<<はじめから読む! 西を治める白虎国は、砂と岩の国である。 過酷な環境だが、水源が豊富な地域には木が密集して森となり、人が居住する街ができる。白虎国の首都・森羅しんらほどとは言わないが、琥珀が慎ましく暮らしている西の外れの街、砂流さりゅう...
<<<はじめから読む! <<3話のはじめから <【31】 結局その後、大騒ぎをしていた僕たちのところに、篤久の母が血相を変えてやってきた。 何度言っても繰り返し巻いた糸がすべての指からなくなり、「母さん」と弱々しい声で呼んだ息子のことを
<<<はじめから読む! <<3話のはじめから <【30】 一緒に行く、と言ってくれた大輔の予定に合わせた、木曜日。肉のフジワラは木曜が定休だった。店まで行くと、「よぉ」と、すぐに彼は出てきた。 「渚も行くって聞かなかったけど、あいつはガッ
盆の季節、田舎の居酒屋は繁盛している。「しゃーせー!」と、若いアルバイト店員の威勢のいい声は、半ばやけくそに聞こえた。 広い座敷を一間借り切っての高校の同窓会は、年に一、二回開催されているが、私が出席するのは、久しぶりのことだった。 「芙
<<<はじめから読む! <<3話のはじめから <【29】 引き返してきた僕のことを、糸子はちらりと見上げた。いつもと違う。そう思ったのは、彼女がずっとこちらを見据えているからだ。普段はすぐに目を逸らすのに。 微笑みを絶やさない彼女は、人
9月30日~、弥生美術館で開催中の展覧会に行ってきました。 弥生美術館は東京大学本郷キャンパス・弥生門のほぼ真向かい。私は在学中は根津駅から通っていたので、この門を毎日使っていました。なのに一回も行ってないっていうね!竹久夢二美術館と併設に
<<<はじめから読む! <<3話のはじめから <【28】 大輔と渚は、ずいぶん先に行ってしまっていた。慌てて追いかけていく。 方角を誤らないのは、大輔の「なーぎさー」という、なんとも情けない悲鳴のおかげだった。彼の馬鹿でかい声に感謝した
<<<はじめから読む! <<3話のはじめから <【27】 いつだってこの入り口に立つときは緊張するのだが、今日はひとしおだった。なにせ、ひとりじゃない。 僕の隣でワクワクを隠せていない大輔を見上げて、こっそりと息をつく。 コロッケ一個
<<<はじめから読む! <<3話のはじめから <【26】 荷物を発送して、さらに気温が上がった昼下がりの道を歩く。 足取りが重いのは、暑さのせいだけじゃない。 家に帰りたくない。母親と再び顔を合わせるのが怖い。またいつもの、陰気な顔を
<<<はじめから読む! <【25】 土曜日の昼下がり、僕は自室でぼんやりと過ごしていた。宿題なんてすぐに終わってしまって、ベッドに寝転んでいた。 暇な時間は久しぶりだった。何をして過ごしていたのかと考えれば、胸が痛む。美空と会うために病
<<はじめから読む! <【24】 第三話 黒い糸 七月も半ばになり、あと十日ほどで終業式。梅雨がようやく明け、まぶしい太陽にさらされる季節だが、僕の心には、まだどんよりと重い雲がのしかかったままだ。 帰りのホームルームが終わり、掃除当番
久しぶりにBL小説を買って摂取しました。 やっぱりいいねえ~。 「獣神様とは番えない~アルファの溺愛花嫁さま~」(村崎樹) タイムリミットが近づいている。獣神様には番が必要で!? 獣に姿を変え国を護る獣神には「薬花」と番わなければ解けない呪
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<<はじめから読む! 西を治める白虎国は、砂と岩の国である。 過酷な環境だが、水源が豊富な地域には木が密集して森となり、人が居住する街ができる。白虎国の首都・森羅しんらほどとは言わないが、琥珀が慎ましく暮らしている西の外れの街、砂流さりゅう...
「海、だ……」 呆然とした僕の呟きを、疲弊した彼女は拾えなかった。 え? と僕の顔を見上げ、それから視線の先に目をやって、初めて意味を理解し、「ああ……」と、溜息をついた。そのままへたり込んだのを、慌てて支える。 白い砂浜、青い海。この世の...
宴は夕刻からずっと続いていた。 都から遠く離れた、少々活気の足りない街だ。市民のほとんどが外に出てきて飲めや歌えやの大騒ぎをする機会はついぞない。滅多にない僥倖に感謝し、子どもから大人まで、誰も彼もが正気じゃない。 一段高い場所に作られた席...
機動戦士GUNDAM GQuuuuuuXと極楽湯・RAKU SPAのコラボに行ってきました~。うちからだとRAKU SPA鶴見が一番行きやすかったので、レポです。無料送迎バス主要駅からの無料送迎バスが出ているかと思います。バスにもジークアク...
<<はじめから読む!<(13)「駒岡さーん」 スマートフォンで「もうすぐ帰るよ」とメッセージを打ち込んでいた雪人は、一度目の呼び出しをスルーしてしまった。「駒岡雪人さーん」 フルネームで呼ばれ、ハッとして立ち上がる。「あ、はい! います!」...
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<<はじめから読む!<(11)「改めて、鳥飼とりかいつばさです」 名刺と交互に、彼の顔を見た。鳥飼。駒岡じゃなくて。籍を入れない事実婚の関係なのだろうか。 雪人の疑問は、表情にありありと浮かんでいたようで、つばさは笑ってつけ足した。「旧姓は...
<<はじめから読む!<(10) 士狼は次の日も休んだ。「おはよう」 自分以外の同僚たちにかけられる朗らかなあいさつに、雪人は反応を示さず、ただひたすら自分の前にあるパソコンに向き合った。「休み、ありがとう。何か変わったこと、あった?」 話し...
<<はじめから読む!<(9) 本格的な失恋に打ちひしがれても、朝はやってくる。仕事は待ってくれない。たとえ、まともに手をつけられなくても。 どんな顔をして士狼と仕事をすればいいのか、わからなかった。ぐるぐると脳内でこね回した結果、「そういえ...
<<はじめから読む!<(8)「ここか……」 看板を見上げて、スマホの地図を閉じた。 リラクゼーションサロン「セレネ」。士狼が手伝っている店だ。 周辺には、もっと直接的な名称と刺激的なデザインの看板の店舗がある。挿入側の人間を顧客とする風俗店...
<<はじめから読む!<(7)「あ、駒岡先輩……」 出勤中、士狼の後ろ姿を見かけた雪人は、声を上げた。それほど距離が離れていない。これまでならば、彼はすぐに気づいて、「おはよう」と並んで歩いてくれた。営業部エースの雑談力を遺憾なく発揮して、会...
<<はじめから読む!<(6) それから二ヶ月が経過しても、ふたりの関係は変わらなかった。変えられなかったのは、雪人自身の性格の問題である。 職場では雪人をフォローし、週末は食事に行く。発情期で店に予約を入れれば、必ず士狼が来てくれた。 数度...
「なんで美術部は、男が入らんのかね」 本人も美大出身の男である顧問の先生は、美術室の鍵を手渡しつつ、ぼやいた。「さあ、なんででしょう」 とぼけるけれど、理由は明白。見学に来た男子たちを放っておいて、女子だけで固まって、ひそひそと話をし続けて...
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<<はじめから読む!<(4) 金曜日の会社終わりに、約束どおり一緒に食事に行った。 半個室になっている店は落ち着いた雰囲気で、居酒屋といえば学生時代に行ったチェーン店しか知らない雪人は、物珍しくきょろきょろと見渡した。 そわそわするのは、オ...
<<はじめから読む!<(3) ヒート明けの出勤日。 毎月恒例の課長や同僚たちからのからかいも気にならないほど、雪人はぼんやりしていた。 あの日、家にやってきた士狼とセックスした。前後不覚になるほど貫かれ、揺さぶられ、とにかく満たされた。 そ...
<<はじめから読む!<(2) 休暇初日、雪人はひとり暮らしのアパートで、緊張しながら来客を待っていた。 ヒート中の過ごし方は、人によってまちまちだ。軽度のオメガは、ひたすら部屋にこもってやり過ごすが、たいていは誰か相手を見繕って、性交に耽る...
<はじめから読む! ペーパーレスがどうのこうの、ビジネスニュースでは有識者が議論しているが、雪人ゆきとの務める会社には無縁の言葉であった。 毎月の申請をオンライン上でできるようにして、人事が直接決済してくれたらいいのに。普通の有休だって、そ...
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「……新入生代表――」 高校一年、入学式の主役といっても、それは入試の成績が一番で、挨拶を任された子だけだ。 自分で考えたのではないだろう(ついこの間まで同じ中学生だったのだから、「ごべんたつ」なんて言葉、人生で初めて使ったに違いない)、誰...
ゲ謎コラボの映画村に行くために、京都へ行きました。が、あいにくの雨(と体調不良)だったので、来年絶対にリベンジしようと思います。 来年リベンジしたい場所 ①源氏物語ミュージアム 雨じゃなければ、雨でももうちょっと小降りで体調が悪くなければ、
ゲ謎にはまって、久しぶりに遠征を決めました。10年ぶりの太秦映画村・・・・・・ですが、10年前は、キョウリュウジャーのショー&キャストトークショー目当てだったし、ここから猛ダッシュで和歌山のアドベンチャーワールドまで行ってショーのはしごをし
コナンのスタンプラリーをこなしつつも、美味しいものも食べてまいりました~。 羽田空港 ①ラーメン だいたいAIRDOを使うので、第二ターミナルで時間を潰します。ここ数回、「らぁ麺 鶏だし屋」でラーメンを食べている気がする。今回はカレーうどん
四泊五日で帰省しました。大きな目的はふたつ。ひとつは父の三回忌。法事の日程は決まっているので、そこに合わせての帰省です。父が亡くなったのも、函館で桜が咲き始めた頃でしたが、今年の春も桜の季節(平年よりもだいぶ早い)に帰省が叶いました。 もう
濃い灰色の雲が、重苦しく立ちこめる朝だった。鶏が鳴いても、太陽が顔を出さない。春とは名ばかりの、肌寒い日。 暖炉に火をつけるかどうか、姑と夫は軽く言い合いをしていた。 数日前、もう暖房は必要ないだろうと結論していたため、夫は火を炊くこと
ゲゲゲの謎コラボカフェ@渋谷モディに行ってきました。予約抽選発表日は、どこもかしこも外れた! の悲鳴が上がっていましたが、 ・ど平日 ・真っ昼間 ・ひとり の条件で第一希望当選したので行ってきました。 一番乗りで並んできました。外からの撮影
五月の連休が明けても、時折肌寒い日がある。名残の桜がひらりと舞い落ちるのを後目に、俺は校門を急ぎ足で一歩踏み出す。 「川崎かわさき、お前、本当に部活やらなくていいのか?」 中学の部活は必修じゃない。転校以来、先生がしつこく誘ってくるのは、
九月の夜。東京と比べて涼しいと見越して長袖を持参したが、必要なかったかもしれない。 店内は冷房が稼働しているにもかかわらず、宴会場の襖を明けた瞬間に、熱気がこちらへと向かってきた。 「今日の主役がようやくお出ましだぞー」 長い大学の夏休