 ドラマチックに人が死ぬストーリーって売れるじゃないですか? 感動的な死を演出するために読み手に感情移入させる意地悪な作品は意外と多い。 徐々に感情移入させて、いきなり命を奪う。もはやヒット作の常套手段である。 最近話題になった「100日後に死ぬワニ」はワニ君がどのような死に方をするのかということが議論された稀有な作品だと言える。 その中で、もっとも多かった予想は病死か事故死であろう。 しかし、物語に…

  • 【書評・感想】「私、息してる?」――もっと自由に息させろ

    「私、息してる?」竹書房 てんちむ/著 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに てんちむって聞いたことあるなーくらいの感じで読み始めたのですが、かなり引き込まれてしまいました。 筆者自身の経験や思想に引き込まれる部分はもちろんあるのですが、人気ブロガーだっただけあって文才がすさまじい。 きれいな文章ではないのですが、心地よく読めるリズミカルさを感じます。 過激な発言や下品な内容も多く含んでいるので、人を選ぶ一冊だとは思います。 著者 てんちむ 子役、ギャル、ユーチューバーと多彩な経歴を持つ。本名は橋本甜歌。 2004年、「てんかりん」としてNHK教育「天才てれびくんM…

  • 【書評】「日本人の勝算」――今の日本に「勝算」はない。人口減少時代の生産性向上戦略

    「日本人の勝算」東洋経済新報社デービッド・アトキンソン/著 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに 日本好きなイギリス人の筆者が今後の日本経済の在り方を鋭く指摘する貴重な一冊だと思います。 本書の特徴は圧倒的な参考文献の量に裏付けされた愛のある指摘でしょう。 専門書にも負けない量の参考文献に基づいた筆者の見解が示されているため、読み応えがあります。 人口減少+高齢化が進む日本経済がどのようにして生産性を高めていけばよいのか、これから目指すべき姿が詳細に示されています。 著者 デービッド・アトキンソン 小西芸術工藝社社長。1965年イギリス生まれ。日本在住30年。 19…

  • 【書評】「いまこそ知りたいシェアリングエコノミー」――相互シェアで余剰が働く「経年優化」の考え方

    「いまこそ知りたいシェアリングエコノミー」ディスカバー・トゥエンティワン 長田英知/著 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに これ1冊でシェアリングエコノミーに対する疑問があらかた解消しました。 本書の特徴は曖昧なまま議論されることの多いシェアを明快に定義してから話を進める点にあります。 既存のシェアを 「扶け合い(たすけあい)としてのシェア」 「公共としてのシェア」 「営利としてのシェア」 の三つに明確に分け、近年新たに登場したAirbnbやUberなどのシェアを「社会的共用」と名付けて議論をしているため非常にわかりやすくまとまっている印象を受けました。 著者 長…

  • 【レビュー】「シェアライフ 新しい社会の生き方」――結局、シェアリングエコノミーって何?

    「シェアライフ 新しい社会の生き方」クロスメディア・パブリッシング 石山アンジュ/著 目次 はじめに 良かった点 個人社会の到来 シェアするゆとりが心を豊かにする 残念な点 シェアリングエコノミーを説明する本ではない 過去の失敗を繰り返すのでは? おわりに はじめに 本書は「シェアリングエコノミー」についての書籍というよりは「シェア」という筆者が提唱する概念 について説明する自己啓発本として捉えた方が良いでしょう。 如何せん、「シェアリングエコノミー」の本だと思って読み進めてしまったので、書評ではなく、今回はレビューという形で紹介させていただきたいと思います。 (書籍の説明に「シェアリングエコ…

  • 【書評】あなたは「窓」を見ていない――「アート思考」が固定観念をたたき割る

    『「自分だけの答え」が見つかる13歳からのアート思考』ダイヤモンド社末永幸歩/著 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに めちゃくちゃ美術館に行きたくなった。 芸術に明るい人間ではないんですが、最高に楽しく読ませていただきました。 やはり一つの道を究めている芸術家の方々の発想はずば抜けていると感じました。 「13歳からのアート思考」というタイトルですが、美術が苦手な大人にこそ読んでほしい一冊です。 著者 末永幸歩 (以下、Schoo プロフィールから抜粋) 東京学芸大学個人研究員として研究に励む傍ら、中学・高校の美術教師としても活躍している。 自らもアーティスト活動を…

  • 【書評】耳鳴りすら存在しない絶対の静寂――暗闇で鳴り響く無音のピアノ

    「失はれる物語」KADAKAWA 乙一/著 【※人によって、ネタバレと感じる内容を含みます】 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに 乙一がKindleUnlimitedに追加されてる! 最近はKindleUnlimitedの小説も充実してきましたね。 私は伊坂幸太郎で小説の楽しさを知り、乙一で小説の世界にのめり込んだ人間なので、速攻読みなおしました。 本書は切ない話が目白押しで、読後に言い知れぬもの悲しさと温かみが感じられる一冊です。 著者 乙一 1978年福岡県生まれ。小説家、映画監督。 乙一とは別名義でいくつか作品を出版している。 2012年に小学館児童出版文学…

  • 【書評】他人のためにお金を使うな――現代を生きるお金の取説

    「お金の減らし方」SBクリエイティブ森博嗣/著 目次 「お金の減らし方」SBクリエイティブ森博嗣/著 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに お金の「減らし方」とは非常に目を引くタイトルです。 筆者が「お金の増やし方」についての本を書いてほしいと依頼されたことがきっかけで出来上がった一冊なのだそうです。 本書を読む限りでは、筆者はかなりのリアリストで偏った思想に感じる部分もなくはないのですが、的を射た指摘が多く非常に勉強になりました。 著者 森博嗣 1957年愛知県生まれ。小説家。工学博士。 某国立大学の工学部助教授の傍ら1996年、『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞…

  • 【書評】”気づきが築く”開運のメカニズム—―「見方」を変えれば「味方」が増える

    「運の技術 AI時代を生きる僕たちに必要なたった1つの武器」あさ出版 角田陽一郎/著 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに 自他ともに認める運の悪さを持つ私にうってつけの一冊です。 筆者がテレビ業界の方ということもあって、有名な芸能人の方とのエピソードが収録されています。 他のビジネス書とは一風変わった視点で運を引き寄せる方法が語られていているので、最後まで楽しめました。 KindleUnlimitedで無料で読めます! 著者 1970年、千葉県生まれ。1994年、TBS入社。『さんまのスーパーからくりTV』など人気番組を担当したプロデューサーとして高い評価を受ける…

  • 【感想】降りかかる「悪意」は振り払わなければならないのか――『逆ソクラテス』伊坂幸太郎

    「逆ソクラテス」集英社 伊坂幸太郎/著 【※この記事は、ネタバレを含みます。】 目次 「逆ソクラテス」から得た教訓 はじめに 久保先生の反撃/要約 久保先生の反撃/感想 おわりに 「逆ソクラテス」から得た教訓 体罰は弱いものいじめにしかならない 「可哀想に」と思っておけばいい 「子ども」ではなく一人の「人間」として扱う はじめに 以前、同書の書評を書いたのですが、ネタバレしないようにしなきゃとか個人的な感想は書き過ぎないようにしなきゃという制約があって消化不良なので、心に浮かびゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつくりたいと思います。今回はあくまで感想。 久保先生の反撃/要約 私が最も印象的だ…

  • 【書評】握った斧を手放すな――「固定観念」を切り倒す痛快ストーリー!

    「逆ソクラテス」集英社 伊坂幸太郎/著 【※この記事は、人によってネタバレと感じる内容を含みます。】 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに 伊坂幸太郎待望の新作です! 他作品を知っていると楽しめる要素が散りばめられていて、一気に読み進めてしまいました♪ 本書は「固定観念」を一つのテーマに据えていますが、同時に我々が「悪意」にどのように立ち向かえばよいかということを提示してくれているようにも感じます。 著者 伊坂幸太郎 紹介するまでもないので簡単に。 小説家。宮城県仙台を舞台にした作品が多い。 ある作品の登場人物が他作品にも登場する通称「伊坂ワールド」を展開することで…

  • 【書評】テレビの人にはならない。――誰も真似できないGACKTのヤベェ美学

    「GACKTの勝ち方」サンクチュアリ出版 GACKT/著 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに The GACKT!といった感じの一冊でした。 「こうあるべき」と指南されるというよりは、「こうするのが自然だよね?」、「こうでないとおかしいよね?」くらいのノリで卓越した価値観が押し寄せてくるような感覚でした。 熱意というかオーラみたいなものは伝わるんだけど、常人の私には理解が追い付かず( ゚д゚)ポカーンとしてしまう箇所もいくつかありましたw 余談ですが、ローランドってかなりGACKTに影響されてるんだなと感じました。 著者 GACKT アーティストで、30歳には世…

  • 【書評】イノベーションに必要なのは文化だ――トイ・ストーリーの舞台裏

    『PIXER<ピクサー> 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話』ローレンス・レビー/著、井口耕二/訳 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに ピクサーもお金も大好きな私にぴったりな本です。 本書の原題は"To Pixar and Beyond" トイ・ストーリーのバズの”To infinity and beyond”をもじったんだそうです。 著者 ローレンス・レビー(Lawrence Levy) ロンドン生まれ。弁護士から会社経営に転じた後、スティーブ・ジョブスに声を掛けられピクサーの最高財務責任者に転身。後に、ピクサーの取締役にも就任。 ピクサー…

  • 【書評】たった39ページに登場人物が10人!――一風変わった伊坂ワールド

    「無事これ貴人」新潮社 伊坂幸太郎/著 【※人によっては、ネタバレと感じる内容を含んでいます。】 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ 感想 おわりに はじめに 前から気になっていたけど、Kindleでしか読めないし、なんとなく縁遠かった作品。 最近Kindleデビューしたし、200円くらいなので、買っちゃいました♪ 著者 伊坂幸太郎 紹介するまでもないので簡単に。 小説家。宮城県仙台を舞台にした作品が多い。 ある作品の登場人物が他作品にも登場する通称「伊坂ワールド」を展開することで有名です。 概要 遺産目当ての甥、父に護られた看護師、組織に潜入する男……。一見、何の接点もない登場人物…

  • 【書評】花は誰のために咲くものなのか――執着を捨て、豊かさの種をまこう

    「人生は引き算で豊かになる」文響社 有馬頼底/著 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに 読み始める前は、禅の思想とか絶対おもしろいやつやん!でも、難しいのかな…なんて思っていましたが、めちゃめちゃわかりやすくて一気読みしちゃいました♪ 執着を捨てることで、自然と大切なものを選び取れるようになるのだと感じました。最近、流行りのミニマリストにも通じるところがあるのかも? 著者 有馬頼底 日本の禅僧で、表紙にもあるように金閣寺、銀閣寺の住職でもあります。 概要 執着を離れた生き方を禅語で「放下着(ほうげじゃく)」と言うそうですが、本書のテーマはズバリこれ! 足るを知り、あ…

  • 【書評】超買い物時代の到来!――ほんの少し先の未来の話

    「2025年、人は「買い物」をしなくなる」クロスメディアパブリッシング 望月智之/著 目次 はじめに 著者 概要 書籍について 衝撃的だったフレーズ おわりに はじめに kindleを漁っていたらおもしろそうなタイトルの本を見つけました。 「人は買い物をしなくなる」という衝撃的なタイトルですが、事実に基づいた非常に興味深い予測が目白押しでした! そう遠くない未来を想起させる内容で夢が膨らみます♪ 著者 望月智之 株式会社いつも.取締役副社長。 株式会社いつも.はブランド・メーカー、小売企業に対して、Eコマースやネット通販のサポートを行っている企業。 (いつも.のサイトがかっこよすぎてビビった……

  • 【書評】他人の靴を履いてみる――多様性社会の歩き方

    『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』新潮社 ブレイディみかこ/著 目次 はじめに 著者 概要 作品について 印象的だった言葉 おわりに はじめに 言わずと知れた大ヒット作品ですが、 最近テレビの再放送で見て即購入しました。 タイトルの響きもいいし、黄色い表紙が目を引きますね! 著者 ブレイディみかこ 1965年福岡市生まれ。1966年に渡英。 現在はライター・コラムニストをされている方です。 ご自身のブログで書評も書かれているようなので、そちらも要チェック! 概要 元底辺中学に通う「ぼく」が、人種差別や貧富の問題に振り回されながらも、自分なりの答えを導きだそうとする過程が描かれていま…

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