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たまおの星便り-星海原の航海日誌 N O W !!   https://blog.goo.ne.jp/tamao-sandayu

日毎夜毎、船橋から房総九十九里へと繰り出し、星空を駆け巡る観測日誌。時おり船橋のプラネタリウムで星のおじいさまとなって夜空話を語り継ぐ。

たまおの星
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2020/04/22

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  • ・2024/3/9~3/16 冬の「春霞」にけむる3彗星。

    3月に入ると好天と荒天が交互にやってきた。変わりやすい天候ながら3/9、10と3/15、16は二夜連続で朝まで晴れた。午前2時過ぎに海岸に着くとまず、西に傾きかけた62P紫金山第1彗星を狙う(画像上左)。以前より暗く拡散してきたうえに現在はおとめ座の「銀河の巣」を移動しているだけあって似たような彗星状天体に紛れて見分けにくい。南の空、てんびん座には秋に1等星なみに明るくなると予想されているC/2023A3紫金山-アトラス彗星がいまだ暗い12等級でひっそりと輝いている(画像上右)。C/2021S3パンスターズ彗星は幅広い尾をたなびかせながら東天に横たわる夏の天の川を遡っている(画像上中)。今回の星空航海では困惑した出来事が2回あった。15日未明、観測場所の近くに軽自動車が1台、ヘッドライトを煌々と点灯したま...・2024/3/9~3/16冬の「春霞」にけむる3彗星。

  • ・2024/2/10~2/14 明け方の彗星3兄弟姉妹。

    暖冬傾向は2月に入っても続いた。それだけに夜になると雲が広がることが多かった。諸事雑事も重なり、晴れ間を見計らって3日間だけ、未明の夏星空を見ることができた。午前2時過ぎに海岸に着くとすでに夏の天の川が淡い雲のように東の太平洋上に横たわっていた。薄明開始は午前5時前、暗夜は3時間弱しかない。すぐに波打ち際近くの小高い砂丘に機材をセットした。姿、形や明るさがよく似た兄弟姉妹のような3彗星を視野に捉えていく。南西の空、おとめ座の62P紫金山第一彗星はたくさんの暗い銀河を縫うように少しずつ東に動いている(画像上中)。東天のへびつかい座にあるC/2021S3パンスターズ彗星は天の川の星々の中を尾ひれを広げて泳いでいるようにも見える(画像上右)。薄明が始まって空が白んできた頃にははくちょう座デネブを下った低空にC/...・2024/2/10~2/14明け方の彗星3兄弟姉妹。

  • ・2024/1/8~1/17 暖冬の洋上に浮かぶ漁火と彗星たち。

    2024年の初航海は1月8日未明となった。月令26の細い月が南東の海を照らしていた。気温-1℃、この時期にしては異様に暖かい。南の空高く、しし座のお尻の星、デネボラの近くに青く光る62P紫金山第1彗星に照準を定める。北西に淡い尾を引く夜空の人魂のようだ(画像上左)。今月は晴天夜と暖かさに誘われてあわせて5回、船橋と九十九里浜を往復した。その都度、肉眼では見えないが望遠鏡とデジカメには姿を現す淡い彗星たちを追った。薄明が始まる頃の南東天低くにはC/2021S3パンスターズ彗星が白い光を南西にたなびかせて移動している(画像上右)。同じ頃には高度約10度、12Pポン-ブルックス彗星が青く光りながらはくちょう座の天の川の中を東進している(画像下)。銚子沖合の海が穏やかな夜はたくさんの漁船が洋上を行き来する。それぞ...・2024/1/8~1/17暖冬の洋上に浮かぶ漁火と彗星たち。

  • ・2023/12/10~22 暖冬異変から急冷の星海原で今年の航海納め。

    12月に入ると移動性の高気圧とともに天候が変わる秋のような空模様が続いた。17日は高気圧が通過し晴天となった。冬には珍しく南西の強風が吹き荒れ、深夜の山道には風に吹き飛ばされた小枝大枝が散乱していた。車に当たらないように慎重にハンドルを取りながら午前2時過ぎに海岸に到着した。気温14℃と異様に暖かい。防潮堤を越えてくる霧状の波しぶきを避けて海岸から一番離れた駐車場の奥に車を風除けにして機材をセットした。午前5時過ぎの薄明開始まで2時間あまり、すぐに未明の空を動く彗星たちの撮影に入った。日曜の明け方はいつもは釣り人の車が何台も押し寄せヘッドライトの灯りに辟易するが、今日は海が荒れているせいか、数台が出入りしただけだった。だが、南西風は変わらず強く吹いたまま薄明を迎えた。22日は西高東低の気圧配置となって寒波...・2023/12/10~22暖冬異変から急冷の星海原で今年の航海納め。

  • ・2023/11/14~24 銀河や星団をすり抜ける未明の彗星たち。

    11月もおおむね晴天が続いた。台風や大雨も少なく日中は20度を越えて汗ばむ日が多かった。薄明開始が4時40分過ぎと遅くなったこともあり、日付が変わってからゆっくり家を出て寝静まった街道を太平洋に向かって東進する。新月の14日は午前2時過ぎに海岸に到着した。気温は+4℃、風はないが防寒服に軽く身を包んで機材を海の見える高台にセットする。今の時季、未明の空には南に冬の星座、東に春の星座が輝いている。おおいぬ座のシリウス近くにはC/2017K2パンスターズ彗星、うみへび座の孤独の星アルファードの北には103Pハートレイ彗星、黄道十二宮のかに座には62P紫金山彗星と暗い29Pシュワスマン・ワハマン彗星がひっそりと光を放ち、動いている。時々、こうしたうごめく彗星たちが見かけの上で太陽系外の星の集団(散開星団や球状星...・2023/11/14~24銀河や星団をすり抜ける未明の彗星たち。

  • ・2023/10/11~26 「秋の夏日」の夜空に青い彗星、カノープス。

    今年は台風が少なく秋の長雨もほぼなかった。代わりによく晴れて10月の夏日が続いた。新月前後から連日続く夜の秋晴れに誘われて断続的に6回、星海原に出帆することとなった。日中は暑くても海岸の未明は10℃近くまで下がり肌寒い。こういう条件では普段は海霧が濃く立ちこめる。だが空気が乾燥して陸風がたえず吹いているので透明度も悪くない。遥か犬吠埼へと続く風力発電の標識灯や南東50キロあまりの大東崎灯台の灯がよく見える。未明の空には青いイオンの光をほのかに放つほうき星がいくつかうごめいている(画像上、いずれも15㎝反射F2.5+EOS6D20秒X2露出)。周期3.3年で公転している2Pエンケ彗星は今年は条件がよく、鮮やかなコバルトブルーの丸いコマから北西にスーっと細い尾が伸びている。公転周期が短いだけにこれまで何度かエ...・2023/10/11~26「秋の夏日」の夜空に青い彗星、カノープス。

  • ・2023/9/14~9/19 秋の熱帯夜、未明の4彗星。

    例年ならば「秋の長雨」が降りしきる9月半ばに猛暑日が続いた。強い南風にのって暖気が太平洋から吹き寄せ未明になっても海岸はじっとりと蒸し暑い。いつもは海が見渡せる小高い砂丘に陣取るが、風を避けて海岸から少し離れた草地に機材を設置した。南側に車を寄せて風除けにするとほぼ無風になるが、それだけに蒸し暑さは募り、蚊がしきりに寄ってくる。当然、それを見越して長袖、長ズボン、手袋に加え、防虫ネットを頭からかぶって観測体制に入る。熱帯夜の星空航海は暑さと蚊との闘いでもある。西村彗星C/2023P1が明け方の空を駆け抜けて去り、いつもの予測通りに未明に潜む彗星たちに狙いを定める。南の洋上30度にはC/2020V2(ZTF)彗星がくじら座を動いている。空高くペルセウス座には103Pハートレー彗星、東の空のふたご座β星、カス...・2023/9/14~9/19秋の熱帯夜、未明の4彗星。

  • ・2023/8/18~8/29 熱帯夜の空に灯る青い光芒。

    8月12日夕方から群馬県北軽井沢の友人の別荘観測所に滞在した。目的は13日から14日にかけて極大を迎えるペルセウス座流星群を見るためだった。だが台風の接近もあって結局、2夜ともに雨空だった。それでも標高1,100mの昼中は酷暑の下界よりも10℃も低い26℃ほど、久々に高原の涼を楽しんだ。猛暑炎天の船橋に帰ると、西村新彗星の情報が入ってきた。未明の北東低空、ふたご座に10等級で発見された彗星は9月に太陽に近づき2等級まで明るくなると予想されていた。折しも台風が去って熱帯夜ながら晴れた夜空が続いた。8月19日の明け方、すでに薄明で白み始めた空に新彗星の姿を捉えることができた。わずか20秒の露出でもデジカメの液晶画面に鮮やかなコバルトブルーに輝く円盤状の光芒を見ることができた。光度は約9等、日増しに明るくなって...・2023/8/18~8/29熱帯夜の空に灯る青い光芒。

  • ・2023/7/17~7/30 梅雨明け5日、夜空を賑わす彗星たち。

    7月中旬の新月期の始まりとほぼ時を同じくして今年の梅雨が明けた。しかも「梅雨明け三日」ならず「梅雨明け連日」といえるほど晴れた夜が何日も続いた。月が満ちる月末までに合わせて6日間、九十九里海岸に通いつめた。そのうち一日だけ濃い海霧が立ち込めて数十分しか星をみることができなかったが、残り5日は高温多湿の快晴熱帯夜だった。折しも、本来この時期には16等級ととても暗い12Pポン・ブルックス彗星が突如アウトバーストして100倍くらい明るくなり11等級になったという情報が21日に海外から入ってきた。その姿を捉えようと連日、北天のりゅう座の一画に望遠鏡を向けた(画像上右)。りゅう座にはもう一つ明るい彗星、C/2023E1アトラスが見えている。北極星に近く、丸一日沈まずに北天を回る周極星となって9等級まで明るく大きくな...・2023/7/17~7/30梅雨明け5日、夜空を賑わす彗星たち。

  • ・2023/6/17、18 梅雨の晴れ間、短い夜のほうき星。

    梅雨前線が大きく南に退いた17日は午前0時過ぎに海岸に到着した。夏至は一年で一番夜が短く昼が長いが、実は夜の終わり、薄明開始は夏至よりも数日前の今ごろが一年で一番早くなる。観測地の九十九里海岸では「草木も眠る丑三つ時」の午前2時半過ぎには早くも空が白み始める。薄明開始まで2時間あまりしかない。忙しく機材を海岸近くの砂丘に設置してまず237Pリニア彗星に望遠鏡を向ける。梅雨時の快晴夜にしては透明度がいい。天頂から南西の水平線にかけて天の川が滔々と流れ落ちている。いま未明の空には明るいほうき星はないが、口径15㎝反射望遠鏡に装着した20秒露出のデジカメEOS6Dは光度11等から13等の微かな光芒を捉えていた(画像上)。翌18日も梅雨の晴れ間が続いたが、昨夜と比べて明らかに透明度が落ちていた。濃い霧はないのに西...・2023/6/17、18梅雨の晴れ間、短い夜のほうき星。

  • ・2023/5/17、5/26 梅雨入り前のわずかな晴れ間の3彗星。

    移動性高気圧に覆われた5月17日、午前0時過ぎにいつもの海岸に着くと駐車場の入口に工事中の看板が立っていた。工事用の仮設道路ができて地面が大きく掘削されコーンが立ち並んでいる。ヘッドライトを頼りに堤防直下の平坦な場所に車を慎重に乗り入れる。新月の4日前、薄明開始とほぼ同時の午前3時には月も昇ってくる。暗夜は2時間半ほどしかなく海岸の見える丘の上に機材をセットしてすぐに撮影を始める。晴れてはいるが海霧に阻まれて夏の天の川もほとんど見えない。やむなく高度のあるわし座の273Pリニア彗星とへび座のC/2019T4アトラス彗星だけを狙った(画像上)。午後23時近くまで雲行きが怪しかったが翌26日未明は雲が切れると踏んで海岸に向かった。午前1時過ぎに到着すると大型のトレーラー2台が煌々とライトを照らして工事中の駐車...・2023/5/17、5/26梅雨入り前のわずかな晴れ間の3彗星。

  • ・2023/4/28~29 黄砂と雲と強風の狭間から。

    4月下旬から黄色い砂が舞う昼と南からの強風が吹きすさぶ夜とが断続的に続いた。この時期はSCW気象予報を調べても気象衛星画像を見ても房総半島の海岸線の天候を予測するのは難しい。何日かぶりに、ようやく夜明けまで晴れ間が続くと思った28日の未明は、観測地についてみると空の西半分が雲の中だった。北極星が見えるうちにさっと極軸を合わせ、忙しなく南天から東天の微かな彗星たちを撮影した。東天の空域に望遠鏡を向けていると次第に南の洋上から雲の端切れが次々と押し寄せてきた。やがて午前2時半過ぎにはほぼ全天が雲に覆われた。午前3時過ぎまで空を見上げていたものの、すぐに薄明が始まってしまった。翌29日はよく晴れていたが、夜半過ぎに着いてみると予想以上の強い南風が吹いていた。海岸に近い小高い丘の北側斜面に草むらをかき分けながら機...・2023/4/28~29黄砂と雲と強風の狭間から。

  • ・2023/4/1 菜種梅雨の晴れ間、一夜。

    入学式は満開の桜の下で、は今は昔話。今年も卒業シーズン3月半ばにはすでに桜の花が咲き誇っていた。そして、花曇りと合わせて何日も延々と降り続く菜種梅雨。中旬から始まる新月期は、結局、一日も房総半島に快晴夜がなく3月を終えた。太った月が沈むのが午前3時過ぎ、薄明開始が午前4時過ぎ、計算上の暗夜がわずか1時間という4月1日未明になって、ようやく九十九里海岸に晴れ間が戻ってきた。月がまだ西に高い午前2時過ぎに海岸に到着し、機材をセットする。月明の中で夏の天の川が東の洋上に昇り始めている。夜霧が地面を這っているが遠く銚子の街明かりも見えて透明度は悪くない。月が西の地平に近くなったのを確かめて、南から東の空に密かに光る3つの周期彗星に狙いを定める。特に364Pパンスターズ彗星は一日に約4度(月の見かけの大きさの8倍)...・2023/4/1菜種梅雨の晴れ間、一夜。

  • ・2023/2/18~3/1 姿を変えていく未明の彗星たち。

    2月初めに4等級まで明るくなって注目を集めたC/2022E3ZTF彗星が再び帰らぬ彼方に去って、未明の夜空には10等を下回る暗いほうき星が残された。2月下旬の新月期は、東天に昇り始めた夏の天の川近辺で控えめに輝く彗星たちを追いかけた。C/2022A2パンスターズ彗星は、はくちょう座とケフェウス座の境界付近にあって天の川の渦中をゆっくり北上していた(画像上段左)。81Pヴイルト周期彗星はさそり座の赤い一等星アンタレスの北に漂っていた(画像上段右)。2月22日、薄明開始まで1時間を切る午前4時過ぎになって96Pマックホルツ周期彗星が東の洋上にようやく姿を現した。アメリカのコメットハンター、マックホルツ氏が1986年に眼視観測で独立発見したこの彗星は約5年3か月で公転している。今回は日本からも明け方低空に見られ...・2023/2/18~3/1姿を変えていく未明の彗星たち。

  • ・厳寒の北天を青いほうき星、C2022E3 ZTF。

    新月期を迎える1月下旬頃から寒波が房総にも押し寄せてきた。温暖なイメージのある房総半島だが、実は内陸の佐倉市や八街(やちまた)市では冬になるとマイナス5度程度を記録するのも珍しくない。1月26日の未明、海岸に向かう道半ばの八街市郊外で車の外気温計が一時マイナス9度を表示していた。数日前に降った雨で山道はアイスバーンになっていたのでいつもより遠回りの市街地を速度を落として慎重に走った。観測地はほぼ無風でマイナス5度、南東の空にはさそり座の頭が昇りかけていた。久しぶりの肉眼彗星として話題のZTF彗星C/2022E3が北極星にほど近い「りゅう座」で北天を一晩中沈まずに回っている。光度は約5等、小型双眼鏡ではぼんやりとした小さい光芒が見えるが肉眼でははっきりしない。それでも15㎝反射望遠鏡+デジカメのわずか20秒...・厳寒の北天を青いほうき星、C2022E3ZTF。

  • ・2022/12/24~2023/1/4 年末年始、未明の空に乱舞するほうき星たち。

    西高東低の冬型が強まる中、房総は冬晴れが続くと思いきや、夜になると雲が空にたなびいた。冬になると強い西風と北まわりの風と南からの海風とが絡み合って相模湾付近に「房総前線」が突如、出現する。その雲は房総半島だけでなく関東一円を曇らせてしまうこともある。クリスマス・イブの24日未明になってようやく九十九里にも快晴夜が訪れた。冬至は過ぎたが日の出は年明け始め頃が一番遅くなるので夜は長い。しかも今、未明の闇夜の空には肉眼では見えないながらも8等から12等級のほうき星がいくつも散在している。いつもよりも時間をかけて、そうした彗星を一つずつ望遠鏡の視野に導入して撮影していく(写真上)。26日にはテレビの報道やドキュメント番組に星の映像を提供しているカメラマンさんが早くから海岸に来て撮影態勢に入っていた。日の入り後から...・2022/12/24~2023/1/4年末年始、未明の空に乱舞するほうき星たち。

  • ・2022/12/08~12/17 火星の中接近と終盤の木星。

    12月の満月期になると関東平野らしい冬晴れの日が続いた。自宅マンションのベランダで約2年2カ月ぶりに地球に接近した火星と夕方に南中する木星に望遠鏡を向けた。今シーズンの火星は南中高度が80度もあり、南中を1時間以上も過ぎて西に傾き始めた頃になってようやくマンションの上階のベランダから火星が姿を現した。どの日もジェット気流にどっぷり浸かってシーイングは最悪、目でリアルに見ると火星も木星もボケボケだったが、動画カメラと画像処理ソフトのおかげで表面の模様が浮かんできた。画像上左の火星には大シルチスとアリンの爪の地形が、上右の木星には小さくなった橙色の大赤斑が写っている。画像上下には木星の4大衛星のイオとガニメデ、大赤斑のすぐ近くにイオの黒い影が見えている。口径20㎝焦点距離800㎜の反射望遠鏡を40年以上前のビ...・2022/12/08~12/17火星の中接近と終盤の木星。

  • ・2022/11/22、27 夜明け前の空に乱舞する闇の飛翔体。

    11月下旬から始まる新月期の夜空は2日間しかまともに晴れなかった。軟弱な西高東低の気圧配置に冷たい北東風が流れ込み「房総前線」がしつこく居座っていた。22日、27日ともに気温は7℃前後、雲は遠く離れていたものの、とくに22日は深い霧が立ち込めていた。9月に変えた車にはフォグライトが装備されており、その黄色いライトはかなりの濃い霧道でも道路をはっきりと照らし出してくれた。観測地では地上低く垂れこめる夜霧を避けて高さ5メートル程度の砂丘の頂上近くに機材をセットした。午前3時過ぎにはオリオン座、おおいぬ座などの冬の星座は大きく西に傾き、東の太平洋からはしし座、うみへび座などの春の星座が頭を上げて昇り始めている。そうした星座を縫うように肉眼では見えないほうき星たちがひっそりと動いている。シューメーカーレヴィ第4彗...・2022/11/22、27夜明け前の空に乱舞する闇の飛翔体。

  • ・2022/11/8 442年越し、322年先取りの皆既月食・惑星食。

    10月から11月にかけての新月期はよく晴れて月が朝の薄明まで残る11月3日の祝日まで九十九里の観測地に4回行き来た。そして11月8日の満月を迎えた。マスコミはほぼ前日まであまり報道しなかったが、この日の天文現象については天文屋の世界では一年前くらいからザワついていた。今回は皆既月食に加え、肉眼で見えるかどうかぎりぎりの6等星の惑星、天王星が月食中に月に飲まれ吐き出される。日本では前回、「本能寺の変」の2年前、1580年7月26日に皆既食中に土星食が起こった。次回は2344年7月26日皆既食中に土星食が起こる。日本では442年ぶり、322年前倒しの珍事となる。当日は東から南に東京湾岸が開ける市川埠頭に夕方から陣取った。釣り人は数人いるが世紀の天文ショーを見ようという人は他に誰もいなかった。三脚に固定した18...・2022/11/8442年越し、322年先取りの皆既月食・惑星食。

  • ・2022/9/26,27~10/2 秋の未明の空は春の銀河祭り。

    9月下旬に始まった新月期は26,27日と10月2日の3日間だけどうにか晴れた夜空が見えた。秋分の日から間もないこの時期は午前4時過ぎには刻々と空が明るくなってくる。午前2時には海岸にすべての機材をセットして星空航海に出航した。今、未明の夜空には小さく暗い彗星だけが点在している。その中から、22Pコプフ、81Pヴィルト、C/2019L3アトラス、C/2020V2ZTF、C/2022P1ネオワイズなどの11等から14等の彗星を15㎝反射望遠鏡で撮影した。彗星の撮影に30分ほど費やした後は、北東から南東にわたる太平洋上30度の夜空に望遠鏡の筒先を向けた。秋もたけなわの未明の空にはすでに春の星座がいくつか昇り始めている。普段の生活ではあまり気づかないが、晴れていれば明け方の夜空には半年先の季節の星々がいつも輝いて...・2022/9/26,27~10/2秋の未明の空は春の銀河祭り。

  • ・2022/9/1、9/7 雷雨と秋雨の隙間に広がる快晴夜。

    8月は満月期をのぞく上旬下旬ともにきっちり晴れた日は一日もなかった。ここ10年間で2012年の8月だけ7日間どうにか星見ができたが、例年、8月の夜は晴れないのがごく普通のことでもある。そして9月に入って最初の日は雲一つない快晴夜となった。遥か南方にある猛烈台風による強い南西風が吹き、海岸には激しい波が押し寄せている。車を風除けの壁にして海岸から離れた駐車場の一番奥に機材をセットした。気温25度、だが空は真冬のように澄んでいて荒れた海の上におおいぬ座のシリウスがまばゆく銀色に輝く。明け方の地平にシリウスが輝くとナイル川が氾濫し肥沃な土が大地を覆い豊穣をもたらすという古代エジプトの逸話をふと思い出した。7日は大気が不安定で夜半前まで海岸に行こうかどうかと迷っていた。6月の雹被害でボコボコになった車の保険金が満...・2022/9/1、9/7雷雨と秋雨の隙間に広がる快晴夜。

  • ・2022/7/30~7/31 未明の小さな彗星と東天ふたご座の彗星モドキ星雲。

    梅雨が明けたか梅雨が戻ったかよくわからないような天候不順が続く中、新月を迎えた7月30日は夏らしい快晴夜となった。例によって夜半過ぎに海岸の駐車場に到着すると、すでに多摩ナンバーの車が一台停っていた。土曜日未明なので釣り客か夜明け待ちのサーファーかと思ったがよく見ると三脚にカメラを載せて夜空に向けてタイムラプス撮影をしているようだった。撮影者本人は車の中で仮眠をとっているのか近くに見当たらない。撮影の邪魔にならないように注意しながら海が見える砂地の丘まで機材を運びあげて準備をした。気温25度、無風に加え、虫除けのネットを被り長袖長ズボンに作業手袋までしているので蒸し暑い。今、未明の空にはひっそり光る小さなほうき星がいくつか見えている。その中で、西に傾いたこと座のベガ近くにあるC/2022E3ZTF彗星(画...・2022/7/30~7/31未明の小さな彗星と東天ふたご座の彗星モドキ星雲。

  • ・2022/6/25~7/2 異常に早い梅雨明けと戻り梅雨に翻弄されて。

    今年は例年どおり6月初めに梅雨入りし来月下旬までは星は見えないだろうと思っていたら20日過ぎから南風が吹いて晴天が続き始めた。25日は新月4日前の月が東の空にあったが、梅雨明け直後の抜けるような空に惹かれて海岸に向かった。夜半過ぎに着くと強い南風を車で遮るようにして駐車場に機材をセットした。気温は26℃もあったが強風のおかげで蚊も虫も寄ってこない。月が昇ってくる前に、南西の空、へびつかい座で9等台と明るくなっているC/2017K2パンスターズ彗星と南東の低空、くじら座にある22Pコプフ彗星を撮影する。1時30分過ぎになって東北東の木陰から月が顔を出した。透明度がいい夜だけに刻々と眩さが増していく。露出時間を抑え月明りを避けるようにして東の星座群に筒先を向けていった。夏至が過ぎたばかりとあって薄明が進んだ3...・2022/6/25~7/2異常に早い梅雨明けと戻り梅雨に翻弄されて。

  • ・2022/5/25~6/3 梅雨間近のわずかな晴れ間を襲ったゲリラ雹。

    5月25日未明の低空には下弦を3日過ぎた月が昇り始めていた。本来は月明りのある時は海岸には行かないが悪天候の狭間のわずかな星空を逃したくなかった。機材をセットするとすぐに南天高くへびつかい座の天の川にあるC2017K2パンスターズ彗星を撮影した(画像上左)。以前より明るくなり短い尾が見えていた。時間が経つにつれ月が高く輝き、空が明るくなっていく。カブリを抑えるために露出を短く切り詰めながら撮影を続くていく。南天から土星、月、火星、木星、東天水平線上に金星と太陽系の仲間たちが出揃ったところで薄明を迎えた。6月3日は新月を過ぎてようやく晴れ間の見える夜空となった。気温19℃と昼間の蒸し暑さが残り蚊が飛び始めていた。未明に見える彗星をいくつか捉えようとしたが、導入の精度が不十分だったり低空の微かな雲に阻まれたり...・2022/5/25~6/3梅雨間近のわずかな晴れ間を襲ったゲリラ雹。

  • ・2022/4/25~5/4 雨と霧と夜露にけぶるゴールデンウイーク。

    例年のゴールデンウイークは4月早々から始まる「関東雨季」が中休みとなって晴れることが多い。だが今年は休みなく延々と雨と曇りの日々が続いた。4月25日は雲まじりの怪しい晴れ間がのぞいた。用があって実家のある茨城県坂東市に深夜に行き、町はずれの畑作農地に観測機材を設置した。空から雲は消えていたが辺り一面濃霧に閉ざされている。都心から50キロ離れた田舎町でも関東中央に位置するためにそれなりに光害がひどい。まして霧のために視界が100メートルもない中で、それでも天頂付近にはベガが瞬き、かろうじて北極星もどうにか視認できる。しばらくすると霧が少し晴れてきた。南東のC/2017K2パンスターズ彗星と北斗のひしゃく近くを移動するC/2020V2(ZDF)彗星を短い露出で撮影した(画像上左)。ほぼこれだけが霧にむせぶ夜の釣果だ...・2022/4/25~5/4雨と霧と夜露にけぶるゴールデンウイーク。

  • ・2022/3/31~4/10 菜種梅雨と花曇りのわずかな晴れ間。

    房総に菜の花と桜の季節が来ると新月期の夜は時間を持て余すことが多くなる。3月の後半から10月頃まで長い「雨季」が始まる気分になる。それでも昼間は黄砂まじりの晴れ間がのぞく。3月25日には太陽に大きな黒点群とプロミネンスが見えていてた(画像上右)。3月31日は前線が北上して強い南風が雲を吹き飛ばしてくれた。南洋から雲の襲来も予想されたが貴重な晴れ間なので迷わず午前2時過ぎには海岸に到着した。いつも機材を設置する海辺近くの小高い砂丘は強風に晒されていた。すぐに海岸から一番離れた駐車場の隅に移動し、車を南西側に置いて風よけにした。午前4時過ぎには早くも薄明が始まる。急いで機材をセットして東天のわし座にあるC/2017K2パンスターズ彗星を撮影した(画像上左)。気温13℃、湿り気のある空は5等星が何とか見える透明度なが...・2022/3/31~4/10菜種梅雨と花曇りのわずかな晴れ間。

  • ・2022/3/1~3/12 房総前線、異常あり。曇り夜の九十九里海岸。

    3月に入ると氷点下で朝を迎えることはなくなった。そのかわり昼間は晴れていても夜になると房総沖から伊豆半島にかけて怪しい雲が沸き上がる日が多くなった。南関東を囲むように北からの風と西からの風が相模湾付近でぶつかると大気が渦を巻いてミニ低気圧ができる。偏西風の影響を受ける秋から春にかけて、この「房総前線」がたびたび空を曇らせてしまう。1日は夜半過ぎまで衛星画像では雲の片鱗もなかったが午前4時過ぎに沖合から雲が突如流れてきて薄明開始時には東から南の空がすっかり曇ってしまった。しばらく新月を挟んで夜になると曇りがちとなり、6日未明には雨後の快晴夜になると信じて海岸に向かった。午前2時過ぎに到着すると予想に反して雲が抜け切っていない。しかも雲の動きが遅く、さらに強い北西風が吹き始めた。機材はセットしたものの、東天の天の川...・2022/3/1~3/12房総前線、異常あり。曇り夜の九十九里海岸。

  • ・2022/2/1~2/13 10年ぶりのマイナス8度、凍れる天の川の輝き。

    2月になると九十九里海岸でも氷点下の夜が続いた。先月に続いて雪の降る日もあった。道路の凍結が心配なので海岸に抜ける山道を避けて山間の平坦な道を通って観測地まで往復することが多くなった。いつもより片道3キロほど多く走り5分ほど余計に時間がかかるが安全に越したことはない。2月6日の未明は日曜とあって海岸の駐車場は釣り人でそこそこ混んでいるだろうと予想していたが着いてみると一台しか先客はいなかった。車の外に出るといつもと違って肌を刺すように空気が冷たい。すでにマイナス3度、風もなく波音も小さく、星々が空に凍り付いたように輝いている。海岸沿いの小高い丘に機材をセットしているうちに気温がどんどん下がっていくのが感じられる。体は重装備の防寒着と防寒靴に守られているが穴の開いた手袋から出ている指先は寒さにしびれている。光度の...・2022/2/1~2/1310年ぶりのマイナス8度、凍れる天の川の輝き。

  • ・2022/1/2~1/15 静かなしぶんぎ座流星群と未明の彗星たち。

    2022年は年初から新月期に入った。大晦日から元旦にかけても快晴夜となったが自宅で過ごした。例年、九十九里の海岸は初日の出を見に来る人の波で朝まで車の明かりが絶えず、到底落ち着いて星を見ることはできないからだ。それもあって初星見は1/2の未明になった。強い冬型の気圧配置のために黒い雪雲が時折通り過ぎていった。海岸では珍しくマイナス4℃まで気温が下がった。初日の出の見物人は2組くらいしかいなかった。1月初めは一年のうちで日の出が最も遅く、午前5時20分くらいにやっと薄明が始まる。1/4の未明は絶好の条件のしぶんぎ座流星群を見るために午前2時前から早くもスタンバイした。ポータブル赤道儀のSkymemo-sに14㎜F2.8超広角レンズ付の一眼デジカメを載せて放射点のあるうしかい座の北側に狙いを定めた。空が明るくなるま...・2022/1/2~1/15静かなしぶんぎ座流星群と未明の彗星たち。

  • ・2021/12/2~12/16 暁に尾を引くレナード彗星と飛びかうふたご座流星群。

    12月に入ると冬型の気圧配置となって安定した晴天が続いた。それでも暖冬傾向で海岸は氷点下になることはほとんどなかった。11日未明は東天低空にレナード彗星(C/2021A1)を見ることができる最後のチャンスだった。これ以降、彗星は夕方の空に回り来年1月2日に太陽に最も近づいてやがて太陽系の彼方に飛び去ってしまう。「星空カメラマン」さんも海岸にやってきてソニーの超高感度ミラーレスで早めのふたご座流星群を動画に収めていた。午前5時過ぎ、真東の高度10度の空にレナード彗星が昇った。眼視でははっきりわからないが写真では約5等の青いコマと長い尾がはっきりと写った(画像上左)。ISO14万相当の超高感度動画には尾をたなびかせるほうき星と夜空をよぎる流星たちのツーショットがいくつも映し出されていた。【たぬぱんさんのTwitte...・2021/12/2~12/16暁に尾を引くレナード彗星と飛びかうふたご座流星群。

  • ・2021/11/3~15、19 明るくなった彗星たちと皆既もどきの部分月食。

    11月に入ると2~3日おきに晴天の夜がやってくるようになった。但し、不安定な大気に悩まされることも多かった。3日祝日は月が未明の空に残っていた上に薄明が近づくと雲が湧き出てきた。6日土曜未明は最初よく晴れていたが雲が去来し薄明が近づくと快晴夜となった。潮の加減がいいのか、海岸は未明から釣り客の車が何台も駐車場に入ってきた。11日は晴れていたものの遠く太平洋東方沖では絶えず雷光が空を照らし、13日は午前4時過ぎまで雲が空を覆っていた。月が下弦を過ぎた15日になってようやく夜明けまでクリヤーな空となった。雲の合間からも夜半過ぎに見えるいくつかの彗星を撮影した。特にふたご座ポッルクス付近にある67Pチュリュモフ-ゲラシメンコ彗星と東天のC/2121A1レオナルド彗星が9等台まで明るくなり、ほうき星らしい尾をたなびかせ...・2021/11/3~15、19明るくなった彗星たちと皆既もどきの部分月食。

  • ・2021/10/2~18 断続的快晴夜に突然のSDメモリカード破損。

    10月の天候はめまぐるしく変わった。30℃近い夏日もあれば冬めいた日もあり台風の余波による雨模様の日もあった。だがおおむね何日かおきに秋晴れの夜もやってきた。九十九里通いは下弦過ぎの月が東の空にまだ残る5日未明から始まった。月明りは夜半過ぎから夜空を照らしていたが野分の風が雲を払って快晴となった。急に増光したという情報を受けて29Pシュヴァスマン-ヴァハマン第1彗星を撮影した。丸く光がにじんだ恒星のような11等台の姿を捉えた。この後、日ごとに形状が変わっていき2週間後には扇を広げたような姿になっていった(上画像2、5、11、15日の変化)。台風が南方沖を過ぎた後の9日は夕方から良く晴れていた。だが午前2時に海岸に着くと空のほとんどが雲に覆われていた。雲が取れることを願って機材をセットしていると超高感度ソニーミラ...・2021/10/2~18断続的快晴夜に突然のSDメモリカード破損。

  • ・2021/9/20 中秋の名月前夜、月明下の3彗星。

    9月に入って雨模様の毎日が続いた。統計的には毎年この時期は梅雨時より雨量が多い。だがそれは台風の影響が大きいからだろう。直撃の台風はなくても新月期に合わせたかのように秋雨前線が停滞して連日、雲が空を覆った。あまりに晴れないのでわずかな時間でも星が見えるなら海岸に向かおうと臨戦態勢でいると「今年の中秋の名月は8年ぶりの満月」などとニュースに流れ始めた。一晩中、月明かりに空が照らされる時期が来てもう臨戦態勢を解こうとした満月一日前に急に夜空が晴れ渡った。薄明開始が午前4時前、月没が午前4時10分。暗夜はほぼない。それを承知で午前2時前に海岸に到着した。太った月が西の空低くまばゆく輝いている。月光を避けるように砂の丘の影に機材をセットする。未明には11等台の彗星がいくつか東天に見えている。今回はCometBP(コメッ...・2021/9/20中秋の名月前夜、月明下の3彗星。

  • ・2021/8/10~13,19,20 茨城から北軽井沢、九十九里へ夏の観測地めぐり。

    近年では最高に条件のいいペルセウス座流星群を見るために北軽井沢にある友人の別荘観測所に向かった。コロナ禍の中ではあるがワクチン接種を終えたのでようやく3年ぶりに再訪することとなった。まず8月10日の深夜に実家のある茨城県坂東市に立ち寄った。先月下旬から秋雨のような天候が続く中、雲が多いながらも星が見えていたので実家近くのネギ畑の農道で東天の彗星をいくつか撮影した。都心から50キロ以上ある田舎といっても関東平野のど真ん中とあって光害はひどく撮影に光害カットフイルターは欠かせない。翌日11日は昼前から関東平野を北西に縦断して夕方には浅間山ふもとの北軽井沢に到着した。今回は別荘観測所の高速ネット環境を使ってペルセウス座流星群のyoutubeライブ配信が予定されていた。すでにカメラマンさんも到着して別荘住人の友人と準備...・2021/8/10~13,19,20茨城から北軽井沢、九十九里へ夏の観測地めぐり。

  • ・2021/7/17~7/21 梅雨明け直後、破竹の6連続快晴夜と新彗星。

    1か月以上も各地で豪雨を降らせた梅雨が明け、関東では7月16日を境に青く抜けた夏空が広がった。17日土曜日の未明は海岸で気温が22度、南の風弱く快晴。少し汗ばむくらいなのに一か月ぶりに見る星空はすっかり秋景色になっていた。南天高くペガスス座の胴体にあたる秋の四辺形から南に東に北に古代エチオピア王国にまつわる星座が連なって輝く。明るい星は少ないが南の空には木星、土星も見えている。この空には”P”の符号に若い番号が付いた旧知の周期彗星がいくつか11等から13等級でひっそりと輝いていた。南天低く洋上の7Pポンス-ヴィネッケ彗星や東天のおうし座付近にある4Pフェイ彗星、10Pテンペル彗星、15Pフィンレー彗星などを次々と視野に入れていく。夏至からまだ一か月も経っていないので薄明開始は午前3時前、よく晴れていても短い暗夜...・2021/7/17~7/21梅雨明け直後、破竹の6連続快晴夜と新彗星。

  • ・2021/6/10,11 梅雨晴れの夜空に微かな彗星と天の川。

    梅雨のような空模様がひと月近く続いて6月の新月期を迎えた。その2日間だけ突然の晴れ間となった。10日未明は全国的には曇りがちだったが衛星画像とひまわり霧情報では房総一帯は晴れ間が広がりそうだった。ただ最近、気象庁の衛星画像ウエブページが大幅に改訂されたためか、2分30秒ごと更新の高品位画像がとても重くなってしまった。さらに例えば房総半島のみを超拡大するとページ内のテキスト表示も同時に超拡大されて肝心の画像がテキストに埋もれて見えなくなってしまう。それもあって九十九里海岸付近の雲の動きがよくわからなくなっていた。ともかくも未明の1時過ぎには海岸近くの高台に機材をセットした。夜空の半分以上が雲に覆われていたが夏至の近い今、あと1時間半で薄明が始まる。雲の切れ間を確かめながら北西と南東にある微光の彗星二つを撮影する(...・2021/6/10,11梅雨晴れの夜空に微かな彗星と天の川。

  • ・2020/5/10、5/26 雲と雨まみれの5月の空。

    天候はゴールデンウィークが明けた頃から怪しくなってそのまま新月期へと突入した。5月10日未明はSCW気象予報では曇りがち、気象衛星画像では房総は雲の領域から外れていた。だが、海岸に着くと空の半分以上が雲に覆われていた。少し離れた防潮堤の上ではすでにデジカメで星の固定撮影をしている人もいたので、まず挨拶をして機材をいつもの観測場所にセットした。午前3時になっても北天の一部を除いて雲は切れ目がない。雲の流れる中、C/2020T2パロマー彗星をどうにか撮影した(画像左)。以前、ボリソフ彗星の取材で一緒になったカメラマンさんがわずかな晴れ間を見つけて新しい機材のテスト撮影をしていた。明るいレンズを付けたビデオのタブレット型画面には雲間からも天の川の暗黒帯まで写し出されていて驚いてしまった。だが薄明開始までもう1時間もな...・2020/5/10、5/26雲と雨まみれの5月の空。

  • ・2021/4/11~4/22 春本番の明け方、東の空は秋本番。

    しばらく花曇りが続いていたが4月中旬の新月期頃から晴れの日が多くなった。この時期は天気が回復すると移動性の高気圧が東西に広がり晴れ間が二日、三日と続いたりする。12日未明も前日からよく晴れていた。気温は7℃と暖かい。乾燥していて春霞や黄砂の影響も少なく九十九里から犬吠埼に連なる風力発電の夜間照明がよく見える。薄明開始は午前3時30分、闇夜はあと2時間もない。天頂を過ぎたうしかい座アルクトゥールス北西をゆっくり移動するC/2020T2パロマ彗星をまず狙う。11等台の小さな彗星はカメラの液晶画面越しには姿をチェックできない。すぐ次にわし座のアルタイルから西に離れたC/2020R4アトラス彗星を15㎝反射の視野に入れる。9等台と順調に明るくなってわずか25秒の露出でも彗星特有の青く広がったコマが写る。午前2時過ぎ、夜...・2021/4/11~4/22春本番の明け方、東の空は秋本番。

  • ・2021/3/15~ 数ヵ月ぶりのコバルトブルーに輝くほうき星。

    3月の新月期は安定した晴天が数日おきに回ってきた。明け方に氷点下になることもなく例年より花粉の飛散や黄砂の影響も少なかった。15日の九十九里海岸は気温3度、わずかに北西の風が吹くクリアーな夜空となった。前日夜半にも訪れていたが、ひまわり衛星画像では雲が見えないのに着いてみると低層の雲が空を覆っていて薄明を待たずに早々と退散していた。防波堤越しに波打ち際がギリギリ見える海岸砂地の小高い丘に機材をセットする。はくちょう座からいて座にかけての夏の天の川が次第にはっきり見えてきた。午前3時前、うしかい座とこと座にある暗い彗星を続けて撮影した。ここ数か月、未明の夜空に光度10等をこえる明るい彗星がほとんどなかった。昨秋発見されたC/2020R4アトラス彗星がようやく明るさを増して明け方南東の空に見え始めていた。今日の撮影...・2021/3/15~数ヵ月ぶりのコバルトブルーに輝くほうき星。

  • ・2021/2/20~連日の快晴夜に釣り人光害とPM2.5。

    2月になると冬型の気圧配置が落ち着いて昼も夜も安定して晴れることが多くなった。特に新月期を挟んでほぼ2週間近く房総は快晴夜が続いた。関東が大雪に見舞われた2013年の2月は新月期に一日も晴れなかった記憶があるが、今年ほど晴れが続いた2月は記憶にない。昼間の西風が弱まって寒さも和らいだ20日は午前2時半すぎに海岸の駐車場に到着、すぐに機材のセットに取り掛かった。金曜の夜、土曜の未明は新月、大潮と重なると釣り人の車で駐車場が密になるが、今日は半月で潮の加減が悪く人は来ないだろうと踏んでいた。一週間前の13日夜、東北で震度6の地震があったのでラジオはずっと点けておくことにした。ここのところ明け方未明に明るい彗星は見えていない。東の空にはこと座のベガがまぶしく輝き南にはさそり座が毒針のある尾の先まで見えている。15㎝反...・2021/2/20~連日の快晴夜に釣り人光害とPM2.5。

  • ・2021/1/14 西高東低の冬型、まさかの黄砂襲来。

    昨年末から冬型の気圧配置が強まり過ぎて、房総は夜半過ぎになると富士山、駿河湾付近から湧き上がる雲に覆われることが多くなった。その間隙を縫うように新月の海岸に向かった。新月期はほぼ大潮、好漁期と重なるので釣り人の車のライトにまた薄明まで悩まされるのかと思った。だが平日でもあり、海が荒れていることもあって海岸の駐車場に入ってきたのは1台だけだった。それも車止めがあって海岸に違法侵入できないとわかったのかすぐに帰っていった。気温0度、波音だけの未明の海からさそり座の頭が昇り始めていた。わずか20数秒露出のデジカメの画像には夏の天の川も写っている。だがなぜか全てセピア調に見える。濃い天の川や黄道光は赤茶けた色に写るものの画像全体が赤っぽい。遠くの赤信号に染められた霧や靄もでていない。まるで春先の黄砂の中にいるようだ。大...・2021/1/14西高東低の冬型、まさかの黄砂襲来。

  • ・2020/12/17~氷点下、海からさらに離れて。

    12月の新月期、ふたご座流星群の房総は見事に雲の下となってしまった。17日になってようやく冬型快晴、海岸に着いた2時過ぎにはすでに-4℃だった。護岸工事は12月の始めには終了しているはずだったが、大型重機が残っていて海岸への立ち入り禁止はまだ解除されていなかった。波打ち際までなだらかな砂浜が続いていた海岸線には高さ4メートルくらいの土砂の堤防が築かれていた。頂上は平らに整地され一部アスファルトが敷かれていて車が通れるようにするらしい。津波には多分ひとたまりもないだろうと思いながら堤防から離れた駐車場の入口近くに機材を設置した。海岸近くの砂浜では水平線ぎりぎりまで見ることができたがこれからは堤防のために高度3度以下は観測できないだろう。実写して確かめてみた。3時過ぎると数年ぶりに-5℃まで下がってきた。典型的な放...・2020/12/17~氷点下、海からさらに離れて。

  • ・2020/11/14~ 押し寄せる釣り人と明け方の彗星。

    移動性高気圧におおわれた11月14日は午前2時頃、海岸に到着した。護岸工事は終了しておらず重機が散在して立入禁止区域もあり水平線まで見通せる観測場所がない。やむなく駐車場の中ほどの街路灯が見えない場所に機材を設置した。しし座流星群の時期でもあり大流星は出ないかと夜空を隈なく気にしながらいくつかの彗星を撮影した。気温は10度を下回り透明度もよく静穏な未明の観測を一人で楽しんでいた。午前3時を過ぎた頃から車が駐車場に入ってきた。釣り人らしく煌々と灯りを点けながら釣り竿などの準備を始めた。車を光除けにしながら撮影を続けるが、車が次々と入ってきて工事で狭くなっている駐車場が釣り人で次第に埋まってきた。やがて望遠鏡を設置した場所の周りも車だらけになってしまった。確かに新月前後は大潮でもあり釣り人には絶好機なのだろうがそれ...・2020/11/14~押し寄せる釣り人と明け方の彗星。

  • ・2020/10/21・10/25 超長雨あけの秋晴れ2日。

    長い梅雨、熱波の夏、そして2ヵ月にわたる秋雨。地上のコロナ禍に合わせるかのように例年にない厳しい天候が続いた。10月下旬になって房総はようやく移動性高気圧におおわれるようになった。10/21未明の1時過ぎに2ヵ月ぶりに九十九里の海岸に降り立った。大規模な護岸工事のために駐車場には重機が並び砂浜は大きく削り取られて形を変えていた。大型トラックがすでに未明から煌々とライトを点けて待機していた。それを見てすぐに数百メートル離れた海岸近くの空き地に場所を移した。移動した所も護岸工事中だったが人影はない。機材をセットして午前2時過ぎから彗星の撮影に入った。未明の空に明るい彗星はないがアトラス彗星C/2020M3(画像上右)がオリオンの足元のうさぎ座で光度を増していた。エラスムス彗星C/2020S3(画像上左)も東天のうみ...・2020/10/21・10/25超長雨あけの秋晴れ2日。

  • 2020/8/20-21 コロナ禍第2波さなかのテスト撮影。

    2ヵ月続いた梅雨明け後の熱夏は意外と雲が多かった。海岸には絶えず太平洋側から雲が沸き上がり出発に二の足を踏むことが幾度もあった。8月中旬を過ぎて九十九里でもようやく晴天が続いたが、それでも4回海岸に降り立って2日しか星海原に出帆できなかった。夕空には7月に尾をたなびかせたネオワイズ彗星など明るい彗星がある一方、未明には12等以下の暗い彗星ばかりで不甲斐ない。それもあって先日購入したサイトロンCometBPフイルタの実写テストをいろいろやってみた。これは彗星のイオンテイルを構成するいくつかの波長域を透過するようにした光害カット干渉フイルタといったものだ。万全ではないが光害地でも青緑色の彗星の尾が写りやすくなる。但し、ノーフイルタよりもカットされた波長域の星は当然暗くなり、青方向にカラーバランスがくずれる。輝星が写...2020/8/20-21コロナ禍第2波さなかのテスト撮影。

  • 2020/5/30 緊急事態宣言明けの海岸はチョイ密、薄曇り。

    九十九里海岸の立ち入り禁止が解かれて5日が経ってようやく晴れ間が見えてきた。雲の心配はあるが気象衛星画像では未明の空に広い晴天域がある。下弦過ぎの月を背に夜半に海岸に向かった。いつもの海岸駐車場にはすでに車が1、2台停まっていた。土曜とあって海を見に来たり釣りに来たりとコロナ禍の気分転換なのだろう。空には雲のかたまりがいくつかゆっくりと西から東へと動いていた。薄明開始の2時40分まで2時間あまりしかない。雲を気にしながら北西低い北斗七星の升の方向に望遠鏡を向けた。C/2017T2パンスターズ彗星とC/2019Y1アトラス彗星がおおぐま座α星をはさんで同じ方向に見えている。但し低空は成田空港方面の光害がある。いくぶん雲が薄れてきたので一気に露光した。カブリが激しく撮れているかどうかは帰ってコントラスト処理とかをし...2020/5/30緊急事態宣言明けの海岸はチョイ密、薄曇り。

  • ・2020/4/25~5/1 緊急事態宣言の立入禁止、ゼロ密の星空サーフィン。

    全国に緊急事態宣言が出されて初めての新月期を迎えた。海サーファー達の三密を避けるために房総の海岸も立入禁止になった。いつもの駐車場もシャットダウンされているだろうと踏んで別の観測地点をいくつか選んで海岸に向かった。途中の道の駅も閉鎖、コンビニも深夜には閉店していた。案の定、現地では「漁業関係者以外お断り」の看板とコーンで入場規制。本当は毎夜未明に横行している「密漁および漂着物漁りお断り」としてほしいところだ。薄明が午前3時過ぎと早いこともあって午前1時過ぎには少し離れた観測地点に機材をセットした。いつもの海岸よりも街路灯が近いがまわりの草丈が高くその光を遮ってくれる。気になる灯りは数百メートル北東にあるリゾートマンションの常夜灯一つだけだ。この時期は黄砂と春霞が重なって透明度は最悪、しかも海岸近くでは南風が絶え...・2020/4/25~5/1緊急事態宣言の立入禁止、ゼロ密の星空サーフィン。

  • 2020/3/21~4/3 アトラスよ、お前もか。C/2019Y4彗星、崩壊の兆し。

    太陽に最接近する5月末にはマイナス等級の大彗星になるのではないか・・・・コロナ禍の暗い気分を拭うような期待を込めてC/2019Y4アトラス彗星が一気に注目を浴びてきた。ただ、近日点通過の時でも太陽から約3800万キロもあってマイナス等級はまずないだろうと踏んではいた。それでも3月下旬から3回にわたってその姿を追った。いつも通り、夜半過ぎに海岸に到着してすぐに北極星の西側、中空にあるアトラス彗星に望遠鏡を向ける。西から北の空は京葉地帯と成田空港の光害が目立つ。しかも3月21日は春霞のために低空では4等星もはっきり見えない。露出を切り詰め何コマも合成することでカブリを最低限に抑えていく。彗星は9等から10等台、青く広がったコマが目立つ。冬晴れのように空が澄み渡った3月25日未明には青いコマが明るく大きくなって久しぶ...2020/3/21~4/3アトラスよ、お前もか。C/2019Y4彗星、崩壊の兆し。

  • 2020/2/23~3/6 小惑星フナバシ、北天の彗星、スターリンク衛星。

    新型コロナウイルス騒ぎの新月期、晴れ間を見つけながら4回、九十九里に向かった。2月24日は快晴、ほぼ無風、気温0度。午前2時過ぎに到着するとまず、天頂から西に傾きかけたりょうけん座のベータ星近くに15㎝反射F4を向けた。小惑星25892Funabashiが約18等と明るくなっている。船橋プラネタリウム館で紹介するためにこのチャンスを2年近く待っていた。それでも18等はキヤノンEOSX3を最高感度にしても写るかどうかの極限等級に近い。写野の中心に小惑星が入るように構図を入念にチェックし、60秒から90秒露出で断続的に20分ほど撮影した。あとで画像を合成した時に小惑星は移動して写り、まわりの恒星と明確に区別することができる。幸いこの日は透明度もよく、北西に約16秒ほど動く小惑星Funabashiが強拡大、強調処理を...2020/2/23~3/6小惑星フナバシ、北天の彗星、スターリンク衛星。

  • ・2020/2/1~2/4 新彗星と超広角レンズの観測スナップ。

    1月9日、満月前の未明の空で13等のC/2020A2岩本彗星が発見された。月が沈んで薄明が始まるまでのわずか30分ほどの暗夜でのことだったようだ。発見3日前の1月6日にたまたま予想位置近くのへびつかい座の頭部を15cm反射で撮影していたのに後で気づいた。細かく画像をチェックしてみたが、13等以上のそれらしい光芒は見つからなかった。あるいは1月8日の近日点通過前後にバーストをして明るくなったのかもしれない。月の光と1月下旬の悪天候に妨げられて、新彗星を初めて捉えたのは2月に入ってからだった。このころには10等台まで明るくなって、青いイオンのコマが見えていた(画像上左)。未明にはほかに明るい彗星がないこともあって、ほぼ一日おきに海岸に向かってC/2020A2の姿を追った。観測の傍らでは、14mmF2.8超広角レンズ...・2020/2/1~2/4新彗星と超広角レンズの観測スナップ。

  • ・2019/12/28~2020/1/6 見えなくなったボリソフ彗星?

    年末の新月期から好天が続き正月をはさんでボリソフ詣に通った。3億キロと離れているものの地球に最接近となり、最後の見納めのつもりだった。12/28は快晴夜、気温は0度と例年からすると暖かい。未明3時過ぎにうみへび座の一画に狙いを定めた。15cmF2.5反射であればわずか1分30秒露出で15等級の恒星状のコマが写る。ところが強調処理をしてみても予報位置には明確な彗星像が写っていなかった。一方、同じ日に45cm反射でボリソフ彗星を眼視観測した人は14等級で見えたとのことだった。予報位置に誤差があるかと星図ソフトの軌道要素を変えてみたが結果は同じだった。新年をはさんでさらに3日にわたって露出をかえて撮影してみたが、恒星の極限等級16等でもついにはっきりした彗星の姿は捉えられなかった(画像上左)。いずれの日も155P/S...・2019/12/28~2020/1/6見えなくなったボリソフ彗星?

  • ・2019/12/3~12/8 宇宙の果ての訪問者と太陽系のほのかな光。

    人類が遭遇した初めての恒星間彗星2Iボリソフが12月8日の夜に太陽に最接近する。それでも光度は15~16等と暗く15㎝反射+デジカメでは極限等級に近い。近日点通過を前に何とか姿を捉えたいと12月3日の未明から撮影にチャレンジした。ボリソフ彗星はウミヘビの背中に乗ったコップ座にある。雲が目立つが南天低空は晴れている。いつもより倍以上の1分から1分半の露出をかける。彗星は3億キロの彼方にあって時速15万キロの猛スピードで宇宙空間を突き進んでいる。数分で写野の中をわずかに動いてしまう。コンポジットのために手際よく何枚かを連写する。予想通り画像は一見しただけではどこにボリソフ彗星があるかわからない。何度か強調処理やコントラストを調整して15等の淡い光の点が浮かび上がってきた(上左)。イオン化したガスを放出しているようで...・2019/12/3~12/8宇宙の果ての訪問者と太陽系のほのかな光。

  • ・2019/11/1、11/6 赤い星雲と未明の彗星。

    台風、嵐の10月を過ぎると連日の秋晴れとなった。だが移動性高気圧に覆われた未明になるとしばしば、富士山、相模湾周辺から低層雲が忽然と湧き上がる。それが房総半島を明け方まで覆うことになる。やっかいな雲の間隙をぬって九十九里に向かった。夜半過ぎにはオリオン座もすっかり南中して冬の天の川が太平洋に流れ落ちていた。西天には極大近いくじら座の変光星ミラも見えていたがまだ3等級のようだった。久しぶりにHα改造のキヤノンEOSX2とコマコレクターMPCC付の15cmF4反射で赤い散光星雲を狙ってみた。上左画像のいっかくじゅう座ばら星雲は30秒露出計7分合成、上右のふたご座モンキー(猿の横顔)星雲は30秒計5分合成。水素分子雲の赤い姿がわずか数分の撮影で見えてくるのはデジタル画像の時代ならではといえる。40年前の銀塩写真の時代...・2019/11/1、11/6赤い星雲と未明の彗星。

  • ・2019/9/27~10/10 星図GUIDE9.0の軌道要素更新と未明の4彗星。

    星図ソフトGUIDE向けのMPCの軌道要素更新ページhttps://minorplanetcenter.net//iau/Ephemerides/Comets/Soft02Cmt.txtこれがMPCのサーバーのダウンとかで5月以降、更新されていない。それに加えてここのところ明るい新彗星が発見されていないので、いつも彗星観測に使っているGUIDE9.0も5月時点での軌道要素をそのまま使っていた。そんななか、8/30にクリミアのボリソフさんが初の恒星間彗星2I/2019Q4を新発見、16~17等と暗く観測できないが更新が気になりだした。いろいろ当てを探してようやくGuideUsersMLに行きついた。https://groups.yahoo.com/neo/groups/guide-user/conversatio...・2019/9/27~10/10星図GUIDE9.0の軌道要素更新と未明の4彗星。

  • ・2019/9/10 台風15号一過、停電の九十九里海岸。

    台風15号一過の9日夜、風も収まり星が見え始めた。嵐の名残りの雲が北の空をゆっくり移動し、真夏の夜のように蒸し暑い。気象衛星画像を数分おきに確認して雲は朝まで房総半島にかからないだろうと踏んで日付が変わる頃に九十九里海岸に向かった。下弦過ぎの月はすでに西に傾き始め、薄明開始までの3時間、満月前の最後の星空航海を期待した。深夜の京葉道路を順調に走る。ところが武石ICを降りてしばらくしてから道路の様子がいつもと違ってきた。交差点で断続的に信号機が消えている。街灯にも灯りがない。千葉市の東部あたりからは人家やコンビニの光も途絶えてきた。大型トラックは事故を警戒して低速走行している。四街道を過ぎ、街灯りのない八街(やちまた)を過ぎるまで、信号機の消えた道路をほぼ1時間走り続けた。道は暗いが車は少なく交差点でもそれほど危...・2019/9/10台風15号一過、停電の九十九里海岸。

  • ・2019/7/30~8/11 夏の夜空のいろいろな天体。

    6月下旬から7月は雨続きだった。ようやく梅雨が明けたのが新月期の7月末。約一か月半ぶりの星空航海に出帆した。猛暑と晴天はほぼ毎日続いたが、雷雨や台風の流れ雲で星が見えない夜もあった。晴れると予想されても仕事や日々の雑事、体の疲労で出航を止めた日もあった。それでも8月半ばの満月期まで5夜にわたって自宅と九十九里を行き来することになった。盛夏とはいえ未明の海岸では気温は24度から26度。それでもしつこい蚊の攻撃を避けるため、網を頭から被り、手袋をして長そで長ズボンに厚手の靴下という服装では汗が噴き出てくる。今年の夏の夜空には11等よりも明るい彗星はなく、未明に15cm反射鏡とデジカメで捉えられるのはC/2018W2(Africano)や260Pなど数個しかない。それもあって解説員をしている船橋プラネタリウム館の投映...・2019/7/30~8/11夏の夜空のいろいろな天体。

  • ・2019/6/14 梅雨の晴れ間の大流星。

    例年通りの梅雨入りとなって曇りがちな新月期を過ぎてしまった。満月も近くなった一日だけが昼間から翌朝までクリアーな天候となった。夏至の2週間前あたりが一年のうちで日の出が最も早くなる。したがって天文薄明の開始は九十九里で午前2時40分を切るまで早くなる。月没は午前2時9分、真の闇夜は約30分しかない。観測地に着いた午前1時頃にはまだ西の空に月が煌々と輝いていた。月が地平線に近くなって天頂付近の夏の天の川がうっすらと見えてきた。月明りの多少のカブリは承知の上で、15cmF2.5反射直焦点に取付けたカメラEOS6Dで撮影を開始した。この時間のこの空には13等以上の明るい彗星はない。撮影メニューにしたがって淡々とシャッターを切る。月が沈んで一気に暗くなった。肉眼で5等星が見えだす。天頂から南西に流れ落ちる天の川も輪郭が...・2019/6/14梅雨の晴れ間の大流星。

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