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物理の小物語 https://daiki0422.hatenablog.com/

物理学を基本法則から分かりやすくかつ体系的に解説しています。理工学系の学生さんのお役に立てればと思います。

当ブログでは物理学の基本法則に焦点を当て、物理学を体系的に理解できるように解説することを心がけています。また、物理学に必要な数学知識も分かりやすく説明しています。

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2020/04/28

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  • クーロンの法則の導出

    前回みたように,時間変化の無いマクスウェル方程式は と与えられ,電場に関する法則と磁場に関する法則によって静電場と静磁場の分野が得られた.今回は静電場における電荷間の力の作用を決定する法則を導出しよう. 上のマクスウェル方程式において,静電場の分野をなす法則は である.さて,空間に点電荷Qを1つ置いたとしよう.このとき,点電荷が大きさを極限まで小さくした点と考えられることを考慮すると,点電荷からは空間の等方へ向けて電場が発散する.よって,その点電荷を中心として半径rの球を閉曲面にとれば,閉曲面上における電場の値はどこでも等しく一定値をとり,かつ静電場には回転は無いのだから,電場は閉曲面を垂直に…

  • 静電場と静磁場

    一般のマクスウェル方程式 は,電磁場の時間変化を考えたものであるが,これらにおいて時間変化を考えない場合は時間微分の項は零になるので となる.さて,この場合のマクスウェル方程式が電場と磁場の法則で対照的な形をしていることに注目されたい.電場の法則は であり,発散はあるが回転は無く,かつ電場は電荷のみによって生み出される.対して,磁場の法則は となり,発散は無いが回転はあり,かつ磁場は電流のみによって生み出される.このような電場および磁場のことを時間変化の無い静的な場という意味で静電場および静磁場という.もちろん時間変化の無い微分形のマクスウェル方程式 も同様である. 前の記事:微分形のマクスウ…

  • 微分形のマクスウェル方程式

    前回得られたマクスウェル方程式を改めて以下に書いておこう. これは一般に積分形のマクスウェル方程式といい,空間内にある任意の閉曲面や閉曲線といった幾何学的な大きさを持つものに対する法則である. さて,上の法則群を見ると分かるように左辺と右辺で積分の種類が違っている.しかし,ベクトル解析には面積分と体積分および線積分と面積分を関係づけるガウスの発散定理 とストークスの定理 があった.これを用いればマクスウェル方程式の両辺で積分の種類を同じにすることができる.すなわち,電場と磁場に関するガウスの法則にはガウスの発散定理を,ファラデーの法則とマクスウェル・アンペールの法則にはストークスの定理を用いれ…

  • 基本法則としてのマクスウェル方程式

    古典力学の基本法則がニュートンの運動三法則であることは知っている人も多いだろう.しかし,電磁気学の基本法則となると途端に数が減る.または,クーロンの法則とか,ビオ・サバールの法則とかいう人がいるかもしれない.確かにそれらは電磁気学の一分野における基本法則としての意味はあるが,決して電磁気学の基本法則というわけではない.今回はその電磁気学の基本法則について説明していくが,実は以前書いた物理のための数学と場の考え方のカテゴリー内にある記事をご覧いただいているならば,もうすでに説明の必要は無いほどの内容である.本記事はそれらで扱った基本的なベクトル解析の考え方や場の概念などの知識を前提としているので…

  • 電流と磁場

    電場は正の単位点電荷当たりに作用する力の大きさで定義された.他方,電荷が移動すると,その電荷には電場による力の作用の他に新たな力が作用しうる.すなわち,電磁気学には電場の他に動く電荷に力を及ぼすような場が考えられる.今回はその場について説明しよう. まずは量の定義を説明する.電荷の流れのあるところに断面Sを考える.この断面を微小時間dtの間に微小電荷量dQが貫いたとしよう.このとき を電荷の流れを表す指標として電流という.また,単位面積当たりの電流値を電流密度といい,ある断面(断面積S)を垂直に貫く電流密度jは となる.なお,一般に電流密度はベクトルであり,曲面Sを貫く電流値はその曲面上におけ…

  • 電荷と電場

    一般相対性理論(近接作用)的には質量は空間を歪ませ,またその歪みによって他の質量に力が伝えられると考えられる.このような空間の性質を重力場といった.ファラデーやマクスウェルによる電磁気学もまた近接作用の考え方により構築され,すなわち力は場によって伝えられるとされた.今回は電磁気学における場を紹介しよう. 元素の最小単位が原子であることはよく知られている.原子は原子核とその周囲を回る電子により構成され,原子核はまた中性子と陽子により構成される. 電子と陽子は,1.602×10-19[C]という電気的な量(電荷量)を持ち,このような電気的な量を持つものを電荷という.力学においては議論を簡単にするた…

  • 質量と重力場

    普段何気なく使っている「質量」という言葉.実は質量には2種類あることを知っているだろうか.1つ目はニュートンの運動の第二法則,すなわち運動方程式 におけるmのことである.運動方程式によれば,ある物体に力を作用させると,その結果として力に比例した加速度が生じるという.つまりここでの質量というのは加速の起こりにくさを表し,これを慣性質量という.これは十分に想像しやすいことである.たとえば,質量が大きい物は動かそうとするのに大きな力がいるし,また質量が大きく運動している物を止めようとするときも大きな力が必要となるといった具合である.もちろんこれは古典力学,すなわち遠隔作用の考え方によったものである.…

  • 遠隔作用と近接作用

    古典力学は物理学者ニュートンによって構築された物理学の理論である.その中の万有引力の法則とは,質点mとMが距離r離れているとき,その間にはGを定数として だけの引力が作用し合うというものである.ニュートンはこれが万物の間に作用する力として万有引力と名付けた.しかし,よく考えてみるとこれは実に奇妙なことである.なぜなら,一般に我々が想像する力というものは手で押すというような直接的なものであるが,この法則はたとえば100mとか200m離れて置いてあるものどうしが,何もない空間を隔てて力を作用し合うといっている.そんな手品のようなことがあり得るだろうか.ニュートンもこれには頭を悩ませたようだが,最終…

  • ガウスの発散定理とストークスの定理

    ベクトル解析には,積分の種類を入れ替えることのできる「ガウスの発散定理」と「ストークスの定理」がある.これらについて説明しよう. 空間にベクトル場Fが分布しているとき,divFは と表され,単位体積当たりのベクトル場の発散という意味があった.ここで,空間に任意の閉曲面を考えよう.その中にある微小体積dVからの発散は,単位体積当たりの発散であるdivFとdVの積,すなわちdivFdVで得られる.よって,閉曲面全体からの発散はこれを閉曲面の体積に渡って体積分すれば良く となる.他方,閉曲面全体の発散はベクトル場の曲面に沿った面積分で表わせたので,結局 が成り立つ.これをガウスの発散定理といい,面積…

  • rot(回転)

    前回までに物理学に用いる基本的なベクトル解析の知識である∇,grad,divの説明をした.残すところは今回説明するrot(回転)についてだが,これは今までと比べて少し難しく感じるかもしれない.そういうときは,これまでの知識をよく確認してほしい. 切れ目のない曲線に対するベクトル場の線積分が通常の線積分とは少し異なった意味を持つことは前回触れたはずだ.このような曲線のことを閉曲線といい,たとえば輪ゴムやフラフープを想像すれば良い.さて,このような閉曲線に沿うベクトル場の線積分の値は何を意味するだろうか.まず,ベクトル場の線積分の定義は曲線の接線方向成分の総和をとるということだったが,たとえば次の…

  • div(発散)

    前回はベクトル解析のうちの∇(ナブラ)とgrad(勾配)について説明した.今回はdiv(発散)について説明していく. さて,以前やった面積分と線積分を覚えているだろうか.ベクトル場の面積分は,任意の曲面Sに沿うベクトル場の法線成分の総和のことで と表された.また,ベクトル場の線積分は任意の経路Cに沿うベクトル場の接線成分の総和のことで と表された.特にそれぞれの積分において曲面や曲線が閉じている(つまり曲面に縁があったり,曲線が切れていたりしない)場合は少々意味合いが変わってくる. まずは,閉じた曲面に対する面積分を考える.閉じた曲面というのはたとえば風船やボールを想像すれば良い.このような曲…

  • ∇(ナブラ)とgrad(勾配)

    前回までに物理学で用いられる基本的な微分・積分の意味について説明してきた.今回は微分・積分にならんで物理学で良く用いられるベクトル解析のうちの∇とgradについて説明しよう. まず,前に説明した偏微分を思い出してほしい.偏微分とは,他変数関数についてある一変数に注目した微分のことで,たとえばx,y,zの三つの独立変数からなる関数f(x,y,z)をxについて偏微分するときは と表された.いま,x成分にxについての偏微分,y成分にyについての偏微分,z成分にzについての偏微分をもつ三成分の演算子 を∇(ナブラ)と定義する.これ自体には特に意味は無いが,作用する対象によって様々な意味を持つようになる…

  • 偏微分と三種の積分の意味

    今回は物理学で良く用いられる,偏微分と三種の積分(線積分,面積分,体積分)の意味について説明する.といっても,前回までの物理のための微分・積分の記事をご覧いただいているなら全く難しいことは無い. まずは偏微分から説明する.これまで微分と言えばたとえばyをxで微分するならば というように表された.では,次のような関数をxで微分せよと言われたら,どうすれば良いだろうか. これは二つの独立変数に対して一つの従属変数が決まる,いわゆる2変数関数というものである.一見すると難しいように考えてしまうが,なんのことはない.こういう場合はxだけを変数とみてその他はすべて定数として微分すればいいだけである.すな…

  • 物理のための積分

    物理学における微分・積分の重要性については前に書いた記事の通りである.それに引き続き,ここでは積分について考えていく. 微分と積分がそれぞれ逆演算の関係にあることはよく知られている.高校でも「微分は傾き」,「積分は面積」と習ったことだろう.しかし,繰り返すようにこれだけでは不十分である.なぜ傾きや面積が求まるのかということを理解しないと応用は利かないものである.微分に比べると少々定義が複雑になるが.一つ一つ理解していってほしい. まず,次のようなグラフを考える. いま,この図において色のついた部分の面積を求めたいとしよう.しかし,我々はこのように複雑な形の面積を求める公式など知らない.そこで,…

  • 物理のための微分

    自然科学,特に物理学は数式を言葉としてあらゆる物理的現象を記述する.そして,物理学に用いられる数学分野において最も重要なものが微分・積分である.ここでは微分について考えていく. 高校数学でも比較的難しいとされる微分.定義の難しさや公式の多さに圧倒された読者も多いだろう.さしあたって,とりあえず難しい定義は置いておいて,簡潔かつ視覚的にも分かりやすいように議論を進めることにしよう. さて,初学者に「微分って何?」と聞くと,大概は「傾き」と答える.もちろん間違いではないが,物理をする上ではもう少し深い理解,すなわち,なぜ傾きが求まるのかということを知っていなければならない. まず,次のような関数の…

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