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2020/05/01

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  • サイト引っ越し

    サイトを引っ越ししましたので、こちらをよろしくお願い申し上げます。 tendaitaishi.comhttps://tendaitaishi.com/

  • ブッダ物語37 侍者アーナンダ

    僧団に加わった親族の中に、いとこのアーナンダがいる。 アーナンダは、後にブッダに、常に付き添った者であり、おそらく仏教史上もっともよく知られた弟子のひとりである。 出家後最初の二十年間、ブッダは特定の侍者をもたず、いろいろな者がブッダに仕えて、鉢や着替えの衣を持ち運んだ。 しかし、二つの事件がブッダに専属の侍者を持つことを決意させた。 その一つは、 ある日、ブッダは、ナーガサマーラという僧を伴って旅をしていた。 分かれ道にさしかかったとき、どちらの道を行くかで二人の意見が分かれた。 ナーガサマーラは、持っていたブッダの鉢と衣を地面に置くと、自分の選んだ道を進んで行った。 取り残されたブッダは、…

  • ブッダ物語36 息子ラーフラ

    ブッダのカピラヴァストゥ訪問中に家族の中から出たもう一人の有名な帰依者に息子のラーフラがいた。 彼は、ブッダが家を出たちょうどその時生まれた子である。 今や、七歳になるラーフラは、母ヤソーダラに、父ブッダが放棄した遺産を確保するために、近づこうと考えた。 ブッダが到着して、七日目に、ヤソーダラは、ラーフラをブッダが食事をしているところに連れて行った。 彼女はラーフラに、「父上、私が王子です。即位する時、私は王中の王になりたく思います。私に財産を譲って下さい。父親のものは当然息子のものです」と言いなさいと教えた。 ラーフラは、言われた通り、ブッダに伝えた。 ブッダはそれに答えなかったが、歩きなが…

  • ブッダ物語35 カーストの問題2 義弟ナンダ王子

    もう一つの話は、スニータという不可触民にまつわるものである。 彼の仕事は道路の清掃であり、これによって辛うじて生計を立てていた。 適当なねぐらもなく、スニータは自分が働く道ばたで寝泊まりしていた。 また、たまたま通りがかる身分の高いカーストの人たちを汚さないように、常に注意しなければならなかった。 そうしないと、厳しいむち打ちの刑が待っているからである。 ある日、忙しく道路を掃いていると、ブッダが大勢のお供をつれてやって来た。 スニータはすぐに隠れようとしたが、間に合わず次の策をこうじた。 つまり、壁にピタリと体をつけ合掌したのである。 どころが、ブッダは彼の元へ真っ直ぐ向かってきた。 そして…

  • ブッダ物語34 カーストの問題

    ウパーリやプンナと違って、僧団に加わった多くの者は貧しい下層階級の出身であった。 なかでもアウトカーストは、もっともの貧しく、下級であった。 彼らは、最上層階級のバラモンに近寄ることは固く禁じられていた。 今日でも、アウトカーストである不可触民(ふかしょくみん)の影が指すだけで汚れたと考える因襲的なバラモンもいる。 そのようなことをよく示している次の様な逸話がある。 ブッダがサーヴァッティに滞在する間、従者のひとりアーナンダは、毎日町に乞食に出かけていった。 ある日、彼が僧団に戻る途中、井戸から水を汲んでいる少女を見かけて、水を飲ませてくれるように頼んだ。 少女は、不可触民の中でも最下層に属し…

  • ブッダ物語33 ウパーリとプンナ

    ブッダの教えに帰依する者には、いろいろな経歴を持ち、あらゆる環境からやって来た。 当時の人びとの目に映ったもっとも著名な帰依者のひとりは、ウパーリ(優波離)であった。 ブッダの時代と同じころ、ジャイナ教の教祖マハーヴィーラがいた。 ジャイナ教は、どんな生きものも傷つけない不殺生(アヒンサー)主義を厳格に守ることであった。 ウパーリはそのマハーヴィーラの高弟であった。 ブッダがナーランダーの近くに滞在していたとき、ウパーリはブッダの説法を聞く聴衆の中にいた。 彼は、とても感銘を受け、ただちに弟子になりたいと申し出た。 彼のような人物を信者として迎えることは、まるで、政治の大臣が野党に加わるような…

  • ブッダ物語32 祇園精舎

    竹林精舎に六十戸の家を建てた商人の妹は、アナータピンディカという男に嫁いでいた。 アナータピンディカが、たまたま仕事でラージャガハにやって来た時、たいへんな騒ぎの最中であった。 料理人や召使いは、見るからに重要そうな行動をしており、準備に夢中で誰も彼の相手をしなかった。 彼は、この扱いに少し腹を立てた。 「私が来ると、いつも義兄さんは何もかもやめて歓迎してくれるのに。今日は、何か重要な宴会でもあるのだろうか。」 やがて、準備の指示を終えた商人は、やっとアナータピンディカに挨拶をしにやってきた。 そしてこの大騒ぎの理由を彼に話した。 この騒ぎは、ブッダ僧団を食事に招く準備だったのである。 それを…

  • ブッダ物語31 舎利弗、目連の入団

    二人はまず、ラージャガハの近くに住む有名な師、サンジャヤの門をたたいた。 しかし、サンジャヤは二人が求める解答を与えることが出来なかった。 そこで、二人は、自ら瞑想し、どちらか最初にそれを見出した者が、もうひとりに教えようと誓い合った。 ある朝、ウパティッサ(シャーリプトラ)は、ラージャガハの大通りで、苦行者らしき人が鉢を持って家から家へ物を乞いながら回っているのを見かけた。 その人の表情は、あたかも澄み渡った空の下のなめらかな湖水のように穏やかに見えた。 そして、苦行者が托鉢を終えるのを見て、市の城門を出て行こうとした時、ウパティッサは近づいてたずねた。 「どうか、あなたの師を教えて下さい」…

  • ブッダ物語30 ビンビサーラ王、舎利弗と目連1

    ブッダ教団が広がるもう一つの要因は、ある王の帰依である。 マガダ国のビンビサーラ王は、以前、ゴウタマに宗教生活をあきらめるよう説得した人物である。 旅の途中ブッダは、マガダ国の首都ラージャガハに到着した。 ブッダが都に来たことを聞いたビンビサーラ王は、多くのお供えを持って彼を訪ねた。 王は、ウルヴェーラのカッサパが、今やブッダの弟子になっていることに驚いた。 これらのことから、当時のバラモン達がブッダ教団に脅威を抱き、敵対したことが予想される。 王はブッダに帰依し、後に、竹林の園(竹林精舎)を寄進している。 ブッダは、雨季の間、どこか気に入った場所を探し、瞑想にふけるのが常であった。 これを安…

  • ブッダ物語29 遊女とカッサパ三兄弟

    ブッダは、まず鹿園からウルヴェーラまで、ゆっくりと旅をした。 その途中、とある森で休もうとすると、たまたま一団の人々がそこで遊山を楽しんでいた。 三十人の男はそれぞれに妻を伴っていたが、その中に一人だけ、遊女を連れた者がいた。 この遊女は誰にも気づかれずに連れの男の荷物を盗むと、逃げてしまった。 やがて、盗みが発覚し、皆は遊女を探しに出かけた。 あわただしく探し回っているうちに、木の下に座っているブッダに出会った。 これまでの出来事を説明し、遊女を見かけなかったかたとたずねると、ブッダは答えた。 「女性を探し求めるのと、自己を発見するのとではどちらが大事だと思いますか」 おそらく、この答えは意…

  • ブッダ物語28 戒、ヤサの出家、僧団の拡大

    五人の苦行者がブッダに帰依した後、僧団は急速に拡大した。 以前ブッダと共に修行した彼らが僧団生活に入ることに不思議はないが、その後は、そのような経験がない者達が、僧団に入ったことは注目される。 僧団では共通したルール(戒)が定められていた。 それは、具足戒(ぐそくかい)と言われ、男性修行者(比丘・びく)は二百五十戒、女性修行者(比丘尼・びくに)は、三百四十八戒が科せられた。 ちなみに、僧団に加わったばかりの見習い僧(沙弥・しゃみ)は、在家仏教徒が守るべき五戒に加えて、(1)装飾品や香で身を飾らないこと、(2)歌や舞踊を楽しまないこと、(3)広くて高い寝台で休まないこと、(4)正午以後に食事をと…

  • ブッダ物語27 八正道

    出家者が避けなければいけない両極端がある。 一つの極端は感情、愛欲のおもむくままに生活すること。 もう一つは、自分自身を痛めつける苦行である。 これらの二つはブッダが実際に経験したことであり、これらに変わる悟りへの実践が、八つの正しい道(八正道)である。 それは、正しい理解(正見)、正しい思考(正思)、正しい言葉(正語)、正しい行為(正業)、正しい生活(正命)、正しい努力(正精進)、正しい注意(正念)、正しい精神集中(正定)の八である。 正しい理解(正見):人生をあるがままに見ること。生存の本質を悟ること。 正しい思考(正思):清らかな心。 正しい言葉(正語):うそ、陰口、噂話などをしない。 …

  • ブッダ物語26 初転法輪、四聖諦

    ブッダは布教活動をはじめた。 まず初めに、かつて師であるアーラーラ・カーラーマの元に向かった。 しかし、アーラーラ・カーラーマはすでにこの世にいなかった。 また、ラーマの弟子のウッダカも亡くなっていた。 ついに、ブッダは五人の友に会いに鹿野園(ろくやおん)に向かった。 彼らは、禁欲生活に我慢出来ず、安楽な生活の誘惑に負けたブッダを無視しようとした。 しかし、ブッダが彼らに近づくにつれ、彼らはブッダの変化に気づき始めた。 これまで見たことの無い彼の姿に彼らの敵意は知らず知らずのうちに消えていた。 そして、彼らは、ただちにブッダに挨拶に行き、一人が恭しくブッダの鉢と衣を取り、もうひとりは座席を整え…

  • ブッダ物語25 四禅定、三明、最初の弟子

    ブッダが悟りを得たときの瞑想の過程には四つの段階(四禅定)があったとされている。 第一は、欲望と不善を離れることにより、探求し、思惟しつつ、心を一点に集中する初善という段階である。 第二は、探求と、思惟という雑念を離れて、第二禅に入る。そこには、喜と楽とがあり、心の静けさと集中がある。 第三は、喜を捨てて、心が平等で集中された第三禅に入る。そこには、正しい注意と知識とがあり、身体に楽を感じる。 第四は、楽も苦も離れて、平等で、浄らか心の集中だけが残る。 その四つの瞑想の次には、三つの能力が得られた。 まず、過去を見通した。(宿命通) 次に、未来を見通した。(天眼通) そして、最後に、すべての煩…

  • ブッダ物語24 最後の食事、そして悟り

    ブッダが長年求めてきた目的に達する時がきました。 ブッダは、スジャータから供物を受け取ると、ネーランジャラー川へ行き、岸辺にその器を置いて、沐浴のために川に入りました。 それから、岸辺にもどって座り、膝の上に器を置くと、菩薩(ぼさつ・悟りを開く前の姿)として最後の食事を取り始めました。 最後の食事を終えると、手を洗い、器を水に浮かべて言いました。 「もし、今日、私が悟りをひらくなら、この金の器が川上に向かって流れますように」 すると、器は川上へと流れて行きました。 それから、一日ブッダは岸辺の森でくつろぎました。 夕方になると、ブッダは立ち上がり、菩提樹(ぼだじゅ)に向かって歩き始めました。 …

  • ブッダ物語23 スジャータの粥

    ひとり残されたブッダですが、その肉体は再び本来の黄金色をとりもどし、ブッダになるべき運命を示す三十二の特徴(三十二相)がはっきり現れるまで、体力が戻りました。 そのころ、そのあたりにスジャータという金持ちの娘が住んでいました。 彼女は、たまたま身ごもっており、もし男の子が生まれたら、近くのバンヤンの木の神に特別なご馳走をお供えしますと誓いを立てていました。 バンヤンの木は、太古からインドでは神聖な木とされていたのでしょう。 やがて、スジャータは男の子を出産しました。 そして、そのお礼として、神に捧げる特別な食物の儀式が始まりました。 まず、百頭の牛の乳を搾り、これを五十頭の牛に飲ませます。 そ…

  • ブッダ物語22 苦行

    十分な師を得られなかった一行は、ウルヴェーラーという所にいたり、そこで、師の力を借りず、自力で悟りを開こうと決心しました。 肉体を痛めつける修行法は、これまで、多くの人々によって、各地で実践されているものでした。 彼は、まず節食(せっしょく)から始めました。 最初は一日一食にし、それから徐々に二日に一食、三日に一食と減らしていきました。 やがて、食物を乞うのはやめて木の実、草の根、植物の葉など粗末な食事をとりました。 その結果、かつて健康だったブッダのたくましい体は痩せ衰え、皮フはしわだらけになり、目は落ちくぼみ、ひどい苦痛と飢えに苦しみ始めました。 それでも、彼は、息を長い間止める修行をし、…

  • ブッダ物語21

    ブッダと五人の仲間は、師を探しました。 まず、有名な師の一人、アーラーラ・カーラーマと呼ばれる者がいました。かれの目指す究極の目標は、ある段階の瞑想に達することです。それは、何も存在しないとする無の境地です。漢訳では、無所有処定(むしょ・うしょじょう)と言われます。あらゆるものが無いという意味です。 ブッダたちは、まず彼の元に入門しました。ブッダは修行に明け暮れたすえ、アーラーラはもうブッダに教えることはないと彼に告げました。 「おまえは、もう私と同様の境地に達している。ここに留まり、弟子たちの育成を手伝ってくれないか」と申し出ました。 ブッダは言いました。「老いや、病気、死から逃れる方法はな…

  • ブッダ物語20 六師外道

    ブッダは、師を求めました。これは、苦からの解放を求める修行者の通例の行動です。 当時のインドは、多くの弟子を持つ教団がすでにありました。 有名な指導者として、六師外道(ろくし・げどう)がいます。 外道(げどう)という呼び名は、現在では良い響ではないですが、本来はただ仏教徒以外の人を表す言葉であり、蔑称ではありません。 つまり、ブッダとは異なった考えをもつ六人の指導者の意味です。 教団としては、アージーヴァカ派(3人)、ローカーヤタ派、ジャイナ教、不可知論者の四派に分けることが出来きます。 アージーヴァカ派の「アージーヴァ」とは、「生活の仕方」を意味します。この派の代表は、ゴーシャーラーで、宿命…

  • 漢文物語2

    漢文は、原漢文(げんかんぶん)といって、本来、点も、丸も、送り仮名も何も付いていません。 ですから、どのように読むかは、自身でマークを付けます。 たとえば、三番目にある漢字の次に、二番目にある漢字を読む場合は、 レ点というものを付けます。 これは、「返り点」といって、前の漢字に戻るという記号です。 これは「れてん」とは読みません。「かりがね点」と読みます。 「レ」が、鳥の雁(がん、かりがね)の飛ぶかっこうに似ているからです。この他にも、遠く離れた漢字に返る時に、「一二点」(いちにてん)、 「上・中・下」「甲・乙・丙・丁…」「天・地・人」などありますが、これらはほとんど使いません。 というか、「…

  • 漢文物語1

    漢文は、主語がなくても成立します。 例えば、 千慮一失(どんな立派な賢者でも、一度ぐらい間違いがある) とありますが、これは、「千慮に一失あり」と読んで、「千慮に」は主語ではなく、副詞です。ですから、この文に主語はありません。 私たちは英語の勉強をした癖で、つい、主語を探してしまいます。(そんなにしてませんが笑) 日本語の「てにをは」はよく出来た助字で、 「むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住んでいました」 の「が」によって、おじいさんとおばあさんが主語であることが分かります。 次に、 おじいさんは山へ、おばあさんは川へ と、この「は」おじいさんとおばあさんを区別する「は」…

  • 音博士(おんはかせ)

    どうも、『日本書紀』の謎を解くには、音博士という当時の言語学の先生がキーワードのようです。 私たちが、外国語を学ぶとき、読む、聞く、話すが修得できることを目的とします。 英検などもそうですね。 この中の、「読む」ときには、訓点というものがあって、漢文に「てにをは」を補って読みます。 「聞く」ときには、ネイティブスピーカー、つまり、現地の言葉をそのまま、インターネットなどで聞いて耳にならします。英語の映画を吹き替え無しで聞くのも訓練になりますね。 次に「話す」ですが、話すには、発音とアクセントが大事です。 つまり、音博士はこれらすべてのことを指導する先生です。 それで、昨日の「声点」ですが、教科…

  • 日本書紀の謎を解く2

    一番、大事なことを書くのを忘れていました。 この本は、『日本書紀』の内容を三つに分類出来ることが書かれています。 つまり、別々の作者がいて、一人で書かれたものではないということを書いています。 著者は、『日本書紀』全三十巻を、β郡、α郡、巻三十の三つに分けています。 なんで、こんなややこしい表記の仕方をするのかは分かりません。A、Bでええやん。 で、β郡は、 和化漢文といって、日本人が書いた漢文で書かれています。 α郡は、中国原音で書かれています。つまり、中国人が書いたものです。 それで、巻三十はどちらか区別できないとのことです。 これを論証するのに、文法とか、語順とか、アクセントとか、いろい…

  • 日本書紀の謎を解く1

    『日本書紀の謎を解く』を読み終えました。 いや〜最高でした。めちゃめちゃ勉強になりました。 聖徳太子の勉強で、『日本書紀』を読むのですが、「何でこんな読み方するの?」とずっと疑問に思っていました。 厩戸豐聰耳皇子(うまやどの・とよとみみの・みこ)って、、、 こんなん普通読めんやろ! この読み方や語句の意味についての講義は、すでに平安時代に行われていたそうです。 つまり、当時から、限られた人しか読めなかったのですね。 それらは、「書記の古訓」といわれ、鎌倉時代に『釈日本紀』(しゃくにほんぎ)として集大成されたそうです。 そして、『日本書紀』の現存最古の写本として岩崎本というのがあり、なんと、それ…

  • ブッダ物語19 コンダンニャとの再会と苦行の始まり

    王子は、さすらいの旅を始めました。 このような人は、当時のインドでは珍しくないそうです。 王子は、食べ物を乞い、どこにでも寝泊まりするごく当たり前の修行生活に入りました。 人々は、王子を、聖者、苦行者、また、王子をよく知る人は、ガウタマと姓で呼びました。しかし、本当の素性(すじょう)を気づく人はいませんでした。 王子の正体が知られるようになったのは、彼がマガダ国の首都、ラージャガハ(現在のビハール州のラージギル)へ行った時でした。 王子の品に溢れた身のこなしは、きっと目立ったに違いありません。 ある人は、ビンビサーラ王に彼のことを告げました。 「王さま、ガウタマという苦行者は、大変魅力的で、礼…

  • ブッダ物語18 旅立ちとカンタカ

    王子が侍者チャンナと共に、カピラ城を静かに抜け出したのは、真夜中のことでした。 王子は、はじめて、立ち止まり宮殿を振り返りました。彼が生まれ育った地のすべての知人や肉親が住む宮殿は、月明かりの中に寝静まっていました。 夜通し馬を走らせ、ふたりは、シャカの国と、マガダの国の国境を流れるアノーマー川(Anomā)にたどり着きました。川を越えると王子は馬を降りました。 それから、上等な絹の服を脱ぎ、チャンナに手渡し、馬のカンタカとともにカピラ城に持ち帰るように命じました。 そのような、衣服は苦行者にはふさわしくないからである。 そして、王子は、長い髪をみずから剣で切り落としました。 最後にオレンジ色…

  • ブッダ物語17 決意

    シュッドーダナ王は、ブッダを引き留める最後の手段として、孫ラーフラの誕生を祝う華やかな祝宴を用意しました。 国中から、歌手や踊り子が招待され、この上ない豪華な食事が用意されました。 夜がふけるにつれて、王子はうたた寝を始めました。 やがて踊り子もそれに気づき、休むことにしました。そして、彼らもぐっすりと眠りについたのです。 目を覚ました王子は、先ほど自分を楽しませていた人たちが、全員まわりでぐっすり寝ているのを見て驚きました。 なんとその姿の違っていたことか。 しとやかで美しい踊り子や歌手は、今は椅子や長椅子の上でだらしなく、大の字になって寝そべり、大きなイビキをかくものもいれば、獣のように歯…

  • ブッダ物語16 息子ラーフラ

    沙門を見て感動した王子は、今度は、宮殿に戻らず、物思いにふけりながら馬車を走らせ、旅の目的地にしていた遊園にたどり着きました。 そして、考えました。 「私は、あの苦行者のようにならなければならない。今日、この日、私も出家しよう。 そして、うわべだけの快楽では気づかなかった苦からの解放を探し求めよう。」 やがて、王子は散歩に飽きて、木陰に腰をおろしました。 そこへ、使者が吉報をたずさえ、馬を走らせ、やって来ました。 ヤショーダラ王妃がたった今、男の子を出産したのです。 しかし、ブッダはその知らせを喜ばす、がっかりして聞きました。 そして、 「また、一つ、私を縛り付けるものがふえた!」 王子は息子…

  • ブッダ物語15 沙門

    第四のサインで出会った苦行者、つまり、沙門(しゃもん、シュラマナ、śramaṇa)は、前にお話ししたカースト制であるバラモン、クシャトリヤ、ヴァイシュヤ、シュードラの四つに含まれません。 沙門(しゃもん)は、当時の新しい形の宗教家・自由思想家たちをそう呼びます。 この沙門は、「努力する」という語根(ごこん)から派生した名詞です。 シャーマニズムの「シャーマン」と語源的に関係があるとも言われています。 そういえば、孔子のお母さんは巫女(みこ)さん(シャーマン)であったと伝えられますね。 この沙門は、バラモン階級に対する反発や批判のあらわれだとされています。 つまり、階級社会への反発です。 最上階…

  • ブッダ物語14 第四のしるし

    ブッダはついに最後のサインに出会います。 四度目の旅は、絶望的ではありませんでした。 剃髪(ていはつ)した男が、柔らかい朝日に輝くオレンジ色の衣をまとい、鉢を手にして素足で立っていました。 その表情は、今まで見た人達と違い、穏やかで、物思いに耽っているようであり、まなざしはうつむきかげんでした。 王子は、馬を止め、チャンナにたずねました。 「あれは誰だ。人間なのか、それとも神なのか。まるで、この世の悲しみや喜びと関係ないかのように、落ち着き、悠々(ゆうゆう)としているではないか。」 「王子さま、あれは苦行者です。老い、病気、死が人間を苦しめるありさまを見て、人生のなぞを解明しようと、俗世間を捨…

  • ブッダ物語13 第三のしるし

    王子とチャンナは、三度目の旅に出かけました。 二人は葬儀の行列に出会います。 葬儀に参列した人々は、胸をたたき、声を張り上げて泣いていましたが、運ばれてゆく遺体はそれと対照的に、まるで彫刻のように、じっと横たわっていました。 ついに、第三のサイン「死」に出会いました。 「王子さま。死は生命の終わりです。 生命が終わるとき、それが死なのです。 もはや、活動を続けられないとき、肉体は死にます。 さもなければ、病気になって死ぬのです。 呼吸が止まり、心臓が鼓動(こどう)しなくなります。 しかし、これは不思議なことではありません。 誕生と同様に、ごく当たり前のことなのです。 すべての生命あるものは、遅…

  • ブッダ物語12 第二のしるし

    王子の「老」の気づきから、王は、警備を強化し、王子がそのようなものを見ないように国中の人々に命じました。 しかし、王子は第二のサインを見てしまいます。 そのような王の心配をよそに、王子は再びチャンナと旅に出ます。 今度は、病人に出会いました。 第二のサイン「病」です。 その男は、弱々しく、立ち上がることも出来ず、地面をころがり、目は血走り、口から泡をふき、胸をたたいて、のたうち回っていました。 「チャンナ、これは珍しいことなのか」 「病気にならない人はいません。王子さま」 といい。安心させるつもりで付け加えました。 「しかし、食事に注意し、からだを清潔にし、良く運動すれば、健康でいられるでしょ…

  • ブッダ物語11 妻と第一のしるし

    ブッダも妻をもらう歳になりました。 父シュッドーダナ王は、適齢期の娘を王宮にあつめ、ブッダに選ばせました。 王子は、いとこのヤショーダラー(Yaśodharā)を選びます。 王は望んでいた彼女を王子が選んだことを非常に喜びました。 王子が29歳の誕生日を迎えるころ、妻ヤショーダラーは出産をひかえていました。 王は内心ほっとしていました。 「王子が王の座を捨て、出家するという」予言者の言葉がずっと心から離れなかったからです。 しかし、ブッダはやはり、そのような生活に満足せず、世話役のチャンナ(Channa)を呼んで、旅に出かけます。 王子は、立派な馬を四頭つないだ馬車に乗って、外の世界に出かけま…

  • ブッダ物語10 シッダールタの慈しみ

    ブッダの幼少期は、王子として学問や武芸を磨きました。 机に座って先生の授業を受ける姿のレリーフも残っています。 レリーフとは、壁などにほどこされた彫刻です。 七歳になったブッダは、しばしば、木の下で瞑想にふける時がありました。 ブッダの影は長い間全く動いていなかったというほど、集中していたそうです。 すでに、ブッダとなる片鱗(へんりん)が見えています。 ブッダが幼い頃、生きものを哀れんだという逸話はたくさん残っています。 ある日、いとこのデーヴァダッタ(Devadatta)と一緒に森を歩いていました。 このデーヴァダッタは、後程、ブッダの教団で問題を起こす人物です。 デーヴァダッタは空中に白い…

  • 『論語』を読んで思うこと

    ようやく、『論語』を読み終えました。 いや〜いろいろ考えさせられましたね〜。良い本でした。 非常に勉強になりました。特に、中年の私にとっては。 著者が言うように、この改訂版には、「手がかり索引」「孔子略年譜」が付け加えられていて、とても便利です。 孔子の生涯とブッダの生涯がある重なっている時期があり、それについて最後に二人を比較した年表も付いています。 今日は、私が、一番印象に残った詩をご紹介します。 子曰、吾十有五而志乎学、三十而立、四十而不惑、五十而知天命、六十而耳順、七十而従心所欲不踰矩。 「先生が言いました。 私は十五歳のとき、学問に志(こころざし)を向けました。 三十歳のとき、独り立…

  • 道心の中に衣食あり

    最澄(さいちょう)の言葉に、 被弘二師。道弘人。人弘道。 道心之中,有衣食矣。 衣食之中,無道心矣。 「世の中には、二種類の先生がいます。 一つは、道という先生です。道(手立て)という先生は、人びとに正しい道を教えます。 もう一つは、人という先生です。人という先生は、正しい道を教えます。 仏門に入り、悟りをもとめる決心があれば、おのずと、衣類と食事はそろいます。 しかし、衣類と食事をもとめる生活の中では、悟りを求めようとする心は決して生まれていきません。」 まず、世の中には二人の先生がいると言います。 一つ目は「道」です。仏教ではお経、学校では教科書ですかね。教科書は私たちに正しい生き方を教え…

  • ブッダ物語9 養母と尼僧

    ブッダの実の母は、ブッダが生まれて7日後に亡くなってしまいました。 私のような父親目線からみると、母親が亡くなってしまい、父親だけで子供を育てることを考えただけで、泣きそうです。 しかし、当時は一夫多妻(いっぷ・たさい)制、つまり、シュッドーダナ王には、たくさんの妻がおりました。 うらやましい? いやいや、大変でしょう。そっれはそれで(汗) それらの妻の一人に、マハーパジャーパティー(Mahāpajapatī)・ガウタミーという女性がいました。 ブッダは彼女に育てられたのです。 実は、この方、女性ではじめてブッダの教団の僧侶(そうりょ)になったひとです。 つまり、はじめての尼僧(にそう)さんで…

  • ブッダ物語8 母の死

    ブッダは、生まれてすぐに、「天上天下唯我独尊」(てんじょう・てんげ・ゆいが・どくそん)と言い、七歩歩いたとされます。これらは、どちらも伝説なのでしょう。 まず、ブッダは、生まれてすぐ、「天上の世界でも、天の下のこの世界でも、私は最も尊(とうと)い」(天上天下唯我独尊)と話しました。 そもそも、生まれてすぐ話せるの? という疑問がわきます。もちろんそんなことはありません。 しかし、ブッダの伝説には、ブッダは、何度も何度も生まれ変わり、この王子の生(せい)を受けた時に悟りを開いたという話があります。 つまり、ブッダが、過去の記憶(前世の記憶)を持ったまま、生まれたとすると、生まれてすぐ話したという…

  • ブッダ物語7 アシタの予言

    王子が生まれたことで、カピラ城では盛大にお祝いがされました。 また、王子の誕生をお祝いするために、国中からさまざまな人が訪れました。 その中に、未来を見通せる神通力(天眼通/てんげんつう)を持つアシタ(Asita)仙人がいました。 「王子は、将来並外れた人物になるだろう!」と予言したのは、このアシタです。 アシタは、シッダールタ王子を見ると微笑み、すぐに泣き出しました。 シュッドーダナ王は驚いて、 「どうして、泣いておられるのですか。何か不吉なことがこの子におきるのでしょうか」 とたずねました。 「いいえ、私が微笑んだのは、将来、必ずブッダ(目覚めた人)になる方にお目にかかれたからです。 私が…

  • ブッダ物語6 階級制度

    ブッダの生涯をお話しするには、必ず、当時インドの階級制度であるカースト制についてお話ししなければなりません。 当時のインドは、カースト制という階級制度がありました。この制度は、現在の私たちのように、勉強していい大学に入り、いい会社に就職したい!とか、いやいや早く社会に出て、手に職を持ち自分の技術を磨きたい!はたまた、会社をおこして一攫千金ねらうぞー!などの自由はありません。生まれた時から決まっています。いや、生まれる前(前世/ぜんせ)から決まっています。 これは、最上の階級にいるバラモン階級の人たちが、未来永劫ずーと自分たちが最上位にいられるよう作った制度です。ですから、生まれ変わっても、カエ…

  • ブッダ物語5 母と懐妊

    ブッダの母は、マーヤー(Māyā)と言います。 マーヤーは、「不思議な力」(supernatural power)や、「幻」(illusion)という意味です。 仏教の経典などで、「幻」の意味で使われる時は、真実に対する幻で、あまり良い意味ではありません。 もちろん、ブッダの母であるマーヤーの意味は「不思議な力」です。 ブッダが生まれたことについては、以前お話ししましたが、マーヤー王妃が出産のため里帰りする途中のルンビニー園という庭園で生まれました。 これには、不思議な逸話があります。 ブッダは、マーヤー王妃の体内に宿る前、天上の兜率天(とそつてん, Tuṣita)というところにおられ、そこか…

  • ブッダ物語4 父

    ブッダの父は、シュッドーダナ(Śuddhodana)といい、カピラヴァストゥ(Kapilavastu)という小さな国の王です。 つまり、ブッダは、王子さまと言うことになります。 シュッドーダナの意味は、pure rice(清らかなお米)です。 また、Śuddhodana(シュッドーダナ)という言葉は、サンスクリット語で、シュッダ(Śuddha)と、オダナ(odana)に分解出来ます。 シュッダ(Śuddha)が「清らか」で、オダナ(odana)が「お米」です。 少し専門的ですが、サンスクリット語というのは、語と語が結合して、複合語(ふくごうご)という言葉を作り出します。 いっぱいくっついて一つ…

  • ブッダ物語3 誕生日

    日本では、ブッダの誕生日は、4月8日とされ、ブッダの誕生した姿をかたどった像に甘茶をかけてお祝いをする「花まつり」があります。 また、仏生会(ぶっしょう・え)や灌仏会(かんぶつ・え)などと言われます。 「仏生会」(ぶっしょう・え)とは、読んで字のごとく、仏さまの生まれた儀式(会)です。 「灌仏」(かんぶつ)という言葉の「灌」(かん)は「そそぐ」という意味で、もともとは、バラモン教に伝わる清めの儀式だったそうです。それが、いつのまにか、ブッダの誕生像に水をそそぐようになり、その水が現在では甘茶(あまちゃ)になったということですね。 よく考えると、われわれがブッダの頭から水をそそぐなんて失礼きわま…

  • ブッダ物語2 シッダールタ

    シッダールタ(Siddhārtha)は誕生しました。 悟りを開いてブッダ(Buddha)になるまでのシッダールタという名称は、いや、悟った後もなくなった訳ではないのでしょう、「目的を達成した」という意味です。 幼少期の名前ですら素晴らしいです。すでに、「目的を達成した」のですから。 ところで、日本では、出家(しゅっけ)した後は、出家する前の名前は戸籍上なくなります。 読み仮名だけ変わる人もあれば、お師匠さまの名前の漢字一文字を頂いて新しい名前を付ける場合があります。 例えば、一郎(いち・ろう)くんが、一円(いち・えん)となる場合、お師匠様が、大円(だい・えん)というお名前であれば、そのお師匠さ…

  • ブッダ物語1 十六国

    こんばんは。今日から少しずつ、ブッダの生涯を書いていきたいと思います。 紀元前6世紀、現在のインドとネパールの国境に近いヒマラヤのふもとに、シャーキャ(Śākya)族という王族が治める小さな王国がありました。 ブッダはその国の王子として生まれます。 その都は、カピラヴァストゥ(Kapilavastu)と呼ばれ、この国の西にはコーサラ(Kosala)国があり、さらに南にはマガダ(Magadha)国という大きな国がありました。 現在のインドのビハール州、ラージギルという地方のあたりです。また、東には、コーリヤ(Koliya)国があり、シャーキャ族の王でありブッダの父であるスッドーダナ(Śuddho…

  • どちらが正しいか

    こんばんは。 今、新型コロナウィルスの影響により、経済は困窮(こんきゅう)しています。これ以上の感染拡大を防ぐため、何が何でも接触は控えるべきだ!という意見と、このままでは、経済が破綻(はたん)する、一日も早くもとの生活に戻すべきだ!という意見が、対立していると思います。 儒教では、両親をもっとも大切にします。このような話があります。ある子供が、父親が盗みをする姿を目撃したそうです。息子は、すぐさま警察に行き、父親の盗みを告白しました。そのあと、父親は当然逮捕されました。儒教では、この話に出てくる息子は大切な父親を牢屋に入れたので、この行為は許されない行為だそうです。 また、仏教では、このよう…

  • あるべきようわ

    こんばんは。 『論語』に、このような話があります。あるお弟子さんが孔子(こうし)先生に、政治とは何かについて聞きました。先生は、「主君(しゅくん)は、主君の義務を、大臣(だいじん)は、大臣の義務を、父親は、父親としての義務を、妻や子供は、妻や子供としての義務をはたしていれば、国や政治は安泰(あんたい)するでしょう」と答えました。 鎌倉時代の高僧(こうそう)である明恵上人(みょうえ・しょうにん)という方は、これを「あるべきようわ」という言葉で表現しました。内容はこうです。「僧侶は、僧侶のあるべきよう。一般の人は、一般の人のあるべきよう。天皇は、天皇のあるべきよう。大臣は、大臣のあるべきようがある…

  • 対機説法(たいき・せっぽう)

    こんばんは。 『論語』に、このような話があります。 子路(しろ)という名前の弟子が、孔子(こうし)先生に、「何かを学んだら、すぐにそれを実行してよいでしょうか」と尋ねました。 先生は、「お父さんが元気でおられる間は、よく考えて、お父さんにお聞きしてから実行しなさい」と答えました。 また、冉有(ぜんゆう)という弟子が同じ質問をしました。 しかし、先生は、その弟子対しては「学んだら、すぐ実行しなさい」とお答えになりました。 それを聞いていたまた違う弟子が、困惑して先生に「どちらが正解なのですか」と尋ねました。 先生は、「子路(しろ)は、いつも出過ぎるから、控えめにしなさいと教えたのです。冉有(ぜん…

  • 過ぎたるはなお及ばざるがごとし。

    こんばんは。 過(す)ぎたるは、なお及(およ)ばざるがごとし。 (過猶不及) 何かカッコイイ感じですね〜。白くて長いヒゲをはやしたお師匠様が弟子に人生の教訓(きょうくん)を述べる姿が浮かびます。(笑、あくまでイメージです)これは、 「やり過ぎるのも、やり足らないのもどちらも良くない」という『論語』(ろんご)に出てくる言葉です。 つまり、中庸(ちゅう・よう)「ちょうどよい/ ころあい」を説いているものです。 仏教では、このような例えがあります。 「琴や、ギターの弦(げん)は、張りすぎると切れてしまい、ゆるめすぎると音が出ない。」 丁度良い加減に弦(げん)をはることで、一番良い音色が奏でられる。そ…

  • 十方の下方

    こんばんは。 このブログの月間アクセス数が1000に達しました!! 読者数も111人!(ぞろ目!)です。 みなさまのおかげです。本当にありがとうございます! 今日は、前回、十方(じっぽう)「十の方角」で、宿題にしていた下の方角が分かりましたので紹介します。 ところで、このブログは、天台宗と聖徳太子をテーマに書いているのですが、天台宗はもちろん、聖徳太子も『法華経』(ほけ・きょう)というお経をとても大事にします。 現在読んでいる天台宗の日課のお経である法華懺法(ほっけ・せんぽう/せんぼう)も、『法華経』をもとに作られています。そこには、八方角の世界が、次のように記されています。 東方・作佛。一名…

  • 新字体と旧字体と異体字

    こんばんは。 「部屋とワイシャツと私」のようなタイトルになりました(笑) 昨日は、ずら〜と敬礼(けいれい)が並びました。 「一心敬礼」(いっしん・けいれい)「ひたすらに、けいれい」の言葉から始まり、さまざまな仏(ぶつ)、菩薩(ぼさつ)に敬礼しました。 今日は、漢字について少し。 難しい漢字がたくさん出てきたと思います。たとえば、 禮→礼(れい) 釋→釈(しゃく) 佛→仏(ぶつ/ほとけ) 盡→尽(じん/つきる) 寶→宝(ほう/たから) あげれば、キリがありません。 よく、戒名(かいみょう)の上には、「釋」(しゃく)が付いていますが、「釋」と「釈」の意味は同じです。 では、何が違うの? 表記方法(…

  • 再び敬礼!

    こんばんは。 今日は、法華懺法(ほっけ・せんぼう)のつづきです。 ここからは、個別の敬礼が続きます。ずら〜〜〜〜〜と、敬礼する対象が続きますので、今日は、すべてお見せします。 以前からお伝えしてある。「三宝」(さんぼう/さんぽう)と、「十方」(じっぽう)に注意して読んでみてください。 明日から細かく読んでいきます。長いですよ〜〜。 一心敬禮,本師釋迦牟尼佛。(ほんし・しゃかむにぶつ) 一心敬禮,過去多寶佛。(かこ・たほうぶつ) 一心敬禮,十方分身釋迦牟尼佛。(じっぽう・ぶんしん・しゃかむに・ぶつ) 一心敬禮,東方・善徳佛,盡東方法界一切諸佛。(とうほう・ぜんとく・ぶつ) 一心敬禮,東南方・無憂…

  • こんばんは。 そういえば、このブログのテーマでもある聖徳太子(しょうとく・たいし)について全く触れていませんでした。 聖徳太子という名前が、文献(ぶん・けん)出てくるのは、亡くなってからずいぶん後になってからだそうです。 厩戸皇子(うま・やどの・おお・きみ)や、上宮王(じょう・ぐう・おう)などを、よく耳にされると思います。 本当の名前はどうだったのか!?という点も気になりますが、今日考えたいのは、「聖」(ひじり)という字です。 他にも、聖武天皇(しょうむ・てんのう)にも「聖」の字が使われています。 では、「聖」にはどういう意味があるのでしょうか。 聖徳太子は、多くの人の話を一度に聞けたと言われ…

  • 手で食べること

    こんばんは。 私には、一歳になったばかりの娘がおりまして、彼女は食事をする時、私がスプーンで口に運ぶか、もしくは、彼女自身の手で食事をしています。 こんな話を聞いたことがあります。 日本人「インド人の君は手で食事をして下品だなぁ」 インド人「日本人の君だって、お寿司を食べる時、手で食べるじゃないか」 なるほど。私たちは、手で食べることに行儀が悪いというイメージがありますが、この会話を聞くと、世界にはいろいろな文化があることに気づかされます。これが正しいというものはないですね。 ウォシュレットなどについても、インドでは、トイレに水が入った桶(おけ)がおいてあり、それで洗い流します。確かに、機械式…

  • 三密

    こんばんは。 今何かと話題の「三密」。 密閉、密集、密接の三つを指すらしいですが、仏教を少しかじった人なら、 何かどこかで見たような?と思われるのでは? 特に、密教(みっきょう)では、この「三密」の「三」は、身・口・意(しん・く・い)、つまり、身体と、言葉と、精神(こころのはたらき)を指します。 少し、複雑ですが、この三つがわれわれと仏さまと同じであるけれども、隠された状態(つまり、密)であり、修行することでその本来の姿が現れ、仏さまと同じ状態になるという意味らしいです。 したがって、仏教の三密とは、「三つの隠されたもの」です。 この意味からすると、「秘密」の「密」ですよね。 しかし、話題の「…

  • 口伝と書写

    こんばんは。 近々、本格的にブログのサイトを立ち上げようと思いまして、今日は、その勉強で一日が過ぎてしまいまた。 今日のお題は「口伝(くでん)と書写(しょしゃ)」です。 書写とは、書き写すことで、写経(しゃきょう)という言葉をご存知だと思いますが、この場合は、お経をそのまま書き写すことを意味します。 では、口伝とは? 口伝(くでん)とは、名の通り、そのまま口伝え(くち・づたえ)することです。 その口伝えは友人などではなく、お師匠さまからの伝法(でんぽう)「直接教わったこと」です。 現代人であるわれわれは、書かれたもの(書写)と、口伝えにのもの(口伝)、どちらを信じるでしょうか? 恐らく、書かれ…

  • 袈裟(けさ)

    こんばんは。 今日は、「袈裟」(けさ)について考えたいと思います。 漢字を見れば、「衣」(ころも)が入っています。 つまり。衣類です。誰の衣類かと言うと、お坊さんが着る着物です。 インドのお坊さんは、こんな感じ↓ 何か、日本のお寺で見るお坊さんと違いません?日本のお坊さんの袈裟は、 と、お葬式で見るお坊さんは、もっとド派手な感じかもしれません(笑) 実は、この「袈裟」(けさ)も、サンスクリット語であるkaṣāya (カシャーヤ)の音写です。 カシャーヤ→かしゃや→けしゃや→けさ という感じ(笑) 意味は「赤黄色」です。つまり、最初の写真の色ですね。 このkaṣāya (カシャーヤ)には、他にも…

  • 十方(じっぽう)

    こんばんは。 今日のお題は「十方」(じっぽう)。 何度か出てきたと思います。ご覧の通り、「十の方角」を意味します。 仏教では、「あらゆる方角」を意味する言葉です。 「十方仏」(あらゆる方角の仏さまに)といいますね。 では、「十」とはなんぞや? 東・西・南・北の4方向、そしてそれをさらに分けると、北東・北西・南東・南西の4方向が加わって、全部で8方向。 「八方塞がり」(はっぽう・ふさがり)「どこを向いても、活路が見出せない」なんて諺(ことわざ)がありますね。 では、あとの2は? 上と下です。 上と下ってどこ? 天空と地中?天国と地獄?極楽と地獄?調べたところ、 分かりませんでした(T_T) まさ…

  • ダーナ(dāna)

    こんばんは。 昨日紹介したサンスクリット語でdāna(ダーナ)、つまり、「布施」(ふせ)ですが、以前に紹介した音写(おん・しゃ)を覚えておられるでしょうか。ヨロシク(夜露死苦)です(笑)。 今日は、その方向から見てみましょう! 実は、このダーナにも音写があります。「檀那」(ダン・ナ)です。 どこかで見たことがありませんか? そうです。檀家(だんか)の檀です。 皆様も、どちらかのお寺の檀家さまでしょうか。 つまり、お寺にお布施(ダーナ, dāna)する人です(笑)。 ですから、布施と檀那は同じ意味です。 また、檀越(だんおつ/だんのつ/だんおち)という言葉がありますが、これは、dāna-pati…

  • 供養と布施

    こんばんは。 今日は、「供養」(くよう)について考えたいと思います。 昨日は、仏さまや、三宝に供養するという言葉が出てきました。 供養って、お供えですよね。 今日はいろいろな言語で見ていきましょう。 供養のサンスクリット語は、paricaryā(パリチャルヤー)で、service(サービス、奉仕), devotion(デヴォーション) , worship(ワーシップ、崇拝)とあり、devotion(デヴォーション)は、loyalty and love or care for someone or something「誰か、または、何かに対する忠誠、愛、世話」です。つまり、原語は、「〜に奉仕する…

  • 䠒跪(こき)

    こんばんは。 今日のお題は「䠒跪」(こき)です。 昨日の続きを読むのですが、今日の現代語訳は自信がありません!かなり厄介です。 ですから、「宿題」のタグを付けておきます。後に分かることがあれば、改善します! 是諸衆等,人各各䠒跪 ,嚴持香華,如法供養。願此香華雲,遍滿十方界,供養一切佛・經法,並菩薩・聲聞・縁覺衆,及一切天仙。受此香華雲,以爲光明臺,廣於無邊界。 受用作佛事,供養已,禮三寶 。 「この儀式に参加している私たちは、おのおのが、右ひざを地につけて、お香とお花を厳か(おごそか)に持ち、儀式の習わし通りに、〔三宝を〕供養いたします。 このお香とお花で作り上げた雲が、十の方角(すべての方…

  • 敬礼!

    こんばんは。 今日はうれしいお知らせから。 九州の友人から、このブログで紹介した「本買ったよ〜」と連絡を頂きました。やり甲斐があります。ありがとうございます!宣伝もよろしくお願いします(笑) さて今日は、昨日に引き続き、『法華懺法』です。 昨日ご紹介した「三宝」(さんぼう/さんぽう)への敬礼が引き続き述べられます。 一心敬禮,十方一切常住佛 一心敬禮,十方一切常住法 一心敬禮,十方一切常住僧 「ひたすらに、十の方角に、常にいらっしゃる仏さまに敬礼いたします。 ひたすらに、十の方角に、常にいらっしゃる仏さまがお説きになった教え(お経)に敬礼いたします。 ひたすらに、十の方角に、常にいらっしゃるわ…

  • 『法華懺法』のはじまりはじまり

    こんばんは。 本日から、『法華懺法』を読んでいきましょう! まず、始めに、このような唄が読まれます。 我此道場如帝珠 十方三寶影現中 我身影現三寶前 頭面攝足歸命禮 「わたしのこの道場は、帝釈天の宮殿に飾られた珠(たま)が永遠に重なり合う世界と同じである。あらゆる方角の仏さま・経典・菩薩や僧侶である三つの宝が目の前に現れ、わたしは、今まさに、その真っ只中にいる。そして、三つの宝の御足(みあし)に自身の頭を付け礼拝(らいはい)しましょう!」 その道場は、神秘的な世界につつまれ、仏が目の前にあらわれ、いよいよ儀式の始まりです! 帝珠(たいじゅ)とは、帝釈天の宮殿に張りめぐらされている綱(つな)の一…

  • 『台宗課誦』3 「法華懺法」と「例時作法」

    こんばんは。 今日から『台宗課誦』の「目次」を見ていきましょう。 そこには、「法華懺法」と、「例時作法」の文字が見えます。 『法華懺法』(ほっけ・せんぼう)の「法華」とは、『法華経』(ほけきょう)というお経を指します。「懺法」の「懺」とは、懺悔(ざんげ)の意味で、「法」は難しい言葉(多くの意味がある)ですが、この場合は、「儀式」という意味でしょうか。 「法華経の教えにしたがって、罪をつぐなう儀式」という意味です。中国の天台宗を開いた方の書物によると、当時は、これを21日間行ったそうです。 『例時作法』(れいじ・さほう)の「例」は、恒例の「例」ですね。ですから、「例時」で、「決まった時間に」とい…

  • 喪服

    こんばんは。 今日のテーマは、「喪服」です。 日本の仏教儀礼は、儒教(じゅきょう)に基づいているものが多いとされます。 仏教儀礼とは、お葬式や、仏壇のまつり方など、いろいろな仏教に関わるものです。 喪服も儒教に由来します。 喪(も)に服(ふく)す。→まさに、喪服(もふく)! 儒教で、喪服は、斬斉(ざんさい)・斉衰(しさい)の二種類があります。 斬斉(ざんさい)は、お父さんが亡くなったときに着る喪服、三年間喪に服します。 斉衰(しさい)は、それ以外の肉親が亡くなったときに着ます。喪に服す期間は、子が母のためには三年、孫が祖父母のためには一年と、肉親との関係によって異なります。 つまり、父母が亡く…

  • 卒塔婆(ストゥーパ)

    こんばんは。 まずは、 seimin.hatenablog.com で紹介した。延暦寺について訂正です。 「延暦寺というお寺はありません」とご案内しましたが、知り合いの方から、ご指摘いただき、宗教法人延暦寺はあります!と教えて頂きました。ただ、延暦寺という“お堂”はないそうです。ありがとうございました!勉強になります。 もともと、このブログは、さまざまな方からいろいろな意見を頂き、天台宗と聖徳太子について勉強するブログですので、これからも、ビシバシご意見ください!よろしくお願いいたします。 ちなみに、STAP細胞は、まだ、あるかどうかわかりません(笑) さて、今日のお題は「卒塔婆」(そとば)で…

  • 手塚治虫『ブッダ』

    ブッダ全12巻漫画文庫 (潮ビジュアル文庫)作者:手塚 治虫発売日: 2000/04/01メディア: 文庫 こんばんは。 こちらを紹介するのを忘れいていました。 手塚治虫著『ブッダ』!!!! 内容は、凄すぎです。下手な講義より、よっぽど勉強になる。 著者によれば、ブッダの十人のお弟子さん(十大弟子)である舎利弗(しゃりほつ)と、目連(もくれん)のことをもっと詳しく書きたかったらしいのですが、仏教学者顔負けの内容! マンガですから、タッタという仮想の人物なども出てきますが、基本的なイベントはすべて入ってます。 難しい仏伝(ぶつでん)を読むなら、ぜひこれを!! では、また。

  • 台宗課誦2 奥書

    こんばんは。 京都、一日雨でした。 昨日ご紹介した天台宗のお経本である『台宗課誦』、今日は奥書(おくがき)を見てみましょう。 「奥書」とは、書物の最後にあって、なぜこの本を書いたかとか、いつ書いたかとか、誰が書いたとか、本の「あとがき」のように、最後に言いたいことや、情報をまとめたものです。 私の『台宗課誦』最後のページの奥書(おくがき)を見てみると、 「この台宗課誦は宗祖伝教大師 比叡山開創一千二百年を記念して改訂されたものである 延暦寺学問所 昭和六十年七月」 とありますから、 「この『天台宗の者が日課してとなえるお経文』(『台宗課誦』)は、日本の天台宗の創始者である伝教大師が、比叡山を開…

  • 台宗課誦(たい・しゅう・か・じゅ)

    こんばんは。 みなさんは、ご自身の宗派(しゅうは)をご存知ですか。 日本には、さまざまな宗派があり、平安時代に起こった宗派に、最澄(さいちょう)の天台宗(てんだいしゅう)と、空海(くうかい)の真言宗(しんごんしゅう)があります。 私は、この天台宗に所属しています。このブログの「天台太子」の「天台」もこの天台宗から取ったものです。 「宗派」とは、難しい言葉ですが、別の機会に勉強するとして、「共通のお経や、仏さまを信仰するグールプ」としておきます。 また、鎌倉時代には、浄土宗(じょうどしゅう)、浄土真宗(じょうどしんしゅう)、日蓮宗(にちれんしゅう)などをはじめ、さまざまな宗派が起こりました。 お…

  • 仏典はどう漢訳されたのか――スートラが経典になるとき

    仏典はどう漢訳されたのか――スートラが経典になるとき作者:船山 徹発売日: 2013/12/19メディア: 単行本 みなさん。 はじめまして。コロナの影響で、外出を控えておられると思います。 そんな時は、読書はいかがでしょうか。 本日から、ブログを開始するのにあたり、はじめてご紹介したい本がこれです。仏教を学びたい人は必読!いつもお仏壇の前であげているお経が一体どこから来たか!?筆者は、サンスクリット語、チベット語、そして漢語に精通したプロフェッショナルです。 お経が、インドの言語から漢字にどのように翻訳されたのかを、初心者から専門家まですべてのひとが参考になる本です。ぜひぜひ。

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