<<はじめから読む! 西を治める白虎国は、砂と岩の国である。 過酷な環境だが、水源が豊富な地域には木が密集して森となり、人が居住する街ができる。白虎国の首都・森羅しんらほどとは言わないが、琥珀が慎ましく暮らしている西の外れの街、砂流さりゅう...
お久しぶりの読了本リストです。 真夏の公募マラソン(短編中編合わせて5本〆切抱えていた)や、単純に暑くて図書館に行かなかったりで、なかなか本を読まなかったので、夏でまとめました。 あと、一目惚れしたローファーを買うためにお金を貯めていたので
<<<はじめから読む! <<2話のはじめから <【23】 美空の真意はいったいなんだったのか。答えはすぐにわかった。 一命をとりとめたものの、美希は目を覚まさなかった。事故のときに頭を強く打ったそうだ。 脳死、という判定が下された。学
<<<はじめから読む! <<2話のはじめから <【22】 購入した赤い糸を少し拝借して、糸子から受け取った五円玉の穴に通した。なんとなく、御利益がありそうだと思ったからだ。 それを美空に手渡すと、嬉しそうに微笑んで、「ありがとう」と言っ
<<<はじめから読む!<<2話のはじめから<【21】 梅雨明けはまだ遠く、今日もどんよりと曇っている。だが、僕の心はすっきりと晴れて青空だ。 こんな気持ちで糸屋に行くのは初めてだった。だいたいいつも、カリカリと警戒していることが多い。得体の
<<<はじめから読む!<<2話のはじめから<【20】 その日は、美空の体調が悪くて会えなかった。母親が来ていて、「ごめんね」と言ったが、謝ってもらうような話でもない。お大事に、で帰って、それから三日後、再び僕は彼女のもとを訪れた。 美空はベ
<<<はじめから読む!<<2話のはじめから読む<【19】 病院へ行こうとした僕のもとに、着信があった。相手を見て、バスに乗る前でよかったと思う。 電話に出なかったら、機嫌を損なうことになる。そうなれば、今度電話をくれるのは、いつになることか
<<<はじめから読む!<<2話のはじめから読む!<【18】「ねぇ、ちょっと」 名前すら呼ばないあたり、不機嫌さが丸出しだ。自分の機嫌は自分で取れって、昨今よく言われているが、実践する気は皆無だ。 気分が悪いのは全部、誰かのせい、僕のせい。
<<<はじめから読む!<<2話のはじめから<【17】 とうとう、見つかってしまった。「あれ、紡くん?」 総合玄関から入って西棟へ向かう途中、冴木医師に声をかけられた瞬間、足が竦んだ。「今日はどうしたの?」 医者だから、なのか、彼だから、なの
<<<はじめから読む!<<2話のはじめから読む!<【16】 美希たちは、相変わらず教室の中心になっていた。 今は、終業式前日の球技大会の話で盛り上がっている。誰がどれに出れば活躍できそうか、あいつは運動音痴だから足手まといだとか、当の本人た
<<<はじめから読む!<<2話のはじめから読む!<【15】 バスに揺られ、病院に着く。今日はもちろん、診察日ではない。 病院という場所は、基本的には人を拒絶する場所だと思う。病人を受け入れるが、あたたかさはない。白くて、冷たい。健常者は場違
<<<はじめから読む!<<2話のはじめから読む!<【14】 放課後、部活も何もしていない僕は、まっすぐ家に帰るのが常だが、今日は違った。 商店街と住宅地の狭間、古民家に擬態した、ニッチな商材を扱う店に向かう。 途中で肉屋の店主の息子に声をか
<<<はじめから読む!<<2話から読む!<【13】 次の日、僕はいつもよりも早い時間に家を出た。相変わらず、「行ってきます」に応じる声はなかった。ご飯は用意してあるけれど、家族らしい会話はない。朝は特に、父親は出勤準備に忙しい。 それでも僕
橋本環奈ちゃん&重岡大毅くんのW主演映画、「禁じられた遊び」が、9月8日に公開になりました。いまだに怖くて予告編見られない……おかしいな、本編見てきたんですけど。私は現地のチケットは取れませんでしたが、近場の映画館のライブビューイングチケッ
<<はじめから読む!<【12】 診察室を出て、支払いを済ませる。それからまっすぐに篤久の病室を目指そうとしたところで、ふと、見舞いの品のひとつも持ってきていないことに気がついた。 いかにも自分の(姉の)診察の「ついで」感が出てしまって、あま
<<はじめから読む!<【11】第二話 紅薔薇、白百合 曇天の梅雨空は、低く感じる。頭のすぐ上に、分厚い雲が重くのしかかってきて、あまり好きではなかった。 今にも雨が降りそうな窓の外を、ぼんやりと眺めながら、先日の古典の授業のことを思い出して
<<はじめから読む!<【10】 篤久はそのまま入院した。母の方は、数日ですぐに出てこられたが、彼はいつになったら退院できることか、わからない。身体も心もボロボロになった親友を、僕は直視できなかった。 美希との縁がつながった段階で、やめておけ
<<はじめから読む!<【9】 聡子は逮捕され、篤久も、学校と警察の両方から事情を聞かれた。 刃傷沙汰を起こした聡子はもちろん悪いが、それを誘発したのは、篤久の複数人相手の異性交遊であることは、明らかだった。 生徒同士の事件に発展していた可能
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<<はじめから読む! 西を治める白虎国は、砂と岩の国である。 過酷な環境だが、水源が豊富な地域には木が密集して森となり、人が居住する街ができる。白虎国の首都・森羅しんらほどとは言わないが、琥珀が慎ましく暮らしている西の外れの街、砂流さりゅう...
「海、だ……」 呆然とした僕の呟きを、疲弊した彼女は拾えなかった。 え? と僕の顔を見上げ、それから視線の先に目をやって、初めて意味を理解し、「ああ……」と、溜息をついた。そのままへたり込んだのを、慌てて支える。 白い砂浜、青い海。この世の...
宴は夕刻からずっと続いていた。 都から遠く離れた、少々活気の足りない街だ。市民のほとんどが外に出てきて飲めや歌えやの大騒ぎをする機会はついぞない。滅多にない僥倖に感謝し、子どもから大人まで、誰も彼もが正気じゃない。 一段高い場所に作られた席...
機動戦士GUNDAM GQuuuuuuXと極楽湯・RAKU SPAのコラボに行ってきました~。うちからだとRAKU SPA鶴見が一番行きやすかったので、レポです。無料送迎バス主要駅からの無料送迎バスが出ているかと思います。バスにもジークアク...
<<はじめから読む!<(13)「駒岡さーん」 スマートフォンで「もうすぐ帰るよ」とメッセージを打ち込んでいた雪人は、一度目の呼び出しをスルーしてしまった。「駒岡雪人さーん」 フルネームで呼ばれ、ハッとして立ち上がる。「あ、はい! います!」...
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<<はじめから読む!<(11)「改めて、鳥飼とりかいつばさです」 名刺と交互に、彼の顔を見た。鳥飼。駒岡じゃなくて。籍を入れない事実婚の関係なのだろうか。 雪人の疑問は、表情にありありと浮かんでいたようで、つばさは笑ってつけ足した。「旧姓は...
<<はじめから読む!<(10) 士狼は次の日も休んだ。「おはよう」 自分以外の同僚たちにかけられる朗らかなあいさつに、雪人は反応を示さず、ただひたすら自分の前にあるパソコンに向き合った。「休み、ありがとう。何か変わったこと、あった?」 話し...
<<はじめから読む!<(9) 本格的な失恋に打ちひしがれても、朝はやってくる。仕事は待ってくれない。たとえ、まともに手をつけられなくても。 どんな顔をして士狼と仕事をすればいいのか、わからなかった。ぐるぐると脳内でこね回した結果、「そういえ...
<<はじめから読む!<(8)「ここか……」 看板を見上げて、スマホの地図を閉じた。 リラクゼーションサロン「セレネ」。士狼が手伝っている店だ。 周辺には、もっと直接的な名称と刺激的なデザインの看板の店舗がある。挿入側の人間を顧客とする風俗店...
<<はじめから読む!<(7)「あ、駒岡先輩……」 出勤中、士狼の後ろ姿を見かけた雪人は、声を上げた。それほど距離が離れていない。これまでならば、彼はすぐに気づいて、「おはよう」と並んで歩いてくれた。営業部エースの雑談力を遺憾なく発揮して、会...
<<はじめから読む!<(6) それから二ヶ月が経過しても、ふたりの関係は変わらなかった。変えられなかったのは、雪人自身の性格の問題である。 職場では雪人をフォローし、週末は食事に行く。発情期で店に予約を入れれば、必ず士狼が来てくれた。 数度...
「なんで美術部は、男が入らんのかね」 本人も美大出身の男である顧問の先生は、美術室の鍵を手渡しつつ、ぼやいた。「さあ、なんででしょう」 とぼけるけれど、理由は明白。見学に来た男子たちを放っておいて、女子だけで固まって、ひそひそと話をし続けて...
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<<はじめから読む!<(4) 金曜日の会社終わりに、約束どおり一緒に食事に行った。 半個室になっている店は落ち着いた雰囲気で、居酒屋といえば学生時代に行ったチェーン店しか知らない雪人は、物珍しくきょろきょろと見渡した。 そわそわするのは、オ...
<<はじめから読む!<(3) ヒート明けの出勤日。 毎月恒例の課長や同僚たちからのからかいも気にならないほど、雪人はぼんやりしていた。 あの日、家にやってきた士狼とセックスした。前後不覚になるほど貫かれ、揺さぶられ、とにかく満たされた。 そ...
<<はじめから読む!<(2) 休暇初日、雪人はひとり暮らしのアパートで、緊張しながら来客を待っていた。 ヒート中の過ごし方は、人によってまちまちだ。軽度のオメガは、ひたすら部屋にこもってやり過ごすが、たいていは誰か相手を見繕って、性交に耽る...
<はじめから読む! ペーパーレスがどうのこうの、ビジネスニュースでは有識者が議論しているが、雪人ゆきとの務める会社には無縁の言葉であった。 毎月の申請をオンライン上でできるようにして、人事が直接決済してくれたらいいのに。普通の有休だって、そ...
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「……新入生代表――」 高校一年、入学式の主役といっても、それは入試の成績が一番で、挨拶を任された子だけだ。 自分で考えたのではないだろう(ついこの間まで同じ中学生だったのだから、「ごべんたつ」なんて言葉、人生で初めて使ったに違いない)、誰...
ゲ謎コラボの映画村に行くために、京都へ行きました。が、あいにくの雨(と体調不良)だったので、来年絶対にリベンジしようと思います。 来年リベンジしたい場所 ①源氏物語ミュージアム 雨じゃなければ、雨でももうちょっと小降りで体調が悪くなければ、
ゲ謎にはまって、久しぶりに遠征を決めました。10年ぶりの太秦映画村・・・・・・ですが、10年前は、キョウリュウジャーのショー&キャストトークショー目当てだったし、ここから猛ダッシュで和歌山のアドベンチャーワールドまで行ってショーのはしごをし
コナンのスタンプラリーをこなしつつも、美味しいものも食べてまいりました~。 羽田空港 ①ラーメン だいたいAIRDOを使うので、第二ターミナルで時間を潰します。ここ数回、「らぁ麺 鶏だし屋」でラーメンを食べている気がする。今回はカレーうどん
四泊五日で帰省しました。大きな目的はふたつ。ひとつは父の三回忌。法事の日程は決まっているので、そこに合わせての帰省です。父が亡くなったのも、函館で桜が咲き始めた頃でしたが、今年の春も桜の季節(平年よりもだいぶ早い)に帰省が叶いました。 もう
濃い灰色の雲が、重苦しく立ちこめる朝だった。鶏が鳴いても、太陽が顔を出さない。春とは名ばかりの、肌寒い日。 暖炉に火をつけるかどうか、姑と夫は軽く言い合いをしていた。 数日前、もう暖房は必要ないだろうと結論していたため、夫は火を炊くこと
ゲゲゲの謎コラボカフェ@渋谷モディに行ってきました。予約抽選発表日は、どこもかしこも外れた! の悲鳴が上がっていましたが、 ・ど平日 ・真っ昼間 ・ひとり の条件で第一希望当選したので行ってきました。 一番乗りで並んできました。外からの撮影
五月の連休が明けても、時折肌寒い日がある。名残の桜がひらりと舞い落ちるのを後目に、俺は校門を急ぎ足で一歩踏み出す。 「川崎かわさき、お前、本当に部活やらなくていいのか?」 中学の部活は必修じゃない。転校以来、先生がしつこく誘ってくるのは、
九月の夜。東京と比べて涼しいと見越して長袖を持参したが、必要なかったかもしれない。 店内は冷房が稼働しているにもかかわらず、宴会場の襖を明けた瞬間に、熱気がこちらへと向かってきた。 「今日の主役がようやくお出ましだぞー」 長い大学の夏休