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  • 高難度手術のhigh volume centerへの集中の取り組み

    高難度の手術をhighvolumecenterに集中させることで手術成績を向上させるというのは非常に合理的な方向性だと思います。しかしアメリカでも”Forsomeprocedurestargetedbytheseinitiatives,therearetoofewhigh-volumehospitals.”というような状態だと、日本だと条件を満たす病院はさらに少なくなると思われます。また"Althoughmanystudieshavedemonstratedanassociationbetweenhighersurgicalvolumeandbetterperioperativeoutcomes,theunderlyingmechanismsremainunclear."とあるように、highvolumecen...高難度手術のhighvolumecenterへの集中の取り組み

  • デノスマブ中断後のゾレドロン酸投与タイミングの違いは骨密度低下に影響しない

    MedScapeでも紹介されていましたので、読んだ方も多いかと思います。デノスマブ(Dmab)投与中断後に急速な骨代謝マーカー上昇および骨密度低下が生じ、多発椎体骨折を生じる患者がいることが知られており、中断後にはビスホスホネート投与が推奨されていますが、その有効性について最近いくつかのグループから報告がなされています(Reid2017;Lehman2017;Horne2018;Everts-Graber2020;Anastasilakis2019)が、骨密度維持効果や投与のタイミングなどについて、必ずしも一定した見解は示せていません。この論文は、59名のDmab中断患者を中断6カ月後(6Mgroup)、9カ月後(9Mgroup)、骨代謝マーカー上昇時(OBSgroup)にゾレドロン酸(ZOL)投与群にランダム...デノスマブ中断後のゾレドロン酸投与タイミングの違いは骨密度低下に影響しない

  • 大腿骨近位部骨折を受傷したCOVID-19患者の手術について

    日本でも新型コロナウイルス感染が拡大していた時期、予定整形外科手術については延期となっていた病院でも、大腿骨近位部骨折については緊急性があるとの考えから手術を行っていた病院が多かったのではないかと思います。この論文はCOVID-19が猖獗を極めたイタリアLombardy地方からの大腿骨近位部骨折を受傷したCOVID-19患者についての報告です。19人の患者の平均年齢は85歳(74-90歳)で、骨折型はOTA/AO4type31-A1(8fractures;42.1%),31-A2(5fractures;26.3%),31-B2(5fractures;26.3%),31-B33(1fracture;5.3%)でした。3人は発熱や呼吸器症状がなかったためstudyから除外されました。残りの16人すべて熱発および低酸...大腿骨近位部骨折を受傷したCOVID-19患者の手術について

  • SARS-CoV-2感染細胞におけるリン酸化タンパクの解析

    この論文で著者らは、SARS-CoV-2を感染させたVeroE6細胞(アフリカグリーン猿腎由来細胞)においてウイルスおよび細胞由来のリン酸化タンパクを網羅的に解析し、タンパク―タンパク相互作用やウイルスによって活性化されている(であろう)キナーゼを同定しました。その結果caseinkinaseII(CK2)およびp38MAPkinaseの活性化がサイトカイン産生および細胞周期阻害に関与していること、ウイルス感染によってCK2を含むfilopodia形成が促進され、ウイルス粒子のbuddingに関与している可能性が示されました。またウイルスによって活性化される様々なキナーゼ阻害薬がCOVID-19治療薬として有望であるとしています。Phosphoproteinmappingを様々な時間軸で細かく行い(0,2,4,...SARS-CoV-2感染細胞におけるリン酸化タンパクの解析

  • アストロサイトから神経細胞への分化誘導によるParkinson病治療

    Parkinson病はモハメド・アリなどの著名人も罹患したことで有名な疾患ですが、脳内黒質・線条体ドーパミンニューロンの変性・消失がその主病変であることが知られています。治療法としてはL-DOPAの投与が有効ですが、長期投与によって効果の減弱やon-off現象、dyskinesiaなどが見られることが知られており、新たな治療法が待たれている難病です。これまでに様々な細胞移植療法が試みられており、ES細胞やiPS細胞にも期待がもたれています(https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/181109-120000.html)。このような試みの一つとして皮膚線維芽細胞やastrocyteを神経細胞へと分化させるという研究が進んでおり、マウスastrocyteに...アストロサイトから神経細胞への分化誘導によるParkinson病治療

  • COVID-19における特異的T細胞の誘導

    新型コロナウイルスに対する集団免疫については、風邪を起こすコロナウイルスの例を考えても、SARS-CoV-2の感染が終生続く抗体を誘導するとは考えにくいと思います。それでは感染によってウイルス特異的なT細胞は誘導されるのでしょうか?これまでSARS-CoV-2特異的T細胞についての報告は少ないですが、Spikeタンパク(S),膜(M),核タンパク(NP)特異的T細胞が回復期患者末梢血で見られること(NiLetal.,Immunity.2020Jun16;52(6):971-977.e3)、主としてmildCOVID-19回復期患者でウイルスのS,Mタンパクに対して強く反応するSARS-CoV-2特異的T細胞が出現することなどが報告されています(GrifoniAetal.,Cell.2020Jun25;181(7...COVID-19における特異的T細胞の誘導

  • 補体C4とSLE, Sjögren症候群, 統合失調症との関連

    全身性エリテマトーデス(SLE)は関節リウマチと並ぶ代表的な膠原病ですが、未だにステロイド以外に有効な治療法が少ない難病です。SLEのリスクは大部分が遺伝性ですが、細胞にダメージが加わるようなトリガー(感染やひどい日焼けなど)によって発症することも知られています。ゲノム解析からSLEがHLA遺伝子を含むMHC遺伝子座の変異と最も強く関連することが知られていますが、明確な責任遺伝子は明らかになっていません。補体遺伝子であるC4はMHCクラスIII領域に位置し、2つのparalogであるC4A,C4Bとして存在することが知られています。SLE患者ではしばしば低補体血症が見られますが、これまでにC4,C2,C1Qなどの補体の完全な欠損がまれな重症型早発SLEを起こすこと、C4のeffectorであるC3の受容体である...補体C4とSLE,Sjögren症候群,統合失調症との関連

  • 補体C4とSLE, Sjögren症候群, 統合失調症との関連

    全身性エリテマトーデス(SLE)は関節リウマチと並ぶ代表的な膠原病ですが、未だにステロイド以外に有効な治療法が少ない難病です。SLEのリスクは大部分が遺伝性ですが、細胞にダメージが加わるようなトリガー(感染やひどい日焼けなど)によって発症することも知られています。ゲノム解析からSLEがHLA遺伝子を含むMHC遺伝子座の変異と最も強く関連することが知られていますが、明確な責任遺伝子は明らかになっていません。補体遺伝子であるC4はMHCクラスIII領域に位置し、2つのparalogであるC4A,C4Bとして存在することが知られています。SLE患者ではしばしば低補体血症が見られますが、これまでにC4,C2,C1Qなどの補体の完全な欠損がまれな重症型早発SLEを起こすこと、C4のeffectorであるC3の受容体である...補体C4とSLE,Sjögren症候群,統合失調症との関連

  • 新たな機序を有する抗菌薬

    梅雨時になると感染で入院してくる患者さんが増えるような気がするのは私だけでしょうか。抗菌薬発見の歴史は、1909年のパウル・エールリヒによる梅毒治療薬サルバルサンの開発、そして1929年のフレミングによるペニシリンの発見以来、細菌との長い戦いであり、そして最近では耐性菌との戦いの歴史でもあります。MRSAを代表とする薬剤耐性菌に対する抗菌薬の開発はともすればイタチごっこになってしまい、新薬が出た次の年にはその薬剤に対する耐性菌が出たり、ということも少なくありません。この理由としては、新たな抗菌薬が結局従来のものと同様の機序で作用する場合が多いことが考えられます。このような中で新たな作用機序を有する抗菌薬の開発が期待されています。理想的な抗菌薬の条件として、副作用が少ないことは当然として、①耐性菌ができにくい、②...新たな機序を有する抗菌薬

  • 厚生労働省クラスター班からの報告

    厚生労働省のクラスター対策班からの報告です。2020年1月15日~4月4日に報告された日本国内のCOVID-19症例(ダイヤモンド・プリンセス号の症例を除く)3,184例を解析したところ、家庭内での感染を除いて5人以上の感染が発生したクラスターは61見つかりました。このうち18件(30%)は医療施設、10件(16%)は介護施設、10件(16%)はレストランやバー、8件(13%)が職場、7件(11%)がコンサートやカラオケなどの音楽イベント、5件(8%)がスポーツジム、2件(3%)が冠婚葬祭、飛行機に関連するものが1件(2%)でした。医療機関以外のものではライブハウスにおける30人以上の感染が最大のものでした。院内クラスター以外では22人の一次感染者が同定されているそうです。年齢層としては20-29歳が6人(27...厚生労働省クラスター班からの報告

  • 大腿骨近位部骨折後の自殺率

    日本でも70代、80代という高齢者の自殺者数が増加しているようですが、「健康問題」を原因・動機とするケースが多いようです。この韓国からの報告は、大腿骨近位部骨折患者11,477人と対照群22,954人の自殺率を比較したものです。追跡調査の平均期間は4.59年で、158,139人年でした。追跡期間中、合計170人の自殺が確認されました。骨折後180日および365日までの期間において、大腿骨近位部骨折患者は対照群と比較して自殺リスクが高いことが示されました(それぞれp=0.009,0.004)。最初の180日間、11,152人年において14人の自殺が確認され(incidentrate,266.1/10万人年;95%CI,157.6ー449.4)であり、対照群と比較して2.97倍自殺する可能性が高いことが明らかになり...大腿骨近位部骨折後の自殺率

  • COVID-19呼吸不全に関与するGWAS

    COVID-19に関する不思議の1つとして、アジア諸国における患者数および死亡率の低さがあります。その真の理由はわかっていませんが、何らかの遺伝的素因が関与しているのではないかと推測されていました。このような中で、イタリアおよびスペインの患者を対象にしたGWAS解析の結果が報告されました。イタリアおよびスペインでPCRによってウイルス陽性が確認された1980人の重症COVID-19患者(呼吸不全で入院した患者で酸素投与あるいは補助換気が必要)を対象群と比較しました。使用したのはIllumina社のGlobalScreeningArray(GSA)です。ABO血液型についてはrs8176747,rs41302905,rs8176719という3つのSNPsが用いられ、イタリアの835人の患者および891人のコントロ...COVID-19呼吸不全に関与するGWAS

  • 中国万州区の不顕性感染患者asymptomatic patientsについての報告

    中国万州区(WanzhouDistrict)における不顕性感染患者asymptomaticpatientsについての調査結果が報告されました。患者との濃厚接触者2088人のPCR検査を行った結果、ウイルス陽性であった178人のうち、37人(20.8%)が臨床症状を呈さないasymptomaticpatientsでした。平均年齢は41歳(8-75歳)で22人が女性でした。37人のうち3人にリンパ球減少、1人に血小板減少が、6人に肝酵素上昇、11人にCRP上昇が見られました。胸部CTでは11人(29.7%)に限局性のすりガラス陰影(focalground-glassopacities)が、線状陰影(stripeshadows)あるいはびまん性の浸潤影(diffuseconsolidation)が10人(27.0%)...中国万州区の不顕性感染患者asymptomaticpatientsについての報告

  • 肺胞マクロファージに見られる免疫麻痺のメカニズム

    院内肺炎は現在でも死亡の原因の多くを占めており、特にMRSAなどの薬剤耐性菌による肺炎も多いことから、その対策は急務です。肺炎がいわゆるフレイルなど、全身状態が低下した患者にしばしば生じ、特に一旦重症な感染症などに罹患した患者では、回復後も肺炎の罹患率が極めて高いことが知られています。これは起因菌が肺にコロニーを形成していることが原因と考えられていますが、このような患者では免疫機能自体が低下している可能性(免疫麻痺)も指摘されています。この論文ではエピジェネティックな制御によって、組織常在肺胞マクロファージ(alveolarmacrophage,AM)の貪食機能が重症感染症後は低下することを示したものです。まず著者らはマウスの肺炎モデルを用いて、一度肺炎を生じたマウスでは、回復後の感染に対するAMの貪食能が初回...肺胞マクロファージに見られる免疫麻痺のメカニズム

  • 自衛隊中央病院からの報告(ダイヤモンド・プリンセス号)

    自衛隊中央病院に入院したダイヤモンド・プリンセス号の乗客および船員104人についての詳細なデータがLancetInfectDisに報告されました。全員PCRでSARS-CoV-2陽性で、男性52%、何らかの併存症を有していたのが50%(心血管病30%、糖尿病7%など)です。43人(41%)は全く症状のないasymptomatic、41人(39%)はmild、20人(19%)はsevereに分類されました。Asymptomaticの43人中発症したのは10人(23%)、うち3名はsevereでした。最終的にasymptomaticあるいはmildの患者84人のうち、重症化したのは8人(10%)でした。最終的に発症したのは71人で、14人(20%)に酸素投与が必要、1人は補助換気が必要でした。治療としては10人(1...自衛隊中央病院からの報告(ダイヤモンド・プリンセス号)

  • 欧米人とマスク

    以前にも書きましたが、1918年のスペイン風邪パンデミックの際にサンフランシスコ市では、保健委員会委員長のウイリアム・ハスラー博士によって「マスク着用条例」が制定され、その結果インフルエンザ感染者のみならずジフテリア、麻疹、百日咳の報告数も急激に減ったことが報告されています(アルフレッド・W・クロスビー著「史上最悪のインフルエンザー忘れられたパンデミック」より)。しかしながら欧米人のマスク嫌いは肝いりで、誰が何といおうとマスクをしない某国大統領をはじめとして、この期に及んでもマスクを着用しない人は大勢います。これは目は口ほどに物をいう日本人と異なり、口元で表情を読み取るという欧米人の特徴も理由のようです。さて最近のPNASとScienceにマスクの有用性についての論文やコラムが掲載されていました。特にPNAS論...欧米人とマスク

  • 新型コロナウイルス対策の将来像「ワシならこうする」

    開発中のものも含めて診断法や治療薬も出そろいつつある中で、ある程度現在のパンデミックが収束した後の、全くエビデンスのない将来予測をしたためてみます。1)水際対策は重要です。どこかの国で感染患者の急増が見られたら速攻でアラートを鳴らし、来日者のスクリーニングを強化する。スクリーニング法は下記にも書きましたが抗原検査。2)無症状感染者の検出は無理なので、感染者がある程度増えた段階では全員が感染者と考えて接触制限をせざるを得ない。ただし「増えた」と言えるのは、東京なら1日の新規感染患者数が100人以上というレベルか(根拠なし)。ロックダウンはせず三密回避を徹底する。3)発症患者の早期発見はとても重要。PCRも簡便になってきましたが、迅速性やコストなどを考えると何といっても抗原検査が有望と思います。抗原検査の良否は使用...新型コロナウイルス対策の将来像「ワシならこうする」

  • ダイヤモンドプリンセス号乗船者における無症状感染者についての報告

    藤田医科大学および厚生労働省名古屋検疫所からのダイヤモンドプリンセス号乗客・船員に関する報告です。ダイヤモンドプリンセス号では当初は症状のある患者のみPCR検査が行われましたが、その後検査の対象は乗客、船員全員に広げられました。その結果3月5日の段階で410人の無症状感染者asymptomaticconfirmedcasesが見つかりました。その中で79人はその後COVID-19症状が出現したため「未発症患者presymptomaticpatients」であったと考えられました。4月30日の段階でやはりasymptomaticであった感染者が310人いました。その後96人の無症状感染者および32人の同室者(乗船中はPCR陰性)が藤田医科大学の未稼働の病棟に隔離されました。連続2回陰性になるまで繰り返しのPCR検...ダイヤモンドプリンセス号乗船者における無症状感染者についての報告

  • 冬眠と不活動の脳科学

    新型コロナウイルス感染症の流行のせいで体温計が品薄になっているようです。今は削除されていますが、流行当初は感染の徴候として「37.5度以上が4日間続く」というような目安が提示されていましたが、体温に関してはわずか0.5度違いが大きな意味を持つことからもわかるように、生体において体温は極めて厳密に調節されています。体温の調節機構には脳が極めて重要な役割を果たしており、中でも視床下部の最吻側に位置する視索前野(preopticarea)と呼ばれる領域は体温調節中枢として作用し、感染時の発熱を指令する発熱中枢でもあることが明らかになっています(MorrisonandNakamura,AnnuRevPhysiol.2019Feb10;81:285-308)。これとは逆に、動物では冬眠(hibernation)や非活動状...冬眠と不活動の脳科学

  • COVID-19陽性の大腿骨近位部骨折患者の生命予後

    以前紹介したLancetの論文では、COVID-19患者における整形外科手術299例において、30-daymortalityが71.2%、肺合併症率が55.7%だったという極めて高いリスクが報告されていました(COVIDSurgCollaborative.Lancet2020.May29;S0140-6736(20)31182-X.doi:10.1016/S0140-6736(20)31182-X)。このうち115例が大腿骨近位部骨折患者であったことから、次に大腿骨近位部骨折のリスクという観点で調べてみました。1)JosepMariaMuñozVivesetal.,JBoneJointSurgAm.2020May6.doi:10.2106/JBJS.20.00686."MortalityRatesofPatie...COVID-19陽性の大腿骨近位部骨折患者の生命予後

  • 外来リウマチ性疾患患者におけるCOVID-19感染(イタリアLombardy地方からの報告)

    イタリアのLombardy地方の2つのクリニックに通院するリウマチ性疾患患者の新型コロナウイルス感染症の頻度や重症度に関するサーベイの結果です。955人の患者(RA531人、PsA203人、SpA181人、その他40人、平均年齢53.7歳、女性67.4%)を調査ました。47.3%は生物学的製剤の単独使用で、43%超の方が一つ以上の併存症(高血圧20%など)を有していました。このうち鼻腔咽頭swabの検査によってCOVID-19と診断されたのは6人(RA3人、SpA2人、サルコイドーシス1人)で5人は抗TNF-α製剤(etanercept3人、adalimumab1人、infliximab1人)、1人はabataceptで治療を受けていました。4人はcsDMARD(MTX2,LEF1,SASP1)、2人はヒドロキ...外来リウマチ性疾患患者におけるCOVID-19感染(イタリアLombardy地方からの報告)

  • 骨肉腫肺転移における血小板の役割

    山梨大学からの報告です。骨肉腫は原発性骨軟部悪性腫瘍の中では最多のものですが、その予後を決定するのは肺転移の有無です。著者らは骨肉腫肺転移における血小板の役割に注目しました。まずヒト骨肉腫株細胞を用いて、invitroで骨肉腫細胞が血小板を活性化させる作用を有することを明らかにしました。転移性の腫瘍株の移植実験により、抗GPIbα抗体によって血小板を90%のぞいたマウスでは肺における腫瘍細胞のコロニー形成が劇的に減少しており、血小板の産生する何らかの分泌因子が、骨肉腫細胞の肺でのコロニー形成に関与していると考えられました。C-typelectin-likereceptor-2(CLEC-2)は血小板に発現し、血小板の恒常性や血栓形成に関与するとともに、癌の転移にも関係することが知られていますが、著者らは以前にC...骨肉腫肺転移における血小板の役割

  • デノスマブの転倒抑制効果ーa pooled analysis-

    ヒト型抗RANKL抗体であるデノスマブは、RANKLと結合してRANKとの結合を競合的に阻害することで骨吸収を抑制し、脆弱性骨折を防止する骨粗鬆症治療薬です。PivotalstudyであるFREEDOM試験では大腿骨近位部骨折を3年間の投与で40%減少させることが報告されています。その効果は主として骨密度増加によるものであるとされていますが、①顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー患者に投与したところ、わずか24時間で握力増加と歩行能力改善が見られた(LefkowitzSSetal.,AmJCaseRep.2012;13:66-8)②閉経後女性にデノスマブを3年間投与したところ、握力の増加が見られた(BonnetNetal.,JClinInvest.2019May23;129(8):3214-3223)などの報告もあり...デノスマブの転倒抑制効果ーapooledanalysis-

  • 書評 「秀吉の六本指/龍馬の梅毒」

    『秀吉の六本指龍馬の梅毒』篠田達明著これは篠田達明先生が雑誌「整形・災害外科」に1992年6月号から2019年9月まで連載されていた人気コラム『医療史回り舞台』から100話を抽出して単行本としてまとめたものです。まとめて読んでみますと、先生の歴史への造詣の深さに改めて感銘を受けました。さて篠田達明先生は愛知県心身障害者コロニー名誉院長であると同時に、ベストセラーにもなった『徳川将軍家十五代のカルテ』などの著作もあり、医療史の分野では他の追随を許さない碩学でいらっしゃいます。本書を読んで深く感じることは、歴史上の人物や事件に対する先生の尽きることのない好奇心です。ドイツの哲学者ヘーゲルは『歴史哲学講義』の中で、世界史とは自由の意識が前進していく必然な過程であり、歴史を前進させる「偉大な人物が多くの無垢な花々を踏み...書評「秀吉の六本指/龍馬の梅毒」

  • 母乳を介した腸管免疫の世代を超えた制御機構

    免疫機能は細菌などの感染予防に必須ですが、機能が強すぎても自己免疫疾患の原因になるため、適切なバランスを取ることが重要です。自己免疫疾患のゲノム研究からも明らかなように、免疫機能はある程度ゲノムによって遺伝的に決定されていますが、エピジェネティックな制御も受けていることが知られています。新型コロナウイルスに対するBCGの効果を説明するメカニズムとして注目されたtrainedimmunityなどは代表的なエピジェネティックな制御です。これ以外にも栄養状態や腸内細菌、代謝産物や行動特性(behavioraltrait)など、多くの要素によって免疫機能は制御されることが知られています。この論文は母乳による腸管免疫の世代を超えた制御という全く新しい機序を明らかにした大変興味深いものです。腸内には免疫機能を負に制御する制...母乳を介した腸管免疫の世代を超えた制御機構

  • 回復期患者血漿の有効性についてのRCT

    回復期患者の血漿(convalescentplasma)を感染患者に投与するという治療法は古くから血清療法として行われているものであり、COVID-19に対しても一定の有効性が見られることが報告されています。その一方で患者によって有する中和抗体の濃度や有効性が異なることから、治療法としてcrudeである点は否めません。今回の論文はChineseAcademyofMedicalSciencesandPekingUnionMedicalCollegeから発表された回復患者血清を用いたRCTです。患者は2月14日から4月1日まで7つの医療機関でリクルートされた、ランダム化前72時間以内にPCRで感染が確定され、胸部imagingで肺炎が確定されたsevereorlife-threateningCOVID-19患者です...回復期患者血漿の有効性についてのRCT

  • 骨代謝の中枢神経制御におけるPGE2の関与

    JohnsHopkinsUniversityのXuCaoは現在最もactiveに研究成果を報告している骨代謝研究者の一人ですが、今回は中枢神経による骨代謝制御についての詳細な研究成果をJournalofClinicalInvestigationに報告しました。彼らはこれまでに感覚神経(sensorynerve)が骨芽細胞の「シグナル」を感知して交感神経系シグナル(sympathetictone)による骨形成抑制作用をブロックすることで骨恒常性を維持することを報告していますが(ChenHetal.,NatCommun.2019;10(1):181)、今回の論文ではこの骨芽細胞「シグナル」がprostaglandinE2(PGE2)である可能性を示しました。感覚神経で神経性成長因子の受容体TrkAを欠損させたマウス...骨代謝の中枢神経制御におけるPGE2の関与

  • 急激な運動負荷の生物学的作用を経時的に検討してみた

    何ともすごい研究です。36名の被検者に傾斜トレッドミルを用いて8-12分の最大心肺運動負荷(cardiopulmonaryexercise,CPX)を課し、コントロールの非運動者とともに運動前、運動後2分、15分、30分、1時間と経時的に末梢血を採取して血清のproteomics,metabolomics,lipidomics、そして末梢血細胞のtranscriptomicsを行ったという内容です(in-depthmulti-omicprofilingというそうです)。当然膨大なデータが得られるわけですが、結果としてはenergymetabolism,oxidativestress,inflammation,tissuerepair,growthfactorresponse,regulatorypathways...急激な運動負荷の生物学的作用を経時的に検討してみた

  • 学会ウェブ開催について

    今年は新型コロナウイルス感染症の影響で多くの学会がウェブ開催となっており、日本整形外科学会(丸毛啓史先生会長)もオンラインでの開催となります。周りの人に聞くと「ウェブ開催はありがたい」という声が多数をしめています。遠くまで出かける必要はなく、自分の好きな時にオンデマンドで演題を聞くことができるし、専門医の単位を取るために長蛇の列に並ぶ必要もないからです。今回はやむを得ない事情でオンライン開催になった訳ですが、確かにメリットはたくさんありそうです。エコロジー的な観点からもCO2排出量は桁違いです。それではオンライン学会のデメリットは何かというと、やはりface-to-faceでヒトと会うことで得られる刺激や情報、セレンディピティなどという点が大きいでしょうか。ポスターセッションも少し難渋しそうです。また聞く方は良...学会ウェブ開催について

  • T細胞ミトコンドリア機能と組織加齢変化の関係

    抗加齢医学は今や広範な分野をカバーする研究領域ですが、加齢とともに様々な自己免疫疾患が増えてくることを考えても、agingと免疫機能は深く関連していると考えられます。この論文はミトコンドリアDNAの安定・複製に関与しているTfam(mitochondrialtranscriptionfactorA)をT細胞で欠損させると老化が進むという論文です。著者らはTfamをCD4floxマウスを用いてT細胞で欠損させたマウス(TfamcKOマウス)を作成しました。このマウスではTh1細胞機能が亢進しており、typeIサイトカインであるIFN-γやTNF-αの発現亢進が見られました。若齢(2カ月齢)TfamcKOマウスにおいても免疫機能が低下しており、正常な高齢マウス(22カ月齢)と同程度にマウス痘を起こすectromel...T細胞ミトコンドリア機能と組織加齢変化の関係

  • COVID-19 Global Rheumatology Allianceに登録された600名のデータ

    COVID-19に感染したリウマチ性疾患患者のレジストリーであるCOVID-19GlobalRheumatologyAlliance(C19-GRA)から600名の患者に関するデータが発表されました。C19-GRAは2名の患者も入って構築されたregistryであり、ヨーロッパとアメリカの2カ所のportalから患者を登録します。COVID-19の診断はPCRに加えて抗体検査、ゲノム検査、CT、血液検査、臨床症状のみ、などによって行われました。背景因子としては年齢、性別、喫煙状態、リウマチ性疾患の診断、疾患活動性、併存症などが登録されました。COVID-19感染前に使用していた薬剤はconventionalsyntheticdisease-modifyingantirheumaticdrugs(csDMARD)...COVID-19GlobalRheumatologyAllianceに登録された600名のデータ

  • COVID-19 Global Rheumatology Allianceに登録された600名のデータ

    COVID-19に感染したリウマチ性疾患患者のレジストリーであるCOVID-19GlobalRheumatologyAlliance(C19-GRA)から600名の患者に関するデータが発表されました。C19-GRAは2名の患者も入って構築されたregistryであり、ヨーロッパとアメリカの2カ所のportalから患者を登録します。COVID-19の診断はPCRに加えて抗体検査、ゲノム検査、CT、血液検査、臨床症状のみ、などによって行われました。背景因子としては年齢、性別、喫煙状態、リウマチ性疾患の診断、疾患活動性、併存症などが登録されました。COVID-19感染前に使用していた薬剤はconventionalsyntheticdisease-modifyingantirheumaticdrugs(csDMARD)...COVID-19GlobalRheumatologyAllianceに登録された600名のデータ

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